水栓カバー及びこれを備えた水栓
【課題】見栄えが良く、シンプルな構成によって良好な組付け状態を維持することのできる水栓カバー及びこれを備えた水栓を提供すること。
【解決手段】水栓本体2の上方に該水栓本体2を覆うように配置される上方カバー部分11Aを有し、この上方カバー部分11Aが、前記水栓本体2を有する水栓1に連結される連結ステー4に載置される。
【解決手段】水栓本体2の上方に該水栓本体2を覆うように配置される上方カバー部分11Aを有し、この上方カバー部分11Aが、前記水栓本体2を有する水栓1に連結される連結ステー4に載置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓カバー及びこれを備えた水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水栓カバーとして、水栓本体の上方に配置される上方カバー部分と、水栓本体の左右に配置される側方カバー部分とを備え、上方カバー部分を有する上カバーと側方カバー部分を有する横カバーとが別体となっているものがある。
【0003】
そして、この水栓カバーにおいて、上カバーに対して横カバーを強固に取り付けるために、側方カバー部分に係止爪を連設すると共に、上方カバー部分の背面側から下部に折り返されて形成された折り返し部に係止孔を設け、係止爪を係止孔に係止させることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−231874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記水栓カバーでは、上カバーに対して横カバーが背面側において係止するに過ぎず、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分の中央部が凹み得る。そして、上方カバー部分が凹むとなれば、水栓カバーは見栄えの点で低い評価を受け兼ねない上、上方カバー部分の凹みに伴って、係止孔から係止爪が離脱し易くなったり、上カバーと横カバーとの間に大きな隙間が形成されてしまったりする等、組付け(取付け)状態が悪化する恐れもある。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、見栄えが良く、シンプルな構成によって良好な組付け状態を維持することのできる水栓カバー及びこれを備えた水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る水栓カバーは、水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分を有し、この上方カバー部分が、前記水栓本体を有する水栓に連結される連結ステーに載置される(請求項1)。
【0008】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分にリブ又は段部が設けられ、前記上方カバー部分が前記連結ステーに載置された状態では前記リブ又は段部が該連結ステーに当接するように構成されていてもよい(請求項2)。
【0009】
上記水栓カバーにおいて、前記連結ステーは、前記水栓本体に接続される二つの偏心管にわたって連結されるものであってもよい(請求項3)。
【0010】
上記水栓カバーが、前記上方カバー部分の下面から下方に向けて延びる二つの弾性片を有し、前記二つの弾性片又は前記連結ステーの何れか一方に係合部が設けられ、他方に前記係合部が係合する被係合部が設けられていてもよい(請求項4)。
【0011】
上記水栓カバーが、前記弾性片よりも左右方向外側に配置される側方カバー部分を備え、前記側方カバー部分に、前記弾性片に当接する部分が連設されていてもよい(請求項5)。
【0012】
上記水栓カバーが、前記水栓の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えていてもよい(請求項6)。
【0013】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分と前記側方カバー部分とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されていてもよい(請求項7)。
【0014】
また、本発明に係る水栓カバーが、水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分と、
前記水栓本体の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分とを備え、
前記側方カバー部分の上部には、前記上方カバー部分の左右端部を保持する保持部分が設けられ、該保持部分は、後側ほど幅広となる平面視形状を有するものであってもよい(請求項8)。
【0015】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分の左右端は後側ほど左右方向外側に位置し、前記上方カバー部分の後部と前記側方カバー部分の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されていてもよい(請求項9)。
【0016】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る水栓は、請求項1〜9のいずれかに記載の水栓カバーを備えている(請求項10)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、見栄えが良く、シンプルな構成によって良好な組付け状態を維持することのできる水栓カバー及びこれを備えた水栓が得られる。
【0018】
すなわち、請求項1に係る発明では、上方カバー部分を連結ステーに載置させるというシンプルな構成によって、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分の中央部が凹むことを効果的に防止することができ、上方カバー部分は凹まないので見栄えの点でも向上を図ることができる。
【0019】
さらに、上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えた場合には(請求項6、7)、上方カバー部分が凹むことに伴って側方カバー部分が離脱し易くなったり上方カバー部分と側方カバー部分との間に隙間が形成されたりするといった不都合も生じないので、良好な組付け状態を維持することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、上記の効果を、上方カバー部分に設けられたリブ又は段部を連結ステーに当接させるというこれもまたシンプルな構成によって大いに高めることができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、連結ステーによって、例えば壁面に対する固定の際に二つの偏心管が回動しなくなるので、施工性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、上方カバー部分が強く固定されて非常に安定する。
【0023】
請求項5に係る発明では、外力によって側方カバー部分が上方カバー部分の内側に入り込んでしまうことは確実に防止され、更には、弾性片に対する側方カバー部分の当接により上方カバー部分が変形し難くなり、上方カバー部分の中央部が凹むことが一層強力に防止されることになる。
【0024】
請求項6〜9に係る発明では、上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が生じることや、この隙間によってガタツキが生じることはより確実に防止される。
【0025】
そして、請求項10に係る発明では、上記種々の効果を奏する水栓が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水栓の使用状態を概略的に示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は前記水栓の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】前記水栓の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】前記水栓の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は横カバー及び下カバーを除いた状態の前記水栓の構成を概略的に示す斜視図及び背面図である。
【図6】前記水栓の主に背面側の構成を概略的に示す部分切断斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は前記水栓の要部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は上カバーを除いていない状態及び除いた状態の前記水栓の構成を概略的に示す平面図である。
【図9】(A)〜(C)は前記水栓の上カバーの構成を概略的に示す平面図、正面図及び底面図、(D)は(B)のA−A線断面図、(E)は上カバーの側面図、(F)は(C)のB−B線断面図、(G)は上カバーの背面図、(H)は上カバーの斜視図である。
【図10】(A)〜(G)は前記水栓の横カバーの構成を概略的に示す斜視図、平面図、内側面図、底面図、正面図、外側面図及び背面図である。
【図11】(A)〜(C)は前記水栓の下カバーの構成を概略的に示す正面図、底面図及び側面図、(D)は(A)のA−A線断面図、(E)〜(G)は下カバーの平面図、背面図及び斜視図、(H)は(A)のB−B線断面図である。
【図12】(A)〜(D)は前記水栓の連結ステーの構成を概略的に示す背面図、底面図、側面図及び斜視図である。
【図13】(A)及び(B)は前記水栓の上カバーの変形例の構成を概略的に示す底面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る水栓(以下、「本水栓」と略記する)1は、いわゆる壁面取付型のカバー水栓であり、浴室の壁面Wに取り付けられている。尚、図1において、Cはカウンタ、Hはシャワーホースであり、シャワーホースHは本水栓1に接続され、その下流側にはハンドシャワーヘッドHaが設けられている。
【0029】
本水栓1は、図3及び図4に示すように、左右方向に延びる略円筒状の水栓本体2を備え、この水栓本体2には二つの偏心管3,3が後方から接続されている。そして、二つの偏心管3,3の上流側には、図外の湯水供給用の供給配管がそれぞれ接続され、二つの供給配管から偏心管3,3内に至った湯及び水は水栓本体2内に別々に導入される。
【0030】
図3、図4、図5(B)、図6に示すように、偏心管3には偏心管3自体を壁面Wに固定するためのステー部分3aが設けられていて、このステー部分3aに形成された取付孔3bを挿通するねじ等の取付部材(図示していない)によって偏心管3は壁面Wに取り付けられる。さらに、各偏心管3には止水栓が設けられており、図4において、3cはその止水操作を行うための操作部である。
【0031】
ここで、壁面Wに対する二つの偏心管3の固定の際に、二つの偏心管3,3にわたって連結ステー4(図3及び図4参照)が連結されるのであり、これにより、両者3,3間の距離は一定(例えば100mm)に保たれる。
【0032】
連結ステー4は、例えばPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂からなり、図12(A)〜(D)に示すように、略直方体形状の中空ブロックから下面と背面とを取り除いた外観を呈する部材であり、天板部4aと、前板部4bと、左右の側板部4c,4cとを有している。
【0033】
そして、前板部4bの左右に設けられた連結孔4dと(図3、図4、図12(A)及び(D)参照)、各偏心管3に設けられた連結孔3d(図3参照)との位置合わせを行い、両連結孔3d,4dを挿通するビス等の連結部材d(図5(A)参照)を用いることにより、連結ステー4を二つの偏心管3,3にわたって連結することができる。
【0034】
また、偏心管3,3から水栓本体2の内部に導入された湯水を水栓本体2の外部に導出するための導出部として、吐水口5と、シャワーエルボ6とが設けられている(図4参照)。ここで、図4に示すように、吐水口5は、水栓本体2の左右方向における中央部から前方に突出するノーズ部2aの下部に設けられ、シャワーエルボ6は、水栓本体2の左右方向における中央部の後面側から外部に向けて延びている(図5(B)も参照)。尚、上述のシャワーホースH(図1参照)はこのシャワーエルボ6に接続される。
【0035】
また、図3及び図4に示すように、水栓本体2には、二つのハンドル7,8が取り付けられ、一方のハンドル7により、導出部(吐水口5又はシャワーエルボ6)から水栓本体2の外部に導出される湯水の温度を調節することができ、他方のハンドル8により、導出部の切替え(湯水を吐水口5から導出する状態とシャワーエルボ6から導出する状態との切替え)と、導出(吐水)流量の調整(止水状態も含む)とを行うことができる。
【0036】
そして、本水栓1は、水栓本体2と、偏心管3,3と、各偏心管3に接続される図外の供給配管と、連結ステー4とを覆う水栓カバーを備えている(図2(A)及び(B)参照)。尚、図2(A)及び(B)に示すように、操作部3c,3cと、吐水口5と、シャワーエルボ6と、二つのハンドル7,8とは、それぞれの機能を発揮する必要上、水栓カバーによって覆われず外部に露出する。
【0037】
水栓カバーは、例えばABS樹脂等の合成樹脂からなり、図3及び図4に示すように、上カバー11と、右カバー12と、左カバー13と、下カバー14とを備えている。
【0038】
次に、本水栓1における上記水栓カバー(の取付構造)の詳細な説明も兼ねて、本水栓1の組付け及び設置方法について説明する。
【0039】
(1)二つの偏心管3,3、吐水口5、シャワーエルボ6、二つのハンドル7,8を備えた水栓本体2を有する本水栓1に対して(図3及び図4参照)、連結ステー4が連結される。尚、本例では、二つの偏心管3,3に連結ステー4が連結される。
【0040】
(2)水栓本体2に対して上カバー11が取り付けられ、このとき、上カバー11は連結ステー4に連結される。
【0041】
すなわち、上カバー11は、図2(A)及び(B)、図3、図4、図5(A)、図9(A)〜(H)に示すように(特に、図2(A)と図3とを対比し、また、図2(B)と図4とを対比すれば明らかなように)、水栓本体2、偏心管3,3、連結ステー4の上方にこれらを覆うように配置される上方カバー部分11Aと、水栓本体2の前部を覆う前方カバー部分11Bとを有している。
【0042】
上方カバー部分11Aの平面視は、後部側ほど左右に広がる略等脚台形状をしている(図1、図8(A)、図9(A)参照)。そして、図4、図7(A)、図9(C)〜(E)に示すように、上方カバー部分11Aの後部の左右には、上方カバー部分11Aの下面から下向きに延びる弾性片15,15が連設されており、各弾性片15に形成された係合孔(被係合部の一例)15aと、連結ステー4の左右の側板部4c,4cにそれぞれ形成された係合突起(係合部の一例)4eとの係合により、上カバー11は連結ステー4に取り付けられる(図5(A)、図6参照)。
【0043】
一方、前方カバー部分11Bは、ノーズ部2a等が設けられた水栓本体2の前部にほぼ沿うように形成され、図3、図4、図9(C)及び(H)に示すように、前方カバー部分11Bの下部の左右には、後方に向けて延びる突設部分16が設けられている。そして、各突設部分16に形成された貫通孔16aと、水栓本体2の下部の左右に形成された雌ねじ部2b(図4参照)との位置合わせが行われ、貫通孔16aを貫通し雌ねじ部2bに螺着するねじ部材s(図7(B)参照)によって、上カバー11は水栓本体2に取り付けられる。
【0044】
ここで、図4、図9(C)及び(G)に示すように、上方カバー部分11Aの下面には、前後方向に延びる複数(図示例では五つ)のリブ17が設けられている。従って、上カバー11は水栓本体2及び連結ステー4に取り付けられると、リブ17が連結ステー4の天板部4aに当接して上方カバー部分11Aが連結ステー4に載置された状態になる。尚、各リブ17の上下方向の厚みは、後側ほど大きくなっている(図4、図9(E)参照)。
【0045】
(3)上カバー11に対して右カバー12及び左カバー13が取り付けられる。
【0046】
すなわち、右カバー12及び左カバー13は、二つの偏心管3,3や連結ステー4の左右側方にこれらの部材3,4を左右から覆うように配置される側方カバー部分を構成する部材である。
【0047】
右カバー12は、図10(A)〜(G)に示すように、略板状の部材であり、図3、図4、図10(A),(C),(F)に示すように、右カバー12の側面視は、前側が湾曲状に切り欠かれた略矩形状をしており、上縁には後側向きに若干の上り傾斜がつけられている。また、図8(A)及び(B)を対比すれば明らかなように、右カバー12の上部には、上方カバー部分11Aの正面視における右端部を保持する保持部分18が設けられ、保持部分18の平面視は、後側ほど幅広となる略三角形状をしている。
【0048】
そして、図7(A)及び(B)に示すように、保持部分18の前後と右カバー12の下部の計三箇所にそれぞれ形成された係合孔(被係合部の一例)19に、上カバー11の上方カバー部分11Aの正面視右側の前後と突設部分16の計三箇所にそれぞれ形成された係合爪(係合部の一例)20が係合されることにより、右カバー12は上カバー11に取り付けられる。
【0049】
このように、上カバー11に取り付けられた右カバー12は、保持部分18の一部が上方カバー部分11Aに設けられた弾性片15に当接するので(図6参照)、外力によって右カバー12が上カバー11の内側に入り込んでしまうことは防止される。
【0050】
尚、左カバー13は、図3及び図4に示すように、右カバー12の鏡像をなす部材(右カバー12に対して面対称となる部材)であり、上カバー11に対する取付けは右カバー12と同様に行える。
【0051】
(4)偏心管3,3を壁面Wに固定する。
【0052】
(5)各偏心管3に供給配管を接続する。
【0053】
(6)最後に、下カバー14(図11(A)〜(H)参照)を、上カバー11、右カバー12、左カバー13により形成される開口部に対して下方から嵌め込み、図1に示す状態にする(図2(A)及び(B)も参照)。
【0054】
上記構成を備えた本水栓1では、上方カバー部分11Aを連結ステー4に載置させるというシンプルな構成によって、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分11Aの中央部が凹むことを効果的に防止することができ、この効果は、上方カバー部分11Aに設けられたリブ17を連結ステー4の天板部4aに当接させるというこれもまたシンプルな構成によって大いに高まることになる。そして、上方カバー部分11Aは凹まないので見栄えが良く、さらに、上方カバー部分11Aが凹むことに伴って左右のカバー12,13が離脱し易くなったり上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が形成されたりするといった不都合も生じないので、良好な組付け状態を維持することができる。
【0055】
また、水栓本体2に接続される二つの偏心管3,3にわたって連結ステー4が連結されるので、壁面Wに対する固定の際に二つの偏心管3,3が回動せず、施工性の向上を図ることもできる。
【0056】
さらに、連結ステー4に上方カバー部分11Aの弾性片15,15を係合させるので、上方カバー部分11Aを有する上カバー11が強く固定されて非常に安定する。
【0057】
加えて、二つの弾性片15,15よりも左右方向外側に配置される左右のカバー12,13に、弾性片15,15に当接する部分(保持部分18)を設けてあるので、上述したように、外力によって左右のカバー12,13が上カバー11の内側に入り込んでしまうことは確実に防止され、更には、弾性片15,15に対するカバー12,13の当接により上方カバー部分11Aが変形し難くなり、上方カバー部分11Aの中央部が凹むことが一層強力に防止されることになる。
【0058】
しかも、上方カバー部分11Aの左右端は後側ほど左右方向外側に位置すると共に、左右のカバー12,13の保持部分18は後側ほど幅広となる平面視形状を有し、上方カバー部分11Aと保持部分18との接触面積は大である上、上方カバー部分11Aの後部と左右のカバー12,13の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分(係合爪20、係合孔19)において連結されているので、上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が生じることや、この隙間によってガタツキが生じることはより確実に防止される。
【0059】
尚、上記構成を有する本水栓1において、係合部と被係合部とによって互いに係合しあう部材間の係合構造は、例えば係合部と被係合部とをそれぞれ逆の部材側に設ける等、適宜変更可能であることは言うまでもなく、この例に限られず、本水栓1において、各部材の材料や形状等の構成要素は適宜変更することができる。
【0060】
例えば、偏心管3は、水栓本体2と上記供給配管とを接続する接続部材の一例であり、偏心管3に代わる継手を設けてもよいし、供給配管を水栓本体2に直接接続するようにしてもよく、これらの場合、継手又は供給配管を壁面Wに固定するための固定手段を設ければよい。
【0061】
また、本水栓1では、左右のカバー12,13の保持部分18を上カバー11の弾性片15,15に当接させることにより、左右のカバー12,13が上カバー11内に入り込むことを防止しているが、これに代えて、例えば、左右のカバー12,13の一部が連結ステー4に当接するようにしてもよい。
【0062】
また、本水栓1では、上カバー11が樹脂製であることを前提にしてリブ17を設けて上カバー11の強度向上を図っているが、例えば上カバー11が金属製であれば、リブ17に代えて、段部17a(図13(A)及び(B))を設け、上方カバー部分11Aが連結ステー4に載置された状態では段部17aが連結ステー4に当接するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 水栓
2 水栓本体
3 偏心管
4 連結ステー
11A 上方カバー部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓カバー及びこれを備えた水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水栓カバーとして、水栓本体の上方に配置される上方カバー部分と、水栓本体の左右に配置される側方カバー部分とを備え、上方カバー部分を有する上カバーと側方カバー部分を有する横カバーとが別体となっているものがある。
【0003】
そして、この水栓カバーにおいて、上カバーに対して横カバーを強固に取り付けるために、側方カバー部分に係止爪を連設すると共に、上方カバー部分の背面側から下部に折り返されて形成された折り返し部に係止孔を設け、係止爪を係止孔に係止させることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−231874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記水栓カバーでは、上カバーに対して横カバーが背面側において係止するに過ぎず、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分の中央部が凹み得る。そして、上方カバー部分が凹むとなれば、水栓カバーは見栄えの点で低い評価を受け兼ねない上、上方カバー部分の凹みに伴って、係止孔から係止爪が離脱し易くなったり、上カバーと横カバーとの間に大きな隙間が形成されてしまったりする等、組付け(取付け)状態が悪化する恐れもある。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、見栄えが良く、シンプルな構成によって良好な組付け状態を維持することのできる水栓カバー及びこれを備えた水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る水栓カバーは、水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分を有し、この上方カバー部分が、前記水栓本体を有する水栓に連結される連結ステーに載置される(請求項1)。
【0008】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分にリブ又は段部が設けられ、前記上方カバー部分が前記連結ステーに載置された状態では前記リブ又は段部が該連結ステーに当接するように構成されていてもよい(請求項2)。
【0009】
上記水栓カバーにおいて、前記連結ステーは、前記水栓本体に接続される二つの偏心管にわたって連結されるものであってもよい(請求項3)。
【0010】
上記水栓カバーが、前記上方カバー部分の下面から下方に向けて延びる二つの弾性片を有し、前記二つの弾性片又は前記連結ステーの何れか一方に係合部が設けられ、他方に前記係合部が係合する被係合部が設けられていてもよい(請求項4)。
【0011】
上記水栓カバーが、前記弾性片よりも左右方向外側に配置される側方カバー部分を備え、前記側方カバー部分に、前記弾性片に当接する部分が連設されていてもよい(請求項5)。
【0012】
上記水栓カバーが、前記水栓の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えていてもよい(請求項6)。
【0013】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分と前記側方カバー部分とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されていてもよい(請求項7)。
【0014】
また、本発明に係る水栓カバーが、水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分と、
前記水栓本体の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分とを備え、
前記側方カバー部分の上部には、前記上方カバー部分の左右端部を保持する保持部分が設けられ、該保持部分は、後側ほど幅広となる平面視形状を有するものであってもよい(請求項8)。
【0015】
上記水栓カバーにおいて、前記上方カバー部分の左右端は後側ほど左右方向外側に位置し、前記上方カバー部分の後部と前記側方カバー部分の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されていてもよい(請求項9)。
【0016】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る水栓は、請求項1〜9のいずれかに記載の水栓カバーを備えている(請求項10)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、見栄えが良く、シンプルな構成によって良好な組付け状態を維持することのできる水栓カバー及びこれを備えた水栓が得られる。
【0018】
すなわち、請求項1に係る発明では、上方カバー部分を連結ステーに載置させるというシンプルな構成によって、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分の中央部が凹むことを効果的に防止することができ、上方カバー部分は凹まないので見栄えの点でも向上を図ることができる。
【0019】
さらに、上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えた場合には(請求項6、7)、上方カバー部分が凹むことに伴って側方カバー部分が離脱し易くなったり上方カバー部分と側方カバー部分との間に隙間が形成されたりするといった不都合も生じないので、良好な組付け状態を維持することができる。
【0020】
請求項2に係る発明では、上記の効果を、上方カバー部分に設けられたリブ又は段部を連結ステーに当接させるというこれもまたシンプルな構成によって大いに高めることができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、連結ステーによって、例えば壁面に対する固定の際に二つの偏心管が回動しなくなるので、施工性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、上方カバー部分が強く固定されて非常に安定する。
【0023】
請求項5に係る発明では、外力によって側方カバー部分が上方カバー部分の内側に入り込んでしまうことは確実に防止され、更には、弾性片に対する側方カバー部分の当接により上方カバー部分が変形し難くなり、上方カバー部分の中央部が凹むことが一層強力に防止されることになる。
【0024】
請求項6〜9に係る発明では、上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が生じることや、この隙間によってガタツキが生じることはより確実に防止される。
【0025】
そして、請求項10に係る発明では、上記種々の効果を奏する水栓が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水栓の使用状態を概略的に示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は前記水栓の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】前記水栓の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】前記水栓の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は横カバー及び下カバーを除いた状態の前記水栓の構成を概略的に示す斜視図及び背面図である。
【図6】前記水栓の主に背面側の構成を概略的に示す部分切断斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は前記水栓の要部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は上カバーを除いていない状態及び除いた状態の前記水栓の構成を概略的に示す平面図である。
【図9】(A)〜(C)は前記水栓の上カバーの構成を概略的に示す平面図、正面図及び底面図、(D)は(B)のA−A線断面図、(E)は上カバーの側面図、(F)は(C)のB−B線断面図、(G)は上カバーの背面図、(H)は上カバーの斜視図である。
【図10】(A)〜(G)は前記水栓の横カバーの構成を概略的に示す斜視図、平面図、内側面図、底面図、正面図、外側面図及び背面図である。
【図11】(A)〜(C)は前記水栓の下カバーの構成を概略的に示す正面図、底面図及び側面図、(D)は(A)のA−A線断面図、(E)〜(G)は下カバーの平面図、背面図及び斜視図、(H)は(A)のB−B線断面図である。
【図12】(A)〜(D)は前記水栓の連結ステーの構成を概略的に示す背面図、底面図、側面図及び斜視図である。
【図13】(A)及び(B)は前記水栓の上カバーの変形例の構成を概略的に示す底面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る水栓(以下、「本水栓」と略記する)1は、いわゆる壁面取付型のカバー水栓であり、浴室の壁面Wに取り付けられている。尚、図1において、Cはカウンタ、Hはシャワーホースであり、シャワーホースHは本水栓1に接続され、その下流側にはハンドシャワーヘッドHaが設けられている。
【0029】
本水栓1は、図3及び図4に示すように、左右方向に延びる略円筒状の水栓本体2を備え、この水栓本体2には二つの偏心管3,3が後方から接続されている。そして、二つの偏心管3,3の上流側には、図外の湯水供給用の供給配管がそれぞれ接続され、二つの供給配管から偏心管3,3内に至った湯及び水は水栓本体2内に別々に導入される。
【0030】
図3、図4、図5(B)、図6に示すように、偏心管3には偏心管3自体を壁面Wに固定するためのステー部分3aが設けられていて、このステー部分3aに形成された取付孔3bを挿通するねじ等の取付部材(図示していない)によって偏心管3は壁面Wに取り付けられる。さらに、各偏心管3には止水栓が設けられており、図4において、3cはその止水操作を行うための操作部である。
【0031】
ここで、壁面Wに対する二つの偏心管3の固定の際に、二つの偏心管3,3にわたって連結ステー4(図3及び図4参照)が連結されるのであり、これにより、両者3,3間の距離は一定(例えば100mm)に保たれる。
【0032】
連結ステー4は、例えばPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂からなり、図12(A)〜(D)に示すように、略直方体形状の中空ブロックから下面と背面とを取り除いた外観を呈する部材であり、天板部4aと、前板部4bと、左右の側板部4c,4cとを有している。
【0033】
そして、前板部4bの左右に設けられた連結孔4dと(図3、図4、図12(A)及び(D)参照)、各偏心管3に設けられた連結孔3d(図3参照)との位置合わせを行い、両連結孔3d,4dを挿通するビス等の連結部材d(図5(A)参照)を用いることにより、連結ステー4を二つの偏心管3,3にわたって連結することができる。
【0034】
また、偏心管3,3から水栓本体2の内部に導入された湯水を水栓本体2の外部に導出するための導出部として、吐水口5と、シャワーエルボ6とが設けられている(図4参照)。ここで、図4に示すように、吐水口5は、水栓本体2の左右方向における中央部から前方に突出するノーズ部2aの下部に設けられ、シャワーエルボ6は、水栓本体2の左右方向における中央部の後面側から外部に向けて延びている(図5(B)も参照)。尚、上述のシャワーホースH(図1参照)はこのシャワーエルボ6に接続される。
【0035】
また、図3及び図4に示すように、水栓本体2には、二つのハンドル7,8が取り付けられ、一方のハンドル7により、導出部(吐水口5又はシャワーエルボ6)から水栓本体2の外部に導出される湯水の温度を調節することができ、他方のハンドル8により、導出部の切替え(湯水を吐水口5から導出する状態とシャワーエルボ6から導出する状態との切替え)と、導出(吐水)流量の調整(止水状態も含む)とを行うことができる。
【0036】
そして、本水栓1は、水栓本体2と、偏心管3,3と、各偏心管3に接続される図外の供給配管と、連結ステー4とを覆う水栓カバーを備えている(図2(A)及び(B)参照)。尚、図2(A)及び(B)に示すように、操作部3c,3cと、吐水口5と、シャワーエルボ6と、二つのハンドル7,8とは、それぞれの機能を発揮する必要上、水栓カバーによって覆われず外部に露出する。
【0037】
水栓カバーは、例えばABS樹脂等の合成樹脂からなり、図3及び図4に示すように、上カバー11と、右カバー12と、左カバー13と、下カバー14とを備えている。
【0038】
次に、本水栓1における上記水栓カバー(の取付構造)の詳細な説明も兼ねて、本水栓1の組付け及び設置方法について説明する。
【0039】
(1)二つの偏心管3,3、吐水口5、シャワーエルボ6、二つのハンドル7,8を備えた水栓本体2を有する本水栓1に対して(図3及び図4参照)、連結ステー4が連結される。尚、本例では、二つの偏心管3,3に連結ステー4が連結される。
【0040】
(2)水栓本体2に対して上カバー11が取り付けられ、このとき、上カバー11は連結ステー4に連結される。
【0041】
すなわち、上カバー11は、図2(A)及び(B)、図3、図4、図5(A)、図9(A)〜(H)に示すように(特に、図2(A)と図3とを対比し、また、図2(B)と図4とを対比すれば明らかなように)、水栓本体2、偏心管3,3、連結ステー4の上方にこれらを覆うように配置される上方カバー部分11Aと、水栓本体2の前部を覆う前方カバー部分11Bとを有している。
【0042】
上方カバー部分11Aの平面視は、後部側ほど左右に広がる略等脚台形状をしている(図1、図8(A)、図9(A)参照)。そして、図4、図7(A)、図9(C)〜(E)に示すように、上方カバー部分11Aの後部の左右には、上方カバー部分11Aの下面から下向きに延びる弾性片15,15が連設されており、各弾性片15に形成された係合孔(被係合部の一例)15aと、連結ステー4の左右の側板部4c,4cにそれぞれ形成された係合突起(係合部の一例)4eとの係合により、上カバー11は連結ステー4に取り付けられる(図5(A)、図6参照)。
【0043】
一方、前方カバー部分11Bは、ノーズ部2a等が設けられた水栓本体2の前部にほぼ沿うように形成され、図3、図4、図9(C)及び(H)に示すように、前方カバー部分11Bの下部の左右には、後方に向けて延びる突設部分16が設けられている。そして、各突設部分16に形成された貫通孔16aと、水栓本体2の下部の左右に形成された雌ねじ部2b(図4参照)との位置合わせが行われ、貫通孔16aを貫通し雌ねじ部2bに螺着するねじ部材s(図7(B)参照)によって、上カバー11は水栓本体2に取り付けられる。
【0044】
ここで、図4、図9(C)及び(G)に示すように、上方カバー部分11Aの下面には、前後方向に延びる複数(図示例では五つ)のリブ17が設けられている。従って、上カバー11は水栓本体2及び連結ステー4に取り付けられると、リブ17が連結ステー4の天板部4aに当接して上方カバー部分11Aが連結ステー4に載置された状態になる。尚、各リブ17の上下方向の厚みは、後側ほど大きくなっている(図4、図9(E)参照)。
【0045】
(3)上カバー11に対して右カバー12及び左カバー13が取り付けられる。
【0046】
すなわち、右カバー12及び左カバー13は、二つの偏心管3,3や連結ステー4の左右側方にこれらの部材3,4を左右から覆うように配置される側方カバー部分を構成する部材である。
【0047】
右カバー12は、図10(A)〜(G)に示すように、略板状の部材であり、図3、図4、図10(A),(C),(F)に示すように、右カバー12の側面視は、前側が湾曲状に切り欠かれた略矩形状をしており、上縁には後側向きに若干の上り傾斜がつけられている。また、図8(A)及び(B)を対比すれば明らかなように、右カバー12の上部には、上方カバー部分11Aの正面視における右端部を保持する保持部分18が設けられ、保持部分18の平面視は、後側ほど幅広となる略三角形状をしている。
【0048】
そして、図7(A)及び(B)に示すように、保持部分18の前後と右カバー12の下部の計三箇所にそれぞれ形成された係合孔(被係合部の一例)19に、上カバー11の上方カバー部分11Aの正面視右側の前後と突設部分16の計三箇所にそれぞれ形成された係合爪(係合部の一例)20が係合されることにより、右カバー12は上カバー11に取り付けられる。
【0049】
このように、上カバー11に取り付けられた右カバー12は、保持部分18の一部が上方カバー部分11Aに設けられた弾性片15に当接するので(図6参照)、外力によって右カバー12が上カバー11の内側に入り込んでしまうことは防止される。
【0050】
尚、左カバー13は、図3及び図4に示すように、右カバー12の鏡像をなす部材(右カバー12に対して面対称となる部材)であり、上カバー11に対する取付けは右カバー12と同様に行える。
【0051】
(4)偏心管3,3を壁面Wに固定する。
【0052】
(5)各偏心管3に供給配管を接続する。
【0053】
(6)最後に、下カバー14(図11(A)〜(H)参照)を、上カバー11、右カバー12、左カバー13により形成される開口部に対して下方から嵌め込み、図1に示す状態にする(図2(A)及び(B)も参照)。
【0054】
上記構成を備えた本水栓1では、上方カバー部分11Aを連結ステー4に載置させるというシンプルな構成によって、上側から加わった下向き荷重によって上方カバー部分11Aの中央部が凹むことを効果的に防止することができ、この効果は、上方カバー部分11Aに設けられたリブ17を連結ステー4の天板部4aに当接させるというこれもまたシンプルな構成によって大いに高まることになる。そして、上方カバー部分11Aは凹まないので見栄えが良く、さらに、上方カバー部分11Aが凹むことに伴って左右のカバー12,13が離脱し易くなったり上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が形成されたりするといった不都合も生じないので、良好な組付け状態を維持することができる。
【0055】
また、水栓本体2に接続される二つの偏心管3,3にわたって連結ステー4が連結されるので、壁面Wに対する固定の際に二つの偏心管3,3が回動せず、施工性の向上を図ることもできる。
【0056】
さらに、連結ステー4に上方カバー部分11Aの弾性片15,15を係合させるので、上方カバー部分11Aを有する上カバー11が強く固定されて非常に安定する。
【0057】
加えて、二つの弾性片15,15よりも左右方向外側に配置される左右のカバー12,13に、弾性片15,15に当接する部分(保持部分18)を設けてあるので、上述したように、外力によって左右のカバー12,13が上カバー11の内側に入り込んでしまうことは確実に防止され、更には、弾性片15,15に対するカバー12,13の当接により上方カバー部分11Aが変形し難くなり、上方カバー部分11Aの中央部が凹むことが一層強力に防止されることになる。
【0058】
しかも、上方カバー部分11Aの左右端は後側ほど左右方向外側に位置すると共に、左右のカバー12,13の保持部分18は後側ほど幅広となる平面視形状を有し、上方カバー部分11Aと保持部分18との接触面積は大である上、上方カバー部分11Aの後部と左右のカバー12,13の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分(係合爪20、係合孔19)において連結されているので、上カバー11と左右のカバー12,13との間に隙間が生じることや、この隙間によってガタツキが生じることはより確実に防止される。
【0059】
尚、上記構成を有する本水栓1において、係合部と被係合部とによって互いに係合しあう部材間の係合構造は、例えば係合部と被係合部とをそれぞれ逆の部材側に設ける等、適宜変更可能であることは言うまでもなく、この例に限られず、本水栓1において、各部材の材料や形状等の構成要素は適宜変更することができる。
【0060】
例えば、偏心管3は、水栓本体2と上記供給配管とを接続する接続部材の一例であり、偏心管3に代わる継手を設けてもよいし、供給配管を水栓本体2に直接接続するようにしてもよく、これらの場合、継手又は供給配管を壁面Wに固定するための固定手段を設ければよい。
【0061】
また、本水栓1では、左右のカバー12,13の保持部分18を上カバー11の弾性片15,15に当接させることにより、左右のカバー12,13が上カバー11内に入り込むことを防止しているが、これに代えて、例えば、左右のカバー12,13の一部が連結ステー4に当接するようにしてもよい。
【0062】
また、本水栓1では、上カバー11が樹脂製であることを前提にしてリブ17を設けて上カバー11の強度向上を図っているが、例えば上カバー11が金属製であれば、リブ17に代えて、段部17a(図13(A)及び(B))を設け、上方カバー部分11Aが連結ステー4に載置された状態では段部17aが連結ステー4に当接するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 水栓
2 水栓本体
3 偏心管
4 連結ステー
11A 上方カバー部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分を有し、この上方カバー部分が、前記水栓本体を有する水栓に連結される連結ステーに載置される水栓カバー。
【請求項2】
前記上方カバー部分にリブ又は段部が設けられ、前記上方カバー部分が前記連結ステーに載置された状態では前記リブ又は段部が該連結ステーに当接する請求項1に記載の水栓カバー。
【請求項3】
前記連結ステーは、前記水栓本体に接続される二つの偏心管にわたって連結される請求項1または2に記載の水栓カバー。
【請求項4】
前記上方カバー部分の下面から下方に向けて延びる二つの弾性片を有し、前記二つの弾性片又は前記連結ステーの何れか一方に係合部が設けられ、他方に前記係合部が係合する被係合部が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の水栓カバー。
【請求項5】
前記弾性片よりも左右方向外側に配置される側方カバー部分を備え、前記側方カバー部分に、前記弾性片に当接する部分が連設されている請求項4に記載の水栓カバー。
【請求項6】
前記水栓の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えた請求項1〜4の何れかに記載の水栓カバー。
【請求項7】
前記上方カバー部分と前記側方カバー部分とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されている請求項6に記載の水栓カバー。
【請求項8】
水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分と、
前記水栓本体の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分とを備え、
前記側方カバー部分の上部には、前記上方カバー部分の左右端部を保持する保持部分が設けられ、該保持部分は、後側ほど幅広となる平面視形状を有する水栓カバー。
【請求項9】
前記上方カバー部分の左右端は後側ほど左右方向外側に位置し、前記上方カバー部分の後部と前記側方カバー部分の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されている請求項8に記載の水栓カバー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の水栓カバーを備えた水栓。
【請求項1】
水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分を有し、この上方カバー部分が、前記水栓本体を有する水栓に連結される連結ステーに載置される水栓カバー。
【請求項2】
前記上方カバー部分にリブ又は段部が設けられ、前記上方カバー部分が前記連結ステーに載置された状態では前記リブ又は段部が該連結ステーに当接する請求項1に記載の水栓カバー。
【請求項3】
前記連結ステーは、前記水栓本体に接続される二つの偏心管にわたって連結される請求項1または2に記載の水栓カバー。
【請求項4】
前記上方カバー部分の下面から下方に向けて延びる二つの弾性片を有し、前記二つの弾性片又は前記連結ステーの何れか一方に係合部が設けられ、他方に前記係合部が係合する被係合部が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の水栓カバー。
【請求項5】
前記弾性片よりも左右方向外側に配置される側方カバー部分を備え、前記側方カバー部分に、前記弾性片に当接する部分が連設されている請求項4に記載の水栓カバー。
【請求項6】
前記水栓の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分を備えた請求項1〜4の何れかに記載の水栓カバー。
【請求項7】
前記上方カバー部分と前記側方カバー部分とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されている請求項6に記載の水栓カバー。
【請求項8】
水栓本体の上方に該水栓本体を覆うように配置される上方カバー部分と、
前記水栓本体の左右側方に配置され、前記上方カバー部分に連結される側方カバー部分とを備え、
前記側方カバー部分の上部には、前記上方カバー部分の左右端部を保持する保持部分が設けられ、該保持部分は、後側ほど幅広となる平面視形状を有する水栓カバー。
【請求項9】
前記上方カバー部分の左右端は後側ほど左右方向外側に位置し、前記上方カバー部分の後部と前記側方カバー部分の後部とは、それぞれの左右端から左右方向内側に位置する部分において連結されている請求項8に記載の水栓カバー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の水栓カバーを備えた水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−248713(P2010−248713A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96612(P2009−96612)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]