説明

気体溶解装置及び気体溶解方法

【課題】 難溶解性気体の場合であっても、上記気体が溶解された液体を、溶解された気体の放出を最小限に抑制しつつ、次工程に搬送することが可能な気体溶解装置及び気体溶解方法を提供することにある。
【解決手段】 所定圧に加圧された気体を注入する気体注入部と、所定圧に加圧された液体を注入する液体注入部と、上記気体注入部及び上記液体注入部に接続されると共に、注入された上記気体と液体とを混合して溶解させる気液混合溶解器、及び上記気体が溶解した液体を注入時の圧力よりも低い所定圧まで減圧させる背圧バルブとを有する気液混合溶解部と、上記気液混合溶解部に接続されると共に、注入時の圧力よりも低い所定圧に加圧され、上記気体が溶解した液体と、上記気液混合溶解部おいて溶解しなかった気体とを、所定時間貯蔵して分離する気液分離部と、上記気液分離部に接続され、所定長及び所定径寸法を有し、上記気体が溶解された液体を減圧する減圧管路部とを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に難溶解性の気体を溶解させるための気体溶解装置及び気体溶解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を液体中に溶解させる目的は様々であるが、食品・飲料等の分野においては、水に二酸化炭素を溶解させた炭酸飲料の生成が従前から広く実施されている。
水に対する気体の溶解量は、溶媒である水の温度が同一温度であれば溶質気体の圧力に比例し(ヘンリーの法則)、また溶媒である水の温度が低いほど溶解量は増加する。
従って、例えば水への溶解度が高い二酸化炭素(0℃の水1体積あたり1.713(1atm))(岩波理化学辞典第3版第975頁)の場合は、密閉されたタンクまたは管路内において低温高圧下で液体と混合させることによって、容易に高濃度の炭酸水を得ることが可能であり、また、炭酸水からの二酸化炭素の放出も穏やかであるため、上記液体を送液する場合であっても、通常の管路によって送液が可能である。
【0003】
また、近年においては液体の酸化防止目的のために、液体を容器内に注入後封入前に、容器内の気体を窒素ガスで置換する方法がとられている。
しかしながら、液体を容器に充填する過程は通常の大気圧下で行われるため、容器内に存在する酸素による品質の劣化(酸化)を充分に防止できない、という不具合を有していた。
【0004】
上記の品質劣化を防止するため、液体に予め窒素ガスを溶解させておき、大気圧環境下若しくは密閉環境下において、充填対象容器に充填する方法が検討されている。
【0005】
しかしながら、窒素ガスは水に対して極めて溶けにくいという性質を有し、その溶解度は0℃の水1体積あたり0.0491(1atm)(岩波理化学辞典第3版第834頁)に留まることから、窒素ガスを水に溶解させる場合は、非常に高圧の環境、若しくは低温の環境が必要となる。
従って、現状においては、充填対象容器に窒素ガスを充填するため、液体充填と同時に液体窒素を数滴滴下して、即時に封入する方法が取られている。
上記方法の場合、液体窒素を滴下するための専用の構造が必要となるため、充填機の構造が複雑となり、従来の充填機をそのまま転用することができず、装置製造の製造コスト、維持コストが増大するという不具合を有していた。
また、低温の環境下で液体に窒素ガスを直接溶解させる方法の場合、容器に封入した液体を搬送する場合に、低温の液体によって容器の外表面が結露するという別途の不具合を有していた。
【0006】
また、高圧下で窒素ガスを溶解させた液体を充填する方法の場合は、窒素ガスが溶解した液体を充填工程等の次工程に送液する場合に、液体にかかっていた圧力を減圧する必要がある。
一般的に、気体を溶解させた後の液体の減圧は、次第に圧力を低く設定した複数のタンクを、バルブを介して接続し、上記バルブを介して順次低圧のタンクに上記液体を送液することよって、各タンクにおいて一括して減圧する、所謂段階除圧と呼ばれる方法が一般的であった。
しかしながら、上記のとおり、窒素ガスの溶解度が極めて低いことから、液体の送液時に、外部から衝撃が加えられた場合、上記液体から溶解した窒素ガスが放出される。
従って、上記の段階除圧の手法の場合、隣接するタンク間のバルブを通過する際に、バルブ前後の圧力差によって、上記液体に大きな衝撃がかかることから、窒素ガスが溶解した液体の除圧方法としては適切ではない、という不具合を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決する課題は、難溶解性気体であっても、常温下の環境において効率的液体中に溶解させることが可能であると共に、上記気体が溶解された液体を、溶解された気体の放出を最小限に抑制しつつ、次工程に搬送することが可能な気体溶解装置及び気体溶解方法を提供することにある。
また、本発明の別途の課題は、従来の充填機構造を変更せず、また液化窒素の滴下することなく、容器の内圧を高めることが可能な気体溶解装置、及び難溶解性気体が溶解された液体の容器封入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の気体溶解装置にあっては、所定圧に加圧された気体を注入する気体注入部と、所定圧に加圧された液体を注入する液体注入部と、上記気体注入部及び上記液体注入部に接続されると共に、注入された上記気体と液体とを混合して溶解させる気液混合溶解器、及び上記気体が溶解した液体を注入時の圧力よりも低い所定圧まで減圧させる背圧バルブとを有する気液混合溶解部と、上記気液混合溶解部に接続されると共に、注入時の圧力よりも低い所定圧に加圧され、上記気体が溶解した液体と、上記気液混合溶解部おいて溶解しなかった気体とを、所定時間貯蔵して分離する気液分離部と、上記気液分離部に接続され、所定長及び所定径寸法を有し、上記気体が溶解された液体を減圧する減圧管路部とを有することを特徴とする。
【0009】
従って、上記気液分離部において分離され、上記気体が溶解した液体は、上記減圧管路部内を送液される過程において、上記減圧管路内壁との摩擦抵抗による圧力損失が発生することによって送液過程において連続的に減圧される。
【0010】
また、請求項2の気体溶解装置にあっては、上記気液混合溶解器は上記気体注入部及び上記液体注入部に接続された静止型混合器からなり、上記静止型混合器は背圧バルブを介して上記気液分離部に接続されていることを特徴とする。
【0011】
従って、上記気液分離部の圧力を一定に保持すると共に、上記背圧バルブの挟所を上記気体と混合された液体が通過することにより、上記気液混合溶解部において混合された気体と液体との接触度を高め、更に上記気体の溶解が促進される。
【0012】
また、請求項3の気体溶解装置にあっては、上記気液分離部は所定容積を有する加圧タンクであり、上記加圧タンクには、内部の気体圧力が所定圧以上となった場合に上記気体を排出する圧力調整弁部が設けられていることを特徴とする。
従って、上記気液分離部において、常に上記気体の溶解度が一定に保たれる。
【0013】
また、請求項4の気体溶解装置にあっては、上記気液分離部と減圧管路部とは気体溶解液の流量を調整しうる流量調整バルブを介して接続されていることを特徴とする。
従って、上記減圧管路部に上記液体が流入する際の流量を、上記液体に対して与えられる衝撃を抑制することが可能な最適な値に調整することができる。
【0014】
また請求項5の気体溶解装置にあっては、上記減圧管路部の管路の径寸法は150mm以下であることを特徴とする。
また、請求項6の気体溶解装置にあっては、上記減圧管路部の管路の長さ寸法は10mm以上であることを特徴とする。
上記減圧管路における圧力損失がより大きくなる。
【0015】
また、請求項7の気体溶解装置にあっては、上記減圧管路部は次工程設備に向かって次第に太径となる接続管路部を介して、次工程設備に接続されていることを特徴とする。
従って、上記減圧管路部から次工程設備へ送液する過程において上記液体に対して大きな衝撃を与えることがない。
【0016】
また、請求項8の気体溶解装置にあっては、上記気体は窒素ガスであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の気体溶解装置にあっては、上記次工程設備は、上記気体が溶解した液体を容器に充填する液体充填部と、上記液体充填部において上記液体を封入した容器を封止する容器封止部とを備えることを特徴とする。
従って、上記液体が容器に封入された後に、上記液体に溶解した気体が徐々に放出され、容器内部に満たされることによって、上記容器内部の内圧が上昇する。
【0018】
また、請求項10記載の気体溶解方法にあっては、難溶解性気体を液中に溶解させる気体溶解方法であって、所定圧に加圧されて注入された気体を微細化し、所定圧に加圧されて注入された液体と混合し、上記気体を上記液体に溶解させ、背圧バルブによって所定圧に減圧して流出させる気液混合溶解工程と、上記気液混合溶解工程の後、流入した気体溶解液を、内部圧を所定圧に保持しながら所定時間貯蔵し、上記気体が溶解された液体と、上記液体に溶解されずに残存した気体とを分離する気液分離工程と、上記気液分離工程の後、上記液体を、所定の流量で、所定長及び所定径寸法を有する減圧管路部内に流通させることによる圧力損失によって上記液体の圧力を減圧する減圧工程と、上記減圧工程によって減圧された上記液体を次第に減圧しつつ、次第に口径が拡大する接続管路部を経由して次工程に搬送する搬送工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
従って、気体が溶解した液体に対して衝撃を与えることを防止すると共に、上記液体を送液する過程における圧力損失を利用して上記液体の減圧を連続的に行うことが可能となる。
【0020】
また、請求項11の気体溶解方法にあっては、上記気体は窒素ガスであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12の気体溶解液体の容器封入方法にあっては、請求項10または11いずれか1項に示す方法により気体が溶解された液体を容器に充填する充填工程と、液体充填後に上記容器を封止する封止工程とを有することを特徴とする。
従って、容器内に液体を充填する場合に、別途液体窒素を液中に滴下する必要は無く、従来の充填装置を用いて、容器中に上記気体が溶解された液体を充填し、容器を封止することができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明にあっては、請求項1の気体溶解装置にあっては、請求項1の気体溶解装置にあっては、所定圧に加圧された気体を注入する気体注入部と、所定圧に加圧された液体を注入する液体注入部と、上記気体注入部及び上記液体注入部に接続されると共に、注入された上記気体と液体とを混合して溶解させる気液混合溶解器、及び上記気体が溶解した液体を注入時の圧力よりも低い所定圧まで減圧させる背圧バルブとを有する気液混合溶解部と、上記気液混合溶解部に接続されると共に、注入時の圧力よりも低い所定圧に加圧され、上記気体が溶解した液体と、上記気液混合溶解部おいて溶解しなかった気体とを、所定時間貯蔵して分離する気液分離部と、上記気液分離部に接続され、所定長及び所定径寸法を有し、上記気体が溶解された液体を減圧する減圧管路部とを有することから、難溶解性気体の場合であっても、常温下の環境において効率的に液体中に溶解させると共に、上記気体が溶解された液体を、溶解された気体の放出を最小限に抑制しつつ、次工程に搬送することが可能な気体溶解装置及び気体溶解方法を提供することができる。
【0023】
また、請求項2の気体溶解装置にあっては、上記気液混合溶解器は上記気体注入部及び上記液体注入部に接続された静止型混合器からなり、上記静止型混合器は上記背圧バルブを介して上記気液分離部に接続されていることから、請求項1の効果に加え、上記気液分離部の圧力が変化した場合であっても最適な流出圧力に柔軟に対応することが可能であると共に、気液分離部以下の各部を洗浄する場合は、上記背圧バルブを全開放することによって容易に洗浄を実施することが可能となるため、衛生性に優れた気体溶解装置を提供することができる。
【0024】
また、請求項3の発明にあっては、上記気液分離部は所定容積を有する加圧タンクであり、上記加圧タンクには、内部の気体圧力が所定圧以上となった場合に上記気体を排出する圧力調整弁部が設けられていることから、
従って、請求項1及び2の効果に加え、上記気体の溶解度を最適な状態に保持することが可能な気体溶解装置を提供することができる。
【0025】
また、請求項4の発明あっては、上記気液分離部と減圧管路部とは気体溶解液の流量を調整しうる流量調整バルブを介して接続されていることを特徴とする。
【0026】
従って、上記減圧管路部に液体を流出させる場合の流量を、上記液体に対する衝撃を抑制しうる最適な流量に適宜調整することが可能となることから、上記減圧管路部に流出する際に、溶解した気体が放出され難い気体溶解装置を提供することができる。
【0027】
また請求項5の発明にあっては、上記減圧管路部の管路の径寸法は150mm以下であり、また、請求項6の発明にあっては、上記減圧管路部の管路の長さ寸法は10mm以上であることを特徴とする。
【0028】
従って、上記減圧管路部の径寸法が通常の送液用管路の径寸法よりも細径、若しくは管路の長さ寸法が長くなるほど、上記減圧管路部内壁と送液される液体との摩擦抵抗力による圧力損失が大きくなり、上記液体の有する圧力が連続的に且つより効率的に減圧されるため、溶解した気体の放出を抑制しながら、効率的に上記液体の減圧を行うことが可能な気体溶解装置を提供することができる。
【0029】
また、請求項7記載の発明にあっては、上記減圧管路部は次工程設備に向かって次第に太径となる接続管路を介して、次工程設備に接続されていることから、上記次工程設備への送液過程において、液体中に溶解した気体が放出されることを防止可能な気体溶解装置を提供することが可能となる。
【0030】
また、請求項8記載の発明にあっては、上記気体は窒素ガスであることから、液体に窒素ガスを溶解させることが可能となる。
従って、次工程設備において液体を容器に充填する場合、別途窒素ガスを充填する工程が不要となり、窒素ガスの充填工程における液体の品質の劣化を防止することが可能となる。
【0031】
また、請求項9の発明にあっては、上記減圧管路部に接続され、上記気体が溶解した液体を容器に封入する液体充填部と、上記液体充填部において上記液体を封入した容器を封止する容器封止部とからなることから、従来の充填機構造を変更せず、また液化窒素の滴下することなく、上記気体が溶解した液体を容器に封入するとともに上記容器の内圧を高めることができる。
【0032】
また、請求項10記載の気体溶解方法にあっては、難溶解性気体を液中に溶解させる気体溶解方法であって、所定圧に加圧されて注入された気体を微細化し、所定圧に加圧されて注入された液体と混合し、上記気体を上記液体に溶解させ、背圧バルブによって所定圧に減圧して流出させる気液混合溶解工程と、上記気液混合溶解工程の後、流入した気体溶解液を、内部圧を所定圧に保持しながら所定時間貯蔵し、上記気体が溶解された液体と、上記液体に溶解されずに残存した気体とを分離する気液分離工程と、上記気液分離工程の後、上記液体を、所定の流量で、所定長及び所定径寸法を有する減圧管路部内に流通させることによる圧力損失によって上記液体の圧力を減圧する減圧工程と、上記減圧工程によって減圧された上記液体を次第に減圧しつつ、次第に口径が拡大する接続管路部を経由して次工程に搬送する搬送工程とを備えることから、難溶解性気体が溶解された液体を、溶解された気体の放出を最小限に抑制しつつ、効率的に減圧すると共に、次工程に搬送することが可能な気体溶解方法を提供することが可能となる。
【0033】
また、請求項11の気体溶解方法にあっては、上記気体は窒素ガスであることから、液体に窒素ガスを溶解させることが可能となる。
従って、次工程設備において液体を容器に充填する場合、別途窒素ガスを充填する工程が不要となり、窒素ガスの充填工程における液体の品質の劣化を防止することが可能となる。
【0034】
また、請求項12の気体溶解液体の容器封入方法にあっては、請求項10又は11いずれか1項に示す方法により気体が溶解された液体を容器に充填する充填工程と、液体充填後に上記容器を封止する封止工程とを有することから、従来の充填機構造を変更せず、また液化窒素の滴下することなく、容器の内圧を高めることが可能な、難溶解性気体が溶解された液体の容器封入方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき本発明に係る気体溶解装置を説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施例に係る気体溶解装置10は、所定圧に加圧された窒素ガスである気体を注入する気体注入部11と、所定圧に加圧された液体を注入する液体注入部12と、上記気体注入部11及び上記液体注入部12に接続されると共に、注入された窒素ガスと液体とを混合して溶解させる気液混合溶解器13、13と、上記気液混合溶解器13、13で上記窒素ガスが溶解した液体を注入時の圧力よりも低い所定圧まで減圧させる背圧バルブ18とからなる気液混合溶解部14と、上記気液混合溶解部14に接続されると共に、注入時の圧力よりも低い所定圧に加圧され、上記窒素ガスが溶解した液体と上記気液混合溶解部14おいて溶解しなかった窒素ガスとを、所定時間貯蔵して分離する気液分離部15と、上記気液分離部15に接続され、所定長及び所定径寸法を有し、上記窒素ガスが溶解された液体を減圧する減圧管路部16とを有している。
また、上記気液混合溶解器13、13は上記気体注入部11及び上記液体注入部12に接続された静止型混合器17a、17bからなり、上記静止型混合器4bは背圧バルブ18を介して上記気液分離部15に接続されている。上記気液分離部15は所定容積を有する加圧タンク19であり、上記加圧タンク19には、内部の窒素ガス圧力が所定圧以上となった場合に、上記窒素ガスを外部に排出する圧力調整弁部20が設けられている。
また、上記気液分離部15と減圧管路部16とは上記気体溶解液の流量を調整しうる流量調整バルブ21を介して接続されている。
また上記減圧管路部16の管路の径寸法は14mmであり、管路の長さ寸法は20,000mmに形成されている。
また、上記減圧管路部16は次工程設備タンク24側に向かって次第に太径となる接続管路部23を介して、次工程設備用タンク24に接続されている。
また、上記次工程設備用タンク24には、上記気体溶解液をペットボトル29aに充填する液体充填部27が接続され、更に上記液体充填部27には、上記液体充填部27によって液体が充填されたペットボトル29aを封止する、容器封止部28が接続されている。
【実施例1】
【0037】
上記形態における本実施例について添付図面を用いて以下詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る気体溶解装置10の全体構成を示す概念図である。
図1に示すように、気体注入部11は別途設けられたボンベ等(図1には図示せず)から供給される窒素ガスを注入する。
また、液体注入部12に注入される液体は、別途プラント設備(図1には図示せず)から管路(図1には図示せず)を介して注入される。
また、上記気体注入部11から注入される窒素ガスの圧力は約1MPaに調整されている。
【0038】
また、図1に示すように静止型混合器17a、17bである上記気液混合溶解器13、13は、一般的に円筒形の外筒25a、25bの内方に、仕切板26b、26bが配置されて形成されており、上記仕切り板26b、26bによって内部に流通する液体に旋回流を発生させるように形成されている。
これにより、上記液体に混合された窒素ガスは上記液体内において微細の泡状となり、液体との接触面積が拡大することから、より溶解し易くなる。
なお、上記外筒25a、25b、仕切板26b、26bの形状等が異なっている場合であっても、窒素ガスを微細化して液体と混合させる仕様を有していれば、適宜変更が可能である。
【0039】
また、図1に示すように上記気液分離部15の加圧タンク19には、溶解した窒素ガスが溶け出さないため、所定の飽和圧力に保たれており、本実施例の場合は、約0.4MPaに設定されている。
上記加圧タンク19の上部には、未溶解の窒素ガスによって加圧タンク19内の窒素ガス圧力が上記飽和圧力を超えた場合に、上記窒素ガスを排出する、圧力計測装置22を備えた圧力調整弁部20が配設されている。
また、上記加圧タンク19の底部には、流量調整バルブ21が配設され、上記流量調整バルブ21は上記減圧管路部16に接続されている。
また、上記流量調整バルブ21は、開閉操作時において、上記液体に与える衝撃を抑制するために、可能な限り開閉時の差圧を抑制しうるように形成されている。
【0040】
また、図1に示すように、上記減圧管路部16は管路の径寸法は通常の管路の径寸法よりも細径の50mmに形成され、また、上記減圧管路部16の長さ寸法は30,000mmに形成されているが、上記減圧管路部16の径寸法及び長さ寸法は、最終的に目標の液体圧力となるように適宜変更が可能である
【0041】
また、上記減圧管路部16と上記次工程設備用タンク24とを接続可能とすると共、送液時において、上記液体に与える衝撃を抑制し、溶解した窒素ガスの放出を防止するために、上記接続管路部23は上記次工程設備タンク24に向かって次第に太径となるように形成されている。
また、上記次工程設備タンク24には、窒素ガスが溶解した液体をペットボトル29aに充填するための液体充填部27と、上記液体充填部27によって液体が充填されたペットボトル29aの蓋部29bを封止する容器封止部28とが夫々接続されている。
なお、本実施例においては、上記液体充填部27は次工程設備用タンク24に接続する構成としているが、上記次工程設備用タンク24は、一時的に気体溶解液を保持するものであるため、必須の構成ではなく、この場合、上記液体充填部27と上記接続管路部23が直接接続された構成としても良い。
【0042】
上記実施例の構成における作用について、図面を用いて説明する。
図1に示すように気体注入部11から注入された窒素ガスは、上記静止型混合器17a、17bによって微細化して液体と混合されることによって、液体に溶解され、上記液体は、上記背圧バルブ18によって所定圧である0.4MPaを保持しながら上記気液分離部15に流入する。(図2における気液混合溶解工程31に相当)。
なお、上記背圧バルブ18は圧力調整の他、上記液体が上記背圧バルブ18の挟所を通過することによって、上記窒素ガスと上記液体との接触が促進され、窒素ガスの溶解度を更に高める作用を有している。
また、図2における上記気液混合溶解工程31の後、図1に示すように、記気液分離部15の加圧タンク19において、流入した気体溶解液を、内部圧を0.4MPaに保持しながら所定時間貯蔵し、上記窒素ガスが溶解した液体と、溶解されずに残存した窒素ガスとを分離する(図2における気液分離工程32に相当)。
上記加圧タンク19内を加圧する理由は、上記背圧バルブ18を介して流入した液体に溶解された窒素ガスが必要以上に放出しないようにするためである。
上記気液分離工程32の後、上記液体を、所定の流量で、減圧管路部16内に流通させることにより、上記液体と上記減圧管路部16の内壁との摩擦抵抗から生じる圧力損失によって、上記液体の圧力は連続的に減圧される(図2における減圧工程33に相当)。
この際、バルブ等の装置を介していないため、上記液体に不要な衝撃を与えることが無く、溶解した窒素ガスの放出を抑制することが可能である。
減圧後の上記液体は、次第に口径が拡大する接続管路部23を経由して、更に減圧されつつ次工程設備用タンク24に流入する(図2における搬送工程34に相当)。
本実施例によって、極めて難溶解性である窒素ガスを、効率的に液体に溶解させることが可能である。
更に、上記気体溶解液体は、上記液体充填部27によってペットボトル29aに上記液体が充填され(図2における液体充填工程35に相当)た後、上記ペットボトル29aは上記容器封止部28によって、蓋部29bが封止される(図2における容器封止工程36に相当)。
その後、上記ペットボトル29a内には、上記気体溶解液体に溶解した窒素ガスが気液平衡状態となるまで徐々に放出される。
従って、発生した窒素ガスによって、ペットボトル29aの内圧が上昇し、搬送時等に衝撃を受けた場合でも、ペットボトル29aが変形破損し難いという効果を呈する。
また、充填される液体は常温下で処理されているため、搬送中にペットボトル29aの外表面部に結露が生じる虞もない。
【0043】
なお、本実施例においては、上記減圧管路部16と上記接続管路部23を独立した設備とし、且つ上記減圧工程33と上記搬送工程34とを別工程として記載したが、上記減圧管路部16と接続管路部23の必要な仕様を満たせば、一体の設備とすることも可能であり、この場合、上記減圧工程33と搬送工程34は一体の工程となる。
【0044】
更に、本実施例においては、溶解対象気体が窒素である場合を例に説明したが、窒素以外であっても、気体の溶解プロセスは共通であり、さまざまな気体に適用することができる。
従って、本発明は易溶解性の気体、例えば二酸化炭素を溶解する所謂カーボネーターとして使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は液体に難溶解性の気体を溶解させるための気体溶解装置及び気体溶解方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、実施例の形態における気体溶解装置の概要を示す全体構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、実施例の形態における気体溶解方法及び気体溶解液体の容器への封入方法の工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 気体溶解装置
11 気体注入部
12 液体注入部
13 気液混合溶解器
14 気液混合溶解部
15 気液分離部
16 減圧管路部
17a静止型混合器
17b静止型混合器
18 背圧バルブ
19 加圧タンク
20 圧力調整弁部
21 流量調整バルブ
22 圧力計測部
23 接続管路部
24 次工程設備用タンク
25a円筒
25b円筒
26a仕切り板部
26b仕切り板部
27 液体充填部
28 容器封止部
29aペットボトル
29b蓋部
30 気液混合方法
31 気液混合溶解工程
32 気液分離工程
33 減圧工程
34 搬送工程
35 液体充填工程
36 容器封止工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶解性気体を液体に溶解させる気体溶解装置であって、
所定圧に加圧された気体を注入する気体注入部と、
所定圧に加圧された液体を注入する液体注入部と、
上記気体注入部及び上記液体注入部に接続されると共に、注入された上記気体と液体とを混合して溶解させる気液混合溶解器、及び上記気体が溶解した液体を注入時の圧力よりも低い所定圧まで減圧させる背圧バルブとを有する気液混合溶解部と、
上記気液混合溶解部に接続されると共に、注入時の圧力よりも低い所定圧に加圧され、上記気体が溶解した液体と、上記気液混合溶解部おいて溶解しなかった気体とを、所定時間貯蔵して分離する気液分離部と、
上記気液分離部に接続され、所定長及び所定径寸法を有し、上記気体が溶解された液体を減圧する減圧管路部とを有することを特徴とする気体溶解装置。
【請求項2】
上記気液混合溶解器は上記気体注入部及び上記液体注入部に接続された静止型混合器からなり、
上記静止型混合器は上記背圧バルブを介して上記気液分離部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の気体溶解装置。
【請求項3】
上記気液分離部は所定容積を有する加圧タンクであり、
上記加圧タンクには、内部の気体圧力が所定圧以上となった場合に上記気体を排出する圧力調整弁部が設けられていることを特徴とする請求項1または2いずれか1項に記載の気体溶解装置。
【請求項4】
上記気液分離部と減圧管路部とは気体溶解液の流量を調整しうる流量調整バルブを介して接続されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の気体溶解装置。
【請求項5】
上記減圧管路部の管路の径寸法は150mm以下であることを特徴とする請求項1記載の気体溶解装置。
【請求項6】
上記減圧管路部の管路の長さ寸法は10mm以上であることを特徴とする請求項1または5記載の気体溶解装置。
【請求項7】
上記減圧管路部は次工程設備側に向かって次第に太径となる接続管路部を介して、次工程設備に接続されていることを特徴とする請求項1、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の気体溶解装置。
【請求項8】
上記気体は窒素ガスであることを特徴とする請求項1記載の気体溶解装置。
【請求項9】
上記次工程設備は、上記気体が溶解した液体を容器に充填する液体充填部と、上記液体充填部において上記液体を封入した容器を封止する容器封止部とを備えることを特徴とする請求項7に記載の気体溶解装置。
【請求項10】
難溶解性気体を液中に溶解させる気体溶解方法であって、
所定圧に加圧されて注入された気体を微細化し、所定圧に加圧されて注入された液体と混合し、上記気体を上記液体に溶解させ、背圧バルブによって所定圧に減圧して流出させる気液混合溶解工程と、
上記気液混合溶解工程の後、流入された気体溶解液を、内部圧を所定圧に保持しながら所定時間貯蔵し、上記気体が溶解された液体と、上記液体に溶解されずに残存した気体とを分離する気液分離工程と、
上記気液分離工程の後、上記液体を、所定の流量で、所定長及び所定径寸法を有する減圧管路部内に流通させることによる圧力損失によって上記液体の圧力を減圧する減圧工程と、
上記減圧工程によって減圧された上記液体を次第に減圧しつつ、次第に口径が拡大する接続管路部を経由して次工程に搬送する搬送工程とを備えることを特徴とする気体溶解方法。
【請求項11】
上記気体は窒素ガスであることを特徴とする請求項10に記載の気体溶解方法。
【請求項12】
請求項10又は11いずれか1項に示す方法により気体が溶解された液体を容器に充填する液体充填工程と、液体充填後に上記容器を封止する容器封止工程とを有することを特徴とする気体溶解液体の容器封入方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−17944(P2013−17944A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152549(P2011−152549)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000157946)岩井機械工業株式会社 (37)
【出願人】(511168213)株式会社アセプティック・システム (1)
【Fターム(参考)】