説明

水上浮遊物の回収機器

【課題】
水上浮遊物が長い棒のようなものでも届かない時の回収で、水上浮遊物を水面下より下から掬い上げるように乗せて、容易且つ確実に回収することが出来るようにした携行しやすい回収機器を提供する。そして子供たちがサッカーボールで遊んでいる時に池などの水面上に飛んでしまった時、又波止などで釣りを楽しんでいる時に突風で大事な持参品が吹き飛ばされてしまった時なども、どうすれば早く回収出来るかが課題。
【解決手段】
回収案内棒として水平の鉄線の両脇に浮きを取り付け、水平の鉄線中心から後部にも水平に浮きを取り付け、回収物保管棒として鉄線が前記中心から上側に伸びており、前記中心から下に向かってL字状になった回収部があり、回収部の下に錘をつけており、この錘は浮きを沈めないぐらいの重さであり、回収部の先端により戻しを設けた水上浮遊物の回収機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば狩猟の中の鴨猟の分野で、猟銃から発射された弾が鴨に命中して池及び堤の水面に落下し、岸より離れていて、長い棒のようなものでも届かない位置の水面に浮かんでいる鴨の回収に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の背景技術には水面に撃ち落された水鳥の引掛引寄具には、基杆に複数の針を枝杆として取り付け、浮きと一緒に飛ばし引っ掛けて引き寄せるものがある。この方法では浮遊物以外のものに引っ掛かる恐れがあり、回収能力を発揮出来ない問題点がある。(特許文献1参照。)。また、水面上に落下した獲物を回収する装置として、浮き本体に針を複数取り付け獲物の足に引っ掛けて回収するものがあるが、引っ掛ける作用の為に現場の状況により、いちいち錘の調節を設定し直さなければならないことが問題点である。(特許文献2参照。)。前記2件の方法は、複数本の針があることは、目的以外のものに引っ掛かる恐れがあり回収能力を発揮出来ないことと、獲物が傷つく恐れがある。そして特許文献3については、釣用のウキを網部で引き寄せ回収するものであり、鴨、及びサッカーボールとかの重さのある丸い形をした物体には、回収する構造が違う為に網部がうまく作用せず引き寄せ及び回収が出来ない問題点がある。
【0003】
冬期世の中で行われている狩猟の鴨猟の分野において、猟銃から発射された弾が鴨に命中して、池及び堤等の水面に落下した場合、回収方法の一例として、誰でも一番先に思いつく方法ではあるが長い棒のようなもので岸に寄せている。長い棒のようなものでも届かない状態のときには、石等を鴨の近傍に投げいれて水の波紋を利用して岸まで寄せることが考えられるが、池及び堤はその土地の生活基盤の公共施設であり、池及び堤に石等の固形物を投げ入れることは許されることではない。そして将来においても水深が浅くなる原因のひとつである。あるいは長いロープに等間隔にフロートを付けて、地引網の形に配置した物で、状況を確認しながら少しずつ手元に寄せることも考えられるが、これも手間がかかってしまう。最近、湖等のルアー釣りで簡易運搬ボート等も発売されているが、狩猟の分野においてそこまで持ち運びしているものはいないと判断する。池及び堤みの水面には、多種多様な水草が浮かんでいて、これが回収の時やっかいな存在なのである。水面の浮遊物、物体回収だからラジコンのモーターボートで回収機器を引っ張ればとの案も浮かぶが、この水草がスクリュウにからむことが予想されまず不可能である。釣用ルアーの大きい物を利用して回収を試みるが、鴨は羽毛で覆われている為、ハリが引っ掛からないのである。針が羽毛に当たってもスルッと通り抜けてしまうのである。そして、ルアーは必ず水中を泳がすものであり、水草に引っ掛かり役に立たないのである。そして世の中では、獲物を剥製にして飾る趣味とか、自己満足を楽しむ人もいて回収の時、なるべく首、羽等傷めることのないように、丁寧に回収する事も必要な場合がある。たった1羽の獲物に半日以上の時間を費やすこともある。回収出来ない時は回収するのを、あきらめるしかないのである。このように鴨猟において水面に落下した鴨を回収する場合、多大な時間と労力を費やす。いかにすればこの様な状況下において短時間で回収出来るか苦労しているのが現実の背景である。
【特許文献1】特開平7−327576号 公報
【特許文献2】特開平9−233990号 公報
【特許文献3】登録実用新案第3055700 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来の鴨猟において、水面に落下した鴨を回収する場合、長い棒のようなものでも届かない時は、苦労しているのが現実であり、、獲物を傷めることなく、水面下より掬いあげるように乗せて、容易かつ確実に回収することが出来るようにした携行しやすい回収機器を提供する。例えば、子供たちがサッカーボールで遊んでいる時に、池などの水面上に飛んでしまった場合等に、いかにすれば早く回収出来るかが課題。又、波止などで釣りを楽しんでいる時、突風で大事な持参品が吹き飛ばされてしまった時なども、どうすれば早く回収できるかが課題。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本発明は上記目的を達成するために、回収案内棒として水平の鉄線の両脇に浮きを取り付け、水平の鉄線中心から後部にも水平に浮きを取り付け、回収物保管棒として鉄線が前記中心から上側に伸びており、前記中心から下に向かってL字状になった回収部があり、回収部の下に錘をつけており、この錘は浮きを沈めないぐらいの重さであり、回収部の先端により戻しを設けた水上浮遊物の回収機器。
【0006】
また、第2の課題解決手段は、回収部のL字状の部分を格子状に製作して、水と風の抵抗を少なくしたことと、回収物を掬い乗せる面積を広く確保した請求項1記載の水上浮遊物の回収機器。
【0007】
上記第1の課題解決手段の作用は次の通りである。すなわち回収物を掬い上げて回収部に乗せて回収する方法で確率を高めることができて、使用者の安堵感を倍増することが出来る。
【0008】
また、第2の課題解決手段による作用は、回収部のL字状の部分を格子状にしたことで、水と風の通りを良くして、さらに面積が広くなっているため乗りやすく回収物が、安定して引き寄せられる作用を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、簡単な用具を用いて特別な技能を有しなくても、水上浮遊物を容易に回収できる効果を有する。そして鴨の回収時間が大幅に短縮されて確実に回収出来る効果がある。これを後に剥製化する時には鴨の体形全体を、水面下より下から救い上げるように回収機器に乗せて回収している為、首、羽等傷のつかない効果がある。そして、操作性が良く、小型で運搬が楽である。この鉄線は、自転車のスポークで製作しているため、自転車の廃品からでも材料は調達出来、資源のサイクル化、省エネにも寄与できるし、世間で言うもったいない言葉を実践出来ることでもあり、生活基盤、環境を壊すことなく、回収の確率の高い回収機器を提供できる。そして、おいしい鴨料理がたべられるのである。又漁港の波止等で、突風による大事な持参品が吹き飛ばされた時などでも、水面に浮いている場合はこの鴨回収機器があれば回収ができるという効果を発揮するものである。又、子供達がサッカーボールで遊んでいる時に、池などの水面上に落下した場合なども、この回収機器で回収すると子供たちから歓声が上がり喜ばれる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を添付図面、図1に従って大まかに説明する。符号8の芯となる鉄線に、同じ材料で長さを異にした鉄線を複数本符号AのA固定部で固定して、この芯となる一本は後方に直角に曲げ符号3の後部フロートを挿入してナットにて堅固に固定して取り付け、この後部フロートは回収物保管棒を水面に対してほぼ直角に保つ役目であり、長い2本の鉄線は、水面に対して平行、後部フロートに対して各々直角に加工、残りの短い2本の鉄線は長い2本を両横に広げた線上で、水面に対して各々傾斜させ、後部フロートに対して直角になるように扇状に広げ、両横の符号1の回収案内棒の先端に符号4の左右フロートを挿入してナットにて堅固に固定して取り付け、このフロートの役目は回収機器の全体の水平保持のために設置してあり、符号AのA固定部の下部より複数本束ねた部分の中の符号5の回収部内の2本をさらに両横に広げながら丸く四分の一円状に曲げて鴨の体形に密着する形状に加工し、符号7の1本は姿勢安定制御機構として活用する為、回収部の下側に沿うように加工して、錘の位置決め部分をV字型に曲げてその先端と芯を符号Bとして固定。芯の先端は丸く曲げて、より戻しを通して、曲げた先端と芯を符号Cとして固定したものである。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の全体図であって、実際に製作し現場の堤での遠投と及び飛距離実測までを順序を追って、図1から図10の要所を指しながら詳細に説明する。図1の符号8の芯となる鉄線に、同じ材料の長さを異にした鉄線を複数本符号AのA固定部で固定して、符号8の一本は後方に直角に曲げ符号3の後部フロートを挿入してナットにて堅固に固定して取り付け、この後部フロートは回収時に符号2の回収物保管棒を水面に対してほぼ直角に保つ役目である。符号1の回収案内棒の長い2本の鉄線は、水面に対して平行、後部フロートに対して各々直角に加工、そして図10の符号1の回収案内棒の先端に螺子を長く切り、符号14の内側ナットを取り付け、符号18の内側平ワッシャを通し、符号4の左右フロートを挿入して、符号19の外側平ワッシャを通し、符号13の外側ナットにて堅固に固定して取り付ける。このフロートの役目は回収機器の全体の水平保持の為に設置してある。図1の符号2の回収物保管棒の短い2本の鉄線は符号1の長い2本を両横に広げた線上で、水面に対して各々傾斜させ、後部フロートの芯に対して直角になるように扇状に広げ、その先端には、螺子を切った突出したままの鉄線では怪我の恐れがある為符号15の回収部端末処理用ナットを堅固に取り付け端末処理を施した。符号AのA固定部の下部より複数本束ねた部分の中の符号5の回収部内の2本をさらに両横に広げながら丸く四分の一円状に曲げて鴨の体形に密着する形状に加工し、符号7の1本は姿勢安定制御機構として活用する為、回収部の下側に沿うように加工して、錘の位置決め部分をV字型に曲げて、その先端と芯を符号BのB固定部として固定。芯の先端は丸く曲げて、より戻しを通して、曲げた先端と芯を符号CのC固定部として固定したものである。
【0012】
この様に構成した鴨回収機器は遠投用の釣り竿の道糸の先端に結び付けて使用される。図2の符号9は携帯便利な継ぎ竿からなる投げ釣用の釣り竿で、鴨回収機器の先端に符号11の道糸を結束し、符号16の竿尻と符号10のリールの取り付け位置とを手で握り、リールのペールを起し道糸を人差し指で押さえておいて、図4に示すように回収機器の着水予定点と鴨を結んだ延長線上の岸の点線の位置より少し離れた位置より、図2に示すように釣り竿の竿先が自分より後ろになるようにして、頭上に水平に構えた状態では、図1の符号6の回収機器の飛ばし用錘は、図2の符号17に示すように自重で符号AのA固定部付近に移動しているので、重心は回収機器のA固定部付近にあり、図3に示すようにこの状態から符号9の釣り竿を前方へ振ると、回収機器は空中を円弧を描いて飛び始める。回収機器が頭上を通過するタイミングで、図2の符号10のリール近くの道糸を指で押さえている指を離すと遠心力により、狙った方向の着水予定点に飛ばすことができる。
【0013】
図3に示すように水面に浮かんでいる鴨より遠方の着水予定点に着水すると、図6に示すように竿先を水面になるべく近づけるように傾けたまま図4の符号10のリールを巻き糸フケを取り、道糸を水面下で直線状に出来たら、リールを巻きながら、図4の一点鎖線のように、着水点と鴨と自分が、一直線になる位置まで歩いて移動する。この時点で、飛ばし用錘は姿勢安定制御機構用錘と名前を変え、図1の符号7の姿勢安定制御機構に錘が移動して、鴨回収機器の前傾姿勢を補助する役目なのである。図6に示すように道糸を引っ張れば符号2の回収物保管棒は水面に対してほぼ直角になり、図5に示すように少し緩めれば全体が前傾姿勢になるので、回収機器は常に鴨を掬いやすい姿勢で、回収体勢に入る。図4の点線に示すように位置関係が成立すれば、状況を見極めながら、リールを巻くと、容易且つ確実に鴨を回収機器に乗せることが出来て、岸の手元まで寄せることが出来るのである。
【0014】
次に、鴨回収機器の具体的な寸法及び材料を図1、8、9の要所を指しながら明記する。図8、9で全体の大きさは、縦170ミリメートル、横247ミリメートル、幅300ミリメートル。総重量85グラム(6号釣鐘錘付き)、60グラム(錘無し)。図1で鉄線の材料は、符号1,2,5、7,8を指し自転車のスポークで、ステンスポーク#14X308直径2ミリメートル、符号13,14,15を指しステンスポーク用ナット、符号4を指し左右フロート直径35ミリメートル長さ52ミリメートル、符号3を指し後部フロート直径38ミリメートル長さ54ミリメートル、符号Cを指し圧着スリーブ断面積8スケアー長さ10ミリメートル、符号A,Bを指し圧着スリーブ断面積14スケアー長さ12ミリメートル、符号6を指し釣鐘錘6号使用。
【0015】
次に、鴨回収機器の飛距離実測値を明記する。実測日平成17年4月23日、実測場所広島県広島市大田川河川敷、天候晴れ、気温21度、風の状態は風速を感じることのない気象状況、釣り竿5、4メートル。道糸ナイロン8号。錘無しの場合5回の遠投で、最大39メートル、最小33メートル、平均値34、3メートル。錘有り釣鐘錘6号使用の場合5回の遠投で、最大42メートル、最小35、5メートル、平均値39、8メートル。
【0016】
釣り用の遠投竿で鴨回収機器を、水面に浮かんでいる鴨の遠方に投入して水面下より掬い上げるように回収機器に乗せて、岸の手元まで引き寄せて容易且つ確実に回収する事ができて、どんな着水状況においてもフロートを設置しているので沈むことなく、水上における姿勢は常に、姿勢安定制御機構の作用により、鴨を掬いやすい姿勢でリールにて引っ張られて走行できることと、水面に水草があっても、回収案内棒には水草が引っかからない構造に製作できた。空気摩擦抵抗も少なく製作し、そして飛距離は最小で33メートル、最大で42メートル遠投することができた。いろいろと投げてみて、錘を軽くすれば飛ばず、錘を重くすると浮きも大きくせねばならず投げにくく、試しにサッカーボールを、水面上に蹴飛ばし回収してみたら、うまく回収出来たのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】水上浮遊物の回収機器の全体図を示した説明図である。
【図2】水上浮遊物の回収機器を遠投する直前の姿勢を示した説明図である。
【図3】水上浮遊物の回収機器が遠投されて、着水予定点に着水するまでの遠投されている様子を示した説明図である。
【図4】水上浮遊物の回収機器が着水予定点に着水してから、鴨と一直線にする為の手段の説明図である。
【図5】水上浮遊物の回収機器を遠投した時の、着水後から回収の為にスタートするまでの水面上の姿勢を示した説明図である。
【図6】水上浮遊物の回収機器が鴨の回収中の様子を示した説明図である。
【図7】水上浮遊物の回収機器が鴨を乗せ、リールを巻いて引っ張られて水面上を引き寄せられている姿勢を示した説明図である。
【図8】水上浮遊物の回収機器の側面から見た完成品の寸法図面である。
【図9】水上浮遊物の回収機器の上から見た完成品の寸法図面である。
【図10】水上浮遊物の回収機器の左右フロート組み立て詳細図である
【符号の説明】
【0018】
1 回収案内棒
2 回収物保管棒
3 後部フロート
4 左右フロート
5 回収部
6 姿勢安定制御機構用錘及び飛ばし用錘
7 姿勢安定制御機構
8 芯
9 釣り竿
10リール
11道糸
12より戻し
13外側ナット
14内側ナット
15回収部端末処理用ナット
16竿尻
17A固定部付近に重心移動している飛ばし用錘
18内側平ワッシャ
19外側平ワッシャ
20水上浮遊物の回収機器
21鴨
22水面
A A固定部
B B固定部
C C固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収案内棒として水平の鉄線の両脇に浮きを取り付け、水平の鉄線中心から後部にも水平に浮きを取り付け、回収物保管棒として鉄線が前記中心から上側に伸びており、前記中心から下に向かってL字状になった回収部があり、回収部の下に錘をつけており、この錘は浮きを沈めない重さであり、回収部の先端により戻しを設けた水上浮遊物の回収機器。
【請求項2】
回収部のL字状の部分を格子状に形成し、水と風の抵抗を少なくしたことと、回収物を掬い乗せる面積を広く確保した請求項1記載の水上浮遊物の回収機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−6848(P2007−6848A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194515(P2005−194515)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【特許番号】特許第3740163号(P3740163)
【特許公報発行日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(305023447)
【Fターム(参考)】