説明

水栓取付構造

【課題】水栓の設置場所に存在する障害物との位置関係に応じて、構成部品を変更することなく、右勝手設置及び左勝手設置のどちらの設置条件にも対応可能な水栓の取付構造を提供する。
【解決手段】水栓10は、湯水の流路11が形成された水栓本体12と、水栓本体12に回転自在に取付けられた回転軸14と、回転軸14に固定された吐水部15と、吐水部15と回転軸14とを固定するためのビス16と、を備え、水栓本体12には回転軸14の回転範囲を規制するストッパ部12sが設けられ、回転軸14には、ストッパ部12sに当接してその回転を規制するストッパ受け部14s,13tが設けられ、回転軸14はビス16によって吐水部15を固定するための複数の取付穴14aを有し、吐水部15はビス16によって回転軸14に固定するための固定孔15aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面化粧台などのカウンタに取付けられる水栓、特に、湯水を吐出する吐水部がカウンタの上部に露出した状態で回転自在に設置される水栓の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽や洗面化粧台などのカウンタに取り付けられる水栓として、湯水を吐出する吐水口がカウンタの上部に回転自在に露出した状態で取り付けられる「埋込式水栓」が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この「埋込式水栓」は、カウンタの下部に取り付けられる水栓本体と、水栓本体から供給される湯水を吐出するためカウンタの上部に露出状態で取り付けられる吐水部と、を備え、水栓本体は、湯水の通過流路を内蔵する接続筒と、この接続筒内部に回転自在に装着された取付金具と、接続筒をカウンタに固定するためカウンタの上部から接続筒に螺着されるナットと、を有し、吐水部は前記ナットを覆うような状態で取付金具に固定されている。
【0003】
一方、システムバスなどの浴槽に設置される水栓として、図15(a),(b)に示すような水栓100が知られている。水栓100は、浴槽105の上縁部106に所定角度範囲内で回転自在に設置された吐水部101、給湯ハンドル102及び給水ハンドル103などで構成されている。水栓100を設置する場合、システムバスのレイアウトの違いに応じて、図15(a)に示す「右勝手設置」の施工あるいは図15(b)に示す「左勝手設置」の施工が行われている。
【0004】
図15(a)に示す「右勝手設置」は浴槽105の左側に壁面Wがある場合の施工形態であり、水栓100の吐水部101を回転させたときに壁面Wに接触しないように、吐水部101の回転範囲ZRは壁面Wから離れた浴槽105の上方領域に設定されている。図15(b)に示す「左勝手設置」は浴槽105の右側に壁面Wがある場合の施工形態であり、「右勝手設置」の場合と同様、吐水部101を回転させたときに壁面Wに接触しないように、吐水部101の回転範囲ZLは壁面Wから離れた浴槽105の上方領域に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−336758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の「埋込式水栓」は吐水部が取付金具と一体に回転するので比較的広い範囲で湯水を吐出することができる点では優れているが、回転範囲を変更することができないので、吐水部の回転範囲内に壁面などの障害物が存在する場所に設置した場合、吐水部を回転させたときに壁面などに接触することがある。従って、この「埋込式水栓」をシステムバスなどの浴槽に設置した場合、レイアウトの違いに応じて、図15(a)に示す「右勝手設置」あるいは図15(b)に示す「左勝手設置」に対応することができない。
【0007】
一方、図15に示す水栓100は、前述したように、ユニットバスのレイアウトの違いに応じて「左勝手設置」及び「右勝手設置」の施工を行うことができるが、吐水部の回転範囲は接続筒の内部のストッパと取付金具の突起との関係で一義的に決まってしまう。従って、一揃いの部品セットのみで、これら二種類の設置形態に対応することができず、「左勝手設置」用と「右勝手設置」用の二種類の部品セットが用意されているのが実状である。
【0008】
しかしながら、形式的には一種類の水栓100について、「左勝手設置」用及び「右勝手設置」用の二種類の部品セットを設定した場合、品番数の増加に伴う在庫管理の煩雑化を招くだけでなく、受発注ミスを誘発し易く、再発注に起因する施工期間の遅延などが生じることもある。また、施工現場における吐水部の左右設置形態の不適合に気付かないまま設置された後、使用者が水栓の吐水部を操作したときに左右不適合に気付き、設置工事のやり直しが必要となることもある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、水栓の設置場所に存在する障害物との位置関係に応じて、構成部品を変更することなく、右勝手設置及び左勝手設置のどちらの設置条件にも対応可能な水栓取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水栓の取付構造は、水栓が取付けられる場所に存在する障害物との位置関係に応じて右勝手設置、左勝手設置のどちらにも対応可能な水栓の取付構造であって、
前記水栓は、基台に固定され湯水の流路が形成された水栓本体と、前記水栓本体の流路と連通した流路である第二流路が形成され前記水栓本体に回転自在に取付けられる回転軸と、前記回転軸に固定され前記第二流路を通過した前記湯水を外部へ吐出する吐水部と、前記吐水部と前記回転軸とを固定するための固定部材と、前記流路及び前記第二流路に流れる湯水を調節するとともに前記水栓本体に対して決まった位置で当該水栓本体に装着される操作部と、を備え、
前記水栓本体は前記回転軸の回転範囲を規制するストッパ部を有し、
前記回転軸は前記ストッパ部に当接することで回転が規制されるストッパ受け部を有し、
前記回転軸は前記固定部材によって前記吐水部が固定される取付部を有し、
更に、前記吐水部は前記固定部材によって前記回転軸が固定される固定部を有し、
前記吐水部は前記固定部を複数有し、前記複数の固定部の何れか一つを選択して用いて前記回転軸に前記吐水部を固定するか、
あるいは、前記回転軸は前記取付部を前記回線軸の周方向に複数有し、前記複数の取付部の何れか一つを選択して用いて前記吐水部を前記回転軸に固定することにより、
前記水栓本体に対する前記吐水部の回転範囲が変更可能であることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、吐水部に設けられた複数の固定部のうちの何れか一つを選択するか、あるいは回転軸に設けられた複数の取付部のうちの何れか一つを選択することにより、水栓本体に対する前記吐水部の回転範囲を変更することができる。従って、水栓の設置条件、つまり、水栓が設置される場所に存在する障害物との位置関係に応じた回転範囲に設定することができ、右勝手設置及び左勝手設置のどちらの設置条件にも対応可能である。また、右勝手設置を行うか左勝手設置を行うかにより、水栓本体、回転軸及び吐水部について異なる部材を用意する必要がなく、一種類の部品セットで左勝手設置及び右勝手設置の両方に対応することができる。なお、水栓本体は、右勝手設置か左勝手設置かに応じて左右を反転させて基台に固定されるのでストッパの位置も変わるが、それに応じて、回転軸(または吐水部)に複数の取付部(または固定部)が設けられているので、右勝手設置、左勝手設置の両方に対応可能である。
【0012】
ここで、前記固定部材はビスであり、前記取付部が前記ビス固定用の取付孔であり、前記固定部が前記ビス固定用の固定孔であり、
前記回転軸は左勝手設置用及び右勝手設置用の二つの取付孔を有し、更に、前記吐水部は、前記吐水部に形成された吐水口の向きと反対側の位置に前記固定孔を有し、
前記吐水口が前記操作部に向く方向に対して90度回転した位置において前記取付孔に対して前記吐水部の前記固定孔にビス固定する構成とすることができる。
【0013】
このような構成とすれば、前記吐水口が前記操作部に向く方向に対して90度回転した位置において吐水部を背面側より固定することとなる結果、もし、回転軸の取付穴の位置が間違っていた場合は回転軸の取付孔にビス固定することができないので、取付けミスが生じることがない。即ち、右勝手設置または左勝手設置の取付けミスを防止することができる。
【0014】
また、前記回転軸の露出部分に、前記右勝手設置用及び左勝手設置用の取付孔の位置を示す指標を設けることもできる。
【0015】
このような構成とすれば、吐水部を吐水口が操作部に向く方向に対して90度回転した位置で固定するとき、回転軸の露出部分に設けられた指標を目視することによって回転軸の取付穴の位置関係を確認できるので、取付けミスを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、水栓の設置場所に存在する障害物との位置関係に応じて、構成部品を変更することなく、右勝手設置及び左勝手設置のどちらの設置条件にも対応可能な水栓取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である水栓取付構造(右勝手設置)を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図2のB−B線における断面図である。
【図4】図2のC−C線における断面図である。
【図5】図4中の回転軸が回転した状態を示す断面図である。
【図6】図1に示す水栓取付構造の一部省略平面図である。
【図7】図2中の回転軸が誤装着された状態を示す断面図である。
【図8】誤装着された回転軸に吐水口が装着された状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態である水栓取付構造(左勝手設置)を示す平面図である。
【図10】図9のD−D線における断面図である。
【図11】図10のE−E線における断面図である。
【図12】図10のF−F線における断面図である。
【図13】図12中の回転軸が回転した状態を示す断面図である。
【図14】図9に示す水栓取付構造の一部省略平面図である。
【図15】従来の水栓取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の水栓取付構造は、図1,図9に示すように、ユニットバスUBの浴槽30の上縁部31に水栓10を設置した事例であり、水栓10が取り付けられる場所に存在する障害物である壁面Wと水栓10との位置関係に応じて「右勝手設置」(図1参照)、「左勝手設置」(図9参照)のどちらにも対応可能である。
【0019】
まず、図1〜図8に基づいて「右勝手設置」について説明する。図1,図2に示すように、水栓10は、基台である浴槽30の上縁部31に固定され湯水の流路11が形成された水栓本体12と、水栓本体12の流路11と連通した流路である第二流路13が形成され水栓本体12内に回転自在に取付けられた略円筒状の回転軸14と、回転軸14に固定され第二流路13を通過した湯水を外部へ吐出する吐水部15と、吐水部15と回転軸14とを固定するための固定部材であるビス16と、流路11に流れる湯水を調節するとともに水栓本体12に対して決まった位置で当該水栓本体12に装着される二つの操作部17,18と、を備えている。
【0020】
水栓本体12はその上端部12uを、浴槽30の上縁部31に開設された固定孔32の下方から上方に向かって貫通させ、上縁部31の上方から水栓本体12の上端部12uに螺着した固定ナット20と、水栓本体12のフランジ部12fと、によって上縁部31を挟持して固定されている。なお、水栓本体12のフランジ部12fと上縁部31との間には複数のシール材21が介在されている。
【0021】
図2,図4に示すように、水栓本体12の内周面の底部近傍には回転軸14の回転範囲を規制するリブ状のストッパ部12sが設けられ、回転軸14の下部には、ストッパ部12sに当接することで水栓本体12に対する当該回転軸14の回転を規制するストッパ受け部14s,14tが設けられている。図4に示すように、略円筒状をした回転軸14の下端付近の周壁をその周方向に渡って90度削除して切欠部14dを設けることによってストッパ受け部14s,14tが形成されている。なお、切欠部14dの範囲は90度に限定するものではないので設置場所に応じて設定することができる。
【0022】
図2,図3に示すように、回転軸14の外周には、凹状をした二つの取付穴14a,14bが形成され、吐水部15の基端部15bに開設された固定孔15aから回転軸14に向かって螺入されたビス16の先端を取付穴14a,14bのいずれかに嵌入させることによって吐水部15が回転軸14に固定される。
【0023】
図3に示すように、二つの取付穴14a,14bは回転軸14の周方向に沿って90度隔てた位置に設けられ、ビス16を固定孔15aに螺入する際に、二つの取付穴14a,14bの何れか一つを選択的に用いて吐水部15を回転軸14に固定することにより、水栓本体12に対する吐水部15の回転範囲が変更可能である。なお、吐水部15に複数の固定孔を設け、複数の固定孔の何れか一つを選択して用いて回転軸に吐水部を固定する方式を採用することもできる。
【0024】
回転軸14に設けられた取付穴14aは図1に示す右勝手設置用であり、取付穴14bは図9に示す左勝手設置用である。また、吐水部15に形成された吐水口15cの向きと反対側の位置の基端部15bに固定孔15aが開設されている。図1,図2に示す「右勝手設置」の場合、吐水口15cが操作部17,18に向く方向から時計回りに90度回転した状態にある吐水部15の取付孔15aは、吐水口15cを正面としたとき、吐水部15の背面側に位置しており、この背面側の取付孔15aより螺入したビス16によって吐水部15が回転軸14に固定されている。
【0025】
図1,図2に示すように、吐水部15の吐水口15cが操作部17,18に向く方向から時計回りに90度回転した位置にあるとき、水栓本体12のストッパ12sと回転軸14のストッパ受け部14s,14tとは図4に示す状態にある。即ち、回転軸14のストッパ受け部14tが水栓本体12のストッパ12sに当接し、ストッパ受け部14sはストッパ12sから90度離れた状態にある。従って、回転軸14は、図4に示す状態と図5に示す状態との範囲内で回転自在であり、回転軸14に固定された吐水部15は図1に示す角度15Rの範囲内で回転自在である。このため、吐水部15を回転させたときに壁面Wに当接することがない。
【0026】
浴槽30の上縁部31に水栓10を取り付ける工程において、図6に示すように、吐水部15を回転軸14に固定する前の段階で露出状態にある回転軸14の上端面14uに、右勝手設置用の取付穴14a(図3参照)の位置を示す指標14r及び左勝手設置用の取付穴14b(図3参照)の位置を示す指標14lが設けられている。従って、図1に示すように、吐水部15を吐水口15cが操作部17,18に向く方向に対して時計回りに90度回転した位置で固定するとき、回転軸14の露出部分に設けられた指標14r,14lを目視することによって回転軸14の取付穴14a,14bの位置関係を確認できるので、取付けミスを防止することができる。
【0027】
また、浴槽30の上縁部31に水栓10を「右勝手設置」の形態で取り付ける場合、固定ナット20によって上縁部31に固定された水栓本体12のストッパ12sに対する回転軸14のストッパ受け部14s,14tの位置関係は図4に示す状態となっていなければならない。ところが、作業ミスなどにより、回転軸14が図7に示す状態のままで吐水部15を回転軸14に固定しようとした場合、図8に示すように、固定孔15aに螺入したビス16の先端部は取付穴14a,14bから外れた回転軸14の外周面に接触する。即ち、回転軸14の取付穴14a,14bの位置が間違っていた場合は回転軸14の取付孔14a,14bのいずれにもビス16先端を固定することができない。このように、ビス16が取付孔14a、14bのいずれにも固定できないときは吐水部15内部に納まらないように、ビス16の長さが設定されているので、外部から目視することでも、取付けミスであることを容易に認識することができ、取付けミスが生じることがない。
【0028】
次に、図9〜図14に基づいて「左勝手設置」について説明する。図9,図10に示す「左勝手設置」の場合、吐水口15cが操作部17,18に向く方向から反時計回りに90度回転した状態にある吐水部15の取付孔15aは、吐水口15cを正面としたとき、吐水部15の背面側に位置しており、この背面側の取付孔15aから螺入したビス16によって吐水部15が回転軸14に固定されている。
【0029】
図9,図10に示すように、吐水部15の吐水口15cが操作部17,18に向く方向から反時計回りに90度回転した位置にあるとき、水栓本体12のストッパ12sと回転軸14のストッパ受け部14s,14tとは図12に示す状態にある。即ち、回転軸14のストッパ受け部14sが水栓本体12のストッパ12sに当接し、ストッパ受け部14tはストッパ12sから90度離れた状態にある。従って、回転軸14は、図12に示す状態と図13に示す状態との範囲内で回転自在であり、回転軸14に固定された吐水部15は図9に示す角度15Lの範囲内で回転自在である。このため、吐水部15を回転させたときに壁面Wに当接することがない。
【0030】
また、図14に示すように、吐水部15を回転軸14に固定する前の段階で露出状態にある回転軸14の上端面14uに、右勝手設置用の取付穴14a(図3参照)の位置を示す指標14r及び左勝手設置用の取付穴14b(図11参照)の位置を示す指標14lが設けられている。従って、図9に示すように、吐水部15を吐水口15cが操作部17,18に向く方向に対して反時計回りに90度回転した位置で固定するとき、回転軸14の露出部分に設けられた指標14r,14lを目視することによって回転軸14の取付穴14a,14bの位置関係を確認できるので、取付けミスを防止することができる。
【0031】
また、浴槽30の上縁部31に水栓10を「左勝手設置」の形態で取り付ける場合、作業ミスなどにより、回転軸14の取付穴14a,14bの位置が間違っていた場合、図8で示したように、回転軸14の取付孔14a,14bのいずれにもビス16先端を固定することができないので、取付けミスが生じることがない。
【0032】
以上のように、水栓10の回転軸14に設けられた二つの取付穴14a,14bのうちの何れか一つを選択してビス16先端を嵌入させることにより、水栓本体12に対する吐水部15の回転範囲を変更することができる。従って、水栓10が設置される場所(例えば、ユニットバスUB)に存在する障害物(例えば、壁面W)との位置関係に応じた回転範囲に設定することができ、「右勝手設置」及び「左勝手設置」のどちらの設置条件にも対応可能である。
【0033】
従って、「右勝手設置」を行うか「左勝手設置」を行うかにより、水栓本体12、回転軸14及び吐水部15について異なる部材を用意する必要がなく、一種類の部品セットで「左勝手設置」及び「右勝手設置」の両方に対応することができる。なお、水栓本体12は、「右勝手設置」か「左勝手設置」を選択するかに応じて左右を反転させて基台(上縁部31)に固定されるのでストッパ12sの位置も変わるが、それに応じて、回転軸14に二つの取付穴14a,14bが設けられているので、「右勝手設置」、「左勝手設置」の両方に対応可能である。
【0034】
また、吐水部15の吐水口15cが操作部17,18の方向に向く方向に対して90度回転した位置において吐水部15を背面側より回転軸14に固定する方式としたことにより、もし、回転軸14の取付穴14a,14bの位置が間違っていた場合は回転軸14の取付孔14a,14bにビス16を固定することができないので、取付けミスが生じることがない。このため、「右勝手設置」または「左勝手設置」の取付けミスを防止することができる。
【0035】
さらに、回転軸14の露出部分である上端面14uに、「左勝手設置用」及び「右勝手設置用」の取付孔14a,14bの位置を示す指標14r,14lを設けたことにより、吐水部15を吐水口15cが操作部17,18に向く方向に対して90度回転した位置で固定するとき、回転軸14の露出部分に設けられた指標14r,14lを目視することによって回転軸14の取付穴14a,14bの位置関係を確認できるので、取付けミスを防止することができる。
【0036】
なお、前述の実施形態においては、浴槽30の上縁部31の下部に水栓本体12が埋め込まれている水栓10について説明したが、これに限定するものではなく、水栓本体12が、上縁部31の上面に固定される方式のものであっても実現可能であることはいうまでもない。
【0037】
さらに、前述の実施形態では、回転軸14に設けられた凹形状の取付孔14a,14bの各々を一つ一つの取付部とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、一対の凹形状部からなる取付部を複数回転軸に備えるとともに、一対の孔からなる一つの固定部を吐水部に備え、各固定位置において、2本のビスによって吐水部と回転軸とを固定する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の水栓取付構造は、一般住宅あるいはホテルや旅館などの宿泊施設の浴室や洗面化粧台などのカウンタに取付けられる水栓の施工技術として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 水栓
11 流路
12 水栓本体
12f フランジ部
12s ストッパ部
12u 上端部
13 第二流路
14 回転軸
14a,14b 取付穴
14l,14r 指標
14s,14t ストッパ受け部
14u 上端面
15 吐水部
15a,32 固定孔
15b 基端部
15c 吐水口
15L,15R 角度
16 ビス
17,18 操作部
20 固定ナット
21 シール材
30 浴槽
31 上縁部
UB ユニットバス
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓が取付けられる場所に存在する障害物との位置関係に応じて右勝手設置、左勝手設置のどちらにも対応可能な水栓の取付構造であって、
前記水栓は、基台に固定され湯水の流路が形成された水栓本体と、前記水栓本体の流路と連通した流路である第二流路が形成され前記水栓本体に回転自在に取付けられる回転軸と、前記回転軸に固定され前記第二流路を通過した前記湯水を外部へ吐出する吐水部と、前記吐水部と前記回転軸とを固定するための固定部材と、前記流路及び前記第二流路に流れる湯水を調節するとともに前記水栓本体に対して決まった位置で当該水栓本体に装着される操作部と、を備え、
前記水栓本体は前記回転軸の回転範囲を規制するストッパ部を有し、
前記回転軸は前記ストッパ部に当接することで回転が規制されるストッパ受け部を有し、
前記回転軸は前記固定部材によって前記吐水部が固定される取付部を有し、
更に、前記吐水部は前記固定部材によって前記回転軸が固定される固定部を有し、
前記吐水部は前記固定部を複数有し、前記複数の固定部の何れか一つを選択して用いて前記回転軸に前記吐水部を固定するか、
あるいは、前記回転軸は前記取付部を前記回線軸の周方向に複数有し、前記複数の取付部の何れか一つを選択して用いて前記吐水部を前記回転軸に固定することにより、
前記水栓本体に対する前記吐水部の回転範囲が対応可能であることを特徴とする水栓取付構造。
【請求項2】
前記固定部材はビスであり、前記取付部が前記ビス固定用の取付孔であり、前記固定部が前記ビス固定用の固定孔であり、
前記回転軸は左勝手設置用及び右勝手設置用の二つの取付孔を有し、更に、前記吐水部は、前記吐水部に形成された吐水口の向きと反対側の位置に前記固定孔を有し、
前記吐水口が前記操作部に向く方向に対して90度回転した位置において、前記取付孔に対して前記吐水部の前記固定孔にビス固定することを特徴とする請求項1記載の水栓取付構造。
【請求項3】
前記回転軸の露出部分に、前記右勝手設置用及び左勝手設置用の取付孔の位置を示す指標を設けたことを特徴とする請求項2記載の水栓取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−229686(P2010−229686A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77405(P2009−77405)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】