説明

水性捺染組成物及び水性捺染組成物の連続捺染方法

【課題】環境問題も発生せず、回転式多色スクリーン印刷機の使用が可能である、優れた印刷特性を有する水性捺染組成物を提供すること。
【解決手段】(1)バインダー樹脂として、タック防止成分である、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなる群の一種又は二種以上の樹脂を使用することを特徴とする回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物、(2)回転式多色スクリーン印刷機を用いて、白色下地用水性捺染組成物の印刷を行った後、タック防止用水性捺染組成物の印刷を行い、次いで、着色用水性捺染組成物の印刷を行う、連続捺染方法において、タック防止用水性捺染組成物として、(1)記載の捺染組成物を用いることを特徴とする連続捺染方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性捺染組成物及び水性捺染組成物の連続捺染方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布帛等の基材に文字や絵柄等を捺染する方法としては、顔料捺染法がある。
顔料捺染法は、着色顔料及びバインダー樹脂からなる捺染剤を印刷した後、加熱して、乾燥・硬化させて、基材に固着させる方法である。
印刷方法には、版ホルダーに張設したスクリーン紗の図柄を連続的に印刷するシルクスクリーン法、又は、円筒状で金属製のスクリーン紗の図柄を連続的に印刷するロータリースクリーン法がある。これ等の印刷法に関するスクリーン印刷機としては、長尺物の材料に印刷するための長台式ハンドスクリーン印刷機、走行式又はベルトコンベアー式のオートスクリーン印刷機、ロータリースクリーン印刷機等がある。
一方、カット生地やTシャツ等の縫製品に印刷するための印刷機としては、刷台に材料を置きハンドスクリーンにて印刷するTシャツ捺染台、本体にスクリーン紗が張設されているスクリーン版と乾燥機からなるステージが、ターンテーブルの中心に対して放射状に、且つ、ターンテーブルの円周上に配置しているもので、パレット(刷台)を間欠的に回転、周回させることで、多色のスクリーン印刷ができる回転式(ターンテーブル型)の自動印刷機、また、本体にスクリーン紗が帳設されているスクリーン版と乾燥機、冷却機からなるステージが、楕円形に配置しているもので、パレット(刷台)を回転、周回させることで、多色のスクリーン印刷ができる楕円形の多面式スクリーン捺染機がある。
【0003】
顔料捺染法に関するものとしては、例えば、(イ)被印刷体としての発泡ポリウレタン樹脂に印刷すべく、該被印刷体面に下地塗り剤としての軟質ポリウレタン樹脂塗料を塗布量25〜100g/m の厚さに塗布して下地被膜を形成したのち、自然乾燥するか加熱して固化乾燥し、多色刷りする文字、図柄の着色数に対応する一個以上のスクリーン印刷版には下側に前記下地被膜を有する被印刷体を配膳したのち、それぞれ対応する色に着色したプラスチゾルインキを刷込んで順次自然乾燥するか加熱固化乾燥した発泡ポリウレタン樹脂への印刷方法(特許文献1)、(ロ)染色加工された布帛の表面に、顔料、バインダー樹脂、金属粉及び/又はガラスビーズを主成分とする着色糊材をもって所望の文字、図柄を捺染したことを特徴とする光輝性模様を有する布帛(特許文献2)、(ハ)アンダーコート用インキを用いて基材(1)上に印刷された下地層(2)と、塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾルインキを用いて前記下地層上に重ね刷りしてなる中間層(3)と、発泡剤及び塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾルインキを用いて前記中間層上に重ね刷りしてなるオーバーコート層(4)からなるスウェード調表面を有する印刷物(特許文献3)、等がある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−337945号公報
【特許文献2】特開2004−84149号公報
【特許文献3】特開2006−82255号公報
【0005】
上記の例は、回転式多色スクリーン印刷機を使用するものではない。
回転式多色スクリーン印刷機は、塩化ビニル樹脂と可塑剤からなるプラスチゾルインキを、布帛等の基材に印刷するために用いるが、該インキは、布帛等の基材にスクリーン印刷後、例えば、遠赤外線乾燥機で遠赤外線を6〜10秒間照射するだけで半ゲル化し、加温された状態でも印刷表面にタックがないため、次のスクリーン版の印刷時に印刷表面が踏まれたとしても、その版の裏面にブロッキングすることがなく、連続して印刷することができる。
又、該プラスチゾルインキは、有色の生地上に印刷する場合、隠蔽層として図柄全体を白色プラスチゾルインキで印刷した後、遠赤外線乾燥機で照射乾燥して、その後ウエットオンウエット方式で着色インキを印刷することができる。
これは、プラスチゾルインキ中には可塑剤が多量に含まれており、該可塑剤が印刷表面にブリードし、次のスクリーン版の裏面へのブロッキングを抑制するからと考えられる。
又、このプラスチゾルインキは、常温では乾燥することなく、連続印刷中に目詰まりがないため、回転式多色スクリーン印刷機に適したインキであるとされている。
しかし、塩化ビニル樹脂と可塑剤からなるプラスチゾルインキは、環境上の問題が指摘されており、又、捺染物の品質においても、印刷部が重い、通気性がない、洗濯で可塑剤が溶出して硬化萎縮し、ヒビ割れするなどの欠点がある点に問題がある。
この環境問題に関し、昨今、アクリル系のプラスチゾルインキが開発されている(特許文献4)。
しかし、塩化ビニル樹脂をアクリル樹脂に置き換えただけのもので、可塑剤は依然含有しており、環境問題は解決しておらず、又、アクリル樹脂の可塑剤に対する膨潤性が高いため、インキの保存安定性が極めて悪いものである。又、捺染物の品質においても、塩化ビニルプラスチゾルインキの欠点である通気性がない、洗濯で可塑剤が溶出して、硬化萎縮し、ヒビ割れするなどの問題は解決していない。
【0006】
【特許文献4】特開平7−157622号公報
【0007】
以上のことから、環境問題も発生せず、回転式多色スクリーン印刷機の使用が可能である、優れた印刷特性を有する水性捺染組成物の開発が待たれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、環境問題も発生せず、回転式多色スクリーン印刷機の使用が可能である、優れた印刷特性を有する水性捺染組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意研究をしたところ、水性捺染組成物のバインダー樹脂として、特定の樹脂を使用すると、印刷表面のタックが防止されて、次のスクリーン版の裏にブロッキングが生起しないので、連続印刷が可能となるため、回転式多色スクリーン印刷機用の水性捺染組成物が得られることを知り、更に研究を重ねた結果、遂に本発明を完成した。
【0010】
本発明は、以下の発明から構成されるものである。
1.バインダー樹脂として、タック防止成分である、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなる群の一種又は二種以上の樹脂を使用することを特徴とする回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物。
2.飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂が、ガラス転移点(Tg)が−40〜30℃のものである上記1記載の回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物。
3.回転式多色スクリーン印刷機を用いて、白色下地用水性捺染組成物の印刷を行った後、タック防止用水性捺染組成物の印刷を行い、次いで、着色用水性捺染組成物の印刷を行う、連続捺染方法において、タック防止用水性捺染組成物として、上記1又は2記載の捺染組成物を用いることを特徴とする連続捺染方法。
4.白色下地用水性捺染組成物、タック防止用水性捺染組成物、又は着色用水性捺染組成物が、水揮発抑制成分である、水より高沸点の親水性溶剤及び/又は尿素を含有するものである上記3記載の連続捺染方法。
5.水より高沸点の親水性溶剤が、多価アルコールである上記4記載の連続捺染方法。
6.タック防止用水性捺染組成物が、表面着色力向上成分である、無機多孔質を含有するものである上記1又は2記載の回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物又は請求項3、4又は5記載の連続捺染方法。
7.着色用水性捺染組成物が、スクリーン版裏付着防止成分であるオイル、及び曇点30〜90℃の非イオン性界面活性剤を含有するものである上記3、4又は5記載の連続捺染方法。
8.上記3、4、5、6又は7記載の連続捺染方法で製造した布帛又は衣料品。
【0011】
本発明は、以下の知見に基づいて、なされたものである。
(1)連続捺染の問題点
従来、有色の生地上に、着色用捺染組成物を印刷する場合、先ず、白色捺染組成物を印刷して、隠蔽層を形成した後、該隠蔽層上に、着色用捺染組成物を印刷している。
上記の印刷を連続印刷する場合、従来の塩化ビニルプラスチゾルに代え、環境に優しい、非塩化ビニル樹脂バインダーを用いた水性捺染剤の採用も考えられるが、水性捺染剤を用いて、連続印刷した場合、下記の問題が発生するため、回転式多色スクリー印刷機による連続は不可能であった。
(問題点1)
回転式多色スクリーン印刷機による連続印刷中では、必然的にパレットとスクリーン版が昇温し、水性捺染組成物の水分が蒸発して、スクリーン版が目詰まりするため、連続印刷は不可能であった。
(問題点2)
印刷後、遠赤外線乾燥機で遠赤外線を6〜10秒間照射するだけでは乾燥が不十分であり、乾燥したとしても、印刷表面が加温されているためにタックがあり、次のスクリーン版の印刷時に印刷表面が踏まれると版の裏面に貼り付く(ブロッキング)。
従って、回転式多色スクリーン印刷機を使用する場合、楕円形の多面式スクリーン捺染機のように、印刷面の冷却ができないために、遠赤外線乾燥機で照射乾燥された印刷面は、照射直後に80〜100℃程度の高温となり、次のスクリーン版に移動した時点での表面温度は60℃程度を呈しており、従来のアクリル樹脂エマルジョンからなるバインダー樹脂では、この温度により印刷表面にタックが形成し、次のスクリーン版の裏に印刷面がブロッキングという現象が発生するため、回転式多色スクリーン印刷機での連続印刷は不可能であった。
(問題点3)
回転式多色スクリーン印刷機は、楕円形の多面式スクリーン捺染機と異なりステージ数が少なく、色数だけの遠赤外線乾燥機と冷却箇所を設けることができないため、多色印刷するためには、着色用捺染組成物は、ウエットオンウエット方式で印刷しなければならない。
しかし、回転式多色スクリーン印刷機で、従来の着色用捺染組成物を用いて連続印刷すると、次色のスクリーン版の裏と印刷面が接触する時に、印刷面の捺染組成物の成分がスクリーン版に付着する型踏みが起こり、該版裏に付着した印刷面の成分が積み重なるため、印刷表面にイラつきが生ずる。
その結果、回転式多色スクリーン印刷機を用いて、ウエットオンウエット方式で、有色の生地上に連続印刷することができなかった。
【0012】
従って、水性捺染剤を用いた印刷は、長台スクリーン台やTシャツプリント台によるハンドスクリーン捺染や30面以上のステージが設置された楕円形の多面式スクリーン捺染機により印刷を行うことが必要になる。
しかし、ハンドスクリーン捺染では、1色印刷するごとにドライヤーや扇風機を用いて完全乾燥した後、次のインキを印刷することから、ブロッキングや型踏みは生じず捺染することができるが、全て手作業であり、一定の捺染物が得られない、極めて非効率な捺染方法である。
また、楕円形の多面式スクリーン捺染機では、印刷の後、遠赤外線乾燥機を2ステージ分照射し、その後、次のスクリーン版の裏面へのブロッキングを回避するための冷却箇所を2ステージ分設けたのち、次のインキの印刷を行うことで多色の印刷を行うことが必要になる。
しかし、このような捺染方式は、ステージ数が多いため実施することができる方法であり、例えば、6色の印刷を行うには、生地の出し入れを含めると32ステージが必要となり、極めて非効率で且つ広い設置場所を必要とする。
又、この捺染方式であっても、連続印刷中に水性捺染組成物の水分が蒸発し、スクリーン版が目詰まりしたり、該組成物が増粘したりする欠点は、回避することはできなかった。
【0013】
(2)解決法
上記の問題は、以下の方法により、解決することが分かった。
(解決法1)スクリーン版の目詰まり
水性捺染組成物中に特定の親水性溶剤と湿潤剤、即ち、水より高沸点の親水性溶剤や尿素を配合すると、意外にも、非塩化ビニル系樹脂を用いたにもかかわらず、該捺染組成物からの水の揮発が抑制されて、捺染組成物が増粘せず、スクリーン版の目詰まりが生起しない。
その結果、連続印刷が可能となる。
(解決法2)タック、ブロッキング
水性捺染組成物のバインダー樹脂として、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂を用いることにより解決することが分かった。
即ち、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂を用いると、印刷後の遠赤外線乾燥機での照射乾燥による熱や余熱の蓄積により生じる印刷面のタックをなくし、次のスクリーン版の裏にブロッキングが起こらない連続印刷が可能となる。
これは、本発明で用いる、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂は、結晶性が高いので、加熱軟化した後であっても、直ぐに結晶化するため、タックが形成しても、このものは、加熱後数秒以内に消失するためと推察される。
その結果、連続印刷が可能となる。
(解決法3)着色水性捺染組成物のスクリーン版裏への付着
着色水性捺染組成物中にオイルを配合すると、印刷後の遠赤外線乾燥機での照射乾燥による熱により、印刷直後に印刷表面にオイルがブリードして、次の色のスクリーン版の裏に捺染組成物の成分が付着することがない。
更に、曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤からなる乳化剤により、オイルを乳化すると、より短時間で、印刷直後の印刷表面にオイルがブリードする。
その結果、ウエットオンウエット方式での連続印刷が可能となる。
【0014】
(3)作用効果
1)水性捺染組成物(白色下地用、タック防止用、着色用)は、水揮発抑制剤として、水よりも高沸点の親水性溶剤、尿素を含有するので、連続印刷中に、増粘せず、目詰まり等が生起しない。
2)タック防止用捺染組成物のバインダー樹脂として用いた、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂は、タック防止作用を有するとともに、抗ブロッキング性を有するので、タックが防止され、印刷後の乾燥、加熱時に、スクリーン版裏にブロッキングが形成されない。
3)着色用捺染組成物は、スクリーン版裏付着防止成分であるオイル、及び曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤を含有するため、ウエットオンウエット印刷が可能である。
4)タック防止用捺染層の下層に、白色下地用捺染層を設けることにより、伸縮性や隠蔽性等が向上する。
5)被印刷物が、塩化ビニル樹脂やフタル酸系可塑剤を含有していないので、環境問題を生じず、通気性がよく、軽量で洗濯堅牢性に優れた製品が得られる。
6)以上のように、本発明の水性捺染組成物は、優れた印刷特性を有するので、回転式多色スクリーン印刷機の採用が可能となり、優れた一定の品質の製品を効率良く製造することができる。
【0015】
以上、本発明が優れた印刷特性を奏する理由は、以下の点にある。
(1)水性捺染組成物が、水揮発抑制成分として、水よりも高沸点の親水性溶剤、尿素を用いた点。
(2)タック防止用水性捺染組成物が、バインダー樹脂として、タック防止作用と抗ブロッキング特性を有する飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂を用いた点。
(3)着色用水性捺染組成物が、スクリーン版裏の付着防止成分として、オイル及び曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤を用いた点。
【0016】
以下、本発明の(A)水性捺染組成物、(B)印刷法、(C)製品等について、説明する。
(A)水性捺染組成物
本発明の水性捺染組成物は、回転式多色スクリーン印刷機用のものであって、その成分としては、以下の(1)〜(10)等があり、該組成物の積層は、(1)白色下地用水性捺染組成物、(2)タック防止用水性捺染組成物、(3)着色用水性捺染組成物を用いて行われ、該組成物の積層は、通常、下層(白色下地用)、中層(タック防止用)、上層(着色用)の3層であるが、タック防止用が隠蔽層を兼ねる場合(白色顔料含有)や、基材(生地)が無色(淡色)の場合には、下層(タック防止用)、上層(着色用)の2層でもよい。
【0017】
以下、本水性捺染組成物の成分と積層について、説明する。
<成分>
(1)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、伸縮性、堅牢性、タック防止性等を付与するためのものであって、非塩化ビニル系樹脂である、アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂が使用されるが、該樹脂は、使用目的に応じて、以下のように選択される。
白色下地用:アクリル樹脂、ウレタン樹脂
タック防止用:飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂
着色用:アクリル樹脂、ウレタン樹脂
尚、各上記の樹脂は併用して用いることができ、又、各上記の樹脂としての機能を失わない範囲で、上記以外の樹脂を配合することもできる。
又、各上記の樹脂としての機能を失わない範囲で、上記或いは上記以外の樹脂を共重合や共縮合したものを用いることもできる。
【0018】
(2)水よりも高沸点の親水性溶剤
本発明の水よりも高沸点の親水性溶剤は、水揮発抑制特性を有しており、本発明の水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するために使用するものであって、本発明の重要成分である。
即ち、本親水性溶剤の水揮発抑制作用により、水性捺染組成物の増粘が抑制されて、スクリーン版の目詰まりが防止される結果、印刷特性が向上して、連続印刷が可能となるので、大変重要な成分である。
本親水性溶剤の水揮発抑制作用は、下記の尿素と併用することにより、一層向上する点に特徴がある。
本親水性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、又はジエチレングリコール等の多価アルコールを用いるのがよい。
上記の親水性溶剤以外に、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等を親水性溶剤として併用することができる。
親水性溶剤の配合量は5〜25重量%がよく、好適には10〜20重量%である。この配合量より少ない場合には、連続印刷中に目詰まりを起こし、多い場合には、被印刷物の洗濯堅牢性を低下させる。
【0019】
(3)尿素
本発明の尿素は、水揮発抑制作用を有しており、本発明の水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するために使用するものであって、本発明の重要成分である。
即ち、本尿素の水揮発抑制作用により、水性捺染組成物の増粘が抑制されて、スクリーン版の目詰まりが防止される結果、印刷特性が向上して、連続印刷が可能となるので、大変重要な成分である。
本尿素の水揮発抑制作用は、上記の親水性溶剤と併用することにより、一層向上する点に特徴がある。
尿素とともに、ヒアルロン酸、ショ糖等も併用することできる。
尿素の配合量は、1〜10重量%がよく、好適には3〜8重量%である。この配合量より少ない場合には、連続印刷中に目詰まりを起こし、多い場合には、被印刷物の洗濯堅牢性を低下させ、又、捺染物表面に尿素が析出する。
【0020】
(4)白色顔料
本白色顔料は、布帛等の基材の色を隠蔽するために使用するものであって、白色下地用捺染組成物やタック防止用捺染組成物等に配合するものである。
白色顔料としては、酸化チタンを主顔料として、沈降性硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミニウムシリケート、酸化ケイ素等を併用して、使用することができる。
【0021】
(5)着色顔料
本発明の着色顔料は、布帛の着色(模様)用の着色剤として、着色用捺染組成物に配合するものである。
本着色顔料としては、印刷用として通常用いられている顔料であれば特に限定されるものでなく、例えば、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロール系、クロモフタル系、フタロシアニン系、インダンスレン系、ジオキサジン系等の有機顔料、又は、カーボンブラック、群青、紺青、酸化チタンなどの無機顔料等を用いることができ、その他にアルミニウムシリケート、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカなどの体質顔料、蓄光顔料、パール顔料、感温変色性顔料、感光変色性顔料なども用いることができる。
【0022】
(6)無機多孔質
本無機多孔質は、表面着色力向上作用を有しており、タック防止用水性捺染組成物に配合すると、該組成物の表面積を大きくして、その上に積層される着色用水性捺染組成物中の着色顔料の特性を向上させて、より高濃度で鮮明な印刷物を得るために配合するものである。
無機多孔質としては、例えば、酸化珪素、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト等を用いることができるが、必ずしも、これ等に限定されるものではなく、多孔質物質であれば何れも用いることができる。
【0023】
(7)オイル
本オイルは、着色用水性捺染組成物に用いられるものであって、印刷直後に印刷表面にブリードして、次の色のスクリーン版裏に印刷面の成分が付着するのを防止する作用を有するので、ウエットオンウエット方式の印刷を可能にする特性を有する、重要な成分である。
オイルとしては、例えば、ターペン、シリコンオイル、鉱物油、植物油等を用いることができる。
【0024】
(8)曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤
本発明の曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤は、着色用水性捺染組成物に用いられるものであって、印刷直後に、より短時間で、オイルを、印刷表面にブリードさせる機能を有する、重要な成分である。
【0025】
(9)硬化剤
本硬化剤は、被印刷物の洗濯堅牢性を向上させるために、配合するものである。
硬化剤としては、例えば、メチロール化メラミン、メチル化メチロールメラミン、オキソザリン系、エチレンイミン系、エポキシ系、エチレン尿素系、イソシアネート系、ブロックイソシアネート系、シランカップリング剤等を用いることができるが、必ずしもこれ等に限定されるものでなく、洗濯堅牢性を向上させるものであれば、何れのものも用いることができる。
【0026】
(10)その他の添加剤
その他の添加剤として、例えば、乳化剤、分散剤、増粘剤、水溶性糊料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、蛍光染料、体質顔料、熱膨張性発泡カプセル、ワックス、エステル化合物、オイル等の添加剤を、適宜配合することができる。
【0027】
<積層>
積層は、通常、下層(白色下地用水性捺染組成物)、中層(タック防止用水性捺染組成物)、上層(着色用水性捺染組成物)の3層であるが、タック防止用が隠蔽層を兼ねる場合(白色顔料含有)や、基材(生地)が無色(淡色)の場合には、下層(タック防止用水性捺染組成物)、上層(着色用水性捺染組成物)の2層でもよい。
【0028】
以下、(1)白色下地用水性捺染組成物、(2)タック防止用水性捺染組成物、(3)着色用水性捺染組成物について、説明する。
(1)白色下地用水性捺染組成物
本発明の白色下地用水性捺染組成物は、基材の色を隠蔽するために使用されるものである。
本白色下地用水性捺染組成物は、前記<成分>の内、(1)アクリル樹脂、又はウレタン樹脂からなるバインダー樹脂、(2)水よりも高沸点の親水性溶剤、(3)尿素、(4)白色顔料を主要成分とし、必要により、(9)硬化剤、(10)その他の添加剤等を適宜配合することができる。
本発明の白色下地用捺染組成物は、上記の(2)親水性溶剤と(3)尿素を含有させることにより、回転式多色スクリーン印刷機での印刷においても、目詰まりなく、伸縮性と隠蔽性を持つ連続印刷が可能である。
白色下地用水性捺染組成物は、有色の生地上に隠蔽層として印刷するものであるが、更に隠蔽性を持たせるために、該白色水性捺染組成物を2〜3回積層して印刷する方法も採用し得る。
【0029】
以下、上記の捺染組成物の成分の(1)バインダー樹脂、(2)水よりも高沸点の親水性溶剤、(3)尿素、(4)白色顔料、(9)硬化剤、(10)その他の添加剤について、説明する。
<バインダー樹脂>
本バインダー樹脂としては、アクリル樹脂、又はウレタン樹脂が使用し得る。
本樹脂としては、伸縮性のある、ガラス転移点(Tg)が−40〜0℃の範囲にあるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びこれらの混合物が挙げられ、好適には−35〜−20℃のTg点を示すものがよい。Tg点が−40℃未満のものは、被印刷物に粘着が残り、洗濯堅牢性にも劣り、又、Tg点が0℃を超えるものは、被印刷物の風合いが硬くなるので、好ましくない。
本バインダー樹脂は、捺染組成物中に10〜40重量%の範囲で配合されたものが好ましく、10重量%未満であれば洗濯堅牢性に劣り、40重量%を超えれば印刷の作業性が悪化するため好ましくない。
<水よりも高沸点の親水性溶剤>
本親水性溶剤は、以下の尿素とあいまって、本発明の水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するため、捺染組成物の増粘が防止されて、スクリーン版の目詰まりが発生しないので、印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるという、大変重要な成分である。
<尿素>
本尿素は、前述したように、上記の親水性溶剤とあいまって、水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するため、スクリーン版の目詰まりや捺染組成物の増粘が防止されて印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるという、大変重要な成分である。
尿素としては、前記<成分>の(3)尿素を使用すればよい。
<硬化剤>
被印刷物の洗濯堅牢性を向上させるために、硬化剤を配合することができる。
硬化剤としては、前記<成分>の(9)の硬化剤を使用すればよい。
<その他の添加剤>
その他の添加剤として、前記<成分>の(10)その他の添加剤を、適宜配合することができる。
【0030】
(2)タック防止用水性捺染組成物
本発明のタック防止用水性捺染組成物は、回転式多色印刷機のような、加熱乾燥を伴う連続印刷を行う場合に、印刷表面に発生するタックを防止するために使用するものであり、本発明においては、必須の捺染組成物である。
本タック防止用水性捺染組成物は、バインダー樹脂として、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなるものを使用する点に特徴を有するものである。
本タック防止用水性捺染組成物で、バインダー樹脂として用いた飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂のタック防止作用により、印刷後の遠赤外線乾燥機での照射乾燥による熱や余熱の蓄積により生じる印刷面のタックが消滅し、次のスクリーン版裏にブロッキングが起こらないため、連続印刷が可能となる。
以上のように、本タック防止用水性捺染組成物を用いると、その優れたタック防止性と抗ブロッキング性によって、回転式多色印刷機が使用可能となるので、該捺染組成物は、本発明の中核をなすものである。
これは、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂がタック防止性を有するのは、結晶性が高いので、加熱軟化した後であっても、直ぐに結晶化するため、タックが形成しても、このものは、加熱後数秒以内に消失するためと考えられる。
【0031】
本飽和ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールにより重合されたものであり、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。又、多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これ等の多価カルボン酸と多価アルコールを1種以上の複数組み合わせることにより、Tg点、硬度、耐水性、結晶性の異なる飽和ポリエステルを得ることができる。
又、一部にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂を共重合したものでもよい。
【0032】
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T等が挙げられ、これらの重縮合体又は共縮合物体であってもよい。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、軟化点が70℃以上の低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。
【0033】
ポリウレタン樹脂としては、ポリオール成分としてのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等と、イソシアネート成分としてのトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(水添物を含む)、ヘキサメチレンジイソシアネート(アダクト体、アロファナート、ビウレット、イソシアヌラート変性を含む)、イソフォロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の単量体、二量体、三量体との反応によって得られる。又、低分子ポリオール、アミン等により鎖長延長したものであっても良く、カルボキシ変性シリコン、ヒドロキシ変性シリコン、アクリル樹脂を共重合したものであっても良い。尚、これ等のポリウレタン樹脂は、耐光性の点からすると、無黄変型の脂肪族イソシアネートとの反応によって得られたウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
エチレンビニルエステル共重合樹脂としては、エチレン5〜90部とビニルエステル成分として酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等10〜95部を高圧重合により得られるものであり、これ等のエチレンとビニルエステルの組み合わせ、重合比率、及び重合度により、軟化点、硬度の異なるものを得ることができる。尚、エチレンビニルエステル共重合樹脂をフェノール変性或いはカルボキシ変性したものも用いることができ、一部を(メタ)アクリル樹脂を共重合することもできる。
【0035】
シリコン樹脂としては、例えば、有機クロロシランと有機アルコキシシランを加水分解縮合重合反応したもの、これらを加熱或いは触媒の存在下で三次元ネットワーク構造の熱硬化性としたもの、又は、環状シリコンの四量体または五量体を重縮合したもの等を用いることができ、その組み合わせ、重合度等により軟化点、硬度、耐水性の異なるものを得ることができる。
【0036】
アクリルシリコン共重合樹脂としては、例えば、アクリル成分としての(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウム等と上記シリコン樹脂を重縮合し共重合したものを用いることができる。又、これ等に、官能基としてのアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸を共重合することもできる。これ等の共重合物は、その組み合わせ、重合度等により軟化点、硬度、耐水性の異なるものを得ることができる。
【0037】
尚、本発明の樹脂エマルジョン(ディスパージョン)は、必ずしも、前記に限定するものではなく、それ以外のものであっても、本発明の目的とする物性が得られるものであれば、何れのエマルジョン(ディスパージョン)も用いることができる。
そして、樹脂の乳化に際し、界面活性剤を用いて乳化してもよく、又、樹脂分子中に親水性の官能基を共重合することで自己乳化させ、界面活性剤を用いないエマルジョン(ディスパージョン)としてもよい。
又、溶液中で重合した後、水中に投入して溶剤を除去してもよく、ペレットを冷凍粉砕し水分散したエマルジョン(ディスパージョン)としてもよい。
更に、パウダー状の樹脂を他のエマルジョン樹脂(例えば、アクリル樹脂等)に配合することで、タック防止成分の樹脂として用いることもできる。
【0038】
飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂としては、ガラス転移点(Tg)が−40〜30℃の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは−30〜−20℃の範囲のものがよい。Tg点が−40℃未満のものは、被印刷物に粘着が残り、洗濯堅牢性にも劣り、又、Tg点が30℃を超えるのものは、被印刷物の風合いが硬くなり、好ましくない。
飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなるバインダー樹脂は、捺染組成物中に5〜35重量%配合するのがよい。5重量%未満であればタック防止としての効果に劣り、35重量%を超えれば印刷の作業性が悪化するため、好ましくない。
【0039】
なお、タック防止用水性捺染組成物に白色顔料を配合して、これを2〜3回積層して印刷することも可能であり、その場合の 白色顔料としては、前記<成分>の(4)白色顔料を使用すればよい。
白色下地用水性捺染組成物を下層に積層する場合には、隠蔽性は、この白色下地用水性捺染組成物により得られるために、タック防止用水性捺染組成物は、白色顔料を配合せず、無色の捺染組成物として用いることもできる。
又、基材(生地)が無色或いは淡色である場合には、隠蔽性は必要ないので、無色のタック防止用水性捺染組成物として用いることもできる。
更に、より伸縮性を必要とするためには、先ず、アクリル樹脂又は/及びウレタン樹脂からなる伸縮性に優れた白色下地用水性捺染組成物を1〜2回印刷して、その後、遠赤外線乾燥機で照射乾燥した後、前版と同じデザインのスクリーン版を用いて、タック防止用水性捺染組成物を積層することにより、より伸縮性に富む印刷物を得ることが可能となる。
【0040】
そして、本タック防止用水性捺染組成物は、前記<成分>の内、上記の(1)飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなるバインダー樹脂の外に、(2)水よりも高沸点の親水性溶剤及び/又は(3)尿素からなる成分を主要成分とし、必要により、(4)白色顔料、(6)無機多孔質、(9)硬化剤、(10)その他の添加剤等を配合することにより、より一層優れた印刷特性を有するものとなる。
本発明のタック防止用水性捺染組成物は、水揮発抑制特性を有する、水よりも高沸点の親水性溶剤及び/又は尿素を含有させたときには、回転式色スクリーン印刷機等での連続印刷においても、目詰まりなく、伸縮性や隠蔽性を持つ連続印刷が可能である点は、上記(1)白色下地用水性捺染組成物と同様である。
【0041】
以下、上記のバインダー樹脂成分以外の成分である、上記の(2)水よりも高沸点の親水性溶剤、(3)尿素、(4)白色顔料、(6)無機多孔質、(9)硬化剤、(10)その他の添加剤の各成分について、説明する。
<水よりも高沸点の親水性溶剤>
本親水性溶剤は、以下の尿素とあいまって、本発明の水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するため、スクリーン版の目詰まりや捺染組成物の増粘が防止されて、印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるという、大変重要な成分である。
水よりも高沸点の親水性溶剤としては、前記<成分>の(2)水よりも高沸点の親水性溶剤を使用すればよい。
<尿素>
本尿素は、上記の親水性溶剤とあいまって、水性捺染剤からの水の揮発を抑制するため、スクリーン版の目詰まりや捺染組成物の増粘が防止されて印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるという、大変重要な成分である。
尿素としては、前記<成分>の(3)尿素を使用すればよい。
<白色顔料>
タック防止用水性捺染組成物は、隠蔽層を形成させるために白色顔料を配合し、白色の捺染組成物として使用し得る。
白色顔料としては、前記<成分>の(4)白色顔料を使用すればよい。
<無機多孔質>
本無機多孔質は、表面着色力向上作用を有しており、タック防止用水性捺染組成物に配合すると、該組成物の表面積を大きくして、その上に積層される着色用水性捺染組成物中の着色顔料の特性を向上させて、より高濃度で鮮明な印刷物を得るために配合するものである。
無機多孔質としては、前記<成分>の(6)無機多孔質を使用すればよい。
<硬化剤>
被印刷物の洗濯堅牢性を向上させるために、硬化剤を配合することができる。
硬化剤としては、前記<成分>の(9)硬化剤を使用すればよい。
<その他の添加剤>
その他の添加剤として、前記<成分>の(10)のその他の添加剤を適宜配合することができる。
【0042】
(3)着色用水性捺染組成物
本発明の着色用水性捺染組成物は、布帛等の基材に、着色(模様)を連続印刷するために、使用するものでる。
本着色用水性捺染組成物は、前記の<成分>の内、(1)アクリル樹脂、ウレタン樹脂からなるバインダー樹脂、(2)水よりも高沸点の親水性溶剤、(3)尿素、(5)着色顔料、(7)オイル、(8)曇点30〜90℃の非イオン性界面活性剤を主要成分とし、必要により、(9)硬化剤、(10)その他の添加剤等も配合することができる。
即ち、本着色用水性捺染組成物は、オイルを含有するので、ウエットオンウエット方式の印刷が可能となる、更に、乳化剤として、曇点30〜90℃の非イオン界面活性剤を含有することで、より優れたウエットオンウエット方式の印刷が可能となり、また、水揮発抑制特性を有する、水よりも高沸点の親水性溶剤及び/又は尿素を含有するため、目詰まりがなくなる。
その結果、本捺染組成物を使用すれば、回転式多色スクリーン印刷機等による連続多色印刷が可能となる。
【0043】
以下、上記(1)、(2)、(3)、(5)、(7)、(8)、(9)、(10)の各成分について、説明する。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、堅牢性を持たせるために、使用されるが、該樹脂としては、ガラス転移点(Tg)が−40〜0℃の範囲にあるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びこれ等の混合物が挙げられ、好適には−35〜−10℃のTg点を示すものがよい。Tg点が−40℃未満のものは被印刷物に粘着が残り、洗濯堅牢性にも劣り、又、Tg点が0℃を超えるものは被印刷物の風合いが硬くなり好ましくない。
バインダー樹脂は、捺染組成物中に5〜40重量%の範囲で配合されたものが、伸縮性、風合い、洗濯堅牢性の点から好ましく、5重量%未満であれば洗濯堅牢性に劣り、40重量%を超えれば印刷の作業性が悪化するため好ましくない。
<水よりも高沸点の親水性溶剤>
本親水性溶剤は、以下の尿素とあいまって、本発明の水性捺染組成物からの水の揮発を抑制するため、スクリーン版の目詰まりや捺染組成物の増粘が防止されて、印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるので、本着色用捺染組成物では、主要成分である。
水よりも高沸点の親水性溶剤としては、前記<成分>の(2)水よりも高沸点の親水性溶剤を使用すればよい。
<尿素>
尿素は、前述したように、上記の親水性溶剤とあいまって、水性捺染剤からの水の揮発を抑制するため、スクリーン版の目詰まりや捺染組成物の増粘が防止されて印刷特性が向上する結果、連続印刷が可能となるので、本着色用捺染組成物では、主要成分である。
尿素としては、前記<成分>の(3)尿素を使用すればよい。
<着色顔料>
本発明の着色顔料は、着色印刷用として使用するものであって、本着色用捺染組成物では、主要成分である。
本着色顔料としては、通常用いられている顔料であれば特に限定されるものでなく、例えば、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロール系、クロモフタル系、フタロシアニン系、インダンスレン系、ジオキサジン系等の有機顔料、又は、カーボンブラック、群青、紺青、酸化チタンなどの無機顔料等を用いることができ、その他にアルミニウムシリケート、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカなどの体質顔料、蓄光顔料、パール顔料、感温変色性顔料、感光変色性顔料なども用いることができる。
<オイル>
本オイルは、印刷直後に印刷表面にブリードして、次の色のスクリーン版の裏に印刷面のバインダーが付着するのを防止する作用を有するので、ウエットオンウエット方式の印刷を可能にするために使用するものであり、本着色用捺染組成物では、主要成分である。
本オイルとしては、例えば、シリコンオイル、鉱物オイル、植物オイル、ターペン等を用いることができる。
オイルの配合量は5〜50重量%がよく、好適には10〜35重量%である。配合量が5重量%未満であれば、スクリーン版の裏に印刷面のバインダーが付着することを防止できず、配合量が50重量%を超えれば、乳化が不安定になる、乾燥工程での火災の危険性、被印刷物の洗濯堅牢度が悪くなる等の問題があり、好ましくない。
<曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤>
本発明の曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤は、印刷直後に、より短時間でオイルを印刷表面にブリードさせる目的で使用するものである。
即ち、オイルの乳化に用いる非イオン性界面活性剤は、その曇点以上の温度に乳化物が晒された場合には、乳化が不安定となり、印刷表面にオイルが短時間でブリードされるという問題が発生する。このため、曇点は、円形多色スクリーン印刷機の遠赤外線乾燥機の照射乾燥による熱や余熱の蓄積によりもたらされる温度を鑑みて、設定される。
非イオン性界面活性剤の曇点が30℃未満であれば、常温下でのバインダーの乳化が不安定となり、保存時にオイルが分離し保存安定性に欠け、又、印刷工程前にオイルが分離しているため好ましくない。曇点が90℃を超えれば、乾燥機の熱や余熱による温度が曇点を超えないため乳化が不安定とならず、より短時間でオイルを印刷表面にブリードされるという目的を達することができない。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられるが、必ずしもこれ等に限定されるものではなく、通常の非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤を併用することも可能である。
<硬化剤>
被印刷物の洗濯堅牢性を向上させるために、硬化剤を配合することができる。
硬化剤としては、前記<成分>の(9)硬化剤を使用すればよい。
<その他の添加剤>
その他の添加剤として、前記<成分>の(10)その他の添加剤を適宜配合することができる。
【0044】
(B)印刷法
1)捺染方法
捺染は、水性捺染組成物として、前述した、白色下地用水性捺染組成物、タック用水性捺染組成物、着色用水性捺染組成物等を用いて、回転式多色スクリーン印刷機により、連続印刷する方法で行うことができる。
例えば、回転式多色スクリーン印刷機を用いて、基材(布帛)上に、(a)白色下地用の水性連続捺染組成物の印刷(0〜2回)、(b)タック防止用水性捺染組成物を印刷(1〜数回)、(c)着色用水性捺染組成物の印刷(1〜数回)の順で、連続印刷する方法で実施することができる。
【0045】
2)後処理
<乾燥>
本発明により印刷された被印刷物は、印刷機から取出した直後は半乾燥状態にあるため、乾燥工程を行う。通常は、被印刷物をベルトコンベアー上に載せ、100〜200℃の熱風が発生するトンネル状の炉中に自動的搬送するトンネル乾燥機を用いて1〜3分間程度乾燥させる。
尚、乾燥設備については、トンネル乾燥機以外にも、バッチ式の乾燥設備などを用いてもよく、又、自然乾燥させてもよい。
<熱処理>
上記で乾燥させた被印刷物は、120〜150℃で3〜5分間熱処理することにより、堅牢性を向上させることができる。
熱処理装置としては、トンネル乾燥機に1〜3回通すことで処理できるが、他のバッチ式乾燥機等を用いて熱処理することもできる。
【0046】
3)印刷装置
本発明の水性連続捺染組成物は連続印刷に適するので、印刷は、回転式多色スクリーン印刷機を用いて行うのがよい。
回転式多色スクリーン印刷機は、本体に、スクリーン紗が張設されているスクリーン版と乾燥機からなるステージが、ターンテーブルの中心に対して放射状に、且つ、ターンテーブルの円周上に配置されているもので、パレット(刷台)を間欠的に回転・周回させることで、多色のスクリーン印刷ができる回転式(ターンテーブル型)の自動印刷機である。
回転式多色スクリーン印刷機は、全8〜20ステージの内、被印刷物の載置と取出を行う空きステージ(スクリーン版や乾燥機が設置されていない)が各1面、遠赤外線乾燥機が1〜5ステージ、残りのステージがスクリーン版で構成される。
刷台の上面は粘着性を持ち、生地が捺染工程で脱落しないようになっている。生地の載置及び取出は、通常、回転式多色スクリーン印刷機の間欠に合わせて、手作業によって行われる。
回転式多色スクリーン印刷機としては、例えば、MHM社のシンクロプリント、M&R社のチャレンジャー、TASインターナショナル社のホークコンパクト等が挙げられるが、必ずしも列挙した印刷機に限定されるわけではなく、同様の捺染工程が行える機械であれば、何れのものも使用することができる。
尚、上記以外の印刷装置としては、楕円形の多面式スクリーン捺染機の冷却機や乾燥機の一部を停止又は取り外すことにより、回転式多色スクリーン印刷機と同等な印刷装置とみなすことができ、本発明の水性捺染組成物を用いることで、従来の楕円形の多面式スクリーン捺染機における捺染方法と比べ、工程の削減、省力化、効率化を図ることができる。
従って、この様な連続捺染方法を行う場合にあっては、本発明の範囲に含まれる。
【0047】
(C)製品
本製品は、衣料品又は布帛上に、前記の捺染方法等により、白色下地用水性捺染組成物、タック用水性捺染組成物、着色用水性捺染組成物等を用いて、回転式多色スクリーン印刷機により、連続印刷する方法で製造することができる。
生地布帛としては、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、綿、絹、毛等の天然繊維、及びこれらの混合繊維、織物、不織布等が挙げられる。
又、衣料品としては、Tシャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、スウエットスーツ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0048】
(1)水性連続捺染組成物(白色下地用、タック防止用、着色用)は、水揮発防止成分である、水よりも高沸点の親水性溶剤及び/又は尿素を有するので、その抗増粘特性によって、連続印刷中に、乾燥等による目詰まりが生起しない。
(2)タック防止用捺染組成物のバインダー樹脂として用いた、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂のタック防止性と抗ブロッキング性によって、タックが防止され、印刷後の乾燥、加熱後のスクリーン版裏にブロッキングが形成されない。
(3)着色用捺染組成物は、スクリーン版裏付着防止成分であるオイル、及び曇点が30〜90℃の非イオン性界面活性剤を含有するので、ウエットオンウエット印刷が可能となる。
(4)タック防止用捺染層の下層に、隠蔽剤として、白色下地用捺染層を設けることにより、隠蔽性や伸縮性等が向上する。
(5)捺染組成物として、非塩化ビニル樹脂系であり、フタル酸系可塑剤を含有しない水性捺染組成物を使用したものであるから、環境問題がなく、被印刷物である本製品は、通気性がよく、軽量で洗濯堅牢性に優れている。
(6)以上のように、本発明の水性捺染組成物は、優れた印刷特性を有するので、回転式多色スクリーン印刷機の採用が可能となり、優れた品質の製品を効率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ等に限定されない。
以下の実施例等において「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り、「重量部」、「重量%」を意味する。
【0050】
(実施例1)
<白色下地用水性捺染組成物の調整>
Tg点−30℃のアクリル樹脂60%エマルジョン(ニカゾールFX−138Y:日本カーバイド工業(株)製)45部、プロピレングリコール10部、尿素4部、酸化チタン(チタンR−630:石原産業(株)製)30部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)0.5部、アンモニア水0.5部、増粘剤(ボンコートV:大日本インキ化学工業(株)製)3部、水6部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色下地用水性捺染組成物102部を得た。
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点−26℃の飽和ポリエステル樹脂25%エマルジョン(KZT−0507:ユニチカ(株)製)40部、エチレングリコール15部、尿素4部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、酸化チタン(チタンR−630:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2.5部、水14.2部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<着色用水性捺染組成物の調整>
Tg点−20℃のアクリル樹脂40%エマルジョン(ビニゾールEP−6020:大同化成工業(株)製)30部、エチレングリコール10部、尿素3部、ターペン23部、シリコンオイル(シリコンSH200:東レダウコーニング(株)製)2部、曇点40℃の非イオン性界面活性剤(エマルゲン108:花王(株)製)3部、水19部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部、赤色顔料分散液(マツミンネオカラーレッドMFB:(株)松井色素化学工業所製)8部を混合し、均質な赤色着色用水性捺染組成物100部を得た。
又、上記の赤色顔料分散液(マツミンネオカラーレッドMFB)に代えて、黄色顔料分散液(マツミンネオカラーゴールドイエローMFR:(株)松井色素化学工業所製)、青色顔料分散液(マツミンネオカラーブルーMB:(株)松井色素化学工業所製)、黒色顔料分散液(マツミンネオカラーブラックMK:(株)松井色素化学工業所製)をそれぞれ用いる以外は、上記の赤色着色用水性捺染組成物の調整と同様にして、黄色、青色、黒色の3色の着色用水性捺染組成物を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
回転式多色スクリーン印刷機(16ステージ:M&R社製)の第1面から第16面の下記工程を周回させることで連続的に多色のスクリーン印刷を行った。
印刷の開始前に遠赤外線乾燥機のみを稼動させ各パレットの温度を50〜60℃に加温しておく。
第1面:予め粘着剤を塗布したパレットに紺色Tシャツを載置する。
第2面:白色下地用水性捺染組成物を80メッシュスクリーン版にてA、B、C、D、Eの図柄を印刷する。
第3面:遠赤外線乾燥機により白色下地用水性捺染組成物を乾燥する。
第4面:タック防止用水性捺染組成物を、第2面と同じデザインの80メッシュスクリーン版にてA、B、C、D、Eの図柄に重ねて印刷する。
第5面:遠赤外線乾燥機によりタック防止用水性捺染組成物を乾燥する。
第6〜第9面:着色用水性捺染組成物を120メッシュのスクリーン版を4版用いて、ウエットオンウエット方式にて、B柄全面に赤色、C柄全面に黄色、D柄全面に青色、E柄全面に黒色にそれぞれ印刷する。
第10〜第15面:空きステージ。
第16面:印刷されたTシャツを取り出す。
回転式多色スクリーン印刷機での捺染工程の後、120℃のトンネル乾燥機で2分間の乾燥を行い、続いて、130℃で3分間の熱処理を行った。
Tシャツを2000枚連続印刷した時の各パレットの温度は40〜70℃であった。連続印刷中に各バインダーがスクリーン版に目詰まりしたり、増粘したりすることなく、又、第5面の遠赤外線乾燥機で乾燥した後のタック防止用水性捺染組成物の表面にはタックがなく、次のスクリーン版の裏に印刷面がブロッキングせず、又、着色用水性捺染組成物の4色においても印刷面のバインダーがスクリーン版に付着することなく、印刷表面にはイラつきは生じなかった。
得られたTシャツは、紺生地上にAの白柄、Bの赤柄、Cの黄柄、Dの青柄、Eの黒柄が印刷されたものであり、軽量で隠蔽性や伸縮性にも優れるものであった。
そして、洗濯堅牢度試験JIS L−0217 103法により30回の繰り返し試験を行ったが良好な堅牢性を示した。又、1枚目と2000枚目のTシャツの印刷物に品質の差はなかった。
【0051】
(実施例2)
実施例1の捺染工程における第3面の遠赤外線乾燥機を止めて、第2面の白色下地用水性捺染組成物と第4面のタック防止用水性捺染組成物をウエットオンウエット方式で印刷した以外は、全て実施例1と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例1と同様に問題なく連続印刷でき、得られたTシャツの品質も実施例1と同等のものであった。
【0052】
(実施例3)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点−30℃の飽和ポリエステル樹脂25%ディスパージョン(ペスレジンA−160P:高松油脂(株)製)30部、Tg点−25℃のウレタン樹脂50%エマルジョン(パーマリンUA368:三洋化成工業(株)製)10部、エチレングリコール15部、尿素3部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、酸化チタン(チタンR−650:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2部、水15.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例1の捺染工程における第2面の白色下地用水性捺染組成物の印刷と第3面の遠赤外線乾燥機を省き、第4面のタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例1と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例1と同様に問題なく連続印刷できた。
得られたTシャツの印刷面は実施例1と比べて、白色下地層がないために、隠蔽性、伸縮性、洗濯堅牢度にやや劣るものであったが、実用には十分耐えられるものであった。
【0053】
(実施例4)
<着色用水性捺染組成物の調整>
Tg点−15℃のアクリル樹脂50%エマルジョン(ヨドゾール225−4260J :日本NSC(株)製)33部、エチレングリコール13部、尿素4部、ターペン20部、シリコンオイル(シリコンSH200:東レダウコーニング(株)製)2部、曇点55℃の非イオン性界面活性剤(エマルゲン409P:花王(株)製)3部、水18部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部、青色顔料分散液(マツミンネオカラーブルーMG:(株)松井色素化学工業所製)5部を混合し、均質なシアンの着色用水性捺染組成物100部を得た。
又、上記の青色顔料分散液(マツミンネオカラーブルーMG)に代えて、桃色顔料分散液(マツミンネオカラーピンクMB:(株)松井色素化学工業所製)、黄色顔料分散液(マツミンネオカラーイエローM3G:(株)松井色素化学工業所製)、黒色顔料分散液(マツミンネオカラーブラックMK:(株)松井色素化学工業所製)をそれぞれ用いる以外は、上記シアンの着色用水性捺染組成物の調整と同様にして、マゼンタ、イエロー、ブラックの3色の着色用水性捺染組成物を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例1の捺染工程における第3面と第4面の間において、第2面の白色下地用水性捺染組成物のスクリーン印刷と同様の工程を再度行い、第6〜第9面の着色用水性捺染組成物を上記シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの着色用水性捺染組成物に代えた以外は、実施例1と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
尚、生地を赤色のカット生地にし、印刷図柄は実施例1のABCDEの柄から、犬の写真分解柄の150メッシュスクリーン版に代えて捺染処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例1と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地は、赤生地上に犬の写真柄が鮮明に印刷されたものであり、実施例1と比べ白色下地層が1層多いために更に隠蔽性、伸縮性、洗濯堅牢性に優れるものであった。又、1枚目と1000枚目のカット生地の印刷物に品質の差はなかった。
【0054】
(実施例5)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点19℃の飽和ポリエステル樹脂40%エマルジョン(セポルジョンES900:住友精化(株)製)30部、Tg点−25℃のウレタン樹脂50%エマルジョン(パーマリンUA368:三洋化成工業(株)製)10部、エチレングリコール15部、尿素4部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、シリカ(サイリシア780:富士シリシア化学(株)製)10部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2部、水24.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例4で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、施例4と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例4と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地は、赤生地上に犬の写真柄が印刷されたものであり、実施例4と比べタック防止用水性捺染組成物に酸化チタンが配合されていないため隠蔽性は僅かに劣るものであるが、より発色濃度が高く鮮明な写真柄となり、伸縮性、洗濯堅牢性は実施例4同様に優れるものであった。
又、1枚目と1000枚目のカット生地の印刷物に品質の差はなかった。
【0055】
(実施例6)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点+22℃のポリアミド樹脂40%ディスパージョン(セポルジョンPA:住友精化(株))40部、エチレングリコール15部、尿素4部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、シリカ(サイリシア780:富士シリシア化学(株)製)5部、非イオン性界面活性剤(エマルゲン4085:花王(株)製)0.5部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2.5部、水28.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例5で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例5と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例5と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地の品質も実施例5と同等のものであった。
【0056】
(実施例7)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点−30℃の飽和ポリエステル樹脂25%ディスパージョン(ペスレジンA−160P:高松油脂(株)製)20部、シリコン樹脂44%エマルジョン(KM−2002L−1:信越化学工業(株)製)20部、エチレングリコール17部、尿素3部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、酸化チタン(チタンR−650:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2部、水13.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例1で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例1と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例1と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地の品質も実施例1と同等のものであった。
【0057】
(実施例8)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
シリコンアクリル樹脂40%エマルジョン(X22−8084EM:信越化学工業(株)製)40部、エチレングリコール15部、尿素4部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、酸化チタン(チタンR−650:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2.0部、水14.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例3で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例3と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例3と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地の品質も実施例3と同等のものであった。
【0058】
(実施例9)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点−26℃の飽和ポリエステル樹脂25%エマルジョン(KZT−0507:ユニチカ(株)製)30部、Tg15℃のエチレン酢酸ビニル樹脂55%エマルジョン(パンフレックス6500:クラレ(株)製)10%、エチレングリコール17部、尿素3部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1部、酸化チタン(チタンR−650:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2部、水13.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例4で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例4と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例4と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地の品質も実施例4と同等のものであった。
【0059】
(実施例10)
<タック防止用水性捺染組成物の調整>
Tg点−26℃の飽和ポリエステル樹脂25%エマルジョン(KZT−0507:ユニチカ(株)製)35部、ポリエチレン樹脂40%ディスパージョン(ケミパールW−200:三井石油化学工業(株)製)7%、エチレングリコール17部、尿素3部、20%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液1.0部、酸化チタン(チタンR−650:石原産業(株)製)20部、シリコン系消泡剤(シリコンKM−71:信越化学工業(株)製)1部、アンモニア水0.3部、増粘剤(プライマルTT615:ロームアンドハースジャパン(株)製)2部、水11.7部、エチレン尿素系硬化剤(マツミンフィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を混合し、均質な白色のタック防止用水性捺染組成物100部を得た。
<回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染方法>
実施例2で用いたタック防止用水性捺染組成物を上記の捺染組成物に代えた以外は、実施例2と同様に捺染工程、乾燥、熱処理を行った。
回転式多色スクリーン印刷機を用いた捺染工程は、実施例2と同様に問題なく1000枚を連続印刷できた。
得られたカット生地の品質も実施例2と同等のものであった。
【0060】
(比較例1)
実施例1で用いた各種水性捺染組成物に配合されているプロピレングリコール又はエチレングリコールを3部、尿素を0部にそれぞれ減量し、減量分を水に変えた以外は、全て実施例1同様にして捺染工程を行った。
その結果、印刷を開始した直後は問題なく印刷できたが、枚数が重なるごとにそれぞれのスクリーン版に目詰まりが起こり、各捺染組成物が増粘し、25枚目付近から印刷物のかすれが確認でき、その後60枚目を経過した時点では、かなり酷い目詰まりが起こりスクリーン版を一旦洗浄しなくては良好な印刷物が得られなくなった。
【0061】
(比較例2)
実施例1のタック防止用水性捺染組成物中のTg点−26℃の飽和ポリエステル50%エマルジョン(KZT−0507:ユニチカ(株)製)を、Tg点−20℃のアクリル樹脂50%エマルジョン(ボンコートAB−781:大日本インキ化学工業(株)製)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして捺染工程を行った。
その結果、第5面の遠赤外線乾燥機で乾燥した後、第6面のスクリーン版の裏面に第4面で印刷した捺染組成物がブロッキングして、Tシャツがステージから持ち上がってしまい、以降の捺染工程ができなかった。
尚、第5面の遠赤外線乾燥機で乾燥した後の印刷表面は、強いタックがあった。
【0062】
(比較例3)
実施例1の着色用水性捺染組成物中のオイルであるターペンを3部、シリコンオイル(シリコンSH200:東レダウコーニング(株)製)を0.5部にそれぞれ減量し、減量分を水に変えた以外は、全て実施例1同様にして捺染工程を行った。
その結果、第7〜第9面のスクリーン版の裏面に捺染組成物が付着し、安定したウエットオンウエット方式での連続印刷ができず、印刷枚数を重ねるごとに版裏に捺染組成物が積み重なり、印刷表面はイラついたものとなった。
【0063】
(比較例4)
実施例1の着色用水性捺染組成物中のオイルの乳化に用いた曇点40℃の非イオン性界面活性剤(エマルゲン108:花王(株)製)を曇点100℃以上の非イオン界面活性剤(エマルゲン930:花王(株)製)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして捺染工程を行った。
その結果、比較例3程ではないが、第7〜第9面のスクリーン版の裏面に捺染組成物が付着し、安定したウエットオンウエット方式での連続印刷ができず、印刷枚数を重ねるごとに版裏にバインダーが積み重なり、印刷表面はイラついたものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
環境問題も発生せず、印刷特性に優れているため、回転式の多色スクリーン印刷機の使用に耐えるとともに、優れた品質の製品を提供し得る。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂として、タック防止成分である、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂からなる群の一種又は二種以上の樹脂を使用することを特徴とする回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物。
【請求項2】
飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルエステル共重合樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂が、ガラス転移点(Tg)が−40〜30℃のものである請求項1記載の回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物。
【請求項3】
回転式多色スクリーン印刷機を用いて、白色下地用水性捺染組成物の印刷を行った後、タック防止用水性捺染組成物の印刷を行い、次いで、着色用水性捺染組成物の印刷を行う、連続捺染方法において、タック防止用水性捺染組成物として、請求項1又は2記載の捺染組成物を用いることを特徴とする連続捺染方法。
【請求項4】
白色下地用水性捺染組成物、タック防止用水性捺染組成物、又は着色用水性捺染組成物が、水揮発抑制成分である、水より高沸点の親水性溶剤及び/又は尿素を含有するものである請求項3記載の連続捺染方法。
【請求項5】
水より高沸点の親水性溶剤が、多価アルコールである請求項4記載の連続捺染方法。
【請求項6】
タック防止用水性捺染組成物が、表面着色力向上成分である、無機多孔質を含有するものである請求項1又は2記載の回転式多色スクリーン印刷機用のタック防止用水性捺染組成物又は請求項3、4又は5記載の連続捺染方法。
【請求項7】
着色用水性捺染組成物が、スクリーン版裏付着防止成分であるオイル、及び曇点30〜90℃の非イオン性界面活性剤を含有するものである請求項3、4又は5記載の連続捺染方法。
【請求項8】
請求項3、4、5、6又は7記載の連続捺染方法で製造した布帛又は衣料品。







【公開番号】特開2007−332523(P2007−332523A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−222360(P2006−222360)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(390039583)株式会社松井色素化学工業所 (13)
【Fターム(参考)】