気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタ
【課題】 装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と、気泡品質の向上との両立を図り得る気泡発生装置を提供する。
【解決手段】 微細気泡を含む噴出流が浴槽B内に放出される噴出ノズル15から所定の隙間間隔だけ前方位置に飛散防止板13を付設する。飛散防止板13として、水中に放出される場合の噴出流を通過させるための開口部131と、その外周側で飛散を防止するための遮蔽壁部132とで構成する。遮蔽壁部132の後端面領域であって、開口部131の外周側領域にドーナッツ環状に延びる凹み部133を形成し、本体ハウジング12との間の隙間間隔をその分拡げる。
【解決手段】 微細気泡を含む噴出流が浴槽B内に放出される噴出ノズル15から所定の隙間間隔だけ前方位置に飛散防止板13を付設する。飛散防止板13として、水中に放出される場合の噴出流を通過させるための開口部131と、その外周側で飛散を防止するための遮蔽壁部132とで構成する。遮蔽壁部132の後端面領域であって、開口部131の外周側領域にドーナッツ環状に延びる凹み部133を形成し、本体ハウジング12との間の隙間間隔をその分拡げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に設けられて浴槽内の浴槽水中に微細気泡(マイクロバブル)を含んだ噴出流を放出させる噴出ノズルを備えた気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタに関し、特に噴出ノズルの前方位置に飛散防止板を設置しつつも、気泡性能が損なわれることのないようにするための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽に設置した循環アダプタに対し気泡発生装置を内蔵させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この気泡発生装置は、上記循環アダプタによる浴槽水の循環流を利用して、浴槽内に気泡を含んだ噴出流を噴出させるようにしたものである。すなわち、浴槽内から浴槽水を取り出した後に再び浴槽内に戻すという循環アダプタによる循環作動において、循環水を浴槽内に戻す際の吐出流に基づく負圧を利用して空気を循環水中に取り込み、これにより、気泡が混合された状態にして浴槽内に吐出させるというものである。より詳細には、旋回室に対し外周側から循環水を噴出させることにより旋回室内に旋回流を生じさせ、この旋回流の発生に伴い作用する負圧により空気を旋回流に取り込み、これを噴出ノズルから浴槽内に対し噴出させることで微細気泡が混入した噴出流が浴槽水中に放出されるようにしている。そして、この気泡発生装置では、浴槽内の浴槽水位が例えば噴出ノズルよりも低い場合には上記の噴出流が空気中に放出されることになって水中に放出される場合よりも外周側に拡がった状態で放出されることになり、又、特に浴槽蓋が開けられている場合には浴槽外にも飛散する可能性に鑑み、噴出ノズルから前方に所定距離隔てた位置に飛散防止板を付設するようにしている。この飛散防止板は、噴出ノズルからの噴出流が水中に向けて放出される場合にはその噴出流の通過を阻害しない開口部と、この開口部の外周側領域を遮蔽する遮蔽壁部とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の飛散防止板を付設すると、特に浴槽水中に対し噴出ノズルから微細気泡を含む噴出流を放出する際の気泡品質の悪化を招くおそれがある一方、飛散防止板を付設しない場合と同等の気泡品質の維持と、空気中への噴出流の放出の際の飛散防止性能の確保との両立が困難になるという不都合が考えられる。
【0005】
すなわち、図11に例示するように、噴出ノズル101から旋回状態の噴出流Fが前方の浴槽水中に対し略円錐状に放出されると、これに伴い、その略円錐状となって前方に向かう噴出流Fの外周側から逆向きに後方に戻って内周側の噴出ノズル101に向かう環流Kが生じることになる。この環流Kの発生により噴出流Fが浴槽水中を前方に向けて所定位置まで到達することになる。ところが、飛散防止板102の存在によりスムーズな環流Kの生成が妨げられてしまい、この結果、噴出流Fの勢いが削がれて、微細気泡を浴槽水中の目標位置まで到達させ得ない上に、微細気泡の個数の減少やより大きな気泡となって上昇してしまうというような気泡品質の悪化を招くおそれがある。その一方、よりスムーズな環流Kを生成させるために、飛散防止板102を噴出ノズル101からより遠くに離れた前方位置に設置するようにすることも考えられるものの、そのようにすると、浴槽Bの内側への出っ張り部分が生じたり、装置の大型化を招いたりすることになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と、気泡品質の向上との両立を図り得る気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、微細気泡を含む噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルと、この噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板とを備え、上記飛散防止板が上記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して噴出流が飛散するのを防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されている気泡発生装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記飛散防止板の噴出ノズル側に臨む上記遮蔽壁部の領域であって上記開口部の外周側領域に、ドーナッツ環状に延びる凹み部を形成することとした(請求項1)。
【0008】
本発明の場合、凹み部の形成により、飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔が凹み部の底位置から本体ハウジングまでの間隔となって、凹み部が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部を形成した分、大きくなる。これにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間に対し環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積が増大し、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようになる。このため、飛散防止板を本体ハウジングに対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流の不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避して、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽内の所定位置まで到達させ得るようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図り得るようになる。
【0009】
上記発明において、上記開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間に、上記凹み部の底に至る傾斜面を形成するようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、特に浴槽内の水位が噴出ノズル位置よりも低くて噴出ノズルからの噴出流がより拡がる傾向になったとしても、その開口部よりも外周側に拡がった噴出流部分の流れの向きが上記傾斜面に案内されてスムーズに変化され、凹み部の底に沿って外周側に排除し得るようになる。これにより、飛散防止機能をより効果的にかつ確実に発揮させ得るようになる。
【0010】
又、上記発明における凹み部として、上記開口部に近い内周側が上記開口部から遠い外周側よりも深く凹むように形成することができる(請求項3)。このようにすることにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間間隔として外周側よりも内周側の方を大きくすることが可能となる。このため、凹み部の深さを外周側から内周側にかけて一定に形成した場合よりも、環流が通過し得る開口断面積が相対的に大きくなって、環流の流入に伴う圧力損失の低減化を図り得るようになる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0011】
さらに、上記発明において、上記噴出ノズルを備えた本体ハウジングに、上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部を形成することができる(請求項4)。このようにすることにより、環流が流入することになる飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔が、上記第2の凹み部を形成した分、より大きくなる。このため、飛散防止板側の凹み部だけの場合よりも、環流の通過開口断面積を相対的に大きくして、環流の流入に伴う圧力損失をより一層低減化させることが可能となる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることが可能となる。
【0012】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明では、上記の請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置を内蔵させることで(請求項5)、上記の請求項1〜請求項4のいずれかの気泡発生装置による作用を循環アダプタにおいて得られることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の気泡発生装置によれば、飛散防止板に対する凹み部の形成により、飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔を凹み部の底位置から本体ハウジングまでの間隔にして、凹み部が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部を形成した分大きくすることができる。これにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間に対し環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積を増大させることができ、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入させることができるようになる。このため、飛散防止板を本体ハウジングに対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流の不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避することができ、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽内の所定位置まで到達させることができるようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図ることができるようになる。
【0014】
特に、請求項2によれば、開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間に凹み部の底に至る傾斜面を形成することで、特に浴槽内の水位が噴出ノズル位置よりも低くて噴出ノズルからの噴出流がより拡がる傾向になったとしても、その開口部よりも外周側に拡がった噴出流部分の流れの向きを上記傾斜面により案内してスムーズに変化させることができ、凹み部の底に沿って外周側に排除することができるようになる。これにより、飛散防止機能をより効果的にかつ確実に発揮させることができるようになる。
【0015】
又、請求項3によれば、開口部に近い内周側が開口部から遠い外周側よりも深く凹むように凹み部を形成することで、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間間隔として外周側よりも内周側を大きくすることができる。このため、凹み部の深さとして外周側から内周側にかけて一定に形成した場合よりも、環流が通過し得る開口断面積を相対的に大きくすることができ、環流の流入に伴う圧力損失のより低減化を図ることができるようになる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0016】
さらに、請求項4によれば、噴出ノズルを備えた本体ハウジングに対し上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部を形成することで、環流が流入することになる飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔として、上記第2の凹み部を形成した分、より大きくすることができる。このため、飛散防止板側の凹み部だけの場合よりも、環流の通過開口断面積を相対的に大きくすることができ、環流の流入に伴う圧力損失をより一層低減化させることができる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0017】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明によれば、上記の請求項1〜請求項4のいずれかの気泡発生装置による効果を循環アダプタにおいて得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は第1実施形態に係る気泡発生装置を原理的に示す断面説明図であり、図1(b)は飛散防止板を内面側から見た斜視図により例示する説明図である。
【図2】図2(a)は噴出流が水中に放出された場合の図1(a)対応図であり、図2(b)は噴出流が空気中に放出された場合の図1(a)対応図である。
【図3】図3(a)は他の形態1を示す図1(a)対応図であり、図3(b)は他の形態2を示す図1(a)対応図である。
【図4】気泡発生装置を循環アダプタに内蔵した第2実施形態を適用した風呂システムの例を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の気泡発生装置を内蔵した追焚循環用の循環アダプタの斜視図である。
【図6】図5のA−A線断面説明図である。
【図7】図5及び図6の循環アダプタを用いた追い焚き運転の作動原理を示す説明図である。
【図8】図5及び図6の循環アダプタを用いた気泡発生運転の作動原理図を示す図7対応図である。
【図9】切替レバー等を省略した図6の要部の拡大図である。
【図10】飛散防止板の内面側を例示する循環アダプタの分解斜視図である。
【図11】本発明の課題を示すために例示した気泡発生装置の図1(a)対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1(a),図2(a),図2(b)は第1実施形態に係る原理的な気泡発生装置1を示す。この気泡発生装置1は、内部に旋回室11を区画形成した本体ハウジング12と、この本体ハウジング12の前側位置に付設された飛散防止板13とを備えて構成されたものである。旋回室11は筒軸Xを中心軸とする円筒状の内周面を有し、旋回流を生じさせるための水(湯又は水)が内部通路121を通して吐出口122から旋回室11の接線方向に吐出されるようになっている。又、旋回室11後端(図面の右端)には空気吐出口14が筒軸X上に開口されており、外部から取り込まれた空気が後述の負圧の作用により旋回室11内に吸気されるようになっている。旋回室11は前端側で孔径が絞られた噴出ノズル15を通して浴槽B内と連通されている。噴出ノズル15は、旋回室11側の絞り部151と、この絞り部151から浴槽B内にかけて徐々に拡径する台錐状の斜面により構成された絞り絞り開放部152とで形成されている。
【0021】
上記飛散防止板13は、図1(b)にも示すように、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上で貫通して開口する開口部131と、この開口部131の外周側に拡がる遮蔽壁部132とから構成されている。そして、飛散防止板13は、図示省略の連結部により本体ハウジング12に連結されて、本体ハウジング12の浴槽B内に臨む前端面から所定の隙間間隔Sだけ離れた前側位置に支持されている。上記開口部131は、上記の絞り開放部152を構成する斜面の延長面が飛散防止板13との相対向面と交わることで形成される投影円と略同径の内径を有するように形成されている。飛散防止板13の上記の相対向面(本体ハウジング12の前端面との相対向面)により構成される上記の遮蔽壁部132には凹み部133が形成されている。この凹み部133は、少なくとも開口部131の開口縁位置から外周側のドーナッツ環状の領域に形成されるものであり、望ましくは図例の如く飛散防止板13の外周縁位置(遮蔽壁部132の外周縁位置)までの前領域にわたり形成されている。上記の開口部131と凹み部133との間の境界位置となる開口縁位置には本体ハウジング12の側に尖るように突出する突縁134が形成され、飛散防止板13の外周縁である遮蔽壁部132の外周縁位置にも同様の突縁135が形成されている。特に上記突縁134から凹み部133の底に至る部分が傾斜面134aにより構成され、後述の噴出流の外周側部位の流れの向きを凹み部133に沿って外周側にスムーズに導くように案内し得るようになっている。
【0022】
凹み部133の形成により、本体ハウジング12との間の隙間間隔が凹み部133の底位置から本体ハウジング12の前端面までの間隔であるS0(S0>S)となって、凹み部133が非形成の状態の隙間間隔Sよりも凹み部133を形成した分大きくなる。これにより、本体ハウジング12と飛散防止板13との間の隙間に対し環流Kが外周側から内周側へ流入する際の通過断面積M(図1(b)参照)が増大し、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0023】
以上の第1実施形態によれば、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも高くあって、噴出ノズルからの噴出流が浴槽B内の水中に放出されるようになる場合、図2(a)に示すように、まず、吐出口122から吐出された水流により旋回室11内の旋回流が発生し、この旋回流に伴い空気吐出口14に対し負圧が作用して、空気吐出口14から空気が旋回流の中心軸X上に巻き込まれることになる。そして、この中空渦状の旋回流が噴出ノズル15の絞り部151で一旦絞られた後に絞り開放部152で急開放される結果、負圧作用に基づき微細化した微細気泡を含んで所定の円錐状となった噴出流Fが前方(動図の左方)に放出されることになる。この噴出流Fは飛散防止板13の開口部131をそのまま通過して浴槽Bの浴槽水中を所定位置まで突き進むことになる。これと同時に開口部131を通過後の噴出流Fの外周側領域の水(湯又は水)が環流Kとなって飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間に対し外周側から内周側に向けて流入することになり、この流入した環流Kと共に噴出流Fが前方に移動し、これらが繰り返されることになる。
【0024】
この際、上記の如く凹み部133の形成により通過断面積が増大して圧力損失の低減化に伴い、環流Kが噴出ノズル15から放出される噴出流に対しよりスムーズに流れるため、噴出流が浴槽水中に対し有効かつ効果的に放出させることができるようになる。これにより、飛散防止板13を本体ハウジング12に対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流Kの不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避して、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽B内の所定位置まで到達させることができるようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図ることができるようになる。
【0025】
なお、内周側の突縁134が環流Kの通過に対しボトルネックになるものの、ここに至るまでの圧力損失を低減することができるため、トータルとして環流Kの流入に対する圧力損失を低減させることができるようになる。
【0026】
一方、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも低く、噴出ノズルからの噴出流が空気中に放出されるようになる場合、図2(b)に示すように、噴出ノズル15から水中に放出されるときよりも広い円錐状に拡がった状態で噴出流が放出されたとしても、開口部131範囲よりも外周側の流れF′は飛散防止板13の遮蔽壁部132に当たり、浴槽Bの前方への飛散が防止されることになる。この際、開口部131の開口縁である突縁134により上記流れF′がスムーズに案内されて凹み部133内に導かれ、そして、外周側の突縁135により後方の浴槽Bの壁面側に向きを変えさせて、浴槽Bの内側への飛散を確実に防止することができるようになる。
【0027】
<第2実施形態>
図3(a)は第2実施形態に係る気泡発生装置を示す。図3(a)は第1実施形態と同様に原理的な構成を示すものである。第2実施形態は飛散防止板13に形成するドーナッツ環状の凹み部136の凹み形状が第1実施形態の凹み部133と異なる点でのみ第1実施形態と相違し、その他の構成は全て第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細説明を省略する。
【0028】
第2実施形態の凹み部136は、外周側から開口部131の側である内周側にかけて凹みの深さがより増大するように形成されている。つまり、環流K(図2(a)参照)が流入することになる飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間間隔であって、本体ハウジング12の前端面と凹み部136の底位置との間の距離により構成される隙間間隔が、外周側から内周側に進むに従い、より大きくなるようにしたものである。このため、凹み部133(図1(a)参照)の深さが一定で上記の隙間間隔も一定となる第1実施形態の場合よりも、環流Kの通過開口断面積を相対的に大きくして環流Kの流入に伴う圧力損失を低減化させることができ、これにより、環流Kをより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0029】
<第3実施形態>
図3(b)は第3実施形態に係る気泡発生装置を示す。図3(b)も第1実施形態と同様に原理的な構成を示すものである。第3実施形態は飛散防止板13に形成する凹み部133に加えて本体ハウジング12の前端面の側に第2の凹み部123を形成した点でのみ第1実施形態と相違し、その他の構成は全て第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細説明を省略する。
【0030】
上記第2の凹み部123は、噴出ノズル15の外周縁の直近位置から外周側の領域に凹み部133と相対向するようにドーナッツ環状に形成されたものであり、好ましくは図例の如く本体ハウジング12の外周端位置までの範囲に形成したものである。
【0031】
この第3実施形態の場合、本体ハウジング12と飛散防止板補13との相対向面間に、本体ハウジング12側の第2の凹み部123と、飛散防止板13側の凹み部133との双方が存在し、これにより、環流K(図2(a)参照)が流入することになる飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間間隔であって、上記第2の凹み部123の底位置と凹み部133の底位置との間の距離により構成される隙間間隔を、第1実施形態及び第2実施形態の場合よりも大きくすることができる。このため、第1実施形態や第2実施形態の場合よりも、環流Kの通過開口断面積を相対的に大きくして環流Kの流入に伴う圧力損失を低減化させることができ、これにより、環流Kをより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0032】
<第4実施形態>
図4は第4実施形態の気泡発生装置を適用した風呂システムを示す。この風呂システムは、浴槽Bと、風呂用の追い焚き循環機能を備えた給湯器2と、戻り路31及び往き路32からなり浴槽B及び給湯器2を互いに接続する追い焚き循環配管3と、第4実施形態に係る後述の気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4とを備えて構成されたものである。
【0033】
給湯器2は、例えば、追い焚き用熱交換器21と、これを加熱する燃焼バーナ22とを備えているものである。なお、給湯器2としては、追い焚き加熱用の構成を備えていれば、追い焚き用と給湯用とに互いに独立した缶体を備えた2缶2水式のものであるか、追い焚き用と給湯用とを共用する1缶2水式であるか、あるいは、温水循環式暖房回路が組み込まれて、その高温水を熱源とする液−液熱交換器により追い焚き加熱されるものであるかの別は問わず、いずれのものでも適用可能である。
【0034】
浴槽Bには、その一側壁面の底部近傍に循環アダプタ4が貫通した状態で設置され、この循環アダプタ4に対し、追い焚き循環配管3の戻り路31の上流端と、往き路32の下流端とが接続されている。そして、給湯器2内の循環ポンプ23が作動されると、浴槽B内の浴槽水(湯又は水)が循環アダプタ4及び戻り路31を通して給湯器2の熱交換器21に戻され、次いで、往き路32及び循環アダプタ4を通して浴槽B内に吐出される、という循環流が生じて循環作動されることになる。この循環作動の際に、燃焼バーナ22が燃焼作動されると、浴槽Bから戻された浴槽水が所定温度まで加熱されて追い焚きされる追い焚き運転モードになり、燃焼バーナ22が非燃焼状態のままであると、浴槽水による循環流のみが生じて気泡発生運転モードとなる。
【0035】
循環アダプタ4は、浴槽Bに対しその内側に配設される前面カバー体41及び飛散防止板47(図5も参照)と、主として浴槽Bの外側に配設される本体ハウジングを兼ねるアダプタ本体42とが一体化されて組み付けられるものであり、戻り路31に接続される戻り用接続口421と、往き路32に接続される往き用接続口422とがアダプタ本体42の後端から突出されるとともに、アダプタ本体42の後端面には空気取り入れ部51が設けられている。
【0036】
前面カバー体41は外周側のドーナッツリング状の部位を覆うものであり、その表面には多数の微小孔からなるフィルタ部材410が装着されている。この前面カバー体41の内周側領域には飛散防止板47が付設され、この飛散防止板47の前面上部位置には微細気泡を含む噴出流が放出(吐出又は噴出)される開口部471が開口形成されている。又、飛散防止板47の前面下部位置には半月状の案内開口472から切替レバー431が円弧状に往復移動可能に突出されている。この切替レバー431は、追い焚き運転モードと気泡発生運転モード(バブル温浴運転モード)との切換えを行うための操作部を構成し、この切替レバー431を備えた後述の切換弁機構43がアダプタ本体42内に組み込まれている。
【0037】
図6は気泡発生装置5が組み込まれた循環アダプタ4を図5のA−A線における断面図として示すものであり、図7又は図8は循環アダプタ4の詳細構造を省略して原理的な構造を示すものである。
【0038】
まず、循環アダプタ4の概略構造について主として図7又は図8を参照しつつ説明する。循環アダプタ4は、前述の循環ポンプ23(図4参照)の作動により浴槽B内から浴槽水を吸い込んで戻り路31に流すための吸い込み流路44と、往き路32からの循環水(浴槽水)を浴槽B内にそのまま流す追い焚き吐出流路45と、同様に往き路32からの循環水に対し微細気泡を含んだ状態で浴槽B内に噴出流として吐出させる気泡吐出流路46と、上記往き路32からの循環水を追い焚き吐出流路45の側に流す(追い焚き運転モード)か、気泡吐出流路46の側に流す(気泡発生運転モード)かのいずれかに切換える切換弁機構43とを備えている。
【0039】
吸い込み流路44は、図7又は図8に矢印Rで示すように、フィルタ部材410を介して前面カバー体41の外周領域から吸い込まれた浴槽水を合流させた後に戻り用接続口421まで導くように延びている。追い焚き吐出流路45は、図7に矢印Gで示すように、往き用接続口422からの循環水を分流室451に導いた後に開閉切換口452を通して前面カバー体41の下側に導き、その下側領域の外周面に開口する追い焚き吐出口453から浴槽B内に吐出するように延びている。
【0040】
気泡吐出流路46は、図8に矢印Bで示すように、往き用接続口422からの循環水を上記分流室451を介して内部通路としての分流路461に導いた後、吐出口462から旋回室463に噴出させて旋回室463に旋回流を生じさせ、空気吐出口52から吸気した空気により微細気泡を含んだ噴出流として噴出ノズル464及び開口部471を通して浴槽B内の前方に向けて放出させるように延びている。上記旋回室463はその内周面が円筒状に形成され、上記吐出口462はその旋回室463に対し接線方向に分流室451からの循環水を吐出させるように開口されている。この吐出口462からの循環水の吐出により旋回室463内に噴出ノズル464の側に向かう旋回流が生じ、この旋回流の発生に伴い気泡発生装置5の後述の空気吐出口52に対し負圧が作用することにより、空気吐出口52から空気が旋回流の中心に吸気されるようになっている。そして、旋回室463内の旋回流が内径の絞られた噴出ノズル464から急拡散される結果、微細気泡が混合した状態の噴出流となって浴槽B内に放出されることになる。
【0041】
切換弁機構43は、前端に切替レバー431が固定されて分流室451を突き抜けるように配置された切換軸432と、この切換軸432の途中に設けられた第1切換弁433及び第2切換弁434と、第1切換弁432を挟んで配置された形状記憶合金製バネ435及びバイアスバネ436とを備えて構成されている。この切換弁機構43は、分流室451に供給される循環水の温度の高低如何によって追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの自動切換が可能であると共に、切替レバー431の切換操作によっても追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの切換が可能となっている。例えば、分流室451に供給される循環水の温度が追い焚き用の高温(例えば80℃)であれば形状記憶合金製バネ435が伸長し、これにより第1切換弁433が分流路461を遮断する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を開放した追い焚き運転モードに自動切換される(図7に示す状態参照)。一方、循環水の温度が上記の追い焚き用の高温よりも低温であれば形状記憶合金製バネ435が縮小し、これにより第1切換弁433が分流路461を開放する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を遮断した気泡発生運転モードに自動切換される(図8に示す状態参照)。又、切替レバー431の切換操作により切換軸432を回転作動させることによっても、同様に追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとに切換操作し得るようになっている。
【0042】
次に、気泡発生装置5についてより詳細に説明すると、図9に示すように、アダプタ本体42内に区画形成された旋回室463の前端側が噴出ノズル464を通して浴槽内と連通されている。この噴出ノズル464が開口するアダプタ本体42の前端面にはノズルガイド部481が形成されたノズルガイド48がネジ482により取り付けられ、このノズルガイド48に対し飛散防止板47が着脱可能に取り付けられるようになっている。上記ノズルガイド部481は、前方(同図の左方)に向けて徐々に拡径する台錐状のガイド面を備え、旋回室463、噴出ノズル464及び飛散防止板47の開口部471と共に軸Yと同軸に配設されている。飛散防止板47にはその後端面の上下各位置から係止爪473(図10も併せて参照)がノズルガイド48に向けて突出するように形成される一方、この各係止爪473と対応する位置のノズルガイド48には係止爪473と着脱可能に係合する係合孔483,483が形成されている。そして、係止爪473,473を係合孔483,483に押し入れて係合させることで、飛散防止板47がノズルガイド48に取り付けられるようになっている。なお、図9では上側の係止爪の図示を省略し、図9及び図10のいずれでも切替レバー等の図示を省略している。
【0043】
上記の飛散防止板47は、開口部471の外周側領域が空気中に噴出流が放出される場合の飛散防止の機能を果たす遮蔽壁部474を構成し、この遮蔽壁部474のノズルガイド部481側の後端面に凹み部475が形成されている。この凹み部475は開口部471の外周側領域のドーナッツ環状領域に形成されたものであり、凹み部475と開口部471との境界位置となる開口縁位置にはノズルガイド48の側に尖るように突出する突縁476が形成されている。凹み部475の形成により、アダプタ本体42側であるノズルガイド部481との間の隙間間隔をより大きくして、第1実施形態で説明したと同様に、環流Kが外周側から内周側(軸Yの側)へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0044】
以上の第4実施形態により、第1実施形態で説明した気泡発生装置1を循環アダプタ4に内蔵し得るように具体化することができ、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図り得るという第1実施形態で説明したと同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、気泡発生装置1や、気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4が浴槽Bの一側の壁面に設置された例を示したが、これに限らず、気泡発生装置1や上記の循環アダプタ4を浴槽Bの底側の壁面(底壁面)に設置し、気泡を含む噴出流が浴槽水に対し上向きに放出されるようにしてもよい。
【0046】
上記各実施形態の凹み部133,136,474はドーナッツ環状の範囲に形成することを想定しているが、その環状範囲は必ずしも無端である必要はなく、例えば飛散防止板13,47の取付部等の形成のためのごく一部領域を除いた環状範囲に形成されていればよい。
【0047】
上記第4実施形態において、第2実施形態の凹み部136と同様に外周側から内周側の開口部471にむけて凹みの深さがより大きくなるような形状の凹み部を形成するようにしてもよいし、第3実施形態の本体ハウジング12側の凹み部123と同様の凹み部を形成するようにしてもよい。第3実施形態の凹み部123と同様の凹み部としては、例えば図9に符号423で示すような凹み部、すなわち、噴出ノズル464の外周側位置にドーナッツ環状に延びる凹み部423を形成するようにすればよい。
【符号の説明】
【0048】
気泡発生装置
4 循環アダプタ
15,464 噴出ノズル
12 本体ハウジング
13,47 飛散防止板
42 アダプタ本体(本体ハウジング)
123,423 第2の凹み部
131,471 開口部
132,474 遮蔽壁部
133,136,475 凹み部
134a 傾斜面
B 浴槽
F 噴出流
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に設けられて浴槽内の浴槽水中に微細気泡(マイクロバブル)を含んだ噴出流を放出させる噴出ノズルを備えた気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタに関し、特に噴出ノズルの前方位置に飛散防止板を設置しつつも、気泡性能が損なわれることのないようにするための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽に設置した循環アダプタに対し気泡発生装置を内蔵させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この気泡発生装置は、上記循環アダプタによる浴槽水の循環流を利用して、浴槽内に気泡を含んだ噴出流を噴出させるようにしたものである。すなわち、浴槽内から浴槽水を取り出した後に再び浴槽内に戻すという循環アダプタによる循環作動において、循環水を浴槽内に戻す際の吐出流に基づく負圧を利用して空気を循環水中に取り込み、これにより、気泡が混合された状態にして浴槽内に吐出させるというものである。より詳細には、旋回室に対し外周側から循環水を噴出させることにより旋回室内に旋回流を生じさせ、この旋回流の発生に伴い作用する負圧により空気を旋回流に取り込み、これを噴出ノズルから浴槽内に対し噴出させることで微細気泡が混入した噴出流が浴槽水中に放出されるようにしている。そして、この気泡発生装置では、浴槽内の浴槽水位が例えば噴出ノズルよりも低い場合には上記の噴出流が空気中に放出されることになって水中に放出される場合よりも外周側に拡がった状態で放出されることになり、又、特に浴槽蓋が開けられている場合には浴槽外にも飛散する可能性に鑑み、噴出ノズルから前方に所定距離隔てた位置に飛散防止板を付設するようにしている。この飛散防止板は、噴出ノズルからの噴出流が水中に向けて放出される場合にはその噴出流の通過を阻害しない開口部と、この開口部の外周側領域を遮蔽する遮蔽壁部とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の飛散防止板を付設すると、特に浴槽水中に対し噴出ノズルから微細気泡を含む噴出流を放出する際の気泡品質の悪化を招くおそれがある一方、飛散防止板を付設しない場合と同等の気泡品質の維持と、空気中への噴出流の放出の際の飛散防止性能の確保との両立が困難になるという不都合が考えられる。
【0005】
すなわち、図11に例示するように、噴出ノズル101から旋回状態の噴出流Fが前方の浴槽水中に対し略円錐状に放出されると、これに伴い、その略円錐状となって前方に向かう噴出流Fの外周側から逆向きに後方に戻って内周側の噴出ノズル101に向かう環流Kが生じることになる。この環流Kの発生により噴出流Fが浴槽水中を前方に向けて所定位置まで到達することになる。ところが、飛散防止板102の存在によりスムーズな環流Kの生成が妨げられてしまい、この結果、噴出流Fの勢いが削がれて、微細気泡を浴槽水中の目標位置まで到達させ得ない上に、微細気泡の個数の減少やより大きな気泡となって上昇してしまうというような気泡品質の悪化を招くおそれがある。その一方、よりスムーズな環流Kを生成させるために、飛散防止板102を噴出ノズル101からより遠くに離れた前方位置に設置するようにすることも考えられるものの、そのようにすると、浴槽Bの内側への出っ張り部分が生じたり、装置の大型化を招いたりすることになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と、気泡品質の向上との両立を図り得る気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、微細気泡を含む噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルと、この噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板とを備え、上記飛散防止板が上記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して噴出流が飛散するのを防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されている気泡発生装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記飛散防止板の噴出ノズル側に臨む上記遮蔽壁部の領域であって上記開口部の外周側領域に、ドーナッツ環状に延びる凹み部を形成することとした(請求項1)。
【0008】
本発明の場合、凹み部の形成により、飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔が凹み部の底位置から本体ハウジングまでの間隔となって、凹み部が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部を形成した分、大きくなる。これにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間に対し環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積が増大し、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようになる。このため、飛散防止板を本体ハウジングに対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流の不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避して、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽内の所定位置まで到達させ得るようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図り得るようになる。
【0009】
上記発明において、上記開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間に、上記凹み部の底に至る傾斜面を形成するようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、特に浴槽内の水位が噴出ノズル位置よりも低くて噴出ノズルからの噴出流がより拡がる傾向になったとしても、その開口部よりも外周側に拡がった噴出流部分の流れの向きが上記傾斜面に案内されてスムーズに変化され、凹み部の底に沿って外周側に排除し得るようになる。これにより、飛散防止機能をより効果的にかつ確実に発揮させ得るようになる。
【0010】
又、上記発明における凹み部として、上記開口部に近い内周側が上記開口部から遠い外周側よりも深く凹むように形成することができる(請求項3)。このようにすることにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間間隔として外周側よりも内周側の方を大きくすることが可能となる。このため、凹み部の深さを外周側から内周側にかけて一定に形成した場合よりも、環流が通過し得る開口断面積が相対的に大きくなって、環流の流入に伴う圧力損失の低減化を図り得るようになる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0011】
さらに、上記発明において、上記噴出ノズルを備えた本体ハウジングに、上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部を形成することができる(請求項4)。このようにすることにより、環流が流入することになる飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔が、上記第2の凹み部を形成した分、より大きくなる。このため、飛散防止板側の凹み部だけの場合よりも、環流の通過開口断面積を相対的に大きくして、環流の流入に伴う圧力損失をより一層低減化させることが可能となる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることが可能となる。
【0012】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明では、上記の請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置を内蔵させることで(請求項5)、上記の請求項1〜請求項4のいずれかの気泡発生装置による作用を循環アダプタにおいて得られることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の気泡発生装置によれば、飛散防止板に対する凹み部の形成により、飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔を凹み部の底位置から本体ハウジングまでの間隔にして、凹み部が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部を形成した分大きくすることができる。これにより、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間に対し環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積を増大させることができ、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入させることができるようになる。このため、飛散防止板を本体ハウジングに対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流の不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避することができ、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽内の所定位置まで到達させることができるようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図ることができるようになる。
【0014】
特に、請求項2によれば、開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間に凹み部の底に至る傾斜面を形成することで、特に浴槽内の水位が噴出ノズル位置よりも低くて噴出ノズルからの噴出流がより拡がる傾向になったとしても、その開口部よりも外周側に拡がった噴出流部分の流れの向きを上記傾斜面により案内してスムーズに変化させることができ、凹み部の底に沿って外周側に排除することができるようになる。これにより、飛散防止機能をより効果的にかつ確実に発揮させることができるようになる。
【0015】
又、請求項3によれば、開口部に近い内周側が開口部から遠い外周側よりも深く凹むように凹み部を形成することで、本体ハウジングと飛散防止板との間の隙間間隔として外周側よりも内周側を大きくすることができる。このため、凹み部の深さとして外周側から内周側にかけて一定に形成した場合よりも、環流が通過し得る開口断面積を相対的に大きくすることができ、環流の流入に伴う圧力損失のより低減化を図ることができるようになる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0016】
さらに、請求項4によれば、噴出ノズルを備えた本体ハウジングに対し上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部を形成することで、環流が流入することになる飛散防止板と本体ハウジングとの間の隙間間隔として、上記第2の凹み部を形成した分、より大きくすることができる。このため、飛散防止板側の凹み部だけの場合よりも、環流の通過開口断面積を相対的に大きくすることができ、環流の流入に伴う圧力損失をより一層低減化させることができる。これにより、環流をより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0017】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明によれば、上記の請求項1〜請求項4のいずれかの気泡発生装置による効果を循環アダプタにおいて得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は第1実施形態に係る気泡発生装置を原理的に示す断面説明図であり、図1(b)は飛散防止板を内面側から見た斜視図により例示する説明図である。
【図2】図2(a)は噴出流が水中に放出された場合の図1(a)対応図であり、図2(b)は噴出流が空気中に放出された場合の図1(a)対応図である。
【図3】図3(a)は他の形態1を示す図1(a)対応図であり、図3(b)は他の形態2を示す図1(a)対応図である。
【図4】気泡発生装置を循環アダプタに内蔵した第2実施形態を適用した風呂システムの例を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の気泡発生装置を内蔵した追焚循環用の循環アダプタの斜視図である。
【図6】図5のA−A線断面説明図である。
【図7】図5及び図6の循環アダプタを用いた追い焚き運転の作動原理を示す説明図である。
【図8】図5及び図6の循環アダプタを用いた気泡発生運転の作動原理図を示す図7対応図である。
【図9】切替レバー等を省略した図6の要部の拡大図である。
【図10】飛散防止板の内面側を例示する循環アダプタの分解斜視図である。
【図11】本発明の課題を示すために例示した気泡発生装置の図1(a)対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1(a),図2(a),図2(b)は第1実施形態に係る原理的な気泡発生装置1を示す。この気泡発生装置1は、内部に旋回室11を区画形成した本体ハウジング12と、この本体ハウジング12の前側位置に付設された飛散防止板13とを備えて構成されたものである。旋回室11は筒軸Xを中心軸とする円筒状の内周面を有し、旋回流を生じさせるための水(湯又は水)が内部通路121を通して吐出口122から旋回室11の接線方向に吐出されるようになっている。又、旋回室11後端(図面の右端)には空気吐出口14が筒軸X上に開口されており、外部から取り込まれた空気が後述の負圧の作用により旋回室11内に吸気されるようになっている。旋回室11は前端側で孔径が絞られた噴出ノズル15を通して浴槽B内と連通されている。噴出ノズル15は、旋回室11側の絞り部151と、この絞り部151から浴槽B内にかけて徐々に拡径する台錐状の斜面により構成された絞り絞り開放部152とで形成されている。
【0021】
上記飛散防止板13は、図1(b)にも示すように、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上で貫通して開口する開口部131と、この開口部131の外周側に拡がる遮蔽壁部132とから構成されている。そして、飛散防止板13は、図示省略の連結部により本体ハウジング12に連結されて、本体ハウジング12の浴槽B内に臨む前端面から所定の隙間間隔Sだけ離れた前側位置に支持されている。上記開口部131は、上記の絞り開放部152を構成する斜面の延長面が飛散防止板13との相対向面と交わることで形成される投影円と略同径の内径を有するように形成されている。飛散防止板13の上記の相対向面(本体ハウジング12の前端面との相対向面)により構成される上記の遮蔽壁部132には凹み部133が形成されている。この凹み部133は、少なくとも開口部131の開口縁位置から外周側のドーナッツ環状の領域に形成されるものであり、望ましくは図例の如く飛散防止板13の外周縁位置(遮蔽壁部132の外周縁位置)までの前領域にわたり形成されている。上記の開口部131と凹み部133との間の境界位置となる開口縁位置には本体ハウジング12の側に尖るように突出する突縁134が形成され、飛散防止板13の外周縁である遮蔽壁部132の外周縁位置にも同様の突縁135が形成されている。特に上記突縁134から凹み部133の底に至る部分が傾斜面134aにより構成され、後述の噴出流の外周側部位の流れの向きを凹み部133に沿って外周側にスムーズに導くように案内し得るようになっている。
【0022】
凹み部133の形成により、本体ハウジング12との間の隙間間隔が凹み部133の底位置から本体ハウジング12の前端面までの間隔であるS0(S0>S)となって、凹み部133が非形成の状態の隙間間隔Sよりも凹み部133を形成した分大きくなる。これにより、本体ハウジング12と飛散防止板13との間の隙間に対し環流Kが外周側から内周側へ流入する際の通過断面積M(図1(b)参照)が増大し、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0023】
以上の第1実施形態によれば、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも高くあって、噴出ノズルからの噴出流が浴槽B内の水中に放出されるようになる場合、図2(a)に示すように、まず、吐出口122から吐出された水流により旋回室11内の旋回流が発生し、この旋回流に伴い空気吐出口14に対し負圧が作用して、空気吐出口14から空気が旋回流の中心軸X上に巻き込まれることになる。そして、この中空渦状の旋回流が噴出ノズル15の絞り部151で一旦絞られた後に絞り開放部152で急開放される結果、負圧作用に基づき微細化した微細気泡を含んで所定の円錐状となった噴出流Fが前方(動図の左方)に放出されることになる。この噴出流Fは飛散防止板13の開口部131をそのまま通過して浴槽Bの浴槽水中を所定位置まで突き進むことになる。これと同時に開口部131を通過後の噴出流Fの外周側領域の水(湯又は水)が環流Kとなって飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間に対し外周側から内周側に向けて流入することになり、この流入した環流Kと共に噴出流Fが前方に移動し、これらが繰り返されることになる。
【0024】
この際、上記の如く凹み部133の形成により通過断面積が増大して圧力損失の低減化に伴い、環流Kが噴出ノズル15から放出される噴出流に対しよりスムーズに流れるため、噴出流が浴槽水中に対し有効かつ効果的に放出させることができるようになる。これにより、飛散防止板13を本体ハウジング12に対し従来と同様の設置間隔で付設したとしても、環流Kの不十分な生成に起因して噴出流の勢いが削がれたり、それに伴い気泡品質が悪化したりするという不都合の発生を回避して、微細気泡を含んだ噴出流を浴槽B内の所定位置まで到達させることができるようになる。これにより、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図ることができるようになる。
【0025】
なお、内周側の突縁134が環流Kの通過に対しボトルネックになるものの、ここに至るまでの圧力損失を低減することができるため、トータルとして環流Kの流入に対する圧力損失を低減させることができるようになる。
【0026】
一方、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも低く、噴出ノズルからの噴出流が空気中に放出されるようになる場合、図2(b)に示すように、噴出ノズル15から水中に放出されるときよりも広い円錐状に拡がった状態で噴出流が放出されたとしても、開口部131範囲よりも外周側の流れF′は飛散防止板13の遮蔽壁部132に当たり、浴槽Bの前方への飛散が防止されることになる。この際、開口部131の開口縁である突縁134により上記流れF′がスムーズに案内されて凹み部133内に導かれ、そして、外周側の突縁135により後方の浴槽Bの壁面側に向きを変えさせて、浴槽Bの内側への飛散を確実に防止することができるようになる。
【0027】
<第2実施形態>
図3(a)は第2実施形態に係る気泡発生装置を示す。図3(a)は第1実施形態と同様に原理的な構成を示すものである。第2実施形態は飛散防止板13に形成するドーナッツ環状の凹み部136の凹み形状が第1実施形態の凹み部133と異なる点でのみ第1実施形態と相違し、その他の構成は全て第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細説明を省略する。
【0028】
第2実施形態の凹み部136は、外周側から開口部131の側である内周側にかけて凹みの深さがより増大するように形成されている。つまり、環流K(図2(a)参照)が流入することになる飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間間隔であって、本体ハウジング12の前端面と凹み部136の底位置との間の距離により構成される隙間間隔が、外周側から内周側に進むに従い、より大きくなるようにしたものである。このため、凹み部133(図1(a)参照)の深さが一定で上記の隙間間隔も一定となる第1実施形態の場合よりも、環流Kの通過開口断面積を相対的に大きくして環流Kの流入に伴う圧力損失を低減化させることができ、これにより、環流Kをより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0029】
<第3実施形態>
図3(b)は第3実施形態に係る気泡発生装置を示す。図3(b)も第1実施形態と同様に原理的な構成を示すものである。第3実施形態は飛散防止板13に形成する凹み部133に加えて本体ハウジング12の前端面の側に第2の凹み部123を形成した点でのみ第1実施形態と相違し、その他の構成は全て第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細説明を省略する。
【0030】
上記第2の凹み部123は、噴出ノズル15の外周縁の直近位置から外周側の領域に凹み部133と相対向するようにドーナッツ環状に形成されたものであり、好ましくは図例の如く本体ハウジング12の外周端位置までの範囲に形成したものである。
【0031】
この第3実施形態の場合、本体ハウジング12と飛散防止板補13との相対向面間に、本体ハウジング12側の第2の凹み部123と、飛散防止板13側の凹み部133との双方が存在し、これにより、環流K(図2(a)参照)が流入することになる飛散防止板13と本体ハウジング12との間の隙間間隔であって、上記第2の凹み部123の底位置と凹み部133の底位置との間の距離により構成される隙間間隔を、第1実施形態及び第2実施形態の場合よりも大きくすることができる。このため、第1実施形態や第2実施形態の場合よりも、環流Kの通過開口断面積を相対的に大きくして環流Kの流入に伴う圧力損失を低減化させることができ、これにより、環流Kをより一層スムーズに流入させることができる結果、気泡品質もより向上させることができるようになる。
【0032】
<第4実施形態>
図4は第4実施形態の気泡発生装置を適用した風呂システムを示す。この風呂システムは、浴槽Bと、風呂用の追い焚き循環機能を備えた給湯器2と、戻り路31及び往き路32からなり浴槽B及び給湯器2を互いに接続する追い焚き循環配管3と、第4実施形態に係る後述の気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4とを備えて構成されたものである。
【0033】
給湯器2は、例えば、追い焚き用熱交換器21と、これを加熱する燃焼バーナ22とを備えているものである。なお、給湯器2としては、追い焚き加熱用の構成を備えていれば、追い焚き用と給湯用とに互いに独立した缶体を備えた2缶2水式のものであるか、追い焚き用と給湯用とを共用する1缶2水式であるか、あるいは、温水循環式暖房回路が組み込まれて、その高温水を熱源とする液−液熱交換器により追い焚き加熱されるものであるかの別は問わず、いずれのものでも適用可能である。
【0034】
浴槽Bには、その一側壁面の底部近傍に循環アダプタ4が貫通した状態で設置され、この循環アダプタ4に対し、追い焚き循環配管3の戻り路31の上流端と、往き路32の下流端とが接続されている。そして、給湯器2内の循環ポンプ23が作動されると、浴槽B内の浴槽水(湯又は水)が循環アダプタ4及び戻り路31を通して給湯器2の熱交換器21に戻され、次いで、往き路32及び循環アダプタ4を通して浴槽B内に吐出される、という循環流が生じて循環作動されることになる。この循環作動の際に、燃焼バーナ22が燃焼作動されると、浴槽Bから戻された浴槽水が所定温度まで加熱されて追い焚きされる追い焚き運転モードになり、燃焼バーナ22が非燃焼状態のままであると、浴槽水による循環流のみが生じて気泡発生運転モードとなる。
【0035】
循環アダプタ4は、浴槽Bに対しその内側に配設される前面カバー体41及び飛散防止板47(図5も参照)と、主として浴槽Bの外側に配設される本体ハウジングを兼ねるアダプタ本体42とが一体化されて組み付けられるものであり、戻り路31に接続される戻り用接続口421と、往き路32に接続される往き用接続口422とがアダプタ本体42の後端から突出されるとともに、アダプタ本体42の後端面には空気取り入れ部51が設けられている。
【0036】
前面カバー体41は外周側のドーナッツリング状の部位を覆うものであり、その表面には多数の微小孔からなるフィルタ部材410が装着されている。この前面カバー体41の内周側領域には飛散防止板47が付設され、この飛散防止板47の前面上部位置には微細気泡を含む噴出流が放出(吐出又は噴出)される開口部471が開口形成されている。又、飛散防止板47の前面下部位置には半月状の案内開口472から切替レバー431が円弧状に往復移動可能に突出されている。この切替レバー431は、追い焚き運転モードと気泡発生運転モード(バブル温浴運転モード)との切換えを行うための操作部を構成し、この切替レバー431を備えた後述の切換弁機構43がアダプタ本体42内に組み込まれている。
【0037】
図6は気泡発生装置5が組み込まれた循環アダプタ4を図5のA−A線における断面図として示すものであり、図7又は図8は循環アダプタ4の詳細構造を省略して原理的な構造を示すものである。
【0038】
まず、循環アダプタ4の概略構造について主として図7又は図8を参照しつつ説明する。循環アダプタ4は、前述の循環ポンプ23(図4参照)の作動により浴槽B内から浴槽水を吸い込んで戻り路31に流すための吸い込み流路44と、往き路32からの循環水(浴槽水)を浴槽B内にそのまま流す追い焚き吐出流路45と、同様に往き路32からの循環水に対し微細気泡を含んだ状態で浴槽B内に噴出流として吐出させる気泡吐出流路46と、上記往き路32からの循環水を追い焚き吐出流路45の側に流す(追い焚き運転モード)か、気泡吐出流路46の側に流す(気泡発生運転モード)かのいずれかに切換える切換弁機構43とを備えている。
【0039】
吸い込み流路44は、図7又は図8に矢印Rで示すように、フィルタ部材410を介して前面カバー体41の外周領域から吸い込まれた浴槽水を合流させた後に戻り用接続口421まで導くように延びている。追い焚き吐出流路45は、図7に矢印Gで示すように、往き用接続口422からの循環水を分流室451に導いた後に開閉切換口452を通して前面カバー体41の下側に導き、その下側領域の外周面に開口する追い焚き吐出口453から浴槽B内に吐出するように延びている。
【0040】
気泡吐出流路46は、図8に矢印Bで示すように、往き用接続口422からの循環水を上記分流室451を介して内部通路としての分流路461に導いた後、吐出口462から旋回室463に噴出させて旋回室463に旋回流を生じさせ、空気吐出口52から吸気した空気により微細気泡を含んだ噴出流として噴出ノズル464及び開口部471を通して浴槽B内の前方に向けて放出させるように延びている。上記旋回室463はその内周面が円筒状に形成され、上記吐出口462はその旋回室463に対し接線方向に分流室451からの循環水を吐出させるように開口されている。この吐出口462からの循環水の吐出により旋回室463内に噴出ノズル464の側に向かう旋回流が生じ、この旋回流の発生に伴い気泡発生装置5の後述の空気吐出口52に対し負圧が作用することにより、空気吐出口52から空気が旋回流の中心に吸気されるようになっている。そして、旋回室463内の旋回流が内径の絞られた噴出ノズル464から急拡散される結果、微細気泡が混合した状態の噴出流となって浴槽B内に放出されることになる。
【0041】
切換弁機構43は、前端に切替レバー431が固定されて分流室451を突き抜けるように配置された切換軸432と、この切換軸432の途中に設けられた第1切換弁433及び第2切換弁434と、第1切換弁432を挟んで配置された形状記憶合金製バネ435及びバイアスバネ436とを備えて構成されている。この切換弁機構43は、分流室451に供給される循環水の温度の高低如何によって追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの自動切換が可能であると共に、切替レバー431の切換操作によっても追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの切換が可能となっている。例えば、分流室451に供給される循環水の温度が追い焚き用の高温(例えば80℃)であれば形状記憶合金製バネ435が伸長し、これにより第1切換弁433が分流路461を遮断する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を開放した追い焚き運転モードに自動切換される(図7に示す状態参照)。一方、循環水の温度が上記の追い焚き用の高温よりも低温であれば形状記憶合金製バネ435が縮小し、これにより第1切換弁433が分流路461を開放する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を遮断した気泡発生運転モードに自動切換される(図8に示す状態参照)。又、切替レバー431の切換操作により切換軸432を回転作動させることによっても、同様に追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとに切換操作し得るようになっている。
【0042】
次に、気泡発生装置5についてより詳細に説明すると、図9に示すように、アダプタ本体42内に区画形成された旋回室463の前端側が噴出ノズル464を通して浴槽内と連通されている。この噴出ノズル464が開口するアダプタ本体42の前端面にはノズルガイド部481が形成されたノズルガイド48がネジ482により取り付けられ、このノズルガイド48に対し飛散防止板47が着脱可能に取り付けられるようになっている。上記ノズルガイド部481は、前方(同図の左方)に向けて徐々に拡径する台錐状のガイド面を備え、旋回室463、噴出ノズル464及び飛散防止板47の開口部471と共に軸Yと同軸に配設されている。飛散防止板47にはその後端面の上下各位置から係止爪473(図10も併せて参照)がノズルガイド48に向けて突出するように形成される一方、この各係止爪473と対応する位置のノズルガイド48には係止爪473と着脱可能に係合する係合孔483,483が形成されている。そして、係止爪473,473を係合孔483,483に押し入れて係合させることで、飛散防止板47がノズルガイド48に取り付けられるようになっている。なお、図9では上側の係止爪の図示を省略し、図9及び図10のいずれでも切替レバー等の図示を省略している。
【0043】
上記の飛散防止板47は、開口部471の外周側領域が空気中に噴出流が放出される場合の飛散防止の機能を果たす遮蔽壁部474を構成し、この遮蔽壁部474のノズルガイド部481側の後端面に凹み部475が形成されている。この凹み部475は開口部471の外周側領域のドーナッツ環状領域に形成されたものであり、凹み部475と開口部471との境界位置となる開口縁位置にはノズルガイド48の側に尖るように突出する突縁476が形成されている。凹み部475の形成により、アダプタ本体42側であるノズルガイド部481との間の隙間間隔をより大きくして、第1実施形態で説明したと同様に、環流Kが外周側から内周側(軸Yの側)へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0044】
以上の第4実施形態により、第1実施形態で説明した気泡発生装置1を循環アダプタ4に内蔵し得るように具体化することができ、装置の大型化を招くことなく、飛散防止性能と気泡品質の向上との両立を図り得るという第1実施形態で説明したと同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、気泡発生装置1や、気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4が浴槽Bの一側の壁面に設置された例を示したが、これに限らず、気泡発生装置1や上記の循環アダプタ4を浴槽Bの底側の壁面(底壁面)に設置し、気泡を含む噴出流が浴槽水に対し上向きに放出されるようにしてもよい。
【0046】
上記各実施形態の凹み部133,136,474はドーナッツ環状の範囲に形成することを想定しているが、その環状範囲は必ずしも無端である必要はなく、例えば飛散防止板13,47の取付部等の形成のためのごく一部領域を除いた環状範囲に形成されていればよい。
【0047】
上記第4実施形態において、第2実施形態の凹み部136と同様に外周側から内周側の開口部471にむけて凹みの深さがより大きくなるような形状の凹み部を形成するようにしてもよいし、第3実施形態の本体ハウジング12側の凹み部123と同様の凹み部を形成するようにしてもよい。第3実施形態の凹み部123と同様の凹み部としては、例えば図9に符号423で示すような凹み部、すなわち、噴出ノズル464の外周側位置にドーナッツ環状に延びる凹み部423を形成するようにすればよい。
【符号の説明】
【0048】
気泡発生装置
4 循環アダプタ
15,464 噴出ノズル
12 本体ハウジング
13,47 飛散防止板
42 アダプタ本体(本体ハウジング)
123,423 第2の凹み部
131,471 開口部
132,474 遮蔽壁部
133,136,475 凹み部
134a 傾斜面
B 浴槽
F 噴出流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を含む噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルと、この噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板とを備え、上記飛散防止板が上記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して噴出流が飛散するのを防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されている気泡発生装置であって、
上記飛散防止板の噴出ノズル側に臨む上記遮蔽壁部の領域であって上記開口部の外周側領域に、ドーナッツ環状に延びる凹み部が形成されている
ことを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡発生装置であって、
上記開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間には、上記凹み部の底に至る傾斜面が形成されている、気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の気泡発生装置であって、
上記凹み部は、上記開口部に近い内周側が上記開口部から遠い外周側よりも深く凹むように形成されている、気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載の気泡発生装置であって、
上記噴出ノズルを備えた本体ハウジングには、上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部が形成されている、気泡発生装置。
【請求項5】
浴槽に設置される循環アダプタであって、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置が内蔵されている、
ことを特徴とする循環アダプタ。
【請求項1】
微細気泡を含む噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルと、この噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板とを備え、上記飛散防止板が上記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して噴出流が飛散するのを防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されている気泡発生装置であって、
上記飛散防止板の噴出ノズル側に臨む上記遮蔽壁部の領域であって上記開口部の外周側領域に、ドーナッツ環状に延びる凹み部が形成されている
ことを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡発生装置であって、
上記開口部の開口縁と上記凹み部の内周側との間には、上記凹み部の底に至る傾斜面が形成されている、気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の気泡発生装置であって、
上記凹み部は、上記開口部に近い内周側が上記開口部から遠い外周側よりも深く凹むように形成されている、気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載の気泡発生装置であって、
上記噴出ノズルを備えた本体ハウジングには、上記飛散防止板の凹み部と相対向するように第2の凹み部が形成されている、気泡発生装置。
【請求項5】
浴槽に設置される循環アダプタであって、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置が内蔵されている、
ことを特徴とする循環アダプタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−5691(P2012−5691A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145161(P2010−145161)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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