説明

水栓装置

【課題】表示部を大型化させることなく、設定状態を容易に把握することができる水栓装置を提供する。
【解決手段】本発明は、流量設定機能又は温度設定機能を備えた水栓装置(1)であって、水栓装置を操作するように、取付面に取り付けられた操作部(6)と、この操作部の内部に取付面に向けて配置され、光を射出する光源(38)と、この光源から射出された光を導いて、取付面(8)に光を照射する導光部材(42)と、この導光部材から射出された光によって取付面上に形成される光照射範囲(46)を変化させることにより、流量設定値又は温度設定値を表示する表示手段(26)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓装置に関し、特に、流量設定機能又は温度設定機能を備えた水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実公平4−17651号公報(特許文献1)には、吐水栓が記載されている。この吐水栓は、吐止水の切り換え、流量調整、吐水温度の調整を押しボタンスイッチによって行うことができるように構成されている。さらに、この吐水栓には、少量、適量、多量の流量調整状態、低温、適温、高温の温度設定状態を夫々表示するためのランプが設けられており、設定状態に応じてそれらのランプを点灯させることにより設定状態を表示している。
【0003】
特開2001−123485号公報(特許文献2)には、LED付水栓器具が記載されている。この水栓器具は、胴体側面にLEDが複数配置されており、これらのLEDを切り換えて発光させることにより射出する光の色を変化させ、発色の変化により吐水温度を表示するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】実公平4−17651号公報
【特許文献2】特開2001−123485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実公平4−17651号公報記載の吐水栓においては、吐水栓の採りうる設定状態の数だけ表示用のランプを設ける必要があるため、様々な設定状態を表示しようとすれば、多数のランプが配置されることになり吐水栓が大型化するという問題がある。或いは、小型の吐水栓に表示用のランプを多数設けることになるため、各表示部が小さくなり、表示が見にくくなるという問題がある。
【0006】
また、特開2001−123485号公報記載の水栓器具は、水栓器具が発する光の発色により設定状態を表示しているので、設定状態の数が増えても表示部が大型化することはない。しかしながら、設定状態が光の色合いで表示されるため、使用者が設定状態を直感的に把握することが難しいという問題がある。即ち、水栓器具から発せられる光の色が、如何なる温度に対応するものであるかを、使用者が正確に把握するのは困難である。
【0007】
従って、本発明は、表示部を大型化させることなく、設定状態を容易に把握することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、流量設定機能又は温度設定機能を備えた水栓装置であって、水栓装置を操作するように、取付面に取り付けられた操作部と、この操作部の内部に取付面に向けて配置され、光を射出する光源と、この光源から射出された光を導いて、取付面に光を照射する導光部材と、この導光部材から射出された光によって取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、流量設定値又は温度設定値を表示する表示手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、光を射出する光源が、操作部の内部に、操作部の取付面に向けて配置されている。この光源から射出された光は、導光部材によって導かれ、取付面に照射される。表示手段は、導光部材から射出された光によって取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、流量設定値又は温度設定値を表示する。
【0010】
このように構成された本発明によれば、取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、流量設定値又は温度設定値が表示されるので、表示部を大型化させることなく、水栓装置の設定状態を容易に把握することができる。また、光源からの光を導光部材によって導いて取付面に照射しているので、光源を操作部内部の奥まった位置にも配置することができる。
【0011】
また、本発明は、温水を吐水可能な水栓装置であって、水栓装置を操作するように、取付面に取り付けられた操作部と、水栓装置から吐出される湯水の温度を検出する温度検出手段と、操作部の内部に取付面に向けて配置され、光を射出する光源と、この光源から射出された光を導いて、取付面に光を照射する導光部材と、この導光部材から射出された光によって取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、温度検出手段によって検出された温度を表示する表示手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
このように構成された本発明においては、光を射出する光源が、操作部の内部に、操作部の取付面に向けて配置されている。この光源から射出された光は、導光部材によって導かれ、取付面に照射される。表示手段は、導光部材から射出された光によって取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、温度検出手段によって検出された温度を表示する。
【0013】
このように構成された本発明によれば、取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、温度検出手段によって検出された温度が表示されるので、表示部を大型化させることなく、水栓装置からの吐水温度を容易に把握することができる。また、光源からの光を導光部材によって導いて取付面に照射しているので、光源を操作部内部の奥まった位置にも配置することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、取付面に対してほぼ平行に延びるように、操作部の内部に配置された回路基板を有し、この回路基板の取付面と向かい合う側に光源が取り付けられている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、回路基板が、操作部の内部に、取付面に対してほぼ平行に延びるように配置されているので、操作部の取付面からの突出寸法を減じることを可能にしながら、光源を容易に取付面に向けて配置することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、導光部材が、取付面と平行に延びる板状に形成され、その板面が光源と向かい合い、この板状の導光部材の外周の端面から取付面に光が照射される。
【0017】
このように構成された本発明によれば、導光部材が、取付面と平行に延びる板状に形成されているので、操作部の取付面からの突出寸法を減じることを可能にしながら、操作部の周囲に光を射出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水栓装置によれば、表示部を大型化させることなく、設定状態を容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1乃至図5を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置を説明する。図1は、本実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。図2は、本実施形態による水栓装置の水栓機能部の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態による水栓装置の操作部の断面図である。さらに、図4は本実施形態の水栓装置の作用を示すタイムチャートである。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、吐水口2aが設けられたスパウト部である水栓本体2と、洗面カウンタ8に取り付けられた操作部6と、洗面ボウル4が配置された洗面カウンタ8の下側に配置された水栓機能部10と、を有する。
【0021】
本実施形態による水栓装置1は、操作部6を操作することにより、水栓機能部10に電気信号が送られ、各機能を実行することができる。即ち、水栓装置1は、操作部6を押圧操作することにより、水栓本体2の吐水口2aからの吐水、止水の切り換え及び吐水流量の調整を行うことができ、操作部6を回転操作することにより、吐水温度の調整を行うことができるように構成されている。即ち、本実施形態の水栓装置1は、操作部6により、吐水、止水の切り換え、及び流量調整機能、温度調整機能を果たすことができる。
【0022】
図2に示すように、水栓機能部10は、給湯管12a及び給水管12bに接続された温調バルブ12と、3つの電磁弁14、16、18と、各電磁弁と水栓本体2の間に夫々接続された3つの定流量弁20、22、24と、温調バルブ12及び各電磁弁を制御するコントローラ26と、吐水される湯水の温度を測定する温度検出手段である温度センサ28と、を有する。
【0023】
温調バルブ12の出口管路には、3つの電磁弁、即ち、小流量用電磁弁14、中流量用電磁弁16、及び大流量用電磁弁18が並列に接続されている。さらに、各電磁弁の出口側には、定流量弁が夫々直列に接続されている。即ち、小流量用電磁弁14の出口側には小流量の定流量弁20が、中流量用電磁弁16の出口側には中流量の定流量弁22が、大流量用電磁弁18の出口側には大流量の定流量弁24が夫々接続されている。さらに、各定流量弁の出口側は合流され、水栓本体2に接続されている。
【0024】
この構成により、小流量用電磁弁14が開放されると、温調バルブ12から流出した湯水は小流量用電磁弁14を通って小流量の定流量弁20に流入し、ここで所定の小流量に流量が制限されて水栓本体2の吐水口2aから吐出される。同様に、中流量用電磁弁16が開放されると湯水は中流量用電磁弁16を通って中流量の定流量弁22に流入し、ここで所定の中流量に流量が制限され、大流量用電磁弁18が開放されると湯水は大流量用電磁弁18を通って大流量の定流量弁24に流入し、ここで所定の大流量に流量が制限されて水栓本体2の吐水口2aから吐出される。
【0025】
温調バルブ12は、温度設定に従って、給湯管12aから流入した湯、及び給水管12bから流入した水を混合して流出させるように構成されている。本実施形態においては、温調バルブ12として、主弁体を形状記憶合金バネ及びバイアスバネの付勢力により駆動して温度を調整するタイプのサーモバルブが使用されている。また、温調バルブ12から吐出される湯水の設定温度は、温調バルブ12に連結されたモータ12cを駆動することにより変更することができる。
【0026】
コントローラ26は、操作部6から入力された電気信号に基づいて、各電磁弁及び温調バルブ12に信号を送って、これらを制御するように構成されている。具体的には、コントローラ26は、操作部6からの信号を入力するための入力インターフェイス、制御プログラム、設定温度、設定流量等を記憶する記憶手段であるメモリ、プログラムを実行するマイクロプロセッサ、各電磁弁及び温調バルブを駆動するための出力インターフェイス(以上、図示せず)等から構成される。コントローラ26による制御の詳細は、後述する。
【0027】
温度センサ28は、各定流量弁からの湯水が合流する部分よりも下流側の管路に配置されており、吐水口2aから吐出される湯水の温度を計測するように構成されている。
【0028】
図3に示すように、操作部6は、操作部の取付面である洗面カウンタ8に取り付けられ、操作ハンドル30と、操作部本体部32と、この操作部本体部32に内蔵された回転及び押圧検出デバイス34と、を有する。さらに、操作部6は、内部に配置された回路基板36と、この回路基板36に実装された複数の光源であるLED38と、回路基板36を覆うカバー部材40と、光源であるLED38からの光を導く導光部材42と、を有する。
【0029】
操作ハンドル30は、使用者によって把持され、押圧される円盤状の円板部30aと、この円板部30aの裏側中央から背面側に突出する軸部30bと、を有する。さらに、円板部30aの外周には洗面カウンタ8に向けて延びる側壁部30cが形成されており、この側壁部30cの内側の、円板部30aの背面側に、回路基板36、カバー部材40等が収納されている。また、側壁部30cの下端と洗面カウンタ8の上面の間には隙間があり、この隙間により、洗面カウンタ8に隣接するように、操作部6の基端部に凹部30dが形成される。
【0030】
操作部本体部32は概ね円筒状の部材であり、その中心軸線に沿って操作ハンドル30の軸部30bが延びると共に、内部に回転及び押圧検出デバイス34が収納されている。また、操作部本体部32の上部には、外方に向けて延びるフランジ部32aが形成されている。さらに、操作部本体部32の外周下部には雄ネジが形成されており、この雄ネジには、操作部固定部材44が螺合される。操作部6は、フランジ部32aと操作部固定部材44の間に洗面カウンタ8を挟むことにより、洗面カウンタ8に固定される。
【0031】
回転及び押圧検出デバイス34は、その中心から突出するスピンドル34aを備えており、このスピンドル34aの先端が、操作ハンドル30の軸部30bの先端に結合されている。スピンドル34aは、回転及び押圧検出デバイス34のデバイス本体34bに対して、回転及び押し込み可能に設けられており、操作ハンドル30の回転操作及び押圧操作を検知できるようになっている。スピンドル34aは、操作ハンドル30が押圧操作されると、デバイス本体34bに押し込まれ、押圧力が作用しなくなると、元の位置に押し戻されるようになっている。回転及び押圧検出デバイス34が回転操作又は押圧操作を検知すると、その検出信号は、コントローラ26に送られる。
【0032】
また、使用者により押圧力が加えられても操作ハンドルが殆ど押し込まれないように、操作部を構成することもできる。この場合には、圧力センサ等により押圧操作を検出することができる。なお、本明細書において、押圧操作とは、使用者の押圧力により操作ハンドルが押し込まれる操作、及び操作ハンドルが殆ど押し込まれない操作の両方を含むものとする。
【0033】
回路基板36は、概ねドーナツ型に形成されており、洗面カウンタ8に対してほぼ平行に延びるように配置されている。回路基板36の洗面カウンタ8と向かい合う側の面には、円周上に複数のLED38が実装されている。また、回路基板36からは、コントローラ26に接続されたリード線36aが延びており、このリード線36aを介してLED38を発光させるための電力が供給される。
【0034】
カバー部材40は、円板部40aと、この円板部40aの中央から背面側に向かって延びる円筒部40bと、を有し、操作ハンドル30と同心的に配置されている。円筒部40bは操作部本体部32の内部に受け入れられており、円筒部40bの中を貫通するように操作ハンドル30の軸部30bが延びている。円板部40aは、操作ハンドル30の側壁部30cの内周面まで延びて、回路基板36を覆っている。円板部40aの外周と、側壁部30cの内周面との間には、シール部材40cが配置されており、操作ハンドル30とカバー部材40の間の水密性を確保している。
【0035】
導光部材42は、ドーナツ型の透光性平板であり、操作部本体部32のフランジ部32a上面に、洗面カウンタ8と平行に配置されている。これにより、導光部材42の板面は、回路基板36に実装された各LED38と向かい合うように位置する。各LED38から射出された光は、導光部材42の板面からその内部を界面反射よって伝搬し、導光部材42の外周端面42aから放射方向に射出される。このため、各LED38から射出された光は、操作部6の基端部の凹部30dから放射方向に射出される。なお、導光部材42の内部での光の伝播率を上げるために、導光部材42の中心側内面、及び、上下面(LED38と対向する入射面は除く)が反射面となるように表面処理したり、当接面を鏡面材としたりすることが望ましい。
【0036】
また、コントローラ26は、操作部6からの電気信号に基づいて各電磁弁及び温調バルブ12を制御して、設定された流量及び温度の湯水を吐出させると共に、操作部6に内蔵されているLED38を発光させ、吐水流量を表示する表示手段として機能する。従って、表示手段は、コントローラ26を構成するマイクロプロセッサ等により実現される。
【0037】
コントローラ26に内蔵された表示手段は、吐水されている流量に応じて、操作部6に内蔵された各LED38を発光させる輝度を変更する。即ち、小流量の場合には輝度を低く、中流量の場合は輝度を中程度に、大流量の場合は輝度を高くする。これにより、LED38から射出され、導光部材42の板面から導光部材42内に入射し、導光部材42の外周端面42aから射出される光の強度が変化する。導光部材42の外周端面42aから射出される光の強度が変化すると、この光が照射される洗面カウンタ上の光照射範囲が変化する。
【0038】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用を説明する。
図4は、操作部6の押圧操作のタイミングを上段に、吐水流量を下段に示したタイムチャートである。図5は、操作部6の周囲に形成される光照射範囲の状態を示す斜視図である。
【0039】
まず、止水状態の時刻t1において、操作部6の操作ハンドル6aが押圧されると、操作部6に内蔵された回転及び押圧検出デバイス34がこれを検知し、コントローラ26に信号を送る。コントローラ26は、電磁弁に信号を送ってこれを開放させ、吐水を開始させる。また、この際、コントローラ26に内蔵された表示手段は、操作部6に内蔵されたLED38に電力を供給し、これを発光させる。
【0040】
LED38から射出された光は、導光部材42の板面から導光部材42内に入射し、導光部材42の外周端面42aから射出される。導光部材42の外周端面42aから射出された光は、操作部6が取り付けられた洗面カウンタ8に投射され、図5に示すように、操作部6周囲の洗面カウンタ8上に環状の光照射範囲46を形成する。導光部材42の外周端面42aは光を洗面カウンタ8に投射すべく、操作部6の基端部の高さ方向の限られた範囲に帯状に形成されている。そのため、通常の使用状態では外周端面42aの高さ方向よりも洗面カウンタ8によって反射された光の範囲の方が広く使用者に目に入る。
更に、光が射出される導光部材42の外周端面42aは、操作部6の基端部に形成された凹部30d内に位置しているので、通常の使用状態においては、光を射出する導光部材42の外周端面42aが使用者の目に触れることは少なく、導光部材42から射出され、洗面カウンタ8によって反射された光が、主に使用者の目に入る。
【0041】
図5に示すように、環状の光照射範囲46は、操作部6の全周に同心円状に形成され、導光部材42から射出される光の強度が低い場合には図5(a)のように直径が小さく、光の強度が増す毎に図5(b)(c)のように直径が大きくなる。即ち、使用者は、洗面カウンタ8上に形成された光照射範囲46の大きさの変化によって、水栓装置1の設定状態を知ることができるので、操作部6の取付面である洗面カウンタ8を表示部として機能させることができる。
【0042】
時刻t1において、止水状態から吐水状態に切り換えられると、コントローラ26に内蔵された表示手段は、LED38を一瞬、高輝度で発光させる。これにより、図5(c)のような、直径の大きい光照射範囲46が形成される。次に、表示手段は、LED38を吐水流量に応じた輝度で発光させる。図4に示す例では、前回の吐水が中流量の状態で停止されていたため、中流量で吐水が開始され、LED38は中程度の輝度で発光される。これにより、図5(b)のような中程度の大きさの光照射範囲46が形成される。
【0043】
このように、表示手段は、吐水開始時にLED38を一旦高輝度で発光させるため、使用者は、その後LED38が吐水流量に対応する輝度で発光されたとき、その吐水流量が、最大流量に対してどれくらいの大きさであるかを容易に把握することができる。即ち、吐水開始時に一旦図5(c)の光照射範囲46が形成された後、図5(b)の光照射範囲46が形成されるので、使用者は、現在の吐水流量が最大吐水流量よりも少ないものであることを認識することができる。
【0044】
次に、吐水状態の時刻t2において、操作ハンドル6aが再び押圧され、そのまま時刻t3まで押し続けられると、コントローラ26は、操作ハンドル6aが長押しされたことを認識する。操作ハンドル6aが長押しされると、コントローラ26は、大流量用電磁弁18に信号を送ってこれを開放させると共に、中流量用電磁弁16に信号を送ってこれを閉鎖させ、大流量の吐水を開始させる。また、表示手段は、LED38を高輝度で発光させ、図5(c)のような直径の大きい光照射範囲46を形成させる。これにより、使用者は、流量が大流量に変更されたことを認識する。
【0045】
さらに、操作ハンドル6aが時刻t4まで押し続けられると、コントローラ26は、中流量用電磁弁16を開放させると共に大流量用電磁弁18を閉鎖させ、流量を中流量に戻す。同時に、表示手段は、LED38を中程度の輝度で発光させ、図5(b)のような中程度の光照射範囲46を形成させる。これにより、使用者は、流量が中流量に変更されたことを認識する。
【0046】
続いて、操作ハンドル6aが時刻t5まで押し続けられると、コントローラ26は、小流量用電磁弁14を開放させると共に中流量用電磁弁16を閉鎖させ、流量を小流量に変更する。同時に、表示手段は、LED38を低輝度で発光させ、図5(a)のような直径の小さい光照射範囲46を形成させる。これにより、使用者は、流量が小流量に変更されたことを認識する。
【0047】
同様に、操作ハンドル6aが時刻t6まで押し続けられると、コントローラ26は、今度は流量を中流量に変更する。このように、コントローラ26は、操作ハンドル6aが押し続けられると、増減を繰り返すように流量を変更する。
【0048】
時刻t7において、使用者が押圧操作を止めると、その後、吐水流量は中流量に維持され、LED38の発光も中程度の輝度に維持される。さらに、時刻t8において、操作ハンドル6aの通常の押圧操作(長押しでない押圧操作)がなされると、コントローラ26は、中流量用電磁弁16を閉鎖させ止水状態とする。また、表示手段は、LED38を消灯させる。
【0049】
一方、操作ハンドル6aが回転操作されると、操作部6に内蔵された回転及び押圧検出デバイス34がこれを検知し、コントローラ26に信号を送る。コントローラ26は、温調バルブ12に信号を送って、回転操作に応じて設定温度を変更する。
【0050】
本発明の第1実施形態の水栓装置によれば、洗面カウンタ上に形成される光照射範囲の変化により、流量設定値が表示されるので、表示部を大型化させることなく、使用者は流量設定値を容易に把握することができる。また、光源からの光を導光部材によって導いて取付面に照射しているので、操作部内部の奥まった位置に光源を配置することができ、操作部を薄型に構成することができる。
【0051】
また、本実施形態の水栓装置によれば、回路基板が、操作部の内部に、取付面に対してほぼ平行に延びるように配置されているので、操作部を薄型に構成することを可能にしながら、LEDを容易に取付面に向けて配置することができる。
さらに、本実施形態の水栓装置によれば、導光部材が、取付面と平行に延びる板状に形成されているので、操作部を薄型に構成することを可能にしながら、操作部の周囲に光を射出することができる。
【0052】
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置を説明する。本実施形態の水栓装置は、操作部が洗面カウンタではなく、洗面ボウル上に設けられている点が上述した第1実施形態とは異なる。また、本実施形態の水栓装置は、操作部の周囲に形成される光照射範囲の大きさによって、吐水口からの実際の吐水温度を表示する点も、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の点については説明を省略する。図6は、本実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【0053】
図6に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置100は、操作部6が洗面ボウル4の手前右側の水平面部に設けられている。従って、本実施形態においては、操作部6の取付面は洗面ボウル4の水平面部であり、洗面ボウル4に隣接するように、操作部6の基端部に凹部30d(図3)が形成される。凹部30dから射出され光は、洗面ボウル4の水平面部に投射され、この水平面部に光照射範囲が形成される。
【0054】
また、本実施形態においては、吐水口2aから吐水される湯水の温度が、吐水口2aに至る途中の管路に設けられた温度センサ28(図2)によって検出され、検出された信号はコントローラ26に送られる。コントローラ26に内蔵された表示手段は、温度センサ28によって検出された信号に基づいて、操作部6に内蔵されたLED38の発光輝度を変化させる。これにより、洗面ボウル4に形成される光照射範囲が変化され、吐水温度が表示される。
【0055】
本発明の第2実施形態の水栓装置によれば、取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、温度検出手段によって検出された温度が表示されるので、表示部を大型化させることなく、使用者は、水栓装置からの吐水温度を容易に把握することができる。
【0056】
さらに、上述した実施形態においては、温度センサによって検出された温度が表示されていたが、変形例として、温度設定値を光照射範囲により表示するように水栓装置を構成することもできる。
また、操作部は、洗面カウンタ、洗面ボウルの他、任意の取付面に取り付けることができる。
【0057】
さらに、上述した実施形態においては、光照射範囲の大きさを同心円状に変化させることにより、表示すべき値を表示していたが、光照射範囲の形状は、長方形、扇形等、任意に設定することができる。
【0058】
また、上述した実施形態においては、表示手段は各LEDの発光輝度を変化させることにより、光照射範囲を変化させていたが、複数のLED等の光源のうちの発光させる光源の数を増減させることにより、光照射範囲を変化させるように水栓装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の操作部の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水栓装置の作用を示すタイムチャートである。
【図5】操作部の周囲に形成される光照射範囲の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 本発明の第1実施形態による水栓装置
2 水栓本体(スパウト部)
2a 吐水口
4 洗面ボウル
6 操作部
6a 操作ハンドル
6b 操作部本体部
6c 回転検出デバイス
6d 押圧検出デバイス
8 洗面カウンタ
10 水栓機能部(流量・温度調整手段)
12 温調バルブ
12a 給湯管
12b 給水管
14 小流量用電磁弁
16 中流量用電磁弁
18 大流量用電磁弁
20 小流量の定流量弁
22 中流量の定流量弁
24 大流量の定流量弁
26 コントローラ
28 温度センサ(温度検出手段)
30 操作ハンドル
30a 円板部
30b 軸部
30c 側壁部
30d 凹部
32 操作部本体部
32a フランジ部
34 回転及び押圧検出デバイス
34a スピンドル
34b デバイス本体
36 回路基板
36a リード線
38 LED(光源)
40 カバー部材
40a 円板部
40b 円筒部
40c シール部材
42 導光部材
42a 外周端面
44 操作部固定部材
46 光照射範囲
100 本発明の第2実施形態による水栓装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量設定機能又は温度設定機能を備えた水栓装置であって、
上記水栓装置を操作するように、取付面に取り付けられた操作部と、
この操作部の内部に上記取付面に向けて配置され、光を射出する光源と、
この光源から射出された光を導いて、上記取付面に光を照射する導光部材と、
この導光部材から射出された光によって上記取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、流量設定値又は温度設定値を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
温水を吐水可能な水栓装置であって、
上記水栓装置を操作するように、取付面に取り付けられた操作部と、
上記水栓装置から吐出される湯水の温度を検出する温度検出手段と、
上記操作部の内部に上記取付面に向けて配置され、光を射出する光源と、
この光源から射出された光を導いて、上記取付面に光を照射する導光部材と、
この導光部材から射出された光によって上記取付面上に形成される光照射範囲を変化させることにより、上記温度検出手段によって検出された温度を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項3】
さらに、上記取付面に対してほぼ平行に延びるように、上記操作部の内部に配置された回路基板を有し、この回路基板の上記取付面と向かい合う側に上記光源が取り付けられている請求項1又は2記載の水栓装置。
【請求項4】
上記導光部材が、上記取付面と平行に延びる板状に形成され、その板面が上記光源と向かい合い、この板状の導光部材の外周の端面から上記取付面に光が照射される請求項1乃至3の何れか1項に記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−235803(P2009−235803A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84128(P2008−84128)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】