説明

水性インク組成物、インクジェット記録方法及びインクジェット記録物

【課題】 優れた吐出安定性を有するインク組成物の提供。
【解決手段】 水性インク組成物は、着色剤、水、有機溶媒、一般式H−(CH−C−((CHOH)(但し、m及びnは、それぞれ1〜5の整数。)で表される化合物、及び6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体を含有する組成物である。着色剤は、染料及び顔料分散体から選択される1種あるいは2種以上、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体は、フコース、ラムノース、及びキノボースから選択される1種あるいは2種以上、一般式で表わされる化合物は1,1,1−トリメチロールプロパンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インク組成物、インクジェット記録方法及びインクジェット記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録装置等の記録装置に適用されるインク組成物等は、水性タイプが主流となってきている。このような水性インク組成物については、プリンタヘッドのノズルから安定してインク組成物が吐出されること(吐出安定性を有する)が重要な要素となっている。吐出安定性を確保するには、インク成分の分散形態及び粘度等が維持される必要がある。そこで、従来より、水性分散系を安定化するために糖類を含む多価アルコールなど保水性に優れる化合物が湿潤剤としてインク組成物に添加されている。このようなインク組成物用の湿潤剤としては、一般的に、糖類としては、各種の単糖類、二糖類のほかこれらの誘導体が知られており(特許文献1、2)、糖類以外の多価アルコールとしては、トリメチロールプロパンがよく知られている(特許文献3)。多糖類の構造単糖類として、6−デオキシ六炭糖のフコース及び/又はラムノースがよく知られている(特許文献4、5、6)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−234098号公報
【特許文献2】特開平8−245914号公報
【特許文献3】特開平3−152171号公報
【特許文献4】特開平11−35867号公報
【特許文献5】特開2002−30236号公報
【特許文献6】特開2001−363439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インク組成物においては、近年の高画質化の要請に応えるために一層優れた吐出安定性が求められるようになってきている。これまで、各種の湿潤剤が知られているものの、糖類とそれ以外の多価アルコールなどの異種の湿潤剤を組み合わせること自体試みられておらず、したがって、これらの組み合わせによって相乗的に高い吐出安定性が得られるということは全く知られていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、優れた吐出安定性を有する水性インク組成物、インクジェット記録方法及びインクジェット記録物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、各種の糖類及びその誘導体について検討したところ、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体とある種の多価アルコールとを組み合わせることで目詰り信頼性を飛躍的に向上でき、優れた吐出安定性をインク組成物に与えることができるという知見を得て、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。この水性インク組成物は、インクジェット記録用であることが好ましい形態である。
【0007】
本発明によれば、水性インク組成物であって、着色剤と、水と、有機溶媒と、以下の一般式(1)で表される化合物と、
【化1】

(ただし、上記式において、m及びnはそれぞれ1〜5の整数を表す。)
6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体と、を含有する、組成物が提供される。また、前記着色剤は、染料及び顔料分散体から選択される1種あるいは2種以上である、上記組成物も提供される。さらに、前記6−デオキシ六炭糖は、フコース、ラムノース、及びキノボースからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、上記組成物も提供される。さらにまた、前記一般式(1)で表される化合物は、1,1,1−トリメチロールプロパンである、上記いずれかの組成物も提供される。
【0008】
また、前記一般式(1)で表される化合物と前記6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体との総量が、前記インク組成物の全量に対して1wt%以上30wt%以下である、上記いずれかの組成物も提供される。さらに、前記一般式(1)で表される化合物100重量部に対して前記6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体を5重量部以上2000重量部以下含有する、上記いずれかの組成物も提供される。
【0009】
本発明によれば、インクジェット記録方法であって、上記いずれかの水性インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体表面に付与する工程、を備える、方法が提供され、また、インクジェット記録物であって、記録媒体表面に上記いずれかに記載の水性インク組成物からなるインクジェット記録方式によるドットパターンを有する、記録物も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のインク組成物は、着色剤と、水と、有機溶媒と、前記一般式(1)で表されるトリアルカノールアルカンと、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体と、を含有している。以下、本発明のインク組成物の必須成分について説明し、次いで他の成分について説明するとともに、本発明のインク組成物を用いる本発明のインクジェット記録方法、及びインクジェット記録物について説明する。なお、以下、本明細書においては、特に断りのない限り「%」はwt(重量)%を、「部」は重量部を、「比」とは重量比を意味するものとする。
【0011】
(水性インク組成物)
(着色剤)
本発明のインク組成物には、染料あるいは顔料を着色剤として含むことができる。本発明において用いられる染料は、水に不溶もしくは難溶の染料が好ましく用いられる。本発明の着色剤においては、特に具体的には、例えば、油溶性染料、塩基性染料、分散染料、建染染料、硫化染料、有機溶剤溶解染料、反応染料などが挙げられる。
【0012】
顔料は、特に限定されず、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、銅酸化物,鉄酸化物,酸化チタン等の金属類、ファーネスブラック,ランプブラック,アセチレンブラック,チャンネルブラック等のカーボンブラック類等が使用できる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、染料キレート(塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが使用できる。
【0013】
黒インク用の顔料としては、鉄酸化物であるC.I.ピグメントブラック11を、カーボンブラックであるC.I.ピグメントブラック7を、アニリンブラックであるC.I.ピグメントブラック1をそれぞれ挙げることができ、更に詳しくは、以下のカーボンブラックが例示される。すなわち、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等が、コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R,Regal 330R,Regal 1660R,Mogul L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用できる。
【0014】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、151、153、154、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48(Ca)、48(Mn)、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57(Ca)、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、15:34、16、17:1、22、56、60、63、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 60、グリーンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等を挙げることができる。また、顔料の粒経は好ましくは0.5μm以下の粒子からなる顔料を、より好ましくは0.01〜0.15μmの粒子からなる顔料が好ましい。顔料の種類はこれらに限定されるものではない。インク組成物におけるこれらの顔料の含有量は、1〜8%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8%の範囲である。
【0015】
分散安定性を得るため、樹脂あるいは分散剤を使わずに、自己分散型顔料の形でもよい。この場合、計画的に顔料の表面へ電荷を有している官能基の十分な数を導入する。官能基の例として、カルボン酸基、スルホン酸基、プロトン化したアミノ基等が挙げられる。
【0016】
これらの染料及び顔料は、当該顔料が樹脂によって被覆された状態でインク組成物に含まれていてもよい。この場合、顔料を被覆する樹脂は、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン等のビニル樹脂(ビニル系重合体)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素樹脂および含硫黄樹脂からなる群から選ばれた1種以上を主成分とするのが好ましい。これにより、樹脂が安定に顔料を被覆できることから、前掲の樹脂で被覆した顔料を用いることによって、安定な吐出が得られ、良好な画像を得ることができる。なお、顔料が樹脂によって被覆されている形態は、顔料分散体の好ましい形態である。
【0017】
かかる樹脂としては、二重結合としてアクリロイル基,メタクリロイル基,ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類が、重合開始剤を使用する公知の重合法に従って、重合されたものを好適に用いることができる。ここで、モノマーとしては、例えば、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチルメタクリレート、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、含フッ素,含塩素または含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能基性モノマーを用いることができる。また、樹脂に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
【0018】
重合開始剤は、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができるが、水溶性の重合開始剤が好ましく用いられる。
【0019】
このような樹脂によって顔料を被覆する方法としては、先ず、転相乳化法、酸折法、強制乳化法を挙げることができる。転相乳化法の具体例としては、一部の酸基が塩基で中和された自己水分散性樹脂(自己水分散性樹脂)を有機溶媒に溶解し、この溶液に顔料を分散または溶解して得た着色樹脂溶液と、水を必須成分とする水性媒体とを混合することによって転相乳化を行う方法が知られている。転相乳化時において上記樹脂で顔料を被覆した顔料の粒子が発生するので、引き続き、有機溶媒を水性媒体より除去することによって、樹脂で被覆されてなる顔料を好適に得ることができる。ここで、自己水分散性樹脂としては、酸価が20〜200KOHg/gのスチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと(メタ)アクリル酸との共重合体を好ましく用いることができる。
【0020】
(第1の湿潤剤:トリアルカノールアルカン)
第1の湿潤剤としては、下記の一般式(1)で表される化合物(トリアルカノールアルカン)を用いる。
【0021】
【化2】

【0022】
(ただし、上記式において、m及びnはそれぞれ1〜5の整数を表す。)
このような化合物は、インク組成物の保湿性及び湿潤性を確保する。当該化合物は、1,1,1−トリメチロールプロパン(2−エチル−2−(ヒドロキシエチル)−1,2−プロパンジオール)、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,2−トリメチロールプロパン、1,1,2−トリメチロールエタン等を挙げることができる。これらの1種あるいは2種以上を用いることができるが、1,1,1−トリメチロールプロパンを用いることが好ましい。
【0023】
(第2の湿潤剤:6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体)
第2の湿潤剤としては、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体を挙げることができる。上記第1の湿潤剤と当該第2の湿潤剤とを用いることで、双方の保水効果の相乗作用により水分の蒸発抑制効果を飛躍的に高め、ヘッドのノズル先端部における粘度上昇や固化を有効に防止し、インクの目詰りを抑制できる(目詰まり信頼性を向上できる)。この結果、本インク組成物は、長期にわたって良好な吐出安定性を確保することができる。
【0024】
本発明の6−デオキシ六炭糖としては、6−デオキシアロース、6−デオキシアルトロース、6−デオキシガラクトース(慣用名:フコース)、6−デオキシグルコース(慣用名:キノボース)、6−デオキシグロース、6−デオキシイドース、6−デオキシマンノース(慣用名:ラムノース)、6−デオキシタロース等を挙げることができる。好ましくは、フコース、ラムノース及びキノボースである。さらに好ましくはフコース及びラムノースである。なお、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体は、無水物であっても水和物であってもよい。6−デオキシ六炭糖の誘導体としては、1個あるいは複数のヒドロキシル基の水素原子に替えて1個あるいは複数のポリエチレンオキサイド基等を導入した誘導体等を挙げることができる。6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体としては、これらのうち1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。理論的に拘束されることを意図するものではないが、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体の湿潤作用ないし目詰まり防止作用は、その構造に起因しているものと考えられる。これらは、分子の片方がより親水性のある複数のヒドロキシ基で構成され、もう片方がより疎水性のあるメチル基及びピラノシル環のエーテル基で構成されている。水溶液中、6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体の複数のヒドロキシル基は、水との複数の水素結合によって、優れている保湿性を有することが推測される。
【0025】
1,1,1−トリメチロールプロパンなどの第1の湿潤剤とフコースなどの第2の湿潤剤とは、インク組成物全体に対して1%以上30%以下で含まれていることが好ましい。1%未満であると目詰まり防止の効果が不十分であり、30%を超えるとインクの粘度が増す傾向にあるからである。より好ましくは、2%以上20%以下である。また、フコースなどの第2の湿潤剤は、第1の湿潤剤100部に対して5部以上2000部以下であることが好ましい。5部未満であると目詰まり防止効果が不十分であり、2000部を超えても目詰まり防止効果が不十分となるからである。より好ましくは、第1の湿潤剤100部に対して第2の湿潤剤が50部以上1200部以下である。本発明における1,1,1−トリメチロールプロパンなどの第1の湿潤剤とフコースなどの第2の湿潤剤との相乗作用は、以下に説明するようにこれらの構造に起因すると思われる。既に述べたように、6−デオキシ六炭糖にあっては、片方がより親水性のある複数のヒドロキシ基であり、もう片方がより疎水性のあるメチル基及びピラノシル環のエーテル基であり、1,1,1−トリアルカノールアルカンにおいては、半分が親水性の多価アルコール部分であり、半分が疎水性のアルカン部分あるからである。既に述べた水と6−デオキシ六炭糖との親和性に加えて、構造の面で、6−デオキシ六炭糖がトリアルカノールアルカンに類似していることによって、乾燥により結晶化が抑制されると思われる。両方の保湿剤が結晶化し難いことによって、低水分状態でも、インクの流動性が保ち、ヘッドのノズル先端部でもインクの目詰まりを抑制すること推測される。
【0026】
(その他の湿潤剤)
本インク組成物においては、上記湿潤剤の他、本発明の目的を妨げない範囲で他の湿潤剤も含めることができる。その他の湿潤剤としては、糖類、糖アルコール類(上記第2の湿潤剤を除く)、ヒアルロン酸塩、1,2,6−ヘキサントリオール等である。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどがあげられる。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖など)があげられる。ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液(分子量350000)として市販されているものを使用することができる。
【0027】
(有機溶媒)
本インク組成物には、水の他、各種の有機溶媒を含有している。例えば、水溶性で保水効果のある以下の水溶性有機溶媒を添加することが好ましく、その例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。本発明においては、特に、グリセリン、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
【0028】
本インク組成物においては、特に、グリセリンを含有するのが好ましく、これにより、特に、プリンタヘッド内のインクの流動性を向上する。グリセリンは、インクの全重量に対して、3%以上20%以下の範囲内で含有されるのが好ましい。3%未満であると、プリンタヘッド内のインクの流動性が悪くなる。また、20%を超えると、インクの粘度が増す傾向となる。
【0029】
本インク組成物においては、特に、トリエチレングリコールを含有するのが好ましい。これにより、特に、プリンタヘッド内のインクの流動性を向上することができる。トリエチレングリコールは、インク組成物の全量に対して3%以上20%以下で含まれていることが好ましい。3%未満であるとプリンタヘッド内のリインクの流動性が悪くなり、20%を超えるとインクの粘度が増す傾向にあるからである。
【0030】
本インク組成物は、グリコールエーテル類と、1,2−アルカンジオールと、を含有するのが好ましく、これにより、普通紙やインクジェット記録用紙やインクジェット記録用シート等の記録媒体に印刷した際に、インクの水性媒体が記録媒体内部へ浸透しやすくなるため、水性媒体と顔料被覆粒子との分離が短時間に起こり、記録媒体上で本発明のマイクロカプセル化顔料が水性媒体とともに広がっていくことがなく滲みや印字斑が低減されるので、良好な印字品質が得られる。
【0031】
グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノ(炭素数1〜8のアルキル)エーテル、トリエチレングリコールモノ(炭素数1〜8のアルキル)エーテル、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜6のアルキル)エーテル、ジプロピレングリコールモノ(炭素数1〜6のアルキル)エーテルを挙げることができ、これらを1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0032】
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGmME)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGmEE)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(DEGmPE)、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル(DEGmPeE)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEGmHE)、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテル(DEGmHpE)、ジエチレングリコールモノオクチルチルエーテル(DEGmOE)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGmME)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGmEE)、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル(TEGmPE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル(TEGmPeE)、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル(TEGmHE)、トリエチレングリコールモノヘプチルエーテル(TEGmHpE)、トリエチレングリコールモノオクチルチルエーテル(TRGmOE)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGmME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGmEE)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGmPE)、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(PGmBE)、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル(PGmPeE)、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル(PGmHE)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGmME)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPGmEE)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(DPGmPE)、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル(DPGmPeE)、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル(DPGmHE)などを挙げることができるが、アルキル基が大きくなると疎水性が高くなるのでメチル、エチル、プロピル、ブチルが普通紙での印字品質を良好にするためには好適である。
【0033】
特に、グリコールエーテル類は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよび/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテルは、インク組成物の全量に対して0.5%以上10%以下で含まれていることが好ましい。上記含有量の範囲において良好な浸透性を示す。10%を超えると粘度が増す傾向にあるため好ましくない。
【0034】
なお、本インク組成物が、後述するアセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択された1種以上の化合物を0.5重量%以上含有するときには、印字品質の観点から、該化合物とジエチレングリコールモノブチルエーテルおよび/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテルとの重量比が1:0超1:10以下とするのが好ましい。ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルは、アセチレングリコール系界面活性剤の溶解性を向上させること,および印字品質の向上に役立つが、10倍を超える添加量ではそれらの効果が頭打ちになる傾向があるからである。
【0035】
1,2−アルカンジオールは、その炭素数が4〜10の1,2−アルカンジオールの利用が好ましい。1,2−アルカンジオールは、二種以上を混合して添加してもよい。本発明の好ましい態様において、1,2−アルカンジオールは、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−ヘプタンジオールを挙げることができる。これらは、記録媒体への浸透性に優れている点でより好ましい。本発明のより好ましい態様において、1,2−アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオール、または1,2−ペンタンジオールであるのが好ましく、さらに好ましくは、1,2−ヘキサンジオールである。
【0036】
1,2−アルカンジオールは、インク組成物全量に対して20%以下含有されるのが好ましい。20%を超えると浸透性の向上が頭打ちとなり、印字品質の向上の効果が低くなる傾向となるだけでなく、逆に粘度上昇の弊害が生じやすくなる傾向となる。より好ましくは、インク組成物全量に対して0.5%〜15%の範囲で含まれていることが好ましい。0.5%以上であれば充分な浸透性を得ることができ、また、15%以下であれば他の添加剤と合わせて印字可能なインク粘度に調整しやすくなるので、有利である。さらに好ましくは、1%〜5%の範囲で含まれている。
【0037】
本インク組成物において、溶解助剤としては、1,3−ジメチル−2イミダゾリジン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等が用いられる。溶解助剤は、後述するアセチレンアルコール系界面活性剤を使用する際に好ましく用いられる。特に、2−ピロリドンを用いることが好ましい2−ピロリドンなどの溶解助剤は、インク組成物全量に対して0.5%以上10%以下であることが好ましい。0.5%未満であると溶解助剤の効果が不十分であり、10%を超えるとインクの粘度が増す傾向にあるからである。
【0038】
その他、インク成分の溶解性を向上させ、さらに記録媒体たとえば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止する成分として、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどが挙げられ、これらを適宜選択して使用することができる。
【0039】
(分散剤)
本インク組成物が顔料を含む場合、顔料は、樹脂によって被覆されたインク組成物中に分散されている他、他の高分子分散剤によって分散されていてもよい。この形態においても顔料分散体の形態を採るということができる。高分子分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩を挙げることができる。好ましくは、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂を用いる。これらの分散剤の添加量は、顔料に対して1〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜30重量%の範囲である。
【0040】
また、インク組成物には、ポリマー微粒子を含んでいてもよい。ポリマー微粒子を構成する樹脂成分の具体例としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。また、これらの樹脂は、重合、共重合の態様によっては制限されず、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどの形態で存在するものであっても良い。ポリマー微粒子は、特に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂を含んでなるものが好ましい。特に好ましくは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとスチレンを主成分とする樹脂を含んでなるものである。
【0041】
ポリマー微粒子としては、単粒子構造を有するものだけでなく、コア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有するものを利用することも可能である。本発明において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上の樹脂が粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部を構成する樹脂の一部がコア粒子内にドメイン等を形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部との中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む三層以上の多層構造を持つものであってもよい。
【0042】
ポリマー微粒子は、公知の乳化重合によって得ることができる。即ち、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルモノマー)を重合触媒、及び乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。不飽和ビニル単量体としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類が挙げられる。カルボキシル基を有さない単量体には、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体の利用が必須となるが、好ましいその具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。また、使用可能な乳化剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられ、特に、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸カリウムの他にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤を用いることができ、前述のインクに添加することができる界面活性剤類を用いることができる。
【0043】
また、コアシェル構造のポリマー微粒子は、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合等によって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニル単量体の具体例としては、上記したものが同様に挙げられる。また、ポリマー微粒子は、その樹脂構造中にスルホン酸基及び/又はその塩に由来するものが好ましく用いられる。このようなポリマー微粒子は、スルホン酸基及び/又はその塩に由来する構造と、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体(モノマー)とによって架橋された構造を有してなるものが好ましい。スルホン酸基及び/又はその塩に由来する構造は、スルホン酸基を有するモノマーを共重合成分として用いることによって導入することが可能である。スルホン酸基を有するモノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、スルホン化イソプレン等が挙げられる。
【0044】
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤、界面活性剤、分子量調整剤、さらに中和剤等も常法に準じて使用してよい。重合開始剤は、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の水溶性の重合開始剤を用いることができる。分子量調整剤(連鎖移動剤)としては、t−ドデシルメルカプタンの他に、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1、4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどを用いることができる。
【0045】
なお、これらの分散剤による顔料の分散は、着色剤と水と水溶性有機溶媒とをボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の適当な分散機で行われる。
【0046】
(界面活性剤)
本インク組成物には、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでいることが好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、ジアルキルスルホ琥珀酸等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;脂肪酸塩、アルキルザルコシン塩などのカルボン酸型;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などのリン酸型エステル型;等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型;グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステルなどのポリオールエステル型;多価アルコールアルキルエーテルなどのポリエーテル型;アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型が挙げられる。
【0047】
本インク組成物は、アセチレングリコール系界面活性剤と、アセチレンアルコール系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤を含有するのが好ましく、これにより、普通紙やインクジェット記録用紙やインクジェット記録用シート等の記録媒体に印刷した際に、インクの水性媒体が記録媒体内部へ浸透しやすくなるため、水性媒体と本発明のマイクロカプセル化顔料との分離が短時間に起こり、記録媒体上で本発明のマイクロカプセル化顔料が水性媒体とともに広がっていくことがなく滲みや印字斑が低減されるので、良好な印字品質が得られる。アセチレングリコール系界面活性剤と、アセチレンアルコール系界面活性剤を用いるときには、特に上記したグリコールエーテル類と併用することがましい。例えば、下記一般式(2)で表わされるアセチレングリコール系化合物を使用することができる。
【0048】
【化3】

【0049】
上記式(2)において、m及びnは、それぞれ0≦m+n≦50を満たす数である。また、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基(好ましくは炭素数6以下のアルキル基)である。上記式(2)で表される化合物の中でも、特に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。上記式(2)で表される化合物は、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品を利用することも可能であり、その具体例としては、サーフィノール104、104PG‐50、82、440、465、485またはSTG(いずれもAir Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学社製 商品名)が挙げられる。
【0050】
アセチレンアルコール系界面活性剤も使用でき、具体例としては、オルフィンP、オルフィンB(日信化学製)、サーフィノール61(エアプロダクツ製)を挙げることができる。アセチレンアルコール系界面活性剤を使用する際に、溶解助剤を使用することもできる。溶解助剤としては、好ましくは、ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。なお、ポリシロキサン系界面活性剤も使用でき、その好ましい具体例としては、BYK−301,302,307,325,331,341,345,346,347,348,375(ビックケミー社製)が挙げられる。
【0051】
これらの界面活性剤の含有量は、本インク組成物全量に対して、好ましくは0.01%〜10%の範囲であり、より好ましくは0.1%〜5%であり、さらに好ましくは0.1%〜2%である。
【0052】
また、本インク組成物には、記録媒体への浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は、本発明のインクと相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。
【0053】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0054】
また、pH調整剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機水酸化物、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類、その他、燐酸塩などが挙げられる。
【0055】
その他の添加剤として、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。
【0056】
なお、本インク組成物は、表面張力が45mN/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは、20〜45mN/mの範囲である。表面張力が45mN/mを越えると、印字の乾燥性が悪くなる、滲みが発生しやすくなる、カラーブリードが発生する等のため良好な印刷画像が得られにくい。また、表面張力が20mN/m未満では、プリンタヘッドのノズル周囲が濡れやすくなるためにインク滴の飛行曲がりが発生する等、吐出安定性に問題が生じ易い。上記表面張力は、通常に用いられる表面張力計によって測定できる。インクの表面張力は、インクを構成する各成分の種類や組成比などを調整することにより上記範囲内とすることができる。
【0057】
以上のことから、本インク組成物は、インクジェット記録方式による記録装置に好ましく用いることができる。インクジェット記録用インク組成物として用いたとき、プリンタヘッドのノズルにおける目詰まり信頼性を向上させることができ、良好な吐出安定性を維持することができる。また、ヘッドのメンテナンス作業を省略することができる。
【0058】
本発明のインクジェット記録方法は、インクの液滴を吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法であって、本発明のインク組成物を用いることを特徴としている。ここで、記録方法は、本発明のインクジェット記録用インクが収容されたインクカートリッジ(複数のインクジェット記録用インクを具備するインクセットの形態の場合においては、各インクジェット記録用インクが個別に収容されたインクカートリッジ)を公知のインクジェット記録装置に搭載させて、記録媒体に対して印刷することにより、好適に行うことができる。ここで、インクジェット記録装置としては、電気信号に基づいて振動可能な電歪素子が搭載されるとともに、前記電歪素子の振動によって、本発明に係るインクジェット記録用インクを、又は、本発明に係るインクセットが具備するインクを吐出できるように構成されたインクジェット記録装置を好ましく挙げることができる。
【0059】
そして、本インク組成物及び記録方法によれば、吐出安定性に優れる結果、高品位の画像を得ることができる。同時に、インクジェット記録装置におけるプリンタヘッドのノズル部位のメンテナンスを簡易化できる。また、本発明の記録物は、高品位な画像を備えるものとなっている。
【0060】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって本発明を限定するものではない。
【0061】
<実施例>
(1)分散液Mの調製
[分散樹脂の合成]
攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、スチレン25g、n−ドデシルメタクリレート30g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート20g、ブチルメタクリレート16g、メタクリル酸9.5gをメチルエチルケトン100gに溶解して、窒素ガス置換を行った。滴下ロートにも同様のモノマー/メチルエチルケトン溶液を入れ、さらに2,2’−アゾビス(2,4−イソメチルバレロニトリル)0.2gを加えて窒素ガス置換を行った。窒素雰囲気下、65℃に加温して滴下ロートの溶液を3時間かけて加えながら重合反応を行った。得られた共重合体溶液を減圧乾燥とメチルエチルケトン溶解、濾過を繰り返して精製した後、樹脂の固形分が50重量%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈した。酸価が約70KOHmg/g、平均分子量50,000の樹脂溶液Aを得た。
【0062】
[分散液の調製]
顔料として有機顔料のC.I.Pigment Red122を200g、上述の樹脂溶液A100gを混合・撹拌してスラリーを作製した。このスラリーに10%水酸化カリウム水溶液38gを加え、超高圧ホモジナイザーにて分散を行った。続いてこの分散溶液を撹拌している純水400gに徐々に加え、さらに減圧下、60℃にてメチルエチルケトンの全部と水の一部を除去して、さらに顔料濃度が15%になるように超純水を加え、分散液Mを得た。
【0063】
(2)分散液Yの調製
分散液Mに対して、顔料を有機顔料のC.I.PigmentYellow 74を150gとし、10%水酸化カリウム水溶液の添加量を39gに替える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液Yとした。
【0064】
(3)分散液Cの調製
分散液Mに対して、顔料を有機顔料のC.I.PigmentBlue 15:4を50gとし、10%水酸化カリウム水溶液の添加量を40gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液Cとした。
【0065】
(4)分散液Kの調製
黒色インクの分散液の調製を、国際公開WO01/94476号パンフレットの実施例2に記載の方法に準じて行った。FW−18カーボンブラック(デグサ社製)を黒色顔料として用いた。オゾンをオゾン発生器(PCIオゾン社製)によって発生させ、M−110EH型マイクロフルイダイザー(MFIC社製)を用いて、着色剤にオゾン酸化と同時に高せん断力をかけた。得られた自己分散型顔料の分散液は、ペリコンラボラトリシステム(ミリポア社製)による限外濾過により精製された。最終的に、顔料濃度が15%の分散液を得た。これを分散液Kとした。分散液中の顔料粒子の平均粒子径は、98nmであった(UPA150粒子分析装置、ハネウエルマイクロトラック(商標)製)。
【0066】
(フコース)
以下の水性インクの調製には、フコースとして、L−フコース(シグマアルドリッチジャパン、カタログ番号85、138−8)を用いた。
【0067】
(ラムノース)
以下の水性インクの調製には、ラムノースとして、五酸化燐下で真空乾燥により脱水したL−ラムノース・一水和物(シグマアルドリッチジャパン、カタログ番号17、198−0)を用いた。
【0068】
(水性インクの調製)
上述の材料・方法で得た分散液Mを37.4g、アセチレングリコールとしてサーフィノール104PG‐50を0.4gおよびサーフィノール465(以上2種共に商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)を0.1g、トリメチロールプロパンを1g、フコースを1g、有機溶剤としてグリセリンを14g、2−ピロリドンを4g、トリエチレングリコールを2g、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを1g、1,2−ヘキサンジオールを2.5g、さらに超純水を加えて全量を100gとして2時間攪拌、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して実施例1の水性インク組成物を調製した。なお、実施例1〜11の組成を図1にまとめて示す。
【0069】
[実施例2〜11]
実施例1に対して、図1の組成に変更する以外は同様の方法で、実施例2〜11の水性インク組成物を調製した。
【0070】
(比較例1〜15)
実施例1に対して、図2の組成に変更する以外は同様の方法で、比較例1〜15の水性インク組成物を調製した。比較例1〜15の組成を図2にまとめて示す。
【0071】
(インク組成物の評価)
(吐出安定性及び専用紙印字の光沢性)
実施例1〜11および比較例1〜15の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で文字・塗りつぶしが混在する画像を、用紙(Xerox4024)に連続的に印刷して、100枚毎、印刷中の画像に飛行曲がりや抜け等の不具合の有無を目視にて評価を行った。1000枚の印刷した結果において、すべてのインク組成物について、飛行曲がりや、ノズルの目詰まり、光沢性の低下が認められなかった。これらの結果から、すべてのインク組成物が十分な吐出安定性及び専用紙印字光沢性を有していることがわかった。
【0072】
(保存安定性)
実施例1〜11および比較例1〜15の水性インク組成物を60℃で2週間放置並びに1ヶ月放置及び凍結状態で1週間放置して、インク調製直後の粘度と放置後の値を比較した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:変動幅が±6%未満
B:変動幅が±6%以上、±10%未満
C:変動幅が±10%以上
なお、粘度測定装置としてDigital Viscomate VM-100A(山一電機株式会社製)を用い、20℃で粘度測定を行った。
すべてのインク組成物について、Aレベルの保存安定性が得られた。これらの結果から、すべてのインク組成物が十分な保存安定性を有していることがわかった。
【0073】
(目詰まり信頼性)
実施例1〜11および比較例1〜15の水性インク組成物を用い、以下のように、目詰まり信頼性評価を行った。まず、すべてのインクを脱気して、ヒートシール可能なアルミニウム製パッケージに入れシールした。次いで、各インク組成物について、インクジェットプリンタであるスタイラスC80プリンタ(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に取り付けた。すべのノズルを用いるラインパターンをまず印刷して、そのインク組成物がすべてのノズルから良好な方向性で吐出されるようにした。次いで、そのインクカートリッジをプリンタヘッドから外し、さらに、プリンタヘッドもプリンタから外した。
【0074】
キャップしていない状態のプリンタヘッドを40℃の恒温装置内で4日間放置した。その後、プリンタヘッドをプリンタに装着し、さらに、インクカートリッジをそのプリンタヘッドに装着した。そして、すべてのノズルを用いたラインパターンの印刷後、クリーニング動作を実行した。クリーニング後のラインパターン印刷を、すべてのノズルで良好な方向性で印刷できるまで繰り返した。判定基準は以下の通りとした。
判定基準
A:クリーニング動作せずに、印字信号をプリンタに送信すると同時に、正常な印字ができる。
B:クリーニング動作2回以内で、正常な印字ができる。
C:クリーニング動作4回以内で、正常な印字ができる。
D:クリーニング動作6回以内で、正常な印字ができる。
F:クリーニング動作7回以上繰り返しても、正常な印字ができない。
(評価がA及びBであるとき、目詰まり信頼性を有しているといえる。)実施例および比較例の評価結果を図3にまとめて示す。
【0075】
図3に示すように、実施例1〜11についての評価はA及びBであり、十分な目詰まり信頼性を有していた。特に、トリアルカノールアルカンと6−デオキシ六炭糖との総量に対する6−デオキシ六炭糖の量が5%以上50%以下の広い範囲で高い信頼性を有しており、また、これらの総量がインク組成物全量に対して1.0%以上2.0%以下の範囲において優れていることがわかった。以上のように、トリアルカノールアルカンと6−デオキシ六炭糖との組み合わせにより極めて良好な目詰まり信頼性を確保することができた。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例のインク組成物1〜11の組成を示す図である。
【図2】比較例のインク組成物1〜15の組成を示す図である。
【図3】実施例及び比較例のインク組成物の目詰まり信頼性の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性インク組成物であって、
着色剤と、
水と、
有機溶媒と、
以下の一般式(1)で表される化合物と、
【化1】

(ただし、上記式において、m及びnはそれぞれ1〜5の整数を表す。)
6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体と、
を含有する、組成物。
【請求項2】
前記着色剤は、染料及び顔料分散体から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記6−デオキシ六炭糖は、フコース、ラムノース、及びキノボースからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物は、1,1,1−トリメチロールプロパンである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物と前記6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体との総量が、前記インク組成物の全量に対して1wt%以上30wt%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記一般式(1)で表される化合物100重量部に対して前記6−デオキシ六炭糖及び/又はその誘導体を5重量部以上2000重量部以下含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
インクジェット記録用である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
インクジェット記録方法であって、
請求項1〜7のいずれかに記載の水性インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体表面に付与する工程、
を備える、方法。
【請求項9】
インクジェット記録物であって、
記録媒体表面に請求項1〜7のいずれかに記載の水性インク組成物からなるインクジェット記録方式によるドットパターンを有する、記録物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−39605(P2007−39605A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227577(P2005−227577)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】