説明

気道疾患を治療するためのp−メンタン−3−カルボン酸エステル

本発明は、ヒトの上気道における不快感覚を治療するための、ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療するための、ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減するための、ヒトにおける咳を軽減するための、並びにヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、若しくは慢性閉塞性肺疾患の症状及び徴候を改善するための方法及びデバイスに関する。本発明によれば、活性化合物は、患者の口腔咽頭部、好ましくは口腔咽頭部の表面、より好ましくは口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に送達、好ましくは選択的に送達される。本発明によれば、活性化合物は、次式の化合物(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2007年12月21日出願の米国特許仮出願第61/008,980号に関連する。
【0002】
本発明は、ヒトの上気道における不快感覚を治療するための、ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療するための、ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減するための、ヒトにおける咳を軽減するための、及びヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、又は慢性閉塞性肺疾患の症状又は徴候を改善するための方法及びデバイスに関する。本発明によれば、活性化合物は、患者の口腔咽頭部、好ましくは口腔咽頭部の表面に、より好ましくは口蓋後下方の口腔咽頭部(lower retropalatal oropharynx; LRO)に送達、好ましくは選択的に送達される。本発明によれば、活性化合物は、次式の化合物
【化1】

【0003】
(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である。
【背景技術】
【0004】
本発明、及び本発明が属する技術分野の状態をより完全に説明及び開示するために、本明細書中で、いくつかの特許及び刊行物が引用される。これらの参考文献のそれぞれは、ここで、あたかもそれぞれ個々の参考文献が参照により組み込まれることを具体的且つ個別的に指摘するような程度に、参照によりその全体が本開示中に組み込まれる。
【0005】
後に続く特許請求の範囲を含む本明細書の全体を通して、文脈がそうではないことを要求しない限り、単語「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形語は、指定された整数若しくはステップ、又は整数群若しくはステップ群を包含することを含意するが、任意の他の整数若しくはステップ、又は整数群若しくはステップ群を排除することを含意しない。
【0006】
本明細書及び添付の特許請求の範囲中で使用される場合、「a」、「an」及び「the」付きの単数形は、文脈がそうではないことを明瞭に規定しない限り、複数の指示物を包含することに留意すべきである。したがって、例えば、「担体」に関する言及は、2種又はそれ以上の担体の混合物などを包含する。
【0007】
範囲は、本明細書中で、「約」特定値〜「約」別の特定値として表現されることが多い。範囲がこのように表現される場合、別の実施形態は、ある特定値〜別の特定値を包含する。同様に、値が、先行詞「約」を使用することによって近似値として表現される場合、特定の値は、別の実施形態を構成すると解される。
【0008】
本開示は、本発明を理解するのに有用である可能性のある情報を含む。本明細書中で提供する任意の情報が、従来技術であるか、ここで特許を請求する本発明に関連すること、或いは具体的又は含意的に引用される任意の刊行物が従来技術であることを了承するものではない。
【0009】
(気道刺激と咳)
気道刺激は、咳をもたらす感覚を引き起こす。気道の刺激及び閉塞の原因は、多くの要素からなり、ウイルス性又は細菌性上気道感染、後鼻漏、アレルギー、空気汚染に由来する気道の炎症、咽頭炎、喉頭炎などの状態、そして慢性の咳については、喘息、慢性閉塞性肺疾患、胃食道逆流性疾患、肺癌、肺炎、睡眠時無呼吸、いびき、肺水腫、鬱血性心不全及び呼吸困難などの状態が含まれる。
【0010】
咳のため眠ることができず夜間に目覚めたままである個体、及び上気道のウイルス感染後に長期間、例えば、3週間咳をしている個体によって示されるように、現在の咳用薬剤は、効力が限られている。
【0011】
咳を少なくとも3〜4時間抑制し、患者が、咳をすることを止め、眠りにつくことを可能にする、簡単に適用される新規薬剤が求められている。
【0012】
咳は、気道から感覚刺激物及び障害物を除去するように仕組まれた反射運動である。咳に関する刺激の起源は、一般には喉頭(ボイスボックス)に由来するように感じられるが、咳のシグナルを作り出す真の炎症部位は、食道から、及び気管支から起こる可能性がある。咳は、身近な経験であり、閉じた声門に対抗する呼吸筋の調和した収縮によって実行される。
【0013】
(既存薬)
咳の治療用に、いくつかの薬物が市販されている。それらの作用方式及び/又は送達方法は、本発明のものと異なる。
【0014】
・デキストロメトルファン及びコデインは、「中枢作用性鎮咳薬」である。すなわち、それらは、脳又は脊髄中の要素に作用して咳を抑制すると考えられる。デキストロメトルファンは、ほとんどの個体において、消化管を経由する「初回通過」吸収の後に、急速に代謝される。それゆえ、十分な血漿中濃度を維持するために1日に3又は4回服用しなければならない。デキストロメトルファンは、150種を超える咳止め用市販薬中で使用されている。コデインは、処方箋によってのみ入手できるスケジュール3の薬物である。それは、麻薬性鎮痛薬として知られる薬物の部類に属する。コデイン及びデキストロメトルファンは、両方とも、濫用されやすい。咳を抑制する上でのデキストロメトルファン及びコデインの効果には、疑いをもたれている。二重盲検、プラセボ対照研究において、両方の薬物は、プラセボと比べて良くはなかった。一方、プラセボ、特に、糖シロップなどの活性プラセボは、咳を抑制する上で時には有効である。
【0015】
・Benadryl(登録商標)(ジフェンヒドラミン)及びChlortrimeton(登録商標)(クロルフェニラミン)などの第1世代抗ヒスタミン薬は、普通の感冒及びアレルギーに付随する咳に対して時には有益である、鼻分泌物に対する乾燥効果を有する。これらの化合物は、また、脳に対して鎮静、抑鬱作用を有する。抗ヒスタミン薬は、例えば、インフルエンザ又は喘息で見受けられる頻発性の空咳に対して有効ではない。鎮静及び口内乾燥などの副作用は、咳の治療に対する抗ヒスタミン薬の使用を制約する。
【0016】
・グアイフェネシンは、それが、気道表面での粘液の分泌及び「希薄化」を促進することを意味する「去痰薬」である。各種形態の咳におけるグアイフェネシンの効力は、プラセボ対照、二重盲検研究で確立されていない。グアイフェネシンは、多くのジェネリック製品中の成分である。粘液の分泌過多は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する特定の患者において禁忌され、グアイフェネシンは、このような患者で使用してはならない。
【0017】
・メントール咳止めドロップ又はロゼンジは、典型的には、約3.4g(Walgreens咳止めドロップ)又は2.7g(N'Iceロゼンジ)の重量があり、糖-色素のマトリックス中に5、7mg、又は最大で10mgまでの(-)-メントールを含む。7mgより多いメントール用量は、(-)-メントールの不快な風味がロゼンジをまずくするので、一般的ではない。メントールロゼンジは、口内に約10〜15分間保持され、口腔及び咽喉の内膜を鎮静する。ロゼンジの長期使用に対する欠点は、規定食に糖及びカロリーを付加することである。
【0018】
(薬物送達と咳の抑制)
デキストロメトルファン、コデイン及び抗ヒスタミン薬などの薬物は、血流を介して神経受容体に送達されなければならない。それゆえ、これらの薬物は、通常、丸剤として又はシロップ中に溶解されて投与され、全身循環中に吸収されなければならない。
【0019】
より安全な薬物投与方式は、咽喉への薬物の局所適用を利用することである。鎮咳薬の口腔中への局所送達は、1種又は複数の活性成分を含有する軟質の咀嚼可能な組成物を使用して企てられている(例えば、Cherukuriら、2000年、国際公開第00/37044号参照)。
【0020】
別のアプローチは、活性鎮咳薬剤を組み込んだ結合剤又は食用フィルムを使用して、薬剤を上気道中に投与することである(例えば、Panら、1999年、米国特許第5,912,007号参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
(治療方法)
本発明の一態様は、例えば
・ヒトの上気道における不快感覚を治療する方法
・ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療する方法
・ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減する方法
・ヒトにおける咳を軽減する方法
・ヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、又は慢性閉塞性肺疾患の症状又は徴候を改善するための方法、を含む治療方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
治療は、治療を必要とするヒトに治療有効量の活性化合物を、活性化合物を、例えば
・ヒトの口腔咽頭部に
・より好ましくは、ヒトの口腔咽頭部の表面に
・さらにより好ましくはヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に、送達することによって投与することを含む。
【0023】
好ましくは、投与は、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避して(by-passes)ヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達することによってなされる。
【0024】
好ましくは、投与は、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを使用することによってなされる。
【0025】
好ましくは、アダプターは、マウスピース-スペーサー型アタッチメント(mouthpiece-spacer attachment)である。
【0026】
好ましくは、アダプターは、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0027】
好ましくは、活性化合物は、エアロゾルの成分として送達される。
【0028】
好ましくは、活性化合物は、単位用量で送達される。
【0029】
好ましくは、単位用量は、2〜10mgの活性化合物である。
【0030】
好ましくは、単位用量は、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する。
【0031】
(医療用途)
本発明の別の態様は、治療方法、例えば
・ヒトの上気道における不快感覚を治療する方法
・ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療する方法
・ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減する方法
・ヒトにおける咳を軽減する方法
・ヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、又は慢性閉塞性肺疾患の症状又は徴候を改善するための方法、において使用するための活性化合物に関する。
【0032】
好ましくは、治療は、活性化合物を、例えば
・ヒトの口腔咽頭部に
・より好ましくは、ヒトの口腔咽頭部の表面に
・さらにより好ましくはヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に、送達することによってなされる。
【0033】
好ましくは、治療は、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達することによってなされる。
【0034】
好ましくは、治療は、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを用いる。
【0035】
好ましくは、アダプターは、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0036】
好ましくは、アダプターは、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0037】
好ましくは、治療は、活性化合物をエアロゾルの成分として送達してなされる。
【0038】
好ましくは、治療は、活性化合物を単位用量で送達してなされる。
【0039】
好ましくは、単位用量は、2〜10mgの活性化合物である。
【0040】
好ましくは、単位用量は、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する。
【0041】
(デバイス及びディスペンサー)
本発明の別の態様は、活性化合物が装填され、且つ活性化合物の、例えば
・ヒトの口腔咽頭部に
・より好ましくは、ヒトの口腔咽頭部の表面に
・さらにより好ましくは、ヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に、送達するのに適したデバイス及びディスペンサーに関する。
【0042】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している。
【0043】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである。
【0044】
好ましくは、アダプターは、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0045】
好ましくは、アダプターは、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0046】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、活性化合物をエアロゾルの成分として送達するように構成される。
【0047】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、活性化合物を単位用量で送達するように構成される。
【0048】
好ましくは、単位用量は、2〜10mgの活性化合物である。
【0049】
好ましくは、単位用量は、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する。
【0050】
場合によって、デバイス又はディスペンサーには、その使用に関する説明書(例えば、書面)が添付される。
【0051】
(デバイス及びディスペンサーの充填及び装填)
本発明の別の態様は、デバイス又はディスペンサーに、活性化合物を含有する製剤を充填又は装填することを含む、活性化合物が装填されたデバイス及びディスペンサーを製造する方法に関する。
【0052】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、活性化合物を、例えば
・ヒトの口腔咽頭部に
・より好ましくは、ヒトの口腔咽頭部の表面に
・さらにより好ましくは、ヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に、送達するのに適している。
【0053】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している。
【0054】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、例えば、活性化合物の少なくとも70重量%が口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである。
【0055】
好ましくは、アダプターは、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0056】
好ましくは、アダプターは、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである。
【0057】
好ましくは、製剤は、成分として活性化合物を含有するエアロゾルを発生させるのに適している。
【0058】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、エアロゾルの成分として活性化合物を送達するように構成される。
【0059】
好ましくは、デバイス又はディスペンサーは、活性化合物を単位用量で送達するように構成される。
【0060】
好ましくは、単位用量は、2〜10mgの活性化合物である。
【0061】
好ましくは、単位用量は、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する。
【0062】
(製剤)
本発明の別の態様は、活性化合物を含有し、成分として該活性化合物を含むエアロゾルを発生させるのに適した製剤に関する。
【0063】
本発明の別の態様は、活性化合物を1種以上の適切なビヒクルと混合するステップを含む、成分として活性化合物を含むエアロゾルを発生させるのに適している製剤を調製する方法に関する。
【0064】
好ましいビヒクルの例には、溶媒、共溶媒、噴射剤、分散剤、担体及び賦形剤が含まれる。好ましい溶媒の例には、精製水が含まれる。好ましい噴射剤の例には、ヒドロフルオロカーボンが含まれる。
【0065】
(活性化合物)
活性化合物は、式1の化合物
【化2】

【0066】
である。
【0067】
一実施形態において、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである。
【0068】
一実施形態において、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキルである。
【0069】
一実施形態において、-Rは、-RL1-OH(ここで、-RL1-は飽和脂肪族C2〜4アルキレンである)である。
【0070】
一実施形態において、-Rは、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、又は-CH2CH2CH2CH2OHである。
【0071】
一実施形態において、-Rは、-CH2CH2OHである。
【0072】
一実施形態において、-Rは、-C2〜C4のポリヒドロキシアルキルである。
【0073】
一実施形態において、-Rは、-RL2(OH)2(ここで、-RL2<は、飽和脂肪族C2〜4アルキ-トリ-イルである)である。
【0074】
一実施形態において、-Rは、-CH2CH(OH)CH2OHである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明者は、活性成分の口腔咽頭部の区別された部分への局所的及び集中的送達が咳を制御するのに十分であることを見出した。この円筒状漏斗の全表面積は、小さく、対象の年齢に応じておおよそ米国の25セント〜50セント硬貨の大きさである。薬物作用の神経生理学的機構は間接的である。適用された薬剤は、咽頭の内膜からシグナルを発生させ、そのシグナルは、脳幹に入って、脳に入って咳を引き起こす他の刺激性シグナルを抑制する。この機構は、咳を引き起こすシグナルを「ゲート開閉する(gating)」と考えられる。
【0076】
標的部位が小さいため、理想的には、治療有効用量の活性成分を、例えば、使い捨てのユニットディスペンサー、定量吸入器、マウスピース型アタッチメントを備えたネブライザーなどを使用して、咽頭後下方の表面に集中させて0.05〜0.2mLの液体容積で送達する。マウスピース型アタッチメントは、活性成分の舌及び頬表面への好ましくない送達を低減する。
【0077】
この局所化送達法により、活性成分は、口腔咽頭部の標的受容器に作用し、長期且つ有効な咳又は疼痛の抑制に関する所望の結果が達成される。送達単位当たり0.05〜0.2mL(例えば、0.1mL)の容積での2〜10mgの活性化合物の単回投与で送達された用量は、1分未満内に急速に不快感覚を軽減し始める。活性化合物は、間接的に、侵害受容をゲート開閉し、咽喉を鎮静し、数時間を超える強力な鎮咳作用を有するように作用する。
【0078】
(冷たさ及び涼しさの受容器)
ほぼ2億年前、特定の生存生物体は、代謝性熱産生(内温性)を制御し、且つ一定の体内温度(恒温性)を維持する能力を獲得した。「冷血」から「温血」生理学へのこの進化的変遷は、このような種が、変動する環境により良く適応し、生き残ることを可能にした。この変化に付随したのは、特に、上気道及び皮膚における、体温を制御するために温度をモニターするための感覚系の発達であった。涼しさは、熱保存の必要性を警告する最初のシグナルであり、眼、顔、鼻、耳及び首などの生物体の表面からの広汎な神経シグナルである。例えば、ヒトの顔の皮膚からの熱受容入力の約92%は、約18℃で持続的に活性である冷ニューロンに由来する。
【0079】
涼しさ/冷たさが体表面からの不快感覚(刺激、痒み、及び痛さ)を低減する能力は、普通の経験である。したがって、空調、冷水、及び氷を使用して不快感覚を軽減することができ、涼しさ/冷たさに必要とされる熱撤去は、気体、液体、又は固体材料を用いて達成することができる。驚くべきことに、特定化学薬剤を用いる涼しさ/冷たさの神経経路の活性化は、著しい治療上の利益のための潜在能力を有することが、ほとんど認識されていない。いくつかの新たな洞察は、この考えを前向きに進めるのを助ける。
【0080】
化学薬剤によって生じる涼しさ/冷たさは、侵害受容情報の流れを中枢性で「ゲート開閉する」ことによって不快感覚を低減する。作用方式は、間接的であり、すなわち、中枢神経系中への侵害受容情報の発生、伝達、又は入力流れを妨害しない。このことは、局所的な組織代謝の低下によって、又は血流を阻害することによって、損傷組織の疼痛を部分的に低減できる氷などの熱撤去法の作用と対照をなす。化学薬剤のゲート開閉過程の基礎をなす精密な神経伝達物質の回路構成は未知であるが、真に優勢な量の涼しさ/冷たさのシグナルは、侵害受容シグナルを無効にする(over-ride)のに十分である可能性がある。
【0081】
皮膚において、単一脊髄神経によって刺激される領域は、皮膚分節と呼ばれる。すぐ隣の皮膚分節に由来する感覚は、感覚突起の体性感覚局在機構における重なりが存在するので、互いに影響を及ぼすことができる。このような現象のよい例が、引っ掻き及び痒みである。機械受容器は、引っ掻くことによって痒みを低減するように活性化されることがあるが、痒みの点源を正確に引っ掻くことが、必須ではない。隣接部位でも十分である。同様に、上気道及び内臓中の求心性神経からの感覚情報も、脳幹中で収束する。
【0082】
本発明において、その中心は、2種の脳神経、舌咽(第9神経)及び迷走(第10神経)からの感覚入力にある。舌咽神経は、口腔咽頭部からの感覚情報を脳幹中に運搬する。迷走神経は、喉頭及び上部食道からの情報を脳幹中に運搬する。2種の脳神経からの求心性シグナルは、脳幹の三叉神経脊髄路中で収束する。
【0083】
喉頭中の侵害受容シグナルは咳を生じさせ、食道からのシグナルは、非心臓性疼痛の一因になる可能性がある。これらのシグナルは、主として迷走神経から到来する。
【0084】
本発明は、口腔咽頭部の表面に化学冷却薬を適用することに関するものであり、口腔咽頭の表面は舌咽神経を経由してシグナルを脳幹中に送り、脳幹は迷走神経からの侵害受容シグナルを間接的に「ゲート開閉」し、かくして咳及び疼痛を低減する治療目的を達成する。
【0085】
(活性化合物)
本発明者は、(本明細書中に記載のような)式1の特定のp-メンタン-カルボン酸ヒドロキシ(又はポリヒドロキシ)エステルが、咽頭の口蓋後下方の表面に適用された場合に、咽喉に対して望ましい性質の冷却及び鎮静作用を有することを見出した。
【0086】
加えて、これらの化合物は、無臭の液体であり、口腔及び咽喉を内張りしている組織に対して刺激的ではない。これらの化合物は、0.05〜0.2mLの容積で適用して2〜8mgの活性成分の用量を送達した場合に、咳及び疼痛を抑制する。
【0087】
驚くべきことに、治療状況において、これらの化合物に由来する当初の涼しさ及び気分爽快感が消散してしまった後に、長期の軽減感が存在する。例えば、乾性の喫煙者咳を有する対象において、活性化合物の単回適用は、咳を3〜5時間抑制した。数回の反復適用の後に、対象は、もはや咳を訴えないか、或いは咳をしなかった。
【0088】
(本明細書中に記載のような)式1のp-メンタン-カルボン酸ヒドロキシ(又はポリヒドロキシ)エステルの例は、最初に、Wastonら、1977年、米国特許第4,033,994号によって発表された。
【0089】
化合物CPS-004及びCPS-030が良好な冷却品質を有する。
【0090】

(標的薬物送達)
咽頭は、三つの領域、すなわち、鼻、口腔、及び喉頭部に分けられる。鼻咽頭は、鼻咽腔とも呼ばれ、鼻の後方にあり、軟口蓋のレベルよりも上にある。口腔咽頭部は、軟口蓋から舌骨のレベルにおよぶ。喉頭咽頭部は、舌骨から輪状軟骨の下端におよび、そこから食道に続く。口腔咽頭部は、さらに、上部及び下部領域に分けられ、その中間点は、口蓋後下方の口腔咽頭部(lower retropalatal oropharynx; LRO)と呼ばれる箇所である。例えば、Danielら、(「男性及び女性の咽頭寸法(Pharyngeal dimensions in men and women)」、Clinics、62巻、5〜10頁)に示されている磁気共鳴造影研究を参照されたい。咽頭は、漏斗の形状をした管であり、LROは、測定される最も小さな直径を有する最も狭い箇所である(典型的な寸法:横-側方、1.8cm、前-後、0.58cm)。本発明において、3〜5cm2のこの領域は、薬物送達のための好ましい標的である。
【0091】
この標的領域に到達するための一つの方法は、活性成分を急速に崩壊する錠剤の状態で投与することである。例えば、Wei、2006年、国際公開第2006/103401号を参照されたい。
【0092】
好ましい方法は、口腔吸収部位を回避し、且つ活性成分をLROに送達するためのマウスピース型アタッチメントを備えた定用量ディスペンサーを使用することである。定用量ディスペンサーは、当業者によく知られたデバイスであり、製剤、バルブ及び容器、並びにアクチュエーターからなる。
【0093】
2種のディスペンサーが、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療用に広く使用されている。定用量吸入器(MDI)は、金属容器中に加圧下で貯蔵されたハロアルカンのビヒクル、通常的にはフッ素化アルカン中に活性成分の製剤を有し、アクチュエーターが、内容物をエアロゾルとして短いマウスピース(0.75〜1.5インチ)中に放出する。ネブライザー型のディスペンサーは、通常的には透明ガラス瓶中に貯蔵された液状薬物製剤のリザーバー中に圧縮空気を通す。空気と液体を混合することによって発生させたエアロゾルを、次いで、精密に設計された開口部を通して、マウスピース及び通常的には数インチの長さであるアタッチメント中に通す。これらのディスペンサーは、マウスピース又はアタッチメントの存在しない咽喉噴霧型の送達システムと異なる。
【0094】
定用量ディスペンサーの設計により、噴出されるエアロゾルの送達容積及び粒径分布を正確に制御することができる。これらのディスペンサーは、主として、薬物、例えば、β-アドレナリン受容体作動薬(例えば、アルブテロール)、ムスカリン受容体拮抗薬(例えば、イプラトロピウム)、及びグルココルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン)を、喘息及びCOPDを治療するために気管支及び細気管支の表面に送達するように設計される。したがって、製剤は、咽頭堆積を回避するように、且つ気管支及び細気管支の表面での堆積を助けるように選択される。このことは、製剤に粒子の凝集又は合着を低減する分散剤を添加することによって、或いは賦形剤の低親和性(hypophilic)特性を低下させることによって達成することができ、正味の効果は、エアロゾル粒径の縮小及び粒子が懸濁状のままである能力である。
【0095】
喘息及びCOPDの治療の場合、呼吸可能な粒子画分/咽喉堆積画分の好ましい比率は、70%/30%である。対照的に、本発明を実施するためのディスペンサーの設計は、逆であり、舌及び頬の表面への堆積を回避して口腔咽頭部への堆積を最大にするため、咽喉への70%以上の堆積を目標とする。したがって、服用量は、下気道中ではなく口腔咽頭部の表面に堆積されるので、5μmを超える質量メディアン直径の粒径分布が理想的である。
【0096】
活性成分の計画的咽頭送達のための定用量ディスペンサーのこの使用は、以前には考慮されていなかった。
【0097】
鎮咳薬の最近の送達方法は、活性成分のLROへの集中的送達の独特の重要性を認識していない。例えば、Sixsmith、1994年、米国特許第5,846,557号;及びEisenstadtら、1998年、米国特許第5,846,557号を参照されたい。
【0098】
ロゼンジ及びチューインガムは、口腔内に配置されると、口内で溶解し、且つ唾液で希釈される活性成分を放出する。この混合物は、嚥下され、それゆえLROとの総合的接触時間は限られる。これらの送達方法は、頬内膜に薬物効果を、及び該内膜からの薬物吸収をもたらし、その両方の事象は、望ましくない。同様の制約は、効果のない送達方法である咽喉噴霧にも当てはまる。口腔中への咽喉噴霧によって送達される冷却薬は、主として舌及び口腔内膜上に堆積され、三叉(第5)神経中の感覚経路を活性化する。三叉神経の中枢収束は、迷走神経の入力から体性感覚的により離れている。したがって、これらの薬物送達方法は、咳を治療する上での効力を限定する。
【0099】
理想的には、LROに集中した薬のボーラス送達が、最良の実施方法である。この目標を達成するために、LROへの薬物送達は、このような目的のために設計されたアタッチメントを備えたディスペンサーによって成し遂げられる。マウスピース-スペーサー型アタッチメントは、ディスペンサーの出口の周囲で唇を閉じるという点で噴霧デバイスとは異なり、噴霧では口腔を広げたままにし、噴霧を舌の表面に集中させる。マウスピース及びマウスピース型アタッチメントを備えたこのようなディスペンサーの画像及び例は、例えば、呼吸装置の主要製造業者であるPari Respiratory Co.のウェブページ(www.pari.com)中に見出される。画像中で見られるように、標準的な定用量吸入器(MDI)のマウスピースは、通常、0.5〜1.5インチ(1.25〜3.8cm)の長さである。ネブライザー(圧縮空気ポンプ及び瓶型薬物リザーバーを備えた送達システム)の場合、マウスピースは、2〜5インチ(5.1〜12.7cm)の長さである。用語「スペーサー」は、放出されるエアロゾルの混合及び該エアロゾルの吸入を容易にする、MDIのマウスピースに対するアタッチメントを記述するのに使用される。
【0100】
本発明において、リザーバー容器からの出口は、長さが0.5インチ(1.27cm)であり、4.0インチ(10.2mm)を超えてはならない。この長さは、薬剤を服用する個体が出口の周囲で唇を閉じるのに十分であろう。この送達機構は、活性成分を、口腔を回避し咽頭の表面に焦点を絞って送達することを可能にする。次いで、噴出圧力、活性成分と空気との混合程度、製剤及び賦形剤、バルブ寸法、並びにマウスピースとアタッチメントの使用は、70%以上の好ましい咽喉堆積率に好都合であるように設計される。句「ディスペンサーによるエアロゾルの実質上選択的な送達」は、この選択を反映すると解釈される。
【0101】
適切な送達デバイスの例には、例えば、ベーリンガーインゲルハイムからのAtrovent(登録商標)HFA Inhalation Aerosol、グラクソスミスクラインからのVentrolin(登録商標)Evohaler、及びパリレスピレイトリー(PARI Respiratory)からのVortex(登録商標)が含まれる。適切な市販スペーサーの例には、Aerochamber(登録商標)が含まれる。
【0102】
しかし、若干の臨床状態において、気管支及び細気管支中への式1の化合物の送達を目標としたより小さな粒径範囲も考慮されることに留意すべきである。これらの状態は、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)で起こるような、気管支及び細気管支の表面にかなりの刺激が存在する状態である。冷却薬は、メントール入り紙巻タバコの使用によって示されるように、気道中の感覚要素に対して効果を有する。紙巻タバコ中にメントールが存在すると、煙によって作り出される刺激が低減され、かくして、より深い吸入及びニコチン取り込みを可能にする。
【0103】
(作用機構及び活性成分の選択)
(-)-メントールは、鎮咳ロゼンジ中の感覚薬として使用される。上気道及び口腔中で、(-)-メントールは、感覚に対して多様な作用を有し、体性感覚(冷感、刺激感、ピリピリ感)、嗅覚(ミント風味)及び味覚(苦味)を誘発することができる。反対刺激薬として、(-)-メントールは、口腔及び咽頭膜の刺激を低減し(例えば、強力なミント又は練り歯磨)、筋肉に対して鎮痛作用を有する(例えば、BenGay(登録商標)軟膏)。多様性は、さらに、熱効果(冷感、温感)及び触覚(振動感(buzzing)、ピリピリ感、くすぐり感、しびれ感)の、特に眼の周囲の複雑な刺激認識(灼熱感、刺痛感、チクチク感)を生じさせるように混じり合うことができる。鼻腔及び口腔において、(-)-メントールを検出する有力な方式は、嗅覚である(例えば、Nagataら、2005年、J.Exptl.Psychol.、31巻、101〜109頁参照)。
【0104】
メントール及び若干の冷却薬に対する受容体は、TRP-M8と呼ばれるタンパク質であると考えられるが、メントールは、TRP-A1及びTRP-V3と呼ばれる受容体に対しても作用する。本発明者は、WS-12として知られる化合物が、TRP-M8に対してメントールよりも2000倍強力であることを報告した。しかし、この化合物は、皮膚に対してあまり大きな冷却作用をもたらさない。本発明者は、TRP-M8を活性化する化合物の効力が、冷却作用に相関しないことを報告した(例えば、Vogt-Eiseleら、2005年、「N-アルキルカルボキサミド系冷却薬:TRPM8及びTRPA1受容体をもつ皮膚及び細胞に対する活性(N-Alkylcarboxamide Cooling Agents:Activities on Skin and Cells with TRPM8 and TRPA1 Receptors)」痒みの研究に関する第3回アニュアルワークショップ、2005年9月25〜27日、ハイデルベルク、ドイツ、ACTA Dermato-Venereological、85巻、468頁参照)。さらに、TRP-M8は、ワサビの鼻にツンとくる感覚を生じさせる薬剤であるカラシ油によって活性化される。
【0105】
したがって、本発明に記載の化合物は、単に、メントール様又はTRP-M8受容体を介する作用として考察することはできない。
【0106】
(本明細書に記載の)式1の化合物は、それらが、非揮発性であり、臭気を欠き、刺激性を欠き、且つLROに送達される溶媒中に混和し得る(室温で)液体であるので、(-)-メントールとは明瞭に異なる。該化合物は、10mg未満の単回投与で活性があり、ほとんどの場合、鎮咳活性のためには、投与当たり2〜5mgで十分である。さらに、該化合物は、ほぼ0.5〜2分の急速な作用開始を特徴とする。かくして、それらは、気道に対して咳の抑制及び抗侵害受容効果を有する新規で予想外の部類の化合物である。
【0107】
式1の二つの好ましい化合物を下記に示す:
【化3】

【0108】
これらの化合物は、室温で液体であり、それゆえ定用量ディスペンサーに使用する溶媒中に組み込むのに適している。
【0109】
(本明細書に記載のような)式1の化合物による口腔咽頭部中の感覚求心性神経の活性化は、咳反射のためのシグナルの「ゲート(gate)」を無効にする感覚シグナルを引き起こすと考えられる。ゲート開閉機構は、痒みに対するメントールの効果については、Brommらによって(例えば、Brommら、1995年、「人間におけるヒスタミン誘発性痒み及び皮膚反応に対するメントール及び冷却の効果(Effects of menthol and cold on histamine-induced itch and skin reactions in man)」Neuroscience Letters、187巻、157〜160頁参照)、神経因性疼痛に対するイシリンと呼ばれる化合物の阻害効果については、Proudfootらによって(例えば、Proudfootら、2006年、「慢性神経因性疼痛におけるTRP-M8によって介在される痛覚脱失(Analgesia mediated by TRP-M8 in chronic neuropathic pain)」Current Biology、16巻、1591〜1605頁参照)提唱されているが、冷却薬を用いる咳シグナルの「ゲート開閉」の考えは、以前には提唱されていない。
【0110】
口腔咽頭部からの求心性神経シグナルは、第9脳神経(舌咽神経)を経由し、咽頭喉頭部から始まると考えられる咳シグナルは、第10脳神経(迷走神経)によって運ばれる。(本明細書中に記載のような)式1の化合物の場合、作用機構は、口腔咽頭部の神経終末からの冷却シグナルが第9神経を経由して脳幹に入ること、次いで第10神経を経由して脳幹中に入る刺激性咳シグナルを「ゲート開閉する」ことであると考えられる。この作用方式を、「間接的」と称することができる。
【0111】
(本明細書中に記載のような)式1の化合物は、次の望ましいすべての特性の中の一つ又は複数を有する:
・化合物を口腔及び咽喉の表面に適用すると、10mg未満の単回投与量で容易に得られる治療上有用な鎮咳及び抗侵害受容効果。
【0112】
・10mg以下の投与量で適用すると、数時間を超え、且つ冷却などの他の感覚効果がもはや存在しない場合でさえ生じる鎮咳作用の持続。さらに、反復適用は、鎮咳効果に対する感度低下をもたらさない。
【0113】
・望ましい感覚選択性、すなわち、咽喉中でこれらの化合物で感じられる感覚は、主として、冷たさ、鎮静、及び爽快感(refreshing)であり、メントールと異なり、不快な風味、刺激、ピリピリ感、灼熱感、又はチクチク感がない。
【0114】
・送達のための製剤化を容易にする、水溶性、フルオロアルカン系噴射剤への混和性及び溶解性、安定性、及びオクタノール/水-分配係数の物理化学的特性。
【0115】
・化合物が口腔及び気道の表面に接触しても、臭気又は刺激性がない。
【0116】
・鎮咳薬の作用について以前には記載されていない新規な薬物作用機構。
【0117】
・化合物の構造的考察に基づく良好な安全性プロフィール。
【0118】
活性成分の上記特性及び化合物の好ましい送達方法は、患者に都合の良い投薬の構築を可能にする。例えば、個体に、首状部分(例えば、2.5インチ(6.3cm)の首)を備えた手持ちの定用量ディスペンサー又はネブライザーを使用して、一定量(例えば、0.1mL)を口腔後部へ送達することを教示することができる。現在、このような使用の簡便性及び即効性の緩和を具備して設計された鎮咳薬剤は存在しない。
【0119】
(リザーバーでの活性成分の製剤)
本発明により使用するための鎮咳組成物の製剤化では、活性成分を、それ自体不活性であってもよいし、他の活性成分を含んでいてもよいビヒクル中に組み込むことができる。
【0120】
適切なビヒクルには、定用量吸入器中で使用される標準的なフルオロアルカン、及び水性製剤用には精製水が含まれる。ヒドロフルオロカーボン系噴射剤は、好ましくは、HFA134a、HFA227、及びこれらの混合物からなる群から選択される。水性の親水性製剤において、共溶媒は、通常、アルコール、好ましくは、エタノール又はプロピレングリコールである。
【0121】
低揮発性成分は、存在するなら、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセロール;デカノール(デシルアルコール)などのアルカノール;ソルビトール、マンニトール、ラクチトール及びマルチトールを含む糖アルコール;グリコフラール(テトラヒドロ-フルフリルアルコール)及びジプロピレングリコール;アルカン、例えば、ドデカン及びオクタデカン:テルペン、例えば、メントール、ユーカリプトール、リモネン;糖、例えば、乳糖、ブドウ糖、蔗糖;多糖、例えば、エチルセルロース、デキストラン;酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール;ポリマー性材料、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン;アミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;ステロイド、例えば、コレステロール、コレステロールエステルからなる群から選択される。
【0122】
加えて、粒子を分散させ、且つそれらを懸濁状に維持するために、分散剤を必要とする可能性がある。一般に使用される分散剤には、オレイン酸、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、及びレシチンが含まれる。粒子を懸濁状に維持することによって、分散剤は、定量バルブを押し下げる毎に、一定不変の投与量を投薬することを確実にすることを助ける。加圧されたMDIを用いて送達されるエアロゾル組成物は、0.2〜2重量%の前記低揮発性成分を含むことができる。
【0123】
水性製剤中の典型的な希釈剤、担体、又はビヒクルは、「多価アルコール」、例えば、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、マルトトリトール、ラクチトール、又はβ-結合-グルコピラノシド-ソルビトールであってよい。これらの液体は、濾過による滅菌後に、保存剤、風味剤、溶媒と混合され、次いで、容易に購入できるようなリザーバー型の貯蔵容器から、又はユニットドーズ容器(unit dose container)から投薬できる。甘味料、チョコレート、アスパルテーム、スクラロース、又はサッカリンなどの風味剤を添加して、望ましくない風味をマスクすることができる。これらの一般的な添加物は、当業者にとって周知である。
【0124】
本発明による製剤において(本明細書に記載のような)式1の化合物の用量20〜50mg/mLは、約0.1mLの単位投与量を送達するのに特に好ましい濃度である。
【0125】
(活性成分の安全性プロフィール)
(本明細書に記載のような)式1の化合物は、便宜上、二つの部分から構成されると考えることができ、ジオール、例えば、1,2-エタンジオール、又はポリオール、例えば、グリセロールに結合した(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボン酸と考えることができる。
【0126】
化合物WS-1として知られる第1成分は、WS-3(WS-1のエチルアミド誘導体)として知られる化合物に関連して生じ、化粧品、トイレトリー、及び菓子類で使用が認められている冷却薬である。ジオール及びポリオールの代謝経路は、既知であり、10mg未満の局所投与は、毒物学的重要性がありそうにもない。したがって、式1の化合物は、良好な安全性プロフィールを有すると考えられる。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
p-メントイルカルボン酸ヒドロキシ-エステルの合成
(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)
(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)の合成
式1の化合物の合成は、化学分野の当業者にとって周知であり、適切なアルキルで置換されたシクロアルキルカルボン酸と塩化チオニルとのカルボニルクロリドを形成する反応で開始される。次いで、この後者の化合物を、場合によっては適切な塩化水素アクセプター又は塩基の存在下に、適切で過剰なアルコール誘導体と反応させる。多くの適切なアルコールが、Sigma-Aldrich社、セントルイス、ミズーリ州などの商業的供給源から入手できる。適切な方法は、Watsonら、1977年、米国特許第4,033,994号に記載されている。例えば、CPS-004を合成するには、5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸を、対応するアルコールである(-)-メントールと塩化亜鉛との塩酸中での5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキシルクロリドを形成するための反応によって調製する。この化合物から、乾燥テトラヒドロフラン(THF)中でグリニャール試薬を作り、続いてガス状二酸化炭素で炭酸化してカルボン酸を形成する。次いで、カルボン酸を、例えば、塩化チオニルとの反応によってその酸クロリドに転換する。次いで、酸クロリドを、適切なアルコール、例えば、1,2-エタンジオール又はグリセロールと反応させて対応するエステルを無色の液体として形成する。
【0128】
(実施例2)
オクタノール/水-分配係数
式1の化合物のlog P(オクタノール/水-分配係数)を計算し、表に示した。これらの化合物は、ビヒクル中へ組み込むに際して相溶性があり、エアロゾルディスペンサーを用いる定用量送達のためのリザーバー中に貯蔵されることが分かる。
【0129】
log P値は、また、主要ビヒクル及び共溶媒を選択するためのパラメーターを提供する。例えば、CPS-160は、低いlog P値をもつ例外的な水溶性を有し、1〜5%のエタノール又はプロピレングリコールを含有する水性溶媒と相溶性があるはずである。一方、COPDでの使用のように、気道における感覚刺激をより長期に低減するためには、化合物CPS-003が、より優れた選択である可能性がある。
【表1】

【0130】
(実施例3)
バイオアッセイ
CPS-004及びCPS-030は、室温で液体である。これらの化合物を、6インチのガラス棒に0、2、5及び8mgを配置すること、及びこれらの化合物を舌背側表面の後方1/3上に塗布することによって試験した。試験物質を堆積させた後、対象に口を閉じるように指示し、試験物質を口腔(口腔咽頭部)の後部に分配することを可能にする。次いで、口腔由来の感覚の存在及び持続期間を書き留めた。
【0131】
物質は、2mgで、口腔後部に対して冷却効果を有すると書き留められた。CPS-004及びCPS-030は、類似の効力を有した。CPS-030は、不快なえぐ味を有した。冷却の持続は、10〜15分間継続し、投与量がより多いと、30分後でも感知できる冷却感覚をもたらした。
【0132】
次の実験集合では、CPS-004又はCPS-030を、5%エタノール-95%生理食塩水溶液と混合して50mg/mLとした。次いで、それぞれ10mLの溶液を、ディスペンサーの出口に取り付けられる1.5インチ(3.8cm)のPE50プラスチック管へのアタッチメントを備えた又は備えない、手作動型加圧式定用量ディスペンサーの一部であるリザーバー中に別々に配置した。各圧縮は、0.1mLの貯蔵溶液を送達した。
【0133】
次いで、5名の対象で噴出溶液を試験した。アタッチメントなしで、噴出物は、主として、舌前方の表面に堆積された。冷却感覚は、主に、舌表面で感じられた。アタッチメントありで、冷却感覚は、口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)中の後部口腔に局在化された。この場合、感覚は、より強く且つ集中的であった。冷却の持続時間は10〜25分の範囲であった。
【0134】
(実施例4)
CPS-030溶液を試験するために、咳を有する2名の対象が志願した。対象の一人は、慢性喘息に由来する持続性咳を有し、もう一方の対象は、花粉(grass pollen)に対する季節性アレルギーに由来する慢性咳を有した。CPS-030溶液のアタッチメントを用いた適用は、咳を3〜4時間止めるのに有効であったが、アタッチメントを用いないと有益な効果は得られなかった。対象は、咳を制御するように彼らの咽喉刺激の感覚を設定することができ、反復投与は、鎮咳効果に対するいかなる感度低下ももたらさなかった。対象は、かなり軽減されたこと、及び咳で妨害されないで眠りに入れたことについて所見を述べた。
【0135】
咽頭炎に由来する疼痛及び枯れ声を有する他の2名の個体(一人は、旅行ガイドとしての彼女の仕事のため)でも、CPS-030溶液を試験した。両者とも、アタッチメントを用いて0.1mLの溶液を適用して数分以内に咽喉不快からの解放を報告した。以前には楽に話すことのできなかった一人の対象は、1時間後になんとか会話することができた。
【0136】
要約すれば、室温で液体であり、且つ当初はトイレトリーでの潜在的用途のために1977年に合成された、いくつかの冷却薬は、該薬剤の送達が、例えば、このような目的のために構成された定用量デバイスを使用して咽頭の特定区域に局在化できるなら、刺激された咽頭内膜を治療する上で治療的利益を有することが、ここで明らかにされた。(咳などの状態における)刺激された咽頭を治療するための現在の薬剤の有効性は限られているので、ここに記載の方法は、革新的技術に相当する。
【0137】
これまで、本発明の原理、好ましい実施形態、及び実施方式を説明してきた。しかし、本発明は、考察した特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。それよりも、前記実施形態は、限定ではなく例示と見なすべきであり、当業者は、本発明の範囲から逸脱しないで、それらの実施形態中で変形形態を構成し得ることを認識されたい。
【0138】
(参考文献)
本発明、及び本発明が属する技術分野の状態をより完全に説明及び開示するために、いくつかの特許及び刊行物が、前に引用されている。これらの参考文献に関する完全な引用を、以下に提供する。これらの参考文献のそれぞれは、参照によりその全体が本開示中に、あたかも各個々の参考文献が、具体的且つ個別的に参照により組み込まれていると同程度に組み込まれる。
【0139】
Bromm et al., 1995, “Effects of menthol and cold on histamine-induced itch and skin reactions in man”, Neuroscience Letters, Vol. 187, pp.157-160.
Cherukuri et al., 2000, ”Soft and Chewy Cough and Cold Relief Composition”, international patent publication number WO 00/37044 A1 published 29 June 2000.
Daniel et al., 2007, “Pharyngeal dimensions in men and women”, Clinics, Vol.62, pp.5-10.
Eisenstadt et al., 1998, “Chewing gum containing cough suppressing agent”, US Patent No 5,846,557 granted 08 December 1998.
Nagata et al., 2005, ”qqq title”, J. Exptl. Psychol., Vol. 31, pp. 101-109.
Pan et al., 1999, “Delivery system for the localized administration of medicaments to the upper respiratory tract and methods for preparing and using same”, US Patent No 5,912,007, granted 15 June 1999.
Proudfoot et al., 2006, “Analgesia mediated by TRP-M8 in chronic neuropathic pain”, Current Biology, Vol. 16, pp. 1591-1605)
Sixsmith, 1994, “Pharmaceutical lozenges”, US Patent No 5,322,694 granted 21 June 1994.
Vogt-Eisele et al., 2005, “N-Alkylcarboxamide Cooling Agents: Activities on Skin and Cells with TRPM8 and TRPA1 Receptors”, 3rd Annual Workshop on the Study of Itch, September 25 to 27, 2005 in Heidelberg, Germany, Acta Dermato-Venereological, Vol. 85, p. 468.
Watson et al., 1977, “Substituted p-menthanes”, US Patent No 4,033,994, granted 05 July 1977.
Wei, 2006, “N-Alkylcarbonyl-Amino Acid Ester and N-Alkylcarbonyl-Amino Lactone Compounds and Their Use”, international patent publication number WO 2006/103401 A2.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの上気道における不快感覚を治療すること;
ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療すること;
ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減すること;
ヒトにおける咳を軽減すること;又は
ヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、若しくは慢性閉塞性肺疾患の症状及び徴候を改善することから選択される治療方法であって、
治療を必要とするヒトに治療有効量の活性化合物を、該活性化合物をヒトの口腔咽頭部に送達することによって投与することを含み、
該活性化合物が、次式の化合物
【化1】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、方法。
【請求項2】
治療を必要とするヒトに治療有効量の活性化合物を、ヒトの口腔咽頭部の表面に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
治療を必要とするヒトに治療有効量の活性化合物を、ヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与が、活性化合物を実質上選択的に送達することによってなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
投与が、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達することによってなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
投与が、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを使用することによってなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
投与が、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを使用することによってなされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アダプターが、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
アダプターが、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
活性化合物が、エアロゾルの成分として送達される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
活性化合物が、単位用量で送達される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
単位用量が、2〜10mgの活性化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
単位用量が、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ヒトにおける咳を軽減する方法である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
治療方法で使用するための活性化合物であって、
該治療方法が、
ヒトの上気道における不快感覚を治療すること;
ヒトの口腔咽頭部における不快感覚を治療すること;
ヒトにおける咽頭炎に由来する疼痛を軽減すること;
ヒトにおける咳を軽減すること;及び
ヒトにおける喘息、呼吸困難、睡眠時無呼吸、いびき、若しくは慢性閉塞性肺疾患の症状及び徴候を改善することから選択され、
該治療が、活性化合物をヒトの口腔咽頭部に送達することによってなされ、
該活性化合物が、次式の化合物
【化2】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、活性化合物。
【請求項18】
治療が、活性化合物をヒトの口腔咽頭部の表面に送達することによりなされる、請求項17に記載の活性化合物。
【請求項19】
治療が、活性化合物をヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に送達することによってなされる、請求項17に記載の活性化合物。
【請求項20】
治療が、活性化合物の実質上選択的な送達によってなされる、請求項17から19のいずれか一項に記載の活性化合物。
【請求項21】
治療が、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるような、活性化合物の実質上選択的な送達によってなされる、請求項17から19のいずれか一項に記載の活性化合物。
【請求項22】
治療が、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを用いる、請求項17から19のいずれか一項に記載の活性化合物。
【請求項23】
治療が、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーを用いる、請求項17から19のいずれか一項に記載の活性化合物。
【請求項24】
アダプターが、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
アダプターが、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項26】
治療が、活性化合物をエアロゾルの成分として送達することによってなされる、請求項17から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
治療が、単位用量の活性化合物の送達によってなされる、請求項17から26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
単位用量が、2〜10mgの活性化合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
単位用量が、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項17から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項17から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ヒトにおける咳を軽減する方法である、請求項17から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
活性化合物が装填され、且つ該活性化合物をヒトの口腔咽頭部に送達するのに適したデバイス又はディスペンサーであって、
該活性化合物が、次式の化合物
【化3】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、デバイス又はディスペンサー。
【請求項34】
活性化合物をヒトの口腔咽頭部の表面に送達するのに適した、請求項33に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項35】
活性化合物をヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に送達するのに適した、請求項33に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項36】
活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している、請求項33から35のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項37】
活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している、請求項33から35のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項38】
活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである、請求項33から35のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項39】
活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである、請求項33から35のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項40】
アダプターが、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
アダプターが、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項42】
活性化合物をエアロゾルの成分として送達するように構成される、請求項33から41のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項43】
活性化合物を単位用量で送達するように構成される、請求項33から42のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項44】
単位用量が、2〜10mgの活性化合物である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
単位用量が、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
その使用に関する説明書が添付される、請求項33から45のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項47】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項33から46のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項48】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項33から46のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項49】
活性化合物が装填されたデバイス又はディスペンサーを製造する方法であって、
該デバイス又はディスペンサーに、該活性化合物を含有する製剤を充填又は装填することを含み、
該デバイス又はディスペンサーが、活性化合物をヒトの口腔咽頭部に送達するのに適しており、
該活性化合物が、次式の化合物
【化4】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、方法。
【請求項50】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物をヒトの口腔咽頭部の表面に送達するのに適している、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物をヒトの口蓋後下方の口腔咽頭部(LRO)に送達するのに適している、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物を実質上選択的に送達するのに適している、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物の少なくとも70重量%が、口腔を回避してヒトの咽頭表面に送達されるように、活性化合物をヒトの咽頭表面に実質上選択的に送達するためのアダプターを備えた定用量ディスペンサーである、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
アダプターが、マウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
アダプターが、0.5インチ(1.27cm)〜4.0インチ(10.2mm)の長さを有するマウスピース-スペーサー型アタッチメントである、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項58】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物をエアロゾルの成分として送達するように構成される、請求項49から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
デバイス又はディスペンサーが、活性化合物を単位用量で送達するように構成される、請求項49から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
単位用量が、2〜10mgの活性化合物である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
単位用量が、活性化合物の液体製剤の0.05〜0.2mLに由来する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項49から61のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項63】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項49から61のいずれか一項に記載のデバイス又はディスペンサー。
【請求項64】
活性化合物を含有する製剤であって、
該製剤が、活性化合物を成分として含有するエアロゾルを発生させるのに適しており、
該活性化合物が、次式の化合物
【化5】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、製剤。
【請求項65】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項64に記載の製剤。
【請求項66】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項64に記載の製剤。
【請求項67】
活性化合物を含有する製剤を調製する方法であって、
該製剤が、活性化合物を成分として含有するエアロゾルを発生させるのに適しており、
該活性化合物を1種又は複数の適切なビヒクルと混合するステップを含み、
該活性化合物が、次式の化合物
【化6】

(式中、-Rは、C2〜C4のヒドロキシアルキル又はポリヒドロキシアルキルである)である、方法。
【請求項68】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2-ヒドロキシ-エチルエステル(CPS-004)である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
活性化合物が、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸2,3-ジヒドロキシ-プロピルエステル(CPS-030)である、請求項67に記載の方法。

【公表番号】特表2011−506589(P2011−506589A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538891(P2010−538891)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004176
【国際公開番号】WO2009/081107
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(507324072)
【Fターム(参考)】