説明

水分を含んだ環境で二酸化炭素を隔離する方法

本発明は、水分を含んだ環境で二酸化炭素を隔離する方法を提供する。第1段階では、領域は、高栄養段階(OHTL)の有機体の付加を支持することができるかどうかを決定するために評価される。次に、OHTLは、OHTLの付加の前に存在する二酸化炭素の隔離のレベル以上に二酸化炭素を隔離するのに十分に早く沈み、溶解し難い粒状物(PM)を生産するため前記領域に付加される。好ましくは、OHTLにより生産されるPMは、生物学的炭素ポンプの他の成分により生成されるものよりかなり大きい割合で沈み、及び又はそれよりかなり生物分解性が少ない。最後に、二酸化炭素の隔離のレベルのこの増加が定量化される。本発明の方法はまた二酸化炭素の隔離のレベルの定量化された増加を報告する段階を含んでいても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には二酸化炭素の貯蔵に関する。より詳細には、本発明は水分を含んだ環境で二酸化炭素を隔離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球資源の使用により、大気中の二酸化炭素濃度(CO)の上昇や生存する海洋資源のかなりの数の枯渇を含む世界的規模の環境問題が発生している。陸地使用の変化及び化石燃料の燃焼の結果、大気中のCOレベルは60年も経たないうちに2倍になると予想されている。CO及び他の温暖化ガスは大気中に温度を貯蔵し、表面温度を上昇させて急速に気候を変化させると予想されている。気候の変化の衝撃は経済的に不利で環境に有害となる可能性がある。気候変化の潜在的な危険性を減少させるには大気中のCOの隔離が要求される。
【0003】
大気中のCOを捕獲して貯蔵するために提案される方法は、地質学的形態の貯蔵、深海への投入、及び海洋の肥沃化を媒介とした植物プランクトンによる摂取を含んでいる。これらの方法の制限的な能力及び継続期間、費用、及び環境の結果はほとんど未解決であり、それらの有用性を妨げている。
【0004】
大気中のCOを隔離する最も経済的で環境的に妥当な方法は自然的な低地を増やすことである。自然の選択は、二酸化炭素の産業上の分離、捕獲、圧縮、及び貯蔵に関連するコストを避け、潜在的悲観的な環境の副作用を減少させる。自然の方法は炭素を取り替える大きな容量及び能力の貯蔵所を提供し、そこから長期間の炭素サイクルとなる。森林を成長させることは、環境的に良好で、適切な管理により、持続可能な林業の収穫の付加価値の選択を可能にする炭素の隔離の自然な方法の一例である。最大の自然な炭素の貯蔵所は海洋水及び海洋堆積物を含んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地上水から深海への有機物の流動は海洋と大気との間でのCOの分割に直接の影響を与える。一般に、再鉱化前に粒状の有機炭素(POC)が沈む深さが深い程、溶解炭素として地上水に戻る時間は長くなり、大気中の炭素サイクルに再び入る。中間の深い海洋に届く炭素は上方の海洋より長い地上に戻る流路を有していると共に上方の海洋より小さい移流の水速を有する水塊で浮遊させて運ばれる。海洋の内部水の熱塩の換気は上方の海洋(ほぼ2km未満)で毎年と数百年の間から深海で(ほぼ2km以上)で1000年までに及ぶタイムスケールで発生する。地質学の記録に入る埋蔵炭素は数百万年間、大気から隔離される。そのため、二酸化炭素の隔離の有効な方法は地上水から深海への有機物の流動を促進することであろう。したがって、この分野では、二酸化炭素の隔離の目的のためにこの流動を促進する方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は水分を含んだ環境で二酸化炭素を隔離する方法を提供する。本発明は、プランクトンを食する魚、肉食性の魚、及び海洋哺乳動物のような高い栄養を必要とする段階(OHTL)の生物が生物学的炭素ポンプの高効率及び重要な部分、深海で二酸化炭素を隔離する生態学的気候を続けるといった発明者の観測に基づいている。本発明の方法によれば、最初に領域は、OHTLの付加を支持することができるかどうかを決定するために評価される。次に、OHTLは、OHTLの付加の前に存在する二酸化炭素の隔離のレベル以上に二酸化炭素を隔離するのに十分に早く沈み、溶解し難い粒状物(PM)を生成するために領域に付加される。最後に、二酸化炭素の隔離レベルのこの増加は定量化される。本発明の方法はまた二酸化炭素の隔離レベルの定量化された増加を報告する段階をも含んでいてもよい。好ましくは、他のOHTLと比較して迅速に沈み、溶解し難いPMを自然に発生するOHTLが、例えば、肉食性の魚に付加される。代わりに又はさらに、OHTLは急速に沈み、溶解し難いPMの生成を増加させる食物を供給される。例えば、プランクトンを食するOHTLは骨格のないOHTLよりむしろ珪藻の富んだ食物を供給される。
【0007】
好ましくは、OHTLにより生成されたPMは生物学的炭素ポンプの他の成分により生成されたものよりかなり(すなわち、統計的にかなり)大きく及び又はそれよりかなり(すなわち、統計的にかなり)小さい生物分解性の割合で沈む。好ましくは、OHTLにより生成されるPMは少なくとも約50md−1から少なくとも約5000md−1の範囲の割合で沈む。炭素の隔離レベルは生物学的炭素ポンプの他の成分により隔離されるものよりかなり多く増加されるのが好ましい。付加されたOHTLの種類、OHTLがどのように付加されたか、及び付加領域の環境状態を含む非常に多くの要因により、炭素の隔離は前記領域の炭素の現在の隔離レベルより約50%大きい範囲から約5000%大きい範囲に増加されるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は添付した図面と関連付けて以下の説明を読むことによりその目的及び利点と共に理解されるだろう。
【0009】
領域評価
OHTLが付加される領域はOHTLの自然地理学的範囲により明確にされ、各OHTLに特有である。前記領域の地理学的範囲は、付加されるOHTLの分散パターン、環境要因(例えば、海洋学及び大気の天候)、及び他の物理学、化学、及び生物学要因を含む各種要因に依存する。幾つかのOHTLは地理学的に限定された明確な環境内にあり、幾つかは季節及び生物学的発生の機能として環境間を移動し、幾つかは大距離に亘って捜す。
【0010】
COが隔離されるように海洋領域がOHTLの付加に適切かどうかは複数の要因による。領域へのOHTLの付加は生態学的音響方法で実行されなければならない。その領域はOHTLの物理学的、化学的、及び生物学的な許容限界内にあることを決定されなければならない。生物体の生存に影響を与える物理学的要因は、光の有用性、温度、塩分濃度、及び自然汚染を含む。OHTLの生理学的な許容限界を超える化学的要因は減少する酸素及び汚染の各種形式を含む。生物学的要因は生物体の群集内からの影響であり、栄養移動の強さ、群集、捕食、放牧、寄生、浸入種、及び酸素の競合を含む。考慮するさらなる要因は前記領域の水路学の水量の状況内のOHTLのタイミング及び位置を含む。特に、一日から季節、長期間の気候現象(例えば、エルニーニョ)のそれまでの規模に及ぶOHTL付加のタイミングはOHTLの生存及びCOの隔離の可能性にかなりの影響を与える。例えば、一日の生物学的サイクルは時期尚早の捕食圧力を緩和するのを助ける。同様の考察は水路学の水量の状況に与えられるべきである。例えば、季節の流動の傾向はOHTLが大気の対流によって運ばれる環境の生態学的状態に依存する初生のOHTLの生存の可能性にかなり衝撃を与える。
【0011】
前記領域は、水深、海底地形、及び水柱炭酸塩の化学的性質及び生物学的活動のような、生物学的、化学的、及び物理学的海洋学動力学を含む、関連性のあるパラメータの値を決定することによりCOの隔離に適していることが見出されなければならない。これらのパラメータの値は付加されるOHTL及びそれらが属する環境のタイプにより変化する。例えば、海洋のOHTLの付加から勇昇の地域へ引き出されるCOの隔離は、陸の方へ向う水底での湧き上がる流動を有する浅い地域に対して陸の方へ向う水底での湧き上がる流動を維持するのに十分大きい水深により促進されるだろう。同様に、水底での溶解酸素の集中が無酸素レベルである地域に対するOHTLの付加は無酸素でない地域に対する沈殿炭素の隔離をかなり促進するだろう。好ましくは、水底での酸素消費量は少なくとも約0.3モルO−2yr−1から少なくとも約0.9O−2yr−1の範囲である。付加されたOHTLのライフサイクルは、生物体が成長の間に異なる環境の間を移動する時に領域の選択に影響を与える。
【0012】
環境の復活(例えば、海洋保存物の設立、ダムの移転、及び水質及び生態学的健康状態を改善する他の方法)はOHTL生存及び関連するCOの隔離をさらに促進するだろう。領域が環境の復活又はOHTLの付加の他の間接的手段に適しているかどうかは複数の要因によるだろう。前記領域の生態学的変遷は復活活動の適正さを決定するために評価される必要がある。その上さらに、OHTLを介してCOの隔離を促進する維持可能な保存物の設立は、提案された保存物のサイズ及び形状の評価、要求される管理の程度、近接した環境の健康状態、関連するOHTLの移動、及び社会的な人類発生の圧力(例えば、文化、政治、及び経済的要因)を必要としてもよい。
【0013】
OHTLの付加
二酸化炭素が有効に隔離されないように付加されるOHTLの適切な量は各種要因による。少な過ぎるすぎるOHTLが付加された場合、群集はそれ自身を維持することができず、再生は限定される。多過ぎるOHTLの付加は住民を崩壊させる環境ストレスを促進させる。付加されたOHTLの数は環境の搬送能力が維持されるように最適化されるべきである。
【0014】
前記領域にOHTLを付加するために使用される方法は、付加されOHTLの性質の一部分に依存するだろう。関連性のあるOHTLの特性は、年数、サイズ、摂取活動、個体の増加結果、分散パターン、及び実行される生態学的役割を含む。例えば、より古く大きいOHTLは捕食する傾向がなく、そのため、より広範な種類の環境に付加される。OHTLの付加の直接的な方法はOHTLの水産養殖(例えば、孵化場で成長した幼魚)及び海洋でのその後の解放及び近接した環境(例えば、河口域及び河川)、及び個体の増加ロスを最小にする他の努力を含む。付加は地理学的及び時間的に間を空けた方法で実行され、OHTLの競合を制限し、個体の増加結果を促進する。OHTLは囲い地で海洋に付加されてもよい。OHTLの間接的な方法はOHTLの捕獲を制限し、OHTLの成長を促進し、OHTLの成長に対する障害を取り除く処置を講ずることを含む。例は、(例えば、産卵及び交配場の)環境の回復、海洋保存物の設立、汚染の減少(例えば、流去水の減少のために集水地での植林及び道路の移動)、水質の改善、ダム及び堰の移動、漁業圧力の減少、管理及び市場実行の変化、栄養分による海洋の肥沃化、及び別の方法による、OHTLの個体の増加、成長、及び持続の促進、及びPHTLに関連するストレスの減少を含む。
【0015】
OHTL関連のCOの隔離の最適化は、維持性、栄養移動、及び溶解し難く迅速に沈殿するPMの生成を促進することにより奨励される(例えば、骨格のない植物プランクトンよりむしろ珪藻の富んだ食物をプランクトンを食するOHTLに供給する)。骨格のある又は軟骨性の材料を食べるOHTLを供給することは、溶解し難く迅速に沈殿するPMの生成を増加させる。COの隔離は一次生産者からのより有効な栄養の移動を可能にするOHTLを供給することにより最適化されてもよい。例は、マグロのような恒温動物を捜すことを含み、高い速度と体温を維持するために必要な高いエネルギー要求を有している。
【0016】
最適化は付加されたOHTLの状態に関する研究を含んでいる(例えば、存在度及びストレッサー)。生態系の健康及び隔離の有用性の継続監視は、OHTLの戦略を変化させ、COの隔離の度合いをさらに最適化する。監視は、生物学的指標(例えば、全体密度の評価、サイズ、バイオマス、生物多様性、及び生物体の廃棄物の品質及び量)、隔離効率の環境指標(例えば、上方の海洋乱れの評価、太陽光の発散、水温、汚染、及び他のストレッサー)、及びCOの隔離効率に関連する生物地球化学的指標(例えば、OHTL関連のエクスポートの評価、深みへの流動、海底への流動、及び地質学の保存物)を含んでいてもよい。最適化はさらに完全に生態系を回復させる努力によりさらに高まる。
【0017】
OHTLによる二酸化炭素の定量化
OHTL関連のCOの隔離を測定するために使用される方法は、OHTLのタイプ及びそれらがどのように付加されるかに部分的に依存するだろう。例えば、湖底、海岸、及び開放された海洋環境に住むOHTLに付随したCOの隔離はそれぞれ異なる測定技術を許容する。領域に対するOHTLの直接的な付加は、OHTLの発生及び環境の変遷を追跡する標識の使用を可能にし、そのため、より正確に炭素の隔離を予測することができる。環境の回復によるOHTLの間接的な付加は炭素の隔離を決定するために生態系規模のより大きな程度の監視を必要とする。
【0018】
自然システムの複雑化のため、OHTL関連のCOの隔離の直接的な現地測定は困難であり、現在使用されるツールは操作上変化し、理論上限定される。COの隔離を直接測定するために使用される技術は、空中海上でのCOの交換の定量化、化学変換、及び深み及び沈殿へのPMの流動のような、生物地球化学的及び炭酸塩システムの定量化を含む。
【0019】
OHTL関連のCOの隔離は生態系動力学の適切な知識を使用して評価されてもよい。重要な生態系成分は、OHTL調査、一次生産者、栄養移動効率及びバイオマス、深みへの流動、及び沈殿を含む。例えば、OHTLエクスポートは一次生産者、栄養移動効率、及びOHTLバイオマスの関数として理解されてもよい。方法の選択は種の生物学的及び生態学的役割、要求されるタイムスケール、及び使用される領域に依存するだろう。
【0020】
OHTL関連のCOの隔離の定量化は現地及び実験台で行われる実験を含んでいてもよい。定量化は複雑さが変化するモデル及び数の模擬実験への現地及び実験ベースの結果の結合を含んでいてもよい。
【0021】
現地実験はOHTL関連の個体群動力学、一次生産者、栄養移動、及びエクスポートの定量化、深みへの流動、及び粒状物の海底への流動を含んでいてもよい。現地ベースの実験は囲い(例えば、かご及び中央世界)を含んでいてもいなくてもよい。OHTLバイオマスは、変換器機構、ソナー、ビデオ、トローリング、フック、及び無線による評定を含む非常に多くの方法を使用して定量化されてもよい。漁業ストック及び個体の増加の評価の方法はOHTLバイオマスを定量化するために使用されてもよい。そのような方法は、漁業活動の直接的調査(例えば、捜索時間、網のセット数、漁業活動の頻度、作業員数、操業回数)個々の調査(例えば、電話調査、アクセスポイントの妨害、瞬間のボード数の移動、現場での入港数、航海日誌データ、商業上及び娯楽の漁業からのデータ)、統計的な方法、及び生態学的な漁業モデリングを含んでいる。解放されたOHTLの起源は非常に多くの方法を使用して決定されてもよく、標識付け、無線送信機の装備、目盛りの記録、耳石組織、地質学的特性(例えば、耳石の微量元素、安定同位元素、及び他の化学トレーサー)、自然及び分類された遺伝子又は分子の分析(例えば、mtDNA分析)を含んでいる。
【0022】
現地実験はまたOHTLから得られた粒状物と地上水の生物学的、化学的、及び物理学的状態との間の相互作用、中深海水層水、深層水、水底沈殿物、及びOHTLから得られた粒状物に関連する微環境を決定するために使用されてもよい。
【0023】
一次生産者を測定するために使用される方法は、各種技術の放射性炭素方法を含み、光合成の間に放出される酸素量を決定し、存在する機能的な葉緑素の量と熱量測定を決定する。一次生産者はまた、自然位で水中で作動する蛍光計及び遠隔検出装置を含む各種蛍光発光による海水の視覚特性を使用して決定される。セル及び粒子数及びサイズはクールター計数器を使用して決定されてもよい。藻及びバクテリアによる濃い炭素の定着は定量化を要求されてもよい。
【0024】
地上水からの炭素のエクスポートを決定するために使用される方法は、234Th方法、質量バランス、及び新しい生産の評価を含んでいる。深みへの流動は主として、つながれて、浮遊している、中立の浮遊沈殿とラップを使用して特徴付けられる。さらなる方法は、大容量の濾過、多数の透過計、映像分析(例えば、写真術及びレーザー)、放射線技術(例えば、234Th欠乏を使用して形成されたトリウム及び測定流動、C/234割合を使用する粒子の有機体炭素流動の234Thから得られた評価、鉛及びパラジウムの放射線同位元素)、酸素及び他のエレメントの質量バランス、及び沈殿物の蓄積割合との比較を含んでいる。有機栄養の活動はまた深みへの流動の割合の評価に影響を与え、定量化を要求してもよい。
【0025】
再鉱化及び早期の続成作用を回避する海底への流動は実際に永久に隔離されるだろう。早期の続成作用の間の分解及び変換を定量化するための直接的な方法は、細孔水および底水での電子アクセプターの消費量又は減少した生産構造(例えば、酸素消費量、脱窒素作用、鉄の削減量、硝酸塩の削減量、メタンの生成量、水素の生成量)、再鉱化製品の生産量(例えば、アンモニウム生産量)、及び有機物質の再鉱化(例えば、酸化酢酸塩、短鎖有機酸酸化物又は発酵、表面還元による酸化酢酸塩、アミノ酸酸化物、バクテリアにより摂取されるブドウ糖、メタン酸化物、藻デトリタスの再鉱化、バクテリア重合体、POMの再鉱化)を測定することを含んでいる。間接的な方法は、電子アクセプターの消費量(例えば、酸素消費量、硝酸塩の削減量)、再鉱化製品の生産量(例えば、全体の二酸化炭素及びアンモニウム生産量)、及び有機物質の分解(例えば、全体の有機物の分解、有機窒素及び燐の再鉱化、全体の加水分解可能なアミノ酸の分解)を含んでいる。バクテリアバランスは、エピ蛍光発光顕微鏡検査法、滴定チミジン方法、滴定アデニン方法、及びセル分割頻度計数を含む各種方法により測定されてもよい。早期の続成作用を定量化するさらなる技術は、脂質、脂肪酸、環状トリタペノイド及び他のOM留分(例えば、ステロイドとホパノイドの合成物)のような有機物質及び分子指標、炭化水素、脂質(遊離及び結合)、及び色素の定量化を含んでいる。方法は、細孔水、底部水、及び沈殿物で特徴付けてもよい。適用されるツールは、培養コア及びジャー、水底の流動チャンバー、同位元素希釈物、ラジオトレーサー(例えば、14CO14CH、及び15NH)、及び本質的な濃縮のモデルを含んでいる。バイターベーションは可能性ある重要な沈殿物の経路を示し、特徴付けられている。
【0026】
粒状廃棄物の再鉱化の割合は、微生物への粒状物の混合及び他の消費者、細胞外の酸素活動、再鉱化の溶解製品の生産、及び粒状物のロスを定量化することにより決定されてもよい。適用される技術は、光、蛍光発光、及び走査及び放出電子顕微鏡検査、分子のプローブ、放射能によって作り出された安定した同位元素特性、及び有機体混合物(例えば、脂質、炭水化物、及び蛋白質含有量)及び大量の本質的な地質学的特性分析の使用を含んでいてもよい。沈む割合は、自然の乱れを正確にシミュレートすることを要求される複雑さを変える沈殿管及び装置を使用して決定されてもよい。微小規模の乱れ及び粘性の影響は再鉱化及び沈殿の割合を評価する時に考慮されなければならない。
【0027】
各種保存物でのOHTLから得られたPMの起源、栄養移動、及び変換、消化管及び組織、水柱、及び沈殿物の決定はOHTL関連のCOの隔離を定量化するのに重要である。方法は、分子のバイオメーカー(例えば、コプロスタノル)、大量の安定した同位元素(例えば、δ13C及びδ15N)、分子レベルの同位元素、本質的な割合(C/N及びC/P)、顕微鏡の合成の同定、トレースエレメントの地質学的特性、アミノ酸N,磁気共鳴(例えば、13C及び31P)、有機物質のスペクトル蛍光発光、及び放射能によって作り出された同位元素分析、蛋白質の配列、及び遺伝子物質の抽出を含んでいる。栄養移動の効率は安定した窒素の同位元素を含む技術により評価されてもよい。
【0028】
現地でのそのような装置の配備及びそのような方法の実行はOHTLの活動を特徴付けるために特に設計される方法で実行される必要がある。例えば、捜したOHTLから得られた沈んだ粒状物は伝統的な水柱(例えば、つながれた沈殿物トラップ)及び沈殿物(例えば、ボックスコアサンプリング)の技術により容易に特徴付けられない。OHTL特有の観察は実行される必要がある(例えば、食物摂取を捕獲する特定の水塊の前部での測定及び捜したOHTLの廃棄物生成)。例えば、実験は自然位で生体エネルギー論及び生物地球化学的活動を記録する以下のOHTLを含んでいてもよい。したがって、定量化は、OLTLのそれに対してOHTLのより異種空間の分配に関して設計された技術を使用するのが好ましい。
【0029】
実験室の実験は現地で容易に測定できないOHTLに付随したCOの隔離の定量化を含んでいてもよい。そのようなパラメータはOHTLに付随した生体エネルギー論及び生理学的動力学の特性(例えば、食物の摂取の効率及び割合、代謝割合、成長、再生、及び固体及び液体廃棄物の生成)、及び廃棄物(例えば、糞粒及び溶解栄養分の生成)を含んでいてもよい。実験室の実験は、OHTL特有の代謝要求、摂取品質、摂取量、排泄品質、排泄量、及び固体及び溶解物の排泄品質及び固体及び溶解物の排泄量に関連するパラメータを決定するために使用されてもよい。
【0030】
OHTLに付随したCOの隔離の定量化は現地ベースの観察と実験室ベースの観察の統合を変化する複雑さの非常に多くの模擬実験に含んでもよい。非常に多くの模擬実験は経験的なアルゴリズム、感度分析、物理学ベースのモデリング、生体エネルギー論のモデリング、及び生態学と環境学の相互作用のモデリングを含んでいてもよい。モデルは、太陽光の発散、乱れ、混合、海流、水深、水温、密度、生物学的群集の混合(例えば、生産者及び腐食性生物)、及び溶解栄養分の濃縮、及び生体の岩屑の粒状物のような環境データを組み込んでもよい。例えば、OTHLの直接的付加により得られたCOの隔離はOHTL生態系(例えば、群集生存及び再生の成功)、生体エネルギー論(例えば、成長、身体サイズ、食物の摂取割合及び混合物)、生体地球化学的(例えば、粒状廃棄物の品質及び量)、身体(例えば、粒子沈殿割合の乱れ及び粘性の影響及び再鉱化への有用性)、及びCOの隔離のための特有の能力で個々のOHTLに関連する非常に多くの模擬実験への環境(例えば、水深、乱れ、及び温度)の動力学(例えば、栄養移動の現地及び実験室で決定された効率及び付随する沈殿及び再鉱化の粒状廃棄物の割合)の結合評価により定量化されてもよい。同様に、環境回復によるOHTLの付加の間接的な方法によるCOの隔離はより多くの環境状態及び生態系の相互作用の考慮を必要とする。好ましくは、非常の多くの模擬実験が個々の一次生産者のサイズ、地上水の粘性、地上水の乱れ、及び地上水内の小粒子の保持の少なくとも1つに基づいている。
【0031】
増加する二酸化炭素の隔離の報告書
報告書は非常に多くの方法で達成される。作られた報告書は用紙又は別の基質に印刷され、又は磁気又は光学データにデジタルデータとして格納される。報告書は隔離されたCOの量、使用された特有の技術、及び水柱及び海底状態で特徴付けられる。報告書はCOの隔離量の評価を含んでいてもよい。
【0032】
OHTLによる二酸化炭素の隔離の理論上根拠
本発明は特定の理論に縛られないが、以下に本発明の可能性のある理論上の根拠を説明する。海洋生物は栄養段階への結びつきを与えることにより分類されてもよい。例えば、植物プランクトンは一次生産者であり、栄養段階1(TL1)を構成し、植物プランクトンを餌にする動物プランクトンは栄養段階2(TL2)を構成し、動物プランクトンを餌にする魚は栄養段階3(TL3)を構成する等である。高い栄養段階の生物体(OHTL)は、プランクトンを食する魚、肉食の魚、及び海洋哺乳動物のような、1より高い栄養段階のものである。植物プランクトンは、海洋表面のバイオマスの最大割合を構成するので、それらが生物学上のポンプの最も重要な部分であることは以前に考えられている。しかしながら、発明者は、海洋表面のバイオマスに対して比較的寄与が小さいにも係らず、OHTLが生物学ポンプのかなり有効で重要な部分を構成することを見出した。
【0033】
炭素隔離のOHTLから得られたPMの役割を決定する第1段階はPM再鉱化のため新規な分類計画を開発することである。海洋PMは粒子の連続体から構成され、それぞれは、サイズ、沈殿割合、及び再鉱化への有用性を含めて、独特の特徴を有している。沈殿するPMの再鉱化に影響を与える特性及び過程は、その土地で形成された又は他の土地で形成されたものとして分類可能である。その土地で形成された特性は、それが沈殿する時に粒子がそれを運ぶものとして定義される。粒子のその土地で形成された特性は、沈殿割合、自然の圧縮又は濃度、粒子の構成(例えば、二酸化珪素、炭酸塩、及び有機成分)、自然の遮蔽物(例えば、珪藻類の骨格材料及び糞原料を囲む粘液)、及び化学変化を起こし易いもの(例えば、溶解し難く不安定な有機混合物)を含んでいる。これらの特性は、自然分解、化学腐食(例えば、酸素分解)、及び微生物消費のような粒子腐食のための異なる処理に影響を与える。対照的に、他の土地で形成された腐食過程は沈殿の間に粒子が見出される環境力を含むものとして定義される。これらの力は水の自然動力学(例えば、温度の機能としての酸素腐食)、水の化学的性質(例えば、温度及び圧力の機能としての炭酸塩分解)、及び有機栄養生物体による消費割合を含んでいる。その土地で形成された又は他の土地で形成された過程は連続的な段階で一緒の動作し、粒子の再鉱化を促進する(例えば、新鮮なPMが生成され、微生物によりコロニーを作られ、動物プランクトンにより消費されると共に排出され、微生物により再度コロニーを作られる等)。
【0034】
PM再鉱化のその土地で形成された又は他の土地で形成された特性及び過程の役割を決定するため、沈殿するPMの質量は以下の等式により表される。
【0035】
z(t)=Fz(t−1)−Daut−Dall (式1)
t=粒子が地上水の下方にエクスポートされてからの時間(日)
z(t)=現在の時間段階(t)の間の深みz(t)への炭素(質量/領域/日)の流動
z(t−1)=前の時間段階(t−1)の間の深みz(t−1)への炭素(質量/領域/日)の流動
aut=時間段階(t−1)と(t)の間の時間にその土地で形成された腐食過程による粒状炭素のロス
all=時間段階(t−1)と(t)の間の時間に他の土地で形成された腐食過程による粒状炭素のロス
沈殿するPMの年数と深さが増加すると、沈殿するPMの質量は沈殿する粒子に関してその土地で形成された腐食過程と他の土地で形成された腐食過程の合計に等しい割合で減少する。等式1を構成するパラメータの内、Dallは観察によって少なくともよく抑えられている。再配列した等式1はDallが沈殿するPM,F及びDautの平均割合の観察上の評価を使用して決定されることを可能にする。
【0036】
all=Fz(t−1)−Fz(t)−Daut (式2)
海洋PMの平均沈殿割合の論文から一般に引用される値は150md−1である。この値は各時間段階(z(t−1)−z(t))の間の深さの差を決定するために使用された。沈殿するPM(F)の深さへの流動は沈殿物トラップを使用して測定されている。沈殿物トラップは雨量計と同様の方法で動作する円錐形構造であり、それらが沈殿する時に粒子を集める。沈殿物トラップは公知の深さ、位置、及び期間から集められた沈殿するPMの質量を測定する。沈殿物トラップの実験からの結果は通常、大量の材料(例えば、全炭素)の観察を報告し、そのため、全体の生物学ポンプを表わす。深みへの流動の割合は水深が増加することにより減少し、海洋領域の間で変化する。このモデルで使用される炭素(F)の深さに対する流動の観察はルッツ(ルッツ、エム..ジェー.,等の2002、海洋の粒子有機炭素の垂直流動の地域の変化、世界的な生物地球化学的循環16(3)、1037)及びジュース(ジュース等、1980、海洋の粒子有機炭素流動表面生産力及び酸素利用、自然、288、260〜263)に発表されている。その土地で形成された再鉱化(Daut)の割合は溶解し難い成分に対して不安定な材料の比例したロスを表わしている。
【0037】
指標Dallの上方に与えられた値を使用したモデル結果は以下の指数の腐食式により表わされる。
【0038】
all=aexp(−bt) (式3)
ここで、a=0.505及びb=0.0001333である。パラメータa及びbは沈殿するPMの平均の大きさの炭素のためDallを特徴付けている。粒子のエクスポートの増加からの水深及び時間としてDallの指数の減少は水深が増加する時に有機栄養活動の縮小と一致する。このモデルは、Dallが沈殿する粒子の腐食を抑え、500〜1500mの間の深さでDautの4〜6倍を占める。そのため、DallはDautよりかなり大きいので、PMの深海及び沈殿物への急速な移動を容易にする処理は上方の水柱でのPMの再鉱化の可能性をかなり減少させるだろう。
【0039】
深海及び沈殿物の炭素を隔離するための生物学ポンプの能力は、一次生産量、OHTLにより受け取られる一次生産の一部分(例えば、栄養移動の効率)、各栄養効率により生産されるPMの沈殿及び再鉱化割合により影響を受ける。栄養移動効率は、食物の品質、生理学(例えば、活動)、及び食物に対する消費者の存在度に依存する。化学変化を起こし易い食物はより容易に消費されると共に吸収される。植物プランクトンは比較的不安定であるので、有効な栄養移動に関連する。したがって、最初の2つの栄養段階の間での栄養移動は60%〜90%の間にあると判断されている(チャピン,エフ.エス.,2002、地球の生態系生態学、スプリンジャー出版社)。その上さらに、消費及び吸収効率は植物プランクトン種の混合に依存するだろう。通常、2以上の栄養段階の間での栄養移動は10%〜25%の間の範囲にある。この範囲は異なる生産性の海洋領域とそれらが支持する生態系との間での変動を表わす。その上さらに、幾つかのOHTLの生理学的な要求は向上した栄養移動を示す(例えば、マグロのように、狩猟採集による恒温動物の高い速度及び体温を維持するために必要な高いエネルギー要求)。
【0040】
等式1,2、及び3と共に栄養移動の値の評価をすると、上記モデルは栄養段階2,3、及び4の生物学ポンプから得られたPMの深さへの流動の平均効率をシミュレートするために使用された(図1)。深みへの流動の評価は1000mgCm−2一次生産を想定して得られた。その評価は栄養段階1と2の間の75%と、より高い栄養段階の間の18%の栄養移動効率を使用している。栄養段階1のため、沈殿し、その土地で形成された再鉱化の割合(例えば、植物の岩屑)は沈殿物トラップの観察を使用して評価された(上記したように、それぞれ150md−1及び4%d−1)。沈殿物トラップの観察は他の栄養段階から得られた物質を含んでいてもよいから、これは最大値であると予測される。沈殿物トラップの観察はおそらくより低い栄養段階の典型であり、その地理学分配はより不変である。栄養段階が増加すると、栄養段階当りの214の率増加するように評価され、その土地で形成された再鉱化割合は栄養段階当り0.5%d−1減少するように評価される。他の土地で形成された再鉱化は上記した(等式3)のように評価される。
【0041】
図1では、実線210及び220はそれぞれ、各種地球上の領域から深さへの流動観察の最小値及び最大値を示している(ルッツ等、2002)。実線230は深さへのPOC流動観察の地球上の平均値を示している(ジュース等、1980)。星印240は他の場所で形成された腐食の割合を決定するために使用される深さモデルへの上記流動の結果を表わしている(等式1、2、及び3)。一点鎖線250,260及び270は、それぞれ、第2、第3及び第4栄養段階から生じる深さへの平均POC流動の評価を示している。
【0042】
この模擬実験は、栄養段階が増加すると、各栄養段階からエクスポートする質量が減少し、深さへの流動効率が増加することを示している。図1は、栄養段階2(250)から得られた深みへの流動が領域の推定値の最大値に近づき、栄養段階3(260)から得られた深みへの流動が沈殿物トラップの観察(230)の平均値に近づくことを示している。生物学ポンプのOHTL付随の部分のため(3000mでの)深海への深みへの流動、栄養段階2,3、及び4の合計は、地上水(すなわち、150mでの流動)からのエクスポートの40%で一次生産の8%である。海岸及び勇昇領域でのように栄養段階がより有効な場合(すなわち、栄養段階1と2の間の90%、及びより高い栄養段階の間の25%)、ポンプのこの部分から得られる深海への流動の効率はエクスポートの50%及び一次生産の10%に達する。OHTLから得られた粒状材料の深みへの流動効率の理論上の最大限界値はエクスポートの100%であり、これは一日でPMが沈む距離が水の深みに近づいた時に発生する。
【0043】
上記模擬実験は、(沈殿割合が増加し、再鉱化割合が減少した時に)より高い栄養段階で深みへの流動及び(再鉱化割合が減少した時に)埋葬はより有効であることを示唆している。これは多くの理由のため真実であろう。粒子が小さ過ぎる場合、浮遊物を漏れ出さない。沈殿する粒子が大きい程、その降下は早くなる。海洋の最大粒子の間でOHTLは大きな残骸を生成し、それは海底へ急速に沈殿する。OHTLはまた、大きく、急速に沈殿する糞を生成する。したがって、水柱を通ってOHTLから得られたPMの急ぎの経路は上方の海洋(ほぼ1.5km未満)内の有機栄養の消費及び再鉱化に対する有用性をかなり減少させ、それは再鉱化が発生する前に深海(ほぼ1.5km以上)及び沈殿物に達する可能性を増加させる。
【0044】
OHTLから得られたPMの深さ及び埋葬へのより有効な流動に寄与する別の要因は、他の沈殿するPMに比較したOHTLから得られたPMの溶解し難い性質である。これは各種原因による。OHTLは自然分解及び化学的及び生物学的腐食に耐える小型の糞粒を生成する。これらの糞粒は粘液に閉じ込められ、さらに腐食を抑制し、降下を促進するように形成される。さらに、より不安定な材料が吸収されると、消化管の経路は植物プランクトンから得られた岩屑の質量を減少させ、摂取質量は排泄より非常に少なくなる。
【0045】
同様に、栄養段階が増加すると、廃棄物の不安定さは減少する。食物の摂取の間、食物の不安定な成分は優先的に除去されるので、OHTLはそれらの食物源より栄養のない値となる廃物PMを生成する(例えば、食物の岩屑に対する有機栄養の糞粒)。例えば、有機栄養を餌にする有機栄養生物(例えば、動物プランクトン及びプランクトンを食するもの)は有機栄養生物に餌を与える雑食動物及び肉食動物より多く化学変化を起こし易い不安定な廃物を生成する。OHTLはまた、死亡による腐食に耐える溶解し難い細胞及び本体成分を生成する。消費者の生理学的な要求はまた、排泄されたPMの不安定さに影響を与える(例えば、高い有機エネルギー要求による)。
【0046】
上述したように、模擬実験は生物学ポンプのOHTLから得られた部分がより容易に埋葬される粒状物を生成することを示唆している。したがって、生物学ポンプのこの部分は岩石圏の長期の炭素循環に付加されてもよい。上述したように、一般に、再鉱化割合は栄養段階の増加にしたがって減少する。このため、OHTLにより生成されたPMはおそらく水底の有機体により再鉱化されない。ほとんどの再鉱化は海洋沈殿物の上方10cm内で発生するため、沈殿物割合が増加すると、腐食の有用性は減少する。したがって、OHTLと関連して上述した沈殿物の高割合は有機炭素で富んだ沈殿物の埋葬を促進する。その上さらに、OHTLから得られた有機物質が十分に早く蓄積された場合、水底での酸素濃度は水底の有機栄養生物の活動をさらに制限するレベルにまで低下するだろう。さらに、水深が増加すると、OHTLのないものから得られたPMに対するOHTLから得られたものの割合は増加する。したがって、OHTLから得られたPMの比例した質量は地上水からエクスポートしたPMと比較して海底のPM沈殿物にとってより大きい。このため、OHTLから得られたPMは沈殿物により保存されがちである。上記したように、海底の他のPM沈殿物と比べて、OHTLから得られたPMはより溶解し難い。OHTLから得られたPMは水底の消費者には余り栄養にならないので、それは沈殿物に保存されがちである。そのため、各種手段を通して、OHTLにより影響を与えられた生物学ポンプの部分は深海及び沈殿物でより有効な炭素隔離の原因となる部分を表わしている。
【0047】
等式1を使用する模擬実験は、ここに栄養ポンプとして定義された、海洋の有機物により生じた炭素循環のOHTLに付随した高効率の成分を理解させる(図2)。栄養ポンプは急速に沈殿し浅い再鉱化を避ける比較的溶解し難い有機物により生じた粒状物をOHTLがどのように生成し、そのため、岩石圏での長期の海洋炭素保存及び埋葬に寄与するかを説明する。図2では、循環110は栄養段階1(TL1)を示し、循環120は栄養段階2(TL2)を示し、循環130は栄養段階3(TL3)を示している。循環は各栄養段階内の生産性及び再循環を示している。矢印140は大気144と海洋146の間の部分的な圧力の勾配に駆動される大気と海洋間の境界142を越えるCOの流動を示している。矢印150はそれが最初の3つの栄養段階を上昇する時の炭素のエクスポートを示している。矢印160,162及び164は栄養段階1,2及び3からの炭素のエクスポートを示し、それぞれ地上水166からエクスポートの深みの基部(すなわち、流動形成の間の真光層領域及び混合層の深さの最大値)169を通って深海168に至る。矢印170,172及び174はそれぞれ、栄養段階1,2及び3から深みへの粒状の炭素流動を示している。矢印180,182及び184はそれぞれ、栄養段階1,2及び3から得られた特定の炭素の深さの再生を示している。矢印190は海底192への炭素の流動を示している。矢印194は沈殿物196での炭素(すなわち、水底及び早期の続成作用の過程により再鉱化されない炭素)の埋葬を示している。矢印200は地上水へ再生した栄養分の移流の戻りを示している。栄養ポンプはより高い栄養段階を通る炭素循環がより低い栄養段階を通る炭素循環より長い期間、隔離される傾向があることを示している。この差はOHTLに付随した粒状の炭素(例えば、糞材料)が一般に溶解し難く、OLTLに付随した炭素より急速に沈殿するからである。したがって、OHTLに付随した炭素はより大きな水深で再鉱化され、地質学的に保存された沈殿物により容易に組み込まれる。
【0048】
本発明により記載された炭素の隔離のための方法は海洋に限定されない。この発明は、海洋のOHTLと同様に、全水中のOHTL(例えば、淡水又は半塩水)にも等しく適用できる。
【0049】
本発明により記載された方法は、炭素と同様に、一定の汚染物、化学的混合物、及び成分の隔離を高めるだろう。例えば、生物増幅は一定のエレメント及び化学物質(例えば、重金属、PCB、及びDDT)をOHTLの組織に凝集させる。本発明は、OHTLにより生成された粒状の廃物又は沈殿する残骸のようにこれらの汚染物の地上水からの除去を高めることができるだろう。
【0050】
本発明により記載された方法は一次生産をも高めるだろう。OHTLは急速且つ有効に栄養分を再循環させる。OHTLにより生成された流体の廃物は他の分解者(例えば、バクテリア)により生成されるより幾つかの一次生産者により容易に利用可能である。その上さらに、それらが歴史的に除去される環境へOHTLの帰還は生態系をより自然且つ健康的に実行させるのを助ける。
【0051】
本発明の原理から逸脱することなく、各種変形、代用及び変更が成され、他の方法で実行されることは当業者であれば認識するだろう。したがって、本発明の範囲は添付した請求項及びそれらの法律上の同等物により決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の方法の結果をテキストで示し、沈殿穴の観察を使用して得られた深さへの流動の観察と比較した沈殿する粒状有機体の炭素(POC)を示している。
【図2】本発明による栄養ポンプを介した海洋沈殿物のCOの隔離の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含んだ環境で二酸化炭素を隔離する方法であって、
a)前記水分を含んだ環境の領域を評価し、該領域がOHTLを付加し続けるかどうかを決定し、
b)前記領域にOHTLを付加し、粒状物を生成し、前記粒状物の生成が前記領域での二酸化炭素の隔離の現在のレベル以上に二酸化炭素の隔離を増加するのに十分であり、
c)前記領域での二酸化炭素の隔離の前記増加の量を決める
ことを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記OHTLの付加は生物学的炭素ポンプの他の成分から生成される粒状物よりかなり大きい割合で沈む粒状物を生成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記OHTLの付加は生物学的炭素ポンプの他の成分から生成される粒状物よりかなり溶解し難い粒状物を生成する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記定量化された増加を報告することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記報告は、二酸化炭素の隔離、水柱状態、表面状態、又は海底状態のために使用される報告技術をさらに含んでいる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記OHTLが急速に沈み、溶解し難い粒状物を生成するのを手伝う食物を前記OHTLに供給することをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記食物は、溶解し難い粒状の廃物の生成を促進する成分に富んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記成分は、珪藻、軟骨物又は骨格物を含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記領域の適正な地理的範囲を決定することをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記決定は、前記付加されたOHTL、環境要素、物理学的要素、生物学的要素及び化学的要素の分散パターンのうちの少なくとも1つに基づいている請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記評価は、前記領域が前記OHTLの物理学的、化学的、及び生物学的な許容内にあるかどうかを決定することを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記評価は、二酸化炭素の隔離に関連性のあるパラメータの値を決定することを含み、前記パラメータは水深、海底の地形、生物学的動力学、化学的動力学、温度、水底の溶解酸素、水路部分の水量の状況及び物理的海洋学動力学のうちの少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記付加は、OHTLを前記領域に直接付加することと、OHTLを前記領域に移動又は前記領域で再生させることの少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記OHTLは、魚、海洋哺乳動物、又は海洋爬虫類である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記OHTLは肉食性である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記付加量は、前記環境の収容力が維持されるように最適化されている請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記定量化は、直接の現地測定、実験室実験、現地実験、生態系動力学に基づく評価、及び数の模擬実験の構築のうちのすくなくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記数の模擬実験は、個々の一次生産者のサイズ、地上水の粘性、地上水の乱れ、及び地上水内の小粒子の保持力のうちの少なくとも1つに基づいている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記定量化は、OHTL付随の個体群動態学の定量化、粒状物のエクスポートの測定、粒状物の深みへの流動及び海底への流動、一次生産の測定、地上水からの炭素のエクスポートの決定、早期の続性作用の定量化、バイオターベーションの特徴付け、OHTLから派生した粒状物の起源及び生物地球科学的転換の決定、及びOHTL付随の二酸化炭素隔離動力学の定量化のうちの少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記定量化はOHTL特有の生理学及び生物発生学の関係の決定を含み、前記決定は、OHTL特有の代謝要求を記述するパラメータ、摂取品質、摂取量、排出品質、排出量、及び、固体及び溶解物の排出品質及び固定及び溶解物の排出量のうちの少なくとも1つを決定することを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記定量化は、OHTLから派生した粒状物と、a)地上水、b)中深海水層水、c)深海水、d)水底堆積物、e)前記OHTLから派生した粒状物と関連した微環境の生物学、化学、及び物理学の状態との間での相互作用の決定を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記定量化は、OLTLの異種の空間的な分配に比例するOHTLのそれに関して設計された技術を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記付加後のOHTLバイオマスを定量化することをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記領域の前記OHTLを維持するために測定することをさらに含み、前記測定は、OHTLの捕獲を制限し、OHTLの成長を促進し、又はOHTLの成長に対する障害を除去することを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記付加は、地理学的で時間的な分配方法で実行される請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−502486(P2009−502486A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524218(P2008−524218)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/029546
【国際公開番号】WO2007/014349
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508024108)
【Fターム(参考)】