説明

気泡発生装置

【課題】 極めて簡易な装置構成で、安定した気体の微細気泡化が実現でき、より高効率な運転を行うことができる安価にして極めて実用性に秀れた気泡発生装置を提供することである。
【解決手段】 浴槽等の貯留部5内に配設され貯留部5内の浴水等の液体を吸入する吸入口3と、この吸入口3から吸入した前記液体に空気等の気体を加圧溶解せしめる溶解タンク12と、この気体が溶解せしめられた液体を貯留部5内に噴射する噴射口4とを備え、この気体が溶解せしめられた液体を噴射口4から噴射することで貯留部5内に無数の気泡を発生させる気泡発生装置であって、前記吸入口3と溶解タンク12との間に開閉自在な気体取入口6を設けると共に、前記溶解タンク12にこの溶解タンク12内の余剰気体を自動的に排出するように構成した気体抜き部13を設け、前記溶解タンク12と噴射口4との間には、前記液体に溶解せしめられた気体を微細気泡化する微細気泡化ノズル7を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽内に微細な気泡を発生させたり、水道水の浄化等のために用いられる、浴槽等の貯留部内に配設され貯留部内の浴水等の液体を吸入する吸入口と、この吸入口から吸入した前記液体に空気等の気体を加圧溶解せしめる溶解タンクと、この気体が溶解せしめられた液体を貯留部内に噴射する噴射口とを備え、この気体が溶解せしめられた液体を噴射口から噴射することで貯留部内に無数の気泡を発生させる構成の気泡発生装置が提案されている。
【0003】
ところで、上述のような気泡発生装置においては、気体の取り入れ量が不十分であると液体に溶解される気体量も不十分となり、この液体から析出される微細気泡量が減少してしまうし、また、取り入れ量が過剰であると、気体を液体に溶解させきれず、余剰の気体は前記液体と共にノズル等を介して噴射口から噴射されることになる。
【0004】
即ち、液体への気体の溶解量が不十分であると、発生する気泡の量が少なく、気泡発生効率が悪化してしまうことになり、一方、気体を過剰に供給すると、液体に溶解しきれずに、(液体とは別体に)大きな気泡となって貯留部に排出されてしまうため、微細な気泡を連続且つ安定的に供給することはできず、この場合にも気泡発生効率が悪化する。
【0005】
そこで、従来は、気泡の取り入れや溶解タンクからの空気抜きを、例えば所定のプログラミングで自動制御可能な電磁弁等の制御弁を介して行うことで、過不足なく気体を液体に溶解せしめようとしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特に家庭用の浴槽に取り付ける小型の気泡発生装置に、上述のような制御弁を採用するのは当然ながらコスト高となってしまう。
【0007】
本発明は、上述のような現状に鑑み、発明者等の鋭意研究の結果、上記溶解タンクにおける液体への気体の溶解度及びノズル形状に未だ改善の余地がある点を見出し、気泡発生装置の更なる高効率化,低コスト化を図るべく成されたもので、極めて簡易な装置構成で、安定した気体の微細気泡化が実現でき、より高効率な運転を行うことができる安価にして極めて実用性に秀れた気泡発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
浴槽等の貯留部5内に配設され貯留部5内の浴水等の液体を吸入する吸入口3と、この吸入口3から吸入した前記液体に空気等の気体を加圧溶解せしめる溶解タンク12と、この気体が溶解せしめられた液体を貯留部5内に噴射する噴射口4とを備え、この気体が溶解せしめられた液体を噴射口4から噴射することで貯留部5内に無数の気泡を発生させる気泡発生装置であって、前記吸入口3と溶解タンク12との間に開閉自在な気体取入口6を設けると共に、前記溶解タンク12にこの溶解タンク12内の余剰気体を自動的に排出するように構成した気体抜き部13を設け、前記溶解タンク12と噴射口4との間には、前記液体に溶解せしめられた気体を微細気泡化する微細気泡化ノズル7を設けたことを特徴とする気泡発生装置に係るものである。
【0010】
また、前記微細気泡化ノズル7は、この微細気泡化ノズル7の液体導入側に液体導入孔8を穿設すると共に、液体導出側に液体導出孔9を複数穿設し、この液体導入孔8と液体導出孔9とは夫々、この孔を通過する前記液体が減圧されて微細気泡が生じるような長さ及び径に設定し、前記液体導入孔8から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で乱流が生じるようにこの液体導入孔8を構成したことを特徴とする請求項1記載の気泡発生装置に係るものである。
【0011】
また、前記液体導入孔8を螺旋孔とし、この螺旋孔から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で螺旋流が生じるように構成したことを特徴とする請求項2記載の気泡発生装置に係るものである。
【0012】
また、前記液体導出孔9は、少なくともその一側開口部を外方程拡径するテーパ形状に設定したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の気泡発生装置に係るものである。
【0013】
また、複数の前記液体導入孔8が穿設された前記微細気泡化ノズル7の液体導入側端面に、前記複数の液体導入孔8に液体が均等に導入されるようにこの液体をガイドするガイド体10を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の気泡発生装置に係るものである。
【0014】
また、方形状の浴槽の角部を閉塞するバスカバー14であって、三角形状の基部15に浴槽の縁に載置される載置部16を連設した載置板17と、この載置板17に組み合わされるものであって、該載置板17と組み合わせた際平面視において方形状となり少なくとも一側に浴槽の縁に載置される載置部18を連設した組み合わせ板19とから成るバスカバー14に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の気泡発生装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述のように構成したから、極めて簡易な装置構成で、安定した気体の微細気泡化が実現でき、高効率な運転を行うことができる安価にして極めて実用性に秀れた気泡発生装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
吸入口3から吸入した液体に、気体取入口6から取り入れた気体を溶解タンク12において加圧溶解せしめて、この液体を前記気体を微細気泡化する微細気泡化ノズル7を介して噴射口4から浴槽等の貯留部5内に噴射する。
【0018】
この際、吸入口3から液体を吸入しつつ気体取入口6を開放して適宜な量の気体を取り入れることができ、更に、溶解タンク12に、例えば溶解タンク12内を一定圧力に保つ整流作用を発揮する多孔質材から成る気体抜き部13を設けることで、この溶解タンク12内の余剰気体、即ち、液体に溶解せしめきれない分をこの気体抜き部13から自動的に排出することができる。
【0019】
即ち、溶解タンク12において気体が液体に溶解せしめられて気体量が不足した場合には、運転を止めることなく適宜空気を取り入れることができるのは勿論、気体取入口6から取り入れる空気の量が仮に過剰であっても、溶解タンク12から、液体に溶解しきれずに(大きな気泡、即ち、液体と別体となって)微細気泡の安定供給を妨げる原因となる余剰気体を自動的に排出することができ、従って、溶解タンク12においては常に適当量の気体を液体に溶解せしめることが可能となる。
【0020】
よって、溶解タンク12において液体が過不足なく溶解せしめられた液体のみを微細気泡化ノズル7により減圧せしめて噴射口4から貯留部5内に噴射することができるから、大量の微細気泡(液体に溶解せしめられる気体の量が多ければ、減圧の際に放出される気泡の量も多くなる)をコンスタントに発生させることができることになり、簡易な構成で、高効率な運転が可能となる。
【0021】
しかも、単に例えばコック等から成る気体取入口6と上記多孔質材等から成る気体抜き部13と微細気泡化ノズル7とを取り付けるだけで良いから、既存の気泡発生装置にも簡単に後付けすることができ、この点からも一層実用的となる。
【0022】
また、例えば、前記微細気泡化ノズル7は、この微細気泡化ノズル7の液体導入側に液体導入孔8を穿設すると共に、液体導出側に液体導出孔9を複数穿設し、この液体導入孔8と液体導出孔9とは夫々、この孔を通過する前記気体が溶解せしめられた液体が減圧されて微細気泡が生じるような長さ及び径に設定し、前記液体導入孔8から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で乱流が生じるようにこの液体導入孔8を構成した場合には、液体導入孔8を通過する際に気体を微細気泡化せしめると共に、微細気泡化ノズル7内の乱流により気液混合状態を作出して微細気泡を均一に混入せしめ、且つ液体導出孔9を通過する際に一層微細化が促進されることになり、微細化した気泡をコンスタントに貯留部5に発生させることが可能となる。
【0023】
また、例えば、前記液体導入孔8を螺旋孔とし、この螺旋孔から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で螺旋流が生じるように構成した場合には、より一層均一化した気液混合状態を作出できることになる。
【0024】
また、例えば、前記液体導出孔9は、少なくともその一側開口部を外方程拡径するテーパ形状に設定した場合には、圧力変化をそれだけなだらかにして、騒音の発生を抑制できることになる。
【0025】
また、例えば、複数の前記液体導入孔8が穿設された前記微細気泡化ノズル7の液体導入側端面に、前記複数の液体導入孔8に液体が均等に導入されるようにこの液体をガイドするガイド体10を設けた場合には、複数の前記液体導入孔8から導入される液体によりより確実に前記乱流を生じさせることが可能となる。
【0026】
また、例えば、方形状の浴槽の角部を閉塞するバスカバー14であって、三角形状の基部15に浴槽の縁に載置される載置部16を連設した載置板17と、この載置板17に組み合わされるものであって、該載置板17と組み合わせた際平面視において方形状となり少なくとも一側に浴槽の縁に載置される載置部18を連設した組み合わせ板19とから成るバスカバー14に設けるように構成すれば、浴槽への取り付けを極めて簡易に行えることになる。
【0027】
従って、本発明は、極めて簡易な装置構成で、安定した空気の微細気泡化が実現でき、高効率な運転を行うことができる極めて安価にして実用的な気泡発生装置となる。
【実施例】
【0028】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、貯留部5としての浴槽内に配設され浴槽内の浴水を吸入する吸入口3と、この吸入口3から吸入した前記浴水に空気を加圧溶解せしめる溶解タンク12と、この空気が溶解せしめられた浴水を貯留部5内に噴射する噴射口4とを備え、この空気が溶解せしめられた浴水を噴射口4から噴射することで浴槽内に無数の気泡を発生させる気泡発生装置であって、前記吸入口3と溶解タンク12との間に開閉自在な気体取入口6を設けると共に、前記溶解タンク12にこの溶解タンク12内の余剰気体を自動的に排出するように構成した気体抜き部13を設け、前記溶解タンク12と噴射口4との間には、前記液体に溶解せしめられた空気を微細気泡化する微細気泡化ノズル7を設けたものである。
【0030】
具体的には、図2に図示したように吸入口3と循環ポンプ1の液体導入側、循環ポンプ1の液体導出側と溶解タンク12の液体導入側、溶解タンク12の液体導出側と噴射口4とを夫々循環路2で連結している。尚、循環ポンプ1としては、公知のポンプを採用している。また、循環路2としては、合成樹脂製のホースやパイプ等を採用している。符号21は圧力計,23は上記循環ポンプ1等を隠蔽するカバー体である。
【0031】
また、吸入口3と噴射口4とは、吸入口3から微細気泡を取り込まないようにするために、互いに異なる方向を向く(例えば互いの向きが直交する)ように設定している。具体的には、気泡の浮き上がりを考慮して吸入口3は水面に対して直交方向を向き、噴射口4は水面に対して平行方向を向くように設定している。また、吸入口3には、異物(髪の毛等)の侵入を阻止するためのフィルタ(ヘアキャッチャー)を設けている。
【0032】
また、本実施例においては、前記循環ポンプ1と吸入口3との間に気体取入口6を設け、この気体取入口6を開放状態としておくことで、循環ポンプ1により吸入口3から浴水を吸入する際に、この吸入される浴水に引き込まれることで自動的に循環路2内に取り入れることができるように構成している。
【0033】
尚、本実施例の気体取入口6は、摘子を把持して捻ることで開度を調整できるコック11としているが、開度を容易に調整できる構成であれば、他の構成を採用しても良い。
【0034】
循環ポンプ1の下流側の溶解タンク12には、吸入口3から吸入された浴水と前記気体取入口6から取り入れた空気とが導入され、加圧されることで空気が浴水に溶解せしめられるように構成している。溶解タンク12としては公知の溶解タンクを採用する。
【0035】
溶解タンク12には、この溶解タンク12の上部排気口に連結する空気抜きチューブ22を介して多孔質材から成る気体抜き部13を設け、この気体抜き部13から余剰な空気が排出されるように構成している。
【0036】
従って、本実施例においては、前記気体取入口6から多めに空気を取り入れるように設定しても、気体抜き部13により余剰の空気を自動的に排出できるから、簡易な構造で面倒な設定を行う必要なく、前記浴水に可及的に多くの空気を溶解せしめられることになる。
【0037】
即ち、残存させておくと浴水と共に大きな気泡として排出され、微細気泡の安定供給を阻害する原因となる余剰空気を気体抜き部13から排出することができ、しかも、この気体抜き部13として整流作用を発揮する多孔質材を採用しているから、常に溶解タンク12内を所定の圧力に保持できることになり、極めて簡易な構成にして過不足なく空気を浴水に溶解せしめられる構成を実現できることになる。
【0038】
本実施例においては、前記気体抜き部13としては、高温焼結セラミック(ファインセラミックではない)から成るものを採用しているが、他の材料、例えば、PP材等、他の多孔質材を採用しても良い。
【0039】
また、このように可及的に多くの空気を溶解せしめた場合、後記する微細気泡化ノズル7において浴水を減圧することで多量の微細気泡が生じることになり、極めて効率良く多くの微細気泡を発生させることができる。
【0040】
本実施例の微細気泡化ノズル7は、一般的なノズルのような単に絞りをかけたものではなく、図3に図示したようにこの微細気泡化ノズル7の液体導入側に液体導入孔8を複数穿設すると共に、液体導出側に液体導出孔9を複数穿設し、この液体導入孔8と液体導出孔9とは夫々、この孔を通過する前記液体が減圧されて微細気泡が生じる(即ち所謂キャビテーションが生じる)ような長さ及び径に設定し、前記液体導入孔8から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で乱流が生じるようにこの液体導入孔8を構成したものである。
【0041】
また、微細気泡化ノズル7は、着脱自在に前記噴射口4の手前側位置のノズル取り付け部20に設けられる。従って、メンテナンスを極めて容易に行える。
【0042】
尚、本実施例においては、液体導入孔8は90度間隔で4つ、液体導出孔9は2つ設けた構成、即ち、液体導出孔9を通過する浴水の方がより減圧される構成であるが、他の構成としても良い。
【0043】
従って、液体導入孔8を通過する際に気体を微細気泡化せしめると共に、微細気泡化ノズル7内の乱流により気液混合状態を作出して微細気泡を均一に混入せしめ、且つ液体導出孔9を通過する際に一層微細化が促進されることになる。
【0044】
本実施例においては具体的には、前記液体導入孔8を螺旋孔とし、この螺旋孔から導入される液体により前記微細気泡化ノズル7内で螺旋流が生じるように構成しており、気泡の微細化及び均一化を一層良好に行える。
【0045】
尚、本実施例の液体導入孔8は螺旋状に形成しているが、他の形状であっても、微細気泡化ノズル7内で乱流を生じさせて気液混合状態を作出できる構成であれば良い。
【0046】
また、複数の前記液体導入孔8が穿設された前記微細気泡化ノズル7の液体導入側端面には、前記複数の液体導入孔8に液体が均等に導入されるようにこの液体をガイドするガイド体10を設けている。
【0047】
従って、前記螺旋孔を通過する浴水の量は略均一化し、それだけ良好な螺旋流を作出できることになる。
【0048】
具体的には、ガイド体10は円錐形状であって、外周に螺旋状に凸条24を設けた構成(所謂ネジ形状)である。従って、導入される浴水はこのガイド体の凸条24及び円錐形状面に沿って略均一に各液体導入孔8にガイドされることになる。
【0049】
尚、本実施例においては凸条24の螺旋方向は、浴水をよりスムーズに導入するために液体導入孔8の螺旋方向と同方向に設定しているが、逆方向に設定しても良い。また、本実施例においては、円錐形状のガイド体10を採用しているが、液体導入孔8に略均一に液体をガイドできる構成であれば他の形状のガイド体を採用しても良い。
【0050】
また、微細気泡化ノズル7の液体導出孔9は、少なくともその一側開口部を外方程拡径するテーパ形状に設定すると良い。本実施例においては両側開口部を夫々外方程拡径するテーパ形状に設定している。これにより、液体導出孔9を通過する浴水の圧力変化が緩やかとなり、それだけ急激な圧力変化が原因で生じる騒音を抑制することができる。
【0051】
微細気泡化ノズル7を通過して上述のように多量の微細気泡が略均一に散在せしめられた浴水は噴射口4(ノズル)から浴槽内に噴射され、圧力が開放されて多量の微細気泡を浴槽内に発生させることになる。この多数の微細気泡により、温浴効果が一層高まることになる。尚、例えば浄化槽等に設けて水の浄化を行う場合には、この浄化能力が一層高まることになる。
【0052】
また、本実施例は、図1に図示したように、方形状の浴槽の角部を閉塞するバスカバー14であって、三角形状の基部15に浴槽の縁に載置される載置部16を連設した載置板17と、この載置板17に組み合わされるものであって、該載置板17と組み合わせた際平面視において方形状となり少なくとも一側に浴槽の縁に載置される載置部18を連設した組み合わせ板19とから成る出願人が取得した特許第2733648号に係るバスカバー14に設けるのが望ましい。この場合には、省スペースにして浴槽への取り付けが極めて簡易に行えるものとなる。
【0053】
尚、本実施例を用いて径が5〜100μm程度の微細気泡(マイクロバブル)を安定して発生させることができる点を確認している。
【0054】
本実施例は上述のように構成したから、吸入口3から吸入した浴水に、気体取入口6から取り入れた空気を溶解タンク12において加圧溶解せしめて、この浴水を前記空気を微細気泡化する微細気泡化ノズル7を介して噴射口4から浴槽内に噴射する際、吸入口3から浴水を吸入しつつ気体取入口6を開放して適宜な量の空気を取り入れることができ、更に、溶解タンク12に、例えば溶解タンク12内を一定圧力に保つ整流作用を発揮する多孔質材から成る気体抜き部13を設けることで、この溶解タンク12内の余剰空気、即ち、浴水に溶解せしめきれない分をこの気体抜き部13から自動的に排出することができる。
【0055】
即ち、溶解タンク12において空気が浴水に溶解せしめられて空気量が不足した場合には、運転を止めることなく適宜空気を取り入れることができるのは勿論、気体取入口6から取り入れる空気の量が仮に過剰であっても、溶解タンク12から、浴水に溶解しきれずに(大きな気泡、即ち、浴水と別体となって)微細気泡の安定供給を妨げる原因となる余剰空気を自動的に排出することができ、従って、溶解タンク12においては常に適当量の空気を浴水に溶解せしめることが可能となる。
【0056】
よって、溶解タンク12において浴水が過不足なく溶解せしめられた浴水のみを微細気泡化ノズル7により減圧せしめて噴射口4から浴槽内に噴射することができるから、大量の微細気泡(浴水に溶解せしめられる空気の量が多ければ、減圧の際に放出される気泡の量も多くなる)をコンスタントに発生させることができることになり、簡易な構成で、高効率な運転が可能となる。
【0057】
しかも、単に例えばコック等から成る気体取入口6と上記多孔質材等から成る気体抜き部13と微細気泡化ノズル7とを取り付けるだけで良いから、既存の気泡発生装置にも簡単に後付けすることができ、この点からも一層実用的となる。
【0058】
また、前記微細気泡化ノズル7は、この微細気泡化ノズル7の液体導入側に液体導入孔8を穿設すると共に、液体導出側に液体導出孔9を複数穿設し、この液体導入孔8と液体導出孔9とは夫々、この孔を通過する前記空気が溶解せしめられた浴水が減圧されて微細気泡が生じるような長さ及び径に設定し、前記液体導入孔8から導入される浴水により前記微細気泡化ノズル7内で乱流が生じるようにこの液体導入孔8を構成したから、液体導入孔8を通過する際に空気を微細気泡化せしめると共に、微細気泡化ノズル7内の乱流により気液混合状態を作出して微細気泡を均一に混入せしめ、且つ液体導出孔9を通過する際に一層微細化が促進されることになり、微細化した気泡をコンスタントに浴槽に発生させることが可能となる。
【0059】
また、前記液体導入孔8を螺旋孔とし、この螺旋孔から導入される浴水により前記微細気泡化ノズル7内で螺旋流が生じるように構成したから、より一層均一化した気液混合状態を作出できることになる。
【0060】
また、前記液体導出孔9は、その両側開口部を外方程拡径するテーパ形状に設定したから、圧力変化をそれだけ緩やかにして、騒音の発生を抑制できることになる。
【0061】
また、複数の前記液体導入孔8が穿設された前記微細気泡化ノズル7の液体導入側端面に、前記複数の液体導入孔8に液体が均等に導入されるようにこの液体をガイドするガイド体10を設けたから、複数の前記液体導入孔8から導入される浴水によってより確実に前記乱流を生じさせることが可能となる。
【0062】
また、方形状の浴槽の角部を閉塞するバスカバー14であって、三角形状の基部15に浴槽の縁に載置される載置部16を連設した載置板17と、この載置板17に組み合わされるものであって、該載置板17と組み合わせた際平面視において方形状となり少なくとも一側に浴槽の縁に載置される載置部18を連設した組み合わせ板19とから成るバスカバー14に設けるように構成すれば、浴槽への取り付けを極めて簡易に行えることになる。
【0063】
従って、本実施例は、極めて簡易な装置構成で、安定した空気の微細気泡化が実現でき、高効率な運転を行うことができる極めて安価にして実用的な気泡発生装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の拡大概略説明斜視図である。
【図3】本実施例の微細気泡化ノズルの拡大概略説明斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
3 吸入口
4 噴射口
5 貯留部
6 気体取入口
7 微細気泡化ノズル
8 液体導入孔
9 液体導出孔
10 ガイド体
12 溶解タンク
13 気体抜き部
14 バスカバー
15 基部
16 載置部
17 載置板
18 載置部
19 組み合わせ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽等の貯留部内に配設され貯留部内の浴水等の液体を吸入する吸入口と、この吸入口から吸入した前記液体に空気等の気体を加圧溶解せしめる溶解タンクと、この気体が溶解せしめられた液体を貯留部内に噴射する噴射口とを備え、この気体が溶解せしめられた液体を噴射口から噴射することで貯留部内に無数の気泡を発生させる気泡発生装置であって、前記吸入口と溶解タンクとの間に開閉自在な気体取入口を設けると共に、前記溶解タンクにこの溶解タンク内の余剰気体を自動的に排出するように構成した気体抜き部を設け、前記溶解タンクと噴射口との間には、前記液体に溶解せしめられた気体を微細気泡化する微細気泡化ノズルを設けたことを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
前記微細気泡化ノズルは、この微細気泡化ノズルの液体導入側に液体導入孔を穿設すると共に、液体導出側に液体導出孔を複数穿設し、この液体導入孔と液体導出孔とは夫々、この孔を通過する前記液体が減圧されて微細気泡が生じるような長さ及び径に設定し、前記液体導入孔から導入される液体により前記微細気泡化ノズル内で乱流が生じるようにこの液体導入孔を構成したことを特徴とする請求項1記載の気泡発生装置。
【請求項3】
前記液体導入孔を螺旋孔とし、この螺旋孔から導入される液体により前記微細気泡化ノズル内で螺旋流が生じるように構成したことを特徴とする請求項2記載の気泡発生装置。
【請求項4】
前記液体導出孔は、少なくともその一側開口部を外方程拡径するテーパ形状に設定したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項5】
複数の前記液体導入孔が穿設された前記微細気泡化ノズルの液体導入側端面に、前記複数の液体導入孔に液体が均等に導入されるようにこの液体をガイドするガイド体を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項6】
方形状の浴槽の角部を閉塞するバスカバーであって、三角形状の基部に浴槽の縁に載置される載置部を連設した載置板と、この載置板に組み合わされるものであって、該載置板と組み合わせた際平面視において方形状となり少なくとも一側に浴槽の縁に載置される載置部を連設した組み合わせ板とから成るバスカバーに設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−239573(P2006−239573A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58862(P2005−58862)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(595033953)株式会社エムディケー (2)
【Fターム(参考)】