説明

水性コポリマー調製物の製造方法

本発明は、重合反応器中でのコポリマーを含有する水性媒体の製造方法に関するものであり、その際に、前記反応器に酸モノマー、ポリエーテルマクロモノマー、水並びにラジカル重合開始剤を充填して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記水性媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマー全部で1〜20molを使用し、使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比は5:1〜1:5であり、その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、比較的少ない割合のマグネシウムイオン、硫酸イオン及び塩化物イオンを有し、自然に存在する水として準備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリマーを含有する水性媒体の製造方法、前記コポリマーを含有する水性媒体並びにその使用に関する。
【0002】
粉末状の無機物質又は有機物質、例えば粘土、シリカ粉(Silikatmehl)、白亜、カーボンブラック、砕石(Gesteinsmehl)及び水硬性結合剤の水性スラリーに、それらの加工性、すなわち混練性、塗工性、吹付性、ポンプ圧送性又は流動性を改善するために、しばしば分散剤の形の添加剤を添加することは知られている。この種の添加剤は、固体凝集体を破壊し、形成された粒子を分散させ、かつこのようにして加工性を改善することができる。この作用は特にまた意図的に、セメント、石灰、セッコウ又は硬セッコウのような水硬性結合剤を含有する建築材料混合物の製造の際に利用される。
【0003】
前記の結合剤をベースとするこれらの建築材料混合物を、すぐに使用できる加工可能な形へ変換するためには、通例、混練水が本質的により多く必要である、それというのも、その後の水和過程もしくは硬化過程に必要であるからである。コンクリート体中の、後で蒸発する過剰の水により形成される空洞含量は、著しく悪化した機械的強度及び耐久性をまねく。
【0004】
これらの過剰の水含量を所定の加工コンシステンシーで低下させる及び/又は加工性を所定の水/結合剤比で改善するために、一般的に減水剤又は流動化剤と呼ばれる添加剤が使用される。この種の薬剤として、実地において、水溶液中での酸モノマーとポリエーテルマクロモノマーとのラジカル共重合により製造されるコポリマー水溶液が特に使用される。
【0005】
実地において、前記共重合はたいていセミバッチ法で行われる。国際公開(WO)第2005/075529号には、前述のコポリマーのための半連続的な製造方法が記載されており、前記方法において、ポリエーテルマクロモノマーを水溶液中に装入し、引き続き酸モノマーを、特定時間にわたり装入物に計量供給する。前記の方法は既に費用がかからず、かつ方法により得られた物として高性能流動化剤が得られるにも関わらず、さらに、方法の経済性並びに方法により得られた物の品質をさらになお改善することが努力されている。
【0006】
本発明の基礎となる課題は、それゆえ、水硬性結合剤用の分散剤として、特に流動化剤/減水剤として、良好な性能を示すコポリマーを含有する水性調製物の経済的な製造方法を提供することである。
【0007】
この課題の解決手段は、重合反応器中でのコポリマーを含有する水性媒体の製造方法であって、前記反応器に酸モノマー、ポリエーテルマクロモノマー、水並びにラジカル重合開始剤を充填して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記水性媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマー全部で1〜20molを使用し、使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比は5:1〜1:5であり、その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、マグネシウムイオン最大130mg/L、硫酸イオン最大350mg/L及び塩化物イオン最大200mg/Lを有し、自然に存在する水として準備する。
【0008】
酸モノマーは、少なくとも1つの酸官能基を有し、かつ水性媒体中で酸として反応する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能なモノマーであると理解されるべきである。さらに、酸モノマーは、水性媒体中での加水分解反応に基づいて少なくとも1つの酸官能基を形成し、かつ水性媒体中で酸として反応する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能なモノマーであるとも理解されるべきである(例:無水マレイン酸又は塩基性加水分解可能なビニルエステル、例えばアクリル酸エチル)。本発明の範囲内のポリエーテルマクロモノマーは、少なくとも2個のエーテル酸素原子を、しかもコポリマー中に含まれているポリエーテルマクロモノマー構造単位が少なくとも2個のエーテル酸素原子を有する側鎖を有するという条件で有する、少なくとも1つの炭素二重結合を有するラジカル共重合可能な化合物である。
【0009】
鋼、特に反応器鋼又は貯蔵容器鋼は、より長い時間的間隔(数年もしくは数十年)かけて腐食し、その際に比較的高いマグネシウム含量及び塩化物含量を有する水は、前記鋼の腐食を(特にこれらの長い時間的間隔で捉えて)促進する。本発明による塩化物及びマグネシウムの乏しい水の使用の際に、あまり耐食性でない、すなわちより安価な鋼が、反応器鋼又は貯蔵容器鋼として使用されることができる。他方では、本発明による塩化物及びマグネシウムの乏しい水の使用により、反応器、貯蔵容器等についての保守間隔(例えば腐食層の除去)を延ばし、このことは、特に数年もしくは数十年の過程で無視できないコスト節約をもたらすことも挙げることができる。しばしば、本発明による方法を用いて製造される分散剤もしくは流動化剤は、金属とも接触しており、その際にこの点に関して特に、鉄筋コンクリートに関連した使用を挙げることができる。
【0010】
特に、数年もしくは数十年で捉えて、塩化物及びマグネシウムの乏しい水の使用は一般的に、金属もしくは鋼のより少ない腐食を生じさせる。マグネシウムに富む水は、そのうえ、多くの結合剤系において、しばしば硬化される結合剤の強さの低下を生じさせる。使用される水の高い硫酸塩濃度は、これに反して、分散剤もしくは流動化剤(最終的にコポリマー)の作用を、望ましくないように悪化させうる。脱イオン水の使用もまた、まず間違いなく良好な結果をもたらすにも関わらず、脱イオン水の使用は比較的高いコストに基づいて、有利には準備されうる塊状生成物のための脱イオンにあまり適していない。本発明による方法において使用される水は、自然に存在する水として特に費用がかからない。まとめると、本発明による方法が、経済的であり、かつ質的に価値の高い分散剤もしくは流動化剤を生じさせることを挙げることができる。
【0011】
たいてい、重合反応器中に装入される水の少なくとも80質量%は、マグネシウムイオン最大70mg/l、硫酸塩最大100mg/l及び塩化物最大100mg/lを有し、自然に存在する水として準備される。
【0012】
通例、重合反応器は部分的に又は完全に、水性媒体と接触する鋼から構成されている。
【0013】
通常、酸モノマーの反応によりコポリマー中に一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の1つに相応している構造単位が生じる
【化1】

ここで、
1は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Xは、同じか又は異なり、並びにNH−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又はO−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又は存在しない単位(nicht vorhandene Einheit)を表し;
2は、同じか又は異なり、並びにOH、SO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されたC64−SO3Hを表すが、但し、Xが存在しない単位である場合には、R2はOHを表す;
【化2】

ここで、
3は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
n=0、1、2、3又は4であり
4は、同じか又は異なり、並びにSO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されて存在するC64−SO3Hを表す;
【化3】

ここで、
5は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Zは、同じか又は異なり、並びにO及び/又はNHを表す;
【化4】

ここで、
6は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Qは、同じか又は異なり、並びにNH及び/又はOを表し;
7は、同じか又は異なり、並びにH、(Cn2n)−SO3H[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OH[ここでn=0、1、2、3又は4である];(Cn2n)−PO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OPO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(C64)−SO3H、(C64)−PO32、(C64)−OPO32及び/又は(Cm2me−O−(A`O)α−R9[ここでm=0、1、2、3又は4であり、e=0、1、2、3又は4であり、A`=C2x´[ここでx´=2、3、4又は5である]及び/又はCH2C(C65)H−であり、α=1〜350の整数であり、R9は、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す]を表す。
【0014】
pH値に応じて、酸モノマー構造単位は、塩として脱プロトン化された形で存在していてもよく、その際に対イオンとしてNa+、K+並びにCa2+が典型的である。
【0015】
しばしば、酸モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル又はこれらの複数の成分の混合物が使用される。
【0016】
通常、ポリエーテルマクロモノマーの反応によりコポリマー中に一般式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc)の1つに相応している構造単位が生じる
【化5】

ここで、
10、R11並びにR12は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びにO、NH及び/又はCO−NHを表すが、但しEが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5(好ましくはx=2)である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350(好ましくは10〜200)の整数を表し;
13は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化6】

ここで、
14は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し、及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、O、NH及び/又はCO−NHを表すが、但し、Eが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
Dは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、NH及び/又はOを表すが、但し、Dが存在しない単位である場合には:b=0、1、2、3又は4並びにc=0、1、2、3又は4であり、その際にb+c=3又は4であり、かつ
但し、DがNH及び/又はOである場合には:b=0、1、2又は3、c=0、1、2又は3であり、その際にb+c=2又は3であり;
15は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化7】

ここで、
16、R17並びにR18は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610及び/又はオルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
Lは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2−CH(C65)を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
dは、同じか又は異なり、並びに1〜350の整数を表し;
19は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し、
20は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。
【0017】
たいてい、ポリエーテルマクロモノマーとして、アルコキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル及び/又はアルコキシル化イソプレノール及び/又はアルコキシル化(メタ)アリルアルコール及び/又はビニル化メチルポリアルキレングリコール及び/又はアルコキシル化ジエチレングリコールモノビニルエーテルが使用され、これらは好ましくは4〜300のオキシアルキレン基の算術平均数をそれぞれ有する。
【0018】
典型的には、ラジカル重合開始剤として、H22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有し、還元剤と共に使用されるレドックス開始剤系が使用され、その際に前記還元剤は、好ましくは、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナート、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の形で存在し、その際に重合中の水性媒体の温度は5〜43℃に調節され、かつ重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃である。
【0019】
通例、前記水性媒体は水溶液の形で存在する。
【0020】
好ましくは、コポリマーの全ての構造単位の少なくとも45mol%、特に好ましくは少なくとも80mol%が、酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの重合導入により生じる。
【0021】
さらに、本発明は、前記の方法により製造可能であるコポリマーを含有する水性媒体に関する。
【0022】
さらに、本発明は、腐食しうる金属性建築材料、特に鋼と共に使用される水硬性結合剤用又は潜在水硬性結合剤用の分散剤としての、本発明によるコポリマーを含有する水性媒体の使用に関する。
【0023】
以下に、本発明は、実施例に基づいてより詳細に説明される。
【0024】
合成例
例示的なポリマー合成に基づいて、本発明による水から、経済的な高性能流動化剤が製造されることができることが示される。
【0025】
使用される水は、次のイオン含量を有していた:硫酸塩:16.0mg/L;塩化物:10.0mg/l(双方の値は、イオンクロマトグラフィー、Dionex社のシステム、カラムIonPac(登録商標) AS18、温度:30℃、溶離剤:KOH水溶液(39mM)、流速1mL/min、標準を用いる校正により測定);マグネシウム:9.8mg/l(ICP-OES "Ciros Vision"、Spectro社、を用いる発光分光分析により測定(パラメーター:プラズマ出力1400W、フロー:冷却ガス12L/min、補助ガス及び噴霧ガス 各1L/min、ポンプ段階:2、標準溶液を用いる校正(Aldrich社より購入)、279.553及び280.270nmでのMgの輝線を基準とする)。
【0026】
合成例 ポリマー1
二重壁反応器 − 撹拌機、pH電極及び複数の供給装置を備えている − 中に、前記のイオン含量を有する水336g及びビニルオキシブチルポリエチレングリコール(4−ヒドロキシブチル−1−モノビニルエーテル上へのエチレンオキシド129molの付加生成物)348.00gを装入した。反応器内容物を引き続き25.0℃の温度に冷却する。
【0027】
別個の供給容器中で、アクリル酸17.60g及び無水マレイン酸3.41gを脱イオン水(上記のイオン含量を有する)61.07gと均質に混合し、冷却しながら40%水酸化カリウム溶液7.83gを添加する。
【0028】
並行して、Brueggolit(登録商標)FF6(Brueggemann Chemicals GmbH社の市販製品)1.08g及び水17.00gからなる第二の溶液を製造した(溶液B)。
【0029】
25.0℃への装入物混合物の冷却を行った後に、溶液A 42.50mL並びに20%カセイソーダ液3.90g及び3−メルカプトプロピオン酸0.21gを装入物に添加する。引き続き、残りの溶液Aに3−メルカプトプロピオン酸1.88gを添加し、その後、硫酸鉄(II)七水和物0.12g並びに過酸化水素(水中30%)2.00gを添加し、反応を開始させる。溶液A及び溶液Bの添加と同時に、装入物の撹拌を開始した。
【0030】
溶液Aの計量供給速度は、以下の計量供給プロフィールから得られることができる。溶液Bを、一定の計量供給速度で溶液Aの計量供給が終了するまで反応器中へ計量供給する。
【0031】
【表1】

【0032】
反応の終了後に、得られたポリマー溶液を、20%水酸化ナトリウム溶液を用いて6.5のpH値に調節した。
【0033】
淡黄色を帯びたポリマー溶液が得られ、前記コポリマーは、53000g/molのモル質量の質量平均(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)を有していた。
【0034】
使用例:
流動化剤の応用技術的な潜在性は、フレッシュコンクリート特性の試験により測定されることができる。このためには、次の組成を有するコンクリート混合物を使用した:
【表2】

【0035】
砂利量及び砂量を、それらの粒度に基づいてFullerふるい系列(Fullersieblinie)の図に従い選択した。混合物1の製造の際に、流動化剤を使用せず、その際に水量を、60±2cmの初期スランプフロー(Anfangsausbreitmass)1が達成されるように調節した。混合物2の製造の際に、0.14%のポリマー用量2を使用し、かつ水量を同様に60±2cmの初期スランプフローの達成のために適合させた。
【0036】
混合手順は次の通りであった:強制ミキサー中で、全ての乾燥成分並びに使用される水の30%を1分間予備混合した。引き続き、水の残りを添加し、改めて混合した(混合物1:2.5分;混合物2:1分)。混合物2の製造の際に、混合後に、流動化剤を添加し、引き続き1.5分混合した。それに引き続き、フレッシュコンクリート特性を測定した:
試験の結果は以下の表に示されている。
【0037】
【表3】

1 DIN EN 12350-5により測定、2 用量 セメント秤量分を基準としたポリマー固体[質量%]。
【0038】
使用例から、マグネシウム、塩化物及び硫酸塩の低いイオン含量を有する本発明による水を用いて製造されたポリマー1が、特に性能の良くかつ経済的な分散剤が製造されることができることが明らかになる。特に、使用される水の低い硫酸塩含量は、ポリマー1の分散作用及び分散速度に積極的な影響を与え、少ないポリマー用量を用いて、必要な水量が34%低下されることができ、その際に同じ初期スランプフローが達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合反応器中でのコポリマーを含有する水性媒体の製造方法であって、前記反応器に酸モノマー、ポリエーテルマクロモノマー、水並びにラジカル重合開始剤を充填して重合反応器中に水性媒体を生じさせ、前記水性媒体中で酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーを、コポリマーを形成しながら、ラジカル重合により反応させ、使用されるポリエーテルマクロモノマー1molあたり酸モノマー全部で1〜20molを使用し、使用されるポリエーテルマクロモノマー対使用される水の質量比は5:1〜1:5であり、その際に重合反応器中に装入される水の少なくとも70質量%を、マグネシウムイオン最大130mg/l、硫酸イオン最大350mg/l及び塩化物イオン最大200mg/lを有し、自然に存在する水として準備する
ことを特徴とする、コポリマーを含有する水性媒体の製造方法。
【請求項2】
重合反応器中に装入される水の少なくとも80質量%を、マグネシウムイオン最大70mg/l、硫酸塩最大100mg/l及び塩化物最大100mg/lを有し、自然に存在する水として準備する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
重合反応器が部分的に又は完全に、水性媒体と接触する鋼から構成されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
酸モノマーの反応によりコポリマー中に一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の1つに相応している構造単位が生じる、
【化1】

ここで、
1は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Xは、同じか又は異なり、並びにNH−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又はO−(Cn2n)[ここでn=1、2、3又は4である]及び/又は存在しない単位を表し;
2は、同じか又は異なり、並びにOH、SO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されたC64−SO3Hを表すが、但し、Xが存在しない単位である場合には、R2はOHを表す;
【化2】

ここで、
3は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
n=0、1、2、3又は4であり
4は、同じか又は異なり、並びにSO3H、PO32、O−PO32及び/又はパラ置換されて存在するC64−SO3Hを表す;
【化3】

ここで、
5は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Zは、同じか又は異なり、並びにO及び/又はNHを表す;
【化4】

ここで、
6は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Qは、同じか又は異なり、並びにNH及び/又はOを表し;
7は、同じか又は異なり、並びにH、(Cn2n)−SO3H[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)-OH[ここでn=0、1、2、3又は4である];(Cn2n)−PO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(Cn2n)−OPO32[ここでn=0、1、2、3又は4である]、(C64)−SO3H、(C64)−PO32、(C64)−OPO32及び/又は(Cm2me−O−(A`O)α−R9[ここでm=0、1、2、3又は4であり、e=0、1、2、3又は4であり、A`=C2x´[ここでx´=2、3、4又は5である]及び/又はCH2C(C65)H−であり、α=1〜350の整数であり、R9は、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す]を表す、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
酸モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル又はこれらの複数の成分の混合物を使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポリエーテルマクロモノマーの反応によりコポリマー中に一般式(IIa)、(IIb)及び/又は(IIc)の1つに相応している構造単位が生じる、
【化5】

ここで、
10、R11並びにR12は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びにO、NH及び/又はCO−NHを表すが、但しEが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5(好ましくはx=2)である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350(好ましくは10〜200)の整数を表し;
13は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化6】

ここで、
14は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610、オルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し、及び/又は存在しない単位を表し;
Gは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、O、NH及び/又はCO−NHを表すが、但し、Eが存在しない単位である場合には、Gも存在しない単位として存在し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
Dは、同じか又は異なり、並びに存在しない単位、NH及び/又はOを表すが、但し、Dが存在しない単位である場合には:b=0、1、2、3又は4並びにc=0、1、2、3又は4であり、その際にb+c=3又は4であり、かつ
但し、DがNH及び/又はOである場合には:b=0、1、2又は3、c=0、1、2又は3であり、その際にb+c=2又は3であり;
15は、同じか又は異なり、並びにH、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基、CO−NH2、及び/又はCOCH3を表す;
【化7】

ここで、
16、R17並びにR18は、それぞれ同じか又は異なり、かつ互いに独立してH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し;
Eは、同じか又は異なり、並びに非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C6アルキレン基、シクロヘキシル基、CH2−C610及び/又はオルト、メタ又はパラ置換されて存在するC64を表し;
Aは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2CH(C65)を表し;
nは、同じか又は異なり、並びに0、1、2、3、4及び/又は5を表し;
Lは、同じか又は異なり、並びにCx2x[ここでx=2、3、4及び/又は5である]及び/又はCH2−CH(C65)を表し;
aは、同じか又は異なり、並びに2〜350の整数を表し;
dは、同じか又は異なり、並びに1〜350の整数を表し;
19は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表し、
20は、同じか又は異なり、並びにH及び/又は非分枝鎖状のC1〜C4アルキル基を表す、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポリエーテルマクロモノマーとして、アルコキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル及び/又はアルコキシル化イソプレノール及び/又はアルコキシル化(メタ)アリルアルコール及び/又はビニル化メチルポリアルキレングリコールを使用し、これらは好ましくは4〜300のオキシアルキレン基の算術平均数をそれぞれ有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ラジカル重合開始剤として、H22又はアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩を含有し、還元剤と共に使用される使用されるレドックス開始剤系を使用し、その際に前記還元剤は、好ましくは、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナート、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の形で存在し、その際に重合中の水性媒体の温度を5〜43℃に調節し、かつ重合の開始時に水性媒体の温度は最大28℃である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
水性媒体が水溶液の形で存在する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
コポリマーの全ての構造単位の全部で少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも80mol%が、酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの重合導入により生じる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により製造されることができる、コポリマーを含有する水性媒体。
【請求項12】
腐食しうる金属性建築材料、特に鋼と共に使用される水硬性結合剤用又は潜在水硬性結合剤用の分散剤としての、請求項11記載のコポリマーを含有する水性媒体の使用。

【公表番号】特表2012−511063(P2012−511063A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538909(P2011−538909)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050289
【国際公開番号】WO2010/066469
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】