説明

水栓

【課題】カバーを外観良く容易に施工できる水栓を提供する。
【解決手段】壁に取り付けられるステー22と、ステー22に保持される水栓本体19と、ステー22を覆うカバーを備える。カバーが複数のカバー体16、17で構成される。カバー体16はステー22の両側に配置される側板部36が連結部で一体に連結されたものである。ステー22の両側端部に、カバー体16の両側板部36の夫々の内面に当接する被嵌込部40が形成される。カバー体16の各側板部36の内面に、対応する被嵌込部40が上下方向及び前後方向に移動が規制された状態で嵌め込まれる嵌込部41が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓本体を壁に取り付けられるステーで支持し、このステーをカバーで覆った水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から壁に取り付けられたステーで水栓本体を支持し、このステーをカバーで覆った水栓が特許文献1により知られている。この水栓は、カバーが複数のカバー体で構成され、一のカバー体を構成する背面カバーがステーに対してねじで取付けられ、ステーの両側に配置された他のカバー体である各カラーは前端部が水栓本体の本体部に対して固定されると共に後端部が背面カバーに嵌め込まれて保持される。また、特許文献1には前記各カラーを背面カバーと一体に形成することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記各カラーに外側方から荷重が加わった場合には、カラーが内側方に撓んで、変形したり、カラーと他のカバー体の間に隙間が形成されたりする恐れがある。また、各カラーを背面カバーと一体に成形した場合には寸法誤差によって当該カラー部分が内側に位置する可能性があり、この場合もカラー部分と他のカバー体との間に隙間等が生じる恐れがある。また、前記各カラーを設けるにはステーに背面カバーをねじを用いて取り付ける必要があり、施工に手間を要する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、カバーを外観良く容易に施工できる水栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の水栓は、壁に取り付けられるステーと、このステーに保持される水栓本体と、前記ステーを覆うカバーを備え、このカバーが複数のカバー体で構成され、一のカバー体は前記ステーの両側に配置される側板部が連結部で一体に連結されたものであり、前記ステーの両側端部に、前記一のカバー体の両側板部の夫々の内面に当接する被嵌込部が形成され、前記カバー体の各側板部の内面に、前記対応する被嵌込部が上下方向及び前後方向に移動が規制された状態で嵌め込まれる嵌込部が形成されたことを特徴とする。
【0007】
また、前記連結部の前縁部が水栓本体の下面に重ねられることが好ましい。
【0008】
また、前記カバーは、前記一のカバー体で構成される第一カバー体に加えて、前記第一カバー体の両側板部上に載置されてステーの上側を覆う第二カバー体を有し、前記第一カバー体の各側板部に内側方に向けて突出する掛合部が形成され、前記第二カバー体の両側に、対応する前記掛合部に掛合して上方への移動が規制される被掛合部が形成されることが好ましい。
【0009】
また、前記第一カバー体の連結部の前縁部が水栓本体の下面に重ねられると共に前記第二カバー体の前縁部が水栓本体の上面に重ねられ、前記第一カバー体の連結部の前縁部と前記第二カバー体の前縁部で水栓本体が上下に挟まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、カバーを外観良く且つ容易に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の第一カバー体及びステーに第二カバー体を取付ける前の状態を示す斜視図である。
【図2】水栓の斜視図である。
【図3】水栓の後側から見た斜視図である。
【図4】水栓本体に継手を接続する前の状態を示す斜視図である。
【図5】ステーに継手を取付ける前の状態を示す斜視図である。
【図6】水栓本体にシャワー用配管を接続する前の状態を示す斜視図である。
【図7】ステーに第一カバー体を取付ける前の状態を示す斜視図である。
【図8】ステーに第一カバー体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】第二カバー体の固定部を第一カバー体の嵌込溝に嵌めた状態を示す斜視図である。
【図10】第二カバー体の被掛合部及び固定部を示す斜視図である。
【図11】水栓ユニットを掛具に引っ掛けた状態を示す斜視図である。
【図12】水栓ユニットを掛具に引っ掛ける前の状態を示す斜視図である。
【図13】水栓ユニットを壁に固着する前の状態を示す斜視図である。
【図14】第三カバー体を取り付ける前の水栓の斜視図である。
【図15】カバーの上部を後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の水栓1は浴室の壁2(図14等参照)に沿って設けられるカバー付きの湯水混合水栓である。なお、以下では、特に記載する場合を除いて、各構成部材について設置状態における方向を基準として説明する。すなわち、壁2と直交する方向を前後方向とすると共に水栓1から見て壁2側を後方として説明する。
【0013】
図13に示すように浴室には水栓1に水を供給するための配管として給水管3及び給湯管5が設けられる。給水管3及び給湯管5は屈曲自在なフレキシブル管からなり、壁2に前方に突出して設けられたカウンター6の内部に通された後、壁2に沿ってカウンター6の上方に引き出される。給水管3及び給湯管5は、後述の水栓ユニット13及びカバー体18の設置前において、ねじ10により壁2に取り付けられた保持具7により保持される。
【0014】
水栓1は、図11に示す水栓ユニット13と、前記保持具7と、図14等に示される合成樹脂製のカバー体18で構成されている。
【0015】
水栓ユニット13はカウンター6の上方の壁2に取り付けられる。図11のように、水栓ユニット13は、水栓本体19と、水栓本体19に設けられる継手20,21及びシャワー用配管71(図6参照)と、ステー22と、ステー22の左右両側を覆うカバー体16と、ステー22の上側を覆うカバー体17(図1参照)とで構成されている。
【0016】
水栓本体19は弁装置を内蔵したシリンダー(不図示)をハウジング23内に組み込んだものである。図4のようにハウジング23の後部は後方から見て長手方向を左右方向とした矩形状に形成されている。このハウジング23の後部はカバー体16とカバー体17で上下に挟み込まれる挟込部25となっている。
【0017】
挟込部25の後面両側には継手接続部72,73が設けられている。継手接続部72,73には継手20,21の夫々の下流端部が接続され、これら継手20,21により給水管3及び給湯管5の夫々はシリンダーに接続される。挟込部25の後面中央部には配管接続部75が設けられている。配管接続部75にはシャワー用配管71の上流端部が接続され、シャワー用配管71の下流側にはシャワーヘッド(不図示)が設けられる。
【0018】
給水管3及び給湯管5から継手20,21を介して水及び湯の夫々が前記シリンダー内に供給され、これら水及び湯はシリンダー内で所望の割合で混合されて所望温度の湯水が生成される。
【0019】
図11のようにハウジング23の前部中央部には前記湯水を吐出するための吐水口26が下方に突出して設けられている。
【0020】
ハウジング23の前部の外側面には切替ハンドル27が設けられている。切替ハンドル27を操作することで、シリンダー内で生成された湯水を、吐水口26側に供給して吐出するか、あるいはシャワー用配管側に供給してシャワーヘッドから吐出するかが切り替えられる。また、切替ハンドル27を操作することで、前記吐水口26やシャワーヘッドから吐出される湯水の量の調節も行えるようになっている。
【0021】
ハウジング23の前部の前記切替ハンドル27と反対側の外側面には温度調節ハンドル28が設けられている。温度調節ハンドル28を操作することで、前記シリンダー内で混合される水と湯の割合を調節でき、これにより吐水口26やシャワーヘッドから吐出される湯水の温度が調節される。
【0022】
図5のように各継手20,21は側方から見てクランク状に屈曲したソケットからなる。クランク状にすることで各継手20,21の下部に形成された前後に延びる管部29には、図示しない止水栓及びストレーナーが内装されている。
【0023】
各継手20,21は下端部に下方に突出した接続口部30を有している。両継手20,21の接続口部30には給水管3の下流端部及び給湯管5の下流端部の夫々が接続される。
【0024】
図11のように各継手20,21の管部29の前面には前記止水栓の操作部31が設けられている。各操作部31を操作することで、給水管3や給湯管5から水栓本体19へ給水するか否かが切り替えられる。
【0025】
各継手20,21の管部29の前面は脱着可能なキャップ32で構成され、このキャップ32に前記ストレーナーが取り付けられている。継手20,21からキャップ32を取り外すことで前記ストレーナーを継手20,21から取り出して掃除等が行えるようになっている。
【0026】
水栓本体19の後方に配置されるステー22は壁2に取り付けられ、継手20,21を介して水栓本体19を保持する。ステー22はステンレス製の金属板からなり、図5に示すように、左右に長い板状の壁掛部33と、壁掛部33の両側から下方に向けて突出して継手20,21の夫々が固着される継手固着部35を有している。各継手固着部35にはねじ76を通すための孔80が形成されている。一方、各継手20,21の管部29の後端部には上方に突出する被固着部78が設けられ、各被固着部78にはねじ孔79が設けられている。各継手固着部35に継手20,21を取り付けるには、継手固着部35の孔80に後方から通したねじ76を継手20,21のねじ孔79にねじ込む。
【0027】
ステー22の一方の継手固着部35の外側縁には前方に突出する配管支持部77形成されている。配管支持部77により水栓本体19の配管接続部75に接続されたシャワー用配管71が支持される。
【0028】
図1に示す水栓ユニット13のカバー体16,17は、カバー体18と同様、合成樹脂成形品からなり、これらカバー体16〜18で水栓1全体のカバー15が構成されている。以下カバー体16〜18の夫々を、第一カバー体16、第二カバー体17、第三カバー体18と記載する。
【0029】
第一カバー体16は、図7に示すようにステー22の両側に配置される側板部36を連結部37で一体に連結したものであり、ステー22に取り付けられる。
【0030】
各側板部36はカバー15の上端部の側面を構成する。連結部37は両側板部36の下縁の前端部同士を接続する横板状に形成されている。各側板部36の下縁には内側方に突出する下縁部38が形成されている。両下縁部38の前端は連結部37の後縁の両側端部に接続され、両下縁部38の間には開口39が形成されている。
【0031】
第一カバー体16の各側板部36の内面における後端部の上部には内側方に突出する被嵌込部40が形成されている。各被嵌込部40は前後に離間した縦リブ81,82の下部を上下に離間した横リブ83,84で接続したものである。
【0032】
両縦リブ81,82の間は横リブ83によって上下に仕切られている。横リブ83の下方には内側方に開口すると共に上下端が横リブ83,84によって塞がれた下溝86が形成されている。横リブ83の上方には内側方に開口すると共に下端部が横リブ84によって塞がれた上溝87が形成され、上溝87は上方に開口している。
【0033】
ステー22の壁掛部33の両側端部には嵌込部41が形成されている。各嵌込部41は壁掛部33の上下両端部から外側方に突出する突片部88,89からなる。
【0034】
第一カバー体16をステー22に取り付けるには、図8のように第一カバー体16の両側板部36の被嵌込部40をステー22の対応する嵌込部41に嵌め込む。すなわち、第一カバー体16の各下溝86にステー22の対応する下の突片部89を嵌め込むと共に第一カバー体16の各上溝87にステー22の対応する上の突片部88を嵌め込む。これにより各被嵌込部40は、突片部89によって上下方向及び前後方向の移動が規制されると共に、突片部88によって前後方向の移動が規制される。
【0035】
第一カバー体16の各被嵌込部40をステー22の対応する嵌込部41に嵌め込んだ状態では、ステー22の突片部88,89が第一カバー体16の側板部36の内面を構成する上溝87及び下溝86の夫々の奥面に当接する。従って、ステー22の嵌込部41により、第一カバー体16の両側板部36の内側方への移動が規制される。
【0036】
このようにステー22に取り付けられた第一カバー体16は、図11に示すように連結部37の前縁部が水栓本体19の挟込部25の下面後縁部に当接して重ねられる。また、第一カバー体16の両側板部36の前縁部が水栓本体19の挟込部25の両側面後端部に重ね合わされる。また、前記ステー22に取付けられた継手20,21は、その下部が第一カバー体16の開口39を介して下方に突出する。
【0037】
図7に示すように第一カバー体16の一方の側板部36(図示例では向かって左側の側板部36)には、シャワー用配管71の下流側を水栓ユニット13から引き出すための孔42が形成されている。
【0038】
図1に示す第二カバー体17は第一カバー体16及びステー22に取り付けられる。第二カバー体17の主体は第一カバー体16の両側板部36の間に形成された空間の上方を覆う面板部90で構成され、カバー15の上端面を構成する。
【0039】
図10のように面板部90の下面両側の前後2箇所には、下方に突出する被掛合部43が形成されている。各被掛合部43は面板部90の両側縁よりもやや内側に位置し、面板部90の両側縁部は両側の被掛合部43よりも外側方に突出している。各被掛合部43は側面視L字状に形成され、面板部90から下方に突出する縦片部91と、縦片部91の下端部から前方に突出する横片部92とで構成されている。
【0040】
面板部90の下面における各被掛合部43の近傍には下方に突出する固定部93が夫々形成されている。各固定部93は前後に長い棒状に形成され、後端部が縦片部91の内側端部に接続されている。
【0041】
図9に示すように、第一カバー体16の各側板部36の内面の前後2箇所には掛合部45が形成されている。各掛合部45は側面視逆L字状に形成され、各側板部36の上端部から内側方に向けて突出する横片95を備えている。各側板部36の横片95の上面は側板部36の上端面と面一となり、同面には前後に開口した嵌込溝96が形成されている。
【0042】
第二カバー体17を第一カバー体16に取付けるには、まず、第二カバー体17の面板部90の両側縁部を第一カバー体16の両側板部36上に載せる。このとき、第二カバー体17は取付け位置よりもやや後方にずれた位置に載せ、第二カバー体17の各被掛合部43は第一カバー体16の対応する掛合部45の後方に配置する。次に、第二カバー体17を第一カバー体16の両側板部36の上縁に沿って前方にスライドさせる。これにより、図15のように第二カバー体17の各被掛合部43の横片部92が第一カバー体16の対応する横片95の下面に掛合され、上方への移動が規制される。同時に、図9のように第二カバー体17の各固定部93が第一カバー体16の対応する嵌込溝96に嵌め込まれ、左右の移動が規制される。
【0043】
図3に示すように第二カバー体17の面板部90の後端部中央には下方に突出する側面視略L字状の掛止部46が形成されている。また、ステー22の壁掛部33の左右方向中央部には掛孔47が形成されている。前記第二カバー体17を第一カバー体16に取付けた状態では、掛止部46の先端部がステー22の掛孔47の上縁部に掛止され、上方への移動が規制される。
【0044】
このように第二カバー体17を第一カバー体16に取付けた状態では、図12等に示すように第二カバー体17の前縁部下面が水栓本体19の挟込部25の後端部の上面に当接して重ねられる。これにより、水栓本体19の挟込部25は、第一カバー体16の連結部37と第二カバー体17とで上下に挟まれる。また、第二カバー体17の面板部90の両側縁部が第一カバー体16の両側板部36上に載置されると共に、面板部90の後縁部がステー22の壁掛部33上に載置される。
【0045】
水栓ユニット13の組立は例えば以下のように行われる。まず、図4に示す水栓本体19に継手20,21を接続して図5のようにし、この後、各継手20,21をステー22に取付けて図6のようにする。次に、水栓本体19にシャワー用配管71を接続すると共に、シャワー用配管71を配管支持部77で支持して図7のようにする。次に第一カバー体16をステー22に取付けて図8のようにし、この後、第二カバー体17を第一カバー体16及びステー22に取り付ける。なお、これらの施工方法は前述した通りである。
【0046】
水栓ユニット13を壁2に取付けるにあたって、図12のように壁2には掛具48が左右に二個並べて設けられる。各掛具48は筒状のスペーサーからなり、その外周面には周方向に亘って溝49が形成されている。各掛具48を壁2に取付けるには、ねじ51を筒状の掛具48の内側の孔に前方から通して壁2に固着する。
【0047】
図3のようにステー22の壁掛部33の両側には壁掛孔52が形成されている。各壁掛孔52は下部よりも上部の孔幅を小さくしただるま孔からなる。また、各継手20,21の下部には壁固着部53が形成されている。壁固着部53は継手20,21の後端部から左右両側に向けて突出している。各壁固着部53にはねじ55(図13参照)を挿通させるための孔56が形成されている。
【0048】
水栓ユニット13を壁2に取付けるには、まず、ステー22両側の壁掛孔52の下部に、対応する掛具48を挿入する。次に、水栓ユニット13を壁2に沿って下方に移動して、各掛具48を壁掛孔52の上部に配置する。これにより、各掛具48の溝49に壁掛孔52の上縁部が嵌まり、ステー22の壁掛部33が両掛具48に引掛けられて、図11のように水栓ユニット13が壁2に仮止めされる。この後、各継手20,21の各壁固着部53の孔56に前方から通したねじ55(図13参照)を壁2に固着することで、水栓ユニット13が壁2に本固定される。
【0049】
水栓ユニット13が壁2に取付けられた後、水栓ユニット13の継手20,21の接続口部30には、図14のように前記保持具7により保持された給水管3及び給湯管5の夫々の下流端部が接続される。
【0050】
この後、第三カバー体18が、第一カバー体16と保持具7の両者に脱着可能に取付けられ、カウンター6とこの上方の水栓ユニット13の間に配置される。
【0051】
第三カバー体18は、図3に示すように前面部57から両側面部58及び下面部59を後方に突出したものであり、上方及び後方に開口している。下面部59の両側には、カウンター6から上方に引き出した給水管3及び給湯管5の夫々を通すための切欠60が形成されている。
【0052】
第三カバー体18の各側面部58の下部内面には上下に長い凹部からなる被嵌合部61が形成されている。また、図14に示すように、保持具7の左右両端部には被嵌合部61が嵌合される嵌合部62が形成されている。
【0053】
図2のように第三カバー体18の前面部57は、下部が鉛直であるのに対して上部が上方程前方に位置するよう傾斜している。図14のように前面部57の上端部両側には後方に向けて突出する被差込部63が形成されている。前面部57の上端部中央には後方に向けて突出して先端に爪部66を有する引掛部65が形成されている。また、図15のように第三カバー体18の各側面部58の上端部には、内側方に突出する背面視逆L字状の被挿入部67が形成されている。
【0054】
図11に示すように、第一カバー体16の連結部37の後縁部には下方に突出する後縁部68が形成されている。後縁部68の両側端部には前方にリブを突出することで前側が開口した差込溝69が形成されている。また、第一カバー体16の各下縁部38の後端部には、下方に曲片を突出して前方に開口する挿入溝70が形成されている。各挿入溝70は正面視逆L字状に形成されている。
【0055】
第三カバー体18を第一カバー体16と保持具7に取り付けるには、図14のように第三カバー体18を上側が前側に位置するよう傾斜させて、第三カバー体18の凹状の各被嵌合部61に保持具7の各嵌合部62の先端部を嵌め込む。続いて、第三カバー体18の上部を前方に押し込んで、第三カバー体18の各被差込部63及び各被挿入部67を、第一カバー体16の対応する差込溝69及び挿入溝70に前方から差し込む。同時に図15のように第三カバー体18の引掛部65を第一カバー体16の後縁部68の下方に差し入れる。
【0056】
上記により、第三カバー体18の各被嵌合部61に保持具7の各嵌合部62が嵌合して、第三カバー体18の下部の前後方向の移動が規制される。また、第三カバー体18の各被差込部63及び各被挿入部67が、第一カバー体16の差込溝69及び挿入溝70に差し込まれて、第三カバー体18が第一カバー体16で支持される。また、第三カバー体18の引掛部65の爪部66が第一カバー体16の後縁部68の後面に引掛かり、これにより第三カバー体18の前方への移動が規制される。
【0057】
このように第三カバー体18を第一カバー体16と保持具7に取り付けると、第三カバー体18によって、継手20,21の夫々の下部、給水管3、給湯管5、及び保持具7が覆われる。すなわち、第一カバー体16、第二カバー体17、及び第三カバー体18の三者で構成されたカバー15全体では、前後方向において水栓本体19と壁2の間に配置された、ステー22、継手20,21、給水管3、給湯管5、掛具48、及び保持具7の全てが覆い隠される。
【0058】
カバー15の上端部は水栓ユニット13の第一カバー体16及び第二カバー体17で構成され、同部は前記第三カバー体18よりも前方に突出する。
【0059】
第三カバー体18を第一カバー体16と保持具7から取り外すことで、各継手20,21の下部、給水管3及び給湯管5等を露出させることができる。このため、継手20,21に設けられた止水栓の操作、ストレーナーの清掃、水漏れチェック等の点検作業を容易に行うことができる。
【0060】
以上説明した本実施形態の水栓1は、ステー22の両側端部に被嵌込部40が形成されると共に、第一カバー体16の各側板部36の内面に前記対応する被嵌込部40が上下方向及び前後方向に移動が規制された状態で嵌込まれる嵌込部41が形成されている。このため、ステー22の各被嵌込部40を第一カバー体16の対応する嵌込部41に嵌め込むことにより、第一カバー体16をステー22に容易に取付けることができる。また、ステー22の両被嵌込部40は第一カバー体16の両側板部36の夫々の内面に当接するので、第一カバー体16の側板部36に外側方から荷重が加わったとしても、この側板部36を被嵌込部40で受けることができる。従って、側板部36が変形したり、側板部36と他のカバー体17,18との間に隙間が形成されたりすることを防止できる。また、寸法誤差や施工誤差により第一カバー体16の両側板部36が内側に位置していた場合も、側板部36と他のカバー体17,18との間に隙間が形成されたりすることを防止できる。
【0061】
また、第一カバー体16の連結部37の前縁部が水栓本体19の下面に重ねられるため、連結部37に当接する水栓本体19により、第一カバー体16が上方へ移動することを規制でき、第一カバー体16をしっかり固定できる。
【0062】
また、第一カバー体16の各側板部36に内側方に向けて突出する掛合部45が形成され、第二カバー体17の両側に掛合部43に掛合して上方への移動が規制される被掛合部43が形成されている。このため、ステー22の上側を覆う第二カバー体17を掛合により第一カバー体16に簡単に取り付けることができる。さらに、第一カバー体16の連結部37の前縁部が水栓本体19の下面に重ねられると共に第二カバー体17の前縁部が水栓本体19の上面に重ねられ、第一カバー体16の連結部37の前縁部と第二カバー体17の前縁部で水栓本体19が上下に挟まれる。このため、第一カバー体16及び第二カバー体17の上下方向に移動が水栓本体19によって規制され、第一カバー体16及び第二カバー体17をしっかり固定できる。
【0063】
なお、本実施形態の水栓1は湯水混合水栓であるが、水又は湯のみを吐出する水栓であってもよく、すなわち、この場合は水供給用の配管として給水管3又は給湯管5の一方のみが設けられることとなる。また、本実施形態のステー22は継手20,21を介して水栓本体19を保持するものであるが、ステー22は水栓本体19を直接保持するものであってもよい。また、前記水供給用の配管3,5は継手20,21を介さず直接水栓本体19に接続されるものであってもよい。また、本実施形態ではカバー15を第一〜第三カバー体16〜18で構成したが、2又は4以上のカバー体でカバーを構成してもよい。また、水栓ユニット13において壁2に固着される壁固着部53を継手20,21に設けたが、ステー22等、その他の水栓ユニット13を構成する部材に壁固着部53を設けても構わない。また、第三カバー体18は第一カバー体16に取付けたが、水栓ユニット13の第一カバー体16以外の部材に取り付けても構わない。
【符号の説明】
【0064】
1 水栓
15 カバー
16 第一カバー体
17 第二カバー体
18 第三カバー体
19 水栓本体
22 ステー
36 側板部
37 連結部
40 被嵌込部
41 嵌込部
43 被掛合部
45 掛合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に取り付けられるステーと、このステーに保持される水栓本体と、前記ステーを覆うカバーを備え、このカバーが複数のカバー体で構成され、一のカバー体は前記ステーの両側に配置される側板部が連結部で一体に連結されたものであり、前記ステーの両側端部に、前記一のカバー体の両側板部の夫々の内面に当接する被嵌込部が形成され、前記カバー体の各側板部の内面に、前記対応する被嵌込部が上下方向及び前後方向に移動が規制された状態で嵌め込まれる嵌込部が形成されたことを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記連結部の前縁部が水栓本体の下面に重ねられることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記カバーは、前記一のカバー体で構成される第一カバー体に加えて、前記第一カバー体の両側板部上に載置されてステーの上側を覆う第二カバー体を有し、前記第一カバー体の各側板部に内側方に向けて突出する掛合部が形成され、前記第二カバー体の両側に、対応する前記掛合部に掛合して上方への移動が規制される被掛合部が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記第一カバー体の連結部の前縁部が水栓本体の下面に重ねられると共に前記第二カバー体の前縁部が水栓本体の上面に重ねられ、前記第一カバー体の連結部の前縁部と前記第二カバー体の前縁部で水栓本体が上下に挟まれることを特徴とする請求項3に記載の水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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