説明

水の水素過飽和コロイド簡易処理方法並びに処理システム

【課題】簡易水素コロイド処理装置による水素コロイドの大量生産を安価に提供する。
【解決手段】スパイラルエジェクター装置2と超微細気泡発生装置3により、ポンプを使用しないで、水道の水圧のみで瞬間処理によって水素コロイドの生産を可能にする。装置はスパイラルエジェクター装置2、超微細気泡発生装置3、流水センサー4、水素ガス供給装置8及びセンサーの信号で作動する防爆水素ガス開閉装置6からなる。
【効果】簡便で動力を使うことなく、従来の重装備の水素コロイド処理技術より、極めて効率良く処理する事を可能とし、大幅なコスト低減が図られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は液体及び溶液系へ水素ガスを過剰に溶存させ、液体の反応性を高め、還元処理を必要とする水を簡易に処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水の還元処理技術については、当発明者が平成3〜4年に研究を行い、平成11年2月26日に特許第2890342号として認められた「食品等の還元性水素水とその製造法並びに製造装置」がある。本特許では水素ガスを水に溶解し、還元性を示す水とその製造方法が特許として認められている。
その後、さらに研究を進め、平成13年5月1日に出願した「特開2003−19426」「ガス溶存液状媒体の生産方法及びガス溶存液状媒体の生産システム」を提案した。この出願では、流動する液体に対し、水素を添加して液体の酸化還元を一定に調整する技術を提供する技術であった。
さらにその後の研究で、2003年4月28日に出願した「特願2003ー158698」の「水素ガス及び酸素ガスの減圧・加圧溶解方式のコロイド溶液による自動酸化還元処理システム」がある。
この出願では、流動する液体に酸素又は水素を添加して高速に回転する回転子のキャビテーションによりガス気泡を砕き、減圧条件と加圧条件を与えて微細気泡をコロイド状にし、ガスの過飽和状態を作って、液体に強い酸化力、還元力を与える技術である。
これらの技術は何れもモーターによる動力が必要であって、装置が重厚で大型であって、生産コストが極めて高い。
【問題を解決するための手段】
【0003】
前記問題を解決するために本技術では、これらの技術とは違ったメカニズムにより、効率良く極めて簡便な技術を提供する。
方法は流動する水にスパイラルエジェクターで、ガス状の水素をコロイド状に溶かし込み、超微細気泡発生装置によってキャビテーションを起し、モーター等の動力源を用いないで、極めて安価に水素コロイドの生産を可能するものである。
【0004】
本発明のエジェクター方式による水の簡易コロイド処理システムは、スパイラルエジェクター装置によって流動する水にスパイラルにとって渦流を発生させ、水の遠心力モーメントによって比較的低水圧の流水でも、液体とガスの混合効率を高め、水へ水素ガスを泡状にして混合注入する。
水素ガスを泡状に混合注入した水をステンレス繊維を綿状にして詰めた容器内へ急速に通過させる。この段階で激しいキャビテーションが起り、泡状の水素ガスは更に微細な泡として溶液の気体溶解度以上に、過剰に懸濁させ、気液混在のコロイド溶液として強力な還元力を創出する。
本技術は前記のように非常に簡便な方法で、水の出口の蛇口の開閉だけによって自動的に水に水素ガスを過飽和状態に溶解させることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
[図 1]には水の簡易コロイド処理システムを示した。
以下本発明を図面を参照しながら説明する。
1はスパイラルエジェクターへ原料溶液を送る水道基栓である。
2は渦流を発生するスパイラルエジェクター装置である。
3は水素コロイドをキャビテーションで微細化する超微細気泡発生装置である。
4流水感知センサーである。
5ガス供給の防爆スイッチ配電制御板である。
6ガス供給防爆スイッチ装置である。
7はガス供給管である。
8は水素ガス供給装置である。
9は水素コロイド溶液供給蛇口である。
原理は、蛇口9を捻ると水圧で水が押し出され、水流が発生する。この水流を流水感知センサー4で感知し、シークェンサー制御板5からガス開放の指令を出す。ガス開放の指令によってガス供給防爆開閉装置6が開放される。水素ガスは水素ガス供給装置8と水素ガス供給パイプ7から供給される。
水の流動によりスパイラル管2内では、1次スパイラルで渦流を発生させ、毎分500〜1000回転の遠心力モーメントにより渦流エジェクター内で水と水素ガスがコロイド状に混合される。コロイド状の水素水は、超微細気泡発生装置3でキャビテーションによりさらに細かい微細気泡になる。
この微細気泡は水への水素ガスの過飽和状態となり、持続性のある水と水素ガスのコロイドを形成する。
【0006】
[図 2]にはスパイラルエジェクター装置を示した。
スパイラルエジェクター装置は水の導入部に管内部に長いスパイラルを設置し、旋回する流液の慣性モーメントを活用した渦流を発生させ、遠心力による水の拡散力を強化し、水がエジェクターから噴き出す際、絞りの度合を低めても高速旋回によって強い真空とガス吸引力を発生させ、液体と気体を混合する機能を低下させず、絞りの効果を格段に高めて水の通過量を増大し、大量のコロイド化処理を可能とする装置である。渦流の旋回数は液体の流量、粘稠度によって異なるが、およそ毎分500〜1000回転を目処としている。
スパイラルエジェクター2は、給水口1から口径を絞る1次スパイラル管10を通って渦流を発生しながら噴出口11から液体を噴き出す。気体吸入部12と接続した液体の噴出口11に続く混合部13は管の直径を大きくし、2次スパイラル管14として減圧度を高めた。スパイラル管16は立った状態では、軽い気泡が管の中心に集まるので、横倒し管として旋回させながら気泡の混合機能と微細化機能を高める構造である。
第一段階の気体と液体の混合コロイドは渦流モーメントを与えて吐出口15から次の装置へ送る。
この段階で比重の大きい液体は外周へ向け遠心力が働き、比重の小さい気体は中心へ集合しようとする力が働くので、次のスパイラル管で混合の効果が高まる。
【0007】
[図 3]にはキャビテーション処理による超微細気泡発生装置3を示した。
スパイラルエジェクターから送られる粗砕コロイドは、キャビテーション処理装置送入口16から液体をスパイラル17で拡散させながら、パイプ内にステンレス製の綿状体18を過密に詰め込んだ綿状体の障壁でキャビテーションを起す。
キャビテーション障壁の原理は、鋭い切断力を有する糸状のステンレス繊維が密に詰まった状態の狭い空間を気体と液体のコロイドが急速な流速で通過する際コロイドを細かく切断すると同時に、全域でステンレス固体と気液相の間に真空部分が発生してキャビテーションが起り、気泡の破砕が進行し、微細なコロイドを形成する。
キャビテーションにより微細なコロイドとなった液体は加圧されながら、異物ろ過ネット20から超微細気泡発生装置吐出口21へ送られる。
装置内の圧力は圧力計19で表示される。
【0008】
実施例
前述した図1に示す構造の還元処理装置を用いて、水素コロイド溶液による還元処理が特願2003−158698のコロイド溶液とどの様な相違を有するか比較試験を行った。
試験に用いた特願2003−158698の装置の規模は、減圧撹拌装置が内径2cmで減圧加圧高速撹拌方式の水素コロイド生成装置であり、処理能力は毎分10〜50リットルである。
【0009】
<試験の実施条件>
試験の実施方法は、
1 減圧撹拌、高速撹拌、加圧撹拌の行程を有し、水素ガスの気液コロイドを生産する従来型酸化還元処理装置による方法、
2 エジェクターによる、水素ガスの気液コロイドを生産する本簡易型還元処理置による方法、
の2方法で水素ボンベによる水素ガスの溶解による処理時のEhの経時的変化を比較した。
【0010】
調査はEhメーターにより処理時のEhの経時的変化を測定し、その結果を[表1]に示した。
【0011】
【表1】

【0012】
前記表1から明らかなように、本格化還元処理装置の数値が−610mV程度のレベルまで還元されるが、簡易型還元処理装置でも最高の数値が−604mV程度のレベルまで還元される。
このようにコスト低減を図っても還元処理能力はあまり低下しないことが判明した。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明では、独自開発のエジェクターを用いて水素ガスを水にコロイド状に溶解させ、微細な泡として気液コロイドを安定化させ、強い還元力を付与し、キャビテーションによらない簡便な方法でも十分な還元処理ができるので大幅なコスト低減を図ることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は水の水素過飽和コロイド簡易処理システムである。
【図2】はスパイラルエジェクター装置である。
【図3】は超微細気泡発生装置である。
【符号の説明】
1−水道と連結する水の供給源
2−スパイラルエジェクター
3−超微細気泡発生装置
4−水の流動を感知するセンサー
5−シークェンサー配電制御板
6−ガス防爆開閉装置
7−水素ガス供給パイプ
8−水素供給装置
9−水道蛇口
10−スパイラルエジェクター1次スパイラル管
11−エジェクター溶液噴射口
12−スパイラルエジェクター水素ガス供給口
13−スパイラルエジェクター気液混合室
14−スパイラルエジェクター2次スパイラル管
15−スパイラルエジェクターからのコロイド吐出口
16−超微細気泡発生装置導入口
17−超微細気泡発生装置スパイラル
18−超微細気泡発生装置ステンレス繊維綿状体
19−超微細気泡発生装置圧力計
20−超微細気泡発生装置異物ろ過ネット
21−超微細気泡発生装置吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動する液体へ水素ガスをフィルターでろ過後供給し、溶液の気体溶解度以上に、微細気泡として過剰に懸濁させ、気液混在のコロイド溶液として強力な還元力を創出する目的で、
スパイラルを内蔵したパイプを通して水に回転のモーメントを与えて噴流させ、
スパイラルエジェクターを用いて水素ガスを噴出水へ混合注入させ、
これを綿状のステンレス繊維で水をキャビテーション処理によって、コロイド状にガスを分散させ、
水に水素ガスを過飽和状態に溶解させることを特徴とするスパイラルエジェクター・キャビテーション方式による「水の水素過飽和コロイド簡易処理方法」。
【請求項2】
請求項1において、コロイドは水に水素ガスを微細なガス気泡として過飽和状態に溶解することを特徴を有する「水素過飽和コロイド溶液」。
【請求項3】
水道のパイプに直結したスパイラルを内蔵した1次パイプと、
1次スパイラルパイプを内蔵したスパイラルエジェクターと、
エジェクターと接続するスパイラルを内蔵した2次スパイラルパイプと、
2次スパイラルパイプと連絡する綿状のステンレス繊維で水をキャビテーション処理する超微細気泡発生装置と、
超微細気泡発生装置から排出する水を開閉する水道蛇口と、
超微細気泡発生装置から排出される水の流動を感知するセンサーと、
センサーからの情報で作動するエジェクターに連結するガス開閉装置と、
ガス開閉装置と連結する水素ガスパイプ並びに水素供給装置とから成り、
水道蛇口の栓を開くと自動的にガス開閉装置が開き、スパイラルエジェクターから流出する水をキャビテーション方式によって気液コロイドとし、水素ガスの過飽和状態を形成することを特徴とする「水の水素過飽和コロイド簡易処理システム」。
【請求項4】
請求項3において溶液へ渦流モーメント慣性を与え、水素ガスを微細に噴射し、撹拌効率を高めるため、水の噴出口前後に長いスパイラル管を内蔵することを特徴とする「スパイラルエジェクター装置」。
【請求項5】
請求項3において円筒状のパイプ内に厚さ0.01〜0.1mm、幅0.5〜2mmの細長いステンレス製のリボンによる綿状の塊内へガス及び液体を狭い空間に高速で通過させ、綿状の塊内では高速液流を不規則な方向へのじぐざく変化によってキャビテーションを起し、コロイドをさらに微細なクラスターに細分破砕し、水道の圧以外特別な動力を必要としないことを特徴とする「超微細気泡発生装置」。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−861(P2007−861A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124388(P2006−124388)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(398053550)有限会社情報科学研究所 (16)
【Fターム(参考)】