説明

気管挿管セット

【課題】気管挿管に用いられる複数の気管挿管用部材、殊に相互に対応する仕様の気管挿管用部材とともに用いられる連関型気管挿管用部材を不足させることなく対応する仕様のものを誤ることなく短時間で容易に準備できる気管挿管セットを提供すること。
【解決手段】複数の気管挿管用部材3からなる気管挿管セット1であって、複数の気管挿管用部材3と、前記気管挿管用部材3が収納される収納バッグ10とを備え、前記気管挿管用部材3のいずれかは、仕様が相互に対応する他の前記気管挿管用部材3と共に用いられる連関型気管挿管用部材4とされ、前記連関型気管挿管用部材4は、共に用いられる他の前記気管挿管用部材3と対応する仕様とされるとともに、共に用いられる連関型気管挿管用部材4には相互に仕様が対応していることを示す識別手段21A、41A、61Aが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術又は救急処置において気管挿管を施す際に用いられる複数の気管挿管用部材を収納した気管挿管セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術時に患者に気管挿管器を接続して気管挿管ガスの供給する場合や、救急救命士等が救急措置を行なう場合に、例えば、人工呼吸器を気管内チューブ又は気管切開チューブ等を患者に挿管して患者の呼吸を補助することが広く行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。その場合、それぞれの気管挿管用部材は患者の体形や患部の位置等によって判断され決められている。
【特許文献1】特表2001−516252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような気管挿管用部材のうち、例えば、気管内挿管用の吸引カテーテルやバイトブロックは、太さや長さ等の仕様が気管内チューブの仕様に対応したものを選択する必要があり、気管内チューブをはじめとする気管挿管用部材を準備する場合に患者の状況に加えて、共に用いるそれぞれの気管挿管用部材の仕様を相互に対応させることが必要とされる。
【0004】
そのため、病院等の医療機関や救急処置が必要とされる事故現場等において、かかる複数の気管挿管用部材を準備する際には、医師等の医療従事者や救急救命士がそれぞれの患者に応じた気管挿管用部材を注意しながら選択するとともに、それぞれの気管挿管用部材が患者に対応可能なことと、共に用いる気管挿管用部材の仕様が相互に対応可能な仕様であるかどうかのチェックする必要があるために、医療従事者や救急救命士の大きな負担となっていて、時間的に切迫した緊急時には特に大きな負担となっている。
【0005】
また、それぞれの気管挿管用部材には、サイズ等の複数の仕様が存在するために気管挿管用部材を仕様ごとに在庫する必要があり、数多くの気管挿管用部材の在庫管理に多くの時間が費やされるという問題があり、準備作業に加えて在庫管理の負担を軽減したいという要望があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、気管挿管に用いられる複数の気管挿管用部材、殊に相互に対応する仕様の気管挿管用部材とともに用いられる連関型気管挿管用部材を不足させることなく準備可能とするとともに、相互に対応する仕様の気管挿管用部材を誤ることなく短時間で容易に準備でき、かつ組合せ内容の確認が容易に可能な気管挿管セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、気管挿管を施す際に用いられる複数の気管挿管用部材からなる気管挿管セットであって、複数の気管挿管用部材と、前記気管挿管用部材が収納される収納バッグとを備え、前記気管挿管用部材のいずれかは、仕様が相互に対応する他の前記気管挿管用部材と共に用いられる連関型気管挿管用部材とされ、前記連関型気管挿管用部材は、共に用いられる他の前記気管挿管用部材と対応する仕様とされるとともに、共に用いられる連関型気管挿管用部材には相互に仕様が対応していることを示す識別手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る気管挿管セットによれば、気管挿管を施術する際に用いる気管挿管用部材が収納バッグに収納されているので、手術や救急処置が必要な事故現場において、気管挿管に用いられる気管挿管用部材を容易、かつ短時間で準備することができる。また、気管挿管用部材が収納バッグに収納されているので、気管挿管用部材が汚染されるのを抑制することができる。
また、収納バッグには、共に用いられる相互に仕様が対応する気管挿管用部材を、連関型気管挿管用部材に関して共に用いる連関型気管挿管用部材同士の仕様が相互に対応するように収納されているので、仕様が異なる連関型気管挿管用部材を誤って準備することが抑制される。
また、共に用いられる連関型気管挿管用部材に相互の仕様が対応するものであることを示す識別手段が設けられているので、共に用いる連関型気管挿管用部材の仕様が相互に対応するものかどうかを容易に確認することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の気管挿管セットであって、前記収納バッグには、いずれかの前記気管挿管用部材と他の前記気管挿管用部材の間を区切るための仕切りが形成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る気管挿管セットによれば、収納バッグにはいずれかの前記気管挿管用部材同士の間を区切るための仕切りが形成されているので、相互に区切られた気管挿管用部材は収納バッグ内で移動して互いに接触、損傷するのが抑制される。また、収納バッグ内で複数の気管挿管用部材が重なり合うことが抑制されるので、気管挿管セットの厚みを薄く保持することが可能となり、在庫品の保管及び運搬等を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1記載又は請求項2に記載の気管挿管セットであって、気管内チューブと、呼吸用温湿度交換器と、気管内挿管用の吸引カテーテルと、口、鼻腔用の吸引カテーテルと、バイトブロックとを備え、前記連関型気管挿管用部材は、気管内チューブと、気管内挿管用の吸引カテーテルと、バイトブロックとから構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る気管挿管セットによれば、気管挿管に必要とされる基本的な気管挿管用部材が収納されているので、手術に際して必要とされる気管挿管用部材を容易かつ短時間で準備することができ、また、気管内チューブと、気管内挿管用の吸引カテーテルと、バイトブロックが相互に対応する仕様とされているので準備作業におけるミスを低減することができる。
また、気管内チューブ、呼吸用温湿度交換器、吸引カテーテル、バイトブロック以外の気管挿管用部材が必要とされる場合には、不足分のみを準備すればよいので、準備作業を短時間かつ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る気管挿管セットによれば、手術における気管挿管に用いられる気管挿管用部材が収納バッグ内に収納されているので、気管挿管用部材を容易、かつ短時間で準備することができる。また、収納バッグには、共に用いられる連関型気管挿管用部材に関して、相互に対応する仕様の気管挿管用部材が収納されているので、異なる仕様の気管挿管用部材を誤って準備することが抑制され、また、連関型気管挿管用部材をなす各気管挿管部材に仕様を識別するための識別手段が設けられているので、各気管挿管用部材の仕様が相互に対応するものかどうかを容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明に係る気管挿管に用いられる複数の気管挿管用部材が収納された気管挿管セットの第1の実施形態を示す図であり、符号1は気管挿管セットを示している。
気管挿管セット1は、気管挿管を施術する際に用いる複数の気管挿管用部材3と、これら気管挿管用部材3が収納される収納バッグ10とを備えている。
また、気管挿管用部材3は、気管内チューブ20と、呼吸用温湿度交換器30と、吸引カテーテル(気管内挿管用)(気管内挿管用の吸引カテーテル、以下、同じ)40と、吸引カテーテル(口、鼻腔用)(口、鼻腔用の吸引カテーテル、以下、同じ)50と、バイトブロック60とを備えている。
【0015】
また、気管挿管用部材3は、患者の体形、患部の位置等、患者の状況に応じて選択されて用いられる気管挿管用部材と、仕様が相互に対応する他の気管挿管用部材と共に用いられる連関型気管挿管用部材4とを備えており、この実施の形態において、連関型気管挿管用部材4は、気管内チューブ20と、吸引カテーテル(気管内挿管用)40と、バイトブロック60とを備えている。
【0016】
収納バッグ10は、収納バッグ本体11と、接続部11Aとを備えており、収納バッグ本体11は、例えば、可撓性を有する筒状体を材料として構成されており、筒状体に気管挿管用部材3が配置された後に、筒状体の筒形状を偏平にするとともに筒状体の両端に形成される開口部の互いに対向する面を密着させて、溶着、接着等の接続手段により接続させることにより開口部を閉塞して接続部11Aが形成されている。
また、接続部11Aには、開封用の切り込み13が形成されており、切込み13の谷部を挟んで両側に引っ張ることにより、接続部11Aが収納バッグ10の収納部に向って分断され収納バッグ10が開封されるようになっている。
【0017】
この場合、収納部材10に収納される気管挿管用部材3が細菌、ウイルス、有害化合物等によって汚染されるのを抑制するために、筒状体をポリエチレン等の合成樹脂で形成し、その開口部をヒートシールによって溶着させることにより収納バッグ10の内部と外部とを気密に密封、保持することが好ましい。
また、気管挿管用部材3に対する視認性の観点から、収納バッグ10は透明又は半透明であることが好ましい。
【0018】
気管内チューブ20は、例えば、図2に示すように患者Kの咽頭部を通じて、気管K1内に挿入自在とされ、患者Kへの気管挿管ガスと患者Kの呼気が通過するものであり、気管内チューブ20の一方の端部は後述する呼吸用温湿度交換器30を介して図示しない気管挿管器又は呼吸回路に接続されるものであり、他方の端部は、患者の気管K1内に挿入されるようになっている。なお、気管内チューブ20は、呼吸用に切開された開口部を通じて気管K1内に挿入される場合もある。
【0019】
また、気管内チューブ20は、包装用袋21により包装されており、包装用袋21には、気管内チューブ20の仕様又は対応を示すとともに対応する吸引カテーテル(気管内挿管用)40及びバイトブロック60(他の気管挿管用部材)の仕様が気管内チューブ20の仕様に対応するものであるかどうかを識別可能とする識別色(識別手段)21Aが配されている。
【0020】
呼吸用温湿度交換器30は、患者Kの呼気が通過するとともにその反対方向に患者Kに送り込まれる気管挿管ガス等が通過するものであり、患者Kの呼気に含まれる湿気が呼吸用温湿度交換器30内のエレメントに一旦保持され、気管挿管ガス等が送り込まれるときにエレメントに保持された湿気が気管挿管ガスとともに患者Kの気管K1内に送り込まれることで、患者の気管K1内が乾燥するのを抑制するようになっている。
【0021】
吸引カテーテル(気管内挿管用)40は、気管挿管中に患者Kの粘膜等から排出されて気管内チューブ20内に流入した粘液や血液等を気管内チューブ20外にスムースに排出させるための管路であり、一方の端部は吸引装置に接続され、他方の端部は気管内チューブ20に挿入して使用されるようになっている。この実施の形態において、吸引カテーテル(気管内挿管用)40は、包装用袋41により包装されており、包装用袋41には、共に用いる気管内チューブ20の仕様に対応するものであることを識別可能とする識別色(識別手段)41Aが配されている。
【0022】
吸引カテーテル(口、鼻腔用)50は、気管挿管中にその先端開口部を患者Kの鼻腔又は口腔を経由して粘膜等の患部に配置し、患部から排出される粘液や血液等を患者Kの体外にスムースに排出させるための管路であり、一方の端部は吸引装置に接続され、他方の端部は患者Kの体内に挿入されるようになっている。この実施の形態において、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50は、包装用袋51により包装されている。
【0023】
バイトブロック60は、気管内チューブ20と並列に配置して患者の口の部分に装着して気管内チューブ20と使用するものであり、患者Kが気管内チューブ20を噛んで変形させ、又は管路を閉塞させるのを抑制するためのものである。この実施の形態において、バイトブロック60は、包装用袋61により包装されており、包装用袋61には、共に用いる気管内チューブ20の仕様に対応するものであることを識別可能とする識別色(識別手段)61Aが配されている。
【0024】
上記気管挿管用部材3の仕様については、気管内チューブは、ISO 5361 「麻酔及び呼吸器具−気管チューブ及びコネクタ」、JIS T 7221「気管チューブ及びコネクタ」、等の規格に従い、吸引カテーテル(気管挿管用)は、ISO 8836 「気道に使用するための吸引カテーテル」、JIS T 3251「気道用吸引カテーテル」等の規格に従っていて、気管内チューブ20の仕様の種類数と、吸引カテーテル(気管内挿管用)40の仕様の種類数とは異なっているため、必要に応じて多対1に対応させてもよい。
【0025】
以下に、この気管挿管セット1の使用方法について説明する。
まず、気管挿管セット1を、所定の保管場所から選択して患者の近傍に移動する。
この場合、気管挿管セット1の準備を担当する医療従事者又は救急救命士は、気管挿管セット1の内容物である、例えば、気管内チューブ20の包装用袋21に付された識別色21Aを確認して、準備するべき仕様の気管挿管用部材3が収納された気管挿管セット1を準備する。この際、医療従事者又は救急救命士は、気管内チューブ20、呼吸用温湿度交換器30、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50のそれぞれの仕様が手術を受ける患者Kに対応した仕様であるかどうかを確認する。
【0026】
次に、気管挿管セット1に収納された気管用チューブ20の包装用袋21に配された識別色21Aをもとに、吸引カテーテル(気管内挿管用)40が包装された包装用袋41の識別色41Aと、バイトブロック60が包装された包装用袋61の識別色61Aとを対比して、吸引カテーテル(気管内挿管用)40及びバイトブロック60の仕様が、気管用チューブ20の仕様に対応するものであることを確認する。
【0027】
次いで、手術室において気管挿管を担当する医療従事者が、気管挿管セット1が患者Kに対応した気管挿管用部材3が収納されたものであることを確認した後、気管挿管セット1の切込み13の谷部を両側に引っ張って気管挿管セット1を開封する。
気管挿管セット1から取り出された気管挿管用部材3は、図2に示すように、吸引カテーテル(気管内挿管用)40の一方の端部を気管内チューブ20に挿管するとともに、気管内チューブ20の一方の端部と呼吸用温湿度交換器30を接続して図示しない気管挿管器に接続するとともに、他方の端部が患者Kの気管K1に挿入される。
また、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50の一方の端部を低圧吸引装置(図示せず)に接続するとともに、他方の端部を吸引が必要な患部等に装着する。
あわせて、必要に応じてバイトブロック60を患者の口に装着する。
【0028】
第1の実施形態に係る気管挿管セット1によれば、気管挿管を施術する際に用いる気管挿管用部材3が収納バッグ10に収納されているので、手術に用いられる気管挿管用部材3を容易、かつ短時間で準備することができ、一式の気管挿管用部材3が気管挿管セット1として収納バッグ10内に収納されているので、片手でも容易に運搬することができる。
その結果、医療機関における手術等の準備を正確かつ迅速に行なうことはもとより、事故現場における救急救命士による応急処置にあたってのサイズ違いの防止や救急処置時間の短縮に有効である。
また、震災等の大規模災害によって医療環境が損なわれた場合であっても、対応可能なセットの形でかつ良好な状態で維持可能とされるので有効に用いることが可能である。
【0029】
また、収納バッグ10が、ポリエチレン等の細菌、ウイルスが通過できない材質で形成されている場合、保管中はもとより、例えば、気管挿管用部材3が落下して床面と接触したような場合も含めて収納バッグ10内の気管挿管用部材3が汚染するのが防止される。
また、手術における気管挿管で用いる気管挿管用部材3の員数及び仕様確認及び在庫管理を容易に行うことができる。
【0030】
また、収納バッグ10には、連関型気管挿管用部材4とされる気管内チューブ20、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、バイトブロック60の仕様が相互に対応するように収納されているので、これら連関型気管挿管用部材4相互の仕様を誤って準備することが抑制される。
また、これら連関型気管挿管用部材4に相互の仕様が対応するものであることを示す識別色は配されているので、吸引カテーテル(気管内挿管用)40及びバイトブロック60の仕様が気管内チューブ20の仕様に対応するものであるかどうかを容易に確認することができる。
【0031】
また、気管挿管セット1によれば、気管挿管に必要とされる基本的な気管挿管用部材が収納されているので、気管内チューブ20、呼吸用温湿度交換器30、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50、バイトブロック60以外の気管挿管用部材が必要とされる場合には、不足分のみを準備すればよいので、準備作業を短時間で効率的に行うことができる。
【0032】
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。
図3は、第2の実施形態を示す図である。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、収納バッグ10を構成する収納バッグ本体11が互いに対向するシート部材から成形され、2枚のシート部材の間に気管挿管用部材3を配置し、その後シート部材の周囲を重ね合わせて周囲を熱溶着させて接続部11Aを形成するとともに、各気管挿管用部材3の間を断続的に溶着部(仕切り)14によって区画16A、16B、16C、16D、16Eに区切られている点と、各区画16A、16B、16C、16D、16Eに配置された気管挿管用部材3を収納バッグ10から取出し可能なとするために開封用の複数の切込み13A、13B、13C,13Dが設けられている点である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
第2の実施形態の気管挿管セット1によれば、収納バッグ10に各気管挿管用部材3に対応した区画16A、16B、16C、16D、16Eが形成されているので、各気管挿管用部材3が収納バッグ内で移動して気管挿管用部材3が互いに接触して損傷するのが抑制される。
また、区画16A、16B、16C、16D、16Eが形成されていることにより収納バッグ10内で複数の気管挿管用部材3が重なり合うことがないので気管挿管セット1の厚みを薄く保持することが可能となり、気管挿管セット1の在庫を容易に保管することができる。
【0034】
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。
図4は、第3の実施形態を示す図である。
この実施の形態が、前述した第2の実施形態と異なる点は、各気管挿管用部材3の間を区切る断続的な溶着部14に代えて、連続的な溶着部(仕切り)15によって区画16A、16B、16C、16D、16Eに区切られていて、その結果、各区画16A、16B、16C、16D、16Eが互いに気密になるように形成するとともに、いずれかの区画が開封されても他の区画の気密が保持されるように、各区画に対応した複数の切込み13A、13B、13C,13D、13Eが設けられた点であり、他は、上記実施の形態と同様である。
なお、上記実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
第3の実施形態の気管挿管セット1によれば、収納バッグ10に各気管挿管用部材3に対応した互いに気密な区画16A、16B、16C、16D、16Eが形成されているので、気管挿管セット1のいずれかの区画を開封した場合であっても他の区画の気密を保持することが可能とされ、手術において一部の気管挿管用部材3の使用開始タイミングが遅くなるような場合であっても、遅いタイミングで使用開始をする気管挿管用部材3の汚染が防止される。
また、各区画に対応して複数の開封用の切込み13A、13B、13C,13D、13Eを設けられているので、開封が必要な区画のみを開封するのが容易であり、いずれかの区画を開封した場合にであっても他の区画の気密を保持することができる。
【0036】
この実施の形態においては、気管内チューブ20、呼吸用温湿度交換器30、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50、バイトブロック60が同一の収納バッグ10内に収納されているので、気管挿管セット1を構成する気管挿管用部材3が、気管挿管セット1製造過程で正しくセットされていれば、医療機関での手術準備段階における連関型気管挿管用部材4の準備ミス等が防止され、準備作業のやり直し等による効率低下を抑制することができる。
【0037】
上記実施の形態においては、収納バッグ10が、ポリエチレン等の合成樹脂から形成される場合について説明したが、例えば、収納バッグ10の全部又は一部を不織布や紙等の材料とすることも可能である。
また、上記実施の形態においては、収納バッグ本体11が、ポリエチレン等の合成樹脂からなる筒状体又は2枚のシート部材を材料として、これら材料に気管挿管用部材3を配置した後に収納バッグ10を形成する場合について説明したが、筒状体又は2枚のシート部材に代えて袋状部材を材料としてその開口部を接続して収納バッグ10とすることも可能である。
また、収納バッグ10を、殺菌又は滅菌処理をしておくことにより手術に際しての汚染を抑制させる殺菌バック又は滅菌バックとしてもよく、また、気管挿管用部材3が収納される部分を減圧状態とした減圧バックとすることも可能である。
【0038】
上記実施の形態においては、第2の実施形態において断続的な溶着部14による区切りを設け、第3の実施形態において連続的な溶着部15を設けて、すべての気管挿管用部材3のそれぞれが区画に配置される場合について説明したが、一部の気管挿管用部材3のみを仕切って区画内に配置させることも可能であり、断続的な溶着部14と連続的な溶着部15とを組合せて複数の区画を形成させることもできる。
【0039】
また、上記実施の形態においては、それぞれ個別の包装用袋に収納された気管挿管用部材3が収納バッグ10に収納された場合について説明したが、すべての気管挿管用部材3又は一部の気管挿管用部材3が包装用袋に収納されていない状態で収納バッグ10に収納することも可能である。
【0040】
また、収納バッグ10を密封性が保持される材質で形成される場合には、収納バッグ10の材料に気管挿管用部材3を収納して開口部を閉塞する際に、収納バッグ10の内部を減圧し、又は真空にすることにより、気管挿管用部材3の移動を抑制するようにしてもよい。
また、例えば、接続部11Aに収納バッグ10に手提げ用の孔を形成させることもできる。
【0041】
また、上記実施の形態においては、連関型気管挿管用部材4の識別手段として、収納される気管内チューブ20、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、バイトブロック60の包装用袋21、41、61に気管内チューブ20の仕様に対応する識別色21A、41A、61Aが配されることにより識別可能とされる場合について説明したが、識別色を付する範囲は包装用袋21、41、61の一部でも全体にわたってもよく、識別色に代えて文字、記号のほかICタグを用い、又はこれらと組み合わせて付することも可能である。また、例えば識別色を付する場合に、対応する識別色のすべてが色彩的に完全一致することは必要とされない。
また、包装用袋21、41、61に代えて連関型気管挿管用部材4の本体に識別手段を設けることも可能である。
【0042】
上記実施の形態においては、気管挿管セット1を構成する気管挿管用部材3が、気管内チューブ20と、呼吸用温湿度交換器30と、吸引カテーテル(気管内挿管用)40と、吸引カテーテル(口、鼻腔用)50と、バイトブロック60とから構成され、連関型気管挿管用部材4が気管内チューブ20、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、バイトブロック60から構成される場合について説明したが、上記の気管挿管用部材の一部のみから気管挿管部材3を構成することも可能である。
【0043】
また、上記の気管挿管用部材3の構成として、例えば、気管内チューブ20に代えてカフ付気管内チューブを用い、該カフ付気管内チューブのカフに空気を入れて膨らませるためのカフシリンジや、エアウェイ等を気管挿管用部材3の構成に加えることも可能である。また、連関型気管挿管用部材4として、気管内チューブ20、吸引カテーテル(気管内挿管用)40、バイトブロック60以外のものに適用させることや、1つの気管挿管セット1の中に別々のグループをなす複数の連関型気管挿管用部材4を収納することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る気管挿管セットを示す図である。
【図2】気管挿管セットを構成する気管挿管用部材の使用状態の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る気管挿管セットを示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る気管挿管セットを示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 気管挿管セット
3 気管挿管用部材
4 連関型気管挿管用部材
10 収納バッグ
14 断続的な溶着部(仕切り)
15 連続的な溶着部(仕切り)
20 気管内チューブ
30 呼吸用温湿度交換器
40 吸引カテーテル(気管内挿管用)
50 吸引カテーテル(口、鼻腔用)
60 バイトブロック




【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管挿管を施す際に用いられる複数の気管挿管用部材からなる気管挿管セットであって、
複数の気管挿管用部材と、
前記気管挿管用部材が収納される収納バッグとを備え、
前記気管挿管用部材のいずれかは、仕様が相互に対応する他の前記気管挿管用部材と共に用いられる連関型気管挿管用部材とされ、
前記連関型気管挿管用部材は、
共に用いられる他の前記気管挿管用部材と対応する仕様とされるとともに、共に用いられる連関型気管挿管用部材には相互に仕様が対応していることを示す識別手段が設けられていることを特徴とする気管挿管セット。
【請求項2】
請求項1に記載の気管挿管セットであって、
前記収納バッグには、いずれかの前記気管挿管用部材と他の前記気管挿管用部材の間を区切るための仕切りが形成されていることを特徴とする気管挿管セット。
【請求項3】
請求項1記載又は請求項2に記載の気管挿管セットであって、
気管内チューブと、呼吸用温湿度交換器と、気管内挿管用の吸引カテーテルと、口、鼻腔用の吸引カテーテルと、バイトブロックとを備え、
前記連関型気管挿管用部材は、気管内チューブと、気管内挿管用の吸引カテーテルと、バイトブロックとから構成されていることを特徴とする気管挿管セット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−206568(P2008−206568A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43982(P2007−43982)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000200677)泉工医科工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】