説明

気体浸透性ポリマーフィルタおよびその作製方法

本発明に係るろ過装置は、圧縮および/またはバインダ材を用いることにより単に吸着材を共に結合させることとは対照的に後の段階で他の吸着材の添加に適応しうる構造性マトリックスの形成を達成する材料および方法に依拠する。本発明に係るフィルタ装置は、(i)材料の最大密度が達成されるように加工する特有の方法、(ii)明確なモルフォロジーを有する高分子材料、および(iii)均一性を生成する高分子材料の微小ミクロン直径に依拠する。たとえば、圧縮して密度を増大させる代わりに、むしろ、本発明に係るろ過装置を構成する材料は、成形型キャビティー中に振動導入される。したがって、本発明に係る方法は、ろ過装置を構成する材料のすべてをいかにして圧縮することなく共に当接させるかに関して最適化を行う。成形型中に徐々に注ぎながら、加工される材料を振動させる。それ以上の材料が保持されなくなるまで成形型キャビティーを満たした後、加熱しそして次に冷却する。外部バインダの代わりに、構造性材料は、軟化したときに自己接着する。この結果として、絶対細孔バリヤではなく細孔の蛇行通路マトリックスが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過装置、その新規な製造方法、および使用方法に関する。より特に、本発明は、液体中および気体中、特に水中および空気中の望ましくない混入物の除去、減少、または吸着に用いられる種々の化合物を収容することも可能である構造性ろ過マトリックスが得られるように、明確なモルフォロジーを有するポリマーを振動させてから焼結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体のろ過は、さまざまな技術を介して達成可能であり、その技術の選択は、多くの場合、除去または減少の対象となる混入物により決定される。微粒子は、深層ろ過として知られる方法を介して最も良好に除去される。フィルタは、そのマトリックス中のいずれかの塵埃または沈降物を捕集し保持する。分子レベルで生じる溶存有機混入物は、吸着を介してまたは鉱物質や金属の場合にはイオン交換を介して除去可能である。微生物をはじめとするサブミクロンサイズまでの微小混入物では、多くの場合、膜中の細孔を対象混入物よりも小さくなるように構成するかまたはそれらを何らかの形で不活性化しうる何らかの形態の膜技術が必要とされる。飲料水中の混入物は、次の4つのグループに分類可能である:(i)混濁および微粒子、(ii)有機系化学物質および殺有害生物剤、(iii)無機物質、たとえば、健康に危害を加える鉛などの溶存重金属、および鉱物質、(iv)微生物、たとえば、寄生原生動物、細菌、およびウイルス。それぞれのグループの処理に固有の技術が存在するが、フィルタのなかには、単一のろ過技術を介していくつかの混入物グループを処理するように設計されるものもある。歴史的にみると有機混入物が最も一般的であったので、液体特に飲料水から広範にわたる混入物を除去すべく活性炭が使用されてきた。この理由および他の理由で、ほとんどの先行技術の流体フィルタは、炭素を基材とし、カーボンブロックとして一般に知られる。本発明は、先行技術の方法よりも優れた流体ろ過および他の改良を提供する流体からの混入物の代替的除去方法に関する。
【0003】
プラスチックは、流体をろ過するために長い間使用されてきた。そのような方法は、一般的には、プラスチックペレットを取得することと、それらを極低温で粉砕して顆粒形態および/または粉末形態にすることと、を含む。この得られた材料は、生成されたままの状態で使用可能であるか、または篩にかけて選別してより厳密に制御されたメッシュ範囲内になるように粒子を分別することが可能である。次に、プラスチック粒子は、成形型中で焼結される。このプロセス(より特に多孔性プラスチックとして知られる)は、プラスチック材料で充填された成形型を粒子が軟化するが融解しない温度まで昇温させて、粒子がすべて互いに付着するようにすることを含む。次に、成形型は周囲温度に戻され、材料は成形型から排出される。完成品は、固体であると同時に自己支持性であるが、流体浸透性である。顆粒形態に粉砕されうる任意のプラスチックを使用することが可能であり;いくつかのポリエチレンポリマーは、粉末形態で生成される。より微細な粒子を用いれば、ボイドまたは細孔として知られるプラスチック粒子間の間隙のより小さいマトリックスが形成される。特定の混入物のろ過を促進するように、ろ過材(たとえば、活性炭が挙げられるが、これに限定されるものではない)を添加することが可能である。高分子材料のマトリックスに他のろ過用化合物をブレンドしてその内部に保持するプロセスでは、十分な接着が起こるように、ポリマーの全表面積が添加された材料の有する全表面積よりも大きいことが必要とされる。それに従ってブレンドした場合、得られる物品は、耐久性かつ自己支持性である。選択された高分子材料およびろ過用化合物がいずれも、一般的に類似の嵩密度および粒径を共有する場合、ほとんどのろ過用途に好ましい重量比は、フィルタの少なくとも50〜60重量%が高分子粒子であるという要件を満たす。このプロセスでは、加工前または加工中に材料に加えられる力(圧縮や圧力)が存在しないので、ポリマー粒子およびろ過材はいずれも、本質的にそのままの状態を保持する(すなわち、それらはそれらの元の形状を失うことはない)。ろ過される流体は、多孔性マトリックス中を貫流し、そこで吸着剤または他のろ過材と接触した状態になる。蛇行通路ろ過として知られるこのろ過技術は、いわゆる絶対ろ過とは異なる。多孔性プラスチックフィルタ中の細孔のメジアン直径のサイズは、サイズにより任意の所与の混入物をどれだけ多くフィルタマトリックス中を通過させるかを決定する。これらの細孔は、一定した単一のサイズになるように作製することはできず、一般的には、大きいものから小さいものまでさまざまであり、フィルタは、水銀ポロシメータ分析により決定されるそのメジアン細孔径(MPD)により測定される。メジアン細孔径は、先に述べたように、それを構成する粒子のサイズを操作することにより、より大きくなるようにまたはより小さくなるように操作可能である。これは、プラスチックの顆粒または粉末さらにはそれにブレンドされる任意の材料の粒径を包含する。
【0004】
他のフィルタ作製法は、カーボンブロック技術として知られる。カーボンブロックとは、成形された顆粒状活性炭粒子のことである。ローマ時代以来、水から有機混入物を除去するために利用されてきた遊動床炭素粒子の使用を改良する必要があったことに端を発する。しかしながら、遊動床活性炭フィルタは、比面積の性能が欠如しており、実際問題として多くの用途で多くのスペースをとりすぎる。これらの欠点が引き金となって、1980年代にカーボンブロック技術が開発されるに至った。この際、炭素粒子は、4部の顆粒状活性炭と1部の熱可塑性材料との一般比でバインダとして知られる少量の熱可塑性材料とブレンドされる。材料は、十分に共にブレンドされ、円筒状成形型中に注がれ、そしてブレンド材料ができる限り緻密化されるように圧縮される。次に、材料は、バインダが軟化または融解して炭素粒子がすべて互いに接着された状態になるまで加熱される。接着プロセスでは、活性炭顆粒に対してごく少量のバインダが使用され、加工中に2種の材料に圧縮処理を施すことにより支援がなされる。冷却後、完成品は、炭素粒子を含む固体シリンダブロックの形態をとり、自己支持性であるが、ほとんどの流体に対して浸透性である。シリンダは、例外なく、コアと壁厚が存在するようなチューブ状である。水は、チューブの外径(OD)表面から内径(ID)表面に向かって半径方向に流動してからコアの一端から流出するように方向付けられる。
【0005】
固定床では炭素粒子を共に結合させることができるので、遊動床ろ過法で伝統的に使用されてきたものよりも微細な炭素粒子をカーボンフィルタで使用することが可能である。より微細な粒子を使用した結果、吸着剤活性炭の利用可能な表面積が増大するとともに、加工時の粒子の圧縮により炭素粒子の密度が増大した。この密度はまた、フィルタの絶対ミクロン定格の増大に寄与する。なぜなら、炭素粒子間のボイドが排除されて、微粒子の通過に対する絶対的障壁が形成されるからである。Degen特許およびVanderbilt特許(それぞれ米国特許第4,664,683号および同第4,753,728号)(いずれも1986年出願)には、カーボンブロック技術で用いられるバインダの使用が教示されている。Vanderbiltは、GUR212として指定される超高分子量ポリエチレン(UHMW)ポリマーの使用を含めて、他のバインダの代替として高密度ポリエチレンポリマーの使用を開示した。1991年、Koslowは、自身の米国特許第5,019,311号の明細書中で、吸着剤活性炭を極低融解温度バインダの組合せとブレンドしてオーガにより押出しチューブ中を貫通させうるカーボンブロックの代替的製造法を開示した。ブレンドされた材料は、押出しチューブ中に搬送されたときに圧縮され、次に加熱され、そしてすばやく冷却されて押出カーボンブロックを生成する。
【0006】
流体、特に水および空気のろ過において、カーボンブロック法は、本発明により克服される特定の制限を有する。カーボンブロックは、1種の主要なろ過材すなわち活性炭顆粒のみの使用に制限され、それがなければフィルタにならない。さらなる制限としては、深層ろ過および耐久性の欠如が挙げられる。カーボンブロックフィルタは、加工時に用いられる圧縮の結果として大きい圧力低下を呈する。特定のポリマーと組み合わせて本発明の方法を用いて作製される流体フィルタは、先行技術のフィルタ製造法と明確に一線を画すものである。流体フィルタの本発明では、1μm未満の極微細粉末を含めて、任意の単一材料に頼ることなく任意のろ過材を組み込むことが可能である。得られるフィルタは、優れたろ過性能、優れた深層ろ過、非常に少ない圧力低下、耐久性を呈し、任意の形状または寸法に成形可能であるという点で、先行技術の方法とは区別される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、フィルタの構造性マトリックスがろ過用化合物に依存ぜず、しかもより微細な粉末のより大きな表面積の利点を利用できるようにろ過用化合物の最小粒径が制限されない、ろ過装置が依然として必要とされている。この結果、特定の作業に合わせてろ過装置を構築することが可能になると同時に、他のフィルタアセンブリよりも優れたいくつかの性能特性および利点をもたせることが可能になるであろう。耐久性があり、向上した深層ろ過を示し、かつ最小限の圧力低下を呈する、ろ過装置がさらに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るろ過装置は、後の段階で広範にわたるろ過材の添加に適応しうる構造性マトリックスの形成を達成する材料および方法に依拠する。本発明に係るフィルタは、(i)材料の最大均一密度が達成されるように加工する特有の方法、(ii)並外れて小さい粒径を有し、全体を通して保持される明確なモルフォロジーを有する高分子材料、および(iii)フィルタの主要構造を形成する高分子マトリックス、に依拠する。
【0009】
本加工法は、成形型キャビティーのような所与の空間内で確実に緻密化されるまで粉末状ろ過材およびポリマーを激しく振動させることを含む。粒子間の不必要なボイドを形成する空気のポケットは、このようにして低減される。これにより、外力を加えることなく材料の密度の最大値が達成される。力が加えられないので、高分子材料およびろ過用化合物はいずれも、それらの元の形状(モルフォロジー)および粒径を保持することが可能である。好ましい実施形態の2種のポリマーは、明確に異なるモルフォロジーを有し、それぞれ、得られるフィルタに異なる特性を付与する。
【0010】
したがって、2種の主要高分子材料のモルフォロジーを用いれば、2種のポリマー間の比を調整して一方の属性を他方の属性よりも強調することにより、フィルタマトリックスを操作することが可能になる。ポリマーの平均粒径はさらに、ろ過用化合物とブレンドしたときのフィルタの結合性能および密度を向上させる。なぜなら、それらは、類似のモルフォロジーを有する(ただし、より大きい平均粒径を有する)粒子よりも表面積が大きいからである。それに加えて、本方法によれば、ポリマー粒子は、典型的には、非常に粗いサイズからポリマー粒子の半分のサイズまでの平均粒径を有する任意の非高分子材料に良好に結合するであろう。したがって、より小さいポリマー粒径を用いれば、より広範にわたるろ過材と併用することが可能になる。極微細粉末の形態のろ過材は、より粗い顆粒よりも大きい表面積を呈する。流体ろ過における1つの共通した課題は、完成フィルタ中の所与の混入物ろ過材の最大の利用可能な表面積を提供するマトリックスを作製することである。
【0011】
この場合、一般的なろ過吸着剤を他の材料と共に圧縮成形して少量の熱可塑性材料をかなり多量の主要な活性炭粒子に共に結合させることを含む代替的方法とは異なり、ろ過材は、全表面積が添加されるろ過材に等しいかまたはそれよりも大きい多孔性プラスチックマトリックス上に結合される。唯一の機能が活性炭顆粒の接着に限定される外部バインダの代替として、本発明に係る高分子材料は、構造保全性、フィルタマトリックスのメジアン細孔径、深層ろ過の量、ろ過材の密度、および圧力低下のような特性を決定するように、構築可能である。極微細粉末の形態のこの高分子材料は、加工時に自己接着し、加熱時に変形しないであろう。
【0012】
吸着剤および/または他のろ過用化合物を用いてまたは用いずに構造性材料を激しく振動させるこの組合せにより、きわめて複雑な迷路様マトリックスが作製される。このマトリックスは、気体または液体が流動することになる蛇行通路を形成する。蛇行通路または蛇行は、絶対ミクロンろ過法の代替となる。これと比較して、成形炭素粒子フィルタは、より多量のより粗い粒子を圧縮してより稠密に充填されたマトリックスとし、それらを熱可塑性バインダのような接着材で結合させることにより、作製される。フィルタのマトリックスは、ろ過材自体により形成される。このマトリックス中の細孔は、加工の圧縮段階で除去されているので、ごくわずかである。この際、これらの細孔のうちの最大のものが、微粒子の除去の絶対ろ過性能を決定する。蛇行通路フィルタは、フィルタのマトリックス中のメジアン細孔径(MPD)により等級付け可能である。絶対ミクロン定格に関する理論では、フィルタのマトリックス中の最大孔径よりも大きい粒子はすべて、物理的に排除されるであろう。蛇行通路ろ過では、微粒子は、微粒子よりも大きいことも小さいこともありうる範囲内のさまざまな細孔径を有する多方向細孔の迷路中を通過する。ランダム化されて、微粒子は、最終的には、より小さい細孔内にトラップされた状態になって保持され、一方、ろ過された液体または気体は、容易に中を通過する。1個の粒子が迷路様マトリックスを貫通する可能性は小さい。適切に開発された蛇行通路マトリックスには、多くの利点がある。その1つは、優れた深層ろ過である。絶対ろ過に依拠するフィルタでは、フィルタの外表面上で微粒子が排除され、そこにそれらが蓄積し、最終的にフィルタを目詰まりさせる。蛇行に依拠するフィルタは、その表面ではなくフィルタマトリックス内に微粒子を保持する。
【0013】
物理的混入物は、メジアン細孔径が保持される混入物の数倍であるときでさえも、蛇行通路ろ過を介して巧みに除去されうるが、気体中および液体中の溶存混入物もまた、より効果的に除去可能である。これは、これまで微細すぎるとみなされてきた粉末状材料を本発明で利用しうることに基づく。たとえば、1グラムの炭素は、1500m2までの全表面積を有するように活性化可能である。より微細に粉砕するほど、この表面積は、より多く利用可能になる。利用可能な表面積は、ろ過される流体に物理的に暴露される材料の量として定義されうる。微粉末を利用する先行技術の試みは、中程度の進歩をとげたにすぎず、ろ過材の粒径に下側限界が存在しない本発明の成果には及ばなかった。
【0014】
本発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、以下の説明および実施例に部分的に示されており、部分的には、以下の内容を検討することにより当業者に自明なものとなるか、または本発明を実施することによりわかるであろう。本発明の目的および利点は、本手段を用いて、特に添付の特許請求の範囲に示される組合せにより、実現および達成されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るフィルタは、(i)均一な粒子分布を有する材料の最大密度が達成されるように加工する特有の方法、(ii)造形された構造性ろ過マトリックスを作製するための明確なモルフォロジーを有する高分子材料と、(iii)微粉末状ろ過化合物の使用を向上させる微小ミクロン直径を有する高分子材料との組合せ、に依拠する。これらの化合物としては、吸着剤、たとえば、限定されるものではないが顆粒状および粉末状の活性炭、金属イオン交換ゼオライト収着剤、たとえば、EngelhardのATS、活性化アルミナ、たとえば、Selecto ScientificのAlusil、イオン交換樹脂、銀系、亜鉛系、およびハロゲン系の抗微生物性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素減少材、ヨウ素化樹脂、テキスタイル繊維、さらには他のポリエチレンポリマーが挙げられうる。構造性ろ過マトリックスの形成は、ろ過用化合物の存在に適応する。この化合物は、1種の混入物のみまたは重金属などのような1つの混入物グループを対象にするような特定の作業に合わせて構築可能であるか;または種々の混入物グループに属する広範にわたる混入物を濾別するように構築可能である。任意の粒径の任意のろ過材またはそれらの任意の組合せを高分子マトリックスに組み込むことができるので、所与の作業に合わせてフィルタを構築する柔軟性が高くなる。
【0016】
本発明に係る方法では、焼結させる材料の圧縮ではなく振動を利用する。振動を用いることにより、いかにして材料をすべて、力を加えることも粒子を変形させることもなく成形型に完全に充填するかが最適化される。したがって、ブレンドされる材料を成形型中に徐々に搬送しながら、加工される材料を収容する成形型を振動させる。それ以上の材料が保持されなくなるまで1つもしくは複数の成形型キャビティーを振動させた後、高分子材料のすべてがその表面を軟化させて周囲の粒子に付着するまで加熱するようにして自由焼結させ、次に、周囲温度に戻す。本発明に係るフィルタマトリックスを構成するベース高分子材料は、それぞれ30〜60の平均粒径範囲内の2種の極微細ポリマー粉末であり、これらの粉末は、高温でそれらの明確なモルフォロジーを失うこともなく粘着性になる。これにより、粒子は、互いに永続的に接着され、添加された任意のろ過材に対して表面結合を形成する。これは、極高分子量および超高分子量のポリマー(後者がより好ましい)に特有なものである。材料を冷却させた後、その時点で自己支持性である完成品は、流体中の混入物の流動に対して蛇行通路障害を形成するさまざまな直径の何百万もの微小な相互結合された多方向細孔を含む複雑な内部マトリックスを呈する。フィルタは、ポリマー粉末の一方または両方を用いて形成可能であり、135℃(275F)〜191℃(375F)の加工温度で安定した状態を保持する任意のろ過材を含みうる。微粉末状ろ過用化合物を使用した場合、プラスチックマトリックス通路の内表面は、ポリマー粒子よりも小さいろ過材のより微細な粉末で被覆される。ろ過材の相対的により粗い粒子は、微小ボイド空間により形成された細孔体積中に充填される。この組合せにより、さらなる蛇行が形成されるとともに、フィルタマトリックスのメジアン細孔径も低減される。
【0017】
これらのポリマーは、本発明の目的および得られる成果に関して、次のような点を特徴とする:(i)それらはいずれも、フィルタマトリックスの表面積、耐久性、密度、および蛇行に寄与する個別のモルフォロジーを有する;(ii)それらは、臨界温度に加熱されたときに軟化して互いにまたは他の材料に接着するであろう;(iii)加工中、それらは、それらのそれぞれのモルフォロジーを保持する;および(iv)それらのそれぞれのミクロン直径は、好ましい実施形態における材料の使用を可能にするうえできわめて重要である。たとえば、PMX CF−1(図1)は、ポップコーンにきわめてよく似た特有のモルフォロジー(表面が入り組み、粒子自体が有孔である)および0.25〜0.30g/cm3の嵩密度を有する。この特有のモルフォロジーは、伝統的な球形状および0.40〜0.48g/cm3の嵩密度を有するPMX CF−2(図2)と比較して、粒子の表面積のかなりの増大を提供する。それぞれの粒子のモルフォロジーは、その嵩密度および平均粒径のときと同様に異なる特徴を提供する。たとえば、PMX CF1の拡大された表面積および不規則形状は、本明細書中に開示される方法に基づいて加工したときに、非常に強靭でいくらか弾性のある耐久性物品を生成する。ポリマー自体は、流体がその中および周囲を流動する形でガス抜きが行われる。それは、粒径がそれ自体と同等であるかまたはそれよりも小さい極微細粉末に容易に結合するが;所要により、それはまた、はるかに大きい粒子にも良好に結合するであろう。PMX CF−1材料は卓越した強度を提供するが、PMX CF−2材料の主な属性は、材料のより大きな密度および大きな圧力低下である。PMX CF−2とろ過材とだけから作製されたフィルタは、PMX CF−2がより小さい表面積を有するので、より大きなポリマー対ろ過材の比、一般的には3:2の重量比を必要とする。より多くの材料を添加するほど、得られる物品は脆弱になる。この脆弱性は、ポリマーの球状モルフォロジーの結果である。なぜなら、球体は、PMX CF−1の不規則形状粒子と比較して接着のためのより少数の接触点を提供するからである。優れた流体フィルタを開発するプロセスでは、2種のPMX材料(いずれもそれらのそれぞれの粒径および対照的なモルフォロジーを有する)は、両方の高分子材料の品質を備えた完成フィルタ物品が得られるように互いにおよび他のろ過材に対して異なる比でブレンドされる。本発明に係る方法はまた、より微細な粉末状吸着材の使用による性能向上を可能にするモルフォロジーおよびサイズを有する2種のPMXポリマーから高分子フィルタマトリックスを形成する利点および優位性を教示する。PMX CF−1を用いることにより得られる耐久性および弾性と、PMX CF−2を用いることにより形成される増大された密度とを組み合わせれば、液体および気体から混入物を除去するのに使用されるより広範にわたるろ過用化合物に適応するさまざまなブレンド物を作製できるようになる。好ましい実施形態に供すべく選択されるものは、90 Morris Avenue,Summit,NJ 07901,USAに位置するCelaneseの一部門であるTiconaにより製造されているPMX CF−1およびPMX CF−2である。しかしながら、粒径、嵩密度、モルフォロジー、および750,000〜3,000,000の分子量が同等である極高分子量および超高分子量のポリマーの他の製造業者から入手可能なポリマーを使用することも可能である。
【0018】
2種のポリマーは同一のメルトフロー特性を有するが、2種のPMXポリマー粒子は、モルフォロジー、嵩密度、および平均ミクロンサイズが互いに異なる。モルフォロジーは、図1および2に示されたとおりであり、粒径分布は、図3および4に示される。図3には、PMX CF−1が30〜40μmの平均ミクロン直径を有し全範囲が10μm〜100μmであることが示されている。図4には、PMX CF−2が55〜65μmの平均ミクロン直径を有し粒子分布範囲が10〜180μmであることが示されている。しかしながら、平均ミクロン直径が30〜40μmに調整されるように、PMX CF−2粉末を篩にかけて選別することが可能である。他の選択肢として、材料を篩にかける代わりに、所望のミクロンサイズおよびモルフォロジーを有する類似の特性の任意の市販のポリマーでも十分であろう。PMX CF−1は、より大きい表面積、きわめて小さいミクロン直径、および不規則形状を呈するので、モルフォロジーは顕著である。図1に示されるように並外れて小さいミクロンサイズと粒子の特有の形状とを組み合わせれば、図2の材料に示されるPMX CF−2のような典型的な球状ポリマー粒子よりも多くの接触点が存在するので、加工中にポリマー粒子をより完全に他の粒子に結合せることができるようになる。表面積を拡大すれば、粒子は、加工中にそれに結合するより微細な粉末状のろ過用化合物に適応できるようになる。最終的に、小さいミクロンサイズは、任意の粒径または分布範囲の他の材料に、より容易に適合するが、特に、類似のサイズまたはより小さいサイズの粒子に良好に適合する。より小さい粒子は、加工中における他の吸着材への接着能力を減少させることなく、PMX CF−1ポリマー粒子自体の不規則表面内にトラップされた状態になる。この特徴は、PMX CF−1だけに特有なものである。一般に、吸着材がより微細に粉末化されるほど、より多くのその表面積が通過する混入物に暴露されて、ろ過がより良好に行われるようになるので、これは有利である。PMX CF−1ポリマーの特徴の1つは、それを上述の化合物および/または吸着剤のような顆粒状もしくは粉末状の添加剤とブレンドしたときに、より低い密度および最大量の深層ろ過性能を備えて非常に耐久性があることである。深層ろ過は、流体流から浮遊微粒子をトラップし保持する能力である。PMX CF−2を材料にブレンドすると、物品は、物品重量が増大されて密度が増すが、圧力低下がわずかに増大する。増大される圧力低下は、実際には、より小さいメジアン孔径を表すものではなく;むしろ、それ自体が流体浸透性であるCF−1材料を球状物が非浸透性であるCF−2ポリマーで置き換えることにより生じる。流体がフィルタマトリックス中を流動するとき、CF−2材料は、マトリックス中の全細孔体積を減少させた。2種のポリマーのこれらの対照的な品質のバランスをとることにより、きわめて特定的な目標が達成されるようにフィルタを構築することが可能である。たとえば、流体が両方の微粒子を含有しかつ許容できないレベルの殺有害生物性残留物などのような溶存有機物で汚染されている場合、目標となるのは、活性炭のような吸着剤と組み合わされた深層ろ過であろう。この場合、解決策は、50%のPMX CF−1と、50%の図5に示されるような微粉末状活性炭粒子または45〜180μmの範囲内の粒径のより粗い顆粒状活性炭と、を含むフィルタであろう。フィルタは、CF−1の一部をCF−2で置き換えることにより、より大きい密度を有するように作製可能である。この場合、全フィルタ重量が増大する。その後、ろ過される流体の所望の流量および成形時のフィルタ部の実形状により、2種のポリマー間の実際の比が決定されるであろう。しかしながら、処方を確定した後、添加されるろ過材が、平均粒径、粒子分布密度、嵩密度、および水分含有率などに関して特定の許容範囲内に保持される限り、予測可能なフィルタ性能でプロセスを連続的に反復することが可能である。これらの中で最も重要なのは、平均粒径および分布密度であり、それらは、図5に示されるようなレーザ粒子分析を介して加工前に迅速に決定可能である。
【0019】
気体または液体の貫流から溶存混入物をろ過する活性炭のような任意の化合物または吸着剤の性能の重要な因子は、(i)化合物または吸着材の元の表面積がいかに多く加工中に保持されたか(失われなかったか)および(ii)汚染された流体流に直接暴露される利用可能な表面積をいかに最大化するかである。先行技術の流体ろ過方法は、ろ過用化合物の利用可能な全表面積の一部を隠蔽する方法および材料に基づくものであった。隠蔽とは、単純に、吸着剤やイオン交換材料のようなろ過材の表面上の交換部位がバインダの粒子により妨害されて流体流に接触しなくなることを意味する。圧縮が用いられる場合、ろ過材は、加熱下かつ加圧下でバインダ材中に強制埋入される。そのようなバインダは、加圧下で変形し、それらのモルフォロジーを失い、ろ過材の一部を遮蔽する。極低融解温度バインダは、単純に液化して極微細粉末を吸収し、より大きい粒子を遮蔽し、利用可能な表面積を減少させる。本発明に係る方法では、極微細粉末は、高分子構造性ろ過マトリックスにより形成された膨大な表面に結合する。水のような液体中に溶存する有機物および金属の例外的ろ過が望まれる場合、そのような微細に粉砕されたろ過用化合物の使用は、重要な成果である。なぜなら、それらは、より多くの利用可能な表面積を呈し、その結果、ろ過材と混入物との接触時間が増加するからである。
【0020】
本発明に係るフィルタの新規性は、上述の振動/焼結法を用いて加工するときの図1および図2に示されような2種のポリマーのブレンド、相互関係、および使用に依拠する。単独使用時、それぞれのポリマーは、互いに異なる特定の特性を有するフィルタを形成する。ろ過材を添加してまたは添加せずに所与の処方で2種のポリマーを組み合わせることにより、完成フィルタは、両方のポリマーの属性を呈する。この新規な関係を加工法と組み合わせることにより、先行技術のフィルタ製造法に伴う多数の欠点を排除しつつ優れた性能の流体フィルタを作製することが可能である。これらの改良のそれぞれについて詳細に考察するが、次のようにまとめることが可能である:(1)適切なろ過用化合物と組み合わせたときの溶存有機混入物の優れた吸着および/または金属イオン交換;(2)1μm未満を含めて任意の粒径のろ過材またはろ過用化合物の任意の組合せに適応する能力;(3)フィルタは0.254センチメートル(0.100インチ)までの壁厚の任意の形状に成形可能である;(4)衝撃を受けたときに完成フィルタが亀裂も分割も破損も生じないような例外的な耐久性;(5)圧力低下は、フィルタの直前および直後で測定したときの圧力の有意な低下を伴うことなく優れたろ過が可能であるという利点を有する処方に依存して減少または増大されうる;(6)フィルタは、流体流中の微粒子の存在に起因する早期の目詰まりを起こすことなく溶存の有機および無機の混入物のろ過を継続しうる例外的な深層ろ過を呈する。
【0021】
流体ろ過のほとんどの用途は、特定のろ過用化合物の使用を必要とする。最も一般的なのは、活性炭である。吸着剤として知られている活性炭は、その表面上に、殺有害生物性残留物、有機蒸気などのような溶存有機混入物を取り込んで保持するであろう。それはまた、還元として知られるプロセスにより飲料水中の塩素を除去するであろう。他のろ過材は、イオン交換の原理に基づいて動作する。たとえば、鉛のような重金属は、金属イオン交換ゼオライト収着剤または活性化アルミナを用いて飲料水から除去可能である。さらに他のろ過材は、抗微生物剤を含む。これらは、典型的には、細菌および他の微生物の増殖を抑制する銀またはハロゲンを基材とする生成物である。気体および液体のろ過で一般に用いられるろ過用化合物は、粉末形態で利用可能であり、本発明に使用しうるろ過用化合物の部分リストは、以下の表Iに列挙されている。
【0022】
【表1】

流体の優れたろ過を形成するために以上の材料をいかに使用しうるかは、次の2つの要因を達成する加工方法に依拠する:(1)ろ過材の平均粒径は、粒子が小さいほど、利用可能な表面積が大きいという形で、どれだけ多くのその利用可能な表面積がろ過される流体に接触するかを決定する。たとえば、1グラムの活性炭は1500m2までの表面積を有しうることが広く知られている。活性炭は、顆粒形態で利用可能であるか、または微粉砕可能である。本発明に係る方法および材料によれば、わずか22μmの平均粒径を有する活性炭の粒子を使用することが可能である。さらに、実際の粒子分布の90%は<1μmから45μmまでの範囲内であることが下記の表から実証される。平均でわずか22μm程度の小さい粒子の使用およびサブミクロンサイズまでの粒子を受容する能力が実証されているが、利用可能な表面積を保持することは、本発明に重要な属性である。先行技術のほとんどのフィルタ作製技術は、材料の密度に依拠する。ろ過材の量を最大化し、典型的には比較的ごく少量である熱可塑性バインダを補償するために、圧縮が使用される。この方法では、より大きい平均粒径およびカットオフポイント(これよりも小さい粒子は単純には使用できない)を有するろ過材が必要とされる。本発明では、典型的なフィルタは、PMX CF−1およびPMX CF−2ポリマーの一方または両方の形態で50%以上の高分子材料を含有する。このため、全結合表面積は、より大きく、CF−1材料の粒径とその特有のモルフォロジーとが組み合わされて、伝統的なモルフォロジーのときよりもはるかに大きい表面積が形成される。CF−2ポリマーの球状モルフォロジーは、その平均サイズがわずか60μmであるので、特有のものであり、より大きな表面積を与える。
【0023】
好ましい実施形態の1つは、先に言及したような粉末状活性炭を必要とし、表IIに示されるレーザ粒子分析によりさらに実証されるが、異なる特徴を形成すべく使用される他の炭素粒子分布が存在する。この目的が溶存有機系混入物のろ過を最適化することである場合、粉末状活性炭で見いだされるより大きい利用可能な表面積により、優れた結果が得られる。しかしながら、45〜180μmの範囲内のより粗いメッシュの炭素は、より丸形のフィルタを提供し、より大きい深層ろ過およびごくわずかな圧力低下を有するより多くの開放細孔構造を備えて非常に良好に機能する。それに加えて、重金属除去用として最も一般的なろ過材は、選択されたポリマーの表面積のかなりの部分を占有する極微細粉末である。この占有を補償するためにかつ活性炭を必要とする場合、45〜180μmの粒径範囲が好ましいであろう。なぜなら、活性炭のより大きい粒子は、ポリマーのより小さい表面積を占有して処方のバランスをとり、結果として、フィルタが重金属と溶存有機混入物の両方を適切に除去するようになるからである。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

さらに他の用途では、いくつかのろ過材をきわめて粗い粒径のみで利用可能である。たとえば、活性炭は、1000μmから始まるそれ以下のミクロンサイズ範囲で容易に利用可能であり、これらは、予備ろ過用途の場合のように良好な深層ろ過および有機物の適度な減少を有する非常に大きく開放された細孔構造を形成するように、PMX CF−1およびPMX CF−2ポリマーと組み合わせて使用可能である。非炭素質材料は、ほとんど場合、粉末形態では利用できない。そのような場合、PMX CF−1およびPMX CF−2ポリマーは、1000μm程度の大きい粒子に適応するであろう。この一特定例は、亜鉛および銅を含む流体処理化合物KDFが、重金属および塩素を除去するために一般に使用される場合である。KDFは、比較的粗い金属粒子で作製されており、PMX CF−1およびPMX CF−2ポリマーに非常に良好に結合し、その際、前者は、その優れた結合性能および貫流特性に基づいてとりわけ良好に機能する。
【0026】
これらの2種のポリマーのそれぞれのモルフォロジーは、特有の特性を有するフィルタの開発に重要であるが、それらのミクロンサイズおよび粒子分布を調整すれば、フィルタは、類似のもしくはより小さいメジアン粒径を有する顆粒状さらには微粉末状の化合物の両方に適応可能になる。この目的は、耐久性があり、良好な深層ろ過を呈し、より大きな能力を与える材料の適正密度および許容しうる圧力低下を有する、非常に高性能の完成フィルタを作製することである。
【0027】
PMX CF−1材料は、より大きい表面積、優れた結合性能を呈し、かなり耐久性があり、圧力低下は比較的わずかである。PMX CF−1を用いて作製されたフィルタは、単独でまたはろ過材と組み合わせて形成したときに、最大の深層ろ過および蛇行を提供する。球状モルフォロジーを有するPMX CF−2材料は、より多くの材料が同一量の空間を占める形で、より稠密なマトリックスを形成する。これは、PMX CF−1と比較して、より大きい圧力低下を生じる。ポリマーのいずれかを他のものに添加した場合、完成品は両方の属性を呈し、結果として、理想的な処方が達成されうる。
【0028】
処方開発の出発点は、一般的には、ほぼ等量のそれぞれのポリマーを含有するフィルタであり、次に、0.025重量%から55重量%までの選択されたろ過材とブレンドされる。特定の変動因子により実際の処方が制御される。たとえば、添加されるろ過材が微細であるほど、ポリマーの表面積を大きくする必要がある。なぜなら、より微細な粒子ほど、より大きい表面を占有するからである。物品の形状は、脆弱であることもあれば、強靭であることもある。たとえば、0.318(0.125インチ)の壁厚を有する物品では、自己支持性にするには高分子材料の強度が必要とされるが、1.27センチメートル(0.500インチ)の壁厚を有する物品では、より少ない高分子材料含有率で自己支持性になる。それに加えて、脆弱な物品では、その耐久性に起因して、より多量のPMX CF−1を用いるほうが有利であるが、強靭な物品では、より少量のPMX CF−1が必要になりうるにすぎず、主にPMX CF−2で作製可能である。添加されるろ過材は、全物品の0.025重量%程度から55重量%まででありうるが、それはろ過の目的に依存するであろう。
【0029】
物品は、2種のポリマーの一方のみを含みうるか、または両者のブレンド物(この比は、任意の所与の相互比でありうる)を含みうる。処方のこの広範な可能性のおかげで、材料の特定の特性に合わせてフィルタを構築することが可能である。粉末形態で利用可能な種々のろ過材は、平均粒径、粒子分布密度、および嵩密度がさまざまであるので、このことは重要である。ただ1つの処方に依拠することになれば、ろ過材の完全利用は制限されるであろう。より粗い粒子分布を有する活性炭のような吸着材の使用は、溶存有機混入物を除去するうえでそれほど有効ではない。そのようなより粗い材料は、メジアン細孔径を増大させ、フィルタのマトリックス中を流動する液体または気体に暴露されるより小さい表面積を提供する。それにもかかわらず、より粗い粒子分布が有利なこともあるろ過用途が存在する。たとえば、このように構成されたマトリックスを含むフィルタは、きわめて少ない圧力低下および例外的な深層ろ過を呈する。そのような処方では、出発点は、ポリマーとろ過材とのブレンド物でありうる。この場合、ポリマーは、1部のポリマーと3もしくは4部の顆粒状活性炭との比でPMX CF−1自体である。この例では、PMX CF−1は、そのより大きい接着特性の結果として、自己支持性にするのに十分な強度および耐久性を最終品に与える。この際、ろ過材の表面積を減少させれば、物品を共に成形させるのに使用されるPMX CF−1の量を減少させることが可能である。しかしながら、そのような完成品は、かろうじて自己支持性であるにすぎず、外部容器の構造体で強化しなければならないか、または適正なバランスが達成されるまで、より多くのPMX CF−1を使用しなければならないことに留意すべきである。深層ろ過および少ない圧力低下が重要となる用途は、多数存在する。一例は、ラテンアメリカやアジアの多くの国々で見られるようなルーフタンクに貯蔵された水をろ過するために使用されるウォータフィルタであろう。水は物理的に汚れており、重力水圧力は、タンクと出口との間の垂直距離が要因となる。この例の理想的解決策は、目詰まりを起こさずに最小限の圧力で容易に流動するフィルタである。
【0030】
先に述べたような用途を除けば、一様なろ過を行うために、完全に均一なマトリックスが最も望ましく、これは、加工される粒径の均一性を保持することにより最も良好に達成される。ポリマー粒子自体が微粉末である場合かつそれが同程度に微細な粉末と併用されて均一に加工される場合、完成フィルタは、均一なフィルタマトリックスを有するとともに最大の表面積を露出であろう。このことは、なぜ並外れて小さい粒径のPMXポリマー粒子が本発明の新規性の中核をなすかを説明する。類似のモルフォロジーを有するより大きいポリマー粒子は、より少ない表面積を有し、より微細な粉末と併用したとき加工が不完全なものとなる。
【0031】
次の段階は、正確な加工方法である。完成フィルタで所望の特性を呈するように処方を確定した後、特定の方法で加工しなければならない。選択された材料は、最終材料が均一になりかつ集塊を含まないように、共にブレンドされる。リボンブレンダなどを用いれば、一般的には、これを達成することが可能である。次に、ブレンドされた材料は、ブレンダから成形型中に1個以上のキャビティーを有しうる成形型まで搬送される。キャビティー形状は、完成品の最終形状を決定するであろう。この形状は、立方体もしくは直方体、ディスク、フラットパネル、カップ、ロッド、または中実のシリンダ、あるいは一端のみで開口しているかもしくは両端で開口しているコアを有するシリンダなどの任意の所与の形状でありうる。材料はまた、1mmまでの厚さを有する連続シート材料にすることも可能である。物品の形状に課される唯一の制限は、加工後に成形型から取り出すことができることである。
【0032】
ベース材料のブレンド物を成形型キャビティー中に搬送しながら、利用可能な任意の標準的な機械的工業用バイブレータを用いて成形型を同時に振動させる。市販のバイブレータは、上下運動で振盪するか、もしくは振動しながら材料を渦攪拌するか、またはその両方であろう。振動の度合は、成形型の全質量重量、完成フィルタ物品のサイズ、さらには長さが幅よりも大きい場合には物品のアスペクト比などの任意の個数の変動因子に依存して、増大または減少させることが可能である。振動は、粉末がキャビティー中に搬送される前に開始しなければならないか、または粒子が互いに離れて移動して成形型中で分離されている場合には、キャビティーが材料で満たされるようになった後、振動を開始してもよい。いくつかの用途では、実験を介して明らかになっているのであれば、振動を必要としないでもよい。振動サイクルを短くしたり長くしたりすれば、さまざまな結果が得られ、さらに、キャビティーの深さや幅の特性によっても差異を生じる。振動の目的には、次の2つの側面がある:(1)振動する粒子を破壊したり粉砕したりすることなく、粒子間のボイド空間を形成するエアポケットを粉末状材料から少しずつ除去すること;および(2)粒子が他の粒子に共に当接された状態になるまで移動させたり回転させたりすることにより、力を加えたり圧縮したりすることなく、成形型キャビティーに導入され緻密化される全粉末量を最大化すること。振動サイクルを短くすると、緻密化が低減され、一方、振動を大きくすると、望ましくない粒子分離が起こり、より微細な粒子は、より大きい粒子から離れるように移動する。高分子材料が主に球状であるときに、この問題は特に関心が払われる。成形型が完全に満たされる前に材料の振動を中止することは、最後に添加された材料が異なる粒子密度をもつ可能性があるので、勧められない;過度の振動を行うと、異なる材料粒子は、最終的に、互いに離れて移動するようになる。以下で説明されるように、材料の最大密度を有することが望ましくない場合または粒径が顕著に異なる場合のような例外が存在する。
【0033】
振動サイクルの終了時、成形型をカバープレートで覆わなければならない。そしてポリマーが他のポリマー粒子または他のポリマー粒子とろ過用化合物との組合せに接着するのに十分な粘着性になる温度まで加熱する。PMX CF−1およびPMX CF−2は、好ましい実施形態で、3,000,000の分子量を有し、それらの軟化点を超えて加熱されてもそれらの元のモルフォロジーを失わないが、750,000以上の範囲のより低い分子量で類似のモルフォロジーを有するポリマーを軟化点まで加熱して同様に使用することも可能である。そのようなポリマーを使用する場合、ポリマーの変形や融解が回避されるように、焼結中の成形型の温度を非常に厳密に制御できるようにしなければならない。このため、加工が容易であることから、超高分子量ポリエチレンポリマーが好ましい。必要な温度(通常は、ポリマーの特定のメルトフローインデックスに依存して107℃(225°F)〜191℃(375°F)以上)に達した後、成形型を周囲温度に冷却させる。冷却サイクルは、自然なものであってもよいし、任意の冷却形態により支援されたものであってもよく、冷却時間は、完成品の品質と無関係である。成形型を冷却した後、粉末状材料は、自己支持性多孔性フィルタブレンドになる。任意の気体または液体をそれに通して、容易に流動させることが可能であろう。全部をポリマーから作製したとすれば、それは、物理的混入物を選別除去するフィルタ特性を有するか、または気体を微小バブルに分散するために使用することも可能である。また、ジアルジア(Giardia)や他の原生動物のようなより大きい寄生生物を除去するように、構築することも可能である。たとえば、水ろ過では、細菌を繁殖させることが知られている活性炭を用いることなくそのような微生物を除去することが望ましい特定の用途が存在する。
【0034】
先に述べたように、特定の混入物を除去するフィルタの性能は、選択されるろ過用化合物に依存するであろう。活性炭は、溶存有機物から化学物質および殺有害生物剤に至るまでの有機系混入物の吸着剤として認識されている。Engelhard MineralのATSTM収着剤のような特定のチタン金属イオン交換ゼオライトおよびSelecto ScientificのAlusilTMのような活性アルミナは、飲料水のような液体から鉛や重金属を除去するために開発されてきた。銀イオンは、大腸菌(E.coli)細菌のような病原体の増殖を抑制することが知られており、ナトリウムイオンが銀イオンおよび亜鉛イオンと交換された合成ゼオライトを含むさまざまな形態で入手可能である。そのような広く使用されている合成ゼオライトの一つは、Sinanenにより日本で製造されAgion Technologiesにより販売されているAgionTMである。特定の規則により、より望ましい結果が決定される。最も特筆すべきは、ポリマーマトリックスの全表面積と、加工中にマトリックスに結合するろ過用化合物により占有される表面積と、の関係である。ろ過用化合物に対してポリマーのより大きい表面積が常に存在するように、一貫して耐久性のある完成品が構築されるであろう。加工時の成分間の関係は、重量基準でバランスをとることが可能であるが、最初は、互いの表面積により関係を定式化し、次に、便宜上、重量に変換する。ろ過用化合物の全表面積がポリマーの全表面積を超えたならば、物品は、構造保全性および耐久性の低下を呈し始めるであろう。したがって、好ましい実施形態で使用されるポリマーは、十分な余裕をもたせて表面積が常により大きくなるようにしなければならない。
【0035】
フィルタの高分子マトリックスは、物理構造、蛇行、およびろ過材を結合させうる表面積を提供する。それはフィルタの支持骨格である。添加されるろ過材が、利用可能な高分子表面積よりも多くを占有することがなければ、完成品は自己支持性になるであろう。任意の粒径を有する粉末状材料を添加しうるか、またはサブミクロンサイズの粒子を含む粒子分布範囲を有する材料をうまく利用することが可能である。しかしながら、少量の5μm未満の極微細粉末は、ポリマーマトリックスの全表面を急速に被覆するので、構造を損なうことなく使用しうる全量は制限されるであろう。ブレンド段階では、等しいサイズおよび一般的な嵩密度を有するポリマーおよびろ過用化合物の粒子が、原則として、等重量でブレンドされ、全高分子材料の少なくとも10%またはそれ以上は、PMX CF−1である。ベースポリマー材料よりも小さい粒径のろ過用化合物に、ポリマーサイズが理由で、PMX CF−1のより大きい表面積が適応するだけではなく、異例のモルフォロジーにより、この構想は、さらに高い性能レベルにまで高められる。(図1参照)。PMX CF−1材料の他の特徴は、粒子の内部を駆け巡る微視的チャネルにより通気されていることである。この特徴により、圧力低下の減少などのフィルタの貫流特性がさらに向上する。PMX CF−1の特有のモルフォロジーに起因して、ろ過材の極微細粒子は、より大きいポリマー粒子の表面に結合され、一方、ポリマーに等しいかまたはそれよりも大きいろ過用化合物は、フィルタマトリックスの細孔またはボイドの空間内にトラップされた状態になる。このようにして、非高分子化合物は、構造に不可欠なものではなく、ろ過に不可欠なものとなる。
【0036】
特別な特性
PMXポリマーCF−1やCF−2のような選択された構造性材料を添加された化合物と共に焼結する上述の方法によれば、フィルタは、本発明を先行技術と区別するいくつかの品質を呈するようになる。これらは、以下のようにまめることができる:
耐衝撃性。フィルタは、先に記載されるようなPMX材料のブレンド物で構成された50%〜100%のベース材料を含むので、それらは、耐久性があり、衝撃時の亀裂または破壊に対して抵抗性を示す。野外利用または軍事利用における携帯用途のようにフィルタが破壊されてはならない場合には、その特定の目標が達成されると同時に依然として優れたろ過が達成されるようにフィルタを構築することが可能である。
【0037】
圧力低下(すなわちΔP)とは、所与のフィルタ中を通過する前と通過した直後の水圧の変化のことである。低下は、前者から後者を差し引くことにより決定されるので、フィルタに入るときの圧力が4.2kg/cm2(60psi)であり出るときが3.5kg/cm2(50psi)である場合、圧力低下は0.7kg/cm2(10psi)であり;他の場合も同様である。圧力低下は避けられない。しかしながら、最小の圧力低下を示し、それに対応して性能が損なわれることのないフィルタが好ましい。本発明のこの利点は、圧縮フィルタよりも多くの貫流チャネルを含む内部フィルタマトリックスに基づく。より多数のチャネルは、ポリマー特性と代替的加工法との組合せの結果である。絶対ミクロンろ過を用いたフィルタは、細孔径が減少するにつれて、それに対応して圧力低下の増大を呈する。したがって、優れたろ過法は、蛇行を介するものである。所与のフィルタマトリックスを貫通する通路の数は、粒子の圧縮一体化を介して、特に30%程度の圧縮率で、作製された類似のフィルタよりも多い。このことは、PMX CF−1をPMX CF−2と併用したときのフィルタと併用しないときのフィルタとを比較することにより証明された。通気性に関して、100%PMX CF−1を用いたフィルタを、PMX CF−2がブレンドされたフィルタと対比して試験した。第1のブレンド物は、90%PMX CF−1対10%PMX CF−2であった。圧力低下は、わずかに増大した。しかしながら、80%PMX CF−1対20%PMX CF−2では、圧力低下は、明確かつ測定可能に増大した。この増大は、比を70%対30%さらには60%対40%まで逐次的に変化させたときに継続的に生じた。他の変更や変動因子はなかったので、変化は、ポリマーブレンド物に由来するはずである。したがって、圧力低下は、PMX CF−1とCF−2との関係を介して用途に応じて変化させることが可能である。粒径の重要性は、フィルタの特性を左右する。CF−1材料の粒径および分布密度を模擬するようにCF−2材料を篩にかけた場合、完成品は、より小さい密度およびより少ない圧力低下を示した。
【0038】
深層ろ過。絶対ミクロン定格フィルタは、特に絶対ミクロン定格が1〜10μmの範囲内にある場合、ほとんどまたはまったく深層ろ過性能を有していない。たとえば、1ミクロのン絶対細孔径を達成するために、より大きい細孔はすべて排除されてきた。この結果、フィルタは、1μmを超えるすべての粒子または微生物を排除する。貫流パターンでは、これらの粒子はフィルタの表面で排除される。深層ろ過は、実際に、蛇行通路法により促進される。なぜなら、絶対孔径に依拠しないからである。本発明に係るフィルタは、ろ過可能な粒子よりも有意に大きいメジアン細孔径を有する著しく多くの細孔を呈する。商業的には、深層ろ過を有するフィルタが好ましい。なぜなら、フィルタは、国内または世界の至る所に普及しており、どの程度の量の浮遊固体が未ろ過の水中に存在しうるかわかっているからである。ほとんどの水は、フィルタ表面に捕集されて早期にフィルタの目詰まりを引き起こしうる微細な沈降物を有する。絶対ろ過に見られるように、所与のサイズ以上の粒子を排除するようにフィルタを構成した場合、x(ここで、x=ミクロン定格)よりも大きい粒子はすべて、フィルタの表面からフィルタマトリックスに入ることができない。深層ろ過性能を備えた蛇行通路ろ過の利点は、フィルタの表面上ではなくマトリックス内でろ過することにより、早期の目の詰まりが回避される点である。
【0039】
成形性能は、本発明の他の価値ある属性である。この際、耐久性があるので、物品を任意の形態に造形することが可能である。最近の液体ろ過では、先行技術に依拠するほとんどの方法で、もっぱらシリンダ状フィルタの形態で製造が行われ、液体は、シリンダの外径から半径方向にシリンダの内径に流動して結合炭素粒子の壁厚中を通過するように方向付けられる。物品のシリンダ形状は、完成品が容易に裂けたり亀裂を生じたりするという他の制約的特徴と同じように制約的なものである。この際、本発明は、吸着剤が使用される3000μmまでの全厚でさえも、任意の形状にすることが可能な耐久性プラスチックで作製された物品を提供する。物品は、ディスク、ロッド、カップ、シリンダ、または閉鎖端シリンダブレンドにすることが可能である。こうした形態が利用可能であるので、完成ろ過装置がシリンダ状フィルタ造形品に限定されない製品開発の可能性が開ける。両端で開口するチューブであるシリンダは、エンドキャップで閉鎖する必要もなく、加工時に一端を閉鎖することが可能である。これにより、いくつかの用途では、製造コストが削減され、フィルタを完成装置またはハウジングに集成する速度が増大される。空気ろ過では、有機蒸気(OV)吸着またはOVマスクなどに供されるほとんどのフィルタは、250μm以上の一般的範囲の遊動顆粒状活性炭粒子から作製される。これらをキャニスタ中に蜜に充填し、それらを貫通するように空気を吸引して有機蒸気を濾別する。先行技術の適用では、圧力低下が大きすぎるので、外部圧力源を用いない限り、空気ろ過の要求に対処することができなかった。OVマスクのような人工呼吸器では、1回の呼吸だけで空気を吸入して炭素中を通過させる。
【0040】
この特別の成形性能に依拠するさらに他の適用は、有機蒸気の吸着と湿度調整との組合せである。活性炭は、湿度の優れた調整剤である。炭素の活性が高いほど、それは、空気のような気体から湿分をより良好な吸収する。非常に高い性能が不可欠である場合、高活性の活性炭、たとえば、+95の四塩化炭素値(CTC#)を有するものが最も好ましい。しかしながら、+65のCTC値を有する標準的炭素でさえも、ほとんどのろ過用途に十分に応えられる。
【0041】
相対湿度(RH)40未満の低湿度レベルでは、活性炭床に湿気を通しても減少しないであろう。湿度が40RHよりも大きくなると、通過する空気から湿度が除去される。活性炭のこの品質は、敏感な測定器中のRHの調整に適合化され使用されてきた。一適用は、特に、コンピュータディスクドライブの内部の有機蒸気とRHの両方の制御である。コンピュータディスクドライブは、両方の影響を受けやすい。したがって、一フィルタは、流入空気から痕跡量の有機ガスを除去するとともに、高すぎることも低すぎるもことない湿度レベルを保持ことが可能である。たとえば、非常に微量の酸性ガスの存在は、過度の湿度レベルのときと同様に、コンピュータディスクドライブのヘッドを腐食することが明らかにされている。
【0042】
より高い性能:本発明における活性炭粉末、ゼオライト、活性アルミナ、抗微生物剤などのような微粉末状吸着剤の使用は、より高レベルで行われる。なぜなら、フィルタ構造により、粉末形態の吸着剤化合物と気体または液体から濾別される混入物との間の界面が最適化されるからである。空気および水のろ過で使用される主要材料の1つである活性炭では、この傾向がとりわけ強い。22μmの平均粒径を有する粉末状活性炭(図5参照)は、最大の利用可能表面積を有するので、最適である。しかしながら、ほとんどのプロセスでは、微細すぎて取扱いや成形が行えないので、以前は流体用の主要なろ過材として使用されることはなかった。本発明に係る方法および材料では、より良好な完成フィルタマトリックスが作製されるので、実際に微粉末が好ましい。水ろ過では、鉛の代わりに現在使用されているガソリン添加剤MTBEや揮発性有機化学物質(VOC)のような混入物を除去することが好ましいが、従来のろ過方法では容易に達成可能ではない。
【0043】
本発明の経済的利点により、ウォータフィルタを作製するための他の加工方法よりも優れた価格優位性が得られる。表面積を減少させることなく微粉末を利用できるので、より少ない材料でフィルタを作製することが可能である。これにより、通常、先行技術を用いたフィルタと等しい性能を達成されるのに要する材料が65%〜50%の範囲内で削減される。この特徴を確認するために、次の比較試験を行った:それぞれ飲料水中の鉛の>99%を取り除く能力を有する2種のウォータフィルタを試験した。フィルタAは、市販業者から取得した。製造業者は、流量および容量の因子を考慮して、フィルタの18重量%をEngelhardのATSにすることに決定した。フィルタは、150グラムの重量であった。フィルタBは、長さ、外径(OD)、および内径(ID)に関して同一寸法になるように作製した。フィルタBは、112グラムの重量であり、10重量%のATSを用いて構築されたものであった。したがって、得られた2種のフィルタは、それぞれ、27および11.2グラムのATSを有することを特徴とした。フィルタAは、フィルタBの2.5倍のATSを含有していた。NSFプロトコル53を用いた試験では、両方のフィルタがpH8.5および6.5において鉛の>99%を除去した。この試験の結果から、フィルタAの構築に使用された方法は、フィルタBのときと比較して、非効率的であったことが示唆される。1グラムあたり$0.025セントの価格のATSは、鉛および重金属を除去するための水ろ過で使用される唯一の最も高価な添加剤でありうる。以上の試験では、フィルタAは、フィルタBよりも$0.40US多いATSを必要とした。
【0044】
以下の適用により本発明についてさらに説明するが、これらに限定されるものではない。科学技術用語はすべて、当業者により理解されるような意味を有する。以下の特定の適用により、本発明に係るろ過装置を利用しうる方法について説明するが、分野または範囲に関して本発明を限定するものと解釈してはならない。本発明に包含されるが具体的に開示されていない使用を行うために、使用に変更を加えることが可能である。さらに、いくらか異なる形の使用の変更は、当業者には自明であろう。
【実施例】
【0045】
適用
気体および液体のろ過は、いくつかの産業で使用される。本発明に開示されている特徴および利点は、既存の技術を代替する明らかな改良を提供する。本明細書に記載の適用は、本発明を実施する種々の態様を例示することが意図されたものであり、何ら本発明を限定しようとするものではない。
【0046】
適用1
重力流ろ過装置:液体ろ過のための重力流とは、液体をフィルタに通して貫通させる唯一の力がフィルタの真上の液頭の量であることを本質的に意味する。液体の重量が力を生成する。この重量は、液頭すなわち液体の最高レベルとフィルタとの間の距離を増大させることにより増大させることが可能である。貯蔵液体がフィルタを通って流出するにつれて、液頭は徐々に減少するであろう。多くの用途では、重力流ろ過の主要な適用である携帯型装置で発生されうるフィルタ上の液頭圧力はごくわずかである。液頭の量は、フィルタの上の70mmに制限される。許容しうる流量を達成する解決策は、実際に流動すると同時にさらに混入物を濾別するフィルタを開発することにある。たとえば、より高流量にする場合、最適処方は、50〜150μmの範囲内の65%〜75%の活性炭顆粒に対して25%〜35%のPMX CF−1であることが判明した。粗い顆粒をPMX CF−1材料と組み合わせると、フィルタ上の液圧を必要最小限にして容易に流動する開放細孔マトリックスが作製される。実際の処方は、フィルタの所望の性能に基づいて変更可能である。たとえば、カラフ型ピッチャは、通常、フィルタの上にわずか数インチの液頭を有するにすぎないので、圧力低下がごくわずかである優れた貫流特性を有するはずである。好ましい実施形態では、50〜150μmの範囲内の粗い顆粒状活性炭粒子が、70%の炭素と30%のPMX CF−1との比でブレンドされる。流量に影響を及ぼす因子としては、フィルタの壁厚およびフィルタ外側の全湿潤表面積が挙げられよう。
【0047】
他の重力流装置では、フィルタの上により多くの液頭が存在しうる場合または流量を多くする必要がない場合、かつより多くの混入物を除去することが課題である場合、密度の増大およびメジアン細孔径の低減に関して先に記載したように、化合物または吸着剤のメジアン粒子分布サイズの低減と併行してPMX CF−2材料を導入することによりフィルタの細孔径を低減させることが可能である。重力流装置の好ましい実施形態では、70%の吸着剤/化合物ブレンド物に対して30%程度もしくはそれ以上のPMX CF1で開始される。このことについて、30%のPMX CF−1と50〜150μmの粒子分布範囲の70%の顆粒状活性炭とを用いて長さ10cm×直径5cmのモールドカップ状フィルタを作製する実験で実証した。
【0048】
重力流フィルタの作製に用いられる方法は、所要により、特に流量を多くすることが望まれる場合、より多くの開放細孔構造を形成するように変更を加えることが可能である。成形型中で材料を焼結させた後、フィルタ(好ましくはカップ状フィルタ)を成形型から取り出す。この方法および処方を用いる一実験では、カップを水道水で縁まで満たして放置した。60秒後、カップは、その側面に沿ってろ過された水滴を漏出し始めた。液体が単に最も抵抗の少ない通路を通過することがないように、カップの底をわずかに厚い壁で作製した。10分間にわたり、連続的に再充填しながらカップを下まで湿潤させた。カップが十分に水分を含んだ状態になったとき、流量は、毎分200mlを優に超えるまで良好に増大された。後続の実験により、カップの縁を超えるより多くの液頭を用いると毎分500mlまで液体流が増大されることを見いだした。
【0049】
適用2
コンピュータディスクドライブ:混入物除去材料が使用されるいかなる場合においても、本発明を用いることにより性能が改良される。この利点について、有機蒸気を除去する試験で実証した。活性炭の1グラムのサンプルを密閉容器に入れた。容器をトリメチルペンタン(THP)99%で部分的に満たし、トリメチルペンタンの表面上に浮遊させたアルミニウムトレー中に遊動炭素を入れた。第2の容器では、同一バッチの活性炭とPMX CF−1とよりなる材料のモールドキューブを使用し、同一重量の活性炭がキューブに含まれるように構築した。実験の開始時および次に3時間後にも、両方のトレーの内容物の重量を測定した。次に、それぞれのトレー中の材料の重量増加により、遊動形態および成形品形態の両方の活性炭の吸着能力を決定した。すべての実験で両方のトレーが確実に重量を増大させたことから、成形されていない活性顆粒と比較して成形品形態で吸着能力が失われることはないことが示唆された。他の実験では、活性炭に関して同一の寸法および一般部含有率を有する圧縮キューブと対比して、モールドキューブを試験した。この際、PMX CF−1を用いたモールドキューブでは、トリメチルペンタンの吸着が200%の効力に増大されることが判明した。
【0050】
この打開策は、一例として、湿度の調整ならびに有機蒸気および/または酸性気体の吸着に活性炭が使用されるコンピュータディスクドライブ中で使用することが可能である。炭素粒子をポリオレフィンマトリックスに永久的に結合させることができるので、炭素微粉の脱粒を起こすことなく200%超の性能向上で、フィルタキューブ、または小さい球状、矩体状、もしくは円柱状のタブなどを作製することが可能である。成形品がきわめて多孔性であり圧力低下をほとんど伴わないので、性能向上が達成される。ディスクドライブを通気する空気は、成形炭素物品の周りではなくその中を通過する。たとえば、米国特許第6,168,651号明細書では、吸着が物品の表面上で起こるので、物品の中ではなくその周りを流動するように方向付けられる空気に、より多くの表面積を暴露すべく、圧縮され成形された炭素物品に突起を追加する技術が教示されている。これは、先行技術の制限、特にろ過材の圧縮に固有の欠点を示す。ディスクドライブで同様に重要なのは、活性炭により提供可能な湿度の調整である。たとえば、湿度が40RH未満である場合、活性炭は湿度に影響を及ぼさない。しかしながら、RHが40を超えて増大すると、活性炭は、通過する空気流から湿分を吸収し始めて、それにより、過剰量の湿分からディスクドライブを保護すると同時に通過する湿分を最適量にする。炭素の活性(そのCTC値により等級付けされる)が高いほど、多くの湿分を吸収することが可能であり、結果として、+65と+95のCTC値の差は、湿度調整に関しては2倍に相当しうる。PMX CF−1および/またはPMX CF−1とPMX CF−2とのブレンド物を活性炭と併用すれば、フィルタマトリックスの周りではなくその中を空気が直接流動するようにしうる。これにより、物品の表面上の炭素だけでなく炭素のすべてに空気流が暴露されるようになる。コンピュータの動向は携帯型装置の方向に向かっているので、フィルタで重要なことは、それらをできる限り小型化することである、その際、性能を200%に増大させれば、バインダを含む圧縮炭素物品のサイズのわずか半分にすぎないフィルタで済むであろう。
【0051】
ディスクドライブでは、成形炭素物品は、通常は小さいピンホールである吸気開口と、微粒子がディスクドライブ中に進入するのを防止するために使用されるPTFE膜と、の間に配置される。先行技術では、流入空気は、炭素物品上およびその周りに吸引されるので、その外表面が暴露されることになる。本発明では、流入空気が炭素物品の周りではなくその中を流動するように炭素物品の貫流性能を設定することが可能である。これにより、ディスクドライブの通気に使用される空気中の湿分および望ましくない気体に利用可能な炭素の表面積が増大される。たとえば、酸性ガスは、ディスクドライブのヘッドを腐食し、それを破損するであろう。ごくわずかの湿分さらにいかなる過剰量の湿分でも、ディスクドライブに悪影響を及ぼしうる。
【0052】
適用3
冷蔵:冷却飲料水および氷を分配する家庭用冷蔵庫では、水道水の味、臭気、および色を改善するために活性炭ウォータフィルタが使用される。製造現場に設置する場合、フィルタは、これまで典型的には遊動床活性炭方式であった。なぜなら、カーボンブロックは、深層ろ過の欠如が原因で早期に目詰まりを起こす可能性があるからである。水道水からクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)を除去する場合などの大量ろ過では、寄生原生動物を物理的に選別除去するカーボンブロックまたはその等価物が必要である。フィルタが目詰まりを起こすことなく少なくとも6ヶ月間〜1年間持ちこたえなければならないことが問題点である。フィルタが他の用途で使用される場合、漸進的流量低下は、フィルタが目詰まりを起こしていることを意味する。冷蔵庫では、そのような警告が利用できない。したがって、器具への水の供給を停止させるおそれのあるフィルタの早期目詰まりを引き起こす危険性がなく長期間にわたり寄生原生動物を選別除去するフィルタを有することが好ましいであろう。
【0053】
フィルタマトリックスの耐久性はまた、破損に耐えるフィルタと言い換えられる。そのような適用の1つは、フィルタが冷蔵などのより低い温度で使用される場合である。最近では、ほとんどのフィルタは、消費者による交換や使用を容易にするために冷蔵庫のキャビネット内に眼の高さで設置される。これは、より適切な時機にフィルタ交換が行えるように実施される。1つ欠点があるとすれば、カーボンブロックのようなほとんどの高性能フィルタが非常に脆弱であり容易に破損することである。静水が微凍結または氷結する傾向を示しうる極低温では、ごくわずかな応力でさえも、フィルタの破損を引き起こす可能性がある。しかしながら、本発明を用いたフィルタは、凍結して固体状態になったときに実際に屈曲するように構築することが可能である。通常の冷蔵庫フィルタ用途では、好ましい実施形態のフィルタは、50重量%のPMX CF−1を用いて作製される。なぜなら、それは、鉛や塩素のような通常の水道水混入物を除去するために存在する他の化合物および吸着剤との優れた結合性能を有するからである。さらに、PMX CF−2と組み合わせる代わりPMX CF−1材料を単独で使用すれば、優れた深層ろ過および最小限の圧力低下を有するフィルタが作製される。早期目詰まりの問題は、製氷機用途に特有な非常に緩速な流量により悪化する。そのような緩速な流量が存在すると、水中の塵埃や沈降物のような微粒子は、容易に集合し、フィルタマトリックス中の細孔を塞ぐおそれもある。本発明に係るフィルタは、そのような器具に使用した場合、目詰まりを起こすことなくかつ凝固温度の影響を受けることなく高性能レベルでろ過が持続されるので、優れている。この場合、材料の理想的な処方は、重量基準で、50%のPMX CF−1、22μmの平均粒径を有する25%の粉末状活性炭、および50〜150μmの範囲内の25%の顆粒状活性炭であろう。この処方は、所要により、鉛除去材を組み込むように変更を加えることが可能である。そのような場合、10%の鉛除去材(たとえば、EngelhardのATSTM)に適応するように、活性炭は、比例的に40%に低減される。得られるフィルタは、耐久性があり、優れた深層ろ過を呈し、しかも一貫性のある性能を提供するのに十分なろ過材を有する。
【0054】
冷蔵目的のフィルタの物理的特性について以上で概説してきたが、同様に重要な改良は、低温ろ過用途における活性炭の性能向上である。塩素を吸着する活性炭の能力は、温度が高くなるほど大きくなる。一試験では、ブロックマトリックスの形態の顆粒状活性炭のフィルタ中に塩素化水道水を通した。水温を21℃(70°F)から43℃(110°F)に上昇させることにより、比較評価を行った。本質的に気体である塩素は温度の上昇に伴って揮発性の増大した状態になるので、より高い温度で特筆すべき改良が達成された。塩素を除去する活性炭の能力が温度の低下に伴って減少するより低い温度では、逆のことが起こる。冷蔵庫フィルタは、極低温の冷蔵庫の扉から分配される氷や飲料水から塩素や鉛を除去することが主目的であるので、低下したより低い温度でフィルタを用いて塩素を除去できることが好ましい。本発明の好ましい実施形態を用いて作製されたフィルタは、より大きい利用可能な炭素表面積を提供するので、特に、活性炭の利用可能な表面積に完全に依存する塩素除去に関して、増大された能力を有する。冷蔵庫のキャビネット内にフィルタを設置する傾向が続いているので、フィルタをより小型化して邪魔にならないようにすることに、より重点が置かれるようになるであろう。本発明に係る処方は、特に、他のフィルタの全質量のわずか半分にすぎないフィルタを使用して塩素や鉛の除去を行うときに、優れた性能を提供することが明らかにされている。冷蔵庫のキャビネットの外部ではなくその内部にフィルタを設置する傾向と組み合わされるこの特徴は、フィルタを可能な限り小型化することが好ましいであろうということを意味する。本発明によれば、より多くの特徴および利点をもたせつつ、他のフィルタの三次元寸法のわずか半分にすぎないフィルタを構築することが可能である。冷蔵上有利であることが判明している他の特徴は、カーボンブロックの制約になっているパネルまたはシリンダ以外の形状にフィルタを成形できることである。したがって、使用可能な棚スペース中に突出させるのではなく、キャビネット中の利用可能性の少ないスペースに嵌入させうるフラットパネルブレンドでフィルタを作製することが可能である。塩素化水道水は、一方の側から他方の側にパネル中を流動し、パネルの厚さはフィルタマトリックスとして作用する。
【0055】
適用4
有機蒸気マスク:有機蒸気マスクは、空気から有害化学蒸気を吸入しないように使用者を保護する。先行技術は、非常に粗いメッシュと、酸性ガスの吸着を促進するために水酸化カリウムまたはヨウ化カリウムで含浸された顆粒状活性炭と、の使用を含む。炭素は、マスク中に空気を取り込むために一方の側に穿孔を有するキャニスタ中に稠密圧縮導入される。空気が活性炭の粗い顆粒上を通過するときに、気体の吸着は起こる。本発明では、多孔性物品は、外径(OD)がキャニスタとほぼ同一サイズになるように成形される。物品は、連続した側壁と、閉鎖端が丸形になるように半径をもたせた6mmの同一厚さの閉鎖端と、を有する、浅いシリンダ状に形成される。空気は、閉鎖端および側壁の外側から半径方向にシリンダを通って浅いコア中にさらにマスク中に流動する。物品の処方は、好ましい実施形態では、PMX CF−1(40重量%)に対して75〜150μmの範囲内の粒子分布を有する顆粒状活性炭(60重量%)を使用することを含む。粒子の移動および細孔サイズの減少を回避するために、物品をごくわずかに振動させる。遊動床炭素を本発明に係るより先進的な有機蒸気フィルタに置き換える能力は、物品の成形性能、少ない圧力低下、およびより高い性能をはじめとする特別な特性に依拠する。この適用で顆粒状炭素床が500〜2000μmの範囲の粒子分布を有する場合、これと比較して、粒子は、はるかに微細であり、吸着のためのより大きい表面積を提供する。
【0056】
適用5
空気および気体のろ過:ろ過材の表面積をより大きくすると同時に圧力低下を減少させる原理により、空気などの気体のろ過性能が向上する。先行技術の方法は、活性炭の粗大粒子が所与の空間内に圧縮されるフラットパネルの作製を包含し;他の選択肢として、空気用または気体用として設計されたいくつかのフィルタでは、微細炭素粉末が繊維材料に結合される。空気またはガスは、繊維を横切って流動し、その際に、活性炭で作製されているかまたは活性炭が組み込まれているろ過材に暴露される。本発明では、フラットパネルは、長さ、幅、および厚さにより画定される幾何形状に容易に成形可能である。パネルは自己支持性であり、そうした性質を組み込むためのいかなる構造も必要としない。貫流の容易さは、顆粒状活性炭粒子のようなろ過材の粗大顆粒をPMX CF−1に提供することにより達成される。
【0057】
気体ろ過のさらに他の用途は、タバコの煙からの有毒有機混入物の除去である。高活性炭粒子をPMX CF−1に結合させて、タールフィルタ内に取り付けられるフィルタディスクブレンドにすることが可能である。煙が炭素−ポリマーマトリックス中を通過するときに、いずれかの有毒有機蒸気が瞬時に取り込まれて炭素粒子の表面上に保持される。
【0058】
適用6
ウォータフィルタ:高性能のウォータフィルタに対する要求の高まりは、飲料水中にみられる残留化学物質、金属、および微生物が相次いで発見されたことおよび合わせてそれらが公表されてきたことに直接関連付けられる。水中の混入物は、4つのグループに分類可能である:(i)浮遊固体;(ii)重金属;(iii)有機系化学物質;たとえば、殺有害生物剤およびほとんどの化学物質;ならびに(iv)微生物。本発明に係る加工方法および処方を用いて作製されたフィルタは、4つのすべてのクラスの混入物の除去で優れた性能を示した。
【0059】
ウォータフィルタは、優れた密度でかつ広範にわたるメジアン細孔径が利用可能な形で耐久性になるように構築可能である。メジアン細孔径は、加工される材料の粒子分布さらにはフィルタマトリックスを作製するために使用されるポリマーを変化させることにより操作可能である。VOC(揮発性有機化学物質)のような最も厄介な混入物の除去に関して最高性能のフィルタを作製するために、一実施形態の高流量フィルタを次のように構築可能である:それは、30重量%のPMX CF−1と、20重量%のPMX CF−2と、20μm〜45μmの範囲内の50%の粉末状活性炭と、を有するであろう。重金属の除去を組み込むために、Engelhard MineralのATSTMゼオライトのような7%〜15%の収着剤を含むようにこの処方を調整可能である。正確な処方は、規格に準拠して決定されるであろう。反対に、フィルタをより開放的にしてより少ない圧力低下になるようにするのであれば、50μm〜150μmの粒子分布範囲内の中程度の粗さの炭素のブレンド物を用いて粉末状活性炭(PAC)を改変することにより、処方を調整することが可能である。追加される正確な量は、物品の形状および他の因子、たとえば、所望の流量、圧力低下、および深層ろ過性能に依存する。典型的なウォータフィルタ形状は、シリンダであり、通常、両端で開口するかまたは一端のみで開口する。シリンダは、長さ24センチメートル(9.5インチ)×OD5.7〜7.6センチメートル(2.25〜3.0インチ)であり、内径(ID)は2.54センチメートル(1インチ)である。水は、半径方向にODからIDに流動し、そして次に一方の開口端から流出する。このタイプの典型的なフィルタは、毎分4〜6リットルの流量であり、塩素、殺有害生物剤、MTBE(ガソリン添加剤)、VOC、リンダン、アスベスト、鉛のような重金属、およびクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)のような微生物を除去するように構築可能である。正確な量は、容量およびフィルタに課される性能要件により決定される。たとえば、この形状および寸法を有する極高流量フィルタでは、6LPMで>99%の鉛減少が性能上要求される場合、15重量%の鉛除去収着剤が必要とされるであろう。一方、4LPMの場合、わずか10%が必要とされるにすぎない。いくつかの場合には、最小限のNSF53プロトコルを満たすために、わずか7%が必要とされるにすぎないであろう。
【0060】
本発明に係る他の特徴は、絶対ミクロンろ過を介するのではなく蛇行を介して水中の混入物を除去する能力である。そのような厄介な混入物の1つは、大腸菌細菌である。国際的にみると、フィルタにそのような要求がなされている場合、ほとんどの国々では、大腸菌の3〜4logの減少が必要とされる。これは、次のように二段階法で本発明により達成される:病原細菌でさえも迷路様フィルタマトリックス内にトラップされた状態になるように、先に述べたような処方に基づいて、メジアン細孔径を低減させる。病原細菌はウォータフィルタの内部でコロニーを形成するであろうから、トラップされた微生物が複製されないようにしなければならない。この増殖物はバイオフィルムと呼ばれ、防止しなければならない。提案された化合物の調製中およびブレンド中、銀含浸物または銀イオン系もしくは銀/亜鉛イオン系抗微生物性粉末を最初にCF−1およびCF−2ポリマーにブレンドする。2種の化合物間に一時的結合を形成する静電引力が存在するので、その結果として、多くの場合0.2μm〜5.0μmのミクロン直径範囲内の微小抗微生物性粉末は、PMX粒子の表面に密着する。次の工程で他の材料をブレンドする。加工中、微細な抗微生物性粉末の大多数は、フィルタの構造への永久結合を即座に形成する位置に配置される。重量基準でのフィルタ上への典型的な担持量は、1パーセント〜5パーセントまでの範囲内でありうる。水がフィルタマトリックス中を通過するときに、選択された抗微生物剤の特定の特性によって異なる銀の活性により、細菌の複製能力が不活性化される。24〜48時間以内に、細菌は自然死する。通常の細菌が1時間あたり40回複製されると、この場合には複製が起こらないのでバイオフィルムは存在しない。死滅細菌は、有機物に分解されて活性炭粉末に即座に吸着される。臭気も残留物も存在しない。水から病原細菌を排除する本方法は、2つの一般的な細菌除去法であるヨウ素や塩素のような殺生物剤もUV(紫外光)ランプにパワー供給する電気も必要としないので、特有のものである。
【0061】
細菌除去フィルタを作製する本方法の使用は、極微細粉末(5μm未満)を適切に取り扱いかつそれらの効力を保持する能力に依拠する。圧縮炭素粒子から形成された構造性マトリックスを含むフィルタ(すなわちカーボンブロック)は、そのような微粉末を効率的に保存することができない。なぜなら、これらの微粒子の実質的部分は、炭素自体の隙間に収容された状態になるので、結果として、最初のフラッシュでフィルタから洗い流されて永久結合されたものがなくなるからである。
【0062】
流体(特に液体)中の浮遊粒子のろ過は、ろ過における本質的に予備的な工程である。典型的には、プレフィルタは、下流のフィルタが微細な沈降物粒子により早期に目詰まりを起こすことがないように、最初に微粒子を物理的に除去して液体を浄化するために取り付けられる。PMX CF−1の深層ろ過性能を最大化するように意図されたウェブ様マトリックスを作製するために、この高分子材料とフロックとをブレンドすれば、多量の沈降物が捕捉され保持されるであろう。フロックとは、残留糸状材料をわずか数μmまでの非常に短い長さにカットされたテキスタイル製造の副生成物である。これらの短い糸は、焼結中にポリマーに容易に結合し、次に、微粒子を捕捉するネットとして作用する。微粒子および塩素などの有機物の両方を水から予備ろ過するために、これを粗大活性炭粒子と組み合わせることが可能である。
【0063】
水のろ過に関して、本発明は、上記の実施例に限定されるとみなされるべきものでなく、特許請求の範囲に記載されている種々のフィルタ構成を包含するものであると理解しなければならない。小変更および等価技術は、フィルタ製造の技術分野の当業者には自明であろう。
【0064】
以上の説明は、本発明の原理を例示するにすぎないものとみなされる。「comprise(含む)」、「comprising」、「include(含む)」、「including」、および「includes」という用語は、本明細書で使用した場合、1つ以上の指定の特徴、整数、成分、または工程の存在を特定することが意図されたものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、成分、工程、またはそれらの群の存在や追加を除外するものではない。さらに、当業者であればいくつかの修正形態および変更形態は容易にわかるであろうから、以上に示され説明されている正確な構成および方法に本発明を限定するのは望ましくない。したがって、好適な修正形態および等価形態はすべて、上記の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に包含されるものとみなしうる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本明細書に組み込まれてその一部を形成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示したものであり、記載内容と合わせて本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図1】PMX CF−1と呼ばれる第1のベース高分子材料のモルフォロジーを示す顕微鏡写真である。
【図2】PMX CF−2と呼ばれる第2の高分子材料のモルフォロジーを示す顕微鏡写真である。
【図3】図1に示されるベース材料の粒子分布のグラフであり、平均ミクロン直径が37μmであることを示している。
【図4】図2に示される材料の粒子分布のグラフであり、平均ミクロン直径が60μmであることを示している。
【図5】本発明の好ましい実施形態の1つで使用されるろ過吸着材の粒子分布密度のレーザ粒子分析を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)30μm〜40μmの平均直径で10μm〜100μmの直径を有しかつ(ii)不規則な入り組んだ表面を有する複数のポリマー粒子と、酸性ガスの吸着を促進するヨウ化カリウムを含浸させた活性炭と、を含むフィルタを備えたろ過装置であって、前記ポリマー粒子が、20%以上のポリマー粒子と80%以下の活性炭との比で前記活性炭と組み合わされ、かつ前記ポリマー粒子および前記活性炭が、振動を用いて稠密なマトリックスにされている、ろ過装置。
【請求項2】
(i)30μm〜40μmの平均直径で10μm〜100μmの直径を有しかつ(ii)不規則な入り組んだ表面を有する複数のポリマー粒子と、酸性ガスの吸着を促進する水酸化カリウムを含浸させた活性炭と、を含むフィルタを備えたろ過装置であって、前記ポリマー粒子が、20%以上のポリマー粒子と80%以下の活性炭との比で前記活性炭と組み合わされ、かつ前記ポリマ粒子および前記活性炭が、振動を用いて稠密なマトリックスにされている、ろ過装置。
【請求項3】
(I)(i)30μm〜40μmの平均直径で10μm〜100μmの直径を有しかつ(ii)不規則な入り組んだ表面を有する複数の第1のポリマー粒子と、
(II)(i)50〜70μmの平均粒径で10〜160μmの平均粒子分布範囲と(ii)球状モルフォロジーとを含む複数の第2のポリマー粒子と、ここで、前記第1および第2のポリマー粒子が、振動を用いて稠密なマトリックスにされており、
(III)酸性ガスの吸着を促進するヨウ化カリウムを含浸させた活性炭と、ここで、前記ポリマー粒子が、20%以上のポリマー粒子と80%以下の活性炭との比で、前記活性炭と組み合わされており、
を含むフィルタを備えた、ろ過装置。
【請求項4】
(I)(i)30μm〜40μmの平均直径で10μm〜100μmの直径を有しかつ(ii)不規則な入り組んだ表面を有する複数の第1のポリマー粒子と、
(II)(i)50〜70μmの平均粒径で10〜160μmの平均粒子分布範囲と(ii)球状モルフォロジーとを含む複数の第2のポリマー粒子と、ここで、前記第1および第2のポリマー粒子が、振動を用いて稠密なマトリックスにされており、
(III)酸性ガスの吸着を促進する水酸化カリウムを含浸させた活性炭と、ここで、前記ポリマー粒子が、20%以上のポリマー粒子と80%以下の活性炭との比で、前記活性炭と組み合わされており、
を含むフィルタを備えた、ろ過装置。
【請求項5】
入り組んだ構造と30〜40μmの平均粒径とを有する10〜90重量%の複数の第1のポリマー粒子と、
球状の構造と30〜65μmの平均粒径とを有する0〜90重量%の複数の第2のポリマー粒子と、
0.025〜80重量%のろ過材と、ここで、前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、構造性マトリックスが形成されるように加工されており、
を含む、ろ過マトリックス。
【請求項6】
入り組んだ構造と10〜100μmの粒子分布範囲とを有する10〜90重量%の複数の第1のポリマー粒子と、
球状の構造と10〜180μmの粒子分布範囲とを有する0〜90重量%の複数の第2のポリマー粒子と、
0.025〜80重量%のろ過材と、ここで、前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、構造性マトリックスが形成されるように加工されており、
を含む、ろ過マトリックス。
【請求項7】
前記複数の第1のポリマー粒子の少なくとも1個が、有孔である、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項8】
前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、ブレンドされている、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項9】
前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、振動されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。
【請求項10】
前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、焼結されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。
【請求項11】
前記第1のポリマー粒子、前記第2のポリマー粒子、および前記ろ過材が、振動されかつ焼結されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。
【請求項12】
前記第1のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項13】
前記第1のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項14】
前記第2のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項15】
前記第2のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項16】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項17】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項18】
前記第1のポリマー粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項19】
前記第2のポリマー粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項20】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項21】
前記ろ過材が、
活性炭
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項22】
前記ろ過材が、
活性炭、重金属減少媒体、ヒ素除去媒体、抗微生物性媒体、イオン交換媒体、ヨウ素化樹脂、繊維、酸性ガス吸着媒体、および微粒子除去媒体
を含む群から選択される、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項23】
前記ろ過材が、
20〜180μmの平均粒径を有する活性炭
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項24】
前記ろ過材が、
実際の粒子分布の90%が1μm未満〜45μmの範囲内にある活性炭
を含む、請求項5または6のいずれか1項に記載のろ過マトリックス。
【請求項25】
入り組んだ構造と30〜40μmの平均粒径とを有する複数の第1のポリマ粒子を準備する操作と、
球状の構造と30〜65μmの平均粒径とを有する複数の第2のポリマー粒子を準備する操作と、
ろ過材を準備する操作と、
10〜90重量%の前記第1のポリマー粒子と0〜90重量%の前記第2のポリマー粒子と0.025〜80重量%の前記ろ過材とを共にブレンドする操作と、
得られたブレンド物を構造性マトリックスが形成されるように加工する操作と、
を含む、ろ過マトリックスの作製方法。
【請求項26】
入り組んだ構造と10〜100μmの粒子分布範囲とを有する複数の第1のポリマー粒子を準備する操作と、
球状の構造と10〜180μmの粒子分布範囲とを有する複数の第2のポリマー粒子を準備する操作と、
ろ過材を準備する操作と、
10〜90重量%の前記第1のポリマー粒子と0〜90重量%の前記第2のポリマー粒子と0.025〜80重量%の前記ろ過材とを共にブレンドする操作と、
得られたブレンド物を構造性マトリックスが形成されるように加工する操作と、
を含む、ろ過マトリックスの作製方法。
【請求項27】
前記複数の第1のポリマー粒子の少なくとも1個が、有孔である、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ブレンド操作の後、得られたブレンド物を振動させる操作
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ブレンド操作の後、得られたブレンド物を焼結する操作
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ブレンド操作の後、得られたブレンド物を振動させかつ焼結する操作
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のポリマー粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
ポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
750,000超の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のポリマー粒子および前記第2のポリマー粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記ろ過材が、
活性炭
を含む、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記ろ過材が、
活性炭、重金属減少媒体、ヒ素除去媒体、抗微生物性媒体、イオン交換媒体、ヨウ素化樹脂、繊維、酸性ガス吸着媒体、および微粒子除去媒体
を含む群から選択される、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ろ過材が、
20〜180μmの平均粒径を有する活性炭
を含む、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記ろ過材が、
実際の粒子分布の90%が1μm未満〜45μmの範囲内にある活性炭
を含む、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のポリマ粒子が、
3,000,000の分子量を有するポリエチレン
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
(i)30μm〜40μmの平均粒径で90μmの典型的粒子分布範囲と(ii)不規則な入り組んだ表面とを含む複数の第1のポリマー粒子と、(a)55μm〜65μmの平均粒径で170μmの典型的粒子分布範囲と(b)球状モルフォロジーとを含む複数の第2のポリマー粒子と、を含む多孔性プラスチックフィルタであって、前記第1および前記第2のポリマー粒子が、振動および焼結を用いて稠密化マトリックスにされている、多孔性プラスチックフィルタ。
【請求項45】
少なくとも、(i)30μm〜40μmの平均粒径で90μmの典型的粒子分布範囲と(ii)不規則な入り組んだ表面とを含む複数の第1のポリマー粒子と、活性炭と、を含む多孔性プラスチックフィルタであって、前記フィルタの活性炭含有率が20重量%〜80重量%の範囲内にあり、かつ前記ポリマー粒子および前記活性炭が、振動および焼結を用いて稠密化マトリックスにされている、多孔性プラスチックフィルタ。
【請求項46】
前記第1のポリマー粒子および前記ろ過材が、振動されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。
【請求項47】
前記第1のポリマー粒子および前記ろ過材が、焼結されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。
【請求項48】
前記第1のポリマー粒子および前記ろ過材が、振動されかつ焼結されている、請求項8に記載のろ過マトリックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−500165(P2008−500165A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515013(P2007−515013)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016792
【国際公開番号】WO2005/118108
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506067903)スリーエム イノベーティブ プロパティーズ カンパニー (23)
【Fターム(参考)】