説明

水分モニタリングシステム

1以上の吸収性物品における濡れをモニタリングための水分モニタリングシステムであって、該システムは、吸収性物品における濡れの存在を示す1以上のセンサーシグナルを受信する入力部、前記1以上のセンサーシグナルを処理し、そのシグナルの分析を行って、吸収性物品で起こっている濡れ事象の特徴を決定するためのプロセッサ、ならびに前記システムのユーザーに連絡を行うユーザーインターフェースを含む。数学モデルを用い、センサーシグナルならびに適宜に患者および人口学的データから誘導される変数を入力として受信して、濡れ事象の特徴を決定する。その数学モデルは、患者を漏れについてモニタリングしながら得られた観察データを利用するアルゴリズムによって構成および/または再構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分モニタリングに関する。本発明は特には、例えば尿失禁および/または 便失禁によって生じる濡れ事象によって生じる、おむつ、失禁用衣類、包帯およびパッドなどの吸収性物品での水分をモニタリングするためのシステム、装置および方法に関するものであるが、それらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
失禁とは、自然な排泄物もしくは排出物の制御されない放出がある状態である。いくつかの形態の失禁が比較的広く起こっているが、その状態は通常、女性、高齢者および衰弱者に影響する。尿失禁は、不随意または制御されない排尿を生じる膀胱制御の喪失を指す。便失禁または腸失禁などの他の形態の失禁も存在する。本願の文脈において、「失禁」という用語は、尿失禁および便失禁を含むものと理解すべきである。
【0003】
広範囲の各種失禁が認識されている。ストレス失禁とは、咳、くしゃみ、持ち上げ、いきみその他の身体活動に直接関連する不随意の排尿を指す。「ストレス」という用語は、弱った括約筋に対して作用する、膀胱壁を圧迫する腹筋の機械的ストレスを指す。出産、肥満、便秘および閉経後の括約筋における変化は、一部の薬剤の使用で生じ得るようにストレス失禁を増悪し得る。
【0004】
切迫失禁とは、強い排尿欲求を伴う不随意の排尿を指す。多くの場合、患者は、排尿する前にトイレに到着することができない。トイレに行く必要があるのは日中が頻度として非常に多く、夜間も行くことが多い可能性がある。切迫失禁は、空にしようとして不随意に収縮する過活動もしくは「不安定な」膀胱によって生じる。収縮によって、切迫した排尿欲求が生じ、トイレに到着する前に制御されない漏れが起こる。混合型尿失禁(MUI)とは、切迫失禁に関連する不随意の漏出、さらにはストレス失禁に関連する運動、労作、くしゃみまたは咳に関連する不随意の漏出を指す。
【0005】
溢流性尿失禁とは、慢性的に拡張し、過剰に充満した膀胱に関連する不随意の排尿を指す。膀胱は、膀胱出口に対する閉塞によって引き起こされる可能性がある不完全な排尿の結果として、あるいは膀胱筋が適切に収縮しないことによる結果として拡張する可能性がある。この種の膀胱の不全は、神経系の疾患、一部の薬剤または生理的要素によって引き起こされ得る。
【0006】
滴下性尿失禁は、前兆や誘発なく尿が漏れることを指す。漏れがいかなる時点でも起こり得て、予測できないことから、これは自信を喪失させる状態である。滴下性尿失禁を患っている人は多くの場合、日中および夜間を通じて保護パッドやおむつを着用する必要がある。完全尿失禁は、日中および夜間の連続的な尿漏れまたは定期的な大量の尿の漏れおよび制御できない漏れを説明するのに用いられる場合がある用語である。それは、解剖学的欠陥を有して生まれてきたために、この種の失禁を有する人がある。脊椎損傷または手術による泌尿器系に対する損傷によって引き起こされる可能性もある。
【0007】
機能性尿失禁は、麻痺または関節炎などの身体的状態あるいは精神障害によってトイレに行く能力が障害されている場合に起こる。これは、移動に関して他者からの補助に依存している在宅患者を看護する際に非常に一般的である。
【0008】
失禁は比較的広く一般に起こっているが、それは患者および同様に介護者にとって不快かつ厄介なものとなり得ることから、気配りを持って扱うべき状態である。チェックせずに放置していると、失禁は、失禁事象に関連する不快な臭気が存在するために余計に厄介なものとなる可能性があり、それによって失禁患者近くにいる他者にとって不快な環境が生じる可能性がある。さらに、失禁事象の結果として身体から出る浸出液は細菌を含むことが多いことから、チェックされない濡れた状態によって、健康上および衛生上の問題が生じる可能性がある。さらに、保健関係の規則またはプロトコールで、失禁を患う患者が濡れた状態で放置され得る最長期間、例えば15分間を規定してもよい。
【0009】
過去において、規則およびプロトコールを遵守し、病院、介護施設、老人ケア施設および高齢者施設などのケア施設における患者が良好に世話を受けられるようにする上では、担当者が定期的に失禁を患う患者を手作業でチェックすることが必要であった。手作業でのチェックに関与する不快さは別として、そのような措置計画も、担当者に負担を強いるものである。濡れているかどうかを高頻度で手作業で調べることは、患者の休息および睡眠を中断させることにもなる。
【0010】
失禁の指標および検出システムが存在する。しかしながらそれらは、介護者が濡れについて患者を手作業で定期的にチェックしなければならない現行の状況をほとんど改善するものではなかった。既存の失禁検出システムは、尿失禁事象を便失禁事象と区別したり、これらの事象の程度を識別することができない。既存のシステムはまた、単に濡れが検出された時に、介護者に警告や注意を与えるという点で不十分であり、濡れの程度を示さない。患者が介護者からの注意を実際には必要としない場合であっても、例えば非常に少量の尿や発汗が警報を発する可能性があることから、これによって、それを使わない場合より時間の浪費が大きくなる可能性がある。これも、患者にとっての困りごとの原因となり得る。
【0011】
一部のシステムには、複雑な回路が関与しており、それは高価かつ製造が困難である。ほとんどのおむつおよびパッドが、使用効率および衛生上の理由の両方のために使い捨てであることから、複雑なセンサーシステムのために、採用の広がりや継続的な使用につながらない。
【0012】
一部のシステムは使用するには不格好であり、センサーが、それとともに用いられるおむつやパッドの吸収能力を妨害し得る。他のものもやはり、概して現在のケアの実務には不適合であって、実際には、ケアの実務において、追加の作業、かなりの複雑さまたは変更を生じて、それらが提供し得る利益が小さくなり、広く採用されたり継続的に使用されなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、これらのシステムを改善し、ケア実務における変更を最小限として失禁のモニタリングおよび管理における効率を高め、あるいは少なくとも既存のシステムに対する有用な代替法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、1以上の吸収性物品における濡れをモニタリングための水分モニタリングシステムが提供される。そのシステムには、吸収性物品における濡れの存在を示す1以上のセンサーシグナルを受信する入力部、前記1以上のセンサーシグナルを処理し、そのシグナルの分析を行って、吸収性物品で起こっている濡れ事象の特徴を決定するためのプロセッサ、ならびに前記システムのユーザーに連絡を行うユーザーインターフェースを含む。
【0015】
プロセッサは、吸収性物品における濡れ事象の特徴を決定するための数学モデルを自動的に作りあげるためのアルゴリズムを実行することができる。あるいは、プロセッサが、分析を行うアルゴリズムを実行し、そのアルゴリズムは、センサーシグナルを所定の数学モデルに適用して、例えば濡れ事象での浸出物の推定容量および/または濡れ事象での浸出物の性質を決定することで、吸収性物品における濡れ事象の特徴を決定する。あるいは、そのアルゴリズムは、1以上のセンサーシグナルから誘導される変数を数学モデルに適用してもよい。
【0016】
プロセッサは、センサーシグナルを適用し、かつ/またはセンサーシグナルから変数を誘導することで、濡れ事象の特徴決定を行うための数学モデルでの使用に好適な1以上のパラメータを決定してもよい。センサーシグナルは、浸出物の伝導率、浸出物の温度、浸出物の位置、浸出物のpH、吸収性物品内の圧力、吸収性物品内の臭気、吸収性物品におけるガスの有無ならびに浸出物における血液および/または生物学的マーカーおよび/または化学的マーカーの有無のうちの1以上を示すことができる。
【0017】
センサーシグナルから誘導される変数は、センサーシグナル曲線下の面積、所定の時間内での最高センサーシグナル値、センサーシグナルの立ち上がりの最大値、立ち上がり後のセンサーシグナルの減衰の速度、以前の濡れ事象で推算される容量、濡れ事象の開始時間、濡れ事象終了の時間、濡れ事象の期間、濡れ事象の時刻および最終の濡れ事象以降の経過時間(これらに限定されるものではない)を含む群から選択することができる。
【0018】
プロセッサは、センサーシグナルから確認されたパターンおよび/または数学モデルを用いて確認されたパターンに基づく一定範囲の予測を決定するよう構成されている。これらの予測には、間近の濡れ事象の確率、濡れ事象が起こりやすい時期の推定、吸収性物品の充満度の推定および/または吸収性物品がその吸収許容量に達すると考えられる時点の推定などがあり得る。
【0019】
好ましくは、ユーザーインターフェースには、システムのユーザーにシグナルを伝送して、吸収性物品において所定の濡れ容量が検出されたことを示すよう構成された無線送信機が含まれる。プロセッサは、排泄日誌もしくは排尿日誌を提供したり、かつ/または好ましくは多くの日数にわたってモニタリングシステムを用いてモニタリングした濡れ事象に基づいて個体用の排泄もしくは排尿計画を誘導するように構成することもできる。
【0020】
システムは、誘導された排泄もしくは排尿計画に基づいて、手作業チェックのための所定の基準を満足する濡れ事象を個体が経験する可能性が高い時点を予測することができる。さらに、そのシステムは、手作業チェックのための1以上の所定の基準が満足された時に介護者に警告を自動的に伝えるように作ることができる。
【0021】
一実施形態において、前記プロセッサは、尿失禁、便失禁、滴下性失禁、ストレス失禁、溢流性失禁、急迫性失禁、混合型尿失禁(MUI)、完全失禁および機能性失禁などの、前記システムによってモニタリングされる患者が患う失禁の、考えられる形態を分類するよう構成されている。プロセッサは、吸収性物品の一領域での長引く濡れを認識および/または予測することもできる。
【0022】
プロセッサは、センサー、吸収性物品または吸収性物品の装着者が着ている衣類に貼り付け可能であることができる。あるいは、プロセッサは、1以上の吸収性物品に関連する複数のセンサーからのセンサーシグナルを受信するよう作られた中央モニタリングステーションに組み込むことができる。プレプロセッサを、物品に対して局所的に、吸収性物品のセンサーに関連付けることもできる。
【0023】
好ましくはプロセッサは、モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプおよび異なる吸収性物品タイプのうちの1以上とともに用いられる1以上の数学モデルを再構成するアルゴリズムを実行するよう作られている。これは、特定の個体、異なるセンサータイプもしくは異なる吸収性物品タイプを用いる訓練期間にわたり、センサーシグナルを取得し、かつ観察データを取得することにより定期的に濡れをモニタリングし、また、数学モデルを再構成して、センサーシグナルおよび再構成数学モデルを用いて得られた推定値と訓練期間中に得られた観察データの間に満足できる相関があるようにすることによって行うことができる。数学モデルの再構成では好ましくは、アルゴリズムを用いた例えば線形回帰技術を用いる数学モデル用の1以上の新たなパラメータの決定を行う。
【0024】
観察データには、吸収性物品における濡れの量を示す測定値および測定時間などが含まれる。それは、年齢および性別などの患者についての人口学的データおよび食物摂取および流体摂取ならびに医薬投与レジメンなどの患者情報を含むこともできる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、濡れについてモニタリングされる吸収性物品とともに用いるセンサーが提供される。そのセンサーには、改善された濡れ検出能力を提供するパターンで配列された複数のセンサー要素が含まれる。そのパターンは、吸収性物品内での水分もしくは温度の変動性が相対的に高い領域でのより多くのセンサー要素を含むことができる。そのパターンは、装着者の足を入れる開口付近にある、吸収性物品の両側に向かって配置されているセンサー要素を含むことができる。そのパターンはまた、吸収性物品の2以上の深さに配置されたセンサー要素を含むこともできる。センサーパターンには、細長いセンサー要素、格子状に配置されたセンサー要素およびセンサー要素ドットのアレイのうちの1以上などがある。
【0026】
一実施形態では、1以上のセンサー要素は、吸収性物品の縁部、好ましくは前側の縁部を超えて延在し、モニタリングされる患者をほとんど煩わせることなく、センサー要素をシグナル受信機ユニットに容易に接続するためのコネクターを含む。
【0027】
カバー層をセンサー要素の上に設けることができ、そのカバー層はやはり吸収性物品の縁部を越えて延在し、1以上のセンサー要素に取り付け可能なシグナル受信機ユニットを封入するためのポーチ、ポケットまたはフラップなどの手段を含む。1以上のセンサー要素が吸収性物品外部のシグナル受信機ユニットに接続されるように配置されていることが好ましい。
【0028】
シグナル受信機ユニットは、ある期間にわたって収集したセンサーシグナルを記憶するための記憶手段を含むことができる。あるいはもしくはさらに、シグナル受信機ユニットは、例えば装置上のボタン、ケーブル入力または非接触通信によって、患者の排泄活動に関係するデータを受信するための手段を含むことができる。シグナル受信機ユニットは、センサーシグナルまたはそれから誘導される変数を遠隔配置された装置に電送する送信機を含むこともできる。
【0029】
一実施形態においてセンサーには、センサーの隣接する要素間に配置された1以上のチャンネルを有するセンサー基板が含まれる。そのようなセンサーは、物品中にチャンネルと相応するように配置された高吸収性材料を有する吸収性物品とともに用いて、センサー基板における1以上のチャンネルから流体を抜き取る上で好適である。好ましくはセンサーは、接着剤その他の手段によって、ユーザーが装着可能な吸収性物品に固定することができるフレキシブル基板上に備えられている。
【0030】
センサー要素は、吸収性物品の前側方向、吸収性物品の後ろ側方向、吸収性物品の側面方向そして吸収性物品のほぼ中央など、吸収性物品に関して各種確認可能な位置で濡れを検出する。望ましくは、センサー要素のパターンは、立位、座位、腹臥位、仰臥位および横向きの臥位などの一定範囲の体位でのユーザーからの水分検出改善を促進するものである。好ましくは、センサー要素は、2以上の方向での濡れ事象からの水分の広がりを検出するようにも配置されている。センサーには、電気伝導率、温度、圧力、pH、臭気、ガスおよび浸出物中の生物学的マーカーもしくは化学的マーカーの有無ならびに浸出物の位置のうちの1以上を検出するためのセンサー要素が含まれていてもよい。
【0031】
本発明の別の態様によれば、吸収性物品における水分をモニタリングする方法であって、前記吸収性物品に関連する、前記吸収性物品での濡れを示す1以上のセンサーシグナルを受信するステップ;1以上のセンサーシグナルを所定の数学モデルに適用して、濡れ事象の特徴を決定するステップ;ならびに前記数学モデルに基づいて、前記吸収性物品での濡れ事象の特徴を決定するステップを含む方法が提供される。数学モデルを作る方法も開示される。
【0032】
濡れ事象の特徴決定は好ましくは、濡れ事象での浸出物の推定容量および浸出物の性質のうちの1以上の確認を含むが、そこでは数学モデルによって定義される所定の基準が満足されたか否かの決定も含むことができる。1以上の所定の通知基準が満足される場合は、ユーザーは自動的に通知を受けるようにすることができる。
【0033】
好ましくは、前記所定の数学モデルを実行するアルゴリズムは、入力として、前記1以上のセンサーシグナルから誘導される1以上の変数を受信し、これらの変数は、上記のプロセッサを用いて自動的に誘導することができる。その方法には、膀胱チャートとも称されるモニタリングされた濡れ事象の記録である排泄もしくは排尿日誌の維持も含むことができる。モニタリングシステムを用いてモニタリングされる濡れ事象に基づいて、モニタリング対象の個体について、排泄もしくは排尿計画を導き出すこともできる。
【0034】
その方法は、導き出された排泄もしくは排尿計画に基づいて、個体が手作業チェックの所定の基準を満足する濡れ事象を経験する可能性が高い時期を予測するステップも含むことができ、これは患者ケアを効率的にできるものである。その方法はまた、特定の個体、異なるセンサータイプおよび/または異なる吸収性物品タイプを用いる訓練期間にわたり、センサーシグナルを取得し、かつ観察データを取得することにより、定期的に濡れをモニタリングし、また、数学モデルを再構成して、センサーシグナルおよび再構成数学モデルを用いて得られた推定値と訓練期間中に得られた観察データの間に満足できる相関があるようにすることで、モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプおよび異なる吸収性物品タイプのうちの1以上とともに用いられる1以上の数学モデルの再構成を容易にする。数学モデルの再構成では、例えば線形回帰アルゴリズムを適用することによる数学モデルの新たなパラメータの決定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
添付の図面を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。理解すべき点として、添付の図面の特定事項は、本発明の先行する説明の一般性に取って代わるものではない。
【0036】
一態様において、本発明は、パッド、おむつ、大人用失禁用衣類などの1以上の吸収性物品で濡れをモニタリングするシステムを提供する。本説明を通じて、広範囲の吸収性物品について言及を行う。理解すべき点として、上記で確認された吸収性物品のリストは完全なリストではなく、他の吸収性物品および衣類も本発明の範囲に含まれる。さらに理解すべき点として、「おむつ」などのように、いずかのそのような物品について本明細書で言及している場合、それは失禁用衣類、パッドなどのあらゆる他の好適な吸収性物品について言及しているものと解釈すべきである。
【0037】
本発明の水分モニタリングシステムは、一般に、各種失禁状態を患っている個体についてモニタリングおよびケアを担当者が行う必要がある施設で使用することを意図している。これらの施設には、病院、養護施設、老人ケア施設、老人施設、自宅、一時療養センターなどがあるが、それは、例えば乳児のいる場所などの他の環境でも用いることができる。そのシステムは、例えば介護者などのユーザーを支援する有用な情報を提供することで、失禁などを患う人に対するより効率的なケアを提供する。
【0038】
上記で言及した尿失禁および便失禁および濡れ事象だけでなく、本発明は、創傷管理など、身体からの他の流体および浸出物が存在し得る状態の検出、モニタリングおよび管理においても用途を有する。
【0039】
図1について説明すると、水分モニタリングシステムの特徴を説明する模式図が示されている。そのシステムには、センサーシグナルを受信する入力部104、プロセッサ106およびユーザーインターフェース108がある。そのシステムは、それぞれがモニタリングされる異なる個体と関連付けられている複数のセンサー102とともに用いることができる。入力部によって受信されるセンサーシグナルは、モニタリングされる吸収性物品に水分が存在するか否かを示す。これは、広範囲の異なるセンサータイプおよび配置を用いて行うことができる。
【0040】
一実施形態では、空間を隔てた電極間に導電ブリッジを形成する水分の結果としての、それらの電極間の伝導率上昇によって、水分の存在が示される。これらのセンサーは、温度における変化が水分の存在(または非存在)を示す例えばサーミスタ要素に代えることができるか、それを補充することができると考えられる。水分は皮膚の表面から離れ、吸収性物品中に入ることから、伝導率および温度シグナルは経時的に変化する。
【0041】
あるいはまたはさらに、センサーには、水分(浸出物)の存在下または非存在下で変化する他の変数や浸出物の容量が変化する時点をモニタリングするセンサー要素が含まれていてもよい。これらのセンサー要素には、pH、圧力、臭気および浸出物中のガス、血液、化学的マーカーもしくは生物学的マーカーの有無またはこれらのいずれかの組み合わせにおける変化を検出する要素が含まれていてもよい。センサー要素は、それら検出される水分の位置をプロセッサに伝達するように配列されていてもよい。
【0042】
プロセッサ106は、センサーシグナルの分析を行って、モニタリングされる吸収性物品で起こる濡れ事象の特徴を決定するアルゴリズムを実行する。一実施形態において、分析では、濡れ事象での浸出物容量などの従属変数とその容量を計算するのに用いることができるセンサーシグナルの間における関係のモデリングを行う。一実施形態において、プロセッサは、アルゴリズムを実行して分析を行う。好ましくは、そのアルゴリズムは、センサーシグナルから誘導される変数を数学モデルに適用して、濡れ事象の特徴を決定する。
【0043】
アルゴリズムは、関連する分野における当業者には公知である広範囲の各種技術および言語を用いて、ソフトウェアまたはハードウェアにプログラムすることができる。有利には、そのアルゴリズムによって、プロセッサは、センサーシグナルから得ることができる異なる種類のデータを組み合わせ、そのデータを解析して濡れ事象の特徴決定を行うことで、システムのユーザーにより有用な情報を提供することができる。さらに、そのアルゴリズムによって、システムは、以前では水分モニタリングシステムとともに用いられたことがない新たなセンサータイプおよび新たな種類の吸収性物品に適応することができる。
【0044】
プロセッサは、患者が装着するおむつまたは失禁用衣類の既知の特徴に関係するデータを受信するように構成することができる(例えばおむつ上のバーコードを走査することで手動または自動で入力)。その特徴には、おむつ/衣類の容量、種類もしくは商品名ならびにそれに埋め込まれているセンサーの位置などがあり得る。このデータにより、プロセッサは、パッドの種類を確認し、センサーから受信したデータと組み合わせて使用した場合にプロセッサが強力な解析を行えるようにできる好適な数学モデルを作成もしくは適用することができる。プロセッサは連続する期間にわたってサンプリングされた濡れおよび例えば位置のデータならびに数学モデルを用いて濡れ事象を特徴決定するアルゴリズムを用いることから、患者の動きやシステムにおける他の構成要素からの間欠的で短時間の妨害によって生じ得るファントム事象またはノイズを特徴決定し、これらのアーチファクトポイントを無視することもできる。
【0045】
事象の容量の特徴を決定するため、アルゴリズムは、個体の吸収性物品のセンサーシグナルから誘導される1以上の変数を、その事象における液体の容量を計算する数学モデルに適用する。センサーシグナルから誘導される変数には、センサーシグナル曲線下面積(例:時間に対するシグナル強度);所定期間における最高センサーシグナル値;センサーシグナルの立ち上がりの最大値;立ち上がり後のセンサーシグナルの減衰速度;以前の事象で推算した容量;開始時間;事象終了時間;期間;時刻;および最終検出濡れ事象以降の経過時間のうちの1以上が含まれ得るが、理解すべき点として、このリストは完全なものではない。
【0046】
容量に加えて(またはそれに代えて)、浸出物の性質(すなわち、尿または便)および一連の濡れ事象をストレス失禁、急迫性失禁、便失禁、溢流性失禁、混合型尿失禁(MUI)、滴下性失禁、機能性失禁および完全失禁などの失禁の特定の種類に分類できるか否かなどの濡れ事象の他の側面を特徴決定するよう、アルゴリズムを作ることができる。これは、異なる排尿容量を特徴決定するのに用いたモデルと同じ手段によって開発された好適な数学モデルを適用することで達成することができる。
【0047】
図4について説明すると、数学モデルのパラメータの計算もしくは再計算を行って、最大の正確さで濡れ事象の特徴決定を行い、かつ/またはその成績を最適化するアルゴリズムで関与するステップを示すフロー図が示してある。
【0048】
例えば3日間の訓練期間の間、患者を濡れについてモニタリングする。これは、濡れの指標についてセンサーシグナルを連続的にモニタリングする操作、およびセンサー値における各変数に関して、パッドを変え、パッドを調べ、パッドを秤量することで観察データを得る操作を含むことができる。患者の随意排泄機能に影響するため、数学モデルにおいて影響の大きい変数となる可能性がある変数であることから、流体および食物摂取の量および時間などのさらに別の観察データを収集することができる。
【0049】
ステップ402では、収集したセンサーシグナルおよび観察データをプロセッサが受信する。ステップ404では、プロセッサは、回帰分析を行って、数学モデル用のパラメータを策定するアルゴリズムを実行する。ステップ406では、これらのパラメータを数学モデルにフィードバックし、数学モデルが、観察データによって定義される実際の事象をどの程度正確に推算するかを示す信頼水準を求める。信頼水準が許容できるものであれば(例えば、R−0.6)、パラメータは認められ、モデルはアップデートされる。信頼水準が低すぎる場合、さらなる回帰分析を行い、再度信頼水準のチェックを行う。アルゴリズムは、許容される信頼水準に到達するまで、回帰分析プロセスを繰り返す。
【0050】
同じ方法を利用して、モデルのパラメータを再計算することができる。そのシステムによって利用される数学モデルのパラメータの計算および再計算は、多くの理由から有用である。最初に、それによって、特定の種類の事象を予想するための最初の数学モデルの確立が可能となる。第2に、それによって、システムは、それが患者の随意排泄機能を予測する正確さ、従ってケアの実務を行うことができる効率を連続的に改善することができる。第3に、数学モデルを再構成することで、異なる吸収特性を有する異なる吸収パッドで動作するようにシステムを作ることができる。このようにして、アルゴリズムはパッドの特性を「学習」することができる。
【0051】
同様に、システムは、別のおよび/または異なるセンサータイプで用いるように作成することができる。やはり、システムが異なるセンサーおよびセンサー要素の挙動を「学習」する能力により、システムは新たな製品および技術に適合できるようになり、それによって正確さおよび感度は上昇し、プロセッサが用いるソフトウェアの主要な総点検を行う必要がなくなる。あるいは/さらに、プロセッサは1以上の数学モデルを再定義して、新たなセンサー、センサー要素または吸収性物品に適合するようにすることができる。数学モデルを再定義する必要性は、比較的一般的なコードの使用によって小さくすることできるが、これによって計算が遅くなる可能性がある。
【0052】
本発明の水分モニタリングシステムを用いて、既存のシステムより効率的に失禁患者をモニタリングすることができる。図2は、センサーを用いて濡れに関して患者を連続的にモニタリングするためのモニタリングシステム使用に関与する代表的なステップを示すフロー図である。ステップ202では、システムは、ケア施設で患者が装着する吸収性物品に用いられたセンサーをモニタリングする。センサーシグナル値が初期トリガー値を超えると、ステップ204において、プロセッサ106(図1)が受信されたセンサーシグナルから変数を誘導し、ステップ206ではそれを、所定の数学モデルを用いるアルゴリズムに対する入力として用いて、濡れ事象における浸出物の容量を推算する。その数学モデルは、回帰分析などの好適な統計的モデリング技術を用いて決定することができる。この例では、アルゴリズムが数学モデルを適用して、下記等式を用いて浸出物の容量を推算する。
【0053】
容量−0.3χ(投影_面積)+2.4χ(患者_重量)−0.6χ(患者_年齢)・・・(等式1)
投影_面積は、センサー要素モニタリング浸出物伝導率に関しての時間に対するセンサーシグナルの曲線下の面積である。等式1は、0.63の信頼因子(R)を与える。しかしながら理解すべき点として、等式1は、濡れ事象を特徴決定するのに用いることができる数学モデルの一例に過ぎず、誘導可能な他のモデルも、満足な信頼水準を示す。
【0054】
ステップ208では、プロセッサは、所定の閾値レベルと推定容量を比較するアルゴリズムを実行する。推定容量が閾値未満である場合、プロセッサはセンサーシグナルのモニタリングを継続する。推定容量が閾値を超える場合、ステップ210で、プロセッサは介護者に警報を送る。
【0055】
介護者に警報が送られたら、介護者は居住者に注意を払い、吸収性物品を交換する選択を行うことができ、ステップ212で、プロセッサは、センサーがシステムから切断されたことを検出し、センサーデータをリセットする。
【0056】
プロセッサが介護者に警告するのに用いる閾値容量は、例えば少量、中程度の量もしくは多量として示される「定性的量」または例えば50mLなどの所定容量である定量的量であることができる。
【0057】
好ましくは、プロセッサは、推定容量をおむつの既知の推定許容許容量と比較して、おむつがどの時点で浸出物で飽和された状態になる可能性があるかを介護者に示すアルゴリズムを実行することもでき、それによって、飽和濡れ事象が起きて、患者が過度の濡れによって不快になる前におむつを取り替えることができる。
【0058】
プロセッサは、単一の吸収性物品での一連の濡れ事象で蓄積した水分の総量をモニタリングし、その衣類の吸収許容量に達しているか達する可能性がある時期に関して介護者に指示を提供して、介護者に衣類を交換して、患者の快適性と安らぎを得るようにすることもできる。
【0059】
ユーザーは、性別、年齢、身長および体重などの患者固有の人口統計データなどのデータを、ユーザーインターフェース108を介して入力することができる。上記の等式1に示したように、これらのデータをアルゴリズムが利用して、例えば容量を推算することもできる。他の入力データには、医学的データ、すなわち医薬、流体および食物摂取の量、既知の病状の詳細、最近の手術、介助ケアの年数、失禁用衣類着用の年数、わかっている随意排泄機能および精神的状態などがあり得る。
【0060】
プロセッサ106は、ナースステーションなどの中央モニタリングステーションに組み込むことができる。プロセッサは、ナースステーションで制御される既存のナースコールおよび遠隔患者モニタリングシステムと統合するかまたはそれに組み込むこともできる。プロセッサは、例えば流体および食物摂取、患者の移転、シャワー、排泄、手術などの他のケア管理システムに含まれる非センサー関係データへのアクセスを合理化するための他のケア管理システムと統合することもできる。
【0061】
ユーザーインターフェース108は、介護者が携行するポケベルまたはナースフォンなどの通信装置に警報を送信して、濡れ事象があったこと、またはそれが起こりそうなこと、または患者の身体を調べる必要があるか調べる時期になっていることを示す送信機などを含んでもよい。閾値を超えると推算される濡れ事象の検出に加えて、身体の検査を必要とするこれらの状態には、浸出物が糞便の性質である時、またはセンサーが尿もしくは便で血液、寄生虫または生物学的マーカーもしくは化学的マーカーを検出する時などがあり得る。
【0062】
図3には、本発明の別の使用が示してあり、そこでは、水分モニタリングシステムをケア計画で用いて、介護者による個体の随意排泄の手作業チェックの規則性およびタイミングを評価および計画し、排泄の計画を立てる。そのケア計画は、モニタリングシステムを用いて行う評価に基づくものである。
【0063】
ステップ302で、センサーを患者に割り当てる。センサーには送信機ユニットが取り付けられており、ステップ304では、例えば3〜5日間の連続する期間にわたって、患者を濡れについてモニタリングする。その期間中、患者は通常の活動に参加し、患者は、介護者により例えば1時間ごと等の定期的に濡れに関して身体検査される。プロセッサが受け取ったセンサーシグナルが浸出物の存在を示している場合は、患者に付き添っている介護者に警報が送られ、パッドが交換される。介護者が患者を調べたり、注意を払う都度、観察データが記録され、そのデータは浸出物の性質および量(例えば、汚れたパッドを秤量することで得られる容量もしくは重量)および観察時間などを含む。
【0064】
ステップ306では、観察データを、入力部で受信したセンサーシグナルの記録とともに用いて、患者の随意排泄活動におけるパターンを確認する。ステップ308では、プロセッサが、別の数学モデルを用いるアルゴリズムを用いて、パターン、すなわちモニタリングした事象の頻度および繰り返しに基づく随意排泄ケア計画を自動的に導き出す。ケア計画には、観察されたパターンに基づいて濡れ事象を統計的に予測する排尿もしくは排泄計画などがある。これを介護者が用いて、患者について手作業で濡れを調べたり、ないしは排泄の介助を行ったりする規則性(例えば、時刻)を計画し、患者が失禁事象のパターンを有することがわかる時期の前に、膀胱もしくは腸をいつ空にするかを計画する。次に、センサーを用いて連続的にモニタリングする必要なしに、患者の通常のケアを行うことができる。
【0065】
排尿計画は、濡れ事象が統計的に起こりやすい時点を予測するものであり、これを用いて、介護者に聞こえるおよび/または見ることができる警報を自動的に発生させて(例えば、ユーザーインターフェース108のスクリーン上で提供またはポケベルなどに伝送)、患者に注意を払って手作業で排泄を介助したり、患者の失禁用衣類を交換することができる。
【0066】
排泄/排尿計画を定期的に再評価して(ステップ310)、患者の随意排泄パターンにおける変化に対応しながら、その正確さを維持することが望ましい。再評価は、3、6もしくは12ヶ月ごとに、あるいは排尿計画によって予想される事象と実際の濡れ事象とがあまり一致しない場合には必ず行ってもよい。
【0067】
本発明の別の使用では、水分モニタリングシステムには、各事象の容量、時間および性質(尿および/または便)などの、センサーによって検出される濡れ事象を記録するための記録などが含まれる。これらのデータを用いて、膀胱日誌をつける。これらのデータをさらに、食物および流体の摂取(量、種類および時間)、排泄、さらには患者が行ったいずれか特定の活動に関係する、例えばユーザーインターフェース108で入力された詳細と組み合わせることもできる。
【0068】
その記録は、プロセッサと通信しているかそれと一体形成されている記憶装置で具体化してもよい。プロセッサは、中央に配置し、異なる患者が着用している多くの吸収性物品の濡れ指標に関係するセンサーシグナルを受信することができる。あるいは、吸収性物品上に、センサー付近に配置されたアルゴリズムを実行するプレプロセッサがあってもよい。すなわち、センサーおよび解析を行うプロセッサの一部にセンサーと一緒に設けられていてもよい。そのような配置では、プレプロセッサには、プレプロセッサから、例えばディスプレイを含んでいてもよい中央モニタリングシステムにデータを伝送する送信機を組み込んでいてもよい。
【0069】
図5aおよび5bについて説明すると、吸収性物品500に適用した、本発明の一実施形態によるセンサー502の模式図を示してある。センサー502は、水分が存在する時に伝導率の変化を示すセンサー要素(点線で示してある)を有するが、図6に示したように、温度などの他の変数を用いて水分を検出することが可能であると考えられる。
【0070】
図6は、時間に対する温度のグラフである。点Aでの温度上昇は濡れ事象を示すものであり、低下速度は、温かい水分がセンサー要素から出て、吸収性物品に入ることを示している。点Bをピークとする第2の立ち上がりは、第2の濡れ事象の発生を示すものであり、そのシグナルは持続している。これは代表的には、例えば、濡れ事象の大きさのため、物品がその吸収許容量に達したため、または物品の吸収材層に浸出物を吸い込むことができない便事象が起こったために、吸収性物品を交換しなければならない状況を示している。
【0071】
図5aおよび5bに戻ると、センサー要素502が吸収性物品500の前側の縁部を越えて延在している本発明の一実施形態を示してある。この配置では、シグナル受信機ユニット506を取り付けることができるコネクタ504も設けられている。シグナル受信機ユニットは、センサーシグナルの時間および大きさを記録する記憶部品からなるものであることができる。あるいは/さらに、センサーシグナルの時間および大きさを遠隔配置されたプロセッサに送る送信機が、それに含まれていてもよい。あるいは/さらに、シグナル受信機ユニットは、センサーシグナルの解析を行うアルゴリズムを実行するための前処理手段を含むことができ、そのシグナルは次に、ダウンロード用にローカル保存され、および/または遠隔プロセッサに伝送され、そのプロセッサは介護者に警報を送り、膀胱日誌、排尿計画などを作る。そのような配置では、シグナル受信機ユニット(すなわち、プレプロセッサ)は、患者の排泄活動に関係するデータを受信するための手段を含むこともできる。そのデータは、入力装置へのケーブル連結によって、または例えば患者が着用しているシグナル受信機ユニット自体上のボタンなどの他の好適な手段によって、非接触通信装置を介して無線で受信されてもよい。
【0072】
好ましくは、シグナル受信機ユニット506は再利用可能であり、コネクタ504を介してセンサーに開放可能に接続することができる。この接続は、関連する分野の当業者には公知であるように、オス−メスデュアル・インライン(DIL)コネクタなどのいずれか好適な接続手段を利用することができる。シグナル受信機ユニットは、患者が装着する上で快適な形で患者が着用する吸収性物品または衣服に取り付けることができ、使用時の損傷や外れのリスクを最小とする上で十分に堅牢なものでもある。おむつ/失禁用衣類を交換する時、シグナル受信機ユニットは汚れたセンサーから外し、洗浄し、新しいおむつ/失禁用衣類上のセンサーに取り付けることができる。
【0073】
あるいは、シグナル受信機ユニットおよびセンサーは使い捨てであり、製造時におむつまたは吸収性物品に組み込むことができる。この配置では、シグナル受信機ユニットは見えないようにすることで、おむつの層を通して感じられるスイッチまたはボタンによってセンサーを作動させてもよい。あるいは、高周波その他の非接触システムを用いて、装置を作動させたり、かつ/または中央モニタリングステーションにセンサーシグナルを伝送することができる。さらに別の実施形態では、モニタリングシステムの全ての部品が再利用可能であるが、それによって衛生上の問題が生じる場合があり、部品の洗浄の作業を個人に任せる場合にはそれは望ましくない可能性がある。
【0074】
図5aおよび5bに示した実施形態では、センサー要素の上にカバー層508が設けられている。浸出物によって影響されるカバー層の領域では、カバー層材料を液体浸透性とすることで、濡れ事象によって出る水分を衣料500の吸収材層に吸い込めるようにすることが好ましい。好ましい実施形態では、フラップまたはポーチを設けて、シグナル受信機ユニット(それも、伝送/前処理/記憶の機能を提供することができる)を入れるようにする。フラップまたはポーチは、吸収性物品の前側縁部を越えて延在し、その上で折り畳まれているカバー層の一部分508aによって提供することができ、接着材、ベルクロ(Velcro;登録商標)その他の手段によって所定の場所に固定することができる。フラップまたはポーチは、個体、特には一種の認知症や精神病患者がユニットに変更を加えるのを阻止するものである。好ましくは、センサーおよび吸収性物品は、シグナル受信機ユニットが吸収性物品外部から接触可能なような形で配置する。
【0075】
おむつ上に配置されたセンサーおよび他の構成要素(例:送信機、プレプロセッサ)は、小型電池またはエネルギーを貯える電子部品によって作動させることができる。あるいは、センサーは、RFIDその他の受動装置を含むか、その一部であってもよい。電力節約のため、送信機/プレプロセッサは、所定の長さの時間にわたって濡れ事象がなかったら、動作停止することができる。装置は、濡れ事象が起こると再作動することができる。
【0076】
プロセッサは、センサーから受信したシグナルを解析して、各患者について検出される濡れ事象の特徴を決定する。プロセッサによる濡れ事象の特徴決定には、失禁、発汗または動けない患者で発症し得る褥瘡または褥瘡性潰瘍によって起こる可能性がある他の漏れもしくは排出によって生じる濡れの間で区別を行うことで、濡れ事象の原因の特徴を決定することを含むことができる。
【0077】
センサー102は、製造時にパッド、おむつもしくは大人用失禁用衣類に組み込むことができるか、それを別個に提供し、接着剤その他の固定手段によって「在庫の」おむつに取り付けることができる。後者の場合、センサー要素は、液体浸透性であり得る基板上に設けることで、装着者が放出した浸出物がその基板を通過し(センサー要素を作動させる)、ユーザーからおむつの吸収材層へと吸い取られる。1以上の孔および/またはチャンネルをセンサー基板に設けて、皮膚表面からおむつへの浸出物の抜き取りを促進することができる。図7には、センサーの基板706上の2個の細長い感知要素704間に設けられた細長いチャンネル702がある、そのような一つの実施形態を示してある。この種の基板を有するセンサーを、物品に対応して配置された高吸収性材料を有する吸収性物品とともに用いることで、センサー基板における1以上のチャンネルから吸収材層中へ、そして装着者から離れるように流体を抜き取ることが望ましいものと考えられる。
【0078】
一実施形態において、センサー102は導電性要素である。尿などの電解質が十分な量でその導電性要素に接触すると、要素間に導電ブリッジが形成され、抵抗もしくはコンダクタンス、静電容量などの要素の1以上の電気的特性をモニタリングすることで、それを検出することができる。導電性要素は、金、銅、銀、導電性のインク、ポリマー、テープ、樹脂および糸、他の好適な導電性ポリマー材料、導電性のフィルム、ファイバーまたは例えば不活性金属などの電極のようないずれか好適な導電性材料または材料の組み合わせを用いて形成することができる。あるいは/さらに、センサー要素は、浸出物での温度、pH、臭気、ガスあるいは血液または化学的マーカーもしくは生物学的マーカーの存在における変化を検出して、水分の存在を示すことができる。
【0079】
センサーの製造では、広範囲の製造方法を用いることができる。一つの例は、好適な基板上に感知要素を配置するのに用いることができるスクリーン印刷もしくはエッチングである。一形態においてセンサーは、マイラー(Mylar)その他の好適なフレキシブル基板上に形成されたフレキシブルプリント回路基板の形態で提供することができる。3次元配列の場合、多くの基板層上にセンサー要素を成膜することができ、次にそれを多層ライナーに貼り付ける。おむつに組み込まれたセンサー要素の場合、おむつの各種吸収材層上への層の成膜は、おむつ製造工程に統合することができる。
【0080】
センサー要素は、細長いものであることができるか、おむつもしくはパッドまたはそれに取り付け可能なライナーに沿った、および/またはそれらの中にあるパターンで配置された格子、ドットなどの形態で提供されていてもよい。例えば、スクリーン印刷またはエッチング技術を用いることで、センサーの層に有効なパターンを迅速かつ正確に設計および印刷することができる。有利には、スクリーン印刷が、中間において尿および便などの浸出物をより深くより多くの吸収材層で吸収することができる非常に細い線または格子に、導電性ポリマー、インクなどを配置させることができる。これによって、おむつの性能にほとんど影響を与えることなく、おむつや吸収性物品に、センサーの導電性要素を組み込むことが可能となる。
【0081】
センサー要素は好ましくは、ユーザーが装着する吸収性物品における異なる位置で水分の検出ができるだけの量およびパターンで提供される。そのパターンは、センサー要素が単層で提供される2次元パターンまたは3次元パターンであることができる。センサー要素のパターンは好ましくは、濡れ事象に影響を受ける可能性の高い物品の領域に要素が集中するようなものとなっている。図8は、平らにしてあるおむつ800の模式図であり、好適と考えられるセンサー要素のパターンの一例を示してある。センサー要素のそれぞれは、個別に特定されることで、センサーシグナルが、濡れが存在することを示すデータならびに濡れを検出するセンサー要素の位置をプロセッサに運ぶことができる。これによって、プロセッサは、濡れが起こった吸収性物品における場所および程度を決定することができる。濡れの広がりも確認することができる。
【0082】
一実施形態において、センサーは複数の層を有し、センサー要素は層内で3次元パターンで配置されている。3次元配列は、多くの理由で有利である。第1に、おむつなどの吸収性物品は性質上フレキシブルであることから、足周囲の領域で特に折り畳まれたり、皺状になる傾向がある。センサーの2以上の導電性要素が、物品での折り畳みまたは装着者の動きの結果として「短絡」するようになる問題を回避するため、隣接する導電性要素をセンサーの交互の層に設け、電気的に絶縁性の透過性の層によって分離することで、濡れがない場合の短絡を防ぐようにしてもよい。
【0083】
第2に、センサー要素を異なる層に配置することで、センサーが、水分が検出される深さに関してプロセッサに追加の位置データを運ぶようにすることが可能である。多層で構築されており、超吸収材および「芯」特性を有して設計されていることで、装着者から濡れを吸い取り、それをチャンバまたは吸収材層におけるゾーンに送って、そこに保持させる高機能のおむつおよび失禁用衣類には、これは特に重要である。物品の各種吸収材層中またはその付近にある位置決めセンサー要素は、例えばおむつ内の貯蔵チャンバの濡れの程度(または充満度)に関するものであることができるさらなる関連データをプロセッサに送ることができる。さらに、種々の深さで配置された要素によって、システムはおむつへの流体の吸収をモニタリングすることができる。従って、センサーは、濡れを検出するのに、水分の「蓄積」を必要としない。皮膚からの液体の吸収を最大とするように、最新の吸収材衣料が製造されることを考慮すると、この点は特に有用である。
【0084】
上記で示したように、センサー要素は、濡れ事象の特徴決定を行うのに使うための、関連データを検出する能力を最大とするパターンで配置する。例えば、図8に示したように、そのパターンは、液体が排出されやすい、吸収性物品の前側(802)に向かって、吸収性物品の後ろ側(804)に対して、そして足の開口部周囲(806)および足開口部の間の中心(808)における領域で、より高い密度でセンサー要素を提供するものであることができる。この形態でのセンサー要素の配置によって、通常は吸収性物品の前側方向に起こる尿漏れの検出、通常は物品の後ろ側に対して起こる便濡れの検出、ならびに例えば装着者の足の尻の割れ目付近の股領域の両側方向およびおむつの中央方向に起こる場合が非常に多い発汗によって生じる濡れの検出が改善される。
【0085】
センサーは、吸収性物品における温度、圧力、ガスの存在または臭気および/または尿もしくは便中での細菌、糖、寄生虫などの存在を示す生物学的マーカーもしくは化学的マーカーの存在を検出する手段を提供することもできる。これは、排出事象が起こる場所および/または時を制御する能力を持たない患者には特に有用である。これらのさらなるパラメータに関するデータを、導電性要素からのシグナルと組み合わせて用いることで、濡れ事象をさらに特徴決定し、診断指標を提供し、または少なくとも特定の患者がさらなる注意が必要な状態であるという早期の指示を介護者に与えることもできる。他のセンサー要素を組み込んで、患者が動いているか座位、側臥位または立位にあるかを示すようにすることもできる。
【0086】
センサーシグナルは定期的に記録することができ、例えば100ミリ秒ごとまたは事象を高い信頼性で正確に検出および識別する上で十分な頻度で記録することができる。プロセッサが受信するシグナルは、例えば(i)濡れの検出および(i)検出された濡れの位置を示すデータを明示することができる。液体がおむつを通って吸収され、さらなる濡れ事象が起こることから、これらのシグナルは経時的に変動し得る。これらのシグナルを時間内でモニタリングすることで、プロセッサが、数学モデリングを用いて、ある事象での浸出物の容量および吸収される総容量などのさらに有用なパラメータを誘導することが可能である。
【0087】
さらに、濡れを検出するセンサー要素間の距離、これら要素間の水分の移動速度ならびに使用される材料の吸収特性などの因子を用いて、放出される浸出物の容量を計算することができる。これらの材料には、ポリマー繊維、天然繊維、ゲル、テキスタイル、ファブリック、紙またはこれら材料の組み合わせなどがあり得る。
【0088】
プロセッサは、ある種の濡れ事象を特徴付ける「事象サイン」もしくはモデルのデータベースとともにプログラムすることができるか、そのデータベースに問い合わせを行い、事象サイン/モデルとセンサーシグナルを相関させて、検出される濡れ事象の特徴を決定することができる。そのモデルは、上記の数学モデル、グラフまたは参照表などのいかなる形態でも具体化可能である。
【0089】
有利には、センサーパターンにおいて横側に配置されたセンター要素を含めることで、患者が座位、側臥位または立位のいずれを取っているかとは無関係に、失禁事象を検出することができる。例えば、患者が横向きに横たわっている場合、患者が立位や座位であった場合に作動すると考えられる前側の要素より、横に配置されたセンサー要素の方が尿浸出物を検出する可能性が高くなる。
【0090】
長時間続く濡れは、シグナルが正常レベルに回復しないことで示され得る。長時間高値のセンサーシグナルは、尿の場合とは異なり、おむつの吸収材層に吸い込まれずに、センサー要素と接触した状態に留まり得る糞便の存在を示している可能性がある。便事象の検出には、介護者に対して、おむつを交換することで長期の濡れや不快感を回避するようにする警告を伴うようにすべきである。長時間続く濡れは、おむつが装着者からの尿をそれ以上抜き取れなくなっているために、おむつが充満していることを示している可能性もある。この状態も、介護者に連絡されるべきである。
【0091】
理解すべき点として、本明細書に添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、前述の部分に対して、各種の変更、加入および/または改変を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態による、水分モニタリングシステムの特徴を示す模式図である。
【図2】センサーを用いて濡れに関して患者を連続的にモニタリングするためのモニタリングシステムを用いる上での代表的なステップを示すフロー図である。
【図3】ケア計画における本発明の使用を含むステップを示すフロー図である。
【図4】数学モデルのパラメータの計算もしくは再計算が関与するステップを示すフロー図である。
【図5】図5aおよび5bは、本発明の一実施形態による、吸収性物品とともに用いられるセンサーの一例を説明する図である。
【図6】時間に対して温度を示すセンサーシグナルを表す図である。
【図7】隣接するセンサー要素間にチャンネルを有するセンサーの一実施形態を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態によるセンサー要素のパターンを示す、おむつまたは大人用失禁用衣類の模式的説明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の吸収性物品における濡れをモニタリングするための水分モニタリングシステムであって、
吸収性物品における濡れの存在を示す1以上のセンサーシグナルを受信する入力部、
前記1以上のセンサーシグナルを処理し、そのシグナルの分析を行って、吸収性物品で起こっている濡れ事象の特徴を決定するためのプロセッサ、ならびに
前記システムのユーザーに連絡を行うユーザーインターフェース
を含む、上記水分モニタリングシステム。
【請求項2】
前記プロセッサが、吸収性物品における濡れ事象の特徴を決定するための数学モデルを作りあげるためのアルゴリズムを実行する、請求項1に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、分析を行うアルゴリズムを実行し、そのアルゴリズムが、センサーシグナルおよび所定の数学モデルを用いて、
(i)濡れ事象での浸出物の推定容量、および
(ii)濡れ事象での浸出物の性質
の1以上を決定することで、吸収性物品における濡れ事象の特徴を決定する、請求項1または2に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、センサーシグナルおよび/またはそのセンサーシグナルから誘導される変数を用いて、濡れ事象の特徴を決定するための数学モデルでの使用に好適な1以上のパラメータを誘導する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項5】
前記アルゴリズムが所定の数学モデルに前記1以上のセンサーシグナルから誘導される変数を適用することで、濡れ事象の特徴を決定する、請求項3に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項6】
前記1以上のセンサーシグナルが、
(i)前記浸出物の伝導率;
(ii)前記浸出物の温度;
(iii)前記浸出物の位置;
(iv)前記浸出物のpH;
(v)前記吸収性物品内の圧力;
(vi)前記吸収性物品内の臭気;
(vii)前記吸収性物品におけるガスの存在;
(viii)前記浸出物における血液および/または生物学的マーカーおよび/または化学的マーカーの存在
のうちの1以上を示すものである、請求項3に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項7】
前記センサーシグナルから誘導される変数が、
(i)センサーシグナル曲線下の面積;
(ii)所定の時間内での最高センサーシグナル値;
(iii)前記センサーシグナルの立ち上がりの最大値;
(iv)立ち上がり後のセンサーシグナルの減衰の速度;
(v)以前の濡れ事象で推算される容量;
(vi)濡れ事象の開始時間;
(vii)濡れ事象の終了時間;および
(viii)濡れ事象の期間;
(ix)濡れ事象の時刻;および
(x)最終の濡れ事象以降の経過時間
を含む群から選択される、請求項4または5に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、
(a)間近の濡れ事象の確率;
(b)濡れ事象が起こりやすい時期の推定;
(c)吸収性物品の充満度の推定;および
(d)吸収性物品がその吸収許容量に達すると考えられる時点の推定
のうちの1以上を決定するよう構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項9】
前記ユーザーインターフェースが、前記システムのユーザーにシグナルを伝送して、吸収性物品において所定の濡れ容量が検出されたことを示すよう構成された無線送信機を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、排泄日誌もしくは排尿日誌を提供するよう構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、例えば多くの日数にわたって前記モニタリングシステムを用いてモニタリングした濡れ事象に基づいて個体用の排泄もしくは排尿計画を誘導するように構成されている、請求項3〜10のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項12】
前記システムが、誘導された排泄もしくは排尿計画に基づいて、手作業チェックのための所定の基準を満足する濡れ事象を個体が経験する可能性が高い時点を予測するよう構成されている、請求項11に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項13】
前記システムがさらに、手作業チェックのための1以上の所定の基準が満足された時に介護者に警告を自動的に伝えるように作られている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記システムによってモニタリングされる患者が患う失禁の、考えられる形態を分類するよう構成されており、前記失禁の形態が尿失禁、便失禁、滴下性失禁、ストレス失禁、溢流性失禁、急迫性失禁、混合型尿失禁(MUI)、完全失禁および機能性失禁を含む群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、吸収性物品の一領域での長引く濡れを認識および/または予測するように構成されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、センサー、吸収性物品または吸収性物品の装着者が着ている衣類に貼り付けることができるものである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、1以上の吸収性物品に関連する複数のセンサーからのセンサーシグナルを受信するよう作られた中央モニタリングステーションに組み込まれている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項18】
吸収性物品のセンサーに関連付けられたプレプロセッサを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項19】
モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプもしくは異なる吸収性物品タイプを用いる訓練期間にわたり、センサーシグナルを取得し、かつ観察データを取得することで定期的に濡れをモニタリングし;
数学モデルを再構成して、前記センサーシグナルおよび前記再構成数学モデルを用いて得られた推定値と前記訓練期間中に得られた観察データの間に満足できる相関があるようにすることで、
モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプおよび異なる吸収性物品タイプのうちの1以上とともに用いられる1以上の数学モデルを再構成するよう作られている、請求項3〜18のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項20】
数学モデルの再構成が、前記数学モデル用の1以上の新たなパラメータの決定を含む、請求項19に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項21】
数学モデルの再構成が、線形回帰アルゴリズムの適用を含む、請求項19または20に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項22】
前記観察データが、前記吸収性物品における濡れの量を示す測定値および測定時間を含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項23】
前記観察データが、
人口学的情報;および
患者情報
のうちの1以上を含む、請求項19〜22のいずれか1項に記載の水分モニタリングシステム。
【請求項24】
濡れについてモニタリングされる吸収性物品とともに用いられるセンサーであって、改善された濡れ検出能力を提供するパターンで配置された複数のセンサー要素を含む、上記センサー。
【請求項25】
水分もしくは温度の変動性が相対的に高い領域に、より多くのセンサー要素があるパターンで、前記センサー要素が配置されている、請求項24に記載のセンサー。
【請求項26】
吸収性物品に適用するか、またはそれに組み込んだ場合に、1以上のセンサー要素が該物品の縁部を越えて延在している、請求項24または25に記載のセンサー。
【請求項27】
吸収性物品に適用するか、またはそれに組み込んだ場合に、1以上のセンサー要素が該物品の前側の縁部を越えて延在している、請求項26に記載のセンサー。
【請求項28】
前記センサー要素をシグナル受信機ユニットに接続するためのコネクターをさらに含む、請求項24〜27のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項29】
前記センサー要素上に前記吸収性物品の縁部を越えて延在しており、かつ1以上の前記センサー要素に取り付け可能なシグナル受信機ユニットを封入するための手段を含むカバー層をさらに含む、請求項24〜27のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項30】
吸収性物品に適用するか、またはそれに組み込んだ場合に、1以上のセンサー要素が前記吸収性物品外部のシグナル受信機ユニットに接続されるように配置されている、請求項24〜29のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項31】
前記シグナル受信機ユニットが、ある期間にわたって収集したセンサーシグナルを記憶するための記憶手段を含む、請求項28〜30のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項32】
前記シグナル受信機ユニットが、患者の排泄活動に関係するデータを受信するための手段を含む、請求項28〜31のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項33】
前記パターンが、前記装着者の足を入れる開口付近で、前記吸収性物品の両側に向かって配置されているセンサー要素を含む、請求項24〜32のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項34】
前記パターンが、前記吸収性物品の2以上の深さに配置されたセンサー要素を含む、請求項24〜33のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項35】
前記センサーがセンサー基板を含み、該センサー基板が前記センサーの隣接する要素間に配置された1以上のチャンネルを有する、請求項24〜34のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項36】
前記センサー基板における前記1以上のチャンネルから流体を抜き取る、前記物品中に配置された高吸収性材料を有する吸収性物品とともに用いられる、請求項35に記載のセンサー。
【請求項37】
前記センサーが、接着剤または他の手段によって、ユーザーが装着できる吸収性物品に固定可能なフレキシブル基板上に備えられている、請求項24〜36のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項38】
前記センサー要素が、
(a)前記吸収性物品の前側方向;
(b)前記吸収性物品の後ろ側方向;
(c)前記吸収性物品の側面方向;および
(d)前記吸収性物品のほぼ中央
を含む群から選択される、前記吸収性物品に対する種々の確認可能な位置で濡れを検出する、請求項24〜37のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項39】
センサー要素の前記パターンが、立位、座位、腹臥位、仰臥位および横向きの臥位を含む一定範囲の体位でのユーザーからの水分検出改善を促進するものである、請求項24〜38のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項40】
前記センサー要素が、2以上の方向での濡れ事象からの水分の広がりを検出するように配置されている、請求項24〜39のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項41】
前記センサーパターンが、
細長いセンサー要素;
格子状に配置されたセンサー要素;および
センサー要素ドットのアレイ
のうちの1以上を含む、請求項24〜39のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項42】
前記センサーが、浸出物における電気伝導率、温度、圧力、pH、臭気、ガスおよび生物学的マーカーもしくは化学的マーカーの存在のうちの1以上および浸出物の位置を検出するためのセンサー要素を含む、請求項24〜40のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項43】
吸収性物品における水分をモニタリングする方法であって、
(a)前記吸収性物品に関連する1以上のセンサーシグナルであって、前記吸収性物品での濡れを示すセンサーシグナルを受信するステップ;
(b)1以上のセンサーシグナルを、濡れ事象の特徴を決定するための所定の数学モデルに適用するステップ;ならびに
(c)前記数学モデルに基づいて、前記吸収性物品での濡れ事象の特徴を決定するステップ
を含む、上記方法。
【請求項44】
濡れ事象の特徴決定が、濡れ事象での浸出物の推定容量および浸出物の性質のうちの1以上の確認を含む、請求項43に記載の水分モニタリング方法。
【請求項45】
1以上の所定の通知基準が満足されている場合に、ユーザーに自動的に通知するステップをさらに含む、請求項43に記載の水分モニタリング方法。
【請求項46】
前記所定の数学モデルが、前記1以上のセンサーシグナルから誘導される1以上の変数を有する、請求項43〜45のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項47】
前記センサーシグナルが、
(i)前記浸出物の伝導率;
(ii)前記浸出物の温度;
(iii)前記浸出物の位置;
(iv)前記浸出物のpH;
(v)前記吸収性物品内の圧力;
(vi)前記吸収性物品内の臭気;
(vii)前記吸収性物品におけるガスの存在;
(viii)前記浸出物における血液および/または生物学的マーカーおよび/または化学的マーカーの存在
のうちの1以上を示すものである、請求項43〜46のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項48】
前記センサーシグナルから誘導される変数が、
(i)センサーシグナル曲線下の面積;
(ii)所定の時間内での最高センサーシグナル値;
(iii)前記センサーシグナルの立ち上がりの最大値;
(iv)立ち上がり後のセンサーシグナルの減衰の速度;
(v)以前の濡れ事象で推算される容量;
(vi)濡れ事象の開始時間;
(vii)濡れ事象の終了時間;および
(viii)濡れ事象の期間;
(ix)濡れ事象の時刻;および
(x)最終の濡れ事象以降の経過時間
を含む群から選択される、請求項46に記載の水分モニタリング方法。
【請求項49】
モニタリングされた濡れ事象の記録である排泄もしくは排尿日誌を維持するステップをさらに含む、請求項43〜48のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項50】
前記モニタリングシステムを用いてモニタリングされる濡れ事象に基づいて、個体について、排泄もしくは排尿計画を導き出すステップをさらに含む、請求項43〜49のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項51】
導き出された排泄もしくは排尿計画に基づいて、個体が手作業チェックの所定の基準を満足する濡れ事象を経験する可能性が高い時期を予測するステップをさらに含む、請求項50に記載の水分モニタリング方法。
【請求項52】
モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプおよび/または異なる吸収性物品タイプを用いる訓練期間にわたり、センサーシグナルを取得し、かつ観察データを取得することで定期的に濡れをモニタリングし;
数学モデルを再構成して、前記センサーシグナルおよび前記再構成数学モデルを用いて得られた推定値と前記訓練期間中に得られた観察データの間に満足できる相関があるようにすることで、
モニタリングされる特定の個体、異なるセンサータイプおよび異なる吸収性物品タイプのうちの1以上とともに用いられる前記数学モデルを再構成するステップをさらに含む、請求項43〜51のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項53】
数学モデルの再構成が、前記数学モデルのための新たなパラメータの測定を含む、請求項52に記載の水分モニタリング方法。
【請求項54】
数学モデルの再構成が、線形回帰アルゴリズムの適用を含む、請求項52または53に記載の水分モニタリング方法。
【請求項55】
前記観察データが、前記吸収性物品における濡れの量および測定時間を示す測定値を含む、請求項52〜54のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。
【請求項56】
前記観察データが、
人口学的データ;および
患者情報
のうちの1以上を含む、請求項52〜55のいずれか1項に記載の水分モニタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−535130(P2009−535130A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508043(P2009−508043)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000567
【国際公開番号】WO2007/128038
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508326655)フレッド バーグマン ヘルスケア ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】