説明

水に浸漬されるより前に溶解耐性を有する水溶性基材

水溶性基材(10)、より具体的には、少量の水への接触に対して耐性を有する水溶性基材、及びその製造方法が開示される。基材の表面(12、14)の少なくとも1つは、水溶性基材の水溶性より低い水溶性を有する第1の分離性領域(20)を含む。第1の分離性領域(20)は、第1の表面又は第2の表面の表面積の10%〜90%に相当する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性基材に関するものであり、より具体的には、浸漬されるより前の溶解耐性が改善された水溶性基材、並びにその製造方法に関する。本発明はまた、水溶性基材から製造されるパウチなどの物品に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性基材は、包装材料としての使用に幅広い支持を得ている。包装材料は、フィルム、シート、吹き込み又は成形された中空体(即ち、サッシェ、パウチ、及びタブレット)、瓶、容器、及び同類のものなどが挙げられる。多くの場合、水溶性基材は、サッシェ及びパウチなどの物品の特定のタイプの作製に使用されるとき、少量の水又は高湿度に曝されると、崩壊する、及び/若しくは粘着性になる。このことにより、その中に収容される組成物を包装し保管する際に使用するのに適さなくなる可能性がある。
【0003】
一般消費者の大部分は、水溶性パウチが偶然水に曝されたとき、例えば、パウチが販売され購入された後、保管中に濡れた手、高湿度、水漏れする流し台、又はパイプから、外部包装の中に水が入ると、望ましくないパウチの溶解につながることに対して不満を持っている。これにより、水溶性パウチは使用より前に漏れる、及び/又は互いに粘着することがある。2番目に多いよくある不満は、使用の際に水溶性パウチが完全に溶解しないことである。このように水溶性基材、及びサッシェやパウチのようなそれらの基材から製造された物品で、少量の水の曝露に対する改善された溶解耐性を有し、それにもかかわらず、その後のすすぎ水及び/又は洗浄水などの水溶液に浸漬されたときに非常に素早く溶解できる物品に関して未達成の需要が依然として存在する。
【0004】
当該技術分野では、水溶性基材の溶解を遅らせるための各種の方法が既知である。これらの方法は、水溶性基材の表面全体を非水溶性材料でコーティングする工程を含む。例えば、米国特許第6,509,072号は、バリアコーティングを備える水溶性基材を記載している。バリアコーティングは、水溶性基材上に連続フィルムを形成する高分子フィルムである。バリアコーティングの別の例が、花王株式会社に譲渡されたPCT国際公開特許WO 01/23460号に記載されており、水溶性基材の表面は、粒子状又は繊維状の非水溶性材料でコーティングされている。
【0005】
驚くべきことに、溶解に対する耐性が改善された水溶性基材を提供するためには、水溶性基材の表面全体をコーティングする必要がないことが判明した。したがって、必要とされるコーティング材がより少なくなり、これによって、より低いコストで、溶解に対する耐性が改善された水溶性基材を製造することが可能になる。これもまた驚くべきことに、溶解に対する耐性は、溶解度勾配を作製することによって更に改善できることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,509,072号
【特許文献2】PCT国際公開特許WO 01/23460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の態様は、水に浸漬されるより前の改善された溶解耐性を有しながらも、その後のすすぎ水及び/又は洗浄水などの水溶液に浸漬されたときに非常に素早く溶解できる水溶性基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の表面及び第1の表面と反対側の第2の表面を含む水溶性基材であって、第1の表面又は第2の表面の少なくとも1つが、水溶性基材の水溶性より低い水溶性を有する第1の分離性領域を含み、第1の分離性領域は、第1の表面又は第2の表面の表面積の10%〜90%に相当することを特徴とする、水溶性基材に関する。
【0009】
本発明はまた、水溶性基材を備える物品及び水溶性基材を製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】未コーティングの水溶性基材の断面を示す図。
【図2】本発明による水溶性基材の一実施形態の平面図。
【図3】本発明による水溶性基材の別の実施形態の平面図。
【図4】本発明による水溶性基材を含む物品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、水溶性基材に関するものであり、より具体的には、浸漬されるより前の溶解耐性が改善された水溶性基材、並びにその製造方法に関する。本発明はまた、本明細書に記載される水溶性基材から製造される水溶性パウチのような物品に関する。
【0012】
水溶性基材
図1は、水溶性基材10の断面を示す。水溶性基材10は、第1の表面12、第1の表面12と反対側の第2の表面14、及び第1の表面12と第2の表面14との間の厚さ16を有する。水溶性基材10は、フィルム、シート、又は発泡体の形態であることができ、織布及び不織布構造を含む。
【0013】
水溶性基材はポリマー材料で製造され、本明細書において後に述べる20ミクロンの最大孔径を有するガラスフィルタを使用する方法で測定したときに、少なくとも50重量%の水溶性を有する。好ましくは、基材の水溶性は、少なくとも75重量%、又は更により好ましくは少なくとも95重量%である。
【0014】
50グラム±0.1グラムの基材材料を、予め計量した400mLのビーカーに加え、25℃の蒸留水245mL±1mLを加える。これを、600rpmに設定した磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌する。次に、混合物を、上記に規定したような孔径(最大20ミクロン)を有する折り畳んだ定性焼結ガラスフィルターを通して濾過する。収集されたろ液からいずれかの従来の方法によって水を蒸発させて、残った物質(これが溶解した画分である)の重量を測定する。その結果、%溶解度を算出することができる。
【0015】
典型的には、水溶性基材10は、平方メートル当たり0.33〜1,667グラムの坪量、好ましくは平方メートル当たり33〜167グラムの坪量を有する。水溶性基材10の第1の表面12と第2の表面14との間の厚さは、約0.75マイクロメートル〜約1,250マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル〜約250マイクロメートル、より好ましくは約25マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲であることができる。
【0016】
基材材料として使用するのに好適な好ましいポリマー類、コポリマー類、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、セルロースアミド類、ポリビニルアセテート類、ポリカルボン酸類及び塩類、ポリアミノ酸類若しくはペプチド類、ポリアミド類、ポリアクリルアミド、マレイン/アクリル酸類のコポリマー類、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン(xanthum)及びカラガム(carragum)などの天然ゴム類、ポリアクリレート類及び水溶性アクリレートコポリマー類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート類、ポリビニルアルコールコポリマー類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにそれらの混合物から選択される。最も好ましいポリマーはポリビニルアルコールである。好ましくは、基材中のポリマー濃度は少なくとも60%である。
【0017】
市販の水溶性フィルムの例は、モノゾール(MonoSol LLC)(米国インディアナ州ゲーリー(Gary))から販売されている、商品照会名モノゾール(Monosol)M8630として知られるPVAフィルム、及び対応する溶解度及び変形特質のPVAフィルムである。本明細書に用いるのに好適な他のフィルムとしては、PTフィルムの商品照会名若しくはK−シリーズのフィルムとして知られているアイセロ(Aicello)により供給されるフィルム、又はVF−HPフィルムとして知られているクラレ(Kuraray)により供給されるフィルムが挙げられる。
【0018】
分離性領域
図2に示されるように、水溶性基材10の第1の表面12又は第2の表面14の少なくとも1つは、水溶性基材の水溶性より低い水溶性を有する第1の分離性領域20を含む。「分離性領域」とは、好ましくは0.1mm2〜400mm2、より好ましくは1mm2〜200mm2、更により好ましくは10mm2〜100mm2の比較的小さい露出面領域を有し、相互に接触しない領域を意味する。したがって、第1の分離性領域20は、無作為又は非無作為にすることができるパターンを示す。これらの第1の分離性領域20を組み合わされると、これらの領域は、第1の表面12又は第2の表面14の表面積の10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更により好ましくは40%以上であり、70%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは90%以下に相当する。第1の分離性領域20は、水溶性基材全体の総合的な溶解耐性を向上させる。理論に束縛されるものではないが、溶解耐性は、水溶性基材10の厚さ又は溶解度(若しくはそれに対する耐性)のみに基づくものでも、第1の分離性領域20の厚さ、溶解度(若しくはそれに対する耐性)、又は適用範囲のみに基づくものでもないと考えられる。むしろ、複合基材、つまり第1の分離性領域20と結合した水溶性基材10の総合的な耐性、及び分離性領域によって作製された使用可能な垂直経路及び水平経路を通って、水が水溶性基材10に到達するまでの時間が重要である。
【0019】
図3に示される好ましい実施形態では、水溶性基材10は、水溶性基材10の水溶性より低い水溶性であって、第1の分離性領域20の水溶性とは異なる水溶性を有する第2の分離性領域21を含む。したがって、溶解度勾配が水平方向並びに垂直方向に作製され、それによって、溶解耐性が更に向上する。第2の分離性領域21は、第1の分離性領域と同じ表面上、反対側の表面上、又は両方の表面上であることができる。第2の分離性領域21が、第1の分離性領域20と水溶性基材の同じ表面上である場合、第2の分離性領域21は、第1の分離性領域20によってまだ覆われていない領域に存在する。第2の分離性領域21が、第1の分離性領域20を含む表面と反対側の表面上である場合、第2の分離性領域21は、少なくとも、反対側の領域が第1の分離性領域20によって覆われていない領域に存在する。組み合わされた第2の分離性領域21は、第1の表面12又は第2の表面14の表面積の好ましくは10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更により好ましくは40%以上であり、70%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは90%以下に相当する。
【0020】
第1の分離性領域20及び第2の分離性領域21は、各種の方法で作製できる。第1の実施形態では、分離性領域20、21は、コーティング材の塗布によって作製できる。コーティング材の例としては、以下を含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
―高い加水分解度を有するポリビニルアルコールを含む組成物。ポリビニルアルコールの加水分解度は、好ましくは97%超である。組成物は、ほぼ完全にポリビニルアルコールからなる、又は上述したように、ポリビニルアルコールと他の好適な水溶性材料若しくは水分散性材料の混合物にすることができる。
【0022】
―非水溶性材料。非水溶性材料は、非水溶性無機材料又は非水溶性有機材料であってよい。「非水溶性材料」により、上述の方法に従って測定したとき、溶解度が50重量%未満であることを意味する。好ましくは、水溶性は40重量%未満、より好ましくは30重量%未満、最も好ましくは10重量%未満である。
【0023】
非水溶性無機材料は、ゼオライト、ベントナイト、タルク、雲母、カオリン、海泡石、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、無水ケイ酸、ヒドロキシカルシウムアパタイト、フタロシアニンブルー、ヘリンドンピンク、ハンザオレンジ、真珠光沢材料などであってよいが、ゼオライト、ベントナイト、タルク(talk)、雲母、カオリン、シリカ、酸化チタン、シリコーンなどが好ましい。
【0024】
非水溶性有機材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン及び/若しくはその架橋生成物、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及び/若しくはその架橋生成物、エチレンゴム、プロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどのゴム及び/若しくはその架橋生成物などの合成ポリマー;又はセルロース及び/若しくはその誘導体、種の外皮、デンプン及び/若しくはそれらの誘導体などの天然ポリマーであってよいが、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロース及び/若しくはその誘導体、デンプン及び/若しくはそれらの誘導体が好ましい。本明細書において、「ポリ(メタ)アクリル酸」は、ポリアクリル酸及びポリメタアクリル酸の両方を意味する。
【0025】
コーティング材は、粒子の形態でもよい。好ましい粒子は、上述の合成材料で製造された粒子を含むポリマー粒子である。これらの粒子が、500マイクロメートル以下、より好ましくは300マイクロメートル以下、更により好ましくは0.01〜300マイクロメートルの平均直径を有することも好ましい。非常に好ましい実施形態では、粒子はナノサイズの範囲にあり、平均粒径が0.01〜1マイクロメートルである。水溶性基材10をナノサイズの粒子でコーティングすると、コーティングが透明になるという効果を更に提供し、審美的に好ましい。好適なナノ粒子は、ポリエチレン系ナノ粒子、ポリプロピレン系ナノ粒子、ワックス系ナノ粒子、シリコーン系ナノ粒子、又はポリテトラフルオロエチレン系ナノ粒子である。
【0026】
コーティング材は、水溶性基材10の表面上に存在しても、後述するように基材に部分的に組み込まれてもよい。
【0027】
第2の実施形態では、分離性領域20、21は、エネルギー放射処理によって作製されてよい。水溶性基材の表面にエネルギー放射を適用することによって、基材の材料の一部が架橋され、したがって、水溶性基材の残りの部分とは異なる溶解度を有する領域をもたらすように、基材の特性が局所的に変性される。好適なエネルギー放射処理には、紫外線、X線、γ線、β線、及び高電子ビーム処理が挙げられる。
【0028】
更に別の実施形態では、分離性領域20、21は、コーティング材及びエネルギーの適用の組み合わせによって作製されてよい。
【0029】
第1の分離性領域(及び該当する場合は第2の分離性領域)は、無作為又は非無作為にすることができるパターンを作製する。分離性領域がコーティング材を使用して作製される場合、コーティング材は、透明又は半透明でよい。あるいは、コーティング材は、触覚(触感)効果又は視覚効果(図形、漫画、ロゴ、ブランド、取扱説明など)など魅力的な効果をもたらすために、着色されても又は三次元であってもよい。
【0030】
しかし、本発明による水溶性基材が水に浸漬されると(即ち、基材が設計された使用用途で、溶解することが必要とされる用途において)、そのコーティングは水接触に対して十分な耐性はなく、基材が急速に溶解することを確実にする。
【0031】
任意成分
特定の用途に対しては、基材の溶解速度(液浸されたとき)を高めることが必要なことがある。水溶性基材を浸漬させたときの溶解を加速するため、(分離性領域がコーティング材を使用して形成される実施形態では)崩壊剤がコーティングに添加されてもよい。好ましくは、コーティング中の崩壊剤の量は、コーティングの0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。別の方法としては、崩壊剤はまた、分離性領域によって覆われていない水溶性基材10の表面に塗布されてもよく、又は水溶性フィルム10に組み込まれてもよく、あるいはそれらの任意の組み合わせでもよい。本明細書に用いるのに好適な崩壊剤は、コーンスターチ/ジャガイモデンプン、メチルセルロース/セルロース類、鉱物粘土粉末、クロスカルメロース(croscarmelose)(架橋セルロース)、クロスポビジン(crospovidine)(架橋ポリマー)、グリコール酸ナトリウムデンプン(架橋デンプン)である。
【0032】
水溶性基材形成組成物及びそれから形成される水溶性基材10はまた、1つ以上の添加物又は添加剤成分を含むことができる。例えば、水溶性基材形成組成物及び水溶性基材10は、可塑剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、又は他の機能性成分を含有してもよい。洗浄用組成物を含有する物品の場合、後者としては、洗浄水に送達されるべき機能的洗剤添加物、例えば有機ポリマー分散剤、又は他の洗剤添加物を挙げてもよいが、それらに限定されない。
【0033】
好適な可塑剤としては、グリセロール、グリセリン、ジグリセリン、ヒドロキシプロピルグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。可塑剤を、約5重量%〜約30重量%の範囲、又は約12重量%〜約20重量%の範囲の量を含む、任意の好適な量で水溶性基材10に組み込むことができる。
【0034】
好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性、及び双極性イオンの部類を挙げてもよい。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N−アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性イオン性)が挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤を、約0.01重量%〜約1重量%の範囲、又は約0.1重量%〜約0.6重量%の範囲の量を含む、任意の好適な量で水溶性基材10に組み込むことができる。
【0035】
好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びそれらの塩類、脂肪族アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミンアセテート類、及び脂肪酸アミド類が挙げられるが、それらに限定されない。潤滑剤/離型剤を、約0.02重量%〜約1.5重量%の範囲、又は約0.04重量%〜約0.15重量%の範囲の量を含む、任意の好適な量で水溶性基材10に組み込むことができる。
【0036】
好適な充填剤、増量剤、粘着防止剤、粘着性除去剤としては、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、及び雲母が挙げられるが、それらに限定されない。充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、粘着性除去剤を、約0.1重量%〜約25重量%の範囲、又は約1重量%〜約15重量%の範囲の量を含む、任意の好適な量で水溶性基材10に存在することができる。デンプンが存在しない場合には、充填剤、増量剤、粘着防止剤、粘着性除去剤が、約1重量%〜約5重量%の範囲で存在することが望ましいことがある。
【0037】
好適な消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン及び炭化水素のブレンドをベースとするものが挙げられるが、それらに限定されない。消泡剤は、約0.001重量%〜約0.5重量%の範囲、又は約0.01重量%〜約0.1重量%の範囲の量を含む、任意の好適な量で、水溶性基材10中に存在することができる。
【0038】
水溶性基材形成組成物は材料を混合し、温度を約21℃(約70°F)から約90℃(195°F)まで昇温しながら溶液が完成するまで攪拌することによって調製される。基材形成組成物は、任意の好適な形態(例えば、フィルム又はシート)に作られてもよく、次に、それに続いて任意の好適な製品(例えば、単一区画及び多区画のパウチ、サッシェ、袋など)の形に形成されてもよい。
【0039】
水溶性基材を製造する方法
水溶性基材10の製造方法の多数の非限定的実施形態が、本明細書に記載される。
【0040】
1つの実施形態では、方法は、先に形成された水溶性基材10を供給する工程、及び基材の表面12、14の1つ又は両方に第1の分離性領域20を作製する工程を含む。所望により、続けて第2の分離性領域21を作製してもよい。
【0041】
コーティング材を使用して分離性領域が形成される場合、この材料は、先に形成された水溶性基材10に数種類の異なる方法で塗布されることができる。1つの非限定的実施形態では、コーティング材は、先に形成された水溶性基材10の表面12、14の少なくとも1つに、粒子又は粉末の形態で塗布される。好ましくは、粒子又は粉末はジェットを介して、又は静電容量的に水溶性基材10に塗布される。ジェットが高速のために、一部の粒子又は粉末は基材に組み込まれ、それによって結合剤を使用する必要が減少又は解消されさえする。同様に、粒子又は粉末が静電容量的に適用されるとき、一般に結合剤は必要とされない。それでもなお、結合剤が使用されてもよい。粒子又は粉末を塗布する前に、結合剤を水溶性基材10に最初に塗布してよい。あるいは、別の方法としては、結合剤を、粒子又は粉末と混合してよく、その後、混合物は水溶性基材10に添加される。
【0042】
方法の別の非限定的実施形態では、コーティング材は、水溶性基材10の表面12、14の少なくとも1つに塗布される溶液の形態で提供され、乾燥するようにされるか、又は乾燥プロセスを施される。溶液は、スプレー、ナイフ、ロッド、キス、スロット、塗装、印刷、及びこれらの混合などのあらゆるコーティング方法によってフィルム上に塗布することができる。本明細書に用いるには、印刷が好ましい。印刷は十分に確立された経済的なプロセスである。印刷は通常、インクと染料で行われ、基材に模様と色を付与するために使用されるが、本発明の場合では、印刷は水溶性基材の上により少ない水溶性の材料を付着させるために使用される。輪転グラビア、リソグラフィ、フレキソ印刷、孔版及びスクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポグラフィ、並びにそれらの組み合わせを含む、あらゆる種類の印刷方法を使用することができる。
【0043】
これらの実施形態はまた、先に形成された水溶性基材10にコーティング材を塗布するより前に、水溶性基材10の表面12、14の少なくとも1つの少なくとも一部を湿潤させる工程を含んでもよい。水溶性基材10の表面12、14の少なくとも1つの湿潤は、基材10の表面12、14の外側部分(即ち、基材の厚さに入りこむ経路の部分)を少なくとも部分的に溶解又は可溶化するために使用されてもよい。水溶性基材10は、コーティングを基材に部分的に組み込むために、任意の好適な深さまで少なくとも部分的に可溶化されてもよい。好適な深さとしては、基材厚さ16全体の約1%〜約40%若しくは約45%、約1%〜約30%、約1%〜約20%、約1%〜約15%、又は約1%〜約10%が挙げられるが、それらに限定されない。次に、コーティング材は、基材10の表面12、14の少なくとも1つの部分的に溶解した部分に塗布される。これにより、コーティング材が基材10の表面12、14の外側部分に組み込まれ、基材10のより恒久的な部分となることが可能になる。次に、同じ表面にコーティング材が組み込まれた、基材10の湿潤した表面12、14は乾燥される。方法のそのような実施形態はまた、基材10の表面を拭う、又はダスティングすることなどによって、水溶性基材10が乾燥した後、その表面上に残っているコーティング材のあらゆる遊離分又は過剰分の少なくとも一部を除去する工程を含んでもよい。
【0044】
別の実施形態では、コーティング材20は、基材10が製品の形に製造された後に、水溶性基材10に添加することができる。例えば、水溶性基材10が、組成物を収容する水溶性パウチを形成するのに使用される場合、水溶性パウチの表面の少なくとも一部の上で基材10にコーティング材を添加することができる。
【0045】
第1(及び/又は第2)の分離性領域がエネルギー放射処理によって作製される場合、放射線は、(前述のように)前もって形成された基材又は既に製品の形に製造された基材に効果をもたらすことができる。
【0046】
水溶性パウチを製造する方法
本明細書に記載の水溶性基材10は、水溶性基材10が包装材料として使用されるものが挙げられるが、それらに限定されない物品の形に形成することができる。そのような物品としては、水溶性パウチ、サッシェ、及び他の容器が挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
本明細書に記載の水溶性基材10を組み込む水溶性パウチ及び他のそのような容器は、当該技術分野において既知のいずれかの好適な手法で製造することができる。水溶性基材10は、それを最終製品の形に形成する前、あるいはその後のいずれかにおいて、改善された溶解耐性がもたらされる。いずれにしても、特定の実施形態では、そのような物品を製造する場合、分離性領域が作製された、基材10の表面12、14が製品の外側表面を形成することが望ましい。
【0048】
水溶性パウチを製造するための多数のプロセスがある。これらとしては、垂直型充填封止プロセス、水平型充填封止プロセス、及び円形ドラム表面上の金型内でのパウチ形成として、当該技術分野において既知のプロセスが挙げられるが、それらに限定されない。垂直型充填封止プロセスでは、基材を折り畳むことによって垂直管を形成する。管の底末端部を封止して、開放型パウチを形成する。このパウチを、上部空間の余裕を持たせて部分的に充填する。次に、開放型パウチの最上部を続いて封止して、パウチを閉じるとともに、次の開放型パウチを形成する。その後、第1のパウチを切断し、このプロセスを繰り返す。こうしたやり方で形成されたパウチは、通常、枕形状を有する。水平型充填封止プロセスは、一連の金型をその中に有するダイを使用する。水平型充填封止プロセスでは、基材をダイの中に設置し、これらの金型の中で開放型パウチを形成し、それらは次に、充填し、基材の別の層で覆い、封止することができる。第3のプロセス(円形ドラム表面上の金型内でのパウチ形成)では、基材をドラムの上で循環させ、ポケットを形成し、それらを充填機の下に通して開放型ポケットを充填する。充填及び封止は、ドラムによって描かれる円の最高点(頂点)において行われ、例えば典型的には、充填は回転ドラムが下向きの円運動を始める直前に、封止はドラムがその下向きの運動を始めた直後に行われる。
【0049】
開放型パウチを形成する工程を伴うプロセスのいずれにおいても、熱成形、真空成形、又は両方を使用して、基材を最初に開放型パウチの形状に成形又は形成することができる。熱成形は、金型を加熱要素と接触させる、熱気を吹き込む、又は加熱ランプを使用して金型及び/若しくは基材を加熱するなど、任意の既知のやり方で熱を加えることによって、金型及び/若しくは基材の加熱を伴う。真空成形の場合、基材を金型に入れるのを助けるため、真空補助が採用される。他の実施形態では、2つの技術を組み合わせてパウチを形成することができ、例えば、基材を真空成形によって開放型パウチに形成することができ、熱を供給してプロセスを促進することができる。次に、開放型パウチを、その中に収容すべき組成物で充填する。
【0050】
次に、充填された開放型パウチを閉じるが、これはいかなる方法によっても行うことができる。水平型パウチ形成プロセスなど、いくつかの場合には、閉鎖は、水溶性基材などの第2の材料又は基材を開放型パウチのウェブの上方及びその上に連続的に送り、次に第1の基材と第2の基材をともに封止することによって行われる。第2の材料又は基材は、本明細書に記載の水溶性基材10を含むことができる。その上に低水溶性基材が配置された第2基材の表面を、パウチの外側表面を形成するように配向することが望ましい場合がある。
【0051】
こうしたプロセスでは、第1及び第2の基材は、典型的には、金型間の、よって、隣接する金型内で形成されているパウチ間の領域において封止される。封止はいかなる方法によっても行うことができる。封止の方法としては、熱封止、溶剤溶接、及び溶剤封止又は湿潤封止が挙げられる。次に、封止されたパウチのウェブを、ウェブ状のパウチを互いに切り離して別個のパウチにする切断装置によって切断することができる。水溶性パウチを形成するプロセスは、米国特許出願第09/994,533号、公開番号第2002/0169092 A1号(カトリン(Catlin)らの名前で公開)に更に記載されている。
【0052】
製造品
図4に示されるように、本発明は、製品組成物40及び製品組成物を保持するためのパウチ、サッシェ、カプセル、バッグ等のような容器30に形成されてもよい水溶性基材10を含む物品も含んでよい。第1の分離性領域を有する水溶性基材10の表面は、容器30の外側表面を形成するために用いられてもよい。水溶性基材10は、製品組成物40の1回用量を供給する容器30の少なくとも一部を形成してもよい。
【0053】
本明細書における考察は他のタイプの容器にも当てはまることが理解されるべきであるが、簡単にするため、本明細書における対象の物品は水溶性パウチに関して記載される。
【0054】
上述の方法によって形成されるパウチ30は、水溶性パウチ30を浸漬させることによってなど、組成物40を水溶性パウチ30から放出することが要求されるまで、その中に収容された組成物40を保持するのに好適な、いかなる形態及び形状のものであることもできる。パウチ30は、1つの区画又は2つ以上の区画を含むことができる(即ち、パウチは多区画パウチであることができる)。一実施形態では、水溶性パウチ30は、ほぼ重ね合わされた関係の2つ以上の区画を有してもよく、また、パウチ30は、上側及びほぼ反対側の下側の外壁、パウチ30の側面を形成するスカート状の側壁、並びに異なる区画を互いから分離する1つ以上の内部隔壁を含む。パウチ30に収容される組成物40が異なる形態又は構成成分を含む場合、組成物40の異なる構成成分は、水溶性パウチ30の異なる区画に収容されてもよく、水溶性材料の障壁によって互いから分離されてもよい。
【0055】
パウチ又は他の容器30は、洗濯洗剤組成物、自動食器洗い用洗剤組成物、硬質表面クリーナー、染み除去剤、布地強化剤及び/又は柔軟仕上げ剤、食品及び飲料、並びに、少量の水との接触が、早過ぎるパウチの溶解、望ましくないパウチの漏れ、及び/又は望ましくないパウチ間の粘着を生じさせる可能性がある新しい製品形態として、あるいはその中に使用するための、1つ以上の組成物40の1回用量を含有してもよい。パウチ30内の組成物40は、液体、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、固体、顆粒、粉末などが挙げられるが、それらに限定されないいかなる好適な形態であることもできる。多区画パウチ30の異なる区画は、適合性のない成分を分離するのに使用されてもよい。例えば、漂白剤と酵素を別個の区画に分離することが望ましいことがある。多区画の実施形態の他の形態としては、液体含有区画と組み合わされた粉末含有区画を挙げてもよい。多区画水溶性パウチの更なる実施例は、米国特許第6,670,314 B2号(スミス(Smith)ら)に開示されている。
【0056】
水溶性パウチ30は、いかなる好適な水溶液(温水又は冷水など)中に投入されてもよく、そうするとすぐに水溶性パウチ30を形成している水溶性基材の材料10は溶解して、パウチの内容物を放出する。本明細書に記載の基材及びパウチは、水に可溶性又は分散性であってもよく、少なくとも約50重量%、あるいは少なくとも約75重量%、又は更には少なくとも約95重量%の水溶性を有する。基材及びパウチの溶解度を、基材の一片又はパウチの1つのいずれか(パウチを構成する基材を含む)を蒸留水に加え、基材又はパウチのいずれかを含有する蒸留水を磁性攪拌器を用いて激しく攪拌し、基材又はパウチを含有する水を、20μの最大孔径を有するガラス濾過器を用いて濾過する方法により測定してもよい。次に濾過器上に収集された材料の乾燥重量を、初期試料の重量と比べ、百分率で表す。
【0057】
本明細書に記載の水溶性基材10はまた、コーティング製品及び他の物品に使用することができる。そのような製品の非限定例は、洗濯洗剤タブレット又は自動食器洗い用洗剤タブレットである。
【実施例】
【0058】
第1の基材は、モノゾール(Monosol)によって供給される標準的な0.08mm(3ミル)の可溶性M8630フィルムの表面上の分離性領域内に、インテリマー(Intelimer)(登録商標)ポリタップ(Poly Tap)8000(ランデック社(Landec Corporation))コーティングを印刷することによって調製する。インテリマー(Intelimer)(登録商標)コーティングは、溶解度が(33℃で)温度活性のポリマー系であり、水と混合されている(インテリマー(Intelimer)(登録商標)20%及び水80%)。最終フィルムは、23℃の試験条件では不溶性のポリマー粒子で部分的(領域の約20%)にコーティングする。
【0059】
第2の基材は、モノゾール(Monosol)によって供給される標準的な0.08mm(3ミル)の可溶性M8630フィルムの表面上の分離性領域内に、インテリマー(Intelimer)(登録商標)ポリタップ(Poly Tap)8000(ランデック社(Landec Corporation))コーティングを印刷することによって調製する。今回は、インテリマー(Intelimer)(登録商標)コーティングは水と混合し、インテリマー(Intelimer)(登録商標)50%/水50%のコーティングを作製する。最終フィルムは、23℃の試験条件では不溶性のポリマー粒子で部分的(領域の約50%)にコーティングする。
【0060】
試験方法
液滴試験方法
基材が偶然的な水接触に対して耐性であるか否かを判定するために液滴試験方法が開発されている。この試験では、上記のフィルムから空洞状のパウチ(約5.1cm×5.1cm(2インチ×2インチ))を形成して、室温の水の液滴0.2mLをパウチの形成面に添加する。空洞形成中にフィルムは薄くされているので、形成面はこの試験のために圧力を加えられたケースである。水がパウチに接触するとすぐにストップウォッチを始動させ、パウチ本体において有意なフィルム変形が観察された時間を記録する。「変形時間」と称されるこの時間は、フィルム破損の前兆である。
【0061】
完全溶解度(完全浴)
上記で形成されたフィルムを撹拌された23℃の水浴に浸漬し、完全に(視覚的に)フィルムが溶解するまでの時間を記録する。
【0062】
【表1】

【0063】
コーティングされたフィルムの曝露温度が上記のインテリマー(Intelimer)(登録商標)の溶解活性温度である33℃を超えると、インテリマー(Intelimer)ポリマー材料の可溶化がより速くなるために、コーティングされたフィルムの全体的な溶解度は、予想どおり低下する。
【0064】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解するべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(12)及び前記第1の表面(12)と反対側の第2の表面(14)を含む水溶性基材(10)であって、前記第1の表面(12)又は第2の表面(14)の少なくとも1つが、前記水溶性基材(10)の水溶性より低い水溶性を有する第1の分離性領域(20)を含み、前記第1の分離性領域(20)が、前記第1の表面(12)又は第2の表面(14)の表面積の10%〜90%に相当することを特徴とする、水溶性基材(10)。
【請求項2】
前記水溶性基材(10)が、第2の分離性領域(21)を含み、該第2の分離性領域(21)が、前記水溶性基材(10)の水溶性より低い水溶性であって、且つ前記第1の分離性領域(20)の水溶性とは異なる水溶性を有することを特徴とする、請求項1に記載の水溶性基材(10)。
【請求項3】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の分離性領域(20)と同じ表面(12、14)上であることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性基材(10)。
【請求項4】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の分離性領域(20)を含む表面と反対側の表面上であることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性基材(10)。
【請求項5】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の表面(12)又は第2の表面(14)の表面積の10%〜90%に相当することを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の水溶性基材(10)。
【請求項6】
前記第1の領域(20)及び/又は第2の領域(21)が、
a.コーティングの塗布、
b.エネルギー放射処理、又は
c.これらの組み合わせ、によって形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水溶性基材(10)。
【請求項7】
前記コーティングが、前記水溶性基材(10)に部分的に組み込まれることを特徴とする、請求項6に記載の水溶性基材(10)。
【請求項8】
前記第1の分離性領域(20)又は第2の分離性領域(21)の少なくとも1つが着色されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性基材(10)。
【請求項9】
組み合わされた前記第1の領域(20)及び第2の領域(21)が、視覚効果又は触覚効果をもたらすことを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の水溶性基材(10)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記水溶性基材(10)を備えた物品(30)であって、前記水溶性基材が、前記物品(30)の外側表面を形成することを特徴とする物品。
【請求項11】
前記水溶性基材(10)が、製品組成物を含む容器の少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項10に記載の物品(30)。
【請求項12】
水性環境に浸漬されるより前に溶解耐性である水溶性基材(10)の製造方法であって、前記水溶性基材(10)の水溶性より低い水溶性を有する第1の分離性領域(20)を作製する工程を含み、前記第1の分離性領域(20)が、前記第1の表面(12)又は第2の表面(14)の前記表面積の10%〜90%に相当し、前記第1の分離性領域(20)が、
a.コーティングの塗布、
b.エネルギー放射処理、又は
c.これらの組み合わせ、によって形成されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記水溶性基材(10)の水溶性より低い水溶性であり、且つ前記第1の分離性領域(20)の前記水溶性とは異なる水溶性を有する第2の分離性領域(21)を作製する工程を更に含み、前記第2の分離性領域(21)が、
a.コーティングの塗布、
b.エネルギー放射処理、又は
c.これらの組み合わせ、によって形成されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の分離性領域(20)と同じ第1の表面又は第2の表面上に作製されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の分離性領域(20)を含む表面と反対側の表面上に作製されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の分離性領域(21)が、前記第1の表面(12)又は第2の表面(14)の表面積の10%〜90%に相当することを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
分離性領域が、コーティングの塗布によって形成され、前記コーティングが前記水溶性基材(10)に部分的に組み込まれることを特徴とする、請求項13〜17のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−507714(P2010−507714A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533990(P2009−533990)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052648
【国際公開番号】WO2008/053381
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】