説明

水中溶出性が改善される農薬粒状組成物

【課題】 クロロアセトアニリド系除草活性成分の水中への溶出を促進される農薬粒状組成物を提供する。
【解決手段】 クロロアセトアニリド系除草活性成分、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物およびポリアクリル酸塩を含有することを特徴とする農薬粒状組成物。クロロアセトアニリド系除草活性成分としてはブタクロール、プレチラクロール、テニルクロールまたはアラクロールが好ましい。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の分子量としては2000〜7000が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、農薬散布の省力化、減農薬の要望が高まり、農薬の製剤形態の改良が求められている。水田の湛水化処理用の除草剤の製剤形態も粒剤中心から、水田に入らずに畦畔から散布可能な各種の少量化製剤(フロアブル、ジャンボ剤等)が使用されるようになっている。これらの少量化製剤は、農薬活性成分が水田全体に拡散するように工夫されてはいるが、しばしば成分が不均一になる結果として、薬効不足や水稲への薬害を引き起こすという問題点があった。一方粒剤は、これらの問題点が少なく安全性の高い製剤形態であるが、特に農薬活性成分の水溶解度が極めて低い場合、粒剤中から農薬活性成分を水田水中にすばやく溶出させることが難しく満足できる薬効が得られない場合があった。これらの問題点を解決するためには、粒剤からの農薬活性成分の水中溶出性を向上させる必要があり、そのための種々の試みがなされている。例えば、農薬活性成分、増量剤、ポリアクリル酸塩およびジアルキルスルホコハク酸塩を含有することで、水田への散布時に、水中に速やかに崩壊、拡展することが知られている(特許文献1参照)。
【0002】
また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物、吸収剤および炭酸カルシウム粉末を含有することで押出造粒法での造粒性が改善される技術が知られている(特許文献2参照)。さらに、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物、ポリカルボン酸系界面活性剤および炭酸カルシウム粉末を含有することで押出造粒法での造粒性が改善される技術が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平06−298603号公報
【特許文献2】特開2005−162642号公報
【特許文献3】特開2005−162643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法を用いても、クロロアセトアニリド系除草活性成分を含有する場合には、農薬粒状組成物からの該農薬活性成分の溶出性を向上させる効果が未だ不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は鋭意研究した結果、クロロアセトアニリド系除草活性成分、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物およびポリアクリル酸塩を含有する農薬粒状組成物とすることにより、農薬粒状組成物からのクロロアセトアニリド系除草活性成分の水中溶出性を向上できることを見出した。すなわち、本発明は、下記〔1〕から〔6〕に関するものである。
【0005】
〔1〕 クロロアセトアニリド系除草活性成分、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物およびポリアクリル酸塩を含有する農薬粒状組成物。
【0006】
〔2〕 クロロアセトアニリド系除草活性成分がブタクロール、プレチラクロール、テニルクロールおよびアラクロールから選ばれる1以上の除草活性成分である上記〔1〕記載の農薬粒状組成物。
【0007】
〔3〕 ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の分子量が2000〜7000である上記〔1〕または〔2〕記載の農薬粒状組成物。
【0008】
〔4〕 更に炭酸カルシウム粉末を含有する上記〔1〕ないし〔3〕から選ばれるいずれか記載の農薬粒状組成物。
【0009】
〔5〕 更にエステル系油性液体を含有する上記〔1〕ないし〔4〕から選ばれるいずれか記載の農薬粒状組成物。
【0010】
〔6〕 エステル系油性液体がフタル酸エステルである上記〔5〕記載の農薬粒状組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の農薬粒状組成物は、従来の農薬粒状組成物と比べて、クロロアセトアニリド系除草活性成分の水中溶出性が向上される。クロロアセトアニリド系除草活性成分の水溶解度が低い場合には、より顕著にその効果が現れる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の農薬粒状組成物についてさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の農薬粒状組成物に含有されるクロロアセトアニリド系除草活性成分を一般名として例示すれば、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、テニルクロール(thenylchlor)、アラクロール(alachlor)およびメトラクロール(metolachlor)等が挙げられる。クロロアセトアニリド系除草活性成分の含有量は、農薬粒状組成物に対して通常1.0〜15.0重量%である。
【0014】
本発明の農薬粒状組成物に使用されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の常分子量は通常が1500〜20000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜7000である。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の含有量は、農薬粒状組成物に対して通常0.1〜5.0重量%である。
【0015】
本発明に用いられるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の具体例を以下に挙げる。
【0016】
例えば、エパン410(商品名/第一工業製薬(株))、エパン420(商品名/第一工業製薬(株))、エパン450(商品名/第一工業製薬(株))、エパン485(商品名/第一工業製薬(株))、エパン610(商品名/第一工業製薬(株))、エパン680(商品名/第一工業製薬(株))、エパン710(商品名/第一工業製薬(株))、エパン720(商品名/第一工業製薬(株))、エパン740(商品名/第一工業製薬(株))、エパン750(商品名/第一工業製薬(株))、エパン785(商品名/第一工業製薬(株))、エパンU103(商品名/第一工業製薬(株))、エパンU105(商品名/第一工業製薬(株))、エパンU108(商品名/第一工業製薬(株))、トキサノンPE−61(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−62(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−64(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−68(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−71(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−74(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−75(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−78(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−108(商品名/三洋化成工業(株))、トキサノンPE−128(商品名/三洋化成工業(株))、プルロニックPE3100(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE4300(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE6100(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))プルロニックPE6200(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE6400(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE6800(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE8100(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE9200(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE9400(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プロニックPE10100(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックPE10500(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックRPE2520(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、プルロニックRPE3110(商品名/ビーエーエスエフジャパン(株))、ニューカルゲン5050PB(商品名/竹本油脂(株))、ニューカルゲン70100PB(商品名/竹本油脂(株))、ペポールB−182(東邦化学工業(株))、ペポールB−184(東邦化学工業(株))およびペポールB−188(東邦化学工業(株))等が挙げられる。
【0017】
本発明の農薬粒状組成物に用いられるポリアクリル酸塩は、通常平均分子量が4,000〜1,0000のナトリウム塩やカリウム塩が用いられ、その含有量は、農薬粒状組成物に対して通常0.5〜5.0重量%である。
【0018】
また、本発明の農薬粒状組成物は、必要に応じてその他の補助剤として、増量剤、界面活性剤、エステル系油性液体、吸収性微粉末、結合剤、粉砕助剤、分解防止剤、着色剤および消泡剤等を含有させることもできる。
【0019】
本発明の農薬粒状組成物は、増量剤として炭酸カルシウム粉末を用いることが好ましい。増量剤として炭酸カルシウムを用いる場合には、農薬粒状組成物中に通常50重量%以上、好ましくは50〜95重量%含有させる。また、炭酸カルシウム粉末の平均粒子径は、通常7.0μm以下、好ましくは1.0〜7.0μm、より好ましくは2.0〜7.0μm、更に好ましくは2.0〜3.0μmである。炭酸カルシウム粉末の比表面積は、通常8000〜13000cm/g、好ましくは8000〜11000cm/gである。
【0020】
本発明に用いられる炭酸カルシウム粉末の具体例を以下に挙げる。
【0021】
例えば、ミクロカル250(商品名/青倉石灰工業(株))、ミクロカル100(商品名/青倉工業(株))、NS#100(商品名/日東粉化工業(株))、NS#200(商品名/日東粉化工業(株))、NS#3000(商品名/日東粉化工業(株))およびスーパーSS(商品名/丸尾カルシウム(株))等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いることができるエステル系油性液体としては、オレイン酸エステル、ミスチリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、ラウリル酸エステル、2−エチルヘキサン酸エステル、エルカ酸エステル、カプリン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、牛脂脂肪酸エステル、パーム油脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ジアセチルカプリン酸エステル、ジアセチルヤシ油脂肪酸エステルおよびエポキシ化脂肪酸エステルなどが挙げられる。より具体的には、オレイン酸メチル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸イソオクチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、ラウリル酸メチル、2−エチルヘキサン酸セチル、エルカ酸オクチルドデシル、カプリン酸メチル、ヤシ油脂肪酸メチル、牛脂脂肪酸メチル、パーム油脂肪酸メチル、アジピン酸ジオレイル、アジピン酸ジイソブチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸シクロヘキシル2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリn−ブチル、トリメリット酸トリイソデシル、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、カプリン酸モノグリセリド、カプリン酸ジグリセリド、ジアセチルカプリン酸グリセリド、ジアセチルヤシ油脂肪酸グリセリド、エポキシ化脂肪酸ブチル、エポキシ化脂肪酸オクチルなどが挙げられる。これらエステル系油性液体はそれぞれ単独、或いは2種以上使用してもよい。上記エステル系油性液体の中で好ましいのがフタル酸エステルであり、特に好ましいのがフタル酸ジトリデシルである。また、上記エステル系油性液体は、農薬粒状組成物中に通常0.5〜25.0重量部、好ましくは1.0〜15.0重量部の範囲内で含有させる。
【0023】
本発明の農薬粒状組成物は、クロロアセトアニリド系除草活性成分以外の除草活性成分を更に含有させることができる。そのような除草活性成分としては、特に限定されるものではないが、従来水田用の農薬として使用されているものが適している。
【0024】
ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron ethyl)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron methyl)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、ピラクロニル(pyraclonil)、テフリルトリオン(tefuryltirone)、メソトリオン(mesotrione)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)、ペノキススラム(penoxsulam)、アミノピラリド(aminopyralid)、ベンカルバゾン(bencarbazone)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、モノスルフロン(monosulfuron)、モノスルフロンメチル(monosulfuron-methyl)、ピノキサデン(pinoxaden)、プロポキシカルバゾンナトリウム塩(propoxycarbazone-sodium)、ピラスルホトール(pyrasulfotole)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、ピロキシスラム(pyroxsulam)、テンボトリオン(tembotrione)、チエンカルバゾンメチル(thiencarbazone-methyl)、トプラメゾン(topramezon)、メタミトロン(metamitron)、エスプロカルブ(esprocarb)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、メフェナセット(mefenacet)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、テニルクロール(thenylchlor)、ブロモブチド(bromobutide)エトベンザニド(etobenzanid)、ダイムロン(dymron)、クミルロン(cumyluron)、ベンタゾン(bentazone)、ベンタゾンの塩、2,4−D、2,4−Dの塩、2,4−Dのエステル、MCP、MCPの塩、MCPのエステル、MCPB、MCPBの塩、MCPBのエステル、フェノチオール(MCPA-thioethyl)、クロメプロップ(clomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)、オキサジアゾン(oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、ジメタメトリン(dimethametryn)、シメトリン(simetryn)、ピペロホス(piperophos)、アニロホス(anilofos)、ブタミホス(butamifos)、ベンスリド(bensulide)、ジチオピル(dithiopyr)、ピリミノバックメチル(pyriminobac methyl)、CNP、クロメトキシニル(chlormethoxynil)、シハロホップブチル(cyhalofop butyl)、ビフェノックス(bifenox)、カフェンストロール(cafenstrole)、ペントキサゾン(pentoxazone)、インダノファン(indanofan)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、フェントラザミド(fentrazamide)、ブテナクロール(butenachlor)、ACN、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ベンフレセート(benfuresate)、シンメチリン(cimmethylin)、シマジン(simazine)、ジクロベニル(dichlobenil)、ジウロン(diuron)、クロロIPC(chlorpropham)、アトラジン(atrazine)、アラクロール(alachlor)、イソウロン(isouron)、クロルフタリム(chlorphtalim)、シアナジン(cyanazin)、トリフルラリン(trifluralin)、ブタミホス(butamifos)、プロピザミド(propyzamide)、プロメトリン(prometryn)、ペンディメタリン(pendimethalin)、メトラクロール(metolachlor)、メトリブジン(metribuzin)、リニュロン(linuron)、レナシル(lenacil)、プロパニル(propanil)、MCPA、アイオキシニル(ioxynil octanoate)、アシュラム(asulam)、キザロホップエチル(quizalofop-ethyl)、プロパキザホップ(propaquizafop)、キザロホップテフリル(quizalofop-tefuryl)、セトキシジム(sethoxydim)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron-methyl)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop-ethyl)、フェンメディファム(phenmedipham)、フルアジホップブチル(fluazifop-butyl)、ベンタゾン(bentazone)、SAP(bensulide)、TCTP(chlorthal-dimethyl,tetorachlorothiophene)、アミプロホスメチル(amiprophosmethyl)、アメトリン(ametryn)、イソキサベン(isoxaben)、オルベンカーブ(orbencarb)、カルブチレート(karbutilate)、ジチオピル(dithiopyr)、シデュロン(siduron)、チアザフルロン(thiazafluron)、ナプロパミド(napropamide)、プロジアミン(prodiamine)、ベスロジン(benefin)、メチルダイムロン(methyl dymron)、2,4−PA、MCPPA、フラザスルフロン(flazasulfuron)、メトスルフロンメチル(metsulfuron-methyl)、イマザキン(imazaquin)、イマザピル(imazapyr)、テトラピオン(flupropanate)、テブティウロン(tebuthiuron)、ブロマシル(bromacil)、ヘキサジノン(hexazinone)、グリホサートアンモニウム塩(glyphosate-ammonium)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate-iso-propylammonium)、グリホサートトリメシウム塩(glyphosate-trimesium)、グリホサートナトリウム塩(glyphosate-sodium)、グリホサートカリウム塩(glyphosate-potassium)、ビアラホス(bialaphos)、グルホシネート(glufosinate-ammonium)およびMCC。
【0025】
上記の中では特に、ピラゾスルフロンエチル、ベンゾビシクロンおよびピラクロニルが適している。
【0026】
また、目的によって上記クロロアセトアニリド系除草活性成分以外の除草活性成分は、単一でも2種以上の組合わせでも用いることができる。クロロアセトアニリド系除草活性成分以外の除草活性成分の総含有量は、農薬粒状組成物に対して通常1.0〜15.0重量%である。
【0027】
本発明の農薬粒状組成物は、以下の方法で製造することができる。
【0028】
本発明の農薬粒状組成物は、クロロアセトアニリド系除草活性成分、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物、ポリアクリル酸塩および必要に応じて、他の除草活性成分、炭酸カルシウム粉末、結合剤、吸収剤、エステル系油性液体等のその他の補助剤を混合し、適量の水を加え、混練した後、押出造粒機を用いて造粒し乾燥することにより製造することができる。
【0029】
本発明の農薬粒状組成物は、水田、畑地、稲の育苗箱および園芸作物のセルトレイ等に施用することができるが、特に水田への施用に適している。本発明の農薬粒状組成物を施用する際の施用量は、除草活性成分の種類等によっても異なるが、水田や畑地の場合、10アールあたり通常0.1〜20kg、好ましくは0.2〜5kgであり、稲(特に、水稲)の育苗箱施用の場合、育苗箱一枚あたり通常10〜200g、好ましくは10〜100gであり、園芸作物のセルトレイ施用の場合、セルトレイ一枚あたり通常1〜2000g、好ましくは5〜1000gである。
【実施例】
【0030】
次に本発明の実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下の部は、すべて重量部を意味する。なお、以下の実施例、比較例、参考例において、用いた除草活性成分以外の除草活性成分の1種以上を更に含有させることができる。そのような除草活性成分としては、特に限定されるものではないが、従来水田用の農薬として使用されているものとして、インダノファン、ベンゾビシクロン、ピリフタリド、プレチラクロール、オキサジクロメホン、シハロホップブチルおよびピラクロニルが適している。
【0031】
〔実施例1〕
約5ミクロン程度に微粉砕したピラゾスルフロンエチル(一般名、除草活性成分)4.3部、H微粉(商品名、啓和炉材(株)製、二酸化ケイ素)65.7部および石油系パラフィンワックス(融点69〜72℃)30.0部を、約100℃でニーダーを用いて溶融、混練した。その後、約75℃まで冷却し、直径1.2mmの穴を有するスクリーンにて押出造粒し、これをピンミルで粉砕して、ピラゾスルフロンエチルパラフィンプレミックスを得た。
【0032】
〔実施例2〕
ブタクロール(一般名、クロロアセトアニリド系除草活性成分)7.88部、ピラゾスルフロンエチルパラフィンプレミックス7.14部、パインデクッスY(商品名 、松谷化学工業(株)製、デキストリン)7.50部、マイクロセルE(商品名 、セライトコーポレーション製、吸収剤)5.00部、クニゲルV2(商品名 、クニミネ工業(株)製、ベントナイト)15.00部、炭酸カルシウムNS#200(商品名、日東粉化工業(株)製、炭酸カルシウム粉末)53.38部を均一混合した後、アグリゾールG−200(商品名、花王(株)製、ポリアクリル酸ナトリウム塩)3.10部、エパン450(商品名、第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物、平均分子量:2400)1.00部と水11部を加えて混練し、次いで口径1.0 mmのスクリーンを装着した押出式造粒機を用いて造粒した。50゜Cで乾燥後、0.71 mm〜1.40 mmの篩で整粒して本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0033】
〔実施例3〕
炭酸カルシウムNS#200 53.38部の代わりに、ビニサイザー20(商品名、花王(株)製、アジピン酸ジイソデシル)2.00部、イソバン600SF−35(商品名、クラレトポリマー(株)製、マレイン酸イソブチレン共重合物のナトリウム塩)1.05部および炭酸カルシウムNS#200 50.33部を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて製造し、本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0034】
〔比較例1〕
エパン450をエアロールCT-1L(商品名、東邦化学工業(株)製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩)に変更した以外は、実施例2と同様の方法にて製造し、本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0035】
〔比較例2〕
アグリゾールG−200をGEROPON T/36(商品名、Rhodia製、ジイソブチレンと無水マレイン酸共重合体)に変更した以外は、実施例2と同様の方法にて製造し、本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0036】
〔参考例1〕
ピラゾスルフロンエチルパラフィンプレミックス 7.62部、トリポリリン酸ソーダ(商品名 、セントラル硝子(株)製)1.00部、フェノキシエタノールG(商品名、第一工業製薬(株)製、フェノキシエタノール)5.00部、穂高ベントナイト(商品名 、ホージュン(株)製、ベントナイト)30.00部、ネオキャリアK(商品名、浅田製粉(株)製、クレー)54.97部を均一混合した後、水酸化ナトリウム(商品名 、日本塩素(株)製)0.13部、エアロールCT-1L 1.28部と水18部を加えて混練し、次いで口径1.2 mmのスクリーンを装着した押出式造粒機を用いて造粒した。50゜Cで乾燥後、1.00 mm〜2.00 mmの篩で整粒して本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0037】
〔参考例2〕
ピラゾスルフロンエチルパラフィンプレミックス 7.60部、穂高ベントナイト 30.00部、ネオキャリアK 59.47部を均一混合した後、エアロールCT-1L 1.28部、ニューカルゲンTG−285(商品名、竹本油脂(株)製、特殊ポリカルボン酸塩とナフタレンスルホン酸重縮合物金属塩の混合物)1.65部と水15部を加えて混練し、次いで口径1.2 mmのスクリーンを装着した押出式造粒機を用いて造粒した。50゜Cで乾燥後、1.00 mm〜2.00 mmの篩で整粒して本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0038】
〔参考例3〕
ピラゾスルフロンエチルパラフィンプレミックス 7.62部、ジェロポンT/36 3.80部、M−3801G(商品名、第一工業製薬(株)製、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)0.50部、パインデクッスY 2.00部、カープレックスXR(商品名、塩野義製薬(株)製、含水非晶質二酸化ケイ素)2.00部、炭酸カルシウムNS#200 80.45部およびビニサイザー20 2.00部にジメタメトリン(一般名、除草剤活性成分)0.63部を混合溶解させた溶液を均一混合した後、エパン450 1.00部と水11部を加えて混練し、次いで口径1.0mmのスクリーンを装着した押出式造粒機を用いて造粒した。50゜Cで乾燥後、0.71 mm〜1.40 mmの篩で整粒して本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0039】
〔参考例4〕
ハロスルフロンメチル(一般名、除草剤活性成分)0.93部、ニューカルゲンEX−70(商品名、竹本油脂(株)製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩)1.5部、パインデクッスY 8.00部、マイクロセルE 5.00部、穂高ベントナイト 10.00部、ネオキャリアK 58.43部およびビニサイザー20 12.00部にジメタメトリン 1.04部を混合溶解させた溶液を均一混合した後、アグリゾールG−200 3.1部と水4部を加えて混練し、次いで口径1.0mmのスクリーンを装着した押出式造粒機を用いて造粒した。50゜Cで乾燥後、0.71 mm〜1.40 mmの篩で整粒して本発明の農薬粒状組成物を得た。
【0040】

〔試験例1〕 クロロアセトアニリド系除草活性成分の水中溶出試験
実施例2、3および比較例1、2で製造した農薬粒状組成物各100mgを1リットルの水を入れたビーカーに投入し、経時的にビーカーの中央部から溶液の一部を採取して、HPLC(高速液体クロマトグラフ)により24時間後に水中に溶出したクロロアセトアニリド系除草活性成分量を定量し、下記の式より、水中溶出率を算出した。
結果を第1表に示す。
【0041】
水中溶出率(%)=(A/B)×100
A:水中に溶出したクロロアセトアニリド系除草活性成分量
B:農薬粒状組成物中のクロロアセトアニリド系除草活性成分含有量

第1表
――――――――――――――――――――
24時間後の水中溶出率
――――――――――――――――――――
実施例2 49%
実施例3 47%
比較例1 29%
比較例2 17%
――――――――――――――――――――
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の農薬粒状組成物は、雑草防除に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロアセトアニリド系除草活性成分、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物およびポリアクリル酸塩を含有する農薬粒状組成物。
【請求項2】
クロロアセトアニリド系除草活性成分がブタクロール、プレチラクロール、テニルクロールおよびアラクロールから選ばれる1以上の除草活性成分である請求項1記載の農薬粒状組成物。
【請求項3】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物の分子量が2000〜7000である請求項1または2記載の農薬粒状組成物。
【請求項4】
更に炭酸カルシウム粉末を含有する請求項1ないし3から選ばれる何れか1項記載の農薬粒状組成物。
【請求項5】
更にエステル系油性液体を含有する請求項1ないし4から選ばれる何れか1項記載の農薬粒状組成物。
【請求項6】
エステル系油性液体がフタル酸ジエステルである請求項5記載の農薬粒状組成物。


【公開番号】特開2010−47546(P2010−47546A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214893(P2008−214893)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】