説明

気液分離器

【課題】 種々の配管取付方向に対して、分離器ケーシングを回動せずに配管ジョイント部材と接続部材を回動して気液分離器を設置できる配管ジョイント付気液分離器を提供する。
【解決手段】 分離器ケーシング2の一側面に入口となる第1の通路8と出口となる第2の通路10を形成する。第1の通路8に連結する第1の連結口9及び第2の通路10に連結する第2の連結口11を配管ジョイント部材3に形成する。第2の通路10の第2の連結口11側端に第1の通路8を囲む環状溝13を形成する。分離器ケーシング2と配管ジョイント部材3を接続部材4を介してボルト5で締結する。水平あるいは鉛直等の種々の配管取付方向に応じて配管ジョイント部材3と接続部材4を分離器ケーシング2に対して相対的に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に関し、特に種々の配管取付方向に応じて設置できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特開2002−28422に示されている。これは、分離器ケーシングの相反する側面に入口と出口を設け、分離器ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、環状空間の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室を形成し、旋回室の下方を排液口に連結したものである。
【0003】
上記従来の気液分離器は、入口と出口を水平方向にして、すなわち横配管に取り付けて使用されるものであり、入口と出口が鉛直方向となる縦配管に取り付けて使用することができない問題点があった。これは、入口と出口を鉛直方向にして使用すると、分離した気体と液体がそれぞれ出口と排液口に流下しないためである。
【特許文献1】特開2002−28422
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の技術的課題は、配管方向に拘らず良好な気液分離性能を発揮できる気液分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、入口あるいは出口となる第1及び第2の通路を一側面に有する分離器ケーシングと、前記第1の通路に連結する第1の連結口及び第2の通路に連結する第2の連結口を有し分離器ケーシングに回動自在に着脱される配管ジョイント部材と、前記分離器ケーシングと配管ジョイント部材を連結する接続部材とを具備し、前記第2の通路と第2の連結口の連結部の少なくとも一方側に、前記第1の通路あるいは第1の連結口を囲む環状溝を設けたことを特徴とする配管ジョイント付気液分離器にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、種々の配管取付方向に対して、分離器ケーシングを回動せずに配管ジョイント部材と接続部材を回動して気液分離器を設置できるので、気液分離器としての良好な性能を発揮することができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の配管ジョイント付気液分離器は、水平あるいは鉛直等の種々の配管取付方向に応じて配管ジョイント部材と接続部材を分離器ケーシングに対して相対的に回動し、接続部材を介して分離器ケーシングと配管ジョイント部材を連結固定する。分離器ケーシングに対して配管ジョイント部材が第1の通路と第1の連結口を中心に相対的に回動されても、第1の通路と第1の連結口が常に連通状態を維持すると共に、第2の通路と第2の連結口も環状溝によって常に連通状態を維持される。このように、種々の配管取付方向に対して、分離器ケーシングを回動せずに配管ジョイント部材と接続部材を回動して気液分離器を設置できるので、気液分離器としての良好な性能を発揮することができる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1及び図2参照)。図1は鉛直配管取り付け状態を示す断面図であり、図2は図1における右側面図である。図1において、気液分離器1の分離器ケーシング2と配管ジョイント部材3を接続部材4を介して図2に示すボルト5で固着する。配管ジョイント部材3は、同軸上に下部に入口通路6と上部に出口通路7を有し、その中央部に気液分離器1の入口である第1の通路8に連通する第1の連結口9を有すると共に、第1の連結口9の上方に気液分離器1の出口である第2の通路10に連通する第2の連結口11を有する。入口通路6と第1の連結口9の間に円筒状で多数の細孔を開けたスクリーン12を設ける。スクリーン12の円筒内面は入口通路6と連通し、円筒外面は第1の連結口9と連通する。
【0009】
第2の通路10は第1の通路8を囲む環状溝13を介して第2の連結口11と連通する。環状溝13は第2の通路10と第2の連結口11の少なくとも一方側に設けることができる。環状溝13と第1の通路8の端部には気密を維持するためのガスケット14,15を介在させる。接続部材4は平板リング状に形成して内面に段部を設け、分離器ケーシング2に取り付けた固定リング16と段部を嵌め合わせて、配管ジョイント部材3に設けたフランジ部17と対向して配置し2本のボルト5で固着することにより、分離器ケーシング2と配管ジョイント部材3を接続する。
【0010】
次に、気液分離器1について説明する。分離器ケーシング2の一側面に入口である第1の通路8と出口である第2の通路10を上下に形成し、分離器ケーシング2内に固定した排気管18の内外円筒の間に形成される環状空間19から内側円筒の内側を介して連通させる。排気管18の環状空間19に排気管18と一体に旋回羽根20を形成する。第1の通路8は下方の環状空間19に連結し、排気管18の内側円筒の内側は上方の第2の通路10に連結する。環状空間19の下方に旋回室21と、旋回室21の下方に液溜室22を形成し、液溜室22の下端を排液口23に連結する。旋回室21と液溜室22の間に両者を隔てる隔壁部材24を固定する。隔壁部材24は円板形状で外周に4個の突起を有し、突起の間の外周縁と分離器ケーシング2の内周壁との間に液体通過用隙間を形成する。
【0011】
次に作用を説明する。図1に示す状態は、配管ジョイント部材3の入口通路6と出口通路7を下から上へ鉛直縦方向に配置し、気液分離器1も同じく縦方向に取り付けた状態を示しており、例えば、気液分離器1を縦方向のままで、配管ジョイント部材3の入口通路6と出口通路7を水平の横方向に変更する場合は、ボルト5を緩めて配管ジョイント部材3と接続部材4を90度回転することにより、配管状態を適宜変更することができる。
【0012】
入口通路6から流入してきた液体を含む気体は、スクリーン12の細孔を通過することにより流体中の異物が補足され、第1の連結口9を経て第1の通路8から環状空間19に至り、旋回羽根20で旋回せしめられる。液体は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、分離器ケーシング2の内周壁に沿って流下し、排液口23から系外に排出される。排気管18の下端を通過した気体は排気管18の内側円筒の内側から第2の通路10、環状溝13、第2の連結口11を通して出口通路7に流出する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の配管ジョイント付気液分離器の実施例の断面図。
【図2】図2は図1の右側面図。
【符号の説明】
【0014】
1 気液分離器
2 分離器ケーシング
3 配管ジョイント部材
4 接続部材
5 ボルト
6 入口通路
7 出口通路
8 第1の通路
9 第1の連結口
10 第2の通路
11 第2の連結口
13 環状溝
18 排気管
19 環状空間
20 旋回羽根
21 旋回室
22 液溜室
23 排液口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口あるいは出口となる第1及び第2の通路を一側面に有する分離器ケーシングと、前記第1の通路に連結する第1の連結口及び第2の通路に連結する第2の連結口を有し分離器ケーシングに回動自在に着脱される配管ジョイント部材と、前記分離器ケーシングと配管ジョイント部材を連結する接続部材とを具備し、前記第2の通路と第2の連結口の連結部の少なくとも一方側に、前記第1の通路あるいは第1の連結口を囲む環状溝を設けたことを特徴とする配管ジョイント付気液分離器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−274027(P2009−274027A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128814(P2008−128814)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】