説明

水性柔軟剤

【課題】本発明の課題は、透明性かつ安定性のある水性柔軟剤の製造を容易にすることにある。
【解決手段】ジアルキルジメチルアンモニウム化合物Aと脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド化合物Bとを含む柔軟剤を提供する。
上記成分に更に界面活性剤やアルコールである可溶化剤を添加することが望ましく、これら成分を水に混合し、加熱攪拌すれば透明かつ安定な柔軟剤水溶液を調製することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性柔軟剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、透明液体柔軟剤として脂肪酸エステル基を有する4級アンモニウム化合物と、アルキル基変性脂肪酸アミド基を有する4級アンモニウム化合物とを含有する組成物からなる柔軟剤(例えば特許文献1参照)、あるいは脂肪酸エステル基とアルキル基変性脂肪酸アミド基とを有する4級アンモニウム化合物からなる柔軟剤(例えば特許文献2参照)が提供されている。
上記柔軟剤は透明な水溶液を与えるとされている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−328454号公報
【特許文献2】特願2000−355876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の柔軟剤は透明な溶液を得るには、成分と水とを50〜80℃で混合した後、0〜30℃に冷却し、再度50〜80℃に加熱し、再度0〜30℃に冷却すると云う手間のかゝる製造方法が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、下記の構造式
【化3】

こゝにR1 、R2 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
Aは塩基である
を有する4級アンモニウム化合物Aと、
下記構造式
【化4】

こゝにR3 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
を有する3級アミン化合物Bとを含有する水性柔軟剤を提供する。
上記4級アンモニウム化合物Aと上記3級アミン化合物Bとは90:10〜95:5の質量比の範囲で含有されていることが望ましく、また上記水性柔軟剤には可溶化剤としてアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤が含有されていることが望ましい。更に上記水性柔軟剤には可溶化剤として多価アルコールおよび/または一価アルコールが含有されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明の水性柔軟剤にあっては、特に可溶化剤が存在する場合、成分を水に投入して60〜80℃程度に加熱するだけで、透明かつ安定な水溶液となる。
【0007】
〔効果〕
したがって本発明では簡単な方法で、透明かつ安定な柔軟剤を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔4級アンモニウム化合物〕
本発明に使用する4級アンモニウム化合物Aは、下記の構造を有するジアルキルジメチルアンモニウム化合物である。
【化5】

こゝにR1 、R2 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
Aは塩基である
特に望ましいアルキル基R1 、R2 としては、炭素数12〜15の分岐アルキル基がある。
【0009】
〔3級アミン化合物〕
本発明に使用する3級アミン化合物Bは、下記の構造を有する脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミドである。
【化6】

こゝにR3 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
特に望ましいアルキル基R3 としては、炭素数15〜20の直鎖または分岐アルキル基である。
【0010】
〔可溶化剤〕
上記柔軟剤の主成分である4級アンモニウム化合物Aと3級アミン化合物Bとを水に容易に溶け易くするために、可溶化剤を使用することが望ましい。上記可溶化剤としてはアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤と、多価アルコールおよび/または一価アルコールとがある。
【0011】
上記アニオン性界面活性剤としては例えば高級アルコールサルフェート(Na塩またはアミン塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩縮合物、アルキルフォスフェート、ジアルキルスルフォサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩またはアミン塩)等のアニオン性界面活性剤がある。
【0012】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキロールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等がある。
【0013】
望ましいアニオン性界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩があり、望ましいノニオン性界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテルがある。更に具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル等がある。
【0014】
望ましい多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等があり、望ましい一価アルコールとしては、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等炭素数4以下の低級アルコールがある。
【0015】
〔pH調節剤〕
本発明にあっては、所望なれば柔軟剤のpHを調節するために、pH調節剤を使用してもよい。該pH調節剤としては、通常、蓚酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸が使用される。
本発明の柔軟剤は通常pH2〜5の範囲に調節される。
【0016】
〔柔軟剤の調製〕
上記4級アンモニウム化合物Aと、3級アミン化合物Bとは、通常90:10〜95:5質量比に混合される。この比率範囲で柔軟剤は良好な柔軟効果と透明安定性を有する。
可溶化剤を併用した場合の望ましい配合比率を下記に示す。
4級アンモニウム化合物A 20〜30 質量%
3級アミン化合物B 1〜3 〃
アニオン性界面活性剤 0.3〜1.0 〃
ノニオン性界面活性剤 5〜10 〃
多価アルコール 10〜20 〃
一価アルコール 1〜5 〃
pH調節剤(有機酸) 1〜2 〃
水 残余
通常上記4級アンモニウム化合物A、3級アミン化合物B、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤からなる固形分は柔軟剤溶液中に30〜40質量%含まれる。
【0017】
上記柔軟剤を調製するには、上記成分を水に投入し通常60〜80℃に加熱して攪拌混合溶解する。攪拌混合は通常10〜20分程度行なわれ、このような短時間で、透明かつ安定な水性柔軟剤が得られる。
【0018】
〔実施例〕
下記表1の処方を70℃に加熱して10分攪拌混合した。
【表1】

【0019】
得られた水性柔軟剤は透明かつ安定性に富む。上記柔軟剤の透明性および安定性を評価した。透明性および安定性の評価は、製造直後の試料と、製造後室温で1ヶ月保管した場合の試料とを、島津製作所UV−2500PC型測定機器にて、光路長10mmの石英セルを使用し、2660nmの波長の光透過率を求めた。対照としてはイオン交換水を使用した。結果を表2に示す。
【0020】
【表2】

【0021】
上記結果より、本発明の柔軟剤では透明性が長期にわたって良好に維持されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明では、透明かつ安定な水性柔軟剤を簡単に製造することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式
【化1】

こゝにR1 、R2 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
Aは塩基である
を有する4級アンモニウム化合物Aと、
下記構造式
【化2】

こゝにR3 は炭素数10〜20の直鎖または分岐アルキル基
を有する3級アミン化合物Bとを含有することを特徴とする水性柔軟剤。
【請求項2】
上記4級アンモニウム化合物Aと上記3級アミン化合物Bとは90:10〜95:5の質量比の範囲で含有されている請求項1に記載の水性柔軟剤。
【請求項3】
上記水性柔軟剤には可溶化剤としてアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤が含有されている請求項1または2に記載の水性柔軟剤。
【請求項4】
上記水性柔軟剤には可溶化剤として多価アルコールおよび/または一価アルコールが含有されている請求項1〜3に記載の水性柔軟剤。

【公開番号】特開2006−97183(P2006−97183A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284476(P2004−284476)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(592221735)熊野油脂株式会社 (7)
【Fターム(参考)】