説明

水平偏向回路およびそれを備えた陰極線管装置

【課題】低コストで作製でき、消費電力も小さく、M字歪みを補正することができる水平偏向回路およびそれを備えた陰極線管装置を提供する。
【解決手段】水平偏向コイル7と、リニアリティコイル8と、S字補正コンデンサ9とを有し、水平偏向コイル7、リニアリティコイル8およびS字補正コンデンサ9が直列に接続されている水平偏向回路であって、水平偏向コイル7、リニアリティコイル8およびS字補正コンデンサ9に直列に接続されたM字補正部1aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向回路およびそれを備えた陰極線管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陰極線管装置は、水平偏向コイルを有する水平偏向回路を備えている。水平偏向コイルは、ファンネルの外周に設置された偏向ヨークの一部でもある。水平偏向コイルに電流が流れることで発生する磁界により、電子ビームを水平方向に偏向し、走査を行っている。
【0003】
現在主流である陰極線管装置は、フラットなパネルを有しているため、管面の内壁曲率は無限に近い。そのため、走査の際に電子ビームを等角速度で偏向すると、画面の左右端である水平端部に近い個所ほどリニアリティ(直線性)が伸びてしまい、画像にS字歪みが生じる。水平偏向回路において、例えば、S字補正コンデンサと呼ばれるコンデンサを水平偏向コイルに直列に接続して、このS字歪みを補正する。S字補正コンデンサが接続されることで、水平偏向コイルに流れる電流(水平偏向電流)が制御される。すなわち、水平偏向コイルに流れる水平偏向電流の単位時間あたりの変化量が制御される。
【0004】
ここで、水平端部で生じるS字歪みによる伸び量は、電子ビームの偏向角をθとするとtanθに比例するが、S字補正コンデンサによる補正量はsinθに比例する。そのため、S字歪みによる伸び量と補正量とには差が生じ、その差が歪みとして残ってしまう。このように、S字歪みを補正することで、一般的にM字歪みと呼ばれる歪みが生じるため、問題であった。
【0005】
M字歪みは、画面の中央部および画面の水平端部の中間において、リニアリティが伸びる歪みである。図10は、M字歪みを説明するための陰極線管装置の画像表示を示す図である。図10(a)はM字歪みが生じていない正常な画像を表示している陰極線管装置の画面であり、図10(b)はM字歪みが生じている画像を表示している陰極線管装置の画面である。なお、図10(a)および図10(b)の画面上の縦線は、両者の画像の違いをわかり易くするために記載している仮想的な線である。
【0006】
図10(a)において、画面100に円101a、101bおよび101cが表示されている。円101aは画面100の中央部に表示され、円101cは画面100の水平端部に表示され、円101bは画面100の中央部および水平端部の中間部(以下、単に中間部という)に表示されている。ここで、M字歪みが生じていると、図10(a)と同様に三つの円を画面100に表示した場合でも正しく表示されない。具体的には、図10(b)に示しているように、画面100の中央部および画面100の水平端部では円102aおよび円102cが表示されるが、中間部では水平方向に伸びた円102bが表示される。なお、円102aおよび円102cは、若干水平方向に縮んではいるが、略真円であり、歪みは問題にならない。
【0007】
M字歪みが生じると、このように中間部での画像が水平方向に伸びて表示される。しかし、陰極線管装置の管面の内壁曲率が、中央部および水平端部であまり変化しないのであれば、生じるM字歪みは小さく、問題にならない。
【0008】
ところが、近年主流になってきた陰極線管装置のパネルは、画面の中央部および中間部においては、内面(管内の面)および外面(管外の面)共にフラットであるが、水平端部においては内面が曲率を有し外面がフラットな構成である。つまり、パネルの左右端だけ厚みが大きい構成である。これは、パネルのコストダウンが可能であり強度も強いという効果を奏するが、M字歪みが顕著に生じるという問題点がある。
【0009】
この問題を解決するために、従来から種々の方法が提案されている。例えば、画面中央部および水平端部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を大きくし、中間部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を小さくすればよい。特許文献1には、このように水平偏向電流を制御し、M字歪みを補正する補正回路が開示されている。
【0010】
この従来の補正回路について、図11を参照して説明する。図11は従来におけるM字歪みを補正する補正回路の構成を示すブロック図である。従来の補正回路200は、陰極線管装置(図示せず)に搭載されていて、水平偏向コイル205は偏向ヨーク(図示せず)の一部である。従来の補正回路200は、水平偏向コイル205と、水平偏向回路203と、トランス204と、S字歪を補正するための補正波形を生成する波形生成部201と、補正波形を補正電流として出力する出力部202とを備えている。なお、従来の補正回路では水平偏向コイル205が、水平偏向回路203の外部に形成されているが、水平偏向回路203の内部に形成されていてもよい。
【0011】
トランス204の二次巻線側は水平偏向コイル205および水平偏向回路203に接続されていて、一次巻線側には波形生成部201および出力部202が設けられている。波形生成部201が生成する補正波形は、陰極線管装置に入力される垂直同期信号および水平同期信号と同期して陰極線管装置のS字歪みやM字歪み等の歪み特性に応じて、歪みを打ち消すような波形である。これにより、波形生成部201からの補正波形が、出力部202、トランス204を介して、水平偏向コイル205に入力され、水平偏向電流が上述のM字歪みを補正する電流となるよう制御される。これにより、M字歪みが適切に補正される。
【特許文献1】特開2001−119600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記従来の補正回路は、水平偏向回路に加えて、波形生成部や出力部等を設置せねばならない。また、これらを作製するにはアンプやトランスやIC等高価な素子が必要となる。そのため、大型化する上に、回路が複雑で高価なものとなる。さらに消費電力も大きくなるため、コストが高くなる。したがって、上記従来の補正回路は実用的ではないという課題があった。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、低コストで作製でき、消費電力も小さく、M字歪みを補正することができる水平偏向回路およびそれを備えた陰極線管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の水平偏向回路は、水平偏向コイルと、リニアリティコイルと、S字補正コンデンサとを有し、前記水平偏向コイル、前記リニアリティコイルおよび前記S字補正コンデンサが直列に接続されている水平偏向回路であって、前記水平偏向コイル、前記リニアリティコイルおよび前記S字補正コンデンサに直列に接続されたM字補正部を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の陰極線管装置は、上記本発明の水平偏向回路を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで作製でき、消費電力も小さく、M字歪みを補正することができる水平偏向回路およびそれを備えた陰極線管装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の水平偏向回路は、直列接続されている水平偏向コイル、リニアリティコイルおよびS字補正コンデンサに、さらに直列にM字補正部が接続されている。それにより、水平偏向電流を直接変調することができるので、効率的にM字歪みの補正を行うことができる。また、M字補正部は設置スペースが少なくてすむので、水平偏向回路を大型化することなく、作製も容易である。また、アンプやトランスやIC等高価な素子を用いる必要がないために、低コストで作製でき、消費電力も小さい。
【0018】
また、本発明の水平偏向コイルにおいて、好ましくは、前記M字補正部は、第1補正コイルと、コイルおよびコンデンサによる直列回路とを備え、前記第1補正コイルと前記直列回路とが並列に接続されている。それにより、M字補正部で共振が生じ、その共振電流を水平偏向電流に重畳することで、M字歪みを補正することができる。具体的には、水平偏向電流を、画面の中央部および画面の水平端部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を大きくし、画面の中央部および画面の水平端部の中間部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を小さくすることでM字歪みを補正する。
【0019】
また、本発明の水平偏向コイルにおいて、好ましくは、前記M字補正部を流れるM字共振電流の周波数は、前記水平偏向コイルを流れる水平偏向電流の周波数の2〜2.5倍である。それにより、M字歪みを最適に補正することができる。
【0020】
また、本発明の水平偏向回路において、好ましくは、前記直列回路を複数有し、
前記直列回路のいずれかが前記第1補正コイルと並列に接続されるように選択する切り換え部をさらに備え、前記切り換え部は、前記水平偏向コイルに流れる水平偏向電流の周波数により制御されている。それにより、本発明の水平偏向回路は、水平偏向電流の周波数の変化に応じて、最適の補正を行うことができる。例えば、複数の偏向周波数モードを持つTVセットに用いた場合でも、偏向周波数モードに応じて、最適のM字補正を行うことができる。
【0021】
また、本発明の水平偏向回路において、好ましくは、前記第1補正コイルおよび前記直列回路の前記コイルのうち少なくとも1つは、可変コイルである。それにより、第1補正コイルのインダクタンスは、任意に設定することができる。したがって、第1補正コイルのインダクタンスを調整することで、水平偏向電流の周波数にかかわらず、最適なM字補正がなされる。
【0022】
また、本発明の水平偏向回路において、好ましくは、前記M字補正部は、磁気バイアスされていて飽和点を有する磁気バイアスコイルを備えている。それにより、磁気バイアスコイルのインダクタンスのピーク値を取る電流値に、画面の中間部を走査する際の水平偏向電流に合わせることで、M字歪みを補正することができる。具体的には、水平偏向電流を、画面の中央部および画面の水平端部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を大きくし、画面の中央部および画面の水平端部の中間部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を小さくすることでM字歪みを補正する。また、複数の偏向周波数モードを持つTVセットに用いた場合でも、偏向周波数モードに応じて、最適のM字補正を行うことができる。
【0023】
また、本発明の水平偏向回路において、好ましくは、前記M字補正部は、前記磁気バイアスコイルに並列に接続されたダイオードを備えている。それにより、磁気バイアスコイルに電流を選択的に流すことができる。したがって、さらに効率よくM字補正を行うことができる。
【0024】
また、本発明の陰極線管装置は、上記本発明の垂直偏向回路を備えている。それにより、本発明の陰極線管装置は、高画質化が可能である上、低コストで作製でき、消費電力も小さい。
【0025】
まず、一般的な水平偏向回路について図8を用いて説明する。図8は、一般的な水平偏向回路の構成を示す回路図である。水平偏向回路は、陰極線管装置に搭載されている。水平偏向回路の水平偏向コイルに電流(以下、水平偏向電流という)が流れることで発生する磁界により、電子ビームを画面の左右方向(水平方向)に偏向し、走査を行っている。
【0026】
図8に示されているように、従来の水平偏向回路は直流電源(+B)4と、チョークコイル3と、水平出力トランジスタ2と、共振コンデンサ5と、ダンパーダイオード6と、水平偏向コイル7と、リニアリティコイル8と、S字補正コンデンサ9とを備えている共振回路である。直流電源4はチョークコイル3の1次側の一端に接続されていて、チョークコイル3の他端は水平出力トランジスタ2のコレクタに接続されている。水平出力トランジスタ2のエミッタは接地されていて、ベースからは水平周期のドライブ信号が入力される。水平出力トランジスタ2のコレクタは共振コンデンサ5、ダンパーダイオード6および水平偏向コイル7のそれぞれの一端とも接続されている。
【0027】
共振コンデンサ5およびダンパーダイオード6の他端は接地されている。なお、ダンパーダイオード6は水平出力トランジスタ2のコレクタ側へと向かう方向が順方向となるように接続されている。
【0028】
水平偏向コイル7、リニアリティコイル8およびS字補正コンデンサ9は直列に接続されていて、S字補正コンデンサ9は接地されている。なお、チョークコイル3の代わりにフライバックトランスを用いてもよい。
【0029】
直流電源4からの電圧は、チョークコイル3により、所望の電圧に変圧されて、水平出力トランジスタ2のコレクタ、共振コンデンサ5、ダンパーダイオード6および水平偏向コイル7に入力される。共振コンデンサ5を備えていることで、この水平偏向回路は共振回路であり、ダンパーダイオード6は振動現象を抑制する。リニアリティコイル8は、中心のコアが永久磁石等であり、磁気バイアスされていて、非線形の特性を有している。
【0030】
このような水平偏向回路において、直流電源4から電圧が印加されていて、水平出力トランジスタ2のベースからドライブ信号が入力され、水平出力トランジスタ2がスイッチングされることで、水平偏向コイル7には鋸波電流が流れる。それにより、水平偏向コイル7には磁界が発生する。この磁界により、陰極線管装置の管内の電子ビームが偏向され、左右に走査される。
【0031】
図9は、時間経過における、水平出力トランジスタのコレクタ電圧および水平偏向電流を示したグラフである。図9(a)は時間経過における水平出力トランジスタのコレクタ電圧を示したグラフであり、図9(b)は時間経過における水平偏向電流を示したグラフである。図9(a)において、縦軸はコレクタ電圧であり、横軸は時間である。また、図9(b)において、縦軸は水平偏向電流であり、横軸は時間である。
【0032】
電子ビームにより、画面左端から画面右端まで走査するのにかかる期間を走査期間とする。走査期間前半では、水平偏向コイル7の偏向磁界により、画面左端から画面中央まで走査する。また、走査期間後半では、画面中央から画面右端まで走査する。走査期間前半および走査期間後半のそれぞれの時間は走査期間の半分である。
【0033】
また、画面左端から画面右端まで走査が完了すると、電子ビームは右端から左端へ瞬時に戻り、再び左端から右端へと走査する、これを繰り返す。この、電子ビームが右端から左端まで瞬時に戻る期間を帰線期間という。図9に示されているように、走査期間においてコレクタ電圧は一定であるが、帰線期間におけるコレクタ電圧はパルス電圧である。これは、コレクタ電圧がパルス電圧であることから、水平偏向電流の時間あたりの変化量は急勾配となり、電子ビームは瞬時に画面左端に戻るためである。
【0034】
ここで、一般的な放送であるNTSC(National Television System Committee)の走査期間は水平偏向周期の約83%で、帰線期間は水平偏向周期の約17%である。なお、水平偏向周期とは、電子ビームにより左端から右端まで走査し、再び左端に戻る期間である。
【0035】
走査期間前半では、水平偏向コイル7によるインダクタンスのエネルギー放出によりダンパーダイオード6を通してS字補正コンデンサ9が充電されながら、水平偏向コイル7には水平偏向電流が流れる。走査期間後半では、S字補正コンデンサ9の電荷放出により、水平出力トランジスタ11を通して水平偏向コイル7にエネルギーが蓄積されながら、水平偏向コイル7には走査期間前半と逆方向の水平偏向電流が流れる。走査期間前半と、走査期間後半の組み合わせにより画面左端から画面右端まで電子ビームにより走査する。帰線期間において、電子ビームは画面右端から再び画面左端に戻される。したがって、走査期間と帰線期間とでは、同じ電流量が必要である。帰線期間は走査期間の約5分の1であるため、帰線期間においては走査期間より急勾配の電流を水平偏向コイル7に流す必要がある。そこで、帰線期間のコレクタ電圧には大きなパルス電圧が用いられている。このパルス電圧は、水平出力トランジスタ2がスイッチングされることにより、水平偏向コイル7と共振コンデンサ5とが共振することで発生する。
【0036】
以下、本発明の実施形態の具体的な例について、図面を用いて説明する。
【0037】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路について図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路の構成を示す回路図である。なお、実施の形態1に係る水平偏向回路は、M字補正部1aを備えている点が、図8に示された従来の水平偏向回路とは異なる。それ以外は実施の形態1に係る水平偏向回路と図8に示された従来の水平偏向回路とは同様の構成である。そこで、図1において、図8と同一の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0038】
図1に示されているように、M字補正部1aは、リニアリティコイル8とS字補正コンデンサ9との間に、これらと直列に接続されている。M字補正部1aは第1補正コイル11、コイル12およびコンデンサ13を備えている。コイル12とコンデンサ13とは直列接続されている。また、これらコイル12およびコンデンサ13に対して並列に第1補正コイル11が接続されている。
【0039】
実施の形態1の水平偏向回路において、水平偏向コイル7を流れる水平偏向電流は、M字補正部1aが接続されたことにより、M字歪みを発生させない水平偏向電流に変調される。具体的には、実施の形態1の水平偏向コイル7に流れる水平偏向電流は、M字補正部1aを備えていない場合に比べて、画面の中央部(以下、単に中央部という)および画面の水平端部(以下、単に端部という)を走査している際には単位時間あたりの変化が大きく、中央部および端部との間(以下、単に中間部という)を走査している際には単位時間あたりの変化が小さい。したがって、実施の形態1の水平偏向回路を備えた陰極線管装置は、M字歪みが生じず、良好な画像を表示できる。
【0040】
M字補正部1aを備えた実施の形態1の水平偏向回路において、水平偏向コイル7を流れる水平偏向電流について具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路における、電流と走査位置との関係を示すグラフである。図2(a)はM字補正部が接続されていない場合に水平偏向コイルに流れる水平偏向電流と走査位置との関係を示している。図2(b)はM字補正部に流れる電流と走査位置との関係を示している。図2(c)は図2(a)および図2(b)に示された電流を合成した電流と走査位置との関係を示している。すなわち、図2(c)に示されている電流が、実施の形態1の水平偏向回路において、水平偏向コイル7に流れる水平偏向電流である。なお、図2(a)、(b)、(c)において、横軸は画面における走査位置であり、縦軸は電流である。
【0041】
まず、M字補正部1aが接続されていない場合は、水平偏向コイル7には図2(a)に示されているような波形の電流が流れる。なお、M字補正部1aが接続されていない場合とは、図8に示された従来の水平偏向回路である。
【0042】
M字補正部1a内には、図2(b)に示されているM字共振電流が流れている。M字共振電流の周波数をfとすると、M字補正部1a内の第1補正コイル11および補正コイル12のインダクタンスをそれぞれL1およびL2とし、コンデンサ13のキャパシタンスをCとした場合、周波数fは次式により表される。
【0043】
f=1/2π√(C×(L1+L2))
この周波数fを水平偏向電流の周波数の2〜2.5倍とすることで、M字補正部1aから流れ出るM字共振電流が、図2(b)に示された波形の鋸波電流となる。これにより、実施の形態1の水平偏向回路の水平偏向コイル7に流れる水平偏向電流は、図2(a)および図2(b)に示された電流の合成電流となり、具体的には図2(c)に示される波形の電流となる。なお、周波数fは、水平偏向電流の周波数の2.3〜2.4倍とするとさらに好ましい。それにより、より最適にM字補正を行うことができるM字共振電流が生じる。
【0044】
図2(c)に示されているように、図2(a)に示された水平偏向電流に比べて、水平偏向コイル7を流れる水平偏向電流は、中央部および端部では傾きが大きい。すなわち、単位時間あたりの水平偏向電流の変化量が大きい。これは、電子ビームの走査速度が速いことを示している。これにより、中央部および端部でのリニアリティは伸びる。また、中間部では、図2(c)に示されているように、水平偏向電流の傾きが、図2(a)に示された水平偏向電流の傾きに比べて小さくなる。すなわち、単位時間あたりの水平偏向電流の変化量が小さく、電子ビームの走査速度は小さいためリニアリティは縮む。このように、中央部および端部でのリニアリティは伸び、かつ中間部でのリニアリティは縮むことから、M字歪みを補正することができ、図11に示されているように画面全域で均一なリニアリティ特性を得ることができる。
【0045】
なお、使用する水平偏向回路により、M字共振電流の周波数fを最適な値をとるように適宜調整すればよい。
【0046】
ここで、実際に28型のCRTを搭載したTVセットにおいて、実施の形態1の水平偏向回路を使用した場合の測定結果を示す。図1に示された水平偏向回路において、第1補正コイル11のインダクタンスを25μH、コイル12のインダクタンスを30μH、コンデンサ13のキャパシタンスを330nFに設定した。また、水平偏向コイル7のインダクタンスを1.45mH、共振コンデンサ5のキャパシタンスを12nF、S字補正コンデンサ9のキャパシタンスを270nF、直流電源4の電圧を120Vに設定した。また、水平出力トランジスタ2は品番2SD2553(東芝社製)、ダンパーダイオード6は品番ERD0715(富士電機社製)を用いた。また、周波数fは、水平偏向電流の周波数の2.37倍とした。測定結果を図3に示す。
【0047】
図3は、リニアリティ歪み率と画面の水平方向位置との関係を示すグラフである。図3の横方向の長さは、画面の水平方向の長さと対応している。図3の横軸に付された数字は、画面の水平方向を16個所に分割して、分割された各領域に左端から順に番号を付した場合の、その番号の位置に対応している。具体的には、図3の横軸の「1」は画面の左端の領域を、「16」は画面の右端の領域を、「8」と「9」との間が画面の中央を示している。なお、歪み率について以下に説明する。まず、画面の水平方向の長さを16等分する信号を陰極線管装置に入力して、実際に表示された16箇所に分割された各領域の水平方向の長さを平均し、その平均値を基準の長さとする。歪みが生じた場合は、水平方向に16個所に分割された画面の各領域に表示されるべき画像が、水平方向に伸びたり縮んだりする。そのため、各領域に表示されるべき画像の水平方向の長さが上記基準の長さから変化する。歪みにより変化した長さと上記基準の長さとの差を、上記基準の長さを基準として百分率で示したものが歪み率である。なお、画像が伸びた場合の歪み率は正であり、画像が縮んだ場合の歪み率は負である。
【0048】
なお、比較のため、図8に示された従来の水平偏向回路における測定結果も図3に示されている。図3において、実線は実施の形態1の水平偏向回路における測定結果であり、破線は従来の水平偏向回路における測定結果である。
【0049】
図3に示されているように、従来の水平偏向回路の場合は、最大歪み率10%(−4〜+6%)であったが、実施の形態1の水平偏向回路では、最大歪み率3%(−1.5%〜+1.5%)である。また、従来の水平偏向回路では、中間部のリニアリティが伸びているのがわかる。図3からわかるように、実施の形態1の水平偏向回路は、M字歪みを十分補正することができる。したがって、この水平偏向回路を備えた陰極線管装置は高画質化が可能である。また、実施の形態1の水平偏向回路は、M字補正部1aを水平偏向コイル7、リニアリティコイル8およびS字補正コンデンサ9に直列に接続するだけなので、水平偏向回路を大型化することなく、作製も容易である。また、アンプやトランスやIC等高価な素子を用いる必要がないために、低コストで作製でき、消費電力も小さい。また、同様に、実施の形態1の水平偏向回路を備えた陰極線管装置も、低コストで作製でき、消費電力も小さい。
【0050】
次に、実施の形態1の水平偏向回路の他の回路構成を示す。図4は、本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路の他の回路構成を示す回路図である。図4に示された水平偏向回路は、複数の偏向周波数モードを持つTVセットのものである。したがって、水平偏向電流の周波数である偏向周波数に応じてS字補正コンデンサを切り換えることができる。また、M字補正部1bも偏向周波数に応じて切り換えられる複数の回路を有している。また、M字補正部1bの切り換えには、S字補正コンデンサの切り換え信号も用いている。図4に示された水平偏向回路は、M字補正部の回路構成が異なる点と、切り換え用S字補正コンデンサ17およびバイポーラトランジスタ18を備えている点で、図1に示された水平偏向回路と相違するが、他は同様である。そこで、図4に示された部材のうち、図1に示された部材と同様の機能を有する部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図4に示されたように、M字補正部1bは、第1補正コイル11、コイル12およびコンデンサ13以外に、コイル14とコンデンサ15と切り換え部であるFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)16(ソース−ドレイン)との直列回路を備えている。第1補正コイル11、コイル12とコンデンサ13との直列回路、コイル14とコンデンサ15とFET16との直列回路は並列に接続されている。FET16は、ゲートから入力される切り換え信号によりオン・オフに切り換わり、M字補正部1bを2種類の回路のいずれかに選択的に切り換えることができる。具体的には、M字補正部1bを、第1補正コイル11と、コイル12およびコンデンサ13の直列回路との並列回路、または第1補正コイル11と、コイル14およびコンデンサ15の直列回路との並列回路に切り換えることができる。
【0052】
ここで、切り換え用S字補正コンデンサ17およびバイポーラトランジスタ18は、S字補正コンデンサの切り換え部である。複数の偏向周波数モードを持つTVセットは、偏向周波数の切り換えに応じて、S字補正コンデンサの切り換えを通常行っている。トランジスタ18のベースはFET16のゲートとは接続されている。トランジスタ18のエミッタは接地されていて、コレクタは切り換え用S字補正コンデンサ17の一端と接続されている。また、切り換え用S字補正コンデンサ17の他端は、第1補正コイル11とS字補正コンデンサ9との間に接続されている。トランジスタ18のベースに、偏向周波数の切り換えに応じて、S字補正コンデンサの切り換え用の切り換え信号が入力される。それにより、切り換え用S字補正コンデンサ17が有効あるいは無効に切り換わる。このようにして、偏向周波数モードの切り換えに対応して、最適のS字補正を行っている。
【0053】
図4に示された水平偏向回路は、トランジスタ18のベースはFET16のゲートと接続されているため、S字補正コンデンサの切り換え用の切り換え信号をM字補正部1bの切り換え信号と共用している。それにより、効率的に水平偏向回路を動作させることができる。
【0054】
このように、M字補正部1bのおける、第1補正コイル11と、コイル12およびコンデンサ13の直列回路との並列回路、および第1補正コイル11と、コイル14およびコンデンサ15の直列回路との並列回路のM字共振電流の周波数fを互いに異なる値としておくことで、2つの偏向周波数モードを持つTVセットであっても、最適なM字補正を行うことができる。なお、M字補正部1bを、2つだけではなく、複数の回路に切り換えることができるようにすることで、複数の偏向周波数モード(プログレッシブ、1080i、480i等)を持つTVセットにおいても最適な補正を行うことができる。なお、切り換え部として、FET16を用いた水平偏向回路について説明したが、切り換え部は他の構成でもよい。例えばフォトカプラやリレー等を用いて切り換え部を作製すればよい。
【0055】
なお、第1補正コイル11を可変コイルとしてもよい。それにより、第1補正コイル11のインダクタンスは、任意に設定することができる。したがって、第1補正コイル11のインダクタンスを調整することで、水平偏向電流の周波数にかかわらず、最適なM字補正がなされる。また、第1補正コイル11のインダクタンスを任意に微調整することができるため、歪み率の微調整も可能である。また、第1補正コイルではなく、コイル12またはコイル14を可変コイルとしてもよい。また、第1補正コイル、コイル12およびコイル14の全てまたはこれらのうち少なくとも1つを可変コイルとしてもよい。
【0056】
なお、実施の形態1のM字補正部は、共振回路であればよく、上述の構成に限定されるわけではない。
【0057】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る水平偏向回路について図を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る水平偏向回路の構成を示す回路図である。なお、実施の形態2に係る水平偏向回路は、M字補正部1cを備えている点が、図8に示された従来の水平偏向回路とは異なる。それ以外は実施の形態2に係る水平偏向回路と図8に示された従来の水平偏向回路とは同様の構成である。そこで、図5において、図8と同一の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図5に示されているように、M字補正部1cは磁気バイアスコイルであるM字補正コイル20を備えている。磁気バイアスコイルとは、電流―インダクタンス特性を有するコイルである。具体的には、中心のコアが永久磁石等であり、磁気バイアスされていて、非線形の特性を有していて、流れる電流に依存した飽和特性をもつコイルである。図6は、本発明の実施の形態2に係る水平偏向回路のM字補正コイルの特性を示すグラフである。図6において、横軸は電流であり、縦軸はインダクタンスである。図6に示されているように、M字補正コイル20は、電流に応じてインダクタンスが変化するという特性を有する。また、電流が約2Aの場合に、インダクタンスはピーク値を有し、電流がそれより大きくなっても、小さくなってもインダクタンスはピーク値より小さくなる。
【0059】
このM字補正コイル20のインダクタンスのピーク値を、中間部における水平偏向電流と合わせればよい。図6に示されたM字補正コイル20であれば、ピーク値は約2Aとなるので、中間部における水平偏向電流が約2Aである水平偏向回路に用いればよい。
【0060】
このように、実施の形態2の水平偏向回路において、水平偏向コイル7を流れる水平偏向電流は、M字補正部1cが接続されたことにより、M字歪みを発生させない水平偏向電流に変調される。具体的には、中間部においては、M字補正コイルのインダクタンスはピーク値を取るので、水平偏向電流の傾きが小さくなる。また、中央部および端部においては、M字補正コイルのインダクタンスは小さくなるので、水平偏向電流の傾きが大きくなる。したがって、実施の形態2の水平偏向回路を備えた陰極線管装置は、M字歪みが生じず、良好な画像を表示できる。
【0061】
なお、実施の形態2の水平偏向回路の水平偏向コイル7に流れる水平偏向電流は、実施の形態1と同様に図2(c)に示されている電流である。
【0062】
図2(c)に示されているように、図2(a)に示された水平偏向電流に比べて、水平偏向コイル7を流れる水平偏向電流は、中央部および端部では傾きが大きい。これは、電子ビームの走査速度が速いことを示している。これにより、中央部および端部でのリニアリティは伸びる。また、中間部では、図2(c)に示されているように、水平偏向電流の傾きが、図2(a)に示された水平偏向電流の傾きに比べて小さくなる。そのため、電子ビームの走査速度は小さくなりリニアリティは縮む。このように、中央部および端部でのリニアリティは伸び、かつ中間部でのリニアリティは縮むことから、M字歪みを補正することができ、図11に示されているように画面全域で均一なリニアリティ特性を得ることができる。
【0063】
ここで、実際に28型のCRTを搭載したTVセットにおいて、実施の形態2の水平偏向回路を使用した場合の測定結果を示す。M字補正コイル20は、図6に示した電流−インダクタンス特性を有する。
【0064】
図7は、リニアリティ歪み率と画面の水平方向の長さ位置との関係を示すグラフである。図7の横方向の長さは、図3と同様に、画面の水平方向の長さと対応していて、図7の横軸の「1」は画面の左端の領域を、「16」は画面の右端の領域を、「8」と「9」との間が画面の中央を示している。
【0065】
なお、比較のため、図8に示された従来の水平偏向回路における測定結果も図7に示されている。図7において、実線は実施の形態2の水平偏向回路における測定結果であり、破線は従来の水平偏向回路における測定結果である。
【0066】
図7に示されているように、従来の水平偏向回路の場合は、最大歪み率10%(−4〜+6%)であったが、実施の形態2の水平偏向回路では、最大歪み率4.5%(―2%〜+2.5%)である。また、従来の水平偏向回路では、中間部のリニアリティが伸びているのがわかる。図7からわかるように、実施の形態2の水平偏向回路は、M字歪みを十分補正することができる。したがって、この水平偏向回路を備えた陰極線管装置は高画質化が可能である。また、実施の形態2の水平偏向回路は、M字補正コイル20であるM字補正部1cを水平偏向コイル7、リニアリティコイル8およびS字補正コンデンサ9に直列に接続するだけなので、水平偏向回路を大型化することなく、作製も容易である。また、アンプやトランスやIC等高価な素子を用いる必要がないために、低コストで作製でき、消費電力も小さい。また、同様に、実施の形態2の水平偏向回路を備えた陰極線管装置も、低コストで作製でき、消費電力も小さい。
【0067】
なお、実施の形態2の水平偏向回路は複数の偏向周波数モード(プログレッシブ、1080i、480i等)を持つTVセットにおいて最適なM字補正を行うことができる。また、M字補正コイル20は電流に依存してインダクタンスが変化するため、水平偏向電流の変化により、ワイドモードや4:3モード等の画面モードの切り換えを行っているTVセットにおいても、水平偏向電流の変化に合わせて、最適なM字補正を行う。
【0068】
なお、例えば、M字補正部10cにおいて、M字補正コイル20に並列にダイオードを接続してもよい。それにより、走査期間前半にはM字補正コイル20の働きを無効にし、走査期間前半はM字補正が行われいようにすることができる。走査期間前半はM字補正コイル20を機能させる必要はなく、その代わり、水平出力トランジスタ2のON抵抗、水平偏向コイル7の内部抵抗およびリニアリティコイルを最適化することで走査期間前半のM字歪みは改善される。
【0069】
このように、実施の形態2の水平偏向回路は、M字歪みを十分補正することができ、この水平偏向回路を備えた陰極線管装置は高画質化が可能である。また、実施の形態2の水平偏向回路は、アンプやトランスやIC等高価な素子を用いる必要がないために、低コストで作製でき、消費電力も小さい。同様に、実施の形態1の水平偏向回路を備えた陰極線管装置も、低コストで作製でき、消費電力も小さい。
【0070】
以上、実施の形態1および実施の形態2の水平偏向回路は、水平偏向回路内の偏向コイルとS字補正コンデンサに直列に接続されたM字補正部を有することで、M字補正を十分行うことができる。また、S字補正コンデンサのS字補正に影響を与えることなくM字補正を行うことができる。したがって、外部に補正回路は不要であるため、水平偏向回路を大型化する必要もなく、アンプやトランスやIC等高価な素子を用いる必要がないために、低コストで作製でき、消費電力も小さい。また、実施の形態1および実施の形態2の水平偏向回路を備えた陰極線管装置は、高画質化が可能である上、低コストで作製でき、消費電力も小さい。また、M字補正部は、実施の形態1および実施の形態2に示した以外の構成であってもよく、M字歪みが生じている場合に比べて、中央部および端部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を大きくし、中間部を走査している際の水平偏向電流の単位時間あたりの変化を小さくする回路であればよい。
【0071】
なお、実施の形態1および実施の形態2で具体的に示した、回路構成や部品の特性は、あくまでも一例であり、本発明はこれらの具体例のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の水平偏向回路は、M字歪み補正が必要である陰極線管装置に搭載することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路の構成を示す回路図
【図2】本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路における、電流と走査位置との関係を示すグラフであって、図2(a)はM字補正部が接続されていない場合に水平偏向コイルに流れる水平偏向電流と走査位置との関係を示すグラフであり、図2(b)はM字補正部に流れる電流と走査位置との関係を示すグラフであり、図2(c)は図2(a)および図2(b)に示された電流を合成した電流と走査位置との関係を示すグラフ
【図3】リニアリティ歪み率と画面の水平方向位置との関係を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態1に係る水平偏向回路の他の回路構成を示す回路図
【図5】本発明の実施の形態2に係る水平偏向回路の構成を示す回路図
【図6】本発明の実施の形態2に係る水平偏向回路のM字補正コイルの特性を示すグラフ
【図7】リニアリティ歪み率と画面の水平方向の長さ位置との関係を示すグラフ
【図8】一般的な水平偏向回路の構成を示す回路図
【図9】時間経過における、水平出力トランジスタのコレクタ電圧および水平偏向電流を示したグラフであって、図9(a)は時間経過における水平出力トランジスタのコレクタ電圧を示したグラフであり、図9(b)は時間経過における水平偏向電流を示したグラフ
【図10】M字歪みを説明するための陰極線管装置の画像表示を示す図であって、図10(a)はM字歪みが生じていない正常な画像を表示している陰極線管装置の画面を示す図であり、図10(b)はM字歪みが生じている画像を表示している陰極線管装置の画面を示す図
【図11】従来におけるM字歪みを補正する補正回路の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0074】
1a、1b、1c M字補正部
2 水平出力トランジスタ
3 チョークコイル
4 直流電源
5 共振コンデンサ
6 ダンパーダイオード
7 水平偏向コイル
8 リニアリティコイル
9 S字補正コンデンサ
11 第1補正コイル
12、14 コイル
13、15 コンデンサ
16 FET
17 切り換え用S字補正コンデンサ
18 トランジスタ
20 M字補正コイル
100 画面
101a、101b、101c、102a、102b、102c 円
200 補正回路
203 水平偏向回路
204 トランス
205 水平偏向コイル
201 波形生成部
202 出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平偏向コイルと、リニアリティコイルと、S字補正コンデンサとを有し、前記水平偏向コイル、前記リニアリティコイルおよび前記S字補正コンデンサが直列に接続されている水平偏向回路であって、
前記水平偏向コイル、前記リニアリティコイルおよび前記S字補正コンデンサに直列に接続されたM字補正部を備えたことを特徴とする水平偏向回路。
【請求項2】
前記M字補正部は、第1補正コイルと、コイルおよびコンデンサによる直列回路とを備え、
前記第1補正コイルと前記直列回路とが並列に接続されている請求項1に記載の水平偏向回路。
【請求項3】
前記M字補正部を流れるM字共振電流の周波数は、前記水平偏向コイルを流れる水平偏向電流の周波数の2〜2.5倍である請求項2に記載の水平偏向回路。
【請求項4】
前記直列回路を複数有し、
前記直列回路のいずれかが前記第1補正コイルと並列に接続されるように選択する切り換え部をさらに備え、
前記切り換え部は、前記水平偏向コイルに流れる水平偏向電流の周波数により制御されている請求項2に記載の水平偏向回路。
【請求項5】
前記第1補正コイルおよび前記直列回路の前記コイルのうち少なくとも1つは、可変コイルである請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の水平偏向回路。
【請求項6】
前記M字補正部は、磁気バイアスされていて飽和点を有する磁気バイアスコイルを備えている請求項1に記載の水平偏向回路。
【請求項7】
前記M字補正部は、前記磁気バイアスコイルに並列に接続されたダイオードを備えている請求項6に記載の水平偏向回路。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の水平偏向回路を備えた陰極線管装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−89080(P2007−89080A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278606(P2005−278606)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(503217783)松下東芝映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】