説明

水処理装置

【課題】水処理用カートリッジを容易に交換することができ、使い勝手がよく簡易な構造の水処理装置を提供すること。
【解決手段】被処理水を処理して処理水を製造する略円筒状のカートリッジ本体部3を有する水処理用カートリッジ2と、被処理水及び処理水が流通する水路を有し、水処理用カートリッジ2の下部を着脱自在に支持する装置本体と、水処理用カートリッジ2を導入する開口部31を有し、水処理用カートリッジ2を収容するケーシング30と、カートリッジ本体部3の外周面に設けられる係合部4と、係合部4と係合可能にケーシング30(40)に設けられ、カートリッジ本体部3の周方向の移動を規制する被係合部45と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟水装置等の水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理装置として、例えば、水道水等の被処理水に含まれる硬度成分をイオン交換樹脂に吸着させ、軟水化された処理水を製造する軟水装置や、被処理水に含まれる塩素成分を活性炭に吸着させて処理水を製造する浄水装置等が知られている。このような水処理装置は、被処理水に含まれる上記成分をイオン交換樹脂や活性炭等の処理材に吸着させて処理する。このような処理材は、被処理水の処理量に応じて処理能力が徐々に低下する。そのため、一定期間使用された処理材を交換する必要がある。
【0003】
近年では、この処理材の交換を簡易に行えるよう、処理材が充填された水処理用カートリッジを交換するように設計された、いわゆるカートリッジ式の水処理装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような水処理装置は、被処理水を処理して処理水を製造する略円筒状のカートリッジ本体部を有する水処理用カートリッジと、被処理水及び処理水が流通する水路を有し、水処理用カートリッジの下部を着脱自在に支持する装置本体と、水処理用カートリッジを導入する開口部を有し水処理用カートリッジを収容するケーシングと、を備える。
カートリッジ本体部は、装置本体への装着時に、水路と連通するように装置本体に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−88862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新しいカートリッジ本体部を装置本体に装着する場合、カートリッジ本体部と装置本体の水路とを連通させるために、装置本体に対して正確に位置決めしながら、カートリッジ本体部をケーシングの開口部に挿入する必要がある。
しかし、カートリッジ本体部が略円筒状に構成されている場合、カートリッジ本体部の周方向の位置決めが困難であり、使い勝手(作業性等)が悪かった。
また、上記位置決めを正確に行うために、カートリッジ本体部を装置本体に案内する専用のガイド部材を設けることも考えられるが、その場合、構造が複雑となり、製造コストが上昇する。
【0007】
本発明は、水処理用カートリッジを容易に交換することができ、使い勝手がよく簡易な構造の水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被処理水を処理して処理水を製造する略円筒状のカートリッジ本体部を有する水処理用カートリッジと、被処理水及び処理水が流通する水路を有し、前記水処理用カートリッジの下部を着脱自在に支持する装置本体と、前記水処理用カートリッジを導入する開口部を有し、該水処理用カートリッジを収容するケーシングと、前記カートリッジ本体部の外周面に設けられる係合部と、前記係合部と係合可能に前記ケーシングに設けられ、前記カートリッジ本体部の周方向の移動を規制する被係合部と、を備える水処理装置に関する。
【0009】
また、前記ケーシングは、前記開口部を形成する上部ケーシングを有し、前記係合部は、前記水処理用カートリッジの外周面から径方向に突出する係合凸部であり、前記被係合部は、前記上部ケーシングの内周面において径方向に凹む係合凹部であることが好ましい。
【0010】
また、前記係合凸部は、前記カートリッジ本体部の高さ方向に沿って延びることが好ましい。
【0011】
また、前記装置本体は、上方に管状に延び且つ前記水処理用カートリッジの下部が挿入される位置決め筒部を有し、前記位置決め筒部は、前記水処理用カートリッジの下部を該位置決め筒部の内部に案内して位置決めする複数の位置決めリブを有することが好ましい。
【0012】
また、前記位置決めリブは、前記位置決め筒部の中心軸に向かって傾斜して下がる位置決めテーパ部を有することが好ましい。
【0013】
また、前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられ、該カートリッジ本体部の内部に被処理水を導入する導入ノズル部と、前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられ、該カートリッジ本体部の内部の処理水を外部に導出する導出ノズル部と、前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、前記導入ノズル部が嵌め込まれる導入ノズル部用嵌合穴と、前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、前記導出ノズル部が嵌め込まれる導出ノズル部用嵌合穴と、前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、該位置決め筒部の内部に位置する水を該装置本体の外部に排出する排水口と、前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられる栓部であって、前記導入ノズル部が前記導入ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれ且つ前記導出ノズル部が前記導出ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれている場合に前記排水口を閉塞し、前記導入ノズル部が前記導入ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれておらず且つ前記導出ノズル部が前記導出ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれていない場合に前記排水口を開放する栓部と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
また、前記導入ノズル部及び前記導出ノズル部は、それぞれの突出方向における先端部に向かって外径が次第に小さくなるノズル側テーパ部を有し、前記導入ノズル部用嵌合穴及び前記導出ノズル部用嵌合穴は、それぞれの開口縁部に、前記ノズル側テーパ部に対応し且つ前記導入ノズル部及び前記導出ノズル部が嵌め込まれる方向に向かって内径が次第に小さくなる穴側テーパ部を有することが好ましい。
【0015】
また、前記排水口は、排水管を接続する排水管接続部を備えることが好ましい。
【0016】
また、前記水処理用カートリッジは、前記カートリッジ本体部の内部に陽イオン交換体を有し、該カートリッジ本体部に導入された被処理水を該陽イオン交換体によってイオン交換処理することにより、被処理水から硬度成分を除去して軟水化処理水を製造する樹脂筒であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水処理用カートリッジを容易に交換することができ、使い勝手がよく簡易な構造の水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の水処理装置について、水処理用カートリッジを装置本体に装着しない状態で一部を省略し、一部を断面視で示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態の水処理用カートリッジについて、図1とは異なる方向から視た側面図である。
【図3】本発明の実施形態の水処理装置を示す部分平面図である。
【図4】本発明の実施形態の装置本体を示す部分平面図である。
【図5】本発明の実施形態の水処理用カートリッジの下部が位置決めリブによって位置決め筒部の内部に案内される様子を示す側面図である。
【図6】本発明の実施形態の水処理用カートリッジが装置本体に装着された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態の水処理装置について図1から図6を参照しながら説明する。本実施形態においては、水処理装置として、軟水装置を例にして説明する。
図1は、本発明の実施形態の水処理装置について、水処理用カートリッジを装置本体に装着しない状態で一部を省略し、一部を断面視で示す側面図である。図2は、本発明の実施形態の水処理用カートリッジについて、図1とは異なる方向から視た側面図である。図3は、本発明の実施形態の水処理装置を示す部分平面図である。図4は、本発明の実施形態の装置本体を示す部分平面図である。図5は、本発明の実施形態の水処理用カートリッジの下部が位置決めリブによって位置決め筒部の内部に案内される様子を示す側面図である。図6は、本発明の実施形態の水処理用カートリッジが装置本体に装着された状態を示す側面図である。
【0020】
図1〜図6に示すように、本実施形態の水処理装置1は、被処理水としての水道水を処理し、処理水としての軟水化処理水を製造する水処理用カートリッジ2と、水処理用カートリッジ2の下部を着脱自在に支持する装置本体5と、水処理用カートリッジ2及び装置本体5を収容するケーシング30と、水処理用カートリッジ2に設けられる係合部としての係合凸部4(図3参照)と、ケーシング30に設けられる被係合部としての係合凹部45(図3参照)と、水処理用カートリッジ2に設けられる導入ノズル部50、導出ノズル部52及び栓部55と、装置本体5に設けられる導入ノズル部用嵌合穴10、導出ノズル部用嵌合穴14及び排水口18と、を主体に備える。
【0021】
水処理用カートリッジ2は、図1から図3に示すように、略円筒状のカートリッジ本体部3を有する。ここで、「略円筒状」とは、カートリッジ本体部3がその高さ方向における大部分で円筒状となっている、という趣旨である。
カートリッジ本体部3は、その内部に陽イオン交換体(図示せず)を有する樹脂筒である。この陽イオン交換体は、カートリッジ本体部3に導入された被処理水をイオン交換処理することにより、被処理水から硬度成分を除去して軟水化処理水を製造する。カートリッジ本体部3の底部3aの構成については、後述する。
【0022】
装置本体5は、図1及び図4に示すように、被処理水及び処理水が流通する水路7、導入ノズル部用嵌合穴10、導出ノズル部用嵌合穴14及び排水口18が形成される基部6と、位置決め筒部20と、を有する。
水路7は、導入ノズル部用嵌合穴10への被処理水、導出ノズル部用嵌合穴14からの処理水及び水処理用カートリッジ2(排水口18)からの排水がそれぞれ独立して流通できるように、基部6に形成される。
【0023】
導入ノズル部用嵌合穴10は、図1、図4及び図6に示すように、位置決め筒部20の内部と連通するように基部6に開口され、後述の導入ノズル部50が嵌め込まれる部分である。導入ノズル部用嵌合穴10は、被処理水が流通する水路7とも連通する。
導出ノズル部用嵌合穴14は、図1、図4及び図6に示すように、位置決め筒部20の内部と連通するように装置本体5に開口され、後述の導出ノズル部52が嵌め込まれる部分である。導出ノズル部用嵌合穴14は、処理水が流通する水路7とも連通する。
【0024】
また、これらの導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14は、それぞれの開口縁部に、穴側テーパ部11,15を有する。穴側テーパ部11,15は、カートリッジ本体部3のノズル側テーパ部51,53(後述)に対応する。穴側テーパ部11,15は、後述の導入ノズル部50及び導出ノズル部52が嵌め込まれる方向に向かって内径が次第に小さくなっている。
【0025】
排水口18は、図1及び図4に示すように、位置決め筒部20の内部と連通するように基部6に開口される。排水口18は、後述の位置決め筒部20の内部に位置する水、例えば、後述の導入ノズル部50及び導出ノズル部52から排出された被処理水及び処理水を、装置本体5の外部に排出する。また、排水口18は、排水が流通する水路7とも連通する。この排水口18は、図1に示すように、排水を排水口18から離れた箇所に導く排水管(図示せず)を接続する排水管接続部としてのエルボ70を備える。このエルボ70は、例えば、排水口18に螺合させることにより、排水口18と接続される。
【0026】
位置決め筒部20は、図1及び図4に示すように、基部6から上方に円管状(円筒状)に延びている。位置決め筒部20は、導入ノズル部用嵌合穴10、導出ノズル部用嵌合穴14及び排水口18の上方に位置する。位置決め筒部20は、水処理用カートリッジ2の下部(底部3a)が挿入されると共に(図6参照)、水処理用カートリッジ2から排出される水を貯留可能に構成される。水処理用カートリッジ2の内径は、水処理用カートリッジ2の下部(底部3a)を挿入できる程度に、水処理用カートリッジ2の下部(底部3a)の外径よりも大きい。
【0027】
位置決め筒部20の内容積は、例えば、次のように設定される。水処理用カートリッジ2から排出される水は、位置決め筒部20の内部に貯めてから排水されるようにする必要がある。具体的には、「水処理用カートリッジ2からの排水流量−水処理装置1(特に排水口18)から排水される流量」の水が、位置決め筒部20の外部に漏れる(溢れる)ことなく位置決め筒部20の内部に貯められるように、位置決め筒部20の内容積が設定される。
なお、位置決め筒部20の内部に位置する基部6の上面5aは、排水口18に向かって低くなるように、所定の水勾配を有していることが好ましい。
【0028】
また、位置決め筒部20は、図1及び図4に示すように、その内周面21においてその中心軸Cと平行に延びる複数(例えば、12本)の位置決めリブ23を有する。位置決めリブ23は、板状に構成される。この位置決めリブ23は、水処理用カートリッジ2の下部を位置決め筒部20の内部に案内して位置決めする。位置決めリブ23は、導入ノズル部用嵌合穴10、導出ノズル部用嵌合穴14及び排水口18を避けて設けられる。位置決めリブ23は、その上端部に、位置決め筒部20の中心軸C(図1参照)に向かって傾斜して下がる位置決めテーパ部24を有する。
【0029】
ケーシング30は、図1及び図3に示すように、水処理用カートリッジ2を導入する開口部31を有し、水処理用カートリッジ2を収容する筺体である。
また、ケーシング30は、図1、図3及び図5に示すように、上部ケーシング40と、下部ケーシング48と、を有する。ケーシング30の上部には、開口部31が設けられる。上部ケーシング40は、ケーシング30の開口部31を形成する略円環状の部材である。上部ケーシング40は、ケーシング30の高さ方向の上部において、ケーシング30の一部分を構成する。下部ケーシング48は、ケーシング30の高さ方向の大部分をなす筒状の部材である。上部ケーシング40は、図5に示すように、下部ケーシング48の上端縁に固定される。
【0030】
係合部としての係合凸部4は、図2及び図3に示すように、水処理用カートリッジ2(カートリッジ本体部3)の外周面2aから径方向に突出する。係合凸部4は、この外周面2aに一対設けられ、カートリッジ本体部3の高さ方向の大部分に沿って平行に延びる。係合凸部4は、図3に示すように、平面視で略台形状となっている。
【0031】
被係合部としての係合凹部45は、図3に示すように、上部ケーシング40の内周面45aにおいて径方向に凹むように設けられ、係合凸部4と係合可能に構成される。つまり、係合凹部45は、ケーシング30の高さ方向の上部に位置し、水処理用カートリッジ2がケーシング30に挿入される過程において、係合凸部4と係合するように構成される。係合凹部45は、カートリッジ本体部3(係合凸部4)の周方向の移動を規制する。
【0032】
次に、カートリッジ本体部3の底部3aの構成について説明する。カートリッジ本体部3は、図1及び図2に示すように、その底部3aに、導入ノズル部50と、導出ノズル部52と、栓部55とを有する。
導入ノズル部50は、カートリッジ本体部3の底部3aに突出して円筒状に設けられる。導入ノズル部50は、カートリッジ本体部3の内部に被処理水を導入する。導入ノズル部50は、その外周面にOリング(図示せず)を装着可能に構成される。
導出ノズル部52は、カートリッジ本体部3の底部3aに突出して円筒状に設けられる。導出ノズル部52は、カートリッジ本体部3の内部の処理水を外部に導出する。導出ノズル部52は、その外周面にOリング(図示せず)を装着可能に構成される。
【0033】
また、これらのカートリッジ本体部3の導入ノズル部50及び導出ノズル部52は、それぞれの突出方向における先端部に向かって外径が次第に小さくなるノズル側テーパ部51,53を有する。
【0034】
図6に示すように、導入ノズル部50は、装置本体5の導入ノズル部用嵌合穴10に嵌め込まれる。導出ノズル部52は、装置本体5の導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれる。
【0035】
栓部55は、図1及び図2に示すように、カートリッジ本体部3の底部3aに突出して円柱状に設けられる。栓部55は、装置本体5の排水口18に嵌め込まれる。
【0036】
この栓部55は、カートリッジ本体部3の導入ノズル部50が装置本体5の導入ノズル部用嵌合穴10に嵌め込まれ、かつ、カートリッジ本体部3の導出ノズル部52が装置本体5の導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれている場合に、装置本体5の排水口18に嵌め込まれ、この排水口18を閉塞する。また、この栓部55は、導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10に嵌め込まれておらず、かつ、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれていない場合に、排水口18を開放する。
【0037】
次に、水処理用カートリッジ2を装置本体5に装着する際の動作について、図1、図3、図5及び図6を参照しながら説明する。
ユーザは、上部ケーシング40の開口部31に水処理用カートリッジ2を挿入する際に、上部ケーシング40の係合凹部45と水処理用カートリッジ2の係合凸部4とを係合させる(図1及び図3参照)。
【0038】
これにより、カートリッジ本体部3が略円筒状であっても、水処理用カートリッジ2の周方向の移動が規制され、水処理用カートリッジ2の周方向の位置決めを容易に行うことができる。つまり、ユーザは、係合凸部4及び係合凹部45を係合させて水処理用カートリッジ2をケーシング30内に挿入するだけで、水処理用カートリッジ2を装置本体5に容易に装着することができる。
【0039】
次に、図1及び図5に示すように、水処理用カートリッジ2を上部ケーシング40の開口部31から装置本体5に向かって挿入していく場合について説明する。
水処理用カートリッジ2の下端部(底部3a)が、装置本体5の位置決め筒部20に到達するまでの過程において、例えば、図5に示すように、水処理用カートリッジ2がその上下方向において傾斜すると、水処理用カートリッジ2の下端部は、ケーシング30の内周面30aによって径方向の移動を規制される。
【0040】
そして、水処理用カートリッジ2を装置本体5に向かって更に挿入していくと、水処理用カートリッジ2の底部3aは、位置決めリブ23の位置決めテーパ部24に当接し、この位置決めテーパ部24によって位置決め筒部20の内部に案内される。これにより、水処理用カートリッジ2の中心軸(図示せず)を、位置決め筒部20の中心軸Cと略一致させることができる。つまり、水処理用カートリッジ2の略直径の範囲内において、水処理用カートリッジ2を装置本体5に対して位置決めすることができる。そのため、水処理装置1を小型化することができる。また、水処理用カートリッジ2を装置本体5に案内するための専用のガイド部材が不要となる。
【0041】
前記したように、カートリッジ本体部3の導入ノズル部50及び導出ノズル部52は、それぞれノズル側テーパ部51,53を有する。また、導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14は、穴側テーパ部11,15を有する。そのため、ノズル側テーパ部51,53と穴側テーパ部11,15とが当接することにより、導入ノズル部50及び導出ノズル部52は、導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14に容易に案内される。これにより、図6に示すように、導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10に容易に嵌め込まれ、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14に容易に嵌め込まれる。
【0042】
図6に示すように、導入ノズル部50及び導出ノズル部52が、それぞれ導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれると同時に、水処理用カートリッジ2の栓部55は、装置本体5の排水口18を閉塞する。そのため、例えば、水処理装置1を浴室等で使用する場合に、浴室内の湯気が、排水口18から水処理装置1の内部に浸入してくることを抑制することができる。
【0043】
次に、使用済みの水処理用カートリッジ2を装置本体5から取り外す際の動作について説明する。
ユーザは、例えば図5に示すように、水処理用カートリッジ2を装置本体5から若干引き抜いた状態を一定時間維持する。ここで、「若干引き抜いた状態」とは、導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10から引き抜かれると共に、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14から引き抜かれ、更に栓部55が排水口18から引き抜かれた状態をいう。また、「一定時間」とは、水処理用カートリッジ2の内部に残存していた水(被処理水及び処理水)が、導入ノズル部50及び導出ノズル部52から水処理用カートリッジ2の外部(位置決め筒部20の内部)に排出されるまでの時間をいう。
【0044】
導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10から引き抜かれ、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14から引き抜かれると(図5参照)、栓部55は、排水口18を開放する。
【0045】
水処理用カートリッジ2の内部に残存していた水は、導入ノズル部50及び導出ノズル部52から排出され、水処理用カートリッジ2の直下に位置する位置決め筒部20の内部に貯まる。これと同時に、位置決め筒部20の内部に溜まった水(位置決め筒部20の内部に位置する水)は、排水口18から装置本体5の外部に排出される。
このように、位置決め筒部20は、水処理用カートリッジ2から排水される水を貯めて排水することができる。そのため。排水を貯めるための専用の部品が不要となる。
【0046】
以上に説明したように、ユーザが水処理用カートリッジ2を装置本体5から引き抜くと、水処理用カートリッジ2の内部に残存していた水が、水処理用カートリッジ2の外部に自動的に排出される。そのため、水処理用カートリッジ2の重量は、排出された水の重量分だけ軽くなり、ユーザが女性や高齢者等の場合等であっても、水処理用カートリッジ2を容易に運搬することができ、使い勝手がよくなる。
また、水処理用カートリッジ2の内部に残存していた水を水処理用カートリッジ2の外部に容易に排出することができるので、水処理用カートリッジ2を水抜きがされた状態で廃棄することができる。
【0047】
以上に説明した本実施形態の水処理装置1によれば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態の水処理装置1は、略円筒状のカートリッジ本体部3を有する水処理用カートリッジ2と、被処理水及び処理水が流通する水路7を有し、水処理用カートリッジ2の下部を着脱自在に支持する装置本体5と、水処理用カートリッジ2を導入する開口部31を有し、水処理用カートリッジ2を収容するケーシング30と、カートリッジ本体部3の外周面に設けられる係合部としての係合凸部4と、係合凸部4と係合可能にケーシング30に設けられ、カートリッジ本体部3の周方向の移動を規制する被係合部としての係合凹部45と、を備える。
【0048】
そのため、ユーザが水処理用カートリッジ2をケーシング30の開口部31に挿入する際に、水処理用カートリッジ2の係合凸部4と上部ケーシング40の係合凹部45とを係合させるだけで、水処理用カートリッジ2の周方向の移動が規制される。これにより、ユーザは、水処理用カートリッジ2の周方向の位置決めを容易に行うことができる。従って、本実施形態の水処理装置1によれば、水処理用カートリッジ2を容易に交換することができ、使い勝手がよく簡易な構造の水処理装置1を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態の水処理装置1においては、ケーシング30は、開口部31を形成する上部ケーシング40を有し、係合部は、水処理用カートリッジ2の外周面から径方向に突出する係合凸部4であり、被係合部は、上部ケーシング40の内周面において径方向に凹む係合凹部45である。
【0050】
そのため、上部ケーシング40によってケーシング30に開口部31を容易に形成することができる。また、上部ケーシング40の開口部31の内周面に係合凹部45を形成すればよく、ケーシング30の高さ方向における内周面の全体に亘って係合凹部45を形成する必要がなくなる。従って、係合凹部45を形成するためのコストを低減することができる。また、係合部及び被係合部を簡易に構成することができる。
【0051】
また、本実施形態の水処理装置1においては、係合凸部4は、カートリッジ本体部3の高さ方向に沿って延びる。そのため、カートリッジ本体部3の係合凸部4が上部ケーシング40の係合凹部45によって周方向の移動を規制された状態を維持したまま、カートリッジ本体部3を装置本体5に向かって挿入していくことができる。
【0052】
また、本実施形態の水処理装置1においては、装置本体5は、上方に管状に延び且つ水処理用カートリッジ2の下部が挿入される位置決め筒部20を有し、位置決め筒部20は、水処理用カートリッジ2の下部を位置決め筒部20の内部に案内して位置決めする複数の位置決めリブ23を有する。そのため、複数の位置決めリブ23によって位置決め筒部20を補強することができる。
【0053】
また、位置決めリブ23によって位置決め筒部20が補強されるため、成形上、位置決め筒部20の肉厚を少なくして円管形状を構成することができる。そのため、位置決め筒部20の内容積を増加することができ、貯水量を増加することができる。
【0054】
また、本実施形態の水処理装置1においては、位置決めリブ23は、位置決め筒部20の中心軸Cに向かって傾斜して下がる位置決めテーパ部24を有する。そのため、位置決めリブ23の位置決めテーパ部24によって水処理用カートリッジ2の底部3a(下端部)を位置決め筒部20の内部に容易に案内することができる。
【0055】
また、本実施形態の水処理装置1は、導入ノズル部50と、導出ノズル部52と、導入ノズル部用嵌合穴10と、導出ノズル部用嵌合穴14と、位置決め筒部20の内部に位置する水を装置本体5の外部に排出する排水口18と、排水口18を閉塞すると共に排水口18を開放する栓部55と、を更に備える。
【0056】
そのため、導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10に嵌め込まれ、かつ、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれている場合には、栓部55によって排水口18を閉塞することができる。また、導入ノズル部50が導入ノズル部用嵌合穴10に嵌め込まれておらず、かつ、導出ノズル部52が導出ノズル部用嵌合穴14に嵌め込まれていない場合には、排水口18を開放することができる。従って、位置決め筒部20の内部に位置する水を排水口18から装置本体5の外部に排出することができる。
【0057】
また、本実施形態の水処理装置1においては、導入ノズル部50及び導出ノズル部52は、ノズル側テーパ部51,53を有し、導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14は、穴側テーパ部11,15を有する。そのため、水処理用カートリッジ2が装置本体5に向かって挿入されて、ノズル側テーパ部51,53と穴側テーパ部11,15とが当接することにより、導入ノズル部50及び導出ノズル部52を導入ノズル部用嵌合穴10及び導出ノズル部用嵌合穴14に容易に案内することができる。
【0058】
また、本実施形態の水処理装置1においては、排水口18は、排水管を接続するエルボ70を備える。そのため、排水管接続部及び排水管を介することにより、排水口18から排出される水を、排水口18から離れた箇所に排出することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、位置決め筒部20を円管状(円筒状)に構成するものとして説明したが、これに制限されない。位置決め筒部20を角筒状に構成してもよい。
【0060】
また、前記実施形態においては、水処理装置として、軟水装置を例にして説明したが、これに制限されない。水処理装置として、例えば、活性炭によって被処理水を浄化する浄水装置であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
C 中心軸
1 水処理装置
2 水処理用カートリッジ
2a 外周面
3 カートリッジ本体部
3a 底部
4 係合凸部(係合部)
5 装置本体
7 水路
10 導入ノズル部用嵌合穴
11 穴側テーパ部
14 導出ノズル部用嵌合穴
15 穴側テーパ部
18 排水口
20 位置決め筒部
23 位置決めリブ
24 位置決めテーパ部
30 ケーシング
31 開口部
40 上部ケーシング
45 係合凹部(被係合部)
45a 内周面
50 導入ノズル部
51 ノズル側テーパ部
52 導出ノズル部
53 ノズル側テーパ部
55 栓部
70 エルボ(排水管接続部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を処理して処理水を製造する略円筒状のカートリッジ本体部を有する水処理用カートリッジと、
被処理水及び処理水が流通する水路を有し、前記水処理用カートリッジの下部を着脱自在に支持する装置本体と、
前記水処理用カートリッジを導入する開口部を有し、該水処理用カートリッジを収容するケーシングと、
前記カートリッジ本体部の外周面に設けられる係合部と、
前記係合部と係合可能に前記ケーシングに設けられ、前記カートリッジ本体部の周方向の移動を規制する被係合部と、
を備える水処理装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記開口部を形成する上部ケーシングを有し、
前記係合部は、前記水処理用カートリッジの外周面から径方向に突出する係合凸部であり、
前記被係合部は、前記上部ケーシングの内周面において径方向に凹む係合凹部である請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記係合凸部は、前記カートリッジ本体部の高さ方向に沿って延びる請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記装置本体は、上方に管状に延び且つ前記水処理用カートリッジの下部が挿入される位置決め筒部を有し、
前記位置決め筒部は、前記水処理用カートリッジの下部を該位置決め筒部の内部に案内して位置決めする複数の位置決めリブを有する請求項1から3のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記位置決めリブは、前記位置決め筒部の中心軸に向かって傾斜して下がる位置決めテーパ部を有する請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられ、該カートリッジ本体部の内部に被処理水を導入する導入ノズル部と、
前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられ、該カートリッジ本体部の内部の処理水を外部に導出する導出ノズル部と、
前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、前記導入ノズル部が嵌め込まれる導入ノズル部用嵌合穴と、
前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、前記導出ノズル部が嵌め込まれる導出ノズル部用嵌合穴と、
前記位置決め筒部の内部と連通するように前記装置本体に開口され、該位置決め筒部の内部に位置する水を該装置本体の外部に排出する排水口と、
前記カートリッジ本体部の底部に突出して設けられる栓部であって、前記導入ノズル部が前記導入ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれ且つ前記導出ノズル部が前記導出ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれている場合に前記排水口を閉塞し、前記導入ノズル部が前記導入ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれておらず且つ前記導出ノズル部が前記導出ノズル部用嵌合穴に嵌め込まれていない場合に前記排水口を開放する栓部と、
を更に備える請求項4又は5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記導入ノズル部及び前記導出ノズル部は、それぞれの突出方向における先端部に向かって外径が次第に小さくなるノズル側テーパ部を有し、
前記導入ノズル部用嵌合穴及び前記導出ノズル部用嵌合穴は、それぞれの開口縁部に、前記ノズル側テーパ部に対応し且つ前記導入ノズル部及び前記導出ノズル部が嵌め込まれる方向に向かって内径が次第に小さくなる穴側テーパ部を有する請求項6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記排水口は、排水管を接続する排水管接続部を備える請求項6又は7に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記水処理用カートリッジは、前記カートリッジ本体部の内部に陽イオン交換体を有し、該カートリッジ本体部に導入された被処理水を該陽イオン交換体によってイオン交換処理することにより、被処理水から硬度成分を除去して軟水化処理水を製造する樹脂筒である請求項1から8のいずれかに記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−91126(P2012−91126A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241420(P2010−241420)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】