説明

水の電気分解による水素を利用する水素動力式玩具のロケット

玩具ロケット組み立て体が、水及び陽極34を内包するタンク28と、水及び陰極38を内包するタンク27と、タンク27,28内に酸素と水素を発生させるための陽極38及び陰極38用電源30とを含んでいる。玩具ロケット組み立て体は、チャンバ24内の水素ガス及び酸素ガスにさらされ、点火器44が酸素・水素混合物に点火し、ロケット20が大気中へ推進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は「玩具及び水の電気分解による水素を利用して動力推進する装置」と題する、2002年1月30日付け申請の仮出願60/353,161の継続出願である。
【背景技術】
【0002】
電気分解を利用して水を水素成分と酸素成分とに分解することは周知である。しかし、電気分解成分を利用した再使用可能な玩具ロケット組み立て体の設計及び組み立ては、常に実現不可能かつ不経済と考えられてきたため、望まれる一方で、多くの設計者や開発者が避けてきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明により開発された新規な玩具システムは、簡単かつ安価な動力源と点火システムとを使用し、水の電気分解を生じさせ、水素成分に点火して、それにより得られる爆発力を捕捉することで玩具のロケットに動力を供給する。発生する動力は、簡単で効果的かつ安全な形式で玩具のロケットを推進するように方向付けられる。
このほかの特徴及び利点は添付図面についての説明により明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1には、玩具のロケット発射台組み立て体20が示され、該組み立て体上には、発火前の発射管24の上にロケット22が配置されている。ロケットは、発射管24上にはめ込まれた管状ハウジング23と、飛行中にロケットの案内を補助するフィン25とを有している。図示の実施例では、発射台20は架台26を含み、該架台上には、水素を発生させるチャンバ27と、酸素を発生させるチャンバ28とが配置されている。両チャンバ27,28には、適当な水源(図示せず)からの水が充填されている。架台26は、また電池パック30を含み、該電池パックは、水が充填された酸素チャンバ内の陽極34へは電線32を介して供給し、水素チャンバ27内の陰極38へは電線36を介して電力を供給する。
【0005】
電力スイッチ39は、陽極34及び陰極38への電気の流れを制御する。別個のチャンバが図示されているが、陽極及び陰極は単一のチャンバ内に配置してもよく、分離が望ましければ、電極は透過膜によって分離するのがよいだろう。膜のメッシュにより液体の一定の流れが可能になるが、メッシュは、単一チャンバ内に水素と酸素との泡を保持するのに十分な小ささにする。しかし、メッシュは、単一のチャンバを採用するときには、必ずしも必要ではない。更に注意する点は、電気分解を加速するために、クエン酸を添加してよい点だろう。
【0006】
図1には、システムが中間段階で示されており、この段階では、切り換え弁40がニュートラル位置にあり、電力スイッチ39は電気分解開始に入れられ、電気分解は、チャンバ28内には酸素ガス29が、チャンバ27内には水素ガスが得られるように機能する。切り換え弁がニュートラル位置の場合、幾らかの水が発射管24内にあり、ロケット22は、発射管を取り囲み、発射管の頂部に位置している。切り換え弁40を、次いで右方へ移動させて図2に示す位置にすることで、酸素ガス29と幾らかの水とがチャンバ28から発射管24内へ流入し、次いで切り換え弁40を左方へ移動させ、図3の位置にすることで水素ガス31が発射管24内へ流入する。
【0007】
発射管24内の圧力下の水素ガス及び酸素ガスは、発射管が爆発性水素・酸素混合物で満たされている場合を除いて、水をほぼ図1に示す位置へ強制的に押し下げる。アーク電極42は、水素ガスと酸素ガスに取り囲まれ、圧電点火器44が火花を発生させ、ガス混合物が大きな力で爆発し、図4に示すようにロケットを発射する。その場合、切り換え弁40はニュートラル位置へ戻され、チャンバ27,28には水が再充填される。この経過を反復でき、使用者にとっては、尽きることのない楽しみの源泉となる。
【0008】
本発明の枠内の別の実施例では、システムが、単一のチャンバを含み、該チャンバ内には陰極及び陽極が保持され、電気分解により酸素ガスと水素ガスとが発生させられる。この実施例は、また電気分解用の電力を得るための電池パックと、点火用の電極とを有している。このユニットが、オン/オフ・スイッチおよび点火スイッチを有する遠隔制御装置によって操作されよう。
特許請求の範囲には、本発明の精神および範囲の枠内のあらゆる変化形および実施形式が包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】玩具のロケットの発射台の断面図で、電力を加えて単一又は別個のチャンバ内で電気分解により酸素ガスと水素ガスとを発生させるシステムの状態図。
【図2】玩具のロケットを上からはめ込んだ発射管に酸素を給送するように操作された状態の切り換え弁を示す図。
【図3】発射管に水素を給送するように操作された状態の切り換え弁を示す図。
【図4】ロケット発射の成功を示す図。
【符号の説明】
【0010】
20 発射台
22 ロケット
23 ハウジング
24 発射管
25 フィン
26 台架
27 水素チャンバ
28 酸素チャンバ
30 電池パック
32 電線
34 陽極
36 電線
38 陰極
40 切り換え弁
44 圧電点火器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具のロケット組み立て体において、
単一の自蔵式タンク装置と、該タンク装置内の陽極および陰極と、前記タンク装置内に酸素及び水素を発生させるために陽極及び陰極に給電する電源と、前記タンク装置から酸素及び水素を受け取るために前記タンク装置と連通する発射管と、該発射管に上からはめ込まれた玩具ロケットと、前記発射管から大気内へ前記ロケットを推進させるために前記酸素・水素混合物を爆発させる点火装置とを含む、玩具のロケット組み立て体。
【請求項2】
前記発射管が、前記水素ガス及び酸素ガスを受容するプレナム・チャンバを含み、かつロケットが、発射管上にはめ込まれる管状部分を含み、これにより、ガスが点火されると、爆発によりロケットが前記発射管を離れて大気中へ推進される、請求項1に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項3】
前記陽極及び陰極が単一のチャンバ内に配置されている、請求項1に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項4】
玩具のロケット組み立て体において、
水溶液を入れる1対のタンクと、一方の前記タンク内の陰極及び他方の前記タンク内の陽極と、電気分解により、陰極を内蔵するタンク内には水素ガスを、陽極を内蔵するタンク内には酸素ガスを発生させるための前記陽極及び陰極用の電源と、水素ガス及び酸素ガスを受容するためにタンクと連通する発射管と、前記発射管上にはめ込まれ、酸素ガス・水素ガス混合物の受容チャンバを画成する中空ロケットと、前記発射管から大気中へロケットを推進する爆発力を発生させるために発射管内のガスに点火する点火装置とを含む、玩具のロケット組み立て体。
【請求項5】
前記陽極及び陰極用の電源が前記タンク装置に隣接配置された電池パックである、請求項4に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項6】
前記ガス用の点火装置が前記発射管内の1組のアーク電極であり、該電極が、これら電極に接続された圧電点火装置から電力を受け取る、請求項4に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項7】
前記タンク装置の各々が、切り換え弁により制御される導管装置を介して発射管に接続されており、該切り換え弁が、発射管への酸素ガス流を調整する一方の位置と、発射管への水素ガス流を調整する他方の位置との間を移動する、請求項6に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項8】
前記タンク装置、発射管、ロケットが発射台上に支持されている、請求項7に記載された玩具のロケット組み立て体。
【請求項9】
前記発射管が、水素ガス及び酸素ガスが流入するプレナム・チャンバを画成し、かつ前記点火装置が、前記プレナム・チャンバ内へ延びる1対の電極と、前記発射管からロケットを大気中へ推進するために前記電極を励起して前記プレナム・チャンバ内の酸素ガス・水素ガス混合物に点火する圧電点火器とを含む、請求項1に記載された玩具ロケット組み立て体。
【請求項10】
玩具のロケット組み立て体において、
フレーム構造物と、該フレーム構造物に支持されたタンク装置と、前記タンク装置内の陽極及び陰極と、酸素及び水素を生成する前記タンク装置内の水溶液を電気分解するために陽極及び陰極に給電する前記フレーム構造物内の給電源と、前記フレーム構造物に支持され、前記タンク装置内で発生する酸素及び水素と連通するチャンバを画成する発射管と、前記チャンバ内へ延びる電極と、発射管上にはめ込まれたロケットと、前記発射管からロケットを大気中へ推進するために、爆発性水素・酸素混合物を生成するように電極に点火する電力装置とを含む玩具ロケット組み立て体。
【請求項11】
前記タンク装置が2個の別個のタンクを含み、一方のタンク内には陽極が、他方のタンク内には陰極が配置されており、かつまた前記タンク装置が導管装置を介して発射管と接続され、該導管装置が、前記チャンバへの酸素及び水素の流れを制御する切り換え弁によって制御される、請求項10に記載された玩具ロケット組み立て体。
【請求項12】
前記陽極及び陰極用の給電源が前記フレーム構造物内に配置され、前記電極の点火が圧電点火器により行われる、請求項11に記載された玩具ロケット組み立て体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−519083(P2006−519083A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508604(P2006−508604)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000996
【国際公開番号】WO2004/085016
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505277831)ルンド アンド カンパニー インベンション エル.エル.シー. (1)
【Fターム(参考)】