説明

水−グリコール液圧流体組成物

モルホリンを含まない水−液圧液体組成物は、水、グリコール、ポリアルキレングリコールなどのポリグリコール、6〜14個の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸、およびアミンとアルカノールアミンの組合せを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に水−グリコール液圧流体組成物(water-glycol hydraulic fluid composition)、さらに詳しくはモルホリンを実質的に含まないこのような組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Lewisの米国特許(USP)第4,855,070号には、a)30重量パーセント(重量%)〜40重量%の水、b)ジエチレングリコール、c)0.8重量%〜5.0重量%の(両端の個数を含めて)9〜12個の炭素原子(C〜C12)を有する脂肪族カルボン酸、d)水溶性ポリマー粘度調節剤、e)腐食防止量の少なくとも1種の腐食防止剤、およびf)金属不活性化剤を含む水−グリコールエネルギー伝達流体(重量%はそれぞれ、流体全重量に基づく)が開示されている。例示的な腐食防止剤としては、プロピルアミンおよびジメチルアミノプロピルアミンなどのアルキルアミン;モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、もしくはアミノトルエンなどのアリールアミン;エチレンジアミン、モルホリン、もしくはピリジンなど別のアミン型腐食防止剤;またはそれらの混合物が挙げられる。金属不活性化剤は、銅および銅合金用のキレート剤として機能する。例示的な水溶性ポリマー粘度調節剤としては、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ポリアルキルメタクリラート、ウレタンポリマー、ポリアミドエステル、およびポリアミドアルコキシラートが挙げられ、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーが好ましい。
【0003】
最新の水/グリコール液圧流体は、高度に設計された製品を構成し、成分の複合混合物を含む。このような流体の重要な成分としては、水およびグリコールに加えて、増粘剤または水溶性ポリマー粘度調節剤としての高分子量(例えば、数平均分子量が6,000を超える)ポリグリコール(「アルキレングリコール」とも呼ばれる)、気相腐食防止剤、および溶液腐食防止剤が挙げられる。このような流体は、ポンプなどの装置において、特にポンプの始動活動時に可動金属部品間で界面フィルムを形成する耐摩耗添加剤を含めて、1種または複数の添加剤を含有する場合が多い。気相腐食防止剤は、典型的には鋼や鋳鉄(両方とも、液圧機器を作製するのに使用される合金でよく見られる)などの鉄表面の保護措置を行う。溶液腐食防止剤は、鋳鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、黄銅、および銅を含めて、液圧回路でしばしば使用される金属の腐食を防止する。黄銅などの四六黄銅と接触する液圧流体は、典型的には四六黄銅の不動態化用のトリルトリアゾールなどの添加剤を含有する。
【0004】
水/グリコール液圧流体は、典型的には液圧機器の操作において信頼できる、好ましくは持続的な性能、および耐火措置(measure of fire resistance)を必要とする自動車、鋼、および鉱業用途に使用される。耐火性は、流体漏洩によって火災のリスクが大きい環境において、ますます重要性を帯びる。しかし、耐火性は、火災から完全に解放されているという意味ではない。というのは、当業者は、グリコールなどの有機流体が、十分な濃度で存在し、かつこのような有機流体の少なくとも揮発性成分を発火させるのに十分な酸素、熱、および火源に曝露されたとき、やはり燃焼することを理解しているからである。
【0005】
液圧流体の耐火等級(fire resistance rating)の地域標準はいくつか存在する。例えば、北米では、Factory Mutualが耐火等級に従って流体を認定する。流体には、「指定製品(Product Specified)」または「承認製品(Product Approved)」の等級が付与され、トップレベルの流体は「承認製品」等級と認定される。欧州では、現在の法律上の要件は、耐火性と液圧摩耗性能の組合せである第7回ルクセンブルク認定を有する耐火性流体の販売を義務付けている。後者の標準は、耐火等級の世界水準として受け入れられつつあると思われる。
【0006】
Dow Chemical CompanyからUCON(商標) Hydrolube DG−746という商標名で市販されている汎用性水/グリコール液圧流体(「ハイドロルーブ(hydrolube)」と呼ばれることもある)は、ベーン、ギヤ、およびピストンポンプ液圧機器に使用され、それらはすべて、最大3500ポンド/平方インチゲージ(psig)(24メガパスカル(MPa)の出口圧力で作動する。より高い出口圧力には、典型的には最大5000psig(34MPa)の圧力で作動する液圧ポンプに推奨されるUCON(商標) Hydrolube HP−5046など代替のハイドロルーブを使用する。これらのハイドロルーブは、モルホリンを含有するハイドロルーブの製造業者が市販している多数のハイドロルーブの一部である。
【0007】
特に現在の液圧機器よりサイズが小さく、かつ5000psig(30MPa)を上回る圧力で作動する液圧機器の工業的重要が増大するにつれて、組立中または開発中の液圧機器は、1990年代または2000年代初期にすら使用された液圧機器より小さいサイズの流体リザーバーを備える傾向がある。流体リザーバーが小型化すると、このような機器内の液圧回路を液圧流体が循環する回数が増加し、それによってこのような流体が、以前の液圧機器中に存在する環境より高い応力環境に効果的に曝露される。より高い応力環境としては、通常、このような以前の液圧機器で経験されたバルク流体温度より高いバルク流体温度が挙げられる。より高い応力環境は、おそらくより高い圧力におけるせん断不安定による粘性損失;熱酸化分解生成物などの分解生成物がない液圧流体に比べて、液圧機器構成要素の摩耗速度を上昇させるこのような分解生成物を生成するのに十分な程度の液圧流体の分解のうちの1つまたは複数を招く恐れがある。TottenおよびSunは、Handbook of Hydraulic Fluid Technology、(2000年)、917ページに、ギ酸などの分解生成物が、流体の全重量を基準にして0.15重量パーセント(重量%)を上回るレベルの水グリコール液圧流体で液圧摩耗速度を大幅に上昇させることがわかったと記載している。液圧機器の小型化によって、このようなより高い応力環境で作動することに耐える液圧流体が要件となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モルホリンなどの第二級アミンは、流体および潤滑剤調合物中でよく使用されている腐食防止剤である亜硝酸ナトリウムと接触しているときニトロソアミンを生成する可能性があるため、いくつかの国、主に欧州に位置する諸国では法律によって制限物質と指定されている。したがって、モルホリンを含有する化合物(例えば、モルホリン含有耐火性水/グリコール液圧流体)も制限物質のクラスに入る。耐火性水/グリコール液圧流体からモルホリンをなくすことによって、このような流体は制限物質のクラスから外されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付の特許請求の範囲で実施される発明の態様は、モルホリンを実質的に含まない水−液圧液体組成物であり、液体組成物は、水、グリコール、ポリグリコール、6〜14個の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸、およびアミンとアルカノールアミンとの組合せを含む。
【0010】
本発明の組成物は、アミンとアルカノールアミンの組合せを含む。アミンは、好ましくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、モノ−イソプロパノールアミン(MIPA)、モノエタノールアミン(MEA)、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、および2−アミノ−ブタノールからなる群から選択され、より好ましくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
【0011】
「第三級アミン」とも呼ばれるアルカノールアミンは、メチルジエタノールアミン(MDEA)、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N−ジエチルエタノールアミン(DEEA)、トリエタノールアミン(TEA)、および2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)からなる群から選択される。組合せは、好ましくは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと、DMEAおよびDEEAの一方または両方との混合物を含む。
【0012】
本発明の組成物は、第一級アミンの含有量が、いずれの場合も全組成物重量に対して0.1〜2重量パーセント(重量%)の範囲内、好ましくは0.5重量%〜1重量%の範囲内、より好ましくは0.6重量%〜0.7重量%の範囲内である。
【0013】
本発明の組成物は、第三級アミンまたはアルカノールアミンの含有量が、いずれの場合も全組成物重量に対して0.1〜2.0重量パーセント(重量%)の範囲内、好ましくは0.5重量%〜1.0重量%の範囲内、より好ましくは0.5重量%〜0.7重量%の範囲内である。
【0014】
本発明の組成物は、所定量のポリグリコールまたはアルキレングリコールを含む。その量は、好ましくは全組成物重量に対して30重量パーセント〜50重量パーセントの範囲内である。
【0015】
例示的なアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールの製造時に生成された「ボトムグリコール(bottom glycols)」分画、およびブチレングリコールからなる群から選択されたものが挙げられる。
【0016】
アルキレングリコールは、好ましくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーからなる群から選択されたポリアルキレングリコールであり、より好ましくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーであって、いずれの場合もエチレンオキシドとプロピレンオキシドの全重量に対して、エチレンオキシドの含有量が50重量%〜90重量%の範囲内であり、かつ補完的なプロピレンオキシドの含有量が10重量%〜50重量%の範囲内であり、補完的なプロピレンオキシドの量をエチレンオキシドの量に加えると、100重量パーセントであるランダムコポリマーである。エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーは、より好ましくはエチレンオキシドの含有量が70重量%〜80重量%の範囲内であり、補完的なプロピレンオキシドの含有量が20重量%〜30重量%の範囲内である。エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマーは、さらにより好ましくはエチレンオキシドの含有量が約74重量%〜76重量%の範囲内であり、補完的なプロピレンオキシドの含有量が26重量%〜24重量%の範囲内である。エチレンオキシドとプロピレンのランダムコポリマーは、最も好ましくはエチレンオキシドの含有量が約75重量%であり、補完的なプロピレンオキシドの含有量が約25重量%である。
【0017】
本発明の水−液体組成物で使用されるポリグリコールは粘度改質剤または増粘剤として機能し、数平均分子量が好ましくは6,000〜40,000の範囲内、より好ましくは8,000〜30,000の範囲内、さらにより好ましくは約10,000〜25,000の範囲内である。粘度改質剤のないことを除いて同一の組成物に比べて、粘度改質剤が組成物の粘度を上昇させ、またはそれを増粘させるということを当業者は理解する。粘度改質剤を含まない場合、水−グリコール液圧流体組成物の粘度は、過度の装置(例えば、ポンプ)摩耗、または装置シールを貫通もしくは通過した流体漏洩などの問題を招くのに十分な程度に低い可能性がある。
【0018】
このようなポリグリコールを調製する際に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム混合フィードをグリセロール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、またはジエチレングリコールなどの開始剤に反応させる。Paul MatlockおよびWilliam R. Brownは、Synthetic Lubricants & High Performance Functional Fluids、(1993年)、第4章、101〜123ページ、Ronald Shubkin編において、ポリアルキレングリコールを論じた章でこのような調製を説明している。
【0019】
本発明のモルホリンを実質的に含まない水−液圧液体組成物は、耐火性を促進するための水、低温制御のためのジエチレングリコール、ポンプ始動および境界潤滑のための耐摩耗成分としてのデカン酸(「カプリン酸」と呼ばれる場合もある)またはノナン酸(ペルラゴン酸(perlagonic acid)と呼ばれる場合もある)などの短鎖(6〜14個の炭素原子(C〜C14))脂肪族カルボン酸、四六黄銅の不動態化のためのトリルトリアゾール、ならびに流体潤滑のための高分子量粘度改質剤としてのポリアルキレングリコールを含む。
【0020】
脂肪族カルボン酸は、好ましくはネオオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソ−ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、およびテトラデカン酸からなる群から選択されたモノカルボン酸、または1,8−オクタンジカルボン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、およびドデカン二酸から選択されたジカルボン酸のうちの少なくとも1種である。脂肪族カルボン酸は、より好ましくはデカン酸である。
【0021】
脂肪族カルボン酸は、少なくとも1種のアミンと平衡酸−塩基塩複合体(an equilibrium acid-base salt complex)を形成するのに十分な量で存在する。例示として、脂肪族カルボン酸がデカン酸であるとき、その量は、水−液圧液体組成物全重量に対して好ましくは0.5重量パーセント(重量%)〜2.5重量%の範囲内である。
【0022】
本発明の液体組成物は、塩基性のpH、好ましくは8〜11、より好ましくは約9〜約10の範囲内のpHを有する。約9〜約10の範囲内で、pHは、好ましくは9.0〜10.0、より好ましくは9.2〜9.9、さらにより好ましくは9.2〜9.8、さらにより好ましくは9.2〜9.6である。組成物はまた、初期の予備アルカリ度が約145ミリリットル(ml)〜約200ml、好ましくは150ml〜190ml以下、より好ましくは160以上190ml以下の範囲内である。特にpHが10を超え、かつ初期の予備アルカリ度値が200mlを超える場合、10を上回るpHおよび200mlを上回る初期の予備アルカリ度値はそれぞれ、深刻なアルミニウム染色をもたらす恐れがあるということを当業者は理解する。反対に、150ml未満の初期の予備アルカリ度および/または9未満のpHは、鉄金属の腐食問題を招く恐れがある。
【0023】
限定するものではなく、例示として、モルホリンを実質的に含まない、好ましくはモルホリンを完全に含まない本発明の水−液圧液体組成物の調製は、好適には水、グリコール(例えば、ジエチレングリコール)、第一級アミン、および第三級アミン(本明細書では、「アルカノールアミン」とも呼ばれる)の組合せを一緒に、例えば周囲温度(公称、25℃)で混合または撹拌するものである。好ましくは、この温度で撹拌を、組合せが目視で清澄な均質溶液と思われるまで継続する。脂肪族カルボン酸を添加し、好ましくは溶液がもう一度目視で清澄な均質溶液と思われるまで撹拌を継続する。トリルトリアゾールなどの四六黄銅不動態化剤を添加するように選択した場合、次に四六黄銅不動態化剤の溶解が容易になるように撹拌しながら、それを添加する。穏やかな(50℃まで)加熱によって、四六黄銅不動態化剤の溶解を改善することができる。四六黄銅不動態化剤の溶解に続いて、または四六黄銅不動態化剤を省略する場合は脂肪族カルボン酸の添加に続いて、ポリグリコールまたはポリマー増粘剤を添加し、溶液がもう一度目視で清澄な均質溶液としての外観を呈するまで撹拌を継続する。
【0024】
本発明の水−液圧液体組成物の例示的な調製では、50℃以下の「穏やかな」温度を使用する。より高い温度を、望むなら使用してもよいが、このようなより高い温度を使用する必要はない。しかし、160℃を上回る温度は回避して、アミドの生成を実質的に防ぐべきである。アミドは、本発明の組成物において、必要でもないし、望まれてもいない。
【0025】
本発明のモルホリンを実質的に含まない水−液圧液体組成物により、ビッカース・ベーンV104Cポンプ試験でリングとベーンの全重量減少が、下記に説明するようにASTM D7043に従って測定して100ミリグラム未満になることが好ましい。全重量減少は、50ミリグラム未満であることが好ましい。
【0026】
本発明のモルホリンを実質的に含まない水−液圧液体組成物は、含水率がいずれの場合も全組成物重量に対して0重量%を超え、好ましくは40重量%を超え、より好ましくは44重量%を超える。水の量は、好ましくはリングとベーンの全重量減少が100ミリグラムを超える量より低く、より好ましくは全組成物重量に対して54重量%以下である。
【0027】
本明細書では、「初期の予備アルカリ度」または「初期RA」は、使用前における本発明の液体組成物の予備アルカリ度を意味する。このような液体組成物の使用時に、気相腐食防止剤の濃度は低下する傾向があり、典型的には予備アルカリ度の低下をもたらすということを当業者は認識する。本発明の液体組成物の有機成分の分解によって、分解生成物(例えば、ギ酸)の形成が促進され、予備アルカリ度の低下(例えば、160mlから150ml以下への低下)ももたらされるということも当業者は認識する。
【0028】
本明細書では、「最終の予備アルカリ度」または「最終RA」は、下記に「実施例」と題するセクションでさらに詳細に説明する本発明の液体組成物の摩耗試験の終了時におけるこのような組成物の予備アルカリ度(RA)を意味する。このような試験の終了に続いて、最終pHおよび最終KV40も決定する。
【0029】
2〜10の範囲など範囲が本明細書に記載されるとき、範囲の両端点(例えば、2と10)および各数値は、このような値が有理数であろうと無理数であろうと、別段の具体的な除外のない限り、範囲内に含まれる。
【0030】
本明細書で元素周期表という言葉は、CRC Press, Inc.出版および著作権取得の元素周期表(2003年)を意味するものとする。また、1つまたは複数の族を示す言葉はいずれも、族の番号付けにIUPAC方式を使用したこの元素周期表に反映された1つまたは複数の族を示す言葉であるものとする。
【0031】
別段に記載されず、文脈から暗に示されず、または当技術分野において通例でない限り、部および%はすべて、重量を基準とする。米国特許実務において、本明細書に記載したいずれの特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に、合成技法、定義(本明細書に記載されているいずれの定義とも矛盾しない程度)、および当技術分野における一般知識の開示に関して、参照により本明細書にそれらの全体が組み込まれる(または、その対応米国バージョンも、そのように参照により組み込まれる)。
【0032】
「含んでいる(comprising)」という用語およびその派生語は、いずれの追加の成分、ステップ、または手順の存在も、それが本明細書に開示されていようがいまいが除外しない。いかなる疑義も避けるために、「含んでいる(comprising)」という用語の使用により本明細書で特許請求されたすべての組成物は、別段の記載のない限り、ポリマーにせよそうでないにせよ、いずれの追加の添加剤、アジュバント、または化合物も含むことができる。一方、「から本質的になる」という用語は、いずれの後続の列挙の範囲から、作業性(operability)に必須でないもの以外は他のいかなる成分、ステップ、または手順も除外する。「から本質的になる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないいずれの成分、ステップ、または手順も除外する。「または」という用語は、別段の記載のない限り、列挙されたメンバーを個別および任意の組合せで意味する。
【0033】
温度の表現は、華氏温度(°F)とその対応温度(℃)、またはより典型的には単に℃で表すことができる。
【0034】
腐食性能試験
米国材料試験規格(American Standard for Testing and Materials)(ASTM) G31−72の修正法を使用して、水/グリコール液圧溶液の腐食性能を溶液相と気相の両方で測定する。空気入口および出口ポートを備えたパイレックス(登録商標)容器(長さ約50センチメートル(cm)、直径8cm)に入れてある液圧流体に、鋼、鋳鉄、銅、黄銅およびアルミニウムの腐食試験片を浸漬する。さらに、鋳鉄および鋼の腐食試験片を流体レベルより上に吊るして、気相腐食を評価する。液圧流体を設定点温度の70℃に加熱し、流体をその点で200時間維持し、同時に空気を100ミリリットル/分(ml/min)の速度で流体を通して吹き込む。流体が70℃にある24時間ごとに、流体に脱イオン水を補給して、蒸発した流体の代わりを補う。
【0035】
200時間終了すると、流体を放置して周囲温度(公称、25℃)に戻し、次いで腐食試験片を乾燥し、アセトンで洗浄する。各腐食試験片を目視で検査し、1〜5のスケールで評価する。ただし、5の評価は染色または腐食がないことを示し、4の評価は表面腐食が0パーセント(%)を超え、最高10%であることを示し、3の評価は表面腐食が少なくとも10%、最高50%であることを示し、2の評価は表面腐食が少なくとも50%、最高80%であることを示し、1の評価は染色または腐食が80%を超え、最高100%など深刻であることを示す。各腐食試験片の前側と後側の両方を評価し、測定値を報告する。3のスコアを使用してもよいアルミニウムを除いて、試験したすべての金属の4以上のスコアは、許容される腐食性能を与える。アルミニウムの許容されるより低いスコアは、pHが9を上回る水系潤滑剤中での染色の影響を受けやすい両性金属としてのその性質に関係付けられる。大部分の液圧機器には限定された量のアルミニウムが含まれるので、液圧機器中により多量に存在し、より大きな注目に値する他の金属のスコアとして、3以上のスコアが許容される。
【0036】
摩耗試験(Wear Testing)
ビッカース・ベーンV−104CポンプおよびASTM D−7043の変法を使用して、液圧流体の潜在的潤滑特性を評価する。変法では、ASTM D−7043に準拠した5ガロンのリザーバーではなく、1ガロンのリザーバーを使用し、各試験ランの後に総合的な清浄手順を実施して、1回の試験ランから次の試験ランへの汚染を効果的になくす。総合的な清浄手順では、機械を分解し、分解した部品を清浄し、機械を再構築し、摩耗した部品を必要に応じて取り換える。摩耗試験を、圧力2000psig(14MPa)、回転速度1200回転/分(rpm)、バルク流体温度65℃、および試験期間100時間で実施する。ベーンおよびリングの重量減少を決定し、合わせた重量を各試験ランの試験時の全重量減少として報告する。
【0037】
予備アルカリ度(RA)試験(Reserve Alkalinity Testing)
約10ml(0.1ml単位で計量)の試料流体を50mlの脱イオン水に希釈して、希釈流体溶液を得る。自動滴定装置を使用して、希釈流体溶液を0.100規定(0.100N)標準塩酸(HCl)水溶液で電位差滴定する。次式を使用して、RAを算出する。
【0038】
【数1】

【0039】
pH試験
米国材料試験協会(ASTM) E70に従ってpH試験を行う。
【実施例】
【0040】
下記の実施例は、本発明を例示するものであって、限定するものではない。別段の記述のない限り、部および百分率はすべて、重量を基準とする。温度はすべて、℃単位である。本発明の実施例(Ex)はアラビア数字で指定され、比較例(Comp ExまたはCEx)は大文字のアルファベット文字で指定される。本明細書に別段の記述のない限り、「室温」および「周囲温度」は公称25℃である。
【0041】
実施例1〜2および比較例A〜M
下記の表1に示す組成物を有する複数のグリコール/水溶液を、次の手順を使用して調製する。1000mlのビーカーに、水、次いでジエチレングリコールを添加し、続いてアミンとアルカノールアミンを別々に一緒に、または任意の順序で添加する。ビーカーの内容物を周囲温度(公称、25℃)で、内容物が目視で清澄な均質溶液の外観を有するまで撹拌する。デカン酸を添加し、周囲温度で、内容物が目視の外観を取り戻すまで撹拌を継続する。トリルトリアゾールを添加し、トリルトリアゾールが完全に溶解したように思われるまで撹拌を継続する。周囲温度で典型的には十分であるが、穏やかな加熱(例えば、50℃まで)によって、トリルトリアゾールの溶解を改善することができる。最後に、ポリ−グリコール(ポリアルキレングリコール)を添加し、ビーカーの内容物が清澄な均質溶液の外観を取り戻すまで、周囲温度で撹拌を継続する。
【0042】
下記の表1〜4において、AMP=2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(Angus Chemicalから商標名「AMP−95」で市販されている);MIPA=モノイソプロパノールアミン;TEA=トリエタノールアミン;DMEA=N,N−ジメチルエタノールアミン;DEEA=N,N−ジエチルエタノールアミン;DEG=ジエチレングリコール;ならびにPAG=ポリアルキレングリコール(「d−PAG−A」とも呼ばれる。開発グリセロール開始ポリアルキレングリコール(developmental glycerol initiated polyalkylene glycol)、エチレンオキシドの含有量75重量パーセント(重量%)およびプロピレンオキシドの含有量25重量%(いずれの場合もPAGの全重量を基準とする)、分子量約25,300、ヒドロキシル基(OH)百分率0.2、および210華氏度((°F)(93.3摂氏度(℃))における粘度11800センチストーク(cSt)(0.012平方メートル/秒(m/s)を有する)。
【0043】
得られた溶液を、上記で詳述した手順を用いて、RA決定(ml)、溶液pH決定、溶液腐食試験、および気相腐食試験にかける。次のコードを用いて、腐食試験を報告する:5=目視で検出できる腐食なし;4=0%を超えて観察された表面腐食〜10%未満観察された表面腐食;3=10%観察された表面腐食〜50%未満観察された表面腐食;2=50%観察された表面腐食〜80%未満観察された表面腐食;および1=80%観察された表面腐食〜100%観察された表面腐食。
【0044】
比較例(Comp Ex)Aは、気相腐食防止剤として機能する成分であるアルカノールアミンを含有しない。表1の残りの実施例および比較例は、気相腐食防止剤としてTEA、DMEA、およびDEEAのうちの少なくとも1種を所定量含有する。
【0045】
【表1】

【0046】
上記の表1に記載されたデータから、第一級アミンであるMIPAとアルカノールアミンであるDMEAまたはDEEAとの組合せの使用を回避するということが示唆される。アルミニウムとの相溶性が不十分であることを示す比較例Jおよび比較例K、ならびに黄銅との相溶性が不十分であることを示す比較例Hから比較例Kを参照のこと。データから、TEAは鋳鉄に十分な気相腐食保護を与えることができないということも示唆される(比較例Lおよび比較例M)。さらに、データから、AMP−95をDMEAと組み合わせて含有するいくつかの流体(実施例1および実施例2)は、望ましい腐食性能試験結果、ならびに適当な予備アルカリ度およびpH値を有するということが示唆される。
【0047】
上記の表1にまとめられたものより長期の試験は、RAを150ml〜200mlの範囲内に維持することによって、同じ成分を含有するが、予備アルカリ度が150ml未満かまたは200mlを超える水/グリコール流体によってもたらされるポンプ性能より良好なポンプ性能が実現されることを示唆する。150ml未満の値は、予備アミンレベルの急速な低下、ひいては鉄の腐食の問題およびポンプ摩耗速度の上昇の傾向を取る一方、200mlを上回る値は、アルミニウムとの相溶性が不十分になる。
【0048】
実施例3〜8および比較例N〜T
下記の表2に示す調合物の変更を行って、上記の実施例1を再現する。表2に示すように、調合物は、一定量の水、PAG(d−PAG−A)、デカン酸、およびトリルトリアゾールと、様々な量のAMP−95、DEEAおよび/またはDMEA、ならびにDEGを含有する。表2には、腐食性能、pH、および予備アルカリ度試験データも含まれている。
【0049】
【表2】

【0050】
表2に記載されたデータから、AMPをDEEAまたはDMEAのどちらかまたは両方と組み合わせて含有するいくつかの流体(実施例3〜8)は、望ましい腐食性能試験結果、ならびに適当な予備アルカリ度およびpH値を有することがわかる。実施例3〜8の流体はすべて、DEEAおよび/またはDMEAの含有量が、全流体重量に対して1.25重量%未満である。データから、実施例3(DMEAを含有する)および比較例R(DEEAを含有する)に示す単一の調合物の変更は、腐食性能の小さな変化と共に、流体のpHおよび予備アルカリ度の変化をもたらすことが示唆される。DMEAおよびDEEAのそれぞれのレベルが表2に示す他のいかなる流体より高い比較例Nおよび比較例Oは、アルミニウムとの相溶性が許容できるものでないことを示す一方、DMEAまたはDEEAレベルがわずかに低い(1.25重量%対1.35重量%)比較例Pおよび比較例Qは、アルミニウム以外のすべての金属に対する腐食性能が類似すると共に、アルミニウムに対して腐食性能が改善されている。実施例3〜8はすべて、比較例N〜Oに比べて優れた多金属腐食性能を溶液腐食性能と気相腐食性能の両方で示す。
【0051】
実施例9〜14および比較例U〜V
下記の表3に示すように水およびDEG含有量を変えて複数の水/グリコール流体組成物を調製するように変更して、実施例5を再現する。トリルトリアゾールの量を0.1重量%から0.06重量%に低減し、エチレンオキシドの含有量がコポリマー重量に対して28重量%であるエチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)コポリマー(UCON(商標) Lub 1281、Dow Chemical Companyから市販されている)を0.04重量%添加して、トリルトリアゾール量の低減を相殺する。各重量%は、水/グリコール流体組成物の全重量を基準にする。
【0052】
【表3】

【0053】
含水率が48重量%、50重量%、52重量%、および54重量%であるこれらの調合物を摩耗試験にかけて、リングとベーンの全摩耗量、摩耗試験前後のpH測定値、摩耗試験前後のアルカリ度(ml)、および摩耗試験前後の40℃(KV40)における動粘度を決定する。試験結果を下記の表4にまとめる。
【0054】
【表4】

【0055】
実施例15〜22および比較例W〜AA
d−PAG−Aをd−PAG−B(表5 液圧性能データ)、d−PAG−C(表6 液圧性能データ)、およびPAG−D(表7 液圧性能データ)に置換するように変更して、実施例9〜14および比較例U〜Vを再現する。d−PAG−Bは、d−PAGAと同じ重量%のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含むが、分子量約42630、および210°F(99℃)における粘度11525cSt(0.012m/s)である、トリメチロールプロパンをベースとする開発PAG(trimethylolpropane-based, developmental PAG)である。d−PAG−Cは、d−PAG−Aと同じ重量%のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含むが、分子量約46625、および210°F(99℃)における粘度12025cSt(0.012m/s)である、ペンタエリトリトールをベースとする開発PAG(pentaerythritol-based, developmental PAG)である。PAG−Dは、d−PAG−Aと同じ重量%のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含むが、分子量約25,000、および210°F(99℃)における粘度約11800cSt(0.012m/s)である、PAG(Dow Chemical CompanyからUCON(商標)潤滑剤75H−380,000という商標名で市販されている)である。
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
表4〜7に記載されたデータは、アミンとアルカノールアミンの組合せをベースとし、種々の増粘剤を含む様々な含水率の本発明を代表する水−グリコール液圧流体の非常に望ましい(100mg未満、好ましくは50mg未満)全リングおよび摩耗量を示す。実施例11〜25はすべて、44重量%を上回る水レベル(実施例11、実施例15、および実施例20は46重量%、実施例13、実施例17、実施例22、および実施例24は50重量%、実施例25は51重量%、実施例14および実施例18は52重量%、かつ実施例19は54重量%)で非常に望ましい全リングおよび摩耗量を示す。全リングおよび摩耗量が100mg未満である通常の水−グリコール液圧流体は、40重量%以下の水しか含有しない。比較例X〜比較例Zはすべて、同じ組成を有するが、比較例X〜比較例Zについて記載されたものなどの結果は、全リングおよび摩耗量が250mgを超えるので典型的であるということを当業者は認識する。このような不規則な結果について考え得る1つの説明は、摩耗試験時に生成した粒状破片がさらに摩耗を加速することである。
【0060】
実施例26〜34および比較例AD〜AG
d−PAG−Aの代わりに、より高い粘度の開発PAG、d−PAG−E(グリセロールをベースとする)、d−PAG−F(トリメチロールプロパンをベースとする)、またはPAG−Gを使用し、PAGの量がd−PAG−Eであろうと、d−PAG−Fであろうと、またはPAG−Gであろうと、11.75重量%から16.6重量%に増量し、上記の表3に示すものと同じ含水率を有する調合物に比べて、相補的にDEGの量を減量するように変更して、実施例15〜25および比較例W〜ACを再現する。例えば、含水率が50重量%である調合物は、d−PAG−A含有量が11.75重量%であり、かつDEG含有量が34.95重量%である一方、同じ含水率の調合物は、d−PAG−D含有量が16.5重量%であり、DEG含有量が30.2重量%である。言い換えれば、d−PAG含有量は、設定量だけ増加し、DEG含有量はその設定量だけ低下する。d−PAG−Eとd−PAG−Fは共に、同じ重量%のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを有するが、d−PAG−Dは、104°F(40℃)における粘度15900cSt(0.016m/s)、および分子量約22,000であり、d−PAG−Eは、104°F(40℃)における粘度約19180cSt(0.019m/s)および分子量約22,000である。PAG−Gは、d−PAG−Aと同じ重量%のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含むが、分子量約12,000、および210°F(99℃)における粘度2500cSt(0.002m/s)である、PAG(Dow Chemical CompanyからUCON(商標)潤滑剤75H−90,000という商標名で市販されている)である。下記の表8〜10に、それぞれd−PAG−E、d−PAG−F、およびPAG−Gを含有する調合物について、含水率を示すと共に、試験データをまとめる。表8〜10に記載された試験データには、初期粘度測定値、ならびに24時間、48時間、72時間、および100時間経過した後の粘度測定値を含む。
【0061】
【表8】

【0062】
表8〜10に記載されたデータは、表4〜7で見られるものと同様の傾向を示す。データから、本発明の組成物は、トリメチロールプロパンをベースとするPAG粘度改質剤(d−PAG−E)を用いた場合より、グリセロールをベースとするPAG粘度改質剤(d−PAG−D)を用いた場合に非常に望ましいリングとベーンの全摩耗量を与える潜在的含水率の範囲がより広いことも明らかである。d−PAG−Eの場合でさえ、リングとベーンの全摩耗量100mg未満は、含水率40重量%および44重量%で生じる。d−PAG−E含有調合物の含水率が44重量%を上回るが、50重量%未満である場合も、リングとベーンの全摩耗量が100mg未満になるはずである。
【0063】
添付の特許請求の範囲内であるが、この実施例のセクションで明示的に説明されない、モルホリンを含まない水−液圧液体組成物は、類似の結果をもたらし、表9のように比較的狭い範囲の含水率のものもあれば、表10のように中間の範囲の含水率のものもあれば、表8のようにより広い範囲の含水率のものもあるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルホリンを実質的に含まない水−液圧液体組成物であって、該液体組成物は、水、グリコール、ポリグリコール、6〜14個の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸、およびアミンとアルカノールアミンの組合せを含む組成物。
【請求項2】
アミンとアルカノールアミンの組合せが、少なくとも1種のアミンおよび少なくとも1種のアルカノールアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アミンとアルカノールアミンの組合せが、少なくとも1種のアミンおよび少なくとも2種のアルカノールアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
カルボン酸が、少なくとも1種のアミンと平衡酸−塩基塩複合体を形成するのに十分な量で存在する、請求項1、請求項2、または請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪族カルボン酸が、ネオオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、およびテトラデカン酸からなる群から選択されたモノカルボン酸、または1,8−オクタンジカルボン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、およびドデカン二酸から選択されたジカルボン酸、のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
脂肪族カルボン酸がデカン酸である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
デカン酸の量が、全組成物重量に対して0.5重量パーセント〜2.5重量パーセントの範囲内である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が塩基性pHである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が8〜11の範囲内のpHを有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が9〜10の範囲内のpHを有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジ−イソプロピルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、および2−アミノ−1−ブタノールからなる群から選択される、特許請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、および2−アミノ−1−ブタノールからなる群から選択された第一級アルカノールアミンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
第一級アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、および2−アミノ−1−ブタノールのうちの少なくとも1種である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
アミンが、ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、オクチルアミン、コカミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエチレンテトラミン、およびトリプロピレンテトラミンからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
アルカノールアミンが、N,N−ジメチルエタノールアミンアミンおよびN,N−ジエチルエタノールアミンアミンからなる群から選択された第三級アルカノールアミンである、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、全組成物重量に対して0重量パーセントを超えるが、54重量パーセント以下の含水率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
組成物により、ビッカース・ベーンV104Cポンプ試験でリングとベーンの全重量減少が、ASTM D7043に従って測定して100ミリグラム未満になる、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
リングとベーンの全重量減少が50ミリグラム以下である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
含水率が、全組成物重量に対して少なくとも44重量パーセントである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
ある量のアルキレングリコールをさらに含み、アルキレングリコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールの製造時に生成された「ボトムグリコール(bottom glycols)」分画、およびブチレングリコールからなる群から選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
アルキレングリコールがジエチレングリコールである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
アルキレングリコールの量が、全組成物重量に対して30重量パーセント〜50重量パーセントの範囲内である、請求項20に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−533772(P2010−533772A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517062(P2010−517062)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/068957
【国際公開番号】WO2009/012058
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】