水位報知器
【課題】主に家庭用の浴槽に注水する際に、電源を使用することなく、所定の水位に達したことを音で知らせる水位報知器を提供する。
【解決手段】水道の蛇口からの流水12を受ける回転体2と、一端に浮き3を設けた吊糸10と、音発生手段4と、水道のパイプ11、浴槽の縁などに取り付けるためのホルダー5を備え、浴槽に所定の水位まで注水されると浮き3が浮上することによって、回転体2と音発生手段4とが接触し、この接触により音発生手段4を動作させる。回転体の回転軸が固定の場合は、音発生手段4が吊糸10の他端に設けられ、浮き3が浮上すると音発生手段4の位置が変化して回転体2と接触する。音発生手段の位置が固定の場合は、回転体が吊糸の他端に設けられ、浮きが浮上すると回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する回転体と音発生手段とが接触する。
【解決手段】水道の蛇口からの流水12を受ける回転体2と、一端に浮き3を設けた吊糸10と、音発生手段4と、水道のパイプ11、浴槽の縁などに取り付けるためのホルダー5を備え、浴槽に所定の水位まで注水されると浮き3が浮上することによって、回転体2と音発生手段4とが接触し、この接触により音発生手段4を動作させる。回転体の回転軸が固定の場合は、音発生手段4が吊糸10の他端に設けられ、浮き3が浮上すると音発生手段4の位置が変化して回転体2と接触する。音発生手段の位置が固定の場合は、回転体が吊糸の他端に設けられ、浮きが浮上すると回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する回転体と音発生手段とが接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭用の浴槽に注水する際に、電源を使用することなく、所定の水位に達したことを音で知らせる水位報知器に関する。
【背景技術】
【0002】
風呂水が所定の水位に達したことを知らせる装置として、水位を検出するセンサーからの信号によってブザーなどを鳴動させる、電池を使用するものが多く見受けられ、この種の装置は、特許文献1,2など数多く開示されている。
水の中で電気を利用するのであるから、厳重な防水対策が必要となるし、センサーおよびブザーをつなぐ等の回路設計も必要になる。これでは手軽な製品とは言えない。また、電池の交換時期に気を配るのも煩わしい。
【0003】
そのため、特許文献3には、電気をまったく使用せず、容器内にゼンマイ式のベルと、このベルの作動・停止を制御する振子形ストッパーを装着し、この容器と錘を線条にて連結した「水面検知警報器」が開示されている。特許文献4には、一切電源を必要とせず、本体となるシリンダーと、中央部に設けた空気穴に吹き口をあわせたホイッスルを配置したシリンダーカバー用永久磁石円盤と、頭頂部に永久磁石円盤を内蔵したピストン状のフロートから構成された「浴槽水位警報装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−183220号公報
【特許文献2】実用新案登録第3003667号公報
【特許文献3】実用新案登録第3001240号公報
【特許文献4】特開2009−229434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3および特許文献4の発明は、電源を使用しないので、構造が簡単であり、組み立てが容易かつコストも抑制できる。しかしながら、特許文献3の発明では、水面に容器を浮かせるので、蛇口をいっぱいに開き多量の水を噴出させる場合、水面が波立って容器が傾き、所定の水位になる前にストッパーがはずれて警報音が発生するおそれがある。また、動力源のゼンマイを巻き忘れてはならず煩わしい。
特許文献4の発明では、ホイッスルの発する音は継続しないので、音が鳴ったときに聞き逃すと所定の水位に達したことに気づかない。つまりこれらは、簡便性は満たされてはいるが、性能面で安定性を欠く。
そのため、本発明は、構造がシンプルであるが、誤動作が少なく、所定の水位になっても注水を止めない間は音が鳴り続ける水位報知器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の水位報知器は、
浴槽への注水時に所定の水位に達したことを知らせる水位報知器であって、水道の蛇口からの流水を受ける回転体(例えば、水車、プロペラ、羽根車など)と、一端に浮きを設けた吊糸と、音発生手段(例えば、鈴、太鼓、木琴・鉄琴など)と、取り付け箇所(例えば、水道のパイプ、浴槽の縁、浴室の壁など)に着脱自在に取り付けるためのホルダーを備え、浴槽に所定の水位まで注水されると浮きが浮上することによって、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触し、この接触により前記音発生手段を動作させることを特徴とする。
このように回転体を回転させる動力は流水なので、電源と電気回路が不要となり、水周りで使用しても安全である。また、装置の構成が単純なので、部品点数が少なく工数も費用も節減でき、しかも壊れにくい。
【0007】
本発明の水位報知器において、前記回転体の回転軸は前記ホルダーに設けた軸受けで支持されるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端には前記音発生手段が設けられ、前記浮きが浮上すると前記音発生手段が前記回転体に接触する位置まで移動するように構成するとよい。この構成では、前記ホルダーは箱状をなし、該水位報知器を使用していないときは、前記ホルダーの内部に前記回転体と前記吊糸と前記浮き及び前記音発生手段とを収納するようにしてもよい。
音発生手段は徐徐に移動していって、流水による回転体に接触して音を発生し、水位に達したことを知らせるわけである。
ここで、音発生手段の「移動」は、縦方向、横方向のいずれであってもよい。
箱状とは、内部に回転体などを収納できる空間があればよく、外観は、例えば水車小屋状にする等どのようなものでもよい。
【0008】
また、本発明の水位報知器は、前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記ホルダーには前記音発生手段が設けられ、
前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触するように構成してもよい。
あるいは、前記音発生手段を前記ホルダーではなく、前記回転体あるいは前記連結部材に設け、所定の水位に到達したときに前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が流水を受ける位置に変化し、流水を受けた前記回転体の回転にともない前記音発生手段が動作するように構成してもよい。
これにより、回転体の位置を移動可能とすることができ、構造の自由度が高まる。
「連結部材」には、後述する第2および第3の実施の形態の連結棒が該当するが、紐やワイヤでもよい。
【発明の効果】
【0009】
電気をいっさい使用せず簡単な構成の装置によって、所定の水位に達したことを報知できる。所定の水位に達した後は注水を止めるまで音が鳴り続けるので、注水中に別室にいても聞き漏らすことがなく、浴槽から水が溢れ出すことを防止できる。回転体を水車状にしたりすることで、単なる実用品にとどまらず、浴室内の装飾品や玩具のような楽しさを持たせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の水位検知の仕組みを説明する図である。
【図3】第1の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図4】第1の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【図5】第2の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図6】第2の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図7】第2の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【図8】第3の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図9】第3の実施の形態の鈴が水車側に取り付けられている状態を例示する図である。
【図10】第3の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図11】第3の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
浴槽に注水時、所定の水位に達したことを知らせるという目的を、流水で回転する回転体を動力とし、浮きが浮力の作用で浮かび上がることによって、この浮きと吊糸で連結された回転体あるいは音発生手段のいずれかの位置が移動して回転体と音発生手段とが接触し、この接触によって音が発生する水位報知器で実現した。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。下記の実施の形態では、回転体として水車を用い、音発生手段として鈴を用いている。また、取り付け箇所は、水道のパイプとする。
【0012】
(第1の実施の形態)
この実施の形態は請求項2に係る発明に対応するものである。
まず、図1を参照しながら、本実施の形態の水位報知器1の構成について説明する。
【0013】
水位報知器1は、水車2と、浮き3と、鈴4と、これらを支持するホルダー5を備えている。
ホルダー5によって、水位報知器1は水道のパイプに取り付けられる
ホルダー5は、水道のパイプに被せることができるように板材を断面がU字型になるように湾曲させたものである。パイプと接触する内側の部分には適宜ゴムなどを貼り付けておくと滑り止めになり、水位報知器1を水道のパイプに確り固定させるこことができる。
ホルダー5のU字型を構成する側面の対向する箇所にそれぞれ軸受けを設け、この2個の軸受けに水車2の回転軸6を通す。したがって、水車2はホルダー5に対して常に固定位置にある。水車2は2枚の円板7と水受け8を備える。
なお、ホルダー5と水車2の素材は特に限定しない。樹脂や金属でもよく、木材などの自然素材でもよい。ただし、衛生的であることが望まれる浴槽で使用するので、いずれの素材を用いる場合も、抗菌・抗カビや有害物質の排除に考慮しなければならない。この点は、下記の実施の形態においても同様である。
【0014】
吊糸支持部9をホルダー5に設け、この吊糸支持部9に釣り糸のような水を吸収しにくく、水に対する抵抗の小さい素材の吊糸10を通す。吊糸10の一端には浮き3を設ける。他端には、鈴4を設ける。
浮き3は鈴4よりも重くし、同体積の水よりも軽くする。また、吊糸10の重さは考慮しないものとする。
【0015】
ここで、図2を参照しながら、吊糸10の長さについて説明する。
図2は吊糸の長さについて説明する図であるから、水車などは省略されている。
吊糸10の長さをL1とし,注水前は、浮き3は浴槽の深さH1のところに吊り下げられているとする。注水により水位が上昇するにつれ、浮き3全体が水中に浸かり、浮力によって吊糸10を引っ張る力がゼロになる。吊糸10は鈴4の重さに引っ張られ浮きが浮上した分の長さだけ鈴4は下降する。このように、浴槽内の水位が上昇するにつれ、鈴4が徐々に下降する。
さらに注水を続け、設定した水位H2に達すると、吊糸支持部9から水面までの吊糸10の長さがL2になり、鈴4は、(L1−L2)だけ下降する。鈴4が水車2と接触する位置は、吊糸支持部9からSだけ下方にあるとすると、S=(L1−L2)が成り立つならば、水位がH2に達したときに鈴4は、回転する水車2と接触し鳴り始める。
吊糸10の長さL1は、SとH2によって決定する。Sの値は一定なので、所定の水位H2に応じて長さL1を調整すればよい。
鈴4が下降しすぎないように、吊糸10の鈴4側から(L1−L2)よりやや浮き3に近い側に図示しないストッパーを付加してもよい。
なお、吊糸支持部9は、吊糸10が滑らかに通過できるものであればよく、例えば、ホルダー5に取り付けたフック状のものでもよい。
【0016】
次に水位報知器1の使用の仕方について、図3及び図4を参照しながら説明する。
浴槽の水道のパイプ11にホルダー5を取り付ける。この実施形態のホルダー5は断面がU字型なので上下を逆にしてパイプ11に被せるだけで簡単に水位報知器1を固定できる。なお、ホルダー5はパイプ11にぐらつかないように水位報知器1を着脱自在に取り付け可能であればどのような形態でもよく、その形態に応じた取り付け方がある。
パイプ11にホルダー5を取り付ける際、水道の蛇口から流れる水12を受けることのできる位置に水車2を配置すると、流水によって水車2は回転を始める。
このように水位報知器1は水道の水12を動力源とするので、電源を使用するタイプの装置のように電池および電気回路が不要である。したがって、構成はきわめてシンプルであり、安全である。
【0017】
蛇口を開栓し、水が流れ出すとこの水12を水受け8に受けて水車2が回りはじめる。
図3は、注水開始前の浴槽13に水位報知器1を取り付けた状態を示している。吊糸10の一端にある浮き3を最も下方に吊り下げ、他端にある鈴4を吊糸支持部9の位置まで吊り上げている。この状態では、鈴4は水車2の上方に位置し、回転する水車2とは離間している。
図4は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き3が浮力によって浮上するのにともない、鈴4の重みで吊糸10が引っ張られて鈴4が下降し、鈴4が水車2と接触する。回転する水車2との接触によって鈴4の音が発生する。鈴音が別室にいても聞き逃すことのないように、鈴の大きさや鈴の個数を適宜決めればよい。音を止めるには、蛇口を閉栓するだけでよく、作動停止スイッチのようなものは必要としない。
このように、水位報知器1は構成も使用法もきわめて簡単である。
【0018】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は請求項4に係る発明に対応するものである。
第1の実施の形態では、水車2の回転軸6がホルダー5に設けた軸受けを通るため、水車2は定位置において回転していた。一方、この第2の実施の形態では、水車の位置は移動可能であって、音発生手段が常に定位置にある。
以下、図面を参照しながら、第2の実施の形態の水位報知器31について説明する。
【0019】
まず、図5を参照しながら、水位報知器31の構成について説明する。
水位報知器31は、水車32と、浮き33と、鈴34と、これらを支持するホルダー35を備えている。ホルダー35によって、水位報知器31は所定の箇所に取り付けられる。
ホルダー35は水道のパイプ11に被せることができるように断面がU字型をしている。
ホルダー35の長手方向の蛇口に近い箇所に水車支持部(請求項4の回転体支持部に相当)37を設け、反対側に吊糸支持部39を設けている。また、この実施の形態では、鈴34は、ホルダー35の固定位置に取り付けられている。
この水車支持部37と水車32の回転軸36とを連結棒38で連結する一方、吊糸支持部39に吊糸40を通し、この吊糸40の一端に浮き33を設け、他端は水車32の回転軸36(或いは連結棒38の動作上適切な箇所)に止着する。ホルダー35の蛇口寄りには鈴34を吊り下げる。連結棒38は水車支持部37を支点として揺動するので、浮き33の位置に応じて、水車32の位置が変化する。
【0020】
次に水位報知器31の使用の仕方について、図面を参照しながら説明する。
浴槽13の水道のパイプ11にホルダー35を取り付ける。ホルダー35は断面がU字型なので上下を逆にしてパイプ11に被せるようにすれば水位報知器31を固定できる。固定したときに安定するようにホルダー35の内側には適宜ゴムを貼るなどの滑り止めを施しておくとよい。
図6に示すように、注水開始前は、浮き33を下方に引っ張り、水車32を吊り上げておく。この状態では、水車32の水受けが水道の水12を受けても受けなくてもいずれでもよい。いずれにしても、水車32は鈴34と離間しているので鈴音は発生しないからである。
【0021】
図7は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き33が浮力によって重さがゼロになるので、水車32の重みで吊糸40が引っ張られ、水車32は、連結棒38が垂直になった状態まで移動する。この状態で水車32は、水道の水12を受けることができ、かつ、鈴34と接触する。水車32は回転を始め、水車32と鈴34とが接触して鈴34の音が発生する。
注水が所定の水位に達したときの回転軸36(吊糸40の他端が回転軸36以外の連結棒38上に止着されているときは、その止着箇所)と吊糸支持部39との距離をM1、吊糸支持部39から所定の水位のときの水面までの垂線の長さをM2とすると、吊糸40の長さはM1+M2となる。M1の値は一定なので、吊糸の長さは、所定の水位に応じて調整する。
【0022】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は請求項5に係る発明に対応するものである。
この実施の形態は、水車の位置は移動可能であって、音発生手段が常に定位置にある点において第2の実施の形態と共通する。しかし、この実施の形態では、音発生手段がホルダーに固定されているのではなく、水車側つまり水車自体あるいは連結棒に固定されている点で相違する。以下、図面を参照しながら、第3の実施の形態の水位報知器51について説明する。なお、図中、第2の実施の形態と同一の機能については同一の符号を用いる。
【0023】
まず、図8を参照しながら、水位報知器51の構成について説明する。
水位報知器51は、水車32と、浮き33と、これらを支持するホルダー35を備えている。ホルダー35によって、水位報知器51は所定の箇所に取り付けられる。
ホルダー35は水道のパイプ11に被せることができるように断面がU字型をしている。
ホルダー35の長手方向の蛇口に近い箇所に水車支持部(請求項5の回転体支持部に相当)37を設け、反対側に吊糸支持部39を設けている。
この水車支持部37と水車32の回転軸36とを連結棒38で連結する一方、吊糸支持部39に吊糸40を通し、この吊糸40の一端に浮き33を設け、他端は水車32の回転軸36(或いは連結棒38の動作上適切な箇所)に止着する。連結棒38は水車支持部37を支点として揺動するので、浮き33の位置に応じて、水車32の位置が変化する。
【0024】
この実施の形態では、鈴52は、ホルダー35ではなく、連結棒38に固定されている。
図9に示すように、連結棒38のホルダー35寄りに鈴吊下部53を設け、鈴52の吊下紐54の一端を鈴吊下部53に止着する。鈴52の吊下紐54を連結棒38に直接止着しないのは、鈴52を連結棒38に接触させないようにし、連結棒38の位置の変化に応じて鈴52が不用意に鳴るのを防ぐためである。また、接触することにより、十分な音量の鈴音が得られなくなることを防ぐためである。
【0025】
次に水位報知器51の使用の仕方について、図面を参照しながら説明する。
浴槽13の水道のパイプ11にホルダー35を取り付ける。図10に示すように、注水開始前は、浮き33を下方に引っ張り、水車32を吊り上げておく。この状態では、鈴52は水車32と接触してもかまわないが、水車32の水受けが水道の水12を受けることのないように注意が必要である。水12を受けると水車32が回転を始め、鈴52の鈴音が発生するからである。浴槽13への給水が進み、水位が上昇するにつれ水車32および連結棒38とともに鈴52も一体となって移動するが、水車32が水12に当らない間は水車32は回転しないので、鈴52が振動して鈴音を発生させることはない。
【0026】
図11は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き33が浮力によって重さがゼロになるので、水車32の重みで吊糸40が引っ張られ、水車32は、連結棒38が垂直になった状態まで移動する。この状態で鈴52は水車32の真上から吊り下がり、鈴52と水車32とが接触する。同時に水車32は、水道の水12を受けて回転を始めるので、回転する水車32と鈴52との接触により、或いは水車32の回転にともなう鈴52の振動により、鈴音が発生する。
【0027】
以上、第1、第2および第3の実施形態をもとに本発明の説明をしてきたが、これらの実施の形態は例示にすぎず、本発明を実現する構成として種々の変形例が考えられ、それらの変形例も本発明の範囲にある。
以下、そうした変形例のいくつかを記す。
【0028】
第1の実施の形態の変形として、ホルダーを水車小屋(請求項3にいう箱の一種)の形状にしてもよい。水車小屋の屋根が開閉し、水道のパイプを挟むとロックする。使用していないときは、水車や浮きなどを水車小屋の内部に収納して置物として飾ることもできる。
このようにホルダーを水車小屋などの形状にしたりするだけでなく、浮きの形状に意匠的な工夫をしたり、吊糸支持部に魚をデフォルメした飾りを付加したり、水車の回転により人形が鐘を叩くようにしたりすることで幼い子どもの好む玩具としての側面を持たせることもできる。
【0029】
回転体は水車に限らず、プロペラでもよい。あるいは、水車などの回転軸の周囲に羽根を取り付けてもよい。要は、水の力を動力に代えるものであれば、水車に限定しない。
前記の実施の形態では、水車のみを使用しているが、水車と回転軸を共有する羽根車を併用し、流水は水車で受け、鈴は羽根車に接触して音を発生させてもよい。
【0030】
音発生手段として使用する鈴の個数は1個以上何個でもよい。鈴の音の響きをよくするために、鈴が接触する水車の水受けの部分などに反響板を用いてもよい。また、ホルダーを水車小屋などの箱状にする場合、これらの筐体に反響板の効果を持たせることもできる。
さらに、音発生手段つまり音源として、鈴の代わりに、何らかの音が出る面白いアイテム(太鼓、木琴・鉄琴などを含む)を用いてもよい。
【0031】
第3の実施の形態では、鈴は連結棒に固定されていたが、直接水車に固定されていてもよい。例えば、水車に直接鈴を取り付け、流水を受けて水車が回転を始めると、その回転によって鈴が振動し、鈴音が発生する。あるいは、鈴の代りに鐘を水車に取り付けるとともに、連結部材にハンマーを取り付けて、水車の回転に伴い鐘とハンマーが相互に接触することによって鳴動させる、といった方法も考えられる。ここで、ハンマーの取り付け箇所は連結部材に限らず、ホルダーに取り付けてもよい。
【0032】
本発明の水位報知器は水道のパイプに取り付けるだけでなく、ホルダーを浴槽の縁に引っ掛けたり、浴室の壁に取り付けてもよい。あるいは、浴槽の脇が平坦であれば、そこに置いてもよく、天井から吊り下げてもよい。ただし、取り付け方法によって、ホルダーの形状は適宜変更しなくてはならないことは言うまでもない。また、水道のパイプの代りに、給湯器のパイプに取り付け、水車が流れる湯水を受けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
家庭に備えておくと便利な生活用品として、ホームセンターなどでの販売、浴槽メーカーのショールームでの展示・販売が期待できる。また、実用的な側面のある浴室内装飾品や玩具として、玩具メーカーなどによる製造・販売も期待できる。
【符号の説明】
【0034】
1:水位報知器、2:回転体(水車)、3:浮き、4:音発生手段(鈴)、5:ホルダー、6:回転軸、7:円板、8:水受け、9:吊糸支持部、10:吊糸、
11:水道のパイプ、12:水道の水、13:浴槽、
31:水位報知器、32:回転体(水車)、33:浮き、34:音発生手段(鈴)、35:ホルダー、36:回転軸、37:回転体(水車)支持部、38:連結部材(連結棒)、39:吊糸支持部、40:吊糸、
51:水位報知器、52:音発生手段(鈴)、53:鈴吊下部、54:吊下紐
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭用の浴槽に注水する際に、電源を使用することなく、所定の水位に達したことを音で知らせる水位報知器に関する。
【背景技術】
【0002】
風呂水が所定の水位に達したことを知らせる装置として、水位を検出するセンサーからの信号によってブザーなどを鳴動させる、電池を使用するものが多く見受けられ、この種の装置は、特許文献1,2など数多く開示されている。
水の中で電気を利用するのであるから、厳重な防水対策が必要となるし、センサーおよびブザーをつなぐ等の回路設計も必要になる。これでは手軽な製品とは言えない。また、電池の交換時期に気を配るのも煩わしい。
【0003】
そのため、特許文献3には、電気をまったく使用せず、容器内にゼンマイ式のベルと、このベルの作動・停止を制御する振子形ストッパーを装着し、この容器と錘を線条にて連結した「水面検知警報器」が開示されている。特許文献4には、一切電源を必要とせず、本体となるシリンダーと、中央部に設けた空気穴に吹き口をあわせたホイッスルを配置したシリンダーカバー用永久磁石円盤と、頭頂部に永久磁石円盤を内蔵したピストン状のフロートから構成された「浴槽水位警報装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−183220号公報
【特許文献2】実用新案登録第3003667号公報
【特許文献3】実用新案登録第3001240号公報
【特許文献4】特開2009−229434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3および特許文献4の発明は、電源を使用しないので、構造が簡単であり、組み立てが容易かつコストも抑制できる。しかしながら、特許文献3の発明では、水面に容器を浮かせるので、蛇口をいっぱいに開き多量の水を噴出させる場合、水面が波立って容器が傾き、所定の水位になる前にストッパーがはずれて警報音が発生するおそれがある。また、動力源のゼンマイを巻き忘れてはならず煩わしい。
特許文献4の発明では、ホイッスルの発する音は継続しないので、音が鳴ったときに聞き逃すと所定の水位に達したことに気づかない。つまりこれらは、簡便性は満たされてはいるが、性能面で安定性を欠く。
そのため、本発明は、構造がシンプルであるが、誤動作が少なく、所定の水位になっても注水を止めない間は音が鳴り続ける水位報知器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の水位報知器は、
浴槽への注水時に所定の水位に達したことを知らせる水位報知器であって、水道の蛇口からの流水を受ける回転体(例えば、水車、プロペラ、羽根車など)と、一端に浮きを設けた吊糸と、音発生手段(例えば、鈴、太鼓、木琴・鉄琴など)と、取り付け箇所(例えば、水道のパイプ、浴槽の縁、浴室の壁など)に着脱自在に取り付けるためのホルダーを備え、浴槽に所定の水位まで注水されると浮きが浮上することによって、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触し、この接触により前記音発生手段を動作させることを特徴とする。
このように回転体を回転させる動力は流水なので、電源と電気回路が不要となり、水周りで使用しても安全である。また、装置の構成が単純なので、部品点数が少なく工数も費用も節減でき、しかも壊れにくい。
【0007】
本発明の水位報知器において、前記回転体の回転軸は前記ホルダーに設けた軸受けで支持されるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端には前記音発生手段が設けられ、前記浮きが浮上すると前記音発生手段が前記回転体に接触する位置まで移動するように構成するとよい。この構成では、前記ホルダーは箱状をなし、該水位報知器を使用していないときは、前記ホルダーの内部に前記回転体と前記吊糸と前記浮き及び前記音発生手段とを収納するようにしてもよい。
音発生手段は徐徐に移動していって、流水による回転体に接触して音を発生し、水位に達したことを知らせるわけである。
ここで、音発生手段の「移動」は、縦方向、横方向のいずれであってもよい。
箱状とは、内部に回転体などを収納できる空間があればよく、外観は、例えば水車小屋状にする等どのようなものでもよい。
【0008】
また、本発明の水位報知器は、前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記ホルダーには前記音発生手段が設けられ、
前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触するように構成してもよい。
あるいは、前記音発生手段を前記ホルダーではなく、前記回転体あるいは前記連結部材に設け、所定の水位に到達したときに前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が流水を受ける位置に変化し、流水を受けた前記回転体の回転にともない前記音発生手段が動作するように構成してもよい。
これにより、回転体の位置を移動可能とすることができ、構造の自由度が高まる。
「連結部材」には、後述する第2および第3の実施の形態の連結棒が該当するが、紐やワイヤでもよい。
【発明の効果】
【0009】
電気をいっさい使用せず簡単な構成の装置によって、所定の水位に達したことを報知できる。所定の水位に達した後は注水を止めるまで音が鳴り続けるので、注水中に別室にいても聞き漏らすことがなく、浴槽から水が溢れ出すことを防止できる。回転体を水車状にしたりすることで、単なる実用品にとどまらず、浴室内の装飾品や玩具のような楽しさを持たせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の水位検知の仕組みを説明する図である。
【図3】第1の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図4】第1の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【図5】第2の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図6】第2の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図7】第2の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【図8】第3の実施の形態の水位報知器の斜視図である。
【図9】第3の実施の形態の鈴が水車側に取り付けられている状態を例示する図である。
【図10】第3の実施の形態の水位報知器を注水前の浴槽で使用する状態を示す概観図である。
【図11】第3の実施の形態の水位報知器を所定の水位に達した浴槽で使用中の状態を示す概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
浴槽に注水時、所定の水位に達したことを知らせるという目的を、流水で回転する回転体を動力とし、浮きが浮力の作用で浮かび上がることによって、この浮きと吊糸で連結された回転体あるいは音発生手段のいずれかの位置が移動して回転体と音発生手段とが接触し、この接触によって音が発生する水位報知器で実現した。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。下記の実施の形態では、回転体として水車を用い、音発生手段として鈴を用いている。また、取り付け箇所は、水道のパイプとする。
【0012】
(第1の実施の形態)
この実施の形態は請求項2に係る発明に対応するものである。
まず、図1を参照しながら、本実施の形態の水位報知器1の構成について説明する。
【0013】
水位報知器1は、水車2と、浮き3と、鈴4と、これらを支持するホルダー5を備えている。
ホルダー5によって、水位報知器1は水道のパイプに取り付けられる
ホルダー5は、水道のパイプに被せることができるように板材を断面がU字型になるように湾曲させたものである。パイプと接触する内側の部分には適宜ゴムなどを貼り付けておくと滑り止めになり、水位報知器1を水道のパイプに確り固定させるこことができる。
ホルダー5のU字型を構成する側面の対向する箇所にそれぞれ軸受けを設け、この2個の軸受けに水車2の回転軸6を通す。したがって、水車2はホルダー5に対して常に固定位置にある。水車2は2枚の円板7と水受け8を備える。
なお、ホルダー5と水車2の素材は特に限定しない。樹脂や金属でもよく、木材などの自然素材でもよい。ただし、衛生的であることが望まれる浴槽で使用するので、いずれの素材を用いる場合も、抗菌・抗カビや有害物質の排除に考慮しなければならない。この点は、下記の実施の形態においても同様である。
【0014】
吊糸支持部9をホルダー5に設け、この吊糸支持部9に釣り糸のような水を吸収しにくく、水に対する抵抗の小さい素材の吊糸10を通す。吊糸10の一端には浮き3を設ける。他端には、鈴4を設ける。
浮き3は鈴4よりも重くし、同体積の水よりも軽くする。また、吊糸10の重さは考慮しないものとする。
【0015】
ここで、図2を参照しながら、吊糸10の長さについて説明する。
図2は吊糸の長さについて説明する図であるから、水車などは省略されている。
吊糸10の長さをL1とし,注水前は、浮き3は浴槽の深さH1のところに吊り下げられているとする。注水により水位が上昇するにつれ、浮き3全体が水中に浸かり、浮力によって吊糸10を引っ張る力がゼロになる。吊糸10は鈴4の重さに引っ張られ浮きが浮上した分の長さだけ鈴4は下降する。このように、浴槽内の水位が上昇するにつれ、鈴4が徐々に下降する。
さらに注水を続け、設定した水位H2に達すると、吊糸支持部9から水面までの吊糸10の長さがL2になり、鈴4は、(L1−L2)だけ下降する。鈴4が水車2と接触する位置は、吊糸支持部9からSだけ下方にあるとすると、S=(L1−L2)が成り立つならば、水位がH2に達したときに鈴4は、回転する水車2と接触し鳴り始める。
吊糸10の長さL1は、SとH2によって決定する。Sの値は一定なので、所定の水位H2に応じて長さL1を調整すればよい。
鈴4が下降しすぎないように、吊糸10の鈴4側から(L1−L2)よりやや浮き3に近い側に図示しないストッパーを付加してもよい。
なお、吊糸支持部9は、吊糸10が滑らかに通過できるものであればよく、例えば、ホルダー5に取り付けたフック状のものでもよい。
【0016】
次に水位報知器1の使用の仕方について、図3及び図4を参照しながら説明する。
浴槽の水道のパイプ11にホルダー5を取り付ける。この実施形態のホルダー5は断面がU字型なので上下を逆にしてパイプ11に被せるだけで簡単に水位報知器1を固定できる。なお、ホルダー5はパイプ11にぐらつかないように水位報知器1を着脱自在に取り付け可能であればどのような形態でもよく、その形態に応じた取り付け方がある。
パイプ11にホルダー5を取り付ける際、水道の蛇口から流れる水12を受けることのできる位置に水車2を配置すると、流水によって水車2は回転を始める。
このように水位報知器1は水道の水12を動力源とするので、電源を使用するタイプの装置のように電池および電気回路が不要である。したがって、構成はきわめてシンプルであり、安全である。
【0017】
蛇口を開栓し、水が流れ出すとこの水12を水受け8に受けて水車2が回りはじめる。
図3は、注水開始前の浴槽13に水位報知器1を取り付けた状態を示している。吊糸10の一端にある浮き3を最も下方に吊り下げ、他端にある鈴4を吊糸支持部9の位置まで吊り上げている。この状態では、鈴4は水車2の上方に位置し、回転する水車2とは離間している。
図4は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き3が浮力によって浮上するのにともない、鈴4の重みで吊糸10が引っ張られて鈴4が下降し、鈴4が水車2と接触する。回転する水車2との接触によって鈴4の音が発生する。鈴音が別室にいても聞き逃すことのないように、鈴の大きさや鈴の個数を適宜決めればよい。音を止めるには、蛇口を閉栓するだけでよく、作動停止スイッチのようなものは必要としない。
このように、水位報知器1は構成も使用法もきわめて簡単である。
【0018】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は請求項4に係る発明に対応するものである。
第1の実施の形態では、水車2の回転軸6がホルダー5に設けた軸受けを通るため、水車2は定位置において回転していた。一方、この第2の実施の形態では、水車の位置は移動可能であって、音発生手段が常に定位置にある。
以下、図面を参照しながら、第2の実施の形態の水位報知器31について説明する。
【0019】
まず、図5を参照しながら、水位報知器31の構成について説明する。
水位報知器31は、水車32と、浮き33と、鈴34と、これらを支持するホルダー35を備えている。ホルダー35によって、水位報知器31は所定の箇所に取り付けられる。
ホルダー35は水道のパイプ11に被せることができるように断面がU字型をしている。
ホルダー35の長手方向の蛇口に近い箇所に水車支持部(請求項4の回転体支持部に相当)37を設け、反対側に吊糸支持部39を設けている。また、この実施の形態では、鈴34は、ホルダー35の固定位置に取り付けられている。
この水車支持部37と水車32の回転軸36とを連結棒38で連結する一方、吊糸支持部39に吊糸40を通し、この吊糸40の一端に浮き33を設け、他端は水車32の回転軸36(或いは連結棒38の動作上適切な箇所)に止着する。ホルダー35の蛇口寄りには鈴34を吊り下げる。連結棒38は水車支持部37を支点として揺動するので、浮き33の位置に応じて、水車32の位置が変化する。
【0020】
次に水位報知器31の使用の仕方について、図面を参照しながら説明する。
浴槽13の水道のパイプ11にホルダー35を取り付ける。ホルダー35は断面がU字型なので上下を逆にしてパイプ11に被せるようにすれば水位報知器31を固定できる。固定したときに安定するようにホルダー35の内側には適宜ゴムを貼るなどの滑り止めを施しておくとよい。
図6に示すように、注水開始前は、浮き33を下方に引っ張り、水車32を吊り上げておく。この状態では、水車32の水受けが水道の水12を受けても受けなくてもいずれでもよい。いずれにしても、水車32は鈴34と離間しているので鈴音は発生しないからである。
【0021】
図7は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き33が浮力によって重さがゼロになるので、水車32の重みで吊糸40が引っ張られ、水車32は、連結棒38が垂直になった状態まで移動する。この状態で水車32は、水道の水12を受けることができ、かつ、鈴34と接触する。水車32は回転を始め、水車32と鈴34とが接触して鈴34の音が発生する。
注水が所定の水位に達したときの回転軸36(吊糸40の他端が回転軸36以外の連結棒38上に止着されているときは、その止着箇所)と吊糸支持部39との距離をM1、吊糸支持部39から所定の水位のときの水面までの垂線の長さをM2とすると、吊糸40の長さはM1+M2となる。M1の値は一定なので、吊糸の長さは、所定の水位に応じて調整する。
【0022】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は請求項5に係る発明に対応するものである。
この実施の形態は、水車の位置は移動可能であって、音発生手段が常に定位置にある点において第2の実施の形態と共通する。しかし、この実施の形態では、音発生手段がホルダーに固定されているのではなく、水車側つまり水車自体あるいは連結棒に固定されている点で相違する。以下、図面を参照しながら、第3の実施の形態の水位報知器51について説明する。なお、図中、第2の実施の形態と同一の機能については同一の符号を用いる。
【0023】
まず、図8を参照しながら、水位報知器51の構成について説明する。
水位報知器51は、水車32と、浮き33と、これらを支持するホルダー35を備えている。ホルダー35によって、水位報知器51は所定の箇所に取り付けられる。
ホルダー35は水道のパイプ11に被せることができるように断面がU字型をしている。
ホルダー35の長手方向の蛇口に近い箇所に水車支持部(請求項5の回転体支持部に相当)37を設け、反対側に吊糸支持部39を設けている。
この水車支持部37と水車32の回転軸36とを連結棒38で連結する一方、吊糸支持部39に吊糸40を通し、この吊糸40の一端に浮き33を設け、他端は水車32の回転軸36(或いは連結棒38の動作上適切な箇所)に止着する。連結棒38は水車支持部37を支点として揺動するので、浮き33の位置に応じて、水車32の位置が変化する。
【0024】
この実施の形態では、鈴52は、ホルダー35ではなく、連結棒38に固定されている。
図9に示すように、連結棒38のホルダー35寄りに鈴吊下部53を設け、鈴52の吊下紐54の一端を鈴吊下部53に止着する。鈴52の吊下紐54を連結棒38に直接止着しないのは、鈴52を連結棒38に接触させないようにし、連結棒38の位置の変化に応じて鈴52が不用意に鳴るのを防ぐためである。また、接触することにより、十分な音量の鈴音が得られなくなることを防ぐためである。
【0025】
次に水位報知器51の使用の仕方について、図面を参照しながら説明する。
浴槽13の水道のパイプ11にホルダー35を取り付ける。図10に示すように、注水開始前は、浮き33を下方に引っ張り、水車32を吊り上げておく。この状態では、鈴52は水車32と接触してもかまわないが、水車32の水受けが水道の水12を受けることのないように注意が必要である。水12を受けると水車32が回転を始め、鈴52の鈴音が発生するからである。浴槽13への給水が進み、水位が上昇するにつれ水車32および連結棒38とともに鈴52も一体となって移動するが、水車32が水12に当らない間は水車32は回転しないので、鈴52が振動して鈴音を発生させることはない。
【0026】
図11は、注水が所定の水位に達した状態を示している。
浮き33が浮力によって重さがゼロになるので、水車32の重みで吊糸40が引っ張られ、水車32は、連結棒38が垂直になった状態まで移動する。この状態で鈴52は水車32の真上から吊り下がり、鈴52と水車32とが接触する。同時に水車32は、水道の水12を受けて回転を始めるので、回転する水車32と鈴52との接触により、或いは水車32の回転にともなう鈴52の振動により、鈴音が発生する。
【0027】
以上、第1、第2および第3の実施形態をもとに本発明の説明をしてきたが、これらの実施の形態は例示にすぎず、本発明を実現する構成として種々の変形例が考えられ、それらの変形例も本発明の範囲にある。
以下、そうした変形例のいくつかを記す。
【0028】
第1の実施の形態の変形として、ホルダーを水車小屋(請求項3にいう箱の一種)の形状にしてもよい。水車小屋の屋根が開閉し、水道のパイプを挟むとロックする。使用していないときは、水車や浮きなどを水車小屋の内部に収納して置物として飾ることもできる。
このようにホルダーを水車小屋などの形状にしたりするだけでなく、浮きの形状に意匠的な工夫をしたり、吊糸支持部に魚をデフォルメした飾りを付加したり、水車の回転により人形が鐘を叩くようにしたりすることで幼い子どもの好む玩具としての側面を持たせることもできる。
【0029】
回転体は水車に限らず、プロペラでもよい。あるいは、水車などの回転軸の周囲に羽根を取り付けてもよい。要は、水の力を動力に代えるものであれば、水車に限定しない。
前記の実施の形態では、水車のみを使用しているが、水車と回転軸を共有する羽根車を併用し、流水は水車で受け、鈴は羽根車に接触して音を発生させてもよい。
【0030】
音発生手段として使用する鈴の個数は1個以上何個でもよい。鈴の音の響きをよくするために、鈴が接触する水車の水受けの部分などに反響板を用いてもよい。また、ホルダーを水車小屋などの箱状にする場合、これらの筐体に反響板の効果を持たせることもできる。
さらに、音発生手段つまり音源として、鈴の代わりに、何らかの音が出る面白いアイテム(太鼓、木琴・鉄琴などを含む)を用いてもよい。
【0031】
第3の実施の形態では、鈴は連結棒に固定されていたが、直接水車に固定されていてもよい。例えば、水車に直接鈴を取り付け、流水を受けて水車が回転を始めると、その回転によって鈴が振動し、鈴音が発生する。あるいは、鈴の代りに鐘を水車に取り付けるとともに、連結部材にハンマーを取り付けて、水車の回転に伴い鐘とハンマーが相互に接触することによって鳴動させる、といった方法も考えられる。ここで、ハンマーの取り付け箇所は連結部材に限らず、ホルダーに取り付けてもよい。
【0032】
本発明の水位報知器は水道のパイプに取り付けるだけでなく、ホルダーを浴槽の縁に引っ掛けたり、浴室の壁に取り付けてもよい。あるいは、浴槽の脇が平坦であれば、そこに置いてもよく、天井から吊り下げてもよい。ただし、取り付け方法によって、ホルダーの形状は適宜変更しなくてはならないことは言うまでもない。また、水道のパイプの代りに、給湯器のパイプに取り付け、水車が流れる湯水を受けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
家庭に備えておくと便利な生活用品として、ホームセンターなどでの販売、浴槽メーカーのショールームでの展示・販売が期待できる。また、実用的な側面のある浴室内装飾品や玩具として、玩具メーカーなどによる製造・販売も期待できる。
【符号の説明】
【0034】
1:水位報知器、2:回転体(水車)、3:浮き、4:音発生手段(鈴)、5:ホルダー、6:回転軸、7:円板、8:水受け、9:吊糸支持部、10:吊糸、
11:水道のパイプ、12:水道の水、13:浴槽、
31:水位報知器、32:回転体(水車)、33:浮き、34:音発生手段(鈴)、35:ホルダー、36:回転軸、37:回転体(水車)支持部、38:連結部材(連結棒)、39:吊糸支持部、40:吊糸、
51:水位報知器、52:音発生手段(鈴)、53:鈴吊下部、54:吊下紐
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽への注水時に所定の水位に達したことを知らせる水位報知器であって、水道の蛇口からの流水を受ける回転体と、一端に浮きを設けた吊糸と、音発生手段と、取り付け箇所に着脱自在に取り付けるためのホルダーを備え、
浴槽に所定の水位まで注水されると浮きが浮上することによって、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触し、この接触により前記音発生手段を動作させることを特徴とする水位報知器。
【請求項2】
前記回転体の回転軸は前記ホルダーに設けた軸受けで支持されるとともに、
前記吊糸は前記ホルダーに設けた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端には前記音発生手段が設けられ、前記浮きが浮上すると前記音発生手段が前記回転体に接触する位置まで移動することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【請求項3】
前記ホルダーは箱状をなし、該水位報知器を使用していないときは、前記ホルダーの内部に前記回転体と前記吊糸と前記浮き及び前記音発生手段とを収納することを特徴とする請求項2に記載の水位報知器。
【請求項4】
前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記ホルダーには前記音発生手段が設けられ、
前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【請求項5】
前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記回転体あるいは前記連結部材には前記音発生手段が設けられ、
所定の水位に到達したときに前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が流水を受ける位置に変化し、流水を受けた前記回転体の回転にともない前記音発生手段が動作することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【請求項1】
浴槽への注水時に所定の水位に達したことを知らせる水位報知器であって、水道の蛇口からの流水を受ける回転体と、一端に浮きを設けた吊糸と、音発生手段と、取り付け箇所に着脱自在に取り付けるためのホルダーを備え、
浴槽に所定の水位まで注水されると浮きが浮上することによって、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触し、この接触により前記音発生手段を動作させることを特徴とする水位報知器。
【請求項2】
前記回転体の回転軸は前記ホルダーに設けた軸受けで支持されるとともに、
前記吊糸は前記ホルダーに設けた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端には前記音発生手段が設けられ、前記浮きが浮上すると前記音発生手段が前記回転体に接触する位置まで移動することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【請求項3】
前記ホルダーは箱状をなし、該水位報知器を使用していないときは、前記ホルダーの内部に前記回転体と前記吊糸と前記浮き及び前記音発生手段とを収納することを特徴とする請求項2に記載の水位報知器。
【請求項4】
前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記ホルダーには前記音発生手段が設けられ、
前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が変化し、流水を受けて回転する前記回転体と前記音発生手段とが接触することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【請求項5】
前記ホルダーに回転体支持部を設け、この回転体支持部を支点として揺動可能な連結部材を前記回転体の回転軸と連結させるとともに、前記吊糸は前記ホルダーに設けられた吊糸支持部を挿通し、前記吊糸の他端は前記連結部材に止着されている一方、
前記回転体あるいは前記連結部材には前記音発生手段が設けられ、
所定の水位に到達したときに前記浮きが浮上することによって前記回転体の位置が流水を受ける位置に変化し、流水を受けた前記回転体の回転にともない前記音発生手段が動作することを特徴とする請求項1に記載の水位報知器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−2653(P2012−2653A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137425(P2010−137425)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(510168472)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(510168472)
【Fターム(参考)】
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