説明

水中非崩壊農薬粒剤

【課題】施用時における水面浮遊が抑制された水中非崩壊農薬粒剤を提供することを課題とする。
【解決手段】0.5〜50重量%(好ましくは1〜20重量%)の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%(好ましくは1〜10重量%)のα化デンプン、30〜99重量%(好ましくは50〜99重量%)の炭酸カルシウム、及び0〜69重量%(好ましくは0〜49重量%)の炭酸カルシウム以外の固体担体から実質的になることを特徴とする水中非崩壊農薬粒剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中非崩壊農薬粒剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、疎水性農薬活性化合物であるプロベナゾール、α化デンプン、ステアリン酸カルシウム及びクレーからなる農薬粒剤が記載され、更に該農薬粒剤が水中で極めて長時間非崩壊状態を保つことが記載されている。
【0003】
【特許文献1】WO2004/089091再公表公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような水中において長時間非崩壊状態を保つ農薬粒剤は、しばしば粒剤の一部が水面に浮遊してしまい、水面上を移動して意図しない箇所へ該農薬粒剤が偏析して、例えばイネ苗の葉先や茎葉部に付着して薬害を生じたりする恐れがある。本発明は水中非崩壊農薬粒剤であって、水面浮遊が抑制された農薬粒剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討し、以下の本発明に至った。
[発明1]
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、30〜99重量%の炭酸カルシウム、及び0〜69重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体から実質的になることを特徴とする水中非崩壊農薬粒剤。
[発明2]
炭酸カルシウムが50〜69重量%であることを特徴とする発明1記載の農薬粒剤。
[発明3]
疎水性農薬活性化合物が殺虫化合物及び殺菌化合物からなる群から選ばれる疎水性農薬活性化合物であることを特徴とする発明1又は2記載の農薬粒剤。
[発明4]
疎水性農薬活性化合物がクロチアニジン及びジクロシメットからなる群から選ばれる疎水性農薬活性化合物であることを特徴とする発明1又は2記載の農薬粒剤。
[発明5]
水稲の育苗箱処理用である発明1〜4のいずれか記載の農薬粒剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水中非崩壊農薬粒剤は施用時における水面浮遊が抑制されており、意図しない箇所へ本発明粒剤が移動してしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の水中非崩壊農薬粒剤(以下、本発明粒剤と記す。)が含有する疎水性農薬活性化合物とは、水に対して非溶解性又は難溶解性の農薬活性化合物であって、通常は25℃の水を用いた場合の水溶解度が0.5g/L以下、好ましくは0.1g/L以下の農薬活性化合物であり、好ましくは50℃において固体状である、殺虫化合物、殺菌化合物、除草化合物、昆虫成長制御化合物及び植物成長制御化合物を挙げることができ、例えば次に示す化合物を具体的に挙げることができる。
【0008】
殺虫化合物としては、デルタメトリン、トラロメトリン、アクリナトリン、テトラメトリン等のピレスロイド系化合物;プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、XMC、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物;アセフェート、トリクロルホン、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ピリダフェンチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル等の有機リン系化合物;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物;イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、ジアクロデン等のクロロニコチル系化合物;カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド、ミルベメクチン、アベルメクチン、ホウ酸、パラジクロロベンゼン等を挙げることができる。
【0009】
殺菌化合物としては、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、イソチアニル、ボスカリド等のカルボキシアミド系化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF−126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、CGA245704、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、3−アイオド−2−プロピルブチルカーバメイト、パラヒドロキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。
【0010】
除草化合物としては、アトラジン、メトリブジン等のトリアジン系化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア系化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル系化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6―ジニトロアニリン系化合物;2,4−D、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリロキシアルカノイック酸系化合物;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア系化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン系化合物;ビスピリバックNa塩、ビスチオバックNa塩、アシフルオルフェンNa塩、サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ−p−エチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート、ベンタゾン、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン等を挙げることができる。
【0011】
植物成長調節化合物としては、マレイックヒドラジド、クロルメカット、エテフォン、ジベレリン、メピカットクロライド、チジアズロン、イナベンファイド、パクロブトラゾール 、ウニコナゾール等を挙げることができる。昆虫忌避剤としては、1S,3R,4R,6R−カラン−3、4−ジオール、ジプロピル 2,5−ピリジンジカルボキシレート等を挙げることができる。
本発明において、本発明粒剤は上記の疎水性農薬活性化合物から選ばれる2種以上の疎水性農薬活性化合物を含有していてもよい。
本発明において、疎水性農薬活性化合物の合計量は本発明粒剤に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲である。
【0012】
本発明粒剤は結合剤としてα化デンプンを含有する。
α化デンプンとは糊化状態のデンプンを急速に脱水乾燥した状態のデンプンである。α化デンプンの市販品としては、例えばアミコールHF、アミコールC、アミコールA、アミコールNo.602、アミコール乳華(いずれも日澱化学製)、日食アルスター、日食アルスターH(いずれも日本食品加工製)、アルファースターチ(三和澱粉製)等が挙げられる。
本発明において、α化デンプンの量は本発明粒剤に対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0013】
本発明粒剤は30〜99重量%の炭酸カルシウム及び0〜69重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体を含有し、好ましくは50〜98重量%の炭酸カルシウム及び0〜49重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体を含有する。
本発明において炭酸カルシウムとは重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムのいずれをも含む。重質炭酸カルシウムは天然炭酸カルシウムとも言い、石灰石、貝殻、白亜等のCaCO3を主成分とする天然原料を機械的(乾式又は湿式)に粉砕・分級することにより製造することができる。軽質炭酸カルシウムは合成炭酸カルシウムとも言い、石灰石を焼成して得られる生石灰を水中に溶解して得られる石灰乳に炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス法、或いは塩化カルシウム水溶液又は石灰乳にソーダ灰を反応させることにより製造することができる。
【0014】
本発明において、炭酸カルシウム以外の固体担体は疎水性農薬活性化合物に対して非反応性であり、実質的に水に不溶性である固体であり、例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、パイロットフィライト、タルク、ロウ石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、ギプサム、石膏等の硫酸塩鉱物、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、軽石、珪藻土などが挙げられる。これらの固体担体は2種以上の組み合わせでもよい。
【0015】
本発明粒剤は0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、30〜99重量%の炭酸カルシウム、及び0〜69重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体から実質的になり、界面活性成分を実質的(0.1重量%以上)に含有しない。
本発明において水中非崩壊農薬粒剤とは、水中での崩壊時間が24時間以上である農薬粒剤を意味する。水中での崩壊時間は、農薬登録申請の実務書(農薬工業会)に記載の水中崩壊性測定法による水中での崩壊時間をいう。
【0016】
本発明粒剤の態様としては、
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、50〜99重量%の炭酸カルシウム、及び0〜49重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、30〜98重量%の炭酸カルシウム、及び0〜68重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、50〜98重量%の炭酸カルシウム、及び0〜48重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、及び50〜99重量%の炭酸カルシウムからなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、及び30〜98重量%の炭酸カルシウムからなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、及び50〜98重量%の炭酸カルシウムからなる水中非崩壊農薬粒剤;
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、50〜94重量%の炭酸カルシウム、及び5〜49重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、30〜93重量%の炭酸カルシウム、及び5〜68重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、50〜93重量%の炭酸カルシウム、及び5〜48重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体からなる水中非崩壊農薬粒剤;
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、50〜94重量%の炭酸カルシウム、及び5〜49重量%のロウ石からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、30〜93重量%の炭酸カルシウム、及び5〜68重量%のロウ石からなる水中非崩壊農薬粒剤;
1〜20重量%の疎水性農薬活性化合物、1〜10重量%のα化デンプン、50〜93重量%の炭酸カルシウム、及び5〜48重量%のロウ石からなる水中非崩壊農薬粒剤。
【0017】
尚、本発明粒剤は水中非崩壊農薬粒剤であるが、本発明粒剤の水中崩壊性に影響を及ぼさない範囲で疎水性農薬活性化合物の安定化剤や、顔料、滑沢剤等の製剤補助剤を含有していてもよく、該安定化剤及び製剤補助剤の合計量は本発明粒剤に対して通常2重量%以下である。
本発明粒剤は通常、粒径が300〜2000μmの粒状物(即ち目開きが300μmの篩を通過せず、且つ目開きが2000μmの篩を通過する粒状物)、好ましくは500〜1500μmの粒状物である。
【0018】
本発明粒剤は、0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、30〜99重量%の炭酸カルシウム及び0〜69重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体から実質的になる混合物に、水を加えて混練し、得られた混練物を造粒し、得られた造粒物を乾燥し、必要により解砕、篩分、整粒等を行い製造することができる。混練の際に用いられる水の量は、通常該混合物に対して、3〜50重量%である。本発明粒剤は、特に押出造粒にて得られる粒剤が水中における非崩壊性の点で良好である。
混練物を押出造粒する際は、通常0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.7〜1.5mmφのスクリーンを用いて行われる。押出造粒された後は、通常30〜90℃、好ましくは30〜80℃で乾燥する。押出造粒にて得られる、本発明の農薬粒剤の粒長は、通常0.5〜6.0mm、好ましくは0.7〜4.0mmである。尚、本発明において粒長とは、粒が取り得る最大長さを意味する。
本発明粒剤を製造する際に用いられる練合機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられる。押出造粒機としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等が挙げられ、具体的には不二パウダル社製のツインドームグラン、シングルドームグラン等を用いることができる。
【0019】
本発明粒剤は、施用する場所にそのまま散布して施用することができる。本発明粒剤は水面施用時等における水面浮遊が抑制されており、湛水下の水田や水稲の育苗箱に使用する農薬粒剤として適する。又、本発明粒剤は実質的に界面活性成分を実質的に含有しないので、発芽直後のイネ苗に対して薬害を発生させる畏れが軽減されており、水稲の育苗箱処理用に特に適する。
【実施例】
【0020】
本発明を以下の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1
ジクロシメット3.0重量部、クロチアニジン0.8重量部、α化デンプン(アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部及び炭酸カルシウム(#SS80、日東粉化工業製)91.2重量部の混合物に、水18.0重量部を加えて、ナウターミキサーでよく混練した。得られた混練物を、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所製)にて押出造粒し、得られた造粒物を小型流動層乾燥機にて70℃で30分間乾燥し、粒径を揃えて、発明粒剤1(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0022】
実施例2
ジクロシメット3.0重量部、クロチアニジン0.8重量部、α化デンプン(アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、勝光山クレーS(ロウ石、勝光山鉱業所製)31.2重量部及び炭酸カルシウム(#SS80、日東粉化工業製)60.0重量部の混合物に、水18.0重量部を加えて、ナウターミキサーでよく混練した。得られた混練物を、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所製)にて押出造粒し、得られた造粒物を小型流動層乾燥機にて70℃で30分間乾燥し、粒径を揃えて、発明粒剤2(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0023】
実施例3
ジクロシメット3.0重量部、クロチアニジン0.8重量部、α化デンプン(アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、勝光山クレーS(勝光山鉱業所製)61.2重量部及び炭酸カルシウム(#SS80、日東粉化工業製)30.0重量部の混合物に、水18.0重量部を加えて、ナウターミキサーでよく混練した。得られた混練物を、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所製)にて押出造粒し、得られた造粒物を小型流動層乾燥機にて70℃で30分間乾燥し、粒径を揃えて、発明粒剤3(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0024】
比較例1
ジクロシメット3.0重量部、クロチアニジン0.8重量部、α化デンプン(アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、勝光山クレーS(勝光山鉱業所製)81.2及び炭酸カルシウム(#SS80、日東粉化工業製)10.0重量部の混合物に、水18.0重量部を加えて、ナウターミキサーでよく混練した。得られた混練物を、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所製)にて押出造粒し、得られた造粒物を小型流動層乾燥機にて70℃で30分間乾燥し、粒径を揃えて、比較粒剤1(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0025】
比較例2
ジクロシメット3.0重量部、クロチアニジン0.8重量部、α化デンプン(アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部及び勝光山クレーS(勝光山鉱業所製)91.2重量部の混合物に、水18.0重量部を加えて、ナウターミキサーでよく混練した。得られた混練物を、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所製)にて押出造粒し、得られた造粒物を小型流動層乾燥機にて70℃で30分間乾燥し、粒径を揃えて、比較粒剤2(粒径が710〜1180μm)を得た。
【0026】
試験例(水濡れ性試験)
25℃の水40mlが入った50mlのビーカー中に、発明粒剤1〜3及び比較粒剤1〜2の夫々50粒を静かに入れて、30秒間放置後、水面に浮遊している粒剤の粒数をカウントした。結果を表1に記す。
【0027】
【表1】

尚、水中に沈降している粒剤はいずれも、試験直後から試験24時間後においても形状の変化は無く、水中非崩壊であった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明粒剤は水面施用時等における水面浮遊が抑制されており、意図しない箇所へ本発明粒剤が移動してしまうことがない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5〜50重量%の疎水性農薬活性化合物、0.5〜20重量%のα化デンプン、30〜99重量%の炭酸カルシウム、及び0〜69重量%の炭酸カルシウム以外の固体担体から実質的になることを特徴とする水中非崩壊農薬粒剤。
【請求項2】
炭酸カルシウムが50〜69重量であることを特徴とする請求項1記載の農薬粒剤。
【請求項3】
疎水性農薬活性化合物が殺虫化合物及び殺菌化合物からなる群から選ばれる疎水性農薬活性化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の農薬粒剤。
【請求項4】
疎水性農薬活性化合物がクロチアニジン及びジクロシメットからなる群から選ばれる疎水性農薬活性化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の農薬粒剤。
【請求項5】
水稲の育苗箱処理用である請求項1〜4のいずれか記載の農薬粒剤。

【公開番号】特開2008−214239(P2008−214239A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52404(P2007−52404)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】