説明

水位弁作動確認装置

【課題】水位弁の作動確認が短時間に行える水位弁作動確認装置を提供する。
【解決手段】水位弁作動確認装置は、水槽内に備えられた水位弁の傾動自在のフロートを浮かべるために水を貯える抱持容器と、水を貯えた上記抱持容器を上記フロートを浮かべる位置まで移動させる移動機構と、を有する。上記移動機構は、両端が軸受により回転自在に支持され、長手方向の中間部に螺旋が設けられる支持レールと、上記支持レールに並列し、両端が上記軸受に固定される案内棒と、上記支持レールの中間部に噛合する螺旋穴および上記案内棒が貫通する孔が設けられ、外縁に上記抱持容器が固定される移動ナットと、上記支持レールを回転させるハンドルと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯水槽内に備えられる水位弁の作動確認のための水位弁作動確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯水槽には満水などの事故を防止するため、所定の水位に貯水が達したとき給水を停止する水位弁が貯水槽内に備えられている。この水位弁は、浮力によるフロートの動きに伴い弁が作動される機構を有している。そして、貯水槽の定期清掃時や点検時に作動確認が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−30324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水位弁の作動確認のために水をフロートが作動するまで供給しなければならないので、大容量の貯水槽などでは貯水に長い時間が必要となり、作動確認に手間が掛かるという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、水位弁の作動確認が短時間に行える水位弁作動確認装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の水位弁作動確認装置は、水槽内に備えられた水位弁の傾動自在のフロートを浮かべるために水を貯える抱持容器と、水を貯えた上記抱持容器を上記フロートを浮かべる位置まで移動させる移動機構と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の水位弁作動確認装置の効果は、抱持容器を満たすに充分な水位まで貯水槽に水を貯めればよいので、水を貯める時間が短くなり、作動確認が手早く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明の実施の形態に係わる水位弁作動確認装置が備えられる貯水槽の断面図である。
なお、以下の説明において水が貯えられる貯水槽を例にあげているが、水以外の液体が貯えられる貯液槽であっても本発明を適用できる。
貯水槽1には、貯水槽1内に水が供給される給水口3、一端が給水口3に接続され、他端が水管5に接続される水位弁7が備えられている。
また、貯水槽1は、直方体の上面に開口部9が設けられている。
水位弁7は、貯水槽1の水位が所定の上限に達したとき、水から受ける浮力により上方に押し上げられるフロート11、フロート11を傾動可能に支持するフロート用レバー13、フロート用レバー13に連結する弁部15から構成されている。
水位弁7は、フロート11が水の浮力により上方に押し上げられると、フロート用レバー13に力が加わり、フロート用レバー13が弁部15を閉めるように働き、給水口3からの水の供給を停止する。
【0009】
水位弁作動確認装置17は、水が貯えられている抱持容器19、抱持容器19を上下に移動させ、貯水槽1の底21から縦立し、頂部が開口部9から外側に突き出るように配設される移動機構23から構成されている。
そして、移動機構23は、底21に置かれ、鉛直方向に中心軸を有する第1の軸受25、第1の軸受25に回転自在に、鉛直方向に支持される支持レール27、第1の軸受25の周縁部に固定され、支持レール27に並列して縦立する案内棒29、支持レール27の上端部を回転自在に支持し、案内棒29を周縁部にて固定する第2の軸受31から構成される。支持レール27は、その長手方向の中間部に螺旋が設けられている。
さらに、移動機構23は、支持レール27の第2の軸受31から上方に突き抜けた部分に一端が固着され、支持レール27を回転させるハンドル33、支持レール27の螺旋が設けられた中間部に噛合し、貫通する案内棒29により鉛直方向に案内される移動ナット35を有している。移動ナット35は、中央に螺旋穴39が螺設され、その螺旋穴39の周辺に貫通孔41が貫通されている。
【0010】
抱持容器19は、移動ナット31の外縁に固着されている。この抱持容器19の内容積は、フロート11の体積より大きくなっているが、貯水槽1の内容積に比べ非常に小さい。そして、抱持容器19の深さは、フロート11が抱持容器19に貯えられた水に浮いているとき、抱持容器19の底37がフロート11に当接しない程度にしてある。
【0011】
次に、水位弁作動確認装置17の動作について図1と図2とを参照して説明する。
貯水槽1を排水して清掃を行った後、水位弁作動確認装置17を貯水槽1の開口部9から貯水槽1の底21に載置する。次に、手で第2の軸受31を掴んで回転しないようにしながら、ハンドル33を廻して抱持容器19を貯水槽1の底21に近づくように降下させる。そして、水管5に水を通して、貯水槽1内に水を貯める。抱持容器19の深さまで貯水槽1に水が貯まると、図1に示すように、抱持容器19内に水が流れ込み、抱持容器19は水で満たされる。
次に、手で第2の軸受31を掴んで回転しないようにしながら、ハンドル33を逆に廻して抱持容器19を水が満たされたまま上昇させる。そして、抱持容器19が図2に示す位置まで持ち上げられると、フロート11が水からの浮力により図2の点線の位置から実線の位置まで上方に押し上げられる。
そして、フロート11が所定の位置まで押し上げられると、フロート用レバー13が起きあがり、弁部15が閉められる。
このようにして、水位弁7が正常に作動して水の供給を遮断するか否かを確認できる。
【0012】
このような水位弁作動確認装置は、抱持容器を満たすに充分な水位まで貯水槽に水を貯めればよいので、水を貯める時間が短くなり、作動確認も手短に行える。
【0013】
なお、上述の説明では水位弁作動確認装置が清掃などの後に貯水槽内に持ち込まれる例をあげたが、貯水槽内に常時水位弁作動確認装置が据え付けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態に係わる水位弁作動確認装置が備えられる貯水槽の断面図である。
【図2】フロートが作動するまで抱持容器が持ち上げられた状態の貯水槽の断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 貯水槽、3 給水口、5 水管、7 水位弁、9 開口部、11 フロート、13 フロート用レバー、15 弁部、17 水位弁作動確認装置、19 抱持容器、21 底、23 移動機構、25、31 軸受、27 支持レール、29 案内棒、33 ハンドル、35 移動ナット、37 底、39 螺旋穴、41 貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に備えられた水位弁の傾動自在のフロートを浮かべるために水を貯える抱持容器と、
水を貯えた上記抱持容器を上記フロートを浮かべる位置まで移動させる移動機構と、
を有することを特徴とする水位弁作動確認装置。
【請求項2】
上記移動機構は、
両端が軸受により回転自在に支持され、長手方向の中間部に螺旋が設けられる支持レールと、
上記支持レールに並列し、両端が上記軸受に固定される案内棒と、
上記支持レールの中間部に噛合する螺旋穴および上記案内棒が貫通する孔が設けられ、外縁に上記抱持容器が固定される移動ナットと、
上記支持レールを回転させるハンドルと、
を有することを特徴とする請求項1に記載する水位弁作動確認装置。
【請求項3】
水槽内に据え付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載する水位弁作動確認装置。
【請求項4】
作動確認を行う度に水槽内に持ち込まれることを特徴とする請求項1または2に記載する水位弁作動確認装置。

【図1】
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【図2】
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