説明

水の評価方法

【課題】簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価する方法を実現する。
【解決手段】本発明の水の評価方法は、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定することにより、当該水を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の評価方法に関する。具体的には、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バイオ、医療、食品、環境、精密工学等の分野において、様々な方法を用いて水の物性が評価されてきた。例えば、NMR(核磁気共鳴)、X線回折等を用いた水の分子構造解析、水の表面張力、粘性係数、蒸気圧等の物性から水が評価されてきた。また、比抵抗、全有機炭素(TOC)、微粒子、シリカ、生菌、溶存酸素等の濃度を測定することにより水の純度が評価されてきた。また、マススペクトロメトリー、原子吸光分析法、クロマトグラフィー等を用いればさらに高感度に水の純度を評価することができる。
【0003】
特許文献1には、純水または超純水中に含まれる無機物、溶存酸素、有機化合物および過酸化物等を検出するための不純物検出装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214221号公報(2002年7月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マススペクトロメトリー、原子吸光分析法、クロマトグラフィー等の分析方法を用いれば、高感度で水の純度を評価することは可能であるが、分析の際に試料の濃縮等の前処理が必要であり、測定に高い専門性が必要になるという課題を有している。
【0006】
また、特許文献1の不純物検出装置では、水に含まれる有機化合物を検出するためには、紫外線照射により有機物を有機酸イオンまたは炭酸ガスなどに分解する前処理が必要であり、過酸化物を検出するためには、紫外線照射により過酸化物を水と酸素に分解する前処理が必要であり、簡便とはいえない。従って、上記従来の方法よりも簡便で、感度よく、且つ迅速に水を評価する方法が求められている。本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価する方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価する方法について、鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、紫外光励起による水の発光スペクトルや励起スペクトルが、水の詰め替えやガスのバブリング、紫外線照射等により変化することを初めて発見した。この発見に基づき、さらに鋭意検討を行った結果、上記水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定することにより、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価することが可能であること、中でも水の発光変化を誘導する物質、および発光特性に影響を与える物質の溶存を選択的に検出可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る水の評価方法は、上記課題を解決するために、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定することを特徴としている。
【0009】
上記方法によれば、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定するだけで水を評価できるため、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価することができる。尚、これまでにも、溶存する物質(イオン、有機物等の不純物)と水(蒸留水)とが相互作用し、360nmと410nmとにピークを有する発光が観察されることが報告されている(“Experimental evidence for intrinsic luminescence of water” V.I. Lobyshev, R.E. Shikhlinskaya and B.D. Ryzhikov, Journal of Molecular Liquids, 82 (1999) 73を参照)。しかし、上記文献では、溶存する物質(有機物などの不純物)と水との作用に着目しているが、水の発光そのものが何によって誘導されるかについては十分な検証がなされていない。
【0010】
本発明者は、水の発光そのものは、ガス成分の溶解により誘導され、イオン、有機物等の物質的な不純物は、ガス成分の溶解により誘導された水の発光に影響を及ぼす要因であることを初めて明らかにした。つまり、水の発光が変化すること、およびその変化がガスの溶解により誘導(増幅)されるということは、本発明者によって独自に見出された新規な技術的思想である。
【0011】
本発明に係る水の評価方法では、紫外光励起による水の発光スペクトルを測定することが好ましい。
【0012】
上記方法によれば、効率よく水を発光させることができるため、より簡便に、且つ感度よく水を評価することができる。
【0013】
本発明に係る水の評価方法では、励起する上記紫外光の波長は、200〜400nmであることが好ましい。
【0014】
上記方法によれば、より効率よく水を発光させることができるため、より感度よく水を評価することができる。
【0015】
本発明に係る水の評価方法では、測定する上記発光スペクトルの波長は、200〜850nmであることが好ましい。
【0016】
上記方法によれば、水の発光を効率よく測定することができるため、より感度よく水を評価することができる。
【0017】
本発明に係る水の評価方法では、測定する上記発光スペクトルは、蛍光スペクトルであることが好ましい。
【0018】
上記方法によれば、水の発光を効率よく測定することができるため、より感度よく水を評価することができる。
【0019】
本発明に係る水の評価方法では、200〜850nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定することが好ましい。
【0020】
上記方法によれば、励起スペクトルを効率よく測定することができるため、より感度よく水を評価することができる。
【0021】
本発明に係る水の評価方法では、測定する上記励起スペクトルの波長は、200〜400nmであることが好ましい。
【0022】
上記方法によれば、水の励起スペクトルを効率よく測定することができるため、より感度よく水を評価することができる。
【0023】
本発明に係る水の評価方法は、水の光学的純度を評価する方法であることが好ましい。
【0024】
上記方法によれば、溶存する不純物と水との相互作用を上記発光スペクトルまたは励起スペクトルの変化により検出することができると考えられるため、水と相互作用して水の発光スペクトルまたは励起スペクトルの変化を誘導する物質、すなわち、水の光学的純度に影響を与える物質が溶存していることをより簡便に、感度よく、選択的、且つ迅速に評価することができる。
【0025】
本発明に係る水の評価方法では、上記水は、超純水であることが好ましい。
【0026】
上記方法によれば、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価することができるため、超純水を評価するために好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る水の評価方法は、以上のように、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定するだけで水を評価できるため、より簡便に、感度よく、且つ迅速に水を評価することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替え後の超純水の270nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替え後の超純水の320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替えおよび紫外光照射後の超純水の270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替え後の超純水の320nmの紫外光励起における発光(蛍光)ピーク強度の紫外光照射時間による変化を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替えおよび紫外光照射後のミリポアsimplicityで作製した超純水の270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替えおよび紫外光照射後のルミナゾールの270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、窒素を18時間バブリングし、且つ紫外光照射語の超純水の270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、酸素を18時間バブリングし、且つ紫外光照射語の超純水の270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、二酸化炭素を18時間バブリングし、且つ紫外光照射語の超純水の270nmの紫外光励起または320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替え後の各種イオン水溶液の320nmの紫外光励起における蛍光スペクトル、および460nmでモニターした発光(蛍光)の励起スペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明の実施形態を示すものであり、詰め替え後のミネラルウォーターの320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。(A)はクリスタルガイザー(登録商標)、(B)はボルビック(登録商標)、(C)はエビアン(登録商標)を評価した結果を表す。
【図12】本発明の実施形態を示すものであり、アルゴンガスをバブリングした各試料の320nmの紫外光励起における蛍光ピーク強度の紫外光照射時間による変化を示すグラフである。
【図13】本発明の実施形態を示すものであり、アルゴンガスをバブリングしたおよび/または紫外光を照射した各試料の320nmの紫外光励起における蛍光ピーク強度を示すグラフである。
【図14】本発明の実施形態を示すものであり、煮沸前後の超純水およびアルゴンガスをバブリングした超純水の320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について説明すれば以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書中において範囲を示す「A〜B」は、「A以上、B以下」であることを示す。
【0030】
〔1.水の評価方法〕
本発明に係る水の評価方法は、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定することを特徴としている。
【0031】
上記「水」としては、水分子を含有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、超純水、純水、脱イオン水、蒸留水、水道水、ミネラルウォーター、水溶液、有機溶媒、生体内の体液等を挙げることができる。
【0032】
尚、上記「発光」は、蛍光であることが好ましいが、他にもリン光、またはラマン光等の散乱光であってもよい。また、上記「水を評価する」とは、具体的には、水と不純物との相互作用の結果生じる、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルの変化から、水に含まれる不純物の含有量、不純物の種類等を推定すること、または水分子自体の電子構造や分極、水素結合を介したクラスター等の水の高次構造、ラジカルやその反応生成物、溶存物質とのコンプレックス等の水の状態、当該水の状態の変化の生じやすさ、変化の程度等を評価することを意味する。
【0033】
本発明に係る水の評価方法において、上記不純物とは、水と相互作用して水の発光スペクトルまたは励起スペクトル変化を誘導する物質(以下、光学的不純物とも言う)のことを指す。
【0034】
本発明に係る水の評価方法では、水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定するため、光学的不純物が溶存していることを選択的に検出することができる。
【0035】
また、水における光学的不純物の含有量、種類等を推定することもできる。この場合、溶存する光学的不純物の濃度または種類が既にわかっている標準試料を用いて発光スペクトルまたは励起スペクトルについての検量線を作製し、当該検量線を元に、水に溶存する光学的不純物の濃度または種類を推定することができる。
【0036】
ただし、水に光学的不純物が溶存していたとしても、水に溶存する光学的不純物の濃度が高くなりすぎると、水と光学的不純物との相互作用が飽和した状態となる場合があり、その結果、光学的不純物の濃度がさらに増加したとしても発光スペクトルまたは励起スペクトルの変化が検出できない場合がある。
【0037】
このため、本発明に係る評価方法は、光学的不純物の含有量が少ない水を評価する方法であることが好ましく、具体的には、光学的不純物を10−4mol以下含む水を評価する方法であることが好ましい。
【0038】
上記水の発光を励起する光の波長範囲は、発光に関与する吸収があり、その波長範囲での励起により水が発光を示す範囲であれば特には限定されないが、紫外光領域であることが好ましい。
【0039】
励起光の波長としては、200〜400nmの範囲内であることが好ましく、250〜380nmの範囲内であることがより好ましい。上記励起光の波長が上記範囲内であれば効率よく水を発光させることができる。
【0040】
上記励起光を発する光源としては特に限定されるものではないが、高輝度のレーザーを用いた場合、レーザー光が発光を誘導する以外にも、水そのものの変性等を引き起こす可能性があるため、測定可能な限り、なるべく低エネルギーで励起を行うこと好ましい。低エネルギーで励起を行うために、例えば、Xeランプ等を好適に用いることができる。
【0041】
本発明に係る水の評価方法では、測定する上記発光スペクトルの波長は、200〜850nmであることが好ましく、270〜550nmであることがより好ましい。上記範囲内であれば、水の発光スペクトルをより効率よく測定することができるが、中でも、蛍光スペクトルを測定することが好ましい。
【0042】
例えば、上記「水」として超純水を用いる場合は、波長270nmの励起光を照射したときに290〜360nmの波長域の発光スペクトル(以下、「UVバンドの発光スペクトル」という)を測定することができる。また、波長320nmの励起光を照射したときに380〜550nmの波長域の発光スペクトル(以下、「ブルーバンドの発光スペクトル」という)を測定することができる。
【0043】
発光スペクトルの測定方法については、水の発光スペクトルを測定できる限り、特に限定されるものではない。本発明に係る水の評価方法において上記水の発光スペクトルを測定する装置についても特に限定されるものではないが、例えば、水の蛍光スペクトルを測定する場合は、高感度で、且つ低ノイズでの測定が可能であることから、シングルフォトンカウンティング方式を用いた蛍光スペクトロメータを用いることが好ましい。上記蛍光スペクトロメータは、光を検出できる限り、蛍光以外にも、リン光、ラマン光等の散乱光等も測定することができる。
【0044】
本発明に係る水の評価方法では、200〜850nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定することが好ましく、270〜550nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定することがさらに好ましい。
【0045】
また、測定する上記励起スペクトルの波長は、200〜400nmであることが好ましく、250〜380nmであることが好ましい。
【0046】
本発明に係る水の評価方法では、さらに発光の量子収率、発光寿命、発光の時間変化、偏光特性、異方性比等の測定を組み合わせて水を評価してもよい。これらは、従来公知の方法を用いて測定することができる。例えば、上記シングルフォトンカウンティング方式を用いた蛍光スペクトロメータを用いて測定することができる。
【0047】
〔2.水の光学的純度測定方法〕
本発明に係る水の評価方法では、溶存する光学的不純物と水との相互作用を上記発光スペクトルまたは励起スペクトルの変化により検出することができると考えられるため、水の光学的純度を評価することができる。
【0048】
尚、本明細書において、上記「水の光学的純度」とは、光学的に非活性な状態の水と光学的不純物との和に対する、光学的に非活性な状態の水の割合をいう。光学的に非活性な状態の水と光学的不純物との和に対する、光学的に非活性な状態の水の割合が高ければ、上記水の光学的純度は高いと評価することができる。なお、上記「光学的に非活性な状態の水」とは、光を吸収せず且つ発光しない状態の水を指す。一方、光学的に非活性な状態の水と光学的不純物との和に対する、光学的に非活性な状態の水の割合が低ければ、上記水の光学的純度は低いと評価することができる。
【0049】
上記「光学的純度」が高い水であれば、光学的不純物と水の相互作用が小さいと考えられるので、水と溶存物質との反応においては、水と相互作用して水の発光スペクトルまたは励起スペクトル変化を誘導しない物質を含めた単純な不純物量よりも、より本質的な純度の評価指標になると考えられる。このため、水の光学的純度を評価することは有用である。
【0050】
尚、上記「光学的不純物」としては特に限定されるものではないが、例えば、ガス(例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、水素等)、金属イオン(ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、銅イオン等)、ナノ粒子、酸、アルコール、有機溶媒、有機物等を挙げることができる。また、上述した光学的不純物以外にも水クラスター、ラジカル等の水そのものに起因する光学的不純物も挙げることができる。
【0051】
上記「水の光学的純度測定方法」は、具体的には、例えば、光学的不純物が溶存していない標準水の発光スペクトルまたは励起スペクトルと試料水の発光スペクトルまたは励起スペクトルとを比較することにより、試料水に光学的不純物が溶存しているかどうかを評価することができる。さらに、発光の量子収率、発光寿命、発光の時間変化、偏光特性、異方性比等の測定を組み合わせて水の光学的純度を測定してもよい。
【0052】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例において、水は超純水を用いた。当該超純水としては、特に断りのない限り、実施例1〜6においては超純水製造装置(Milli-Q spUF、MILLIPORE社製)を用い、実施例7〜9においては超純水製造装置(Milli-Q Advantage、MILLIPORE社製)を用いて製造したものを用いた。上記超純水製造装置を用いて得られた超純水の比抵抗値は、18.3MΩであり、推定不純物濃度は、Milli-Q spUFを用いた場合は、TOC値は30ppb以下と推定され、Milli-Q Advantageを用いた場合は、TOC値は5ppb以下であった。尚、ここでいう『不純物濃度』とは、水に溶存する有機物の濃度を指している。上記TOC値は水に溶存する有機物の濃度に対応する。水の発光(蛍光)スペクトルは、蛍光スペクトロメータ(FLS920S、浜松ホトニクス社製)を用いて測定した。後述する実施例に示すように、これら二種類の超純水において、発光特性に本質的な差はなかった。
【0055】
〔実施例1:詰め替えによって誘導される水の変化の評価〕
実施例1では、発光測定用の石英セル(F15-SQF-10、GLサイエンス社製)を用いて超純水の詰め替え前後における蛍光スペクトルを測定することにより、水を評価できるかを確認した。
【0056】
具体的には、上記超純水製造装置から採取した超純水を石英セルaに採取後、蛍光スペクトロメータを用いて、詰め替え前の超純水の蛍光スペクトルを測定した。次いで、超純水を上記石英セルaから石英セルbに詰め替え、超音波洗浄を行った上記セルaに再度詰め替えて1回目の詰め替え工程を完了した。さらに石英セルaから石英セルb、再度石英セルaに超純水を詰め替えて2回目の詰め替え工程を完了した。同様にして、石英セルaから石英セルbへと超純水を詰め替える工程を数回繰り返し行った。尚、詰め替えに用いた石英セルは、詰め替えが終了する毎に超音波洗浄器(VS50-R、イウチ社製)を用いて超音波洗浄してから次の詰め替えに用いた。
【0057】
上記詰め替え終了後の各超純水に関して、蛍光スペクトロメータを用いて270nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを測定した結果を図1に、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを測定した結果を図2に示す。尚、同一サンプルにおける蛍光スペクトルの測定は常に上記セルaを用いて行った。
【0058】
図1に示す330nm付近のUVバンドの発光および図2に示す440nm付近のブルーバンドの発光が観察された。図1および図2に示すように、超純水をセルからセルに詰め替える回数を増やすことにより、上記UVバンドおよび上記ブルーバンドの蛍光強度は増大した。これは、詰め替え作業を行うことにより、水の高次構造の変化や、空気の水への溶解が引き起こされたと考えられ、その結果、蛍光スペクトルが変化したと考えられる。
【0059】
従って、本発明の水の評価方法によれば、水の蛍光スペクトルの変化から、水を評価することができることが確認できた。
【0060】
〔実施例2:紫外光照射によって誘導される水の変化の評価〕
実施例2では、詰め替え後の超純水に紫外光を照射し、紫外光照射前後における蛍光スペクトルおよびラマン光強度を測定することにより、水を評価できるかを確認した。
【0061】
具体的には、実施例1と同様の方法で超純水の詰め替えを5回行った後の超純水に紫外光照射装置(SLUV-6、アズワン社製)を用いて波長254nmの紫外光を100分間照射したときの蛍光スペクトルを測定した結果を図3に示す。図3中、290〜360nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、270nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。また、図4は、詰め替え後の超純水の320nmの紫外光励起における発光(蛍光)ピーク強度の紫外光照射時間による変化を表す。
【0062】
図3に示すように、紫外光を照射することにより、詰め替えにより誘導されたUVバンドの蛍光強度は減少した。一方、ブルーバンドの蛍光強度は増加した。尚、図3に示す、詰め替え後の試料の蛍光スペクトルおよび詰め替え後紫外光を照射した試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから詰め替え前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。図3に示すように、UVバンドの発光ピークが310nm付近にあること、紫外光照射によりラマン光強度に変化が生じていることが明らかになった。また、図4に示すように紫外光の照射時間によって、ブルーバンドの蛍光強度は増加したが、一定値に達すると蛍光強度は増加しなくなった。
【0063】
図には示さないが、波長365nmの紫外光を100分間照射した場合は、超純水の蛍光スペクトルに大きな変化は生じなかった。なお、詰め替え工程前の超純水に波長が254nmの紫外光または波長が365nmの紫外光を照射しても、蛍光スペクトルに顕著な変化は生じなかった。よって、詰め替えを行った水は、254nmの波長の紫外光の照射により水と溶存物質との相互作用がさらに変化したと考えられ、紫外光の照射時間によっても変化の度合いが変わると考えられる。
【0064】
従って、本発明の水の評価方法によれば、水の蛍光スペクトルの変化、およびラマン光強度の変化から、水を評価することができることが確認できた。
【0065】
〔実施例3:異なる水の評価〕
実施例3では、異なる種類の水であっても評価できるかを確認した。具体的には、水としてミリポアsimplicity(MILLIPORE社製)を用いて作製した超純水を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、詰め替えおよび紫外光照射を行ったときの蛍光スペクトルを測定した。尚、上記ミリポアsimplicityは、超純水中に混入した微生物の数を低減し、且つ有機物を分解・除去する目的のため、超純水製造工程において紫外光照射した超純水が得られる。結果を図5に示す。図5中、290〜360nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、270nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。尚、図5に示す、詰め替え後の試料の蛍光スペクトルおよび詰め替え後紫外光を照射した試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから詰め替え前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。
【0066】
図5に示すように、ミリポアsimplicityによって製造された超純水においても同様の蛍光スペクトルの変化が観察された。
【0067】
また、水としてルミナゾール(商品名、同仁化学製)を用いて作製した超純水を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、詰め替えおよび紫外光照射を行ったときの蛍光スペクトルを測定した。尚、上記ルミナゾールは、溶存する蛍光不純物の濃度が1ppb以下であることが保証された水で、蛍光測定用の無蛍光水として市販されている。結果を図6に示す。図6中、290〜360nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、270nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。尚、図6に示す、詰め替え後の試料の蛍光スペクトルおよび詰め替え後紫外光を照射した試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから詰め替え前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。
【0068】
図6に示すように、本来、蛍光不純物の濃度が低いと保証される市販の水であっても同様の蛍光スペクトルの変化が観察された。
【0069】
以上の結果から、詰め替えおよび紫外光照射によって引き起こされる水の蛍光スペクトルの変化は、水の種類が変わっても本質的には同じであり、本発明の水の評価方法によれば、どのような種類の水であっても評価することができることが確認できた。
【0070】
〔実施例4:ガスの混入の検出〕
実施例4では、ガスの混入を検出できるかを確認した。具体的には、採取した超純水を密封し、窒素、酸素、または二酸化炭素のそれぞれの高純度ガスを用いて18時間、超純水をバブリング後、254nmの紫外光を100分間照射したときの270nmおよび320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを測定した。結果を図7〜図9に示す。図7〜図9中、290〜360nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、270nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域の蛍光スペクトルは、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。尚、図7〜図9に示す、高純度ガスをバブリングした後の試料の蛍光スペクトルおよび高純度ガスをバブリングした後紫外光を照射した試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから高純度ガスをバブリングする前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。
【0071】
図7に示すように、窒素ガスをバブリングした場合、紫外光照射により超純水のブルーバンドの蛍光強度は増大した。
【0072】
一方、図8に示すように、酸素ガスをバブリングした場合、紫外光照射により超純水のブルーバンドの蛍光強度は減少した。
【0073】
また、図9に示すように、二酸化炭素ガスをバブリングした場合、UVバンドの蛍光スペクトルが大きく変化した。また、紫外光照射により超純水のブルーバンドの蛍光スペクトルは大きく変化しなかったが、ピーク波長がシフトした。いずれの高純度ガスをバブリングした場合も、紫外光照射によりUVバンドの蛍光強度は減少した。
【0074】
これは、バブリングしたガスの種類により、水と溶存物質との相互作用が異なるためと考えられる。従って、ガスの混入によって引き起こされる超純水の蛍光スペクトルの変化から、超純水にガスが混入したことを検出可能であることが確認できた。また、水の詰め替えを行ったときと本質的に同様の蛍光スペクトルの変化を示すことから、水の発光そのものは、水へのガスの溶解によって誘導されると考えられた。
【0075】
〔実施例5:イオン溶存の検出〕
実施例5では、イオンの溶存が検出できるかを確認した。超純水と、それぞれの水溶液の濃度が10−6molのNaCl水溶液およびCaCl水溶液とを用い、5回の詰め替え後に320nmの紫外光励起における蛍光スペクトル、および460nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定した以外は、実施例1と同様の方法により測定を行った。
【0076】
結果を図10に示す。図10中、290〜360nmの範囲の波長域には、460nmでモニターした発光(蛍光)の励起スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域には、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。
【0077】
図10に示すように、超純水と、10−6molのNaCl水溶液またはCaCl水溶液とを比較した場合、蛍光スペクトルに顕著な差は見られなかった。しかし、励起スペクトルにおいては、超純水とNaCl水溶液とではピーク波長に数nmのシフトが観察され、CaCl水溶液では顕著なピークシフトとともに、スペクトルの波形にも変化が観察された。これは、イオンが、ガスの溶存によって誘導(増幅)された水の発光特性に影響を与えているためと考えられた。これにより、蛍光スペクトルの測定だけでなく、励起スペクトルの測定を組み合わせることで、イオンの溶存を検出することができ、且つイオン種の違いも判別可能であることが確認できた。
【0078】
〔実施例6:ミネラルウォーターの識別〕
実施例6では、市販のミネラルウォーターの識別が可能かを確認した。水として市販のミネラルウォーターを用い、5回の詰め替え後に320nmの紫外光励起における蛍光スペクトル、および460nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定した以外は、実施例1と同様の方法により測定を行った。上記ミネラルウォーターとしては、市販のクリスタルガイザー(登録商標)、ボルビック(登録商標)、エビアン(登録商標)を用いた。
【0079】
結果を図11に示す。図11中(A)はクリスタルガイザー(登録商標)、(B)はボルビック(登録商標)、(C)はエビアン(登録商標)について評価した結果を示す。また、図11(A)〜(C)中、290〜360nmの範囲の波長域には、460nmでモニターした発光の励起スペクトルを表し、380〜550nmの範囲の波長域には、320nmの紫外光励起における超純水の蛍光スペクトルを表す。
【0080】
図11に示すように、ミネラルウォーターの種類により異なる蛍光スペクトルが観察された。これにより、本発明に係る水の評価方法を用いれば、超純水に限らず、天然に存在する水溶液についても評価可能であることが確認できた。
【0081】
〔実施例7:異なる水の識別〕
実施例7では、種々の水においてアルゴンガスを18時間バブリングした後の試料について、254nmの紫外光照射に伴う蛍光強度の時間的な変化(紫外光応答特性)を調べた。具体的には、水として、超純水、ルミナゾールおよび市販のクリスタルガイザー(登録商標)を用い、高純度のアルゴンガスを18時間バブリングした後に、320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを測定した。尚、アルゴンガスバブリング後の試料における発光特性は、実施例4の窒素バブリング後のものとほぼ同様であった。
【0082】
結果を図12に示す。図12は、本発明の実施形態を示すものであり、アルゴンガスをバブリングした各試料の320nmの紫外光励起における蛍光ピーク強度の紫外光照射時間による変化を示すグラフである。尚、図12に示す、高純度アルゴンガスをバブリングした後、紫外光を照射した試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから高純度アルゴンガスをバブリングする前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。グラフの縦軸は、254nmの紫外光を照射する前の試料における蛍光強度を1.0としたときの、紫外光照射の各時間における蛍光強度を相対値で示している。
【0083】
図12に示すように、水の種類によって、紫外光応答特性の蛍光強度が異なっていることが明らかになった。
【0084】
この結果から、それぞれの水に固有の特性によって、このような紫外光応答特性の違いが生じるものと考えられ、紫外光応答特性を測定することによって、水の識別が可能であると考えられた。実施例3に示したように、例えば、超純水とルミナゾールとでは、蛍光スペクトル自体には明確な違いがない。しかし、このような場合であっても、紫外光応答特性を調べることで、水の種類を識別することが可能となる。
【0085】
〔実施例8:水の履歴(記憶)の評価〕
実施例8では、超純水について、アルゴンガスのバブリングおよび/または紫外光照射による蛍光強度の変化を調べた。具体的には、以下のそれぞれの試料について、320nmの紫外光励起における蛍光ピーク強度(ブルーバンドのスペクトル)を比較した。尚、実施例8では、高純度のアルゴンガスを18時間バブリングを行い、254nmの紫外光を照射した。
【0086】
試料1:超純水においてアルゴンガスをバブリングした試料
試料2:超純水においてアルゴンガスをバブリングした後、紫外光を照射した試料
試料3:超純水において紫外光を照射した試料
試料4:紫外光を照射した後、アルゴンガスをバブリングした試料
結果を図13に示す。図13は、本発明の実施形態を示すものであり、アルゴンガスをバブリングしたおよび/または紫外光を照射した各試料の320nmの紫外光励起における蛍光ピーク強度を示すグラフである。尚、図13に示す、各試料の蛍光スペクトルは、ラマン光の影響を排除する目的で、それぞれの蛍光スペクトルから処理前の蛍光スペクトル(ラマン光のスペクトル)を除いた蛍光スペクトルを表している。グラフの縦軸は、各試料の最大の蛍光強度を1としたときの、蛍光ピーク強度を相対値で示している。
【0087】
図13に示すように、超純水に紫外光を照射したのみの試料3では明確な蛍光発光は生じないが、紫外光照射後にアルゴンガスのバブリングを行った試料4では蛍光発光が生じた。この蛍光スペクトルは、アルゴンガスのバブリングのみ行った試料1の蛍光スペクトルとも、アルゴンガスバブリング後に紫外光照射を行った試料2の蛍光スペクトルとも異なる蛍光を示した。このことから、紫外光の照射およびアルゴンガスのバブリングの操作順序を入れ替えることで、蛍光スペクトルに違いが観察されることが明らかになった。図示しないが、紫外光の照射およびアルゴンガスのバブリングの操作順序を入れ替えることで、励起スペクトルにも同様の違いが確認された。
【0088】
操作(例えば、紫外光の照射、ガスの溶存等)によって水の発光特性が異なることから、本発明に係る水の評価方法によって得られた蛍光(励起)スペクトルは、水に作用した効果の種類やその順序を反映したものであり、試料水に作用した効果の種類や順序の違いを識別することができると考えられた。さらに、試料水に作用した効果の種類や順序の履歴に関する情報を得ることができると考えられた。
【0089】
〔実施例9:水の状態変化の識別〕
実施例9では、沸騰による水の蛍光の変化を調べた。具体的には、超純水を石英セルに詰め、スクリューキャップで石英セルを密封した状態で、沸騰した湯を用いて超純水を5分間煮沸した。その後、超純水を室温まで自然冷却し、320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを測定した。比較のために、煮沸前の超純水、および高純度のアルゴンガスを18時間バブリングした超純水についても320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを測定した。
【0090】
結果を図14に示す。図14は、本発明の実施形態を示すものであり、煮沸前後の超純水およびアルゴンガスをバブリングした超純水の320nmの紫外光励起における蛍光スペクトルを示すグラフである。
【0091】
図14に示すように、煮沸後の超純水では、波長460nm〜480nmを最大としたブロードな蛍光スペクトルが出現した。煮沸後の超純水における蛍光スペクトルは、アルゴンガスをバブリングした超純水における蛍光スペクトルと比較して、ピークが、より長波長側にあり、また、約一桁強い蛍光強度が観察された。
【0092】
この結果から、煮沸によって、水の光学特性が大きく変化することが明らかになった。これは、沸騰および冷却の過程において、水に溶存していたガス成分が放出され、その後再び溶解されることによって水の状態変化が引き起こされたと考えられる。
【0093】
〔まとめ〕
以上の結果から、本発明の水の評価方法を用いれば、水分子に起因する発光(蛍光)を測定することができるので、水分子の特性を直接評価することができることが確認できた。一般に、水は無色透明であり、従来、可視域における分光的な性質について議論されることは殆どなかった。しかし、本発明者によって、水へのガスの溶解に伴い、水において近紫外域から可視域における発光が誘導されることが新たに明らかになった。
【0094】
水分子は、分子式H−O−Hから構成され、本来、近紫外域から可視域のエネルギー帯において吸収および発光遷移に関する性質を有さない。しかし、水の一つの特性として、水素結合ネットワークおよびそのクラスター構造が提唱されており、この水素結合ネットワークおよびそのクラスター構造に対して水に溶存するガス分子が作用したときに形成される水素結合の規則性とその乱れとが、近紫外域において、水に特殊な光吸収・発光帯を誘導する可能性があると考えられた。
【0095】
一般に、蛍光物質が水に溶存している場合は、蛍光物質から発せられる蛍光を測定することによって水の光学的純度を測定することが可能である。一方、ガスのような無蛍光物質が水に溶存している場合は、従来の方法では、その発光を計測することができないため、水の光学的純度を正確に評価することが不可能であった。しかし、本発明の水の評価方法は、水に溶存する物質と水分子との相互作用によって水分子の状態(例えば、水の水素結合、クラスター構造等)が変化することによって水分子に誘導された発光、つまり水分子に起因する発光を測定する。それゆえ、本発明に係る水の評価方法を用いれば、ガスのような無蛍光物質が水に溶存している場合であっても、無蛍光物質が水分子に作用した結果生じた、水分子に起因する発光を計測することによって、水を正確に評価することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明にかかる水の評価方法によれば、水の発光スペクトルを測定するので、例えば、水の光学的純度をより簡便に、感度よく、且つ迅速に評価することができる。よって、水を評価する必要のあるバイオ、医療、食品、環境、精密工学等の分野の産業において好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の発光スペクトルまたは励起スペクトルを測定することにより、当該水を評価することを特徴とする水の評価方法。
【請求項2】
紫外光励起による水の発光スペクトルを測定することにより、当該水を評価することを特徴とする、請求項1に記載の水の評価方法。
【請求項3】
励起する上記紫外光の波長は、200〜400nmであることを特徴とする、請求項2に記載の水の評価方法。
【請求項4】
測定する上記発光スペクトルの波長は、200〜850nmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水の評価方法。
【請求項5】
測定する上記発光スペクトルは、蛍光スペクトルであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の水の評価方法。
【請求項6】
200〜850nmでモニターした発光の励起スペクトルを測定することにより、当該水を評価することを特徴とする、請求項1に記載の水の評価方法。
【請求項7】
測定する上記励起スペクトルの波長は、200〜400nmであることを特徴とする請求項1または6に記載の水の評価方法。
【請求項8】
水の光学的純度を評価する方法であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の水の評価方法。
【請求項9】
上記水は、超純水であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の水の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−169675(P2010−169675A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290933(P2009−290933)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】