説明

水性塗料用樹脂組成物

【課題】可使時間が長く、初期硬度および外観に優れる塗膜を形成しうる水性塗料用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】疎水性ポリイソシアネート(a1)を含有する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)、好ましくは疎水性ポリイソシアネート(a1)と水分散性を有するポリイソシアネート(a2)の混合物、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)、好ましくは水酸基含有ビニル系重合体、水溶性ジルコニウム化合物(C)、好ましくは炭酸ジルコニウムアンモニウムおよび/または炭酸ジルコニウムカリウム、および、水を含有する水性塗料用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業性に優れ、その硬化物の外観、初期硬度、耐水性等が優れる水性塗料用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種工業分野において、適用可能な硬化性組成物中に含まれる揮発性有機溶剤の含有量を低減させることが、作業性や環境問題の観点から強く求められている。この要求に応えるべく、有機溶剤系硬化性組成物の水性化が試みられており、例えば、水分散性ポリイソシアネートと水酸基含有水性樹脂と含有してなる水性硬化性組成物を用いた水性塗料により、硬度、外観、耐水性、付着性に優れる塗膜を提供できることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、市場からは多岐の用途において、より高度な性能を発揮しうる水性塗料用樹脂組成物の開発が求められている。例えば、硬度において、塗装後1週間程度経過した硬度だけでなく、塗装後数時間あるいは翌日といった比較的短い時間に硬化反応が進行する、いわゆる初期硬度に優れる水性塗料用樹脂組成物である。しかしながら、前記特許文献1に記載された水性塗料用樹脂組成物を用いた水性塗料から得られる塗膜は常温以下の硬化条件における初期硬度が十分ではない。
【0004】
この問題点を解決するために、溶剤型ウレタン塗料等に使用されている金属触媒を使用した場合、水性塗料用樹脂組成物との混合性に劣るため、得られる塗膜の外観や硬度が不十分である。さらに、初期硬度向上のために、触媒量を増量した場合、可使時間が短縮され作業性が悪化するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−200497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、可使時間が長く、初期硬度および外観に優れる塗膜を形成しうる水性塗料用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記の問題点を解決するために鋭意研究した結果、疎水性ポリイソシアネート(a1)を含有する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)、水溶性ジルコニウム化合物(C)および水を含有する水性塗料用樹脂組成物を用いると、可使時間が長く、初期硬度および外観に優れる塗膜を形成しうる水性塗料が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、疎水性ポリイソシアネート(a1)を含有する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)、水溶性ジルコニウム化合物(C)および水を含有することを特徴とする水性塗料用樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水性塗料用樹脂組成物を用いることにより、有機溶剤を含有しないか又はその含有量が極めて少ない場合であっても、可使時間が長く、初期硬度、外観等に優れた塗膜を形成できる水性塗料を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
はじめに、本発明で使用する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)について説明する。
【0011】
本発明で使用する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)としては、疎水性ポリイソシアネート(a1)を含有するポリイソシアネート組成物であって、水分散性を有するものであればよく、例えば、疎水性ポリイソシアネート(a1)とこれを水分散させることが可能な水分散性化合物の混合物等が挙げられる。具体例としては、(1)疎水性ポリイソシアネート(a1)と水分散性を有するポリイソシアネート(a2)の混合物、(2)疎水性ポリイソシアネート(a1)とイソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)の混合物等が挙げられる。なかでも、硬度、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる水性塗料が得られることから、前記(1)の疎水性ポリイソシアネート(a1)と水分散性を有するポリイソシアネート(a2)の混合物が好ましい。なお、水分散性を有するポリイソシアネート(a2)とイソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)は併用することもできる。
【0012】
前記疎水性ポリイソシアネート(a1)としては、分子中にアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有さないものが挙げられ、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート等の脂肪族トリイソシアネート;
【0013】
1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナン等の脂環式ジイソシアネート;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナン等の脂環式トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート等のアラルキレンジイソシアネート;
【0014】
m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナート−3,3′−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート; トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート等の芳香族トリイソシアネート;
【0015】
前記した各種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート;前記した各種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;前記した各種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;前記した各種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;アロファネート構造を有するポリイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
前記疎水性ポリイソシアネート(a1)のなかでも、耐候性に優れる塗膜を形成できる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、脂肪族系あるいは脂環式系のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、アラルキレンジイソシアネートまたはそれらの誘導体が好ましい。
【0017】
また、前記疎水性ポリイソシアネート(a1)としては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット構造を有するポリイソシアネート、ウレトジオン構造を有するポリイソシアネート、アロファネート構造を有するポリイソシアネート、ジイソシアネートと3価以上の多価アルコールを反応して得られるポリイソシアネート等の3官能以上のポリイソシアネートが、耐候性および耐久性に優れる塗膜を形成できる水性塗料用樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0018】
前記水分散性を有するポリイソシアネート(a2)としては、親水性基を有するポリイソシアネートが挙げられ、かかる親水性基としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基およびノニオン性基等が挙げられる。なかでも、耐水性に優れる塗膜を形成できる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、親水性基としてノニオン性基を有するポリイソシアネートであることが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン基を有するポリイソシアネートであることがより好ましい。
【0019】
前記水分散性を有するポリイソシアネート(a2)としては、例えば、イソシアネート基と親水性基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系重合体、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が挙げられ、これらを単独又は2種以上併用できるが、水分散性に優れ、疎水性ポリイソシアネート(a1)との混合により水分散性を有するポリイソシアネート組成物が容易に得られることから、イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)が好ましい。
【0020】
前記イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)としては、例えば、イソシアネート基と親水性基を有する、(メタ)アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられるが、後記するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)が(メタ)アクリル系重合体である場合、それらの相溶性が良好なことから、イソシアネート基と親水性基を有する、(メタ)アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体を使用することが好ましい。
【0021】
前記イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)は、例えば、(イ)イソシアネート基を有するビニル系単量体と、親水性基を有するビニル系単量体を含有してなるビニル系単量体混合物を重合させる方法、(ロ)活性水素含有基を有するビニル系単量体と親水性基を有するビニル系単量体を含有してなるビニル系単量体混合物を重合させて得られるビニル系重合体の活性水素含有基と、ポリイソシアネートとを反応させる方法等の製造方法で製造することができる。
【0022】
前記製造方法(イ)で使用するイソシアネート基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−イソシアナートプロペン、2−イソシアナートエチルビニルエーテル、2−イソシアナートエチルメタアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、ポリイソシアネートと水酸基を有するビニル系単量体との反応生成物等が挙げられる。
【0023】
前記製造方法(イ)で使用する親水性基を有するビニル系単量体としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレンビニル等のアルコキシポリオキシエチレン基を有するビニル系単量体、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリル燐酸ナトリウム等のアニオン性基含有ビニル系単量体等が挙げられる。
【0024】
前記製造方法(ロ)で使用する活性水素含有基を有するビニル系単量体中の活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、亜燐酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、メルカプト基、シラノール基、活性メチレン基、カーバメート基、ウレイド基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基等が挙げられ、なかでも、前記活性水素含有基のビニル系重合体への導入が容易なことから、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、活性メチレン基が好ましく、水酸基、カルボキシル基がより好ましい。前記活性水素含有基は、前記ビニル系重合体中に1種が単独で導入されていてもよいし、二種類以上が導入されていてもよい。
【0025】
前記製造方法(ロ)で使用する活性水素含有基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体などが挙げられる。また、親水性基を有するビニル系単量体としては、前記製造方法(イ)で使用するものと同様のものを使用することができる。
【0026】
前記製造方法(イ)および(ロ)では、総炭素原子数が4以上の疎水性基を有するビニル系単量体を併用して使用することが好ましい。かかるビニル系単量体を使用することで、水分散性ポリイソシアネート組成物(A)と水との反応を防ぐことができ、本発明の水性塗料用樹脂組成物に十分な可使時間を持たせることが可能となる。
【0027】
前記イソシアネート基と水性基を有するビニル系重合体(a21)に、総炭素原子数が4個以上の疎水性基を導入する方法としては、例えば、前記した製造方法(イ)又は(ロ)において、総炭素原子数が4個以上の疎水性基を有するビニル系単量体をビニル系単量体混合物の一部として用いて共重合させる方法が挙げられる。
【0028】
前記総炭素原子数が4個以上の疎水性基を有するビニル系単量体としては、例えば、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素原子数が4以上のアルキル基を有するビニル系単量体;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ジシクロペンタニル基、ボルニル基、イソボルニル基等の炭素原子数が4以上のシクロアルキル基を有するビニル系単量体が挙げられ、具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体が挙げられる。
【0029】
前記イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)には、前記した各種ビニル系単量体の他に、本発明の目的を達成する範囲内で、その他のビニル系単量体を併用することができる。
【0030】
前記その他のビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアクリレート系単量体などが挙げられる。
【0031】
かくして得られるイソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)の重量平均分子量は、このビニル系重合体(a21)を水分散性ポリイソシアネート(a2)として用い、疎水性ポリイソシアネート(a1)と混合して得られる水分散性ポリイソシアネート組成物の水への分散性とイソシアネート基の水に対する安定性が良好で、硬化性に優れる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、2,000〜100,000の範囲内が好ましく、3,000〜50,000の範囲内がより好ましい。
【0032】
前記イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)は、前記疎水性ポリイソシアネート(a1)と混合して水分散性ポリイソシアネート組成物として使用することが好ましいが、その場合、疎水性ポリイソシアネート(a1)とイソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)の重量比率(a1/a21)は、3/7〜9.5/0.5の範囲内が好ましく、5/5〜9/1の範囲内がより好ましく、6/4〜8/2の範囲内が更に好ましい。
【0033】
前記イソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)と前記疎水性ポリイソシアネート(a1)の混合物からなる水分散性ポリイソシアネート組成物は、例えば、前記製造方法(イ)または(ロ)において疎水性ポリイソシアネート(a1)を過剰量使用する、一段の反応で容易に製造することができる。
【0034】
前記イソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)としては、例えば、イソシアネート基を有さないが親水性基を有する、(メタ)アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。前記イソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)のなかでも、後記するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)が(メタ)アクリル系重合体である場合、それらの相溶性が良好なことから、イソシアネート基を有さないが親水性基を有する、(メタ)アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体を使用することが好ましい。
【0035】
前記イソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)を、前記疎水性ポリイソシアネート(a1)と混合して水分散性ポリイソシアネート組成物として使用する場合、これらの重量比率(a1/a3)は、3/7〜9.5/0.5の範囲内が好ましく、5/5〜9/1の範囲内がより好ましく、6/4〜8/2の範囲内が更に好ましい。
【0036】
また、前記疎水性ポリイソシアネート(a1)、水分散性を有するポリイソシアネート(a2)およびイソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)は、いずれも、本発明の目的を達成する範囲内で、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤で希釈して使用することもできる。
【0037】
前記イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ミネラルスピリット等の脂肪族系ないしは脂環式系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
【0038】
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用できる。
【0039】
次に、本発明で使用するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)について説明する。
【0040】
本発明に使用する前記樹脂(B)は、水に溶解あるいは分散可能であって、前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)中のイソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有するものであれば良く、その形態、種類等は制限されず、例えば、水溶性樹脂、自己水分散性樹脂、分散剤の使用により水分散性化した樹脂等のいずれであっても良い。かかる樹脂(B)の有する活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アセトアセチル基等の活性メチレン基を有する官能基等が挙げられ、なかでも水酸基が好ましい。
【0041】
前記樹脂(B)は、容易に水と混合し、水溶液あるいはコロイダルディスパージョンやエマルジョン等の水分散体として使用できる。
【0042】
かかる樹脂(B)としては、水に溶解あるいは分散可能であって、前記活性水素含有基を有する、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、シリコン変性ビニル系重合体、ポリビニルアルコール等のビニル系重合体;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコン系樹脂等のビニル系重合体以外の合成樹脂類;動物性たんぱく質、でんぷん、セルロース誘導体、デキストリン、アラビアゴム等の天然高分子等が挙げられ、好ましくはビニル系重合体、より好ましくは水酸基含有ビニル系重合体である。これらは、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0043】
前記樹脂(B)に含まれる活性水素含有基の量は、硬化性および塗膜の耐水性に優れる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、樹脂(B)1000g当たり、0.1〜6モルが好ましく、0.2〜4モルがより好ましく、0.4〜3モルが最も好ましい。
【0044】
前記樹脂(B)のうち、水酸基含有ビニル系重合体は、例えば、水酸基を有するビニル系単量体やその他のビニル系単量体をラジカル重合やレドックス重合させることで製造することができる。
【0045】
前記水酸基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
前記その他のビニル系単量体としては、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、アクリルアマイド等が挙げられる。
【0047】
前記したラジカル重合は、水を溶媒として用いる乳化重合法、有機溶剤を溶媒として用いる溶液重合法に大別され、どちらの方法も適用することができる。
【0048】
前記溶液重合法は、前記した水酸基を有するビニル系単量体、その他のビニル系単量体および開始剤を有機溶剤中に添加し、共重合させる方法であり、次いで、脱溶剤して前記有機溶剤を取り除く事で、前記樹脂(B)を製造できる。
【0049】
かかる有機溶剤としては、例えば、前記疎水性ポリイソシアネート(a1)、水分散性を有するポリイソシアネート(a2)およびイソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤(a3)を希釈する際に使用できるイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤と同様のものを使用することができる。
【0050】
前記開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)もしくは2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等の各種のアゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物類等が挙げられる。
【0051】
また、前記溶液重合法で得られる水酸基含有ビニル系重合体としては、なかでも容易に水に溶解あるいは分散することから、中和されたカルボキシル基を有する水酸基含有ビニル系重合体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体を、前記した水酸基を有するビニル系単量体などと共重合させて、カルボキシル基を有する水酸基含有ビニル系重合体とした後、カルボキシル基を塩基性化合物で中和してなる、水に溶解あるいは分散可能な水酸基含有ビニル系重合体が好ましい。
【0052】
前記塩基性化合物としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、アンモニア(アンモニア水)等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属等が挙げられる。
【0053】
また、水を溶媒として用いる乳化重合法は、水に前記した水酸基を有するビニル系単量体、その他のビニル系単量体および乳化剤を添加し、共重合させる方法である。このとき使用できる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン性乳化剤;高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル燐酸塩、アルケニルコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミンの如き長鎖アルキル基を有する3級アミンのカルボン酸塩や4級アンモニウム塩等のカチオン性乳化剤;カルボン酸塩基、硫酸塩基、燐酸塩基等のアニオン性基と二重結合を併有する化合物、ノニオン性基と重合性二重結合を併有する化合物、4級アンモニウム塩基等のカチオン性基と重合性二重結合を併有する化合物等の反応性乳化剤等が挙げられる。これらの乳化剤は二種以上併用することもできる。
【0054】
前記した乳化剤は、本発明の水性塗料用樹脂組成物を用いて得られる塗膜の耐水性を低下させないことから、使用する全ビニル系単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜5重量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0055】
また、前記乳化重合法において、さらに還元剤を用いることで前記した水酸基を有するビニル系単量体やその他のビニル系単量体をレドックス重合して、前記樹脂(B)を得ることができる。
【0056】
前記乳化重合法で得られる水酸基含有ビニル系重合体としては、カルボキシル基を有しているものが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体を前記した水酸基を有するビニル系単量体などと共重合させ得ることで、前記ビニル系重合体にカルボキシル基を導入させることができる。なお、このときのカルボキシル基は前記した塩基性化合物によって中和され、カルボン酸塩となっていても良い。
【0057】
かかる水酸基含有ビニル系重合体のなかでも、水酸基を有するビニル系単量体とカルボキシル基を有するビニル系単量体とその他のビニル系単量体を溶液重合した後、塩基性化合物で中和して得られるビニル系重合体、または、水酸基を有するビニル系単量体とその他のビニル系単量体を乳化重合して得られるビニル系重合体が好ましい。
【0058】
なお、前記乳化重合して得られるビニル系重合体は、水分散体として得られるため、分離せずにそのまま本発明の水性塗料用樹脂組成物に使用することができるが、溶液重合した後、塩基性化合物で中和して得られるビニル系重合体は、有機溶剤溶液として得られるため、この溶液と水とを混合して転相乳化し、さらに必要により有機溶剤を除去する等の水分散化処理を行ってから用いることが好ましい。
【0059】
次に、本発明で使用する水溶性ジルコニウム化合物(C)について説明する。
本発明で使用する水溶性ジルコニウム化合物(C)としては、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等が挙げられるが、安定性に優れる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウムが好ましい。
【0060】
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)、前記樹脂(B)、前記水溶性ジルコニウム化合物(C)および水を含有してなるもので、これらを水に溶解または分散させたものが挙げられる。これらを混合する方法としては、例えば、前記樹脂(B)の水溶液または水分散体に、水溶性ジルコニウム化合物(C)を添加撹拌し、さらに、水分散性ポリイソシアネート組成物(A)の水分散体等を添加し、撹拌する方法等が挙げられる。撹拌方法としては、例えば、各種の攪拌機を使用する方法があり、少量ならば攪拌棒等を用いた簡便な攪拌でも、容易に均一に混合することができる。攪拌機を使用することは、短時間で多量の水性塗料用樹脂組成物を調製できることから好ましい。
【0061】
このときの前記樹脂(B)と前記水溶性ジルコニウム化合物(C)との混合比率は、可使時間が長く、初期硬度、外観等に優れる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、樹脂(B)の固形分100重量部に対して、水溶性ジルコニウム化合物(C)をZrO換算固形分での含有量が0.025〜25.0重量部となる範囲であることが好ましく、0.1〜10.0重量部であることがより好ましい。
【0062】
また、前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)と前記樹脂(B)の混合比率は、可使時間が長く、初期硬度、外観等に優れる水性塗料用樹脂組成物が得られることから、前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)中のイソシアネート基(NCO)と前記水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)中の水酸基(OH)のモル比(NCO/OH)が、0.1〜5であることが好ましく、0.3〜3であることがより好ましく、0.5〜2であることが更に好ましい。
【0063】
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、そのままで顔料を含まないクリヤーな組成物として使用することができるし、有機系あるいは無機系の各種の顔料を配合して着色塗料として使用することもできる。また、かかる塗料には、必要に応じて、各種用途に適した添加剤、例えば、充填剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料分散剤のような、各種の添加剤類などをも配合して、使用することが出来る。
【0064】
そして、本発明の水性塗料用樹脂組成物を用いて得られる水性塗料は可使時間が長く、初期硬度および外観に優れる硬化塗膜を得ることができる。
【実施例】
【0065】
次に参考例、実施例および比較例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお文中の部、および%は、特に断りのない限り全て重量基準である。
【0066】
まず、実施例および比較例で使用するポリイソシアネートを説明する。
疎水性ポリイソシアネート(XA−1):ヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレート型ポリイソシアネート「バーノックDN−980S」〔大日本インキ化学工業(株)製、イソシアネート基含有率(以下、NCO基含有率と略称する。)21%、平均NCO官能基数3.6、不揮発分100%〕
【0067】
参考例1〔水分散性ポリイソシアネート組成物(A−1)の調製例〕
攪拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した4つ口のフラスコに、ジエチレングリコールジエチルエーテル(以下、DEDGと略称する。)200部を仕込み、窒素気流下に110℃に昇温した後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(1分子当たりオキシエチレン単位を平均9個含有)100部、メチルメタクリレート(以下、MMAと略称する。)60部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2−HEMAと略称する。)10部、シクロヘキシルメタクリレート30部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5部およびt−ブチルパーオキシベンゾエート1部からなる混合液を5時間かけて滴下した。滴下後、110℃で9時間反応せしめ、不揮発分50%の(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。ついで、疎水性ポリイソシアネート(XA−1)600部を加え、95℃に昇温し、同温度で6時間反応させ、不揮発分80%、NCO基含有率12%の水分散性ポリイソシアネート組成物(A−1)を得た。
【0068】
参考例2〔水分散性ポリイソシアネート組成物(A−2)の調製例〕
参考例1と同様の4つ口のフラスコに、DEDG200部、メトキシポリエチレングリコール(分子量:400)143部および疎水性ポリイソシアネート(XA−1)657部を仕込み、30分かけて95℃に昇温した後、95℃にて6時間反応させ、不揮発分80%、NCO基含有率12%のメトキシポリエチレングリコールで変性された水分散性ポリイソシアネート組成物(A−2)を得た。
【0069】
参考例3〔水酸基含有(メタ)アクリル樹脂エマルジョン(B−1)の調製例〕
参考例1と同様の4つ口のフラスコに、「ニューコール707SF」〔日本乳化剤(株)製アニオン性乳化剤〕5部、「ノイゲンTDS−200D」〔第一工業製薬(株)製ノニオン性乳化剤〕5部および脱イオン水270部を仕込み、窒素気流下に80℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム0.8部を脱イオン水16部に溶解させた水溶液を添加した。さらに、ブチルアクリレート(以下、BAと略称する。)80部、MMA87部、アクリル酸(以下、AAと略称する。)4部、2−HEMA14部および2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、2−HPMAと略称する。)15部からなる混合液を、3時間かけて滴下した。滴下後、2時間反応させた後、25℃まで冷却し、28%アンモニア水1.5部で中和して、不揮発分43%、固形分水酸基価60mgKOH/gの水酸基含有(メタ)アクリル樹脂エマルジョン(B−1)を得た。
【0070】
参考例4〔水酸基含有(メタ)アクリル樹脂ディスパージョン(B−2)の調製例〕
参考例1と同様の4つ口のフラスコに、DEDG60部を仕込み、窒素気流下に125℃に昇温した後、BA80部、MMA87部、AA4部および2−HEMA14部からなる混合液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート20部およびt−ブチルパーオキシベンゾエート1部からなる混合液を5時間かけて滴下した。滴下後、125℃で5時間反応させた後、60℃まで降温し、トリエチルアミン5.6部を加え、60℃で30分間混合した。そして、イオン交換水461部を2時間かけて滴下した後、25℃まで冷却し、不揮発分30%、固形分水酸基価60mgKOH/gの水酸基含有(メタ)アクリル樹脂ディスパージョン(B−2)を得た。
【0071】
実施例1
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂エマルジョン(B−1)500部に、炭酸ジルコニウムカリウム水溶液(ZrO換算固形分濃度10%)30部を添加撹拌後、更に、水分散性ポリイソシアネート組成物(A−1)80部および脱イオン水100部を混合して、水性塗料用樹脂組成物(D−1)を調製した。得られた水性塗料用樹脂組成物(D−1)の可使時間およびその硬化塗膜の外観、初期硬度を、以下のように評価し、結果を第1表(1)に示した。
【0072】
「可使時間」:水性塗料用樹脂組成物を20℃で3時間保存した際の粘度変化を評価した。その際の評価基準は次の通りである。
○:ほぼ変化なし。
×:著しい増粘またはゲル化。
【0073】
「外観」:調製直後の水性塗料用樹脂組成物を硬化塗膜の膜厚が40μmとなるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥硬化させた後の硬化塗膜の表面状態を目視で評価した。その際の評価基準は次の通りである。
○:ブツなし。
△:少量のブツあり。
×:多量のブツあり。
【0074】
「初期硬度」:調製直後の水性塗料用樹脂組成物を硬化塗膜の膜厚が40μmとなるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、温度20℃、湿度60%RHの条件で6時間乾燥硬化させた後、同温湿度条件のもと、ケーニッヒ硬度計で硬化塗膜の硬度を測定した。測定値が大きいほど硬度が高いことを示す。
【0075】
実施例2〜5
第1表(1)〜(2)に示した使用比率で、水分散性ポリイソシアネート組成物(A−1)〜(A−2)、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂エマルジョン(B−1)、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂ディスパージョン(B−2)、炭酸ジルコニウムカリウム水溶液(ZrO換算固形分濃度10%)、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(ZrO換算固形分濃度10%)、必要に応じて脱イオン水を混合して、本発明の水性塗料用樹脂組成物(D−2)〜(D−5)を調製した。こうして得られた水性塗料用樹脂組成物(D−2)〜(D−5)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料用樹脂組成物の可使時間およびその硬化塗膜の外観、初期硬度を評価した。評価結果を第1表(1)〜(2)に示した。
【0076】
比較例1〜3
第1表(2)に示した使用比率で、水分散性ポリイソシアネート組成物(A−1)、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂エマルジョン(B−1)、「Co−NAPHTHENATE 6%」〔大日本インキ化学工業(株)製ナフテン酸コバルト、コバルト含有率6%、以下、ナフテン酸コバルトと略称する。〕、脱イオン水を混合して、比較用水性塗料用樹脂組成物(RD−1)〜(RD−3)を調製した。こうして得られた比較用水性塗料用樹脂組成物(RD−1)〜(RD−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料用樹脂組成物の可使時間およびその硬化塗膜の外観、初期硬度を評価した。評価結果を第1表(2)に示した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性ポリイソシアネート(a1)を含有する水分散性ポリイソシアネート組成物(A)、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有する、水に溶解あるいは分散可能な樹脂(B)、水溶性ジルコニウム化合物(C)および水を含有することを特徴とする水性塗料用樹脂組成物。
【請求項2】
前記水溶性ジルコニウム化合物(C)が、炭酸ジルコニウムアンモニウムおよび/または炭酸ジルコニウムカリウムである請求項1に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項3】
前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)が、疎水性ポリイソシアネート(a1)と水分散性を有するポリイソシアネート(a2)の混合物である請求項1または2に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項4】
前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)が、疎水性ポリイソシアネート(a1)とイソシアネート基と親水性基を有するビニル系重合体(a21)の混合物であって、これらの重量比率(a1/a21)が3/7〜9.5/0.5である請求項1または2に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂(B)が、水酸基含有ビニル系重合体である請求項1または2に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項6】
前記水酸基含有ビニル系重合体が、水酸基を有するビニル系単量体とカルボキシル基を有するビニル系単量体とその他のビニル系単量体を溶液重合した後、塩基性化合物で中和して得られるビニル系重合体、または、水酸基を有するビニル系単量体とその他のビニル系単量体を乳化重合して得られるビニル系重合体である請求項5に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項7】
前記水溶性ジルコニウム化合物(C)を、前記樹脂(B)の固形分100重量部に対して、ZrO換算固形分が0.025〜25.0重量部となる範囲で含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性塗料用樹脂組成物。
【請求項8】
前記水分散性ポリイソシアネート組成物(A)中のイソシアネート基(NCO)と前記樹脂(B)中の水酸基(OH)のモル比(NCO/OH)が0.1〜5である請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性塗料用樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−35622(P2009−35622A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200661(P2007−200661)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】