説明

水処理用抗菌処理材および水処理方法

【課題】本発明の課題は、飲料水や循環水などの清浄水に対し、一般細菌とともに従属栄養細菌の増殖を抑制することができ、しかも過不足ない一定濃度の銀イオンを溶出することにより、長期間抗菌効果が持続する抗菌水処理材およびそれを用いた水処理方法を提供することである。
【解決手段】銀系無機抗菌剤を1〜50質量%を含む樹脂組成物からなる成形体であり、1Lの水に1週間浸漬後のTOC値が1〜10ppmである水処理用抗菌処理材を用いることが有効であることを見出し、本発明を完成させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水への溶出成分の少ない樹脂に、銀系無機抗菌剤を練り込み加工した樹脂組成物からなる水処理用抗菌処理材とその製造方法に関する。また、本発明の水処理用抗菌処理材を各種の水に接触させることで、水中の従属栄養細菌の抗菌処理を行う水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理用の抗菌剤としては、用途や対象の水、通水量などにより様々なものが提案されている。例えば、水処理用として固液分離可能な任意の大きさのゼオライト粒子又はゼオライト系加工品に、ゼオライトの結晶構造を破壊しない程度のpHの処理液中で銀イオンを担持させてなる、水処理用銀担持抗菌剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、組成中に一価の銀イオンを含有する溶解性ガラスからなるガラス水処理材をクーリングタワー、貯水槽、プール、ソーラーシステム、および灌漑用水などに加えることでスライムや藻類などの水棲細菌および水棲生物の発生を防ぐ提案がされている。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
しかし、ゼオライト粒子をそのまま水に加えると、いくら粒子を固定してあっても長期使用には耐えられず、有効成分である銀以外にゼオライト粉末の粉落ちや脱落があるうえ、銀溶出量の変動が大きいため、銀濃度が安定しない。溶解性ガラスも同様で、有効成分である銀以外のガラス成分の溶解があるうえ、水溶液中の銀濃度の制御が難しい。水の入れ替えがないか少ない場合でもガラスは溶け続け、銀が継続して溶解し続けてしまうことで処理水中の銀濃度を著しく増加させる問題がある。飲料用途や循環水などの清浄な水に対しては、抗菌成分である微量な銀イオンのみを適量溶出し、必要以上の他の物質が溶出・溶解しないものが最適である。
【0004】
そこで、銀系無機抗菌剤をプラスチックなどに練り込んで使用することが提案されている。例えば、抗菌性能を有する金属または金属イオンをリン酸塩に担持させて得られる抗菌剤を繊維中に含有させた複数本の短繊維が絡み合った繊維塊からなる抗菌性水処理用媒体が提案されている。(例えば、特許文献3参照)しかし、抗菌剤と環境との平衡により溶出銀濃度を制御可能なイオン交換体ではないリン酸塩に銀を担持しても銀溶出濃度の制御はできない。また、短繊維では糸が解れて水に混入してしまう問題がある。
【0005】
水から汚染物質を除去するための水処理用フィルターにおいて、活性炭とともに抗菌性を有する金属イオンを担持したゼオライトを高分子量多孔質ポリマーからなるバインダーで固化したことを特徴とする水処理用フィルター(例えば、特許文献4参照)や銀を担持、結合させたリン酸ジルコニウム化合物と活性炭からなる抗菌性に優れた浄水剤(例えば、特許文献5参照)が開示されている。しかし、活性炭を用いると、黒色であることと汚染物質以外のものも吸着してしまうため用途が限定され、活性炭の吸着能が飽和すると汚染物質を水中に再放出するようになる問題がある。
【0006】
樹脂成分およびゼオライトやリン酸ジルコニムに銀を担持した抗菌性成分および親水性成分を含有する抗菌性樹脂組成物が水処理にも使用できるとの技術の開示もある。(例えば、特許文献6参照)しかし、本技術に関する具体的な水処理使用事例はもちろんのこと、持続性などの開示もされていない。その他、銀系無機抗菌剤、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン塩並びにポリオレフィン系樹脂を含む混合物を溶融混合して樹脂組成物を形成し、これに水処理を施すことで樹脂組成物を微細多孔としたことを特徴とする水棲菌の増殖を抑制する抗菌樹脂成形物が提案されている。(例えば、特許文献7参照)しかし、ポリオレフィンは親水性が低いため水処理により微細多孔が得られるのは成形品のごく表面近傍のみであることから、利用できるのは表面付近の銀だけであり、長期の持続性は得られない。
【0007】
また、平成20年4月1日から「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」が施行されたことに伴い、水質管理目標設定項目に「従属栄養細菌」が追加されたことにより、様々な水処理用抗菌材が知られている中でも、飲料用途や循環水などの清浄水の微生物汚染に関しては、これまで水質管理の必須項目となっていなかった従属栄養細菌に対して効果があるかどうかに注意する必要が生じた。従属栄養細菌とは、有機栄養物を比較的低濃度に含む培地を用いて低温で長時間培養したとき、培地に集落を形成するすべての菌のことである。水中には、自然の水環境を生息場所としている多数の細菌が存在し、これらは有機炭素濃度が数mg/L(リットル)以下といった低有機栄養環境下で生息しているため、それらの環境に適応して微量の有機物を利用できる能力を獲得している。そのため、一般細菌試験で用いられる標準寒天のような高濃度の有機栄養を含む培地では増殖できないか、あるいは増殖できたとしても集落を形成するほどには増殖できないものが多いため、従属栄養細菌の菌数測定には、専用のR2A寒天培地を使用する。R2A寒天培地は、水環境にあわせ、酵母エキス、カゼインペプトン等の有機栄養分を抑えた組成設計が成されており、更に、解毒およびH22消去作用を持つ溶性デンプン、ピルビン酸ナトリウムを添加することにより、広範な損傷菌の回復を可能にした培地である。R2A寒天培地は、上水道試験法やAmerican Public Health Association (APHA)により、従属栄養細菌の生菌数測定に用いる培地として推奨されている。
【0008】
従属栄養細菌は、水処理材に用いる樹脂、バインダーおよび活性炭などから水中に微量溶出する有機成分により繁殖が助長されてしまうことがあるので、水処理材を使用することによって、逆に従属栄養細菌が増えてしまう可能性もある。このように、清浄水における従属栄養細菌への対策も施した抗菌水処理材の技術は確立されているとは言えず、さらに、長期に渡って処理水中で一定の銀濃度を保つことのできる抗菌水処理材の実現は容易ではなく、満足のいくものは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−278715号公報
【特許文献2】特開昭62−210098号公報
【特許文献3】特開平8−155480号公報
【特許文献4】特開2006−95517号公報
【特許文献5】特開平7−222983号公報
【特許文献6】特開平11−21378号公報
【特許文献7】特開2008−174576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、飲料水や循環水などの清浄水に対し、従属栄養細菌の増殖を抑制することができ、しかも過不足ない一定濃度の銀イオンを溶出することにより、長期間抗菌効果が持続する抗菌水処理材およびそれを用いた水処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、銀系無機抗菌剤を1〜50質量%を含む樹脂組成物からなる成形体であり、1Lの水に1週間浸漬後のTOC値が1ppm〜10ppmの範囲内である水処理用抗菌処理材を用いることが有効であることを見出した。なお、TOCとは、全有機炭素(Total Organic Carbon)を意味し、JIS K 0102(工業排水試験方法)の 22.1に燃焼酸化−赤外線式のTOC分析法が規定されている。本発明におけるTOCとは、この定義に従い、TOC値のppm濃度は、上記のJISに規定する検体の水量1リットル当たりの有機体炭素濃度mg/Lを意味する。TOCは水中で酸化されうる有機物の全量を炭素の量で示したものであり、代表的な水質指標の一つである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水処理用抗菌処理材は、従属栄養細菌の繁殖を助長する溶出性有機物が少なく、しかも一定の銀濃度を持続的に水中に溶出することが可能である。従って、飲料水や循環水などの清浄水に対し、長期に使用しても従属栄養細菌の増殖を抑制するとともに、通水や水の消費などにより水の入れ替えがあっても、水中に抗菌作用に過不足ない銀イオン濃度を溶出させることで、長期に渡り水の微生物汚染を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】:一般的なウォーターサーバーの構造概念図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水処理用抗菌処理材は、銀系無機抗菌剤を1〜50質量%を含む樹脂組成物からなり、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gである成形体であり、その成形体の100gを1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1ppm〜10ppmの範囲内である水処理用抗菌処理材である。
【0015】
本発明における水処理とは、直接あるいは調理、混合、溶解等の工程を経た後に生体内に摂取される水(飲料水)や、循環冷却水や各種鑑賞用の水、食品薬品等のライン洗浄水などの無害、清潔を要求される水(以降は清浄水と呼ぶ)の抗菌をすることを意味し、本発明においては、上記の水に対し過不足ない一定濃度の銀イオンを溶出して抗菌処理することである。なお、抗菌処理とは、一般細菌および従属栄養細菌など細菌による微生物汚染を抑制する処理のことを意味する。すなわち、本発明の水処理用抗菌処理材とは、清浄水と接触させて清浄水の抗菌処理を行うものであり、一般細菌と従属栄養細菌との両方に抗菌効果を有するが、特には、従来有効な抗菌方法が知られていなかった清浄水中の従属栄養細菌の抗菌に効果の高いものである。
【0016】
本発明における水処理用抗菌処理材の比表面積は、大きいほうが接水面積が大きくなって銀の溶出速度が速くなり、多くの溶出銀濃度が得られるうえに、接水表面から遠い深部の抗菌剤が十分利用されないというおそれがないので好ましいが、比表面積を必要以上に大きくするためには、成形体が微粉末や極薄のフィルム、空隙率のきわめて大きな多孔体などの特殊な形状を取らざるを得なくなり、成形体を製造するのが難しくなるうえ、成形体自身の強度が小さくなるため、利用しにくくなる恐れがある。
【0017】
一方、比表面積が小さいものは厚く、強度が高いので変形して重なり合ったりする心配がなく好ましい。そこで、本発明における水処理用抗菌処理材の比表面積は5cm2/g〜100cm2/gであり、好ましくは10cm2/g〜50cm2/gである。成形体が多孔体でなければ、成形体としての処理材の寸法を用いて比表面積を算出することができる。成形体の比表面積が本発明で規定する範囲内であれば、成形体の形状に限定はないが、好ましくは水と接触させるうえで、処理水が流通しやすく、残留水が残りにくい点で板状、管状などの形状が好ましく、孔を開けて水の流通を良くしたものなども好ましく挙げることができる。成形体が板状、管状などの面を含む場合、面を構成する部分の平均厚さは0.04mm以上5mm以下となるものが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以上3mm以下である。さらに板状の成形体を渦巻型に成形したり、あるいは、通水カートリッジ等に充填しても、流水と干渉せず通水性を損ねないような好ましい意匠の成形体として使用する事ができる。
【0018】
本発明の水処理用抗菌処理材を成形するために用いる樹脂組成物は、銀系無機抗菌剤を1〜50質量%を含むことを必須とする他、樹脂成分を含むことが必須であるが、樹脂成分としては、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gである成形体として、その100gを1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1〜10ppmである樹脂を樹脂成分全体の50質量%以上含むものであることが好ましい。
【0019】
樹脂に由来するTOCは、樹脂中に含まれる残モノマーや有機系添加剤の種類や量および樹脂自体の親水度などにより主に左右される。残モノマーや有機系添加剤が多い場合はTOC値が高くなり、樹脂自体の本質的な親水性が高い場合も残モノマーや有機系添加剤が水中に溶出しやすくなるためTOC値が高くなる傾向があるが、このほかにも樹脂の分子量や添加剤、熱履歴など様々な要素でTOC値が決まるため、水処理剤として本発明で規定するTOC値を表す原料を規定することは困難である。したがって、実用的な水処理剤の製造方法としては、まず、用いる樹脂原料で本発明の水処理剤と同様な成形体を製造してTOC値を測定し、好ましい値を示す樹脂原料を選定し、次に銀系無機抗菌剤を加えて樹脂組成物とし、樹脂組成物を成形体として水処理剤を得る方法である。銀系無機抗菌体は無機の微粉体であるので樹脂への分散が容易でないことがあるが、その場合は、まず適当な樹脂に高濃度で分散させたマスターバッチを作製し、原料樹脂と溶有混合して成形する方法が好ましく用いられる。
【0020】
樹脂組成物に用いる樹脂成分が親水性の高いものであると、TOC値が高くなる傾向があり、溶出した有機成分は栄養となって従属栄養細菌が繁殖しやすくなるから、繁殖を抑えるためにはより多くの銀イオンを溶出させる必要があり、結果的に長寿命の水処理用抗菌処理材を得ることは難しくなる。
一方、樹脂組成物に親水性に乏しい樹脂成分を用いると、樹脂組成物成形体に由来するTOC値は低くなる傾向があるが、樹脂組成物成形体の接水表面から遠い成形体深部にある銀系無機抗菌剤の銀イオンは溶出しにくくなるため、成形体のごく表面付近の銀イオンが溶出してしまった後は、成形体からの銀の溶出速度が低下してしまい、長期にわたって一定の銀イオンを溶出する成形体を得ることが難しくなる。こうして、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gである成形体として、その100gを1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1〜10ppmである樹脂を本発明で用いる樹脂組成物を構成する樹脂成分全体の50質量%以上含むものであるときに、長期間安定した効果を示す水処理用抗菌処理材を得やすいことが見出された。
【0021】
本発明において用いる樹脂組成物は、樹脂成分として上記の範囲のTOC値を示す樹脂以外の樹脂を含んでも良い。その理由は、マスターバッチを用いる方法などでは、上記の範囲のTOC値を示す樹脂以外の樹脂を含む方が有利な場合があるからである。TOC値が1〜10ppmの範囲にない樹脂を併用するときは、樹脂成分全体の40質量%以下の使用量に留めることが好ましい。さらに好ましくは30質量%以下である。
【0022】
比表面積が5cm2/g〜100cm2/gである成形体として、その100gを1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1〜10ppmである樹脂の樹脂種類に制限はない。具体的な樹脂種類としては、天然樹脂、合成樹脂、半合成樹脂のいずれであってもよく、また熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。具体的な樹脂としては成形用樹脂、繊維用樹脂、ゴム状樹脂のいずれであってもよく、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアセタ−ル、ポリカ−ボネイト、PET,PBT、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタンエラストマ−、ポリエステルエラストマ−、メラミン、ユリア樹脂、四フッ化エチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、レ−ヨン、アセテ−ト、アクリル、ポリビニルアルコ−ル、キュプラ、トリアセテ−ト、ビニリデンなどの成形用または繊維用樹脂、天然ゴム、シリコ−ンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、ブタジエンゴム、合成天然ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムなどのゴム状樹脂がある。これらの樹脂の中でも、好ましいのはポリエステル、ポリスチレン、PET,PBT、ポリアセタ−ル、ポリカ−ボネイト、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂であり、さらにはメタクリル樹脂(PMMA)、スチレン樹脂(PSt)、スチレンメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)は、上記のTOC値が1〜10ppmのものが市販品として容易に入手でき、銀の溶出量が適量になるので好ましい。
【0023】
本発明の水処理用抗菌処理材に使用される樹脂は、標準水分率の制限はない。樹脂の標準水分率は、繊維製品の物理試験方法通則JIS L 0105:2006に定義される、絶乾状態(試験片を105℃プラスマイナス2℃の熱風乾燥機中に放置して恒量になった状態)の質量と、標準状態(温度20℃プラスマイナス2℃、相対湿度65%プラスマイナス4%)の状態で恒量となった試験片質量との差を標準水分量として、上記絶乾状態の質量を基に百分率で表したものであり、JIS L 1030−2:2005の表1にある繊維の公定水分率と同じ定義で用いることができる。一般的な樹脂の標準水分率としては、ポリプロピレン0.0、ポリエチレン0.0、塩ビ0.0、ビニリデン0.0、ポリエステル0.3−0.4、ウレタン1、アクリル1.2−2.0、ポリアセタール2.0、ポリアミド3.5−5.0、アセテート6−7、レーヨン12−14である。
【0024】
本発明に用いられる樹脂の標準水分率は、高い方が銀の溶出量が多くなり、抗菌効果は発現しやすくなるが、標準水分率の高い樹脂はTOC値も大きくなる傾向があるうえ、銀の溶出量があまり多いと変色の問題が起きやすくなる。一方で標準水分率が低い樹脂はTOC値は小さい傾向があるものの、銀溶出量が低くなり、抗菌効果は発現しにくくなるが変色の恐れは減少する。この効果は組み合わせる抗菌剤によっても大きく影響を受ける。以上の傾向を考慮すると、本発明で用いる樹脂組成物を構成する樹脂としては標準水分率0.1以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.3以上3質量%以下である。
【0025】
本発明で用いる銀系無機抗菌剤は、組成中に銀イオンを有する無機イオン交換体である。無機イオン交換体の成分や構造に制限はなく、リン酸ジルコニウム、チタン酸カリウム、ウラン酸カリウム、バナジン酸カリウム、ニオブ酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、モリブデン酸マグネシウム、ペンタホウ酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、リン酸アルミニウム、ヘキサシアノ鉄ニッケル、セピオライト、モンモリロナイト、ゼオライト、β−アルミナ、含水酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、五酸化アンチモンなどが例示される。この中でも、安全性が高く、高い銀イオン交換量があり、安定に銀イオンを保持することからリン酸ジルコニウムが好ましい。
【0026】
無機イオン交換体に銀イオンを交換することによって、銀担持無機イオン交換体としての銀系無機抗菌剤を製造することができる。無機イオン交換体への銀イオン交換量は、無機イオン交換体の種類にもよるが、1質量%以上が好ましい。1質量%以下の銀含有量では、イオン交換平衡で溶出する銀イオン濃度が低く、また銀の絶対量も少ないため、長期間安定に銀溶出濃度を保持することが難しい。より好ましい銀イオン交換量は、2モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上である。
【0027】
本発明における銀系無機抗菌剤として好ましい無機イオン交換体であるリン酸ジルコニウムには、非晶質のものと2次元層状構造や3次元網目状構造をとる結晶質のものがある。このなかでも3次元網目状構造をとる結晶質リン酸ジルコニウムは、耐熱性、耐薬品性、耐放射線性および低熱膨張性などに優れているのでさらに好ましく、なかでも、六方晶リン酸ジルコニウムに銀イオンを置換した銀置換リン酸ジルコニウムは、優れた抗菌効果を発現するばかりでなく、耐久性やイオン選択性、樹脂加工時の変色や安全性にも優れているので、より好ましい。
【0028】
六方晶リン酸ジルコニウムに銀イオンを置換した銀置換リン酸ジルコニウムは、下記式〔1〕で示される。
AgabZrcHfd(PO43・nH2O 〔1〕
上記式〔1〕において、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、水素イオンおよびオキソニウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、a、b、cおよびdは、1.75<c+d<2.25で、Mが1価の場合はa+b+4(c+d)=9を満たす数であり、Mが2価の場合は、a+2b+4(c+d)=9を満たす数であり、a、bおよびcは正数であり、dは0または正数であり、nは0または2以下の正数である
【0029】
上記式〔1〕で示される銀置換リン酸ジルコニウムの具体的製造方法としては、下記式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム化合物に、その1モル当たりとして、式〔2〕の係数b1に0.6〜0.99をかけた量の硝酸銀を含有する水溶液を用いてイオン交換した後、熱処理することで得ることができる。

Nab1c1ZreHff(PO43・nH2O 〔2〕

式〔2〕において、Aはアンモニウムイオンおよび/または水素イオンであり、b1、c1、eおよびfは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、b1+c1+4(e+f)=9を満たす数である。
【0030】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成方法は、各種原料を水溶液中で反応させる湿式法または水熱法が挙げられる。式〔2〕におけるAがアンモニウムイオンで表されるリン酸ジルコニウム化合物の具体的合成方法には、ジルコニウム化合物、アンモニアまたはその塩、シュウ酸またはその塩、およびリン酸またはその塩などを所定量含有する水溶液を苛性ソーダまたアンモニア水でpHを1〜4程度に調整後、70℃以上の温度で加熱することで合成ができる。
また、式〔2〕におけるAが水素イオンで表されるリン酸ジルコニウム化合物の具体的合成方法には、ジルコニウム化合物、シュウ酸またはその塩、およびリン酸またはその塩など、所定量含有する水溶液を苛性ソーダでpHを1〜4程度に調整後、70℃以上の温度で加熱することで得られたリン酸ジルコニウムをさらに塩酸、硝酸または硫酸などの水溶液中で攪拌することで水素イオンを担持することで合成ができる。なお、水素イオンの担持は、硝酸銀による銀イオンの担持と同時に実施するか、銀イオンの担持後に実施することも可能である。合成後のリン酸ジルコニウム化合物は、さらに濾別し、所定の電気伝導度まで水洗後に乾燥、軽く粉砕することで白色の微粒子リン酸ジルコニウム化合物が得られる。また、100℃超の加圧下で合成する水熱法であれば、シュウ酸またはその塩を用いずに式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物が合成可能である。
【0031】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成原料として使用することができるジルコニウム化合物には、水溶性または酸可溶性のジルコニウム塩が使用可能である。例えば、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムなどが例示され、反応性や経済性などを考慮するとオキシ塩化ジルコニウムが好ましい。
【0032】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成原料として使用することができるハフニウム化合物には、水溶性または酸可溶性のハフニウム塩であり、塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウムおよびハフニウムエトキシドなどが例示され、ハフニウムを含有するジルコニウム化合物も使用できる。ジルコニウム化合物に対して含有されるハフニウム含有率は、0.1%以上〜5%以下が好ましく、0.3%以上〜4%以下がより好ましい。本発明においては、このようなハフニウムを微量含有したオキシ塩化ジルコニウムを使用することが、反応性や経済性などを考慮すると好ましい。
【0033】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成原料として使用できるシュウ酸またはその塩としては、シュウ酸2水和物、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素ナトリウム、およびシュウ酸水素アンモニウムなどが例示され、好ましくはシュウ酸2水和物である。
【0034】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成原料として使用できるアンモニアまたはその塩としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、アンモニア水、シュウ酸アンモニウム、およびリン酸アンモニウムなどが例示でき、好ましくは塩化アンモニウムまたはアンモニア水である。
【0035】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成原料として使用できるリン酸またはその塩としては、可溶性または酸可溶性の塩が好ましく、具体的にはリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウムおよびリン酸アンモニウムなどが例示され、より好ましくはリン酸である。なお、当該リン酸の濃度としては、60〜85質量%程度の濃度のものが好ましい。
【0036】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物を合成するときのリン酸またはその塩とジルコニウム化合物とのモル比率(ジルコニウム化合物を1として)は、1.5より大きく2未満であり、さらに好ましくは1.51以上1.71未満であり、より好ましくは1.52以上1.67以下であり、特に好ましくは1.52以上1.65以下である。
【0037】
また、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウムを合成するときのリン酸またはその塩とアンモニアまたはその塩とのモル比率(アンモニアまたはその塩を1として)は、0.3〜10が好ましく、更には1〜10が好ましく、特に好ましくは2〜5である。
【0038】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウムを合成するときのリン酸またはその塩とシュウ酸またはその塩とのモル比率(シュウ酸またはその塩を1として)は、1〜6が好ましく、より好ましくは1.5〜5であり、更に好ましくは1.51〜4であり、特に好ましくは1.52〜3.5である。すなわち、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成方法は、シュウ酸またはその塩を含有する湿式法または水熱法で好ましく合成することができる。
水熱法の場合はシュウ酸またはその塩を含有する必要がないが、湿式法の方が粒径の制御がしやすく、メジアン径が0.1μm以上5μm以下の範囲で粒度分布の揃ったリン酸ジルコニウム化合物の結晶を得ることができる。
【0039】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物を合成するときの反応スラリー中の固形分濃度は、3質量%以上が好ましく、経済性など効率を考慮すると7〜20質量%の間がより好ましい。
【0040】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物を合成するときのpHは、1以上4以下が好ましく、より好ましくは1.3〜3.5、更に好ましくは1.8〜3.0であり、特に好ましくは2.0〜3.0である。当該pHが4より大きいと、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウムが合成できないことがあるので好ましくない。当該pHが1未満であると式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウムが合成できないことがあるので好ましくない。このpHの調整には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア水などを用いることが好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0041】
また、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウムを合成するときの合成温度は、高い方が反応が速く、確実に進行するので好ましいが、合成装置の建設費用や加熱するためのエネルギーは合成温度を低く設定したほうが有利であるから、好ましい下限は70℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは95℃以上である。また、合成温度の上限としては、150℃以下が好ましく、さらに好ましくは120℃以下である。
【0042】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成時には原料が均質に混合され、反応が均一に進むように攪拌することが望ましい。
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の合成時間は、合成温度により異なる。例えば、本発明で用いるリン酸ジルコニウム化合物の合成時間として4時間以上が好ましく、8時間〜72時間がより好ましく、10時間〜48時間が更に好ましい。
【0043】
式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の粒径としては、レーザー回折式粒度分布計により、体積基準の測定で定義されるメジアン径で、0.1〜5μmの間のものを合成することが可能である。式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物のメジアン径は、0.1〜4μmが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3μm、より好ましくは0.3〜2μmである。なお、各種製品への加工性を考慮すればメジアン径のみでなく、最大粒径も重要である。このことから、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の最大粒径は10μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは6μm以下であり、より好ましくは4μm以下である。
【0044】
本発明で用いる銀置換リン酸ジルコニウムの原料として用いることができる式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物として、具体的には下記のものが例示できる。
Na0.07(NH40.85Zr2.0Hf0.02(PO43・0.65H2
Na0.12(NH40.65Zr2.01Hf0.03(PO43・0.85H2
Na0.19(NH40.65Zr2.03Hf0.01(PO43・0.75H2
Na0.21(NH40.75Zr1.99Hf0.02(PO43・0.6H2
Na0.27(NH40.75Zr1.92Hf0.15(PO43・0.75H2
Na0.29(NH40.55Zr1.92Hf0.05(PO43・0.5H2
Na0.57(NH40.55Zr1.95Hf0.02(PO43・0.35H2
Na0.70(NH40.85Zr1.99Hf0.01(PO43・0.4H2
Na0.070.85Zr2.0Hf0.02(PO43・0.65H2
Na0.120.65Zr2.01Hf0.03(PO43・0.85H2
Na0.190.65Zr2.03Hf0.01(PO43・0.75H2
Na0.210.75Zr1.99Hf0.02(PO43・0.6H2
Na0.270.75Zr1.92Hf0.15(PO43・0.75H2
Na0.290.55Zr1.92Hf0.05(PO43・0.5H2
Na0.570.55Zr1.95Hf0.02(PO43・0.35H2
Na0.700.85Zr1.99Hf0.01(PO43・0.4H2
【0045】
式〔1〕の銀置換リン酸ジルコニウムを得るには、これらのリン酸ジルコニウム化合物に対し銀イオン交換した後、熱処理することで得られる。銀イオン交換する方法は、硝酸銀を含有する水溶液にリン酸ジルコニウム化合物を浸漬することであるが、上記の水溶液の硝酸銀含有量としては、多くした方が、得られた銀系無機抗菌剤を樹脂に配合して用いる時に変色し難くなるために好ましく、一方、あまり多すぎても過剰の銀イオンが水溶液に残留してしまうので経済的に好ましくない。式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム化合物の1モル当たりとして、式〔2〕の係数b1に0.6〜0.99をかけた量の硝酸銀を含有する水溶液を用いることが好ましく、さらに好ましくはリン酸ジルコニウム1モル当たりとして、式〔2〕の係数b1に0.7〜0.98をかけた量の硝酸銀を含有する水溶液を用いることである。リン酸ジルコニウム化合物を硝酸銀水溶液に浸漬する量は、水溶液に対し均一に混合できる濃度であればよく、具体的には式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物が水溶液との合計量の内の20重量%以下となることが好ましい。
【0046】
銀イオンを含有する水溶液の調整には、脱イオン水に硝酸銀を溶解した水溶液を使用することが好ましい。イオン交換時の水溶液の温度は、0〜100℃で可能であり、好ましくは20〜80℃である。このイオン交換は速やかに行われるので、浸漬時間は5分以内でも可能であるが、均一で高い銀イオン交換率を得るためには30分〜5時間が好ましい。銀イオン交換終了後には、これを脱イオン水などで水洗することが好ましい。水洗はろ液の電気伝導度を測定して500μS以下となるまで行なうことが好ましい。水洗後はろ過乾燥し、さらに適正な温度で熱処理することにより、式〔1〕で示される銀系無機抗菌剤を得ることができる。
【0047】
式〔1〕におけるaは銀の含有量を示しており、aの値が小さいと銀置換リン酸ジルコニウム中の銀含有率が低く、aの値が大きいと銀の含有率が高くなる。銀の含有率が高い方が持続性が向上するので好ましい。
【0048】
一方、銀イオンは、熱および光の暴露に対して不安定であり、すぐ金属銀に還元されてしまうことで着色を起こすなど、長期間の安定性に問題がある。銀イオンを安定に担持できるリン酸ジルコニウムであっても、高い銀含有率は、変色性や生産性などの懸念もあり適正な銀含有率に調整する必要がある。また、aの値は他の成分の種類や比率によって、リン酸ジルコニウム中の銀含有率は変動するため、aの値ではなく銀含有率で制御したほうが応用しやすい。好ましい銀置換リン酸ジルコニウム中の銀の含有率は1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上13質量%以下、より好ましくは3質量%以上12質量%以下である。なお、このときの好ましいaの値は0.03以上0.7以下である。
【0049】
式〔1〕において、cおよびdは、1.75<c+d<2.25、a+b+4(c+d)=9を満たす数である。cは、1.75より大きく2.1以下であり、好ましくは1.85以上2.07以下であり、さらに好ましくは1.9以上2.03以下である。またdは、0.2以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.2であり、より好ましくは0.015〜0.15である。
【0050】
式〔1〕においてnは、1以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5であり、より好ましくは0.03〜0.3の範囲である。nが2より大きいときは、含まれる水分の絶対量が多く、様々な材料に配合した際の加熱時等に発泡や加水分解などを生じる恐れがある。
【0051】
これら銀置換リン酸ジルコニウムは、白色の微粒子結晶で得られ、レーザー粒度分布計により体積基準で測定したメジアン径が0.1〜30μmであるものが好ましい。さらに好ましくは0.1〜4μmであり、より好ましくは0.2〜3μm、特に好ましくは0.3〜2μmである。なお、各種製品への加工性を考慮すればメジアン径のみでなく、最大粒径も重要である。このことから、式〔2〕で表されるリン酸ジルコニウム化合物の最大粒径は10μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは6μm以下であり、より好ましくは4μm以下である。
【0052】
本発明で用いる銀置換リン酸ジルコニウムは、多くの他の担持体に比べて銀イオンの保持性が高いため、イオン濃度の低い清浄な水への銀イオンの放出は少なくなる傾向がある一方で、イオン濃度が高い汚染された水に対しては、銀イオンは放出しやすいため、水の汚染度に応じた銀イオンの放出量が自動調節され、抗菌効果の持続性が良く、過剰の銀イオン放出による変色も起きにくいという特徴がある。
【0053】
本発明における銀置換リン酸ジルコニウムは結晶性の高いものが好ましい。銀置換リン酸ジルコニウムの結晶性は粉末X線回折により銀置換リン酸ジルコニウム結晶に起因するピ−ク強度で判定が可能である。粉末X線回折分析によりX線50kv/120mAで測定した場合に検出された六方晶リン酸ジルコニウムに起因するピークである凡そ2θ=20.2°のピーク強度が1500cps以上であることが好ましく、さらに好ましくは2000cps以上、より好ましくは2500cps以上である。ピーク強度が高いほど、結晶性が高く、銀イオンの保持力が高くなるので、銀イオンの遊離による変色を防ぐことができる。
【0054】
本発明で用いる銀置換リン酸ジルコニウムは高純度であるものが好ましい。銀置換リン酸ジルコニウムの純度は粉末X線回折により銀置換リン酸ジルコニウム結晶に起因するピ−ク以外の不純物ピークの有無の確認、さらに蛍光X線分析による含有成分量の確認により可能である。蛍光X線分析により検出された銀置換リン酸ジルコニウムに起因する成分の合計が96%以上であることが好ましく、より好ましくは99%以上である。
【0055】
本発明で用いる銀置換リン酸ジルコニウムの具体例としては、下記に例示することができる。
Ag0.05Na0.220.1(H3O)0.55Zr2.0Hf0.02(PO43・0.15H2
Ag0.17Na0.320.35Zr2.03Hf0.01(PO43・0.05H2
Ag0.17Na0.640.33Zr1.92Hf0.05(PO43・0.15H2
Ag0.45Na0.470.2Zr1.95Hf0.02(PO43・0.05H2
Ag0.55Na0.10.2(H3O)0.15Zr1.99Hf0.01(PO43・0.15H2
Ag0.05Na0.32(NH40.20.35Zr2.0Hf0.02(PO43・0.15H2
Ag0.10Na0.210.28(H3O)0.25Zr2.01Hf0.03(PO43・0.10H2
Ag0.17Na0.20Li0.150.3Zr1.92Hf0.10(PO43・0.15H2
Ag0.17Na0.10Mg0.100.25Zr1.92Hf0.15(PO43・0.15H2
Ag0.17Zn0.20Na0.250.3Zr1.92Hf0.05(PO43・0.15H2
Ag0.45Na0.270.10.3Zr1.95Hf0.02(PO43・0.05H2
Ag0.550.10.1(H3O)0.25Zr1.99Hf0.01(PO43・0.15H2
【0056】
本発明で用いる銀置換リン酸ジルコニウムを樹脂と配合することにより抗菌性樹脂組成物を容易に得ることができる。銀置換リン酸ジルコニウムを樹脂へ配合し抗菌性樹脂成形品とする加工方法は、公知の方法がどれも採用できる。例えば、銀置換リン酸ジルコニウムを樹脂に分散しやすくするため粉末状樹脂を使用し、ペレット状樹脂または粉末状樹脂をミキサーで直接混合後、成形する方法。前述のようにして混合後、押し出し成形機にてペレット状に成形した後、その成形物をペレット状樹脂に配合し、成形する方法である。
【0057】
本発明における、銀置換リン酸ジルコニウムの樹脂組成物への配合量は1〜50質量%である。水中への銀溶出濃度の制御および持続性が高くなる点から配合量は高濃度のほうが好ましいが、樹脂に練り込み加工する際の分散性や加工しやすさでは配合量が少ない方が好ましい。好ましい配合量は3〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
【0058】
本発明の水処理用抗菌処理材を加工するための成形方法には制限はなく、既存の方法や装置が使用できる。例えば、射出成形(機)、押し出し成形(機)、ブロー成形(機)、熱プレス成形(機)などが例示される。この中でも射出成形(機)が形状の安定性に加え、熱履歴が少ないため好ましい。熱履歴が少ない方が樹脂の熱劣化が少なく、樹脂の分解成分などが水中に溶け出すおそれが少ないためである。
【0059】
本発明の水処理用抗菌処理材に用いる樹脂組成物には、樹脂への練り込み加工性やその他の物性を改善するため、必要に応じて種々の添加剤を含ませることもできる。ただし、TOC値の増加する可能性のある有機系添加剤は、混合は好ましくない。具体例としては酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料、リン酸ジルコニウムやゼオライトなどの無機イオン交換体、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、増量剤、流動性改良剤、消臭剤、防錆剤、金属粉、紫外線遮蔽剤などがある。しかし、清浄な水の抗菌処理に用いるため、これらの添加剤はできるだけ含まないことが好ましい。
【0060】
本発明の水処理用抗菌処理材には、各種樹脂の特性に合わせてあらゆる公知の加工技術と機械が使用可能であり、適当な温度または圧力で加熱および加圧または減圧しながら混合、混入または混練りの方法によって容易に調製することができ、それらの具体的操作は常法により行えば良い。また、その形状に制限はなく、球状、塊状、スポンジ状、フィルム状、板状、糸状またはパイプ状或いはこれらの複合体など、種々の形態に成形加工でき、用途に応じて適宜設計することができる。
【0061】
TOC値の測定には市販のTOC計を用いることができる。TOCの測定原理は、JIS K 0102(工業排水試験方法)の 22.1に規定される燃焼酸化−赤外線式に基づくものであり、試料水中に含まれる有機物態炭素を二酸化炭素に酸化させ、その二酸化炭素量を測定することによって算出する。酸化方法によって、燃焼酸化方式と湿式酸化方式に大別される。例えば、燃焼酸化方式の場合、試料水を空気または酸素とともに、酸化コバルト、白金、バラジウムなどの酸化触媒を充填し900〜950℃に加熱した燃焼管に送り込み、有機物を酸化して二酸化炭素に変え、その二酸化炭素量を赤外線分析計などで測定し全炭素量を求める。その後、無機炭素の測定を行うため、試料水をリン酸などの無機炭素用の酸化触媒を充填し約150℃に熱した燃焼管に送り込み、全炭素量を測定した方法同様に、二酸化炭素を発生させ測定する。全炭素量から無機炭素量を引き、その差を全有機炭素量TOCとする。
【0062】
本発明の水処理用抗菌処理材の使用形態には特に制限はなく、そのまま使用してもメッシュや不織布などに梱包してもカートリッジ状の容器に充填してもよい。処理したい水に浸漬または通水することで使用可能であり、常時水中に存在させる必要はなく、空気中で一旦乾いても再度水中に戻せばその性能は大きく変化しない。使用量の目安は銀含有量や目的とする抗菌効果により適宜調整すればよい。本発明における水処理用抗菌処理材を対象とする清浄水に浸漬または通水させた時の銀溶出量は5ppb以上200ppb以下が好ましく、より好ましくは10ppb以上100ppb以下であり、この範囲の濃度が3週間以上、可能であれば1年程度は持続することが好ましい。なお、ppbは質量ppbである。
例えば、処理材を浸漬して使用する場合は1Lの水に対し表面積で5cm2〜500cm2程度の水処理用抗菌処理材を用いることでこの好ましい銀溶出量が得られる。浸漬よりも通水のほうが接触時間が少ないため、通水で使用する場合は、浸漬の数倍から10倍程度の表面積が好ましい。
【0063】
本発明の水処理用抗菌材の用途は特に限定はなく、微生物汚染が問題となる水に対する水処理用途に使用可能である。例えば、浄水器用ろ過材、ウォーターサーバー用水タンク、循環水、切花用水、通水用パイプ内やタンク、プールや池、冷蔵庫での氷製造用水、加湿器、エアコンドレン水などがあげられる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断りのないppm,ppbの単位は質量基準である。粒子のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて体積基準により測定した。
TOCは、樹脂または水処理材成型物100gを脱イオン水1Lに浸漬し、25℃で1週間保存した水について、島津製作所製TOC−5000型TOC計を用いてTOC値(ppm)を測定した。
一般細菌数は、普通寒天培地を用いた混釈培養法により37℃、2日間で測定した。従属栄養細菌数は、R2A寒天培地を用いた混釈培養法により20℃、7日間で測定した。銀溶出濃度は、島津製作所製ICPS−1000III型ICP発光分光分析装置で測定した。
【0065】
<参考例1>銀置換リン酸ジルコニウムA
脱イオン水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、ハフニウム0.17%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルおよび塩化アンモニウム0.1モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.6に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で4時間乾燥することにより以下の組成のリン酸ジルコニウム化合物を合成した。
Na0.6(NH40.4Zr1.98Hf0.02(PO43・0.09H2
得られたリン酸ジルコニウム0.09モルに硝酸銀0.05モルを溶解したイオン交換水溶液450mlを加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。銀を担持処理後のスラリーを濾過・水洗し、濾液の電気伝導度が70μSまで洗浄した。さらに、この乾燥品を電気炉を用いて650℃で12時間熱処理後に解砕することで銀置換リン酸ジルコニウムAを得た。
この銀置換リン酸ジルコニウムAのメジアン径は1.0μm、銀含有率は10.2質量%であり、組成式は以下のとおりであった。
Ag0.5Na0.10.4Zr1.98Hf0.02(PO43
【0066】
<参考例2>銀置換リン酸ジルコニウムB
脱イオン水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、ハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.19モルおよび塩化アンモニウム0.10モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.7に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することにより以下の組成のリン酸ジルコニウム化合物を合成した。
Na0.5(NH40.8Zr1.91Hf0.015(PO43・0.11H2
得られたリン酸ジルコニウム化合物0.09モルに硝酸銀0.019モルを溶解した1N硝酸水溶液450mlに、を加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。その後よく洗浄し、120℃で乾燥したものを670℃で4時間高温加熱処理した。高温加熱処理後の粉末を軽く解砕した後、湿度50%、温度110℃の雰囲気中で6時間静置し、吸湿処理することで銀置換リン酸ジルコニウムBを得た。
この銀置換リン酸ジルコニウムBのメジアン径は0.8μm、銀含有率は4.2質量%であり、組成式は以下のとおりであった。
Ag0.19Na0.370.21(H3O)0.43Zr1.91Hf0.015(PO43・0.19H2
【0067】
<参考例3>ゼオライト系銀系無機抗菌剤C
市販のA型ゼオライト20gに硝酸銀1.4gを溶解したイオン交換水溶液100mlを加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。水洗後、120℃乾燥し得られたゼオライト系銀系無機抗菌剤Cを解砕し、メジアン径4μm、銀含有率は4.2質量%であった。
【0068】
<参考例4>銀ガラス系抗菌剤D
Ag2O(2%)、K2O(7%)、B23(45%)、SiO2(46%)となるようにガラス原料を調合し、1200℃で加熱溶融した。溶融後、金属製の冷却成形ローラーを用いて冷却し、得られたガラスを簡易的に叩いて破砕したものを、さらにボ−ルミルにて乾式破砕した後、メジアン径9μm、銀含有率は1.9質量%の銀ガラス系抗菌剤Dを得た。
【0069】
<実施例1〜11および比較例1〜6>
参考例で得られた各種銀系無機抗菌剤A〜Dを各種樹脂に配合し、抗菌処理材を成形した。樹脂には標準水分率0.3%のメタクリル樹脂(三菱レイヨン製アクリペットMD001)、標準水分率1.0%のスチレンメチルメタクリレートスチレン樹脂(ダイセル社製セビアンMAS−10)、標準水分率0.9%のポリスチレン樹脂(PSジャパン製HF77)、標準水分率0.0%のポリエチレン樹脂(プライムポリマー製排ゼックス2200J)、標準水分率0.0%のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ製ノバテックMA3)、標準水分率0.0%のポリブテン樹脂(三井化学デュポン製タフマーBL400)、標準水分率4.4%のナイロン6(宇部興産製UBE1013B)を用いた。なお、各樹脂100gを25℃の脱イオン水1Lに1週間浸漬後のTOC値は、メタクリル樹脂3ppm、MS樹脂3ppm、ポリスチレン樹脂4ppm、ポリエチレン樹脂は1ppmより小、ポリプロピレン樹脂は1ppmより小、ポリブテン樹脂は1ppmより小、ナイロン6樹脂44ppmであった。抗菌剤粉末を各種樹脂ペレットに直接混合後、成形した。プレート成形の場合は、射出成形機を用いて約10cm角の板状とした場合、厚さ2mmのプレートで比表面積(寸法からの計算値)が約10cm2/g、厚さ1mmのプレートで比表面積(寸法からの計算値)が約20cm2/g、厚さ0.25mmでは比表面積が約80cm2/gとなった。ペレットは押出成形機を用いて直径3mmの高さ3mmの円柱状に成形し、その比表面積は約20cm2/gであった。なお、樹脂種類と抗菌剤の組合せ、抗菌剤の配合率、処理材形状および処理材の比表面積、溶出試験後のTOC値は表1に記載した。
【0070】
【表1】

【0071】
<実施例11〜20および比較例7〜12:抗菌試験>
抗菌材のない状態で2ヶ月間使用したウォーターサーバーの冷水タンクから採取した水100mLを市販の飲料用天然水(以下、天然水と呼ぶ)1Lに加え、さらに実施例1〜10および比較例1〜6で得られた水処理抗菌性樹脂処理材20gを浸漬し、20℃で7日間放置後の水の銀濃度、従属栄養細菌数および一般細菌数を測定した結果を表2に示した。なお、天然水は地下水を精密ろ過したものであり、塩素やオゾン等の殺菌剤を含まないものを使用した。
【0072】
【表2】

【0073】
ウォーターサーバーの補充水(ボトルウォーター)は、外気に直接触れることのない形でセットされるが、冷水を供給するためにいったんウォ−ターサーバー内の冷水タンクで冷却される際に、外気に触れる可能性があり、ウォーターサーバーが通常の生活環境雰囲気下に置かれて、数か月間使用した場合、冷水タンク中では従属栄養細菌も一般細菌もそれなりに増殖をしていることが多い。一方、密封されたウォーターサーバー用のボトルウォーターや市販の天然水は、開封前はほぼ無菌状態である。実施例11〜20および比較例7〜12で抗菌試験に用いた水(冷水タンクの水と天然水とを混合したもの)を試験前に採取して菌数を測定した結果は、従属栄養細菌数が3×103、一般細菌数が2×102であった。
【0074】
次に、この水に抗菌処理剤を浸漬して抗菌試験を行った。通常、抗菌効果が発現するためには、水中で最低10ppbの銀溶出濃度が必要であると言われている。実施例11〜20では、表2に示した抗菌処理材浸漬7日後の銀溶出濃度が全て10〜100ppbの範囲内にあり、抗菌効果を発現するのに十分な濃度であるうえ、TOC値も1〜10ppm以内の範囲に収まる値であったため、従属栄養細菌数は検出限界以下の優れた抗菌効果が得られたものと考えられる。比較例7〜10は、従属栄養細菌を増殖させるTOC値が1ppmより小さかったので、TOCによる従属栄養細菌の増殖は少なかったと考えられるが、銀溶出濃度が10ppbよりも小さかったため、従属栄養細菌を減らす効果は現れず、従属栄養細菌数は約104cfu/mL近辺と高い値になったものと考えられる。銀濃度が低いので、一般細菌についても抗菌効果は表れていない。比較例11および12は、銀溶出濃度は50ppb以上あって抗菌効果を十分に発現する濃度であり、一般細菌については抗菌効果が表れたが、従属栄養細菌数は多かった。比較例11および12では、親水性の高いナイロン樹脂を用いたために銀の溶出は良好であったが、同時に10ppmよりも高いTOCが溶出してしまったために、TOCを栄養として従属栄養細菌が増殖してしまったものと思われる。
【0075】
<実施例21〜22、比較例13〜15:ウォーターサーバーを用いた通水処理評価>
実施例1および9、比較例2および5の水処理材の各100gを、清潔な市販ウォーターサーバーの冷水タンクに入れ、市販の未開封ボトルウォーターを適宜ウォーターサーバーにセットし、毎日1Lをウォーターサーバーの冷水の流出口から冷水タンクの水を採取した。3日後と1ヶ月後の流水中の銀濃度および従属栄養細菌数を測定し、表3に示した。比較例15は冷水タンクに抗菌処理材を入れずに試験した。
【表3】

【0076】
実施例21および22において、水処理材の浸漬から3日後と1ヶ月後との流出水の測定結果を比較してみると、銀溶出濃度および従属栄養細菌数が3日後と1ヶ月後とでほとんど変化がなかったことから、本発明の抗菌処理材の効果の持続性が確認された。一方、比較例13では、3日後と1ヶ月後を比較すると1ヶ月後には銀溶出濃度が低下し、従属栄養細菌が多く検出されてしまい、持続性に劣ることが明らかになった。比較例14では、銀溶出濃度は高かったにもかかわらず、1ヶ月後には従属栄養細菌数が多くなってしまった。比較例11,12の結果を参考にすると、この原因は、比較例14の水処理材は高いTOCが溶出してしまったために、TOCを栄養として従属栄養細菌が増殖してしまったものと思われる。また、抗菌水処理材を使用していない比較例15は、1ヵ月後には従属栄養細菌が検出された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の水処理用抗菌処理材は、一定の銀濃度を維持することが可能であり、しかも長期の持続性も有している。従って、飲料水や循環水などの清浄水に対し、通水や消費などにより水の入れ替えがあっても必要量である水中の一定の銀イオン濃度を調整し、しかも長期に渡り抗菌効果を維持することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
A:冷水の流出口
B:ボトルウォーター
C:冷水タンク
D:温水タンクに至る流出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀系無機抗菌剤を全体の1〜50質量%含む樹脂組成物からなる、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gの成形体であり、100gの成形体を1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1ppm〜10ppmの範囲内である、水処理用抗菌処理材。
【請求項2】
樹脂組成物が、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gの成形体100gを1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1〜10ppmとなる樹脂を、樹脂成分全体の50質量%以上含むものである、請求項1に記載の水処理用抗菌処理材。
【請求項3】
樹脂組成物が、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、およびポリメチルメタクリレート/スチレン共重合樹脂の中から選択される少なくとも一つの樹脂を樹脂成分全体の50質量%以上含むものである、請求項1または2に記載の水処理用抗菌処理材。
【請求項4】
銀系無機抗菌剤が、式〔1〕で表される銀置換リン酸ジルコニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の水処理用抗菌処理材。

AgabZrcHfd(PO43・nH2O 〔1〕

式〔1〕において、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、水素イオンおよびオキソニウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンであり、a、b、cおよびdは、1.75<c+d<2.25であり、Mが1価の場合はa+b+4(c+d)=9を満たす数であり、Mが2価の場合は、a+2b+4(c+d)=9を満たす数であり、a、bおよびcは正数であり、dは0または正数であり、nは0または2以下の正数である
【請求項5】
樹脂100gを、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gの成形体として、1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1〜10ppmとなる樹脂を選定して樹脂組成物を製造し、上記の樹脂組成物を用いて成形体を得る、請求項1〜4のいずれかに記載の水処理用抗菌処理材の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の水処理用抗菌処理材と接触させることにより、清浄水中の従属栄養細菌を抗菌処理する水処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−56833(P2013−56833A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194509(P2011−194509)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】