説明

気液分離混合装置

【課題】原料ガスを原料水にガス透過膜を通して溶解させて気液混合水を生成したり、ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離したりすることができる一方、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができる気液分離混合装置を提供する。
【解決手段】外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納された気液分離混合装置であって、前記ガス透過膜から前記原料ガス中に漏出した原料水を前記外套の外へ排出する漏出水排出口が形成されており、前記外套の外側から前記漏出水排出口に接続された漏出水排出管に、前記原料ガス中に漏出した原料水を検知するセンサが設けられている気液分離混合装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスを原料水にガス透過膜を通して溶解させて気液混合水を生成したり、ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離したりすることができる一方、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができる気液分離混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾンガスを水中に溶解させてなるオゾン水等、様々な種類の気液混合水が知られており、様々な用途に用いられている。
このような気液混合水の一つであるオゾンガスを水に溶解させて得られるオゾン水は、オゾンの持つ強い酸化力により殺菌・脱臭・漂白等に優れた効果を発揮し、しかもオゾンガスは時間とともに無害な酸素(気体)に自己分解して残留性がないことから、環境にやさしい殺菌・洗浄・漂白剤等として注目されている。近年、環境への関心が高まる中、オゾン水を用いた洗浄プロセスが注目されており、例えば、半導体基板の洗浄や半導体基板のレジスト除去への応用が検討されている。
【0003】
このようなオゾン水の生成方法としては、ガス溶解膜を用いてオゾンガスを水に溶解させる方法が知られており、例えば、特許文献1には、多孔質中空管状のオゾンガス透過膜を耐オゾン性の容器内に複数収納してオゾン溶解モジュールを構成し、原料水とオゾンガスとを多孔質中空管状オゾンガス透過膜を介して接触させることで、多孔質中空管状オゾンガス透過膜の孔内にしみ込んだ原料水を経由してオゾンガスを原料水中に拡散させ、オゾン水を生成する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、このようなオゾン溶解モジュールを用いたオゾン水の生成では、オゾンガス透過膜にクラック等の不具合が生じ、このクラック等から原料水がオゾンガス中に漏出したり、オゾンガス透過膜が多孔質中空管状である場合、オゾン溶解モジュールを長期間使用することで、徐々に原料水が多孔質中空管オゾンガス透過膜を透過してオゾンガス中に漏出したりすることがあり、その結果、オゾン水の生成に使用されずに排気される排オゾンガス中に原料水が混入することがあった。
【0005】
このようなオゾン溶解モジュール等の気液分離混合装置において、原料水がガス透過膜を通って原料ガス中に漏出すると、目的とするガス濃度の気液混合水を生成することができなくなる等の不具合が生じるため、ガス透過膜を交換する必要がある。
しかしながら、従来の気液分離混合装置には、原料水がガス透過膜を通って原料ガス中に漏出し出したことを検知する手段がなく、原料水が原料ガス中に漏出したことに気付かず使用し続けることがあり、最悪の場合、ガス透過膜が破壊されて初めて原料水の原料ガス中への漏出に気付くことがあった。
【0006】
また、通常、気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールに用いた場合、オゾン水を生成した際に使用されなかった排オゾンガスは、オゾン濃度が高く有毒な気体であるため、経時的に無害な酸素に自己分解するとはいえ、未処理状態では排出することができず、そのため、一旦分解塔へ送りオゾン濃度が環境基準値以下になるまで触媒を用いてオゾンを分解する必要がある。
ところが、このような排オゾンガス中のオゾンを分解する際に使用される触媒は、水分により失活するものであったため、上述のようにオゾンガス中に原料水が漏出したことに気付かずにオゾン水の生成、及び、排オゾンガスの処理を行うと、排オゾンガス中に混入した原料水により分解塔の触媒が失活してしまい、オゾンの分解ができなくなるという問題
があった。
【0007】
【特許文献1】特開平07−213880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑み、原料ガスを原料水にガス透過膜を通して溶解させて気液混合水を生成したり、ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離したりすることができる一方、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができる気液分離混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明1の気液分離混合装置は、外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納された気液分離混合装置であって、前記ガス透過膜から前記原料ガス中に漏出した原料水を排出する漏出水排出口が前記外套に形成されており、前記外套の外側から前記漏出水排出口に接続された漏出水排出管に、前記原料ガス中に漏出した原料水を検知するセンサが設けられている気液分離混合装置である。
【0010】
また、本発明2の気液分離混合装置は、外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納された気液分離混合装置であって、前記外套の外側から前記原料ガスを排出するガス排出口に接続されたガス排出管に、前記ガス透過膜から前記原料ガス中に漏出した原料水を検知するセンサが設けられている気液分離混合装置である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明1の気液分離混合装置及び本発明2の気液分離混合装置(以下、これらを特に区別しないときは、単に「本発明の気液分離混合装置」ともいう)は、外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納されている。
上記ガス透過膜は、原料ガスを透過させるが原料水の透過を阻止する膜材であり、このようなガス透過膜が外套内に収納された本発明の気液分離混合装置によると、原料水と原料ガスとが上記ガス透過膜で隔離された状態で外套内に供給され、上記原料ガスがガス透過膜を透過して原料水中に溶解することで気液混合水が生成される。
【0012】
また、本発明の気液分離混合装置は、上記ガス透過膜から上記原料ガス中に漏出した上記原料水を検知するセンサが設けられている。
本発明の気液分離混合装置は、上記センサを有するため、ガス透過膜にクラック等の不具合が発生した場合や長期間使用したこと等により、気液混合水の生成中にガス透過膜から原料ガス中に原料水が漏出した場合であっても、この原料水の漏出を早期に検知することができる。
このような構成の本発明の気液分離混合装置は、種々の原料ガスを原料水中に溶解させて気液混合水を生成することができるが、なかでも、上記原料ガスとしてオゾンガスを用い、上記ガス透過膜としてオゾンガス透過膜を用いることで、本発明の気液分離混合装置は、オゾン水を生成するオゾン溶解モジュールとして好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原料ガスを原料水にガス透過膜を通して溶解させて気液混合水を生成したり、ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離したりすることができる一方で、ガス透過膜にクラック等の不具合が発生した場合や長期間使用したこと等により、原料水がガス透過膜から原料ガス中に漏出した場合、センサが原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができる。
即ち、本発明の気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールに用いると、オゾンガス中に大
量の原料水が漏出する前に、オゾンガス透過膜の交換やオゾンガス中に漏出した原料水を排出する手段を講じることができるため、オゾンガス中に原料水が漏出した状態に気付かずにオゾン水の生成、及び、排オゾンガスの処理を行うという事態を防止することができる。
従って、本発明の気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールに用いると、オゾン水の生成に使用されなかった排オゾンガス中に大量の原料水が混入することを防止することができ、排オゾンガスが送られる分解塔において、排オゾンガス中のオゾンを分解してオゾン濃度を環境基準値以下にまで低下させる触媒が失活することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態に則して説明する。
図1(a)は、本発明1の気液分離混合装置の一例を模式的に示す正面図であり、(b)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の左側面図であり、(c)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の右側面図であり、(d)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の内部の様子を模式的に示した断面図である。また、図2(a)は、図1に示した本発明1の気液分離混合装置の一部を拡大した部分拡大図であり、(b)は、本発明1の気液分離混合装置の実施の態様を示した側面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明1の気液分離混合装置10は、筒状の外套11内に中空管状で環状の循環部を有する4つのガス透過膜12が収納されている。また、外套11の両端面には、それぞれ複数の原料水を外套11内のガス透過膜12中に供給する原料水供給口11cと、原料水中に原料ガスが溶解して生成された気液混合水を外套11外へ排出する混合水排出口11dとが形成されており、原料水供給口11cと混合液排出口11dとは、それぞれガス透過膜12と接続されている。
また、外套11の上述した混合水排出口11dが形成された側の側面に略中央には、外套11とガス透過膜12との間に原料ガスを流通させるためのガス供給口11aが形成されており、外套11の上述した原料水供給口11cが形成された側の側面に外套11外へ原料ガスを排出するガス排出口11bが形成されている。
このような態様の本発明1の気液分離混合装置10では、図1(a)に矢印で示したように、原料水及び気液混合液の流通方向と原料ガスの流通方向とが対向するような方向となる。
【0016】
図1及び図2に示した本発明1の気液分離混合装置10は、側面に形成された原料ガス供給口11a、原料ガス排出口11b、原料水供給口11c、及び、混合水排出口11dが、外套11の外側に突出した雄ネジ状のジョイント16と連絡されており、このジョイント16に螺合可能な袋ナット17を介して外部の配管等と接続されている。
また、外套11の側面から外側に突出したジョイント16は、樹脂製のナット等で外套11に固定されており、更に、このジョイント16は、外套11の側面とほぼ同形状で、ボルト等で外套11の側面に固定されたフランジを介してガス透過膜12と連絡している。
【0017】
このような本発明1の気液分離混合装置10は、外套11とガス透過膜12との間に原料ガスを流通させ、ガス透過膜12の内側に原料水を流通させる。このような構造の本発明1の気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールに用いると、高濃度のオゾン水を生成することができる。
【0018】
本発明1の気液分離混合装置を構成する外套としては、気密性を有するものであり、オゾン溶解モジュールに用いる場合は、更に耐オゾン性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)等の4フッ化エチレン共重合体からなるもの等が挙げられる。
また、上記外套の形状としては特に限定されず、例えば、円柱状;三角柱、四角柱等の多角柱状;楕円体状等が挙げられる。
【0019】
ガス透過膜12は、外套11内で原料水と原料ガスとを隔て、原料ガスを透過させるが原料水の透過を阻止する膜材であり、上記原料ガスを原料水にガス透過膜12を通して溶解させることでオゾン水等の気液混合水が生成される。
【0020】
上記ガス透過膜としては特に限定されず、使用する原料ガスの種類に合わせて適宜選択されるが、例えば、本発明1の気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールとして用いる場合、シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂からなること好ましい。シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂は、耐食性及び耐劣化性に優れ、更に、シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂を用いてなるガス透過膜は、オゾンガスを効率的に透過する性質を有するため、本発明1の気液分離混合装置をオゾン溶解モジュールとして好適に用いることができる。
【0021】
上記フッ素系樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)等の四弗化エチレン系樹脂重合体;フッ素系ゴム等が挙げられる。
また、上記シリコーン系樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリジメチルシロキサン、メチルシリコーンゴム等が挙げられる。
なお、パーフルオロ化樹脂であれば、いずれの樹脂でも後述する非多孔性膜の原料として使用できる。
【0022】
また、上記ガス透過膜は、多孔性膜であってもよく、非多孔性膜であってもよいが、非多孔性膜であることが好ましい。
ガス透過膜が多孔性膜であると、例えば、原料ガスを原料水に溶解させる場合には、まず、ガス透過膜の孔内にしみこんだ原料水に原料ガスが溶解し、次いで、濃度勾配に従い原料ガスの分子が原料水中に拡散するので、異物が混入した原料水を流通させると孔が異物で詰まり原料ガスを原料水に溶解させることができなくなる。これに対して、ガス透過膜として孔のない非多孔性膜を用いると、ガス透過膜が目詰まりすることがない。また、ガス透過膜が多孔性膜であると、孔内にしみこんだ原料水を介して原料ガスが原料水に溶解するので、孔内に原料水をしみこませるために原料ガス圧を液圧より低くなるように厳密に調整することが必要であるので、原料水中に溶解する原料ガス濃度を高くすることができない。これに対して、ガス透過膜が非多孔性膜であると、原料ガス圧を液圧より低くする必要はなく、原料ガス圧を高圧にして高濃度に原料ガスを原料水に溶解させることができる。
【0023】
上記ガス透過膜は、上記外套内で原料水と原料ガスとを隔離させることができる形状であれば特に限定されないが、図1に示したガス透過膜12のように、所要の内径及び長さに成形した中空管状(中空糸状、チューブ状)であることが好ましい。中空管状とすることにより、平膜として用いるよりも効率的に原料ガスを通して原料水に溶解させることができるからである。
更に、上記ガス透過膜が中空管状である場合、円管状であってもよいが、異形断面形状を有する管状であることが好ましい。原料ガスとガス透過膜の外周との接触面積が大ききくなり、より効率よくガス透過膜内を流通する原料水中に原料ガスを溶解させることができるからである。
【0024】
上記ガス透過膜が中空管形状である場合、その内径の好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は1mmである。0.1mm未満であると、中空管状のオゾンガス透過膜の内側に原料水を流した場合に、原料水の粘性抵抗により流れにくくなることがあり、1mmを超えると、中空管状を肉薄化した場合、2次加工の際に折れてしまうことがある。より好ま
しい下限は0.3mmである。
【0025】
上記ガス透過膜が中空管状である場合、肉厚の好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。原料ガス透過性を考慮すると肉厚は薄い方が好ましいが、例えば、中空管状のオゾンガス透過膜を束ねる2次加工を行う際に折れやすくなってしまう等、取り扱い面からこの範囲内であることが好ましい。
【0026】
また、上記ガス透過膜が中空管状である場合、外套内に収納されるガス透過膜の個数は、図1に示したガス透過膜12のように4つに限定されず、3つ以下や5つ以上であってもよく、外套の大きさ等を考慮して適宜決定される。
更に、図1に示した本発明1の気液分離混合装置10では、1のガス透過膜12が、外套11の両端面にそれぞれ形成された原料水供給口11cと混合水排出孔11dとに接続されているが、例えば、複数のガス透過膜が束ねられた状態で外套の両端面にそれぞれ形成された原料水供給口と混合水排出孔とに接続されていてもよい。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、本発明1の気液分離混合装置10は、外套11のガス排出口11b及び原料水供給口11cが形成された側の端面に漏出水排出口13が形成されており、この漏出水排出口13には、外套11の外側に突出した雄ネジ状のジョイント16、ジョイント16に螺合可能な袋ナット17を介して漏出水排出管14が接続されており、更に、漏出水排出管14には、センサ15が設けられている。
【0028】
漏出水排出口13は、ガス透過膜12を通って原料ガス中に漏出した原料水を外套11の外へ排出するために、外套11のガス排出口等が形成された側の端面に形成された孔であり、その形成位置としては特に限定されないが、図1及び図2に示すように、外套11のガス排出口が形成された側の端面の中心よりも下方に形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明1の気液分離混合装置において、上記漏出水排出口は、必ずしも上記外套のガス供給口が形成された端面に形成されている必要はなく、例えば、上記外套のガス供給口が形成された側の端面や、外套の側面等に形成されていてもよい。
上記漏出水排出口が上記外套の側面に形成されている場合、上記外套の下面に原料ガス中へ漏出した原料水を一点に集めるための傾斜を設け、この傾斜の底に漏出した原料水を外套外へ排出する漏出水排出管が接続された構造であることが好ましい。このような構造であると、漏出した原料水が外套の下面で効率よく集められ、漏出水排出管内へ排出されるため、センサによる漏出した原料水の検知をより迅速にかつ正確に行うことができる。
【0030】
漏出水排出管14は、外套11の外側から漏出水排出口13と連絡したジョイント16及びジョイント16に螺合された袋ナット17によって漏出水排出口13と接続された管状部材である。
このような漏出水排出孔13と漏出水排出管14とが設けられた本発明1の気液分離混合装置は、ガス透過膜12を通って原料ガス中に原料水が漏出した場合、この漏出した原料水は、原料ガスとともに漏出水排出口13を通って漏出水排出管14に排出される。この漏出した原料水は、漏出水排出管14に設けられたセンサ15によって検知されるため、ガス透過膜にクラック等の不具合が生じたことを早期に発見することができる。
【0031】
上記漏出水排出管は、排出された原料ガスが乾燥処理を施された後排気されるが、再度上記外套へ供給されるように循環していてもよい。例えば、上記原料ガスがオゾンガスである場合、上記漏出水排出管へ排出された排オゾンガスは、外部へ排出する前に一旦分解塔へ送りオゾン濃度が環境基準値以下になるまで触媒を用いてオゾンを分解する必要がある。しかし、ガス透過膜にクラック等が発生して上記排オゾンガスに原料水が混入すると、上記センサにより上記排オゾンガスに混入した原料水を早期に検知することはできるもの
の、上記センサが排オゾンガス中の原料水を検知してオゾン水の生成を中止するまで、上記分解塔に原料水が混入した排オゾンガスが送られることとなるため、上記分解塔の触媒が失活してしまい、オゾンの分解ができなくなることがあるからである。
なお、上記原料ガスが、上記オゾンガスのように分解塔で処理する必要がない場合や、分解塔等で処理する必要はあるが、原料水が混入することで不具合が生じないようなものである場合、上記漏出水排出管は、ガス供給管へ連絡されている必要はない。
【0032】
図3は、本発明1の気液分離混合装置の好ましい一例を模式的に示す部分拡大断面図である。
図3に示すように、本発明1の気液分離混合装置は、外套11に形成された漏出水排出口13に、外套11の外側から接続された漏出水排出管34に、上記原料ガス中に漏出した原料水を貯める貯水部30が形成されており、この貯水部30にセンサ15が設けられていることが好ましい。
【0033】
貯水部30は、漏出水排出管34が下方に向けてU字状に屈曲された部位であり、漏出水排出管34に排出された原料水を貯めることができる。この貯水部30に貯められた原料水は、貯水部30に設けられたセンサ15により検知されるようになっている。
【0034】
本発明1の気液分離混合装置において、上記漏出水排出管に形成された貯水部は、漏出水排出管から排出された原料水を貯めることができる形状であればよく、例えば、V字状に屈曲させたものであってもよい。また、漏出水排出管を屈曲させて貯水部とするのではなく、例えば、漏出水排出管の底面の一部に凹部を形成し、この凹部を貯水部としてもよい。
【0035】
このような漏出水排出管を構成する材料としては特に限定されないが、PFA等の透明な材料であることが好ましい。漏出水排出管が透明な材料から構成されていると、後述する貯水部に貯まった原料水を検知するセンサとして光学センサを使用することができる。
なお、上記漏出水排出管は、上記貯水部以外を上述した外套と同様の材料からなるものとし、上記貯水部をPFA等の透明な材料からなるものとしてもよい。
【0036】
センサ15としては、原料ガスとともに、上述した漏出水排出口を通って漏出水排出管に排出されたガス透過膜を通って原料ガス中に漏出した原料水を検出することができる従来公知のセンサを使用することができ、例えば、本発明1の気液分離混合装置の漏出水排出管が図3に示したような貯水部30が形成された構造である場合、センサ15としては、貯水部30に貯まった原料水を検知できる光学センサ等が挙げられる。
【0037】
また、本発明1の気液分離混合装置は、図3に示したように、外套11内に漏出水排出口13に接続された漏出水導出管31が設けられていることが好ましい。原料ガス中に漏出し外套11内に貯まった原料水Wを効率よく外套11外へ吸い出して排出することができ、外套から排出される原料ガス中に大量の原料水が混入することを防止することができるからである。
漏出水排出管31は、管状の部材であり、その一方の端部は、外套11の内側の下面付近に位置するように配置されており、他方の端部は、外套11の漏出水排出口13に接続されている。
このような漏出水排出管31を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、上述した外套11と同様の材料であることが好ましい。
【0038】
図3に示したような貯水部が設けられた本発明1の気液分離混合装置は、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を、漏出水排出口から漏出水排出管へ排出し、貯水部に貯めることができるため、早期に原料水の漏出を検知することができる。
また、上記漏出水導出管が設けられた本発明1の気液分離混合装置は、原料ガス中に漏出した原料水を外套内の原料ガスの外へ迅速に排出することができるため、原料水が排ガス中に大量に混入することを防ぐこともできる。
【0039】
図4は、本発明2の気液分離混合装置の一例を模式的に示す正面図である。
図4に示すように、本発明2の気液分離混合装置40は、筒状の外套41内に中空管状で環状の循環部を有する4つのガス透過膜(図示せず)が収納されている。また、外套41の両端面には、それぞれ複数の原料水を外套41内のガス透過膜中に供給する原料水供給口41cと、原料水中に原料ガスが溶解して生成された気液混合水を外套41外へ排出する混合水排出口41dとが形成されており、原料水供給口41cと混合液排出口41dとは、それぞれガス透過膜と接続されている。
また、外套41の両端面の略中央には、外套41とガス透過膜との間に原料ガスを流通させるためのガス供給口41aと、外套41外へ原料ガスを排出するガス排出口41bとが形成されており、このガス排出口41bには、外套41の外側からセンサ45が設けられたガス排出管44が接続されている。
このような態様の本発明2の気液分離混合装置40では、図4に矢印で示したように、原料水及び気液混合液の流通方向は、図中右から左となり、原料ガスの流通方向は、図中左から右となり、それぞれ対向するような方向となる。
【0040】
図4に示したように、本発明2の気液分離混合装置は、漏出水排出口及び漏出水排出管が設けられておらず、外套に供給された原料ガスを外套外へ排出するガス排出管にセンサが設けられている以外は、図1に示した本発明1の気液分離混合装置とほぼ同様の部材及び構成からなるものである。
即ち、本発明2の気液分離混合装置は、ガス透過膜を通って原料ガス中に原料水が漏出した場合、この漏出した原料水は、ガス排出管に設けられたセンサによって検知され、ガス透過膜にクラック等の不具合が生じたことを早期に発見することができる。
【0041】
本発明2の気液分離混合装置は、ガス排出管に原料ガス中に漏出した原料水を貯める貯水部が形成されており、上記貯水部にセンサが設けられていることが好ましい。即ち、本発明2の気液分離混合装置のガス排出管は、図3を用いて説明した貯水部30が形成された漏出水排出管34と同様の構造であることが好ましい。
【0042】
更に、本発明2の気液分離混合装置は、外套内にガス排出口に接続された漏出水導出管が設けられていることが好ましい。即ち、本発明2の気液分離混合装置は、外套内に図3を用いた説明した漏出水導出管31と同様の漏出水導出管がガス排出口に接続されていることが好ましい。
【0043】
以上説明したように、本発明の気液分離混合装置は、ガス透過膜を通して原料水に原料ガスを溶解させて気液混合水を生成する際に、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができるが、更に、本発明の気液分離混合装置は、上記ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離することもできる。
この場合、上述した原料水供給口から気液混合水を供給する一方、ガス供給口から原料ガスを供給しないようにすることで、上記気液混合水を原料ガスと原料水とに分離することができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
内径15cm×長さ20cmの円柱形を有する外套内に、パーフルオロアルコキシ樹脂からなる内径0.5mm×厚さ0.04mm×長さ350cmの中空管状のオゾンガス透過膜400本を束ねて収納されたオゾン溶解モジュールを作製した(図1参照)。
また、PFAからなる内径4mmの管状の漏出水導出管を、その一端部を外套内の下面付近に配置させ、他端部を外套の一方の端面に形成した漏出水排出管に接続し、更に、外套の外側から漏出水排出管にPFAからなる内径4mmの漏出水排出管を接続し、更に、漏出水排出管の途中に、PFAからなるU字状の貯水部を形成し、該貯水部に光学センサ(オムロン社製、液面レベルセンサE32−L25T)を設けた(図3参照)。
【0046】
オゾンガス発生装置(住友精密社製:GR−RB)に、酸素流量2L/分、窒素流量40mL/分で原料ガスを送り込みオゾンガスを発生させ、発生したオゾンガスをオゾンガス圧0.25MPaに加圧して送り出し、オゾンガスのオゾン濃度をオゾンガス濃度計(理工化学社製:OZR−3000)でモニターしたものをオゾン溶解モジュールの外套とオゾンガス透過膜との間に供給し(ガス供給口11aからガス排出口11bのルート)、ポンプを介してタンクに貯蔵した純水を水温20℃、流量1L/分でオゾン溶解モジュールのオゾンガス透過膜内に供給し(原料水供給口11cから混合水排出口11dのルート)、オゾン水を生成した。
また、オゾン水の生成に使用されなかったオゾンガスは、排オゾンガスとして分解塔へ送り、該分解塔の触媒(品川化成社製、セカードKR)を用いて排オゾンガス中のオゾン濃度が環境基準値以下となるまでオゾンの分解を行った。
【0047】
その後、オゾン水の生成と排オゾンガスの処理とを継続して行い、光センサが貯水部に原料水が貯まったことを検知した時点で、ポンプを停止して純水の供給と、オゾンガス発生装置の放電と、酸素の供給とを停止した。なお、窒素ガスの供給は停止せず継続した。
そして、外套内を調べたところ、オゾンガス透過膜からオゾンガス中へ原料水が漏出していることが確認された。
また、オゾンガス透過膜からオゾンガス中へ原料水が漏出していることが早期に発見できたため、分解塔へ送られる排オゾンガス中に漏出した原料水が混入することを防止でき、触媒が失活することを未然に防止することができた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、原料ガスを原料水にガス透過膜を通して溶解させて気液混合水を生成したり、ガス透過膜を通して気液混合水を原料ガスと原料水とに分離したりすることができる一方、ガス透過膜から原料ガス中に漏出した原料水を早期に検知することができる気液分離混合装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)は、本発明1の気液分離混合装置の一例を模式的に示す正面図であり、(b)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の左側面図であり、(c)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の右側面図であり、(d)は、(a)に示した本発明1の気液分離混合装置の内部の様子を模式的に示した断面図である。
【図2】(a)は、図1に示した本発明1の気液分離混合装置の一部を拡大した部分拡大図であり、(b)は、本発明1の気液分離混合装置の実施の態様を示した側面図である。
【図3】本発明1の気液分離混合装置の好ましい一例を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明2の気液分離混合装置の一例を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0050】
10、40 気液分離混合装置
11、41 外套
11a、41a ガス供給口
11b、41b ガス排出口
11c、41c 原料水供給口
11d、41d 混合液排出口
12、42 ガス透過膜
13 漏出水排出口
14、44 漏出水排出管
15、45 センサ
16 ジョイント
17 袋ナット
30 貯水部
31 漏出水導出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納された気液分離混合装置であって、
前記ガス透過膜から前記原料ガス中に漏出した原料水を排出する漏出水排出口が前記外套に形成されており、
前記外套の外側から前記漏出水排出口に接続された漏出水排出管に、前記原料ガス中に漏出した原料水を検知するセンサが設けられている
ことを特徴とする気液分離混合装置。
【請求項2】
漏出水排出管に原料ガス中に漏出した原料水を貯める貯水部が形成されており、前記貯水部にセンサが設けられていることを特徴とする請求項1記載の気液分離混合装置。
【請求項3】
外套内に漏出水排出口に接続された漏出水導出管が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の気液分離混合装置。
【請求項4】
外套内に原料水と原料ガスとを隔離するガス透過膜が収納された気液分離混合装置であって、
前記外套の外側から前記原料ガスを排出するガス排出口に接続されたガス排出管に、前記ガス透過膜から前記原料ガス中に漏出した原料水を検知するセンサが設けられている
ことを特徴とする気液分離混合装置。
【請求項5】
ガス排出管に原料ガス中に漏出した原料水を貯める貯水部が形成されており、前記貯水部にセンサが設けられていることを特徴とする請求項4記載の気液分離混合装置。
【請求項6】
外套内にガス排出口に接続された漏出水導出管が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の気液分離混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87989(P2006−87989A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274267(P2004−274267)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】