説明

気体浄化装置

【課題】ケミカルフィルタを交換する際の作業性に優れたコンパクトな気体浄化装置を提供する。
【解決手段】気体を浄化するケミカルフィルタ50を有し、上流端41から流入する気体をケミカルフィルタによって浄化するとともに、浄化された気体を下流端42から流出させる浄化流路部40と、浄化流路部を内部に収納する筐体部10と、筐体部の浄化流路部に沿って延びる外壁11Uの一部に設けられた、筐体部外から気体を吸入し又はケミカルフィルタによって浄化された気体を筐体部外に排出するための開口部30Uと、浄化流路部と筐体部の外壁との間に設けられ、浄化流路部と開口部とを繋ぐ連絡流路部90と、を備え、ケミカルフィルタは、その側面53Uが連絡流路部の内面92の一部を構成するとともに、連絡流路部を横切って浄化流路部から筐体部外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられている気体浄化装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体浄化装置に関し、特に、比較的高濃度の化学汚染物質を含む気体を浄化する気体浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工場や塗装工場等の化学物質を扱う工場において、当該工場内の設備を集中的に管理する制御室を当該工場の敷地内に設置する場合がある。
【0003】
この場合、例えば、工場の敷地内で大気中に放出された硫化水素、硫黄酸化物、塩素等の酸性物質によって、制御室内のコンピュータの配線が腐食する等の問題が発生し得る。
【0004】
このような問題に対して、従来、例えば、制御室を、ケミカルフィルタやダクト等を備えたクリーンルームに改造することによって対処する方法があった(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−278883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、既存の制御室を改造するために大掛かりな工事が必要であることに加えて、大気中の酸性物質の濃度が比較的高いためにケミカルフィルタを頻繁に交換する必要が生じた場合に、当該ケミカルフィルタを交換する際の作業性に問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、ケミカルフィルタを交換する際の作業性に優れたコンパクトな気体浄化装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る気体浄化装置は、気体を浄化するケミカルフィルタを有し、上流端から流入する気体を前記ケミカルフィルタによって浄化するとともに、浄化された気体を下流端から流出させる浄化流路部と、前記浄化流路部を内部に収納する筐体部と、前記筐体部の前記浄化流路部に沿って延びる外壁の一部に設けられた、前記筐体部外から気体を吸入し又は前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を前記筐体部外に排出するための開口部と、前記浄化流路部と前記筐体部の前記外壁との間に設けられ、前記浄化流路部と前記開口部とを繋ぐ連絡流路部と、を備え、前記ケミカルフィルタは、その側面が前記連絡流路部の内面の一部を構成するとともに、前記連絡流路部を横切って前記浄化流路部から前記筐体部外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ケミカルフィルタを交換する際の作業性に優れたコンパクトな気体浄化装置を提供することができる。
【0009】
また、前記開口部は、前記筐体部の前記外壁のうち前記ケミカルフィルタの前記側面に対向する位置に開閉可能に設けられており、前記ケミカルフィルタは、開状態の前記開口部を介して前記筐体部外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられていることとしてもよい。この場合、ケミカルフィルタを交換する際の作業性を更に向上させることができる。また、前記筐体部の前記外壁は、前記浄化流路部の上方に設けられ、前記開口部は、前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を排出するための排出口部であり、前記ケミカルフィルタは、開状態の前記開口部を介して上方に引き出すことができることとしてもよい。この場合、ケミカルフィルタを交換する際の作業性を更に向上させることができる。また、前記浄化流路部は、前記ケミカルフィルタの上流側に送風機を有し、前記ケミカルフィルタの下流側に集塵フィルタを有することとしてもよい。この場合、気体をより効果的に浄化することもできる。また、前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を供給すべき部屋内に設置される室内設置型であることとしてもよい。この場合、既存の部屋内に設置するだけで当該部屋内の気体を効果的に浄化することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る気体浄化装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る気体浄化装置は、本実施形態に限られるものではない。
【0011】
図1、図2、図3はそれぞれ、本実施形態に係る気体浄化装置1(以下、「本装置1」という)の一例についての正面図、平面図、左側面図である。図4は、図1に示すA−A線で本装置1を切断した断面図である。図5は、図2に示すB−B線で本装置1を切断した断面図である。なお、本装置1の右側面は図2に示す左側面と対称である。
【0012】
まず、本装置1の概要について説明する。本装置1は、気体を浄化するケミカルフィルタ50を内部に備えており、外部から吸引した気体を当該ケミカルフィルタ50により浄化し、浄化された気体を外部に排出する。
【0013】
本実施形態においては、本装置1が、浄化された気体を供給すべき部屋(図示せず)内に設置される室内設置型として実現される場合を例として説明する。すなわち、本装置1は、この部屋内において、当該部屋内の空気を吸入し、吸引した空気に含まれる化学汚染物質をケミカルフィルタ50によって除去し、浄化後の空気を当該部屋内に排出する。
【0014】
したがって、本装置1によれば、部屋内の空気に含まれる化学汚染物質の濃度を効果的に低減することができる。すなわち、本装置1は、例えば、設置される部屋が工場を集中管理するコンピュータ等の制御機器を備えた制御室である場合には、当該工場で発生し、当該制御室内の空気中に含まれる化学汚染物質による当該制御機器及び配線の汚染を効果的に抑制することができる。
【0015】
ここで、本装置1が浄化する対象となる空気に含まれる化学汚染物質の濃度が高い場合(例えば、当該濃度がppm(parts per milliion)オーダーである場合)には、当該空気を浄化することによるケミカルフィルタ50の劣化が急速に進行するため、当該ケミカルフィルタ50を高い頻度で交換する必要が生じる。そこで、本装置1は、後述するように、ケミカルフィルタ50を交換する際の作業性に優れたコンパクトな構成となっている。
【0016】
次に、本装置1の詳細について説明する。本装置1は、ケミカルフィルタ50を有する浄化流路部40を備えている。この浄化流路部40は、その内部を流通する気体をケミカルフィルタ50によって浄化する。
【0017】
ここで、ケミカルフィルタ50としては、浄化の対象とする気体に含まれる化学汚染物質を除去できるものであれば、目的に応じて任意のものを選択して用いることができる。すなわち、ケミカルフィルタ50としては、例えば、気体中の有機物質、酸性物質、塩基性物質等の化学汚染物質を吸着等によって除去できるケミカルフィルタ、気体中の異臭成分を吸着等によって除去できる脱臭フィルタ、気体中の化学汚染物質を分解除去できる触媒フィルタ等を用いることができる。
【0018】
気体中の化学汚染物質を除去するためにケミカルフィルタ50が備える機能剤としては、例えば、活性炭、イオン交換樹脂、ゼオライト、光触媒、マンガン触媒、銅マンガン触媒等を用いることができる。機能剤としてイオン交換樹脂を用いる場合には、例えば、空隙を多く有する無機繊維を骨格とした構造体に、気体中の酸性物質や塩基性物質が効果的に化学吸着するイオン交換樹脂を高密度に担持したものを好適に用いることができる。
【0019】
また、ケミカルフィルタ50としては、目的に応じて、任意の骨格構造のものを用いることができる。すなわち、ケミカルフィルタ50としては、ハニカム構造体、プリーツ構造体、ペレット成形体、押し出し成形体、多孔質成形体等を用いることができ、圧力損失が小さく汚染物質の除去寿命が長いという点でハニカム構造体を好適に用いることができる。
【0020】
本実施形態において、ケミカルフィルタ50は、金属製の矩形の枠部51内に、気体中の酸性物質を除去できる機能材52が充填された板状のハニカム構造体である。このケミカルフィルタ50は、浄化流路部40内の上流から下流への送風方向(図4及び図5に示す矢印Xの指す方向)において、当該浄化流路部40の中途部分を塞ぐように立設され、浄化流路部40の一部を構成している。
【0021】
そして、浄化流路部40は、その上流端41から流入する気体をケミカルフィルタ50によって浄化するとともに、浄化された気体を下流端42から流出させる。この浄化流路部40において、ケミカルフィルタ50は、着脱可能に設けられている。
【0022】
図6には、図5に示す本装置1において、ケミカルフィルタ50を浄化流路部40から取り外し、又は当該浄化流路部40に取り付ける場合の一例を示す。図6に示すように、ケミカルフィルタ50は、浄化前の気体が流入する上流側の面53B(以下、「流入面53B」という)及び浄化後の気体が流出する下流側の面53F(以下、「流出面53F」という)に沿った方向にスライド可能に設けられている。
【0023】
具体的に、浄化流路部40の左側壁47L及び右側壁47Rには、平面視でL字型に形成されて上下方向に延びるレール状の左ガイド部44L及び右ガイド部44Rがそれぞれ設けられている(図4参照)。そして、ケミカルフィルタ50は、その枠部51が左右一対のガイド部44L,44Rに沿って上下方向に移動できるように設けられている。
【0024】
このため、ケミカルフィルタ50は、浄化流路部40から上方に直線的に引き出すことにより、当該浄化流路部40から抜き去ることができる。また、同様に、ケミカルフィルタ50は、浄化流路部40の所定の位置に対して下方に直線的に挿入することにより、当該浄化流路部40に設置することもできる。
【0025】
浄化流路部40は、更に送風機60を有している。この送風機60としては、浄化流路部40の一部に取り付け可能なものであれば、目的に応じて任意の種類のものを選択して用いることができる。すなわち、送風機60としては、ターボファン、軸流ファン、ブロワ等を用いることができ、比較的小型で圧送を効果的に行うことができるという点でターボファンを好ましく用いることができる。
【0026】
本実施例において、送風機60は、回転軸61と、当該回転軸61を中心に回転可能に支持され、当該回転軸61から放射状にねじられながら延びる複数の羽根が設けられたターボフィン部(図示せず)と、当該フィン部を回転させるための動力を発生させるモータ部(図示せず)と、を有するターボファンである。
【0027】
送風機60は、その回転軸61が浄化流路部40の送風方向に沿って延びるように配置されている。そして、この回転軸61周りにターボフィン部が回転することによって、送風機60は、浄化流路部40内に気体を流通させることができる。また、本装置1への外部の気体の吸入と、本装置1から外部への浄化気体の排出もまた、送風機60によって行うことができる。
【0028】
また、図4〜図6に示す例において、送風機60は、ケミカルフィルタ50の上流側に設けられている。すなわち、送風機60は、浄化流路部40の上流端41に形成された気体の流入口(図示せず)を塞ぐように設けられている。具体的に、浄化流路部40は、送風機60を収納する前室63をケミカルフィルタ50の上流側に有し、当該浄化流路部40の上流端41には送風機60を支持するための支持部62が固定されている。そして、送風機60は、前室63内において、支持部62によってケミカルフィルタ50から離隔して独立に支持されている。
【0029】
また、浄化流路部40は、更に集塵フィルタ70を有している。この集塵フィルタ70としては、浄化の対象とする気体に含まれる所望の種類や大きさの粒子を除去できるものであれば、目的に応じて任意のものを選択して用いることができる。
【0030】
すなわち、集塵フィルタ70としては、HEPA(High Efficiency Particle Air)フィルタやULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタを用いることができ、HEPAフィルタを好ましく用いることができる。本実施形態において、集塵フィルタ70はプリーツ構造で成形された板状のHEPAフィルタである。
【0031】
この集塵フィルタ70は、ケミカルフィルタ50の下流側に設けられている。すなわち、集塵フィルタ70は、浄化流路部40の送風方向において、浄化流路部40の下流端42に形成された流出口(図示せず)を塞ぐように立設されている。具体的に、集塵フィルタ70は、ボルト等の固定具72により当該下流端42に固定されている。
【0032】
また、浄化流路部40は、ケミカルフィルタ50と集塵フィルタ70とを繋ぐように設けられた連結部45を有している。この連結部45は、ケミカルフィルタ50と集塵フィルタ70との間に空隙を形成する枠状体である。
【0033】
このように、浄化流路部40においては、送風方向において、送風機60と、ケミカルフィルタ50と、集塵フィルタ70と、が所定の間隔で直列的に設けられている。すなわち、本装置1において、送風機60、ケミカルフィルタ50、集塵フィルタ70は、互いに独立して直線的に設けられている。
【0034】
そして、図5に示すようにケミカルフィルタ50が浄化流路部40に設置されている状態において、前室63の上面64Uと、ケミカルフィルタ50の上側面53Uと、連結部45の上面46Uと、集塵フィルタ70の上側面71Uと、は互いに密着して配置され、全体として、送風方向に沿って延びる一つの連続した当該浄化流路部40の上面43Uを構成している。
【0035】
また、図4及び図5に示す本装置1においては、送風機60がケミカルフィルタ50及び集塵フィルタ70の上流側に配置されている。このため、浄化流路部40内において、送風機60により、ケミカルフィルタ50及び集塵フィルタ70を介した気体の圧送を効果的に行うことができる。
【0036】
また、本装置1は、このような浄化流路部40を内部に収納する筐体部10を備えている。この筐体部10は、直方体形状に形成され、浄化流路部40に沿って延びる4つの外壁として、上外壁11U、左外壁11L、右外壁11R、下外壁11Dを有している。すなわち、これら上外壁11U、左外壁11L、右外壁11R、下外壁11Dはそれぞれ、浄化流路部40の上方、左方、右方、下方において、当該浄化流路部40内の送風方向に延びている。
【0037】
また、筐体部10は、浄化流路部40の前方及び後方にそれぞれ配置された前外壁11F及び後外壁11Bを有している。すなわち、これら前外壁11F及び後外壁11Bは、浄化流路部40内の送風方向において、浄化流路部40の下流側及び上流側をそれぞれ遮るように設けられ、当該浄化流路部40の下流端42及び上流端41にそれぞれ対向して配置されている。
【0038】
更に、前外壁11Fの中央部分には開口(図示せず)が形成されており、当該開口を塞ぐように前板12が設けられている。また、筐体部10は、浄化流路部40を下方から支持する下外壁11Dを有している。この下外壁11Dの下方側の外面には、本装置1を下方から支持する複数の足部13が設けられている。
【0039】
また、上外壁11U及び前板12は、着脱可能に設けられている。すなわち、上外壁11U及び前板12は、例えば、ねじ止め等の可逆的な取り付け機構によって筐体部10の他の部分にそれぞれ取り付けられている。このため、例えば、ねじを取り外す等により取り付け機構を解除することで、上外壁11U及び前板12を筐体部10から取り外すことができる。
【0040】
したがって、浄化流路部40の上方を覆う上外壁11Uを筐体部10から取り外した状態においては、当該浄化流路部40に設置されているケミカルフィルタ50を上方にスライドさせることによって、当該浄化流路部40の上方に形成された当該筐体部10の開口部分から当該ケミカルフィルタ50を当該筐体10外に取り出すことができる。
【0041】
また、同様に、この筐体部10の上外壁11Uの開状態において、当該筐体部10の開口部分を介して、ケミカルフィルタ50を当該筐体部10外から浄化流路部40の所定位置に取り付けることができる。
【0042】
一方、浄化流路部40の前方を覆う前板12を筐体部10から取り外した状態においては、当該浄化流路部40に集塵フィルタ70を固定している固定具72を取り外すことにより、当該筐体部10の前外壁11Fに形成された開口部分から当該集塵フィルタ70を当該筐体10外に取り出すことができる。
【0043】
同様に、この筐体部10の前板12の開状態において、前外壁11Fの開口部分を介して、当該筐体部10外から浄化流路部40の下流端42に集塵フィルタ70を設置することができる。
【0044】
また、筐体部10の前外壁11Fの外面には、本装置1における圧力状態を示す差圧計、異常を知らせるアラーム表示灯、電源のオン/オフ状態を示す電源表示灯等を有する表示部14が設けられている。そして、図5に示すように、この表示部14に対応する前外壁11Fの内面には、当該表示部14を作動させるための電子部品15が設けられている。すなわち、この電子部品15は、ケミカルフィルタ50より下流側に設けられている。このため、本装置1においては、浄化の対象とする気体に含まれる化学汚染物質によって電子部品15が汚染されることを効果的に抑制することができる。
【0045】
左外壁11L及び右外壁11Rのそれぞれの一部には、筐体部10外から当該筐体部10内に気体を吸入するための左吸入口部20L及び右吸入口部Rが設けられている。左吸入口部20L及び右吸入口部20Rの中央には開口が形成され、当該開口を塞ぐように左プレフィルタ21L及び右プレフィルタ21Rがそれぞれ設けられている。
【0046】
前板12及び上外壁11Uのそれぞれの一部には、ケミカルフィルタ50によって浄化された気体を筐体部10内から当該筐体部10外に排出するための前排出口部30F及び上排出口部30Uが設けられている。前排出口部30F及び上排出口部30Uの中央には前開口31F及び上開口31Uがそれぞれ形成されている。そして、前開口31F及び上開口31Uには複数のルーバーを有する前グリル部32F及び上グリル部32Uがそれぞれ設けられている。
【0047】
ここで、上排出口部30Uは、図2及び図4に示すように、筐体部10の上外壁11Uのうち、浄化流路部40に設置されているケミカルフィルタ50の上側面53Uに対向する位置に設けられている。すなわち、上排出口部30Uは、ケミカルフィルタ50の直上に設けられている。
【0048】
更に、上排出口部30Uは、開閉可能に設けられている。すなわち、本実施形態において、上排出口部30Uの上グリル部32Uは、ねじ止め等の可逆的な取り付け機構によって、上外壁11Uに取り付けられている。このため、例えば、ねじを取り外す等により取り付け機構を解除することで、上グリル部32Uを上外壁11Uから取外し、上排出口部30Uを開けることができる。
【0049】
そして、この上グリル部32Uが取外された上排出口部30Uの開状態において、上外壁11Uに形成される上開口31Uは、ケミカルフィルタ50の上側面53Uよりも大きく形成されている。すなわち、上開口31Uは、ケミカルフィルタ50の矩形の上側面53Uよりも大きな矩形に形成されている。
【0050】
したがって、上排出口部30Uの開状態においては、浄化流路部40に設置されているケミカルフィルタ50を上方に直線的にスライドさせることによって、当該ケミカルフィルタ50を当該上排出口部30Uの上開口31Uから筐体10外に引き出すことができる。
【0051】
同様に、上排出口部30Uの開状態において、当該上排出口部30Uの上開口31Uを介して、ケミカルフィルタ50を当該筐体部10外から浄化流路部40の所定位置に挿入し、設置することができる。
【0052】
また、本装置1は、浄化流路部40と筐体部10の左外壁11L、右外壁11R、後外壁11Bとの間に設けられ、当該浄化流路部40と左吸入口部20L及び右吸入口部20Rとを繋ぐ吸入流路部80を備えている。
【0053】
この吸入流路部80は、筐体部10内において浄化流路部40の周囲に設けられている。すなわち、筐体部10は、浄化流路部40の左側壁47Lの左方及び右側壁47Rの右方において、前外壁11Fから当該浄化流路部40の上流端41の位置まで、当該浄化流路部40に沿って延びる左内壁16L及び右内壁16Rを有している。
【0054】
そして、左吸入流路81Lは、筐体部10の左内壁16Lと左外壁11Lとの間に設けられ、右吸入流路81Rは、当該筐体部10の右内壁16Rと右外壁11Rとの間に設けられている。すなわち、これら左吸入流路81L及び右吸入流路81Rはそれぞれ、浄化流路部40と筐体部10の左外壁11L及び右外壁11Rとの間において、当該浄化流路部40の送風方向に延びている。左吸入流路81L及び右吸入流路81Rはそれぞれ、左吸入口部20L及び右吸入口部20Rを介して筐体部10の外部と連通している。
【0055】
また、筐体部10は、浄化流路部40の上流端41において、上外壁11Uから下外壁11Dまで上下方向に延び、且つ左内壁16Lの上流端と右内壁16Rの上流端とを繋ぐように設けられた後内壁16Bを有している。そして、後吸入流路81Bは、筐体部10の後内壁16Bと後外壁11Bとの間において、左吸入流路81Lと右吸入流路81Rとを繋ぐよう設けられ、送風機60を介して浄化流路部40の内部と連通している。このように、吸入流路部80は、浄化流路部40の左方、右方、上流側を囲むよう、平面視(図4参照)でコの字状(C字状)に設けられている。
【0056】
また、本装置1は、浄化流路部40と筐体部10の前外壁11F及び前板12、上外壁11Uとの間に設けられ、当該浄化流路部40と前排出口部30F及び上排出口部30Uとを繋ぐ排出流路部90を備えている。
【0057】
この排出流路部90は、筐体部10内において浄化流路部40の周囲に設けられている。すなわち、前排出流路91Fは、浄化流路部40の下流端42と筐体部10の前外壁11F及び前板12との間に設けられ、上排出流路91Uは、当該浄化流路部40の上面43Uと当該筐体部10の上外壁11Uとの間において、当該浄化流路部40に沿って設けられている。そして、前排出流路91Fは、集塵フィルタ70を介して浄化流路部40の内部と連通し、当該前排出流路91Fの下流側に連なって当該浄化流路部40の送風方向に延びる上排出流路91Uは、上排出口部30Uを介して筐体部10の外部と連通している。このように、排出流路部90は、浄化流路部40の下流端42から上流側に折り返して当該浄化流路部40に沿って延びる、側面視(図4参照)でL字状に設けられている。
【0058】
ここで、浄化流路部40の上面43Uは、同時に、上外壁11Uに対向しつつ当該浄化流路部40の送風方向に延びる、上排出流路91Uの内面92を構成している。すなわち、ケミカルフィルタ50が浄化流路部40に設置された状態において、前室63の上面64Uと、当該ケミカルフィルタ50の上側面53Uと、連結部45の上面46Uと、集塵フィルタ70の上側面71Uと、はそれぞれが上排出流路91Uの内面92の互いに異なる一部を構成している。
【0059】
そして、ケミカルフィルタ50の上側面53Uは、上排出流路91Uの内面92のうち、筐体部10の上外壁11Uに設けられた上排出口部30Uに対向する一部、すなわち上排出口部30Uの直下の部分を構成している。
【0060】
したがって、ケミカルフィルタ50は、開状態の上外壁11U又は上排出口部30Uを介して浄化流路部40の所定位置に差し込まれることにより、当該ケミカルフィルタ50の上側面53Uがそのまま上排出流路91の内面92の一部を構成することができる。このため、本装置1は、上排出流路91を設けるために浄化流路部40に加えて特別の部材を設ける必要がないため、コンパクトな構成とすることができる。
【0061】
また、本装置1においては、上外壁11Uと浄化流路部40との間に設けられた上排出流路91内にケミカルフィルタ50の上側面53Uが露出している。このため、本装置1においては、上外壁11U又は上排出口部30Uを開状態として、上排出流路91Fを横切るようにケミカルフィルタ50を上下方向に移動させるだけで、当該ケミカルフィルタ50の取り外し又は取り付けを簡便且つ速やかに行うことができる。
【0062】
このような本装置1は、送風機60が作動することによって、当該本装置1外の気体(すなわち、当該本装置1が設置された部屋内の空気)を、左吸入口部20L及び右吸入口部20Rから、左プレフィルタ21L及び右プレフィルタ21Rを介して筐体部10内に吸入する。吸入された気体は、左吸入流路81L及び右吸入流路81Rを通って後吸入流路81Bに流入する。
【0063】
浄化流路部40は、後吸入流路81Bに流入した気体を、上流端41から送風機60を介して吸入する。吸入された気体は、前室63に流入する。送風機60は、前室63に流入した気体を圧送して、ケミカルフィルタ50の流入面53Bから当該ケミカルフィルタ50の内部に流入させる。
【0064】
ケミカルフィルタ50は、その内部に流入してきた気体を機能材52によって浄化する。すなわち、ケミカルフィルタ50は、その内部を通過する気体に含まれる酸性物質を科学的に処理して、当該気体から効果的に除去する。ケミカルフィルタ50により浄化された気体は、当該ケミカルフィルタ50の流出面53Fから流出し、当該ケミカルフィルタ50と集塵フィルタ70との間において連結部45に形成された空間に流入する。
【0065】
送風機60は、連結部45に流入した気体を更に圧送して、集塵フィルタ70の内部に流入させる。集塵フィルタ70は、その内部に流入してきた気体を浄化する。すなわち、集塵フィルタ70は、ケミカルフィルタ50により浄化された気体に含まれる微粒子を捕捉して、当該気体から効果的に除去する。集塵フィルタ70により浄化された気体は、当該集塵フィルタ70から流出する。
【0066】
こうして、浄化流路部40は、ケミカルフィルタ50と集塵フィルタ70とによって高度に浄化された気体を、下流端42から当該浄化流路部40外に流出させる。浄化流路部40から流出した浄化気体は、排出流路部90の前排出流路91Fに流入する。
【0067】
前排出流路91Fに流入した浄化気体は、その一部が前排出口部30Fから筐体部10外の前方に排出される一方で、他の一部は当該前排出流路91F内を上方に流通して上排出流路91Fに流入する。すなわち、浄化気体の一部は、浄化流路部40の下流側から上流側に折り返して上排出流路91Fに流入し、当該上排出流路91F内を本装置1の前方から後方に向けて(すなわち、浄化流路部40の送風方向と逆方向に)流通する。
【0068】
そして、上排出流路91Fに流入した浄化気体は、最終的に上排出口部30Uから筐体部10外の上方に排出される。このように、本装置1は、当該本装置1が設置された部屋内の空気を内部で浄化し、浄化された気体を当該部屋内に供給する、という浄化処理を連続的に行うことができる。
【0069】
更に、本装置1においては、ケミカルフィルタ50の交換を簡便に行うことができる。すなわち、上排出口部30Uを介してケミカルフィルタ50を本装置1外に取り出す場合には、作業者は、まず当該上排出口部30Uの上グリル部32U(図2参照)を上外壁11Uから取り外して、当該上排出口部30Uを開状態とする(図6参照)。
【0070】
次に、作業者は、上排出口部30Uの上開口31Uから筐体部10内に手を入れて、当該上排出口部30Uの直下において浄化流路部40に設置されているケミカルフィルタ50を、その流入面53B及び流出面53Fに沿って上方に引き上げる。
【0071】
そして、作業者は、更に上排出流路91Uを横切るようにケミカルフィルタ50を上方に向けて直線的にスライドさせて、当該ケミカルフィルタ50を上排出口部30Uの上開口31Uから筐体部10外の上方に取り出すことができる。
【0072】
逆に、作業者が上排出口部30Uを介してケミカルフィルタ50を本装置1に取り付ける場合には、まず、上排出口部30Uを開状態とし、当該上排出口部30Uの上開口31Uから、ケミカルフィルタ50を筐体部10内に挿入する。
【0073】
そして、作業者は、上排出流路91Uを横切るようにケミカルフィルタ50を筐体部10内に挿入し、浄化流路部40のガイド部44L,44Rに沿って下方に向けて直線的にスライドさせることにより、当該上排出流路91Uの直下における当該浄化流路部40の中途部分に、当該ケミカルフィルタ50を嵌め込むことができる。浄化流路部40に設置されたケミカルフィルタ50の上側面53Uは、そのまま上排出流路91Uの内面92の一部を構成することとなる。
【0074】
このようなケミカルフィルタ50の交換作業は、上外壁11Uの一部に設けられた上排出口部30Uを取り外す場合のみならず、当該上外壁11Uそのものを取り外す場合においても、開状態の当該上外壁11Uを介して同様に行うことができる。また、本装置1においては、このようなケミカルフィルタ50の交換作業を、送風機60の動作中においても行うことができる。
【0075】
このように、本装置1は、気体を効果的に浄化できるコンパクトな構成であるとともに、ケミカルフィルタ50の交換作業を簡便且つ迅速に行うことができる。なお、例えば、ケミカルフィルタ50の上側面53Uに、作業者が手を引っ掛けることのできる適切な形状の取っ手部(図示せず)を設けることによって、作業性を更に向上させることもできる。
【0076】
また、本装置1において、送風機60は、ケミカルフィルタ50及び筐体部10の後外壁11Bのいずれからも離隔して独立に設けられている。このため、本装置1においては、送風機60の作動に伴う筐体部10の振動を効果的に抑制することができる。
【0077】
また、本装置1は、筐体部10の左方及び右方から部屋内の空気を吸入し、ケミカルフィルタ50及び集塵フィルタ70によって高度に浄化した空気を当該筐体部10の前方及び上方に排出することができる。このため、例えば、本装置1を、筐体部10の後外壁11Bが部屋を構成する壁の内面の一部に沿うように配置することにより、当該本装置1を当該部屋の隅にコンパクトに配置できるとともに、当該部屋内に高度に浄化した空気を効果的に供給することができる。
【0078】
また、本装置1は、ケミカルフィルタ50による浄化を一段で行う。すなわち、本装置1は、一体的に構成されたケミカルフィルタ50を浄化流路部40の一箇所に設け、外部の気体を当該ケミカルフィルタ50で浄化し、当該ケミカルフィルタ50を一度通過した浄化気体をワンパスで当該本装置1外に排出する。このため、本装置1の構成をコンパクトにすることができる。
【0079】
また、本装置1においては、送風機60と、ケミカルフィルタ50と、集塵フィルタ70と、が直線上に配置されている。このため、本装置1は、その構成をコンパクトなものとすることができる。
【0080】
図7には、本装置1の他の例について上方から見た断面図を示す。図7に示す本装置1においては、左吸入口部20L又は右吸入口部20Rの少なくとも一方が開閉可能に設けられている。また、ケミカルフィルタ50は、その左側面53Lが左吸入流路81Lの内面82Lのうち左吸入口部20Lに対向する一部を構成し、また、その右側面53Rが右吸入流路81Rの内面82Rのうち右吸入口部20Rに対向する一部を構成している。
【0081】
そして、ケミカルフィルタ50は、開状態の左吸入口部20L又は右吸入口部20Rを介して筐体部10外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられている。すなわち、この例においては、ケミカルフィルタ50が浄化流路部40に設置されている状態において、前室63の左側面64L及び右側面64Rと、ケミカルフィルタ50の左側面53L及び右側面53Rと、連結部45の左側面46L及び右側面46Rと、集塵フィルタ70の左側面71L及び右側面71Rと、は互いに密着して配置され、全体として、それぞれ送風方向(図7に示す矢印Xの指す方向)に沿って延びる連続した当該浄化流路部40の左側面43L及び右側面43Rを構成している。
【0082】
そして、この浄化流路部40の左側面43L及び右側面43Rはそれぞれ、左外壁11L及び右外壁11Rに対向する左吸入流路81Lの内面82L及び右吸入流路81Rの内面82Rをも構成している。
【0083】
一方、左吸入口部20L及び右吸入口部20Rはそれぞれ、筐体部10の左外壁11L及び右外壁11Rのうち、浄化流路部40に設置されているケミカルフィルタ50の左側面53L及び右側面53Rに対向する位置に開閉可能に設けられている。このため、左吸入口部20L又は右吸入口部20Rの開状態において、浄化流路部40に設置されたケミカルフィルタ50を流入面53B及び流出面53Fに沿って左方又は右方に直線的にスライドさせることにより、当該左吸入口部20L又は右吸入口部20Rを介して当該ケミカルフィルタ50を筐体部10外に引き出すことができる。
【0084】
また、同様にして、開状態の左吸入口部20L又は右吸入口部20Rを介してケミカルフィルタ50を筐体部10内の浄化流路部40に挿入し、設置することができる。また、筐体部10の左外壁11L又は右外壁11Rの少なくとも一方を開閉可能に設けることにより、当該筐体部10の左方又は右方に形成された開口部分を介してケミカルフィルタ50の交換作業を同様に行うことができる。
【0085】
[実施例]
次に、本装置1による浄化処理の具体的な一例について説明する。本実施例においては、図1〜図6に示した例に係る本装置1を準備した。筐体部10は、上下方向長さが800mm、左右方向長さが800mm、前後方向長さが480mmの直方体形状であった。左吸入口部20L及び右吸入口部20Rはいずれも、上下方向長さが660mm、前後方向長さが160mmであった。前排出口部30Fの上下方向長さ及び上排出口部30Uの前後方向長さはいずれも160mmであり、当該前排出口部30F及び上排出口部30Uの左右方向長さはいずれも640mmであった。
【0086】
本装置1には、ケミカルフィルタ50として、機能材52として酸性物質除去用のモールド構造体が充填されたケミカルフィルタ(ケミカルガードAX、ニチアス株式会社製)を用いた。このケミカルフィルタ50は、上下方向長さが600mm、左右方向長さが600mm、前後方向長さ(浄化流路部40の送風方向長さにおける厚さ)が100mmであった。
【0087】
また、集塵フィルタ70としては、PTFE(Polytetrafluoroethylere)製HEPAフィルタを用いた。この集塵フィルタ70は、上下方向長さが600mm、左右方向長さが600mm、前後方向長さ(浄化流路部40の送風方向における厚さ)が50mmであった。また、プレフィルタ21L,21Rとしては、不織布製粗塵用フィルタを用いた。このプレフィルタ21L,21Rは、いずれも上下方向長さが585mm、前後方向長さが155mm、左右方向長さ(厚さ)が10mmであった。
【0088】
この本装置1を容積が78.3mの部屋内に設置した。浄化の対象とする気体は、硫化水素ガスと塩素ガスとをそれぞれ1ppmの濃度で含む、温度25℃、相対湿度50%RH(Relative Humidity)の部屋内の空気とした。
【0089】
そして、本装置1が、この空気を、部屋が1時間に3回換気される処理速度で浄化した場合における、前排出口部30Fから排出される浄化気体中に含まれる硫化水素ガス及び塩素ガスの濃度をクロマトグラフィーにより測定するとともに、80%除去予測寿命を評価した。
【0090】
なお、ケミカルフィルタ50を通過する気体の流速は、単位面積当たり0.3m/秒であり、前排出口部30F及び上排出口部30Uから排出される気体の流速はそれぞれ、開口部分の単位面積あたり1.1m/秒及び0.6m/秒であった。
【0091】
また、ケミカルフィルタ50の80%除去予測寿命は、次のような方法で評価した。すなわち、80%除去予測寿命は、ケミカルフィルタ50を通過する前の空気中における硫化水素ガス又は塩素ガスの濃度C(μg/m)を100%とした場合において、使用に伴い当該ケミカルフィルタ50の除去性能が低下することにより、当該ケミカルフィルタ50を通過した後の浄化空気中に残存している硫化水素ガス又は塩素ガスの濃度C(μg/m)が上昇して20%になるまでの使用時間(硫化水素ガス又は塩素ガスの除去率が80%に低下するまでの使用時間)として評価した。具体的には、80%除去予測寿命は、上述の測定条件に加え、ケミカルフィルタ50における気体の浄化に有効な表面積、硫化水素ガス又は塩素ガスの物質移動係数等を用い、Fickの法則に従った拡散現象の理論モデル式に基づいて、差分法による数値解析により算出した。なお、硫化水素ガス又は塩素ガスの除去率(%)は、下記の式(I)により求めた。
【0092】
【数1】

【0093】
この結果、前排出口部30Fから排出される浄化気体中に含まれる硫化水素ガスの濃度及び塩素ガスの濃度はいずれも25ppb(parts per billion)であった。また、80%除去予測寿命は、3.5月であった。
【0094】
なお、本装置1は、上述した例に限られない。すなわち、例えば、本装置1において、ケミカルフィルタ50を交換するために開閉可能に設けられる筐体部10の外壁や、筐体部10外から気体を吸入し又はケミカルフィルタ50によって浄化された気体を当該筐体部10外に排出するための開口部は、上述の例に限られず、当該筐体部10の少なくとも一部の外壁又は当該開口部の少なくとも一部を任意に開閉可能に設けることができる。また、この開口部の数、形状、位置、大きさは、上述の例に限られず、適宜適切に設定することができる。
【0095】
また、本装置1において筐体部10の外壁の一部に開閉可能に設けられる開口部は、上述の例における上排出口部30U、左吸入口部20L、右吸入口部20Rのように当該筐体部10から取り外し可能なものに限られず、例えば、当該外壁の一部に設けられたヒンジ部を中心に回動することによって開閉可能なものとすることもできる。
【0096】
また、本装置1においては、浄化流路部40の送風方向において、送風機60の上流側にケミカルフィルタ50が設けられ、当該送風機60の下流側に集塵フィルタ70が設けられることとしてもよい。すなわち、この場合、ケミカルフィルタ50は、浄化流路部40の上流端41を塞ぐように設けられ、集塵フィルタ70は、当該浄化流路部40の下流端42を塞ぐように設けられ、送風機60は、当該ケミカルフィルタ50と当該集塵フィルタ70との間に設けられる。したがって、この場合、浄化の対象とする気体に含まれる化学汚染物質による送風機60の汚染を効果的に抑制することができるとともに、送風機60による集塵フィルタ70への圧送を効果的に行うこともできる。
【0097】
また、ケミカルフィルタ50と集塵フィルタ70との組み合わせは、上述の例に限られず、目的に応じて任意に設定することができる。また、浄化流路部40の送風機60の上流側又は下流側の少なくとも一方には、ケミカルフィルタ50及び集塵フィルタを気体が通過する際に、偏流が生じることを抑制するための邪魔板を適宜設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態に係る気体浄化装置の一例についての正面図である。
【図2】本実施形態に係る気体浄化装置の一例についての平面図である。
【図3】本実施形態に係る気体浄化装置の一例についての左側面図である。
【図4】図1に示すA−A線で本実施形態に係る気体浄化装置を切断した断面図の一例である。
【図5】図2に示すB−B線で本実施形態に係る気体浄化装置を切断した断面図の一例である。
【図6】本実施形態に係る気体浄化装置の一例についてケミカルフィルタの着脱操作の過程の一部を示す断面図である。
【図7】本実施形態に係る気体浄化装置の他の例についての断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 気体浄化装置、10 筐体部、11F 前外壁、11U 上外壁、11L 左外壁、11R 右外壁、11B 後外壁、11D 下外壁、12 前板、13 足部、14 表示部、15 電子部品、16L 左内壁、16R 右内壁、16B 後内壁、20L 左吸入口部、20R 右吸入口部、21L 左プレフィルタ、21R 右プレフィルタ、30F 前排出口部、30U 上排出口部、31F 前開口、31U 上開口、32F 前グリル部、32U 上グリル部、40 浄化流路部、41 上流端、42 下流端、43U 上面、43L 左側面、43R 右側面、44 ガイド部、45 連結部、46U 上面、46L 左側面、46R 右側面、47L 左側壁、47R 右側壁、50 ケミカルフィルタ、51 枠部、52 機能材、53U 上側面、53B 流入面、53F 流出面、53L 左側面、53R 右側面、60 送風機、61 回転軸、62 支持部、63 前室、64U 上面、64L 左側面、64R 右側面、70 集塵フィルタ、71U 上側面、71L 左側面、71R 右側面、72 取付部材、80 吸入流路部、81L 左吸入流路、81R 右吸入流路、81B 後吸入流路、82L 左内面、82R 右内面、90 排出流路部、91F 前排出流路、91U 上排出流路、92 内面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を浄化するケミカルフィルタを有し、上流端から流入する気体を前記ケミカルフィルタによって浄化するとともに、浄化された気体を下流端から流出させる浄化流路部と、
前記浄化流路部を内部に収納する筐体部と、
前記筐体部の前記浄化流路部に沿って延びる外壁の一部に設けられた、前記筐体部外から気体を吸入し又は前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を前記筐体部外に排出するための開口部と、
前記浄化流路部と前記筐体部の前記外壁との間に設けられ、前記浄化流路部と前記開口部とを繋ぐ連絡流路部と、
を備え、
前記ケミカルフィルタは、その側面が前記連絡流路部の内面の一部を構成するとともに、前記連絡流路部を横切って前記浄化流路部から前記筐体部外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられている
ことを特徴とする気体浄化装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記筐体部の前記外壁のうち前記ケミカルフィルタの前記側面に対向する位置に開閉可能に設けられており、
前記ケミカルフィルタは、開状態の前記開口部を介して前記筐体部外に引き出すことができるよう着脱可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記筐体部の前記外壁は、前記浄化流路部の上方に設けられ、
前記開口部は、前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を排出するための排出口部であり、
前記ケミカルフィルタは、開状態の前記開口部を介して上方に引き出すことができる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体浄化装置。
【請求項4】
前記浄化流路部は、前記ケミカルフィルタの上流側に送風機を有し、前記ケミカルフィルタの下流側に集塵フィルタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の気体浄化装置。
【請求項5】
前記ケミカルフィルタによって浄化された気体を供給すべき部屋内に設置される室内設置型である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の気体浄化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−246411(P2008−246411A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92686(P2007−92686)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【出願人】(507049278)クリーンパーツプロダクト有限会社 (4)
【Fターム(参考)】