説明

水性形接着剤組成物

【課題】水性形接着剤が分散体である故に発生する煙霧状のスプレーミストを低減することで、局所排気装置を使用せずに、ミストがモーター等関連設備に吸引され不具合の原因となったり、被塗布物周辺を汚染したり、作業員が吸引して健康を害したりすることなくエアスプレー塗布作業が可能な水性形接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】(a)クロロプレンゴムラテックスに対し、該ラテックスの固形分100質量部当たり、(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉1.4〜10質量部を糊化液として配合してなることを特徴とする水性形接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布物にスプレーガン等にてエアスプレー塗布を行うのに好適な水性形接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤を被塗布物に均一に塗布するには刷毛、ロールコーターなど種々の方法があるが、大面積や凹凸がある被塗布物に塗布する場合、スプレーガン等を用いたエアスプレー塗布が好適である。
この際に接着剤が水性形であると、接着剤の固形分が水中に微細粒子にて分散しているために、該微細粒子がエアスプレー時に飛散凝集して被塗物に有効に被着塗布される他、凝集しないで霧散して煙霧状のスプレーミストが大量に発生する場合がある。
このような場合、局所排気装置を用いないと、ミストがモーター等関連設備に吸引され不具合の原因となったり、被塗布物周辺を汚染したり、作業員が吸引して健康を害したりする問題があった。
【0003】
この問題点を解決するための技術が今まで色々提案されている。
特許文献1の技術は、カルボキシルナトリウム塩を有するポリマー水溶液をエマルジョンに添加し、接着剤をチキソトロピックにして優れたスプレー塗布性を得るものであるが、増粘により塗布量が減少するだけでスプレーミストの根本的な低減には至っていない。
特許文献2、特許文献3の技術は、ポリエチレンオキサイド、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸を水性樹脂分散体に添加してスプレーミストを低減するものであるが、前述の3物質は添加により早期に相分離が発生し貯蔵安定性に難があるほか、スプレーミスト低減効果を得るには接着性が低下するほどの多量の添加量が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−320600号公報
【特許文献2】特開2002−121473号公報
【特許文献3】特開2002−121516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の課題(目的)は、水性形接着剤が分散体である故に発生する煙霧状のスプレーミストを低減することで、局所排気装置を使用せずに、ミストがモーター等関連設備に吸引され不具合の原因となったり、被塗布物周辺を汚染したり、作業員が吸引して健康を害したりすることなくエアスプレー塗布作業が可能な水性形接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロロプレンゴムラテックスにタピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉を糊化液として配合することにより曳糸性が強い粘性を得て、水性形接着剤がエアスプレー時に受ける高せん断圧力により微粒に裁断され霧散することなく、一定以上の粒径のスプレー液滴を維持することでスプレーミストを大幅に低減することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち本発明は、
1.(a)クロロプレンゴムラテックスに対し、該ラテックスの固形分100質量部当たり、(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉1.4〜10質量部を糊化液として配合してなることを特徴とする水性形接着剤組成物、
2.(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉1.4〜3質量部を糊化液として配合してなることを特徴とする1.に記載の水性形接着剤組成物、
3.(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉の糊化液の濃度が1〜20質量%であることを特徴とする1.または2.に記載の水性形接着剤組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
水性形接着剤特有のスプレーミストを低減することで、局所排気装置を使用せずに、ミストがモーター等関連設備に吸引され不具合の原因となったり、被塗布物周辺を汚染したり、作業員が吸引して健康を害したりすることなくエアスプレー塗布作業が可能な水性形接着剤組成物を提供することができ、そして、
付随的効果として、スプレーミストが低減することにより接着剤の塗布効率を向上、すなわちロスを低減することができるので、産業上貢献すること大である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
(a)クロロプレンゴムラテックス
クロロプレンゴムラテックスとしては、アニオン型界面活性剤、例えばロジン酸塩の存在下で重合して得られるエマルジョン、ポリビニルアルコールの存在下でクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なエチレン系不飽和カルボン酸とを共重合して得られたエマルジョン、及びポリビニルアルコールとグリコールエーテル類の共存下でクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能なエチレン系不飽和カルボン酸とを共重合して得られたエマルジョン等を使用することができる。これらの固形分濃度は40〜70質量%である。
クロロプレンゴムラテックスとしては各種のものが上市されており、適宜それらを使用することができる。例えば市販品としては、ディスパコールC−84(固形分55質量%、pH13.0)、スカイプレンラテックスGFL−820(固形分53質量%、pH4.0)等がある。
【0010】
(b)無架橋澱粉
クロロプレンゴムラテックスの固形分100質量部に対し、タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉を1.4〜10質量部、好ましくは1.4〜3質量部を糊化液として使用する。
タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉でいう「無架橋」とは、澱粉中の二か所以上の水酸基間をリン酸、アジピン酸等で結合させる(即ち、架橋)処理を一切行わないことをいい、タピオカ由来、馬鈴薯由来のものであれば天然の澱粉はもちろん、エーテル化やエステル化などの誘導体化や、酸処理や、アルファ化等を施した加工澱粉は全て無架橋澱粉であり、本発明に使用することができる。
それに対しタピオカ由来、馬鈴薯由来のものであってもリン酸架橋、アジピン酸架橋等、何らかの架橋処理が施されている澱粉では満足する曳糸性が得られない。
【0011】
一方、他のトウモロコシ澱粉、小麦澱粉等のタピオカ由来もしくは馬鈴薯由来以外の加工澱粉では、無架橋であっても曳糸性が低く本発明の効果が得られない。
さらに、(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉の配合量が、(a)クロロプレンゴムラテックスの固形分100質量部に対して1.4質量部未満では満足する曳糸性が得られず、10質量部を超える場合は著しく増粘しスプレー作業が不可能となる。
また、タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉をクロロプレンゴムラテックスに配合する際、糊化液とすることは必須である。ここでいう「糊化」とは、澱粉を水中に懸濁して90〜100℃で20分以上加熱撹拌を行うことで吸水、膨張、澱粉粒崩壊を経てゲル状液に変化させることをいう。
【0012】
これらの澱粉は糊化前は粉体状の固体であり、固体のまま糊化させずにクロロプレンゴムラテックスに配合しても曳糸性は発現せず本発明の効果は得られない。
ここで(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉の糊化液の濃度は、1〜20質量%が好ましく、1質量%未満では糊化のための多量の水の配合が必要となり曳糸性が損なわれるうえに接着性が著しく低下する。20質量%を超える場合は糊化液の粘度が高すぎて流動性がなくなり、クロロプレンゴムラテックスに配合することが出来なくなる。
本願発明の水性形接着剤組成物は、その他、接着性等の要求性能に応じて粘着付与樹脂、防腐剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料、pH調整剤等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0013】
以下、本願発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、勿論本願発明は実施例に限定されるものではない。
[エアスプレー塗布条件]
スプレーガン「W−200−251G」(アネスト岩田株式会社製、重力式、ノズル口径2.5mm)を使用し、吐出圧力3kgf/cm、パターンつまみ開度全閉、吐出量つまみ開度2回転、空気量つまみ全開で、被塗布物からの距離40cmにて塗布を行った。
[スプレー液滴最大径]
50cm角の紙に、局所排気装置を使用せずに40cmの距離から水性形接着剤を50g/mの塗布量にて均一にエアスプレー塗布し、最大径のスプレー液滴を目視で確認した。
【0014】
[スプレーミスト目視]
50cm角の紙の中心点に向かってスプレーガンを動かさずに、局所排気装置を使用せずに40cmの距離から水性形接着剤を20秒間エアスプレー塗布し、被塗布物周辺のスプレーミスト飛散状況を目視にて判定した。
◎:スプレーミストが目視で確認されない。
○:スプレーミストが若干見られるが被塗布物からのミストの跳ね返りは無い。
△:スプレーミスト低減の効果は見られるが被塗布物からのミストの跳ね返りがあり、局所排気装置無しでは作業が困難。
×:スプレーミスト低減の効果が全く見られない。
[塗布効率]
50cm角の紙の中心点に向かってスプレーガンを動かさずに、局所排気装置を使用せずに40cmの距離から水性形接着剤50gをエアスプレー塗布し、使用量に対する紙への付着量の割合を測定した。
【0015】
[貯蔵安定性]
水性形接着剤をポリエチレン製100ml容器に充填し、40℃の温蔵庫に1か月間保管し、接着剤の状態変化を目視で確認した。
良好:変化無し。
液浮き:液面に離漿水発生。
ゲル化:流動性が無くなり固化。
相分離:明瞭に上層と下層に分離。
[接着性]
50mm×150mm×150mm、密度30kg/mのウレタンフォームの50mm×150mmの面に、水性形接着剤を70g/mの塗布量で塗布し、20秒後に塗布面中央を指で押し込みながら長辺同士を扇状に貼り合わせて指で圧締した際の接着性を評価した。
◎:長辺同士の軽い接触で接着可能。
○:指で少し力を加えて押さえれば接着可能。
△:指で強く押さえなければ接着できない。
×:全く接着できない。
【0016】
[実施例1]
クロロプレンゴムラテックス[ディスパコールC−84(バイエル株式会社製)、固形分55%、pH13.0]100質量部にpH調整剤を添加し撹拌してpHを8.5とし、馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]1質量部を5%糊化液20質量部として添加し30分間撹拌して水性形接着剤を得た。ここでの糊化液は、澱粉を水中に懸濁して90℃で30分加熱撹拌することにより得た。
以下実施例2以降及び比較例については、クロロプレンゴムラテックスの種類や配合量、pH調整の方法、澱粉の糊化方法は実施例1と同様であるため省略し、添加した澱粉や水溶性高分子や増粘剤のみを示す。
【0017】
[実施例2]
馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]1.2質量部を5%糊化液24質量部として添加した。
[実施例3]
馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]1.4質量部を5%糊化液28質量部として添加した。
[実施例4]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]0.8質量部を12%糊化液6.6質量部として添加した。
【0018】
[実施例5]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]1質量部を12%糊化液8.3質量部として添加した。
[実施例6]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]1.2質量部を12%糊化液10質量部として添加した。
[実施例7]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]1.4質量部を12%糊化液11.7質量部として添加した。
【0019】
[比較例1]
馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]0.3質量部を5%糊化液6質量部として添加した。
[比較例2]
馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]0.5質量部を5%糊化液10質量部として添加した。
[比較例3]
馬鈴薯由来の無架橋澱粉[デリカKH(日澱化学株式会社製)]0.7質量部を5%糊化液14質量部として添加した。
【0020】
[比較例4]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]0.4質量部を12%糊化液3.3質量部として添加した。
[比較例5]
タピオカ由来の無架橋澱粉[G−800(日澱化学株式会社製)]0.6質量部を12%糊化液3.9質量部として添加した。
[比較例6]
馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉[ラーフUD(王子コーンスターチ株式会社製)]1.2質量部を5%糊化液24質量部として添加した。
【0021】
[比較例7]
トウモロコシ由来の無架橋澱粉[コーンスターチY(三和澱粉工業株式会社製)]1.2質量部を6%糊化液20質量部として添加した。
[比較例8]
トウモロコシ由来のリン酸架橋澱粉[ファインテックスS−1(王子コーンスターチ株式会社製)]1.2質量部を6%糊化液20質量部として添加した。
[比較例9]
小麦由来の無架橋澱粉[アセチル化小麦澱粉(三和澱粉工業株式会社製)]1.2質量部を6%糊化液20質量部として添加した。
【0022】
[比較例10]
小麦由来のリン酸架橋澱粉[オパセット2052(王子コーンスターチ株式会社製)]1.2質量部を6%糊化液20質量部として添加した。
[比較例11]
タピオカ由来のリン酸弱架橋澱粉[ひこぼし300(王子コーンスターチ株式会社製)]1.2質量部を12%糊化液10質量部として添加した。
[比較例12]
タピオカ由来のリン酸強架橋澱粉[てんじん300(王子コーンスターチ株式会社製)]1.2質量部を12%糊化液10質量部として添加した。
【0023】
[比較例13]
カルボキシメチルセルロース[サンローズFT−3(日本製紙ケミカル株式会社製)]0.3質量部を添加した。
[比較例14]
カルボキシメチルセルロース[サンローズFT−3(日本製紙ケミカル株式会社製)]1質量部を添加した。
[比較例15]
ヒドロキシエチルセルロース[ナトロゾール250MR(ハーキュレス社製)]0.2質量部を添加した。
【0024】
[比較例16]
ヒドロキシエチルセルロース[ナトロゾール250MR(ハーキュレス社製)]1質量部を添加した。
[比較例17]
ポリアクリル酸[ジュリマーAC−10SH(日本純薬株式会社製)]0.1質量部を添加した。
[比較例18]
ポリアクリル酸[ジュリマーAC−10SH(日本純薬株式会社製)]1質量部を添加した。
【0025】
[比較例19]
アルギン酸ナトリウム[キミカアルギンI−8(株式会社キミカ製)]0.2質量部を添加した。
[比較例20]
アルギン酸ナトリウム[キミカアルギンI−8(株式会社キミカ製)]1質量部を添加した。
[比較例21]
キサンタンガム[サンエースE−S(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)]0.2質量部を添加した。
【0026】
[比較例22]
キサンタンガム[サンエースE−S(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)]1質量部を添加した。
[比較例23]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤A[アロンA−7075(東亞合成株式会社製)]0.7質量部を添加した。
[比較例24]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤A[アロンA−7075(東亞合成株式会社製)]1質量部を添加した。
【0027】
[比較例25]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤B[アロンA−7055(東亞合成株式会社製)]0.5質量部を添加した。
[比較例26]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤B[アロンA−7055(東亞合成株式会社製)]1質量部を添加した。
[比較例27]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤C[プライマルRM−5(ローム・アンド・ハース社製)]0.2質量部を添加した。
【0028】
[比較例28]
カルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤C[プライマルRM−5(ローム・アンド・ハース社製)]1質量部を添加した。
[比較例29]
ウレタン会合型増粘剤A[アデカノールUH−540(株式会社ADEKA製)]0.5質量部を添加した。
[比較例30]
ウレタン会合型増粘剤A[アデカノールUH−540(株式会社ADEKA製)]1質量部を添加した。
【0029】
[比較例31]
ウレタン会合型増粘剤B[アデカノールUH−752(株式会社ADEKA製)]0.5質量部を添加した。
[比較例32]
ウレタン会合型増粘剤B[アデカノールUH−752(株式会社ADEKA製)]1質量部を添加した。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
実施例1〜7、比較例1〜32の各接着剤組成物を調整し、スプレー液滴最大径、スプレーミスト目視、塗布効率、貯蔵安定性、接着性について評価した結果を表1〜4に示す。
表1の実施例1〜7では本発明の目的とする性能が得られている。
表1の比較例1〜5では澱粉の配合量が本願発明の配合範囲を外れているため十分なスプレーミスト低減効果が得られなかった。
【0035】
表2では、タピオカ由来や馬鈴薯由来以外の澱粉、及び架橋澱粉の配合効果の確認を行った。
比較例7、9のタピオカ由来や馬鈴薯由来以外の澱粉の配合では、無架橋澱粉であっても十分なスプレーミスト低減効果が得られなかった。
比較例6、11〜12では、タピオカ由来や馬鈴薯由来の澱粉であっても、架橋澱粉であるゆえに十分なスプレーミスト低減効果が得られなかった。
表3、4では、澱粉以外の水溶性高分子や増粘剤の配合効果の確認を行った。
比較例17のポリアクリル酸、比較例23、24のカルボン酸系アルカリ増粘型増粘剤Aでは、スプレーミスト低減効果が得られるものの、相分離やゲル化が発生するなど貯蔵安定性に劣った。その他の比較例では十分なスプレーミスト低減効果が得られないか、もしくは流動性が無くスプレー不能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)クロロプレンゴムラテックスに対し、該ラテックスの固形分100質量部当たり、(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉1.4〜10質量部を糊化液として配合してなることを特徴とする水性形接着剤組成物。
【請求項2】
(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉1.4〜3質量部を糊化液として配合してなることを特徴とする請求項1に記載の水性形接着剤組成物。
【請求項3】
(b)タピオカ由来の無架橋澱粉、馬鈴薯由来の無架橋澱粉から選ばれる1種または2種の澱粉の糊化液の濃度が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性形接着剤組成物。