説明

水検知付きオイルストレーナー

【課題】
小型で、取付け、保守が容易で、信頼性が高く、長期使用に耐え得る水検知付きオイルストレーナを提供すること。
【解決手段】
この発明の水検知付きオイルストレーナは、液体燃料燃焼器の燃料供給系統と燃焼器の間に設けたオイルストレーナの本体1に燃料油から分離された水がカップ2の底部に一定量溜まったことを検知する水検知センサ6と該センサを電気回路と接続し、水位の上昇によりセンサ6が導通したとき、警告ランプ13を点灯する制御基板11を備え、前記警告ランプの点灯を受けて、水を除去する時にカップを取り外す際に、燃料の流入を止めるコックを一体に構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体燃料の燃焼器への燃料供給系の流路の間に設けられているオイルストレーナーの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料を燃料タンクから燃焼器へ送油する場合に燃料に含まれている異物や水分を除去するオイルストレーナーであって、一定量の水が溜まった時に電気的に水検知する従来の技術として実開昭58ー145517号公報(全文)(特許文献1)が開示されている。この先行技術は燃料フィルタの金属ケースの底部に検知電極を有する水検知部を配設し、検知電極と接続した制御回路と表示回路とで構成され、水位が検知電極に達した時に表示器が作動し、同時に電磁リレーを作動させて検知電流を遮断する構成である。
【0003】
また、別の考案として実開昭59ー102116号公報(全文)(特許文献2)が開示されている。この技術は筒状ボデイ内部に水分離機構を有し、油中の水分を比重分離して筒状ボデイの底部に溜め、磁気フロートスイッチ稈よりなる水位センサを有し、底部に透孔を有するフロート室を設けて垂直方向へ昇降自在に設置された構成であって、第1図には警告装置12が記載され、水位の上昇にともないフロートが浮上すると、スイッチ稈のリードスイッチが閉鎖し、警報装置により警報を発する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−145517号公報(全文)
【特許文献2】実開昭59−102116号公報(全文)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体燃料には生産者から各消費者への流通途中での異物や水分の混入及び消費者の燃料タンクに保管時にタンク内部に進入する大気に含まれる水分による結露水や錆の発生があり、これらがタンクの底部に溜まり、燃焼器への送油中に混入して燃焼器内のポンプやバルブ、制御弁等に流入して作動不良を起こし、失火、発煙や最悪の場合には燃料の燃焼器外部へ流出に到る不都合が発生することがある。
【0006】
従来、燃料タンクと燃焼器の送油途中には、前述の異物や水分の燃焼器へ流入を防ぐため、これらを濾過したり溜めるためのオイルストレーナが設けられているが、外部からストレーナ内部を監視出来ないので、水が流入したとき水位がわからず、水位が上がって燃焼器へ流入し、燃焼不都合が発生してから気づくことが多く、燃焼器の修理費用が多大にかかってしまうことが頻発している。
【0007】
この発明の目的は、前述の不都合を鑑み、従来技術では達し得なかった小型で、取付け、保守が容易で、信頼性が高く、長期使用に耐え得る水検知付きオイルストレーナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、オイルストレーナに水検知センサと一定量水が溜まった時に二本のセンサが導通し、電気回路と接続した制御基板に組み込まれた電源の電池とにより警告ランプが点灯して水排出時期を知らせ、燃料タンクとの接続口からの流入路に備えたコックを閉じて、オイルストレーナのカップを外して溜まった水を容易に除去可能とする機能を一体的に構成しており、更に制御基板には電源の電池の残量をチェックするバッテリチェックを設けたことで燃料タンクに給油する際などにも簡単に確認することが出来る。また、これらの機能は、妨滴性を備えて収納して、屋外使用にも耐え得る構造とした水検知付きオイルストレーナによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
この発明による水検知付きオイルストレーナは、燃料タンクから流入した水が所定の検知水位に達したときに、一体に構成した制御基板により警告ランプを点灯して、使用者が常時、目視確認することができ、外部からの制御や電源も必要としない、また、防滴構造としており、屋外での使用にも充分耐え得る小型で、取付け勝手に優れた水検知付きオイルストレーナを提供可能としたものである。
【0010】
燃焼器への水混入を事前に感知して、処理することができるので、燃焼器の故障を無くして、長寿命になるので、使用者の保守費用が大幅に削減されると共に、燃焼器への水混入による燃焼不具合、発煙、更には燃料の漏出等を防止することにより、安全、安心面においても良好な製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】水検知付きオイルストレーナの一実施例の縦断面図である。
【図2】水検知付きオイルストレーナの他の実施例の縦断面図である。
【図3】燃料の流路を示す縦断面図である。
【図4】燃料タンクから燃焼器に到る燃料供給系統を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施例は、次に図面に基づいて詳細に説明される。
【実施例1】
【0013】
図1は、請求項1及び請求項2に係る発明の水検知付きオイルストレーナの一実施例である。金属性のオイルストレーナ本体1にフィルタ3と2本の水検知センサ6と一体の絶縁体から成るセンサホルダ7がパッキン8を介してロックナット9により固定され、フィルタ3と水検知センサ6を内蔵した構成でカップ2がリング4とパッキン5でストレーナ本体1に気密に挟持している。この時、水検知センサ6の下端部はカップ2の底面より検知水位Aまで上方に設置している。
【0014】
一方、本体1の収納部1aに水検知センサ6の一部が突き出している。制御基板11には、電気回路がプリント配線され、各々の電子部品と電池ケース12a、警告ランプ13、バッテリチェック14が接続され、また、バネ性の接触子15を係着している。前述の制御基板11を収納部1aに図示しないねじにより接触子15が水検知センサ6と接続導通状態で本体1に固定している。
【0015】
電池ケース12aには電池12が交換脱着自在に設けられる。更に、蓋10を本体1にパッキン16を介して止めねじ29(図3に示す)で固定している。蓋10の要部に警告ランプ13の透光穴13aとバッテリチェック14の操作穴14aが設けてあり、その各々の穴を透光シール13b、操作シール14bで粘着取り付けられて、収納部は外気と遮断している。
【0016】
図3は、燃料の流路を示す縦断面図であり、本体1には燃料タンクからの燃料の流入側である流入口22、流路25a、バルブ穴26、流路25bを設け、流出側には流出路27と流出口23を設けている。
【0017】
流入側の流路25bの穴口にバルブシート24を備え、対向して、バルブコック20がOリング21を係着して流路と外部を遮断しつつ流入路25bをねじにより開閉自在に設け、また、本体1に突設した流出路27のボス部の外周にフィルタ3の開口部に係止したOリング28で係止している。
【0018】
図4は、燃料タンクから燃焼器に到る燃料供給系統を示した図であり、燃焼器32の運転によりオイルストレーナ本体1の流入口22に燃料タンク33から燃料が供給されると、流入路25a、バルブ穴26、流入路25bを通り、カップ2に流入する。カップ2に流入した燃料は、フィルタ3により異物が濾過され、フィルタ3の内部を通過して流出路27から流出口23を通り給油管31より燃焼器32に送られて燃焼する。
【0019】
ここで燃料に水が混入していると、比重の重い水がカップ2の底部に滞留する。滞留した水の水位Aが序々に上昇し、2本の水検知センサ6の先端まで達し、接触導通すると、制御基板11の回路が働き、警告ランプ13が点灯し、蓋10の透光穴13aと透光シール13bより外部から目視できる。この点灯により、使用者は水の混入を認知して燃焼器を停止する。
【0020】
水の除去は、コック20を回動し、流入路25bのバルブシート24を閉じ、流入路を閉塞する。次に、オイルストレーナのリング4を回動して、カップ2を本体1より外し、内部に溜まった水を除去した後に、リング4を回動してカップ2を元通り本体1に締め付けた後、コック20を回動してバルブシート24を開口して流入路を開成し、警告ランプが消灯していることを確認した上で、燃焼器の運転を開始する。
【0021】
水検知センサ6の動作確認及び制御基板11に付設の電池12の残量を蓋10に設けた操作穴14aに貼着した操作シール14を介してバッテリチェック14を押すことで確認することができる。電池10が消耗したときは、蓋10の止めねじ29を外して交換する。
【実施例2】
【0022】
請求項3に係る発明の他の実施例が図2に示されている。前述した図1の実施例では、オイルストレーナの本体1は制御基板11の収納部1aを一体構成としているが、図2の実施例では、本体1とは別体の収納部1aを有するケース17を設けた構成であり、本体1の上方に突設した水検知センサ6の突設部6aをケース17に内蔵配設した制御基板11のハウジング15a内の接触子15にゴムブッシュ18を貫通して摺接させ、2本の水検知センサ6と制御基板11を導通させた状態でケース17の裏側を本体1にねじ19により固定し、ゴムブッシュ18で外気を遮断している。この場合に、ケースは合成樹脂製で安価に製作できる。
【0023】
以上の実施例の構成により、燃料タンク33から流入した水が所定の検知水位に達したときに、一体に構成した制御基板により警告ランプを点灯して、使用者が常時、目視確認することができる。外部からの制御や電源も必要としなく、また、防滴構造としており、屋外での使用にも充分耐え得る。小型で、取付け勝手に優れたものを提供可能である。
【0024】
燃焼器への水混入を事前に感知して、処理することができるので、燃焼器の故障を無くして、長寿命になるので、使用者の保守費用が大幅に削減される。更に、燃焼器への水混入による燃焼不具合、発煙、更には燃料の漏出等を防止することにより、安全、安心面にも良好な製品を提供できる。
【符号の説明】
【0025】
1.....オイルストレーナ本体
1a....収納部
2.....カップ
3.....フィルタ
4.....リング
5.....パッキン
6.....水検知センサ
7.....センサホルダ
8.....パッキン
9.....ロックナット
10....蓋
11....制御基板
12....電池
12a...電池ケース
13....警告ランプ
13a...透光穴
13b...透光シール
14....バッテリチェック
14b...操作シール
15....接触子
15a...ハウジング
16....パッキン
17....ケース
18....ゴムブッシュ
19....ねじ
20....バルブ
21....Oリング
22....流入口
23....流出口
24....バルブシート
25a...流入路
25b...流入路
26....バルブ穴
27....流出路
28....Oリング
29....止めねじ
30....オイルストレーナ
31....給油管
32....燃焼器
33....燃料タンク
34....給油口
A.....検知水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料燃焼器の燃料供給系統と燃焼器の間に設けたオイルストレーナの本体に燃料油から分離された水がカップの底部に一定量溜まったことを検知する水検知センサと該センサを電気回路と接続し、水位の上昇によりセンサが導通したとき、警告ランプを点灯する制御基板を備え、前記警告ランプの点灯を受けて、水を除去する時にカップを取り外す際に、燃料の流入を止めるコックを一体に構成したことを特徴とする水検知付きオイルストレーナ。
【請求項2】
前記制御基板は、水検知センサと接続する接触子と、水による導通時に外部に表示する警告ランプと、電源の電池と電池の残量を確認するバッテリチェック機能を備え、該制御基板をオイルストレーナ本体に収納部に固定し、前記収納部の蓋により外気と遮断して取り付けられ、更に前記蓋には警告ランプの穴とバッテリチェックの穴を備え、それぞれの穴は透光性フィルムと柔軟性フィルムとにより粘着密封していることを特徴とする請求項1に記載の水検知付きオイルストレーナ。
【請求項3】
前記制御基板を収納するケースを本体に設けた水検知センサと導通状態で一体に取り付けたことを特徴とする請求項1或いは2に記載の水検知付きオイルストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−181040(P2010−181040A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22276(P2009−22276)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000203689)太産工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】