説明

水槽の清掃装置

【課題】サブブラシ20の毛先35が水槽52の底隅部55に当接した際に、メインブラシ1とサブブラシ20の毛先か重ならずに、かつ水槽の底面53をもれなく清掃する。
【解決手段】メインブラシ1の長さL方向の端3に、サブブラシ20を取り付けて清掃装置50とする。サブブラシ20は、第一サブブラシ21と第二サブブラシ31とからなり、端縁部のブラシ材の幅tを、メインブラシ1の側の幅tの2倍以上で形成した。メインブラシ1の端3と水槽52の隅部55との間に間隙57を形成し、サブブラシ20で間隙57の総てを清掃できるように配置する。第1サブブラシ21、第2サブブラシ31の各ブラシ材24、34は、根元から毛先にかけて交叉することなく独立して均一に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に水族館や養殖などで魚類等を飼育する水槽に適用する水槽の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飼育された状態で水槽内を清掃する場合、とりわけ、底と壁の底の周辺に貯まったごみを清掃する装置として種々提案されていた(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1の技術では、池などの巾いっぱいの長さの刷毛杆に下向きの刷毛を植えて清掃装置を、刷毛杆の両端に下から外方に向けてコーナー部用の刷毛を植えていた。
【0004】
また、特許文献2では、装置の下面に、下方に向けて囲まれたブラシカバー内に回転ブラシを設けて、ブラシカバーの内側の範囲を回転ブラシで清掃できるようにした。壁面を清掃する際には装置を回転して、ブラシを壁面に向けて操作する必要があった。
【0005】
また、飼育された状態で、水が満たされた水槽内を清掃する際に、ブラシが水槽内で動作する時に微量は振動や音により、稚魚が驚き発育に影響を与えるで、このような急激な動きを防止することが求められていた。従って、できるだけ滑らかなで振動の少なく、音がしないように、ブラシが作動することが求められていた。また、ブラシのブラシ材は柔らかい材料である程度の柔らかさで撓った状態で、水槽の内面に当てることが必要であった。
【0006】
従って、本来サイドブラシは無いほうが滑らかな動きに対しては有効であった。しかし、サイドが無い場合、両サイドに残った残餌や魚糞による菌などの発生で稚魚への影響が懸念されます、よって結局サイドブラシがついた特許文献1のような構造のものが多く使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−175939
【特許文献2】特開平9−47735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1では、コーナー部の刷毛は、他の水槽の底面に当たる刷毛と同様に、単に下方に向けて植えられていたので、なめらかな作動は困難であった。
【0009】
つまり、特許文献1では、刷毛の毛先を水槽底面に当接しているが、押圧しないで、刷毛を曲げていない状態で、刷毛の毛先と水槽の側面(底の隅部との間に隙間を形成するように、清掃装置を配置して、清掃作業が成されていた。これは上記のように、稚魚にストレスを与えないためであり、この状態で清掃装置を水槽の底面に強く押圧して、刷毛を曲げて、水槽の側壁側の刷毛の毛先を隅部に到達させて、清掃していた。
【0010】
従って、押圧の調節が不良の場合には、毛先が隅部に至らず、隅部の残餌、魚糞を除去できない問題点があった。また、強く押圧しすぎた場合には、毛先が隅部から側壁側または内方に曲がり過ぎ、やはり隅部の清掃ができない問題点があった。
【0011】
また、特許文献2では、サイドのブラシが無いので、回転ブラシを極めて静かに回転させれば、なめらかな動きも可能であったが、装置を縦に配置しても横に配置しても隅部(底と壁との境目)はブラシカバーが当たり、隅部の有効な清掃ができなかった。また、水槽内での装置自体を回転しなければならず、なめらかな清掃を阻害していた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
然るにこの発明は、メインブラシの外側に、間隙を設けて、サブブラシを取付け、サブブラシの毛先を外側に向けたので、前記問題点を解決し、水槽の底隅部の清掃の精度を上げ、かつ滑らかな動きのできる清掃装置を提案した。
【0013】
即ちこの発明は、メインブラシの長さ方向の少なくとも一端にサブブラシを取り付けてなり、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置である。
(1) 前記メインブラシの長さ方向を、前記清掃装置の進行方向に対して、平面視で、略直交又は斜めに配置する。
(2) 前記メインブラシは、基体から毛先を下方に向けて構成する。
(3) 前記サブブラシの毛先方向を、前記メインブラシの一端より外方に向くように、前記メインブラシの毛先方向に対して、所定角度を持たせる。
(4) 清掃時に、前記メインブラシを前記水槽の底に当てて押圧して、前記サブブラシの毛先が前記水槽の底隅部に当接した際に、前記メインブラシの毛先と前記水槽の側壁との間に間隙を形成する。
(5) 清掃時に、前記メインブラシを前記水槽の底に当てて押圧して、前記サブブラシの毛先が前記水槽の底隅部に当接した際に、前記サブブラシは前記間隙を清掃できるように配置されるように形成する。
(6) 前記サブブラシのブラシのブラシ幅で、前記メインブラシの進行方向のブラシ幅を、底隅部に当接するブラシ幅をメインブラシ側の2倍以上となるように設定した。
【0014】
また、他の発明は、メインブラシの長さ方向の少なくとも一端にサブブラシを取り付けてなり、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置である。
(1) 前記メインブラシの長さ方向を、前記清掃装置の進行方向に対して、平面視で、略直交又は斜めに配置する。
(2) 前記メインブラシは、基体から毛先を下方に向けて構成する。
(3) 前記サブブラシの毛先方向を、前記メインブラシの一端より外方に向くように、前記メインブラシの毛先方向に対して、所定角度を持たせる。
(4) メインブラシを押圧しない状態で、前記サブブラシの毛先位置を、前記メインブラシの一端の毛先位置より、下方に突出させる。
(5) メインブラシを押圧しない状態で、前記サブブラシの毛先位置を、前記メインブラシの一端の毛先位置より、外方に突出させる。
(6) メインブラシを押圧しない状態で、平面視で、前記サブブラシの毛先と前記メインブラシの毛先が重ならないように構成する。
(7) 前記サブブラシのブラシのブラシ幅で、前記メインブラシの進行方向のブラシ幅を、底隅部に当接するブラシ幅をメインブラシ側の2倍以上となるように設定した。
【0015】
また、前記において、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置である。
(1) メインブラシに対して、サブブブラシを、相対位置の変更を可能に取りつける。
(2) 前記サブブラシを、平面視で、前記メインブラシと長さ方向が同じ第1サブブラシと、前記メインブラシと長さ方向が略直角な第2サブブラシとから構成する。
(3) 前記第1サブブラシを、その毛先を少なくとも水槽とメインブラシの間隙に配置され、前記第2サブブラシを、その毛先が水槽の底隅部に沿って配置される構成とした。
【0016】
さらに、前記において、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置である。
(1) サブブブラシをサブフレームの下端にブラシ材を突出させて構成する。
(2) 前記サブブラシのブラシ取付面を、メインブラシ側を水平として、端縁部で「4分の1」円で形成し、端縁を鉛直に形成する。
(3) 前記サブブラシのブラシ材の毛先を、前記メインブラシ側から端縁部の中間部まで略水平に揃え、端縁部の中間部からの端縁にかけて略鉛直に揃える。
(4) 前記サブブラシのブラシ材を、前記メインブラシの長さ方向で、根元側及び毛先側で、均一に配置した。
【0017】
前記における「底隅部」とは、水槽の底面と側壁面とが交わった部分を指す。
【0018】
また、前記における「水槽」とは、水を溜めておく設備であり、名称は「飼育池」等、問わない。また、「水槽」の材質も、コンクリート製、硝子製、樹脂製などその材質は任意である。また、「水槽」は壁が垂直又は垂直に近いものに場合には特に有効であるが、形状も壁と底を隔てる隅部を有すれば、壁は垂直又は垂直近い場合に限らず斜めに形成された場合も含み、底も斜めに形成された場合を含む。
【発明の効果】
【0019】
メインブラシの外側に、間隙を設けて、サイドブラシを取り付けたので、各ブラシを水槽の底側に押圧した場合に、間隙に各ブラシの毛先が至り、水槽底面をくまなく清掃できる。また、サイドブラシが水槽の底隅部に沿って当たるので、水槽の底隅部を有効に清掃できる。
【0020】
また、サイドブラシの毛先位置や外側に向けても突出角度を調整可能とした場合には、水槽の状態(形状や表面の具合)に応じて、最適な清掃ができる。これは、飼育用の水槽は多くがコンクリート製でその面は決して一定な面ではなくミリ単位で凹凸があるので、清掃開始前又は清掃中に適宜サイドブラシを調節して、滑らかな動きで、最適の清掃ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施例1で(a)はブラシのみを表示した平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図2】この発明の実施例1に使用するサブブラシで、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は毛先のみを表した底面図、(d)は他のサブブラシの毛先のみを表した底面図である。
【図3】この発明の実施例1の清掃装置の使用している図で、(a)はメインブラシの毛先を押圧した状態の正面図、(b)はメインブラシの毛先を押圧した状態の右側面図である。
【図4】この発明の実施例1の清掃装置の使用している状態で、清掃装置を平行移動している右側面図で、(a)は緩く傾斜させた状態、(b)は大きく傾斜させた状態を表す。
【図5】この発明の実施例2で、(a)は一部平面図、(b)は一部正面図、(c)は一部底面図、(d)は清掃中の一部平面図である。
【図6】この発明の実施例2に使用するサブブラシで、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
【図7】この発明の実施例2の他の実施形態で、(a)は一部正面図、(b)は一部平面、(c)は清掃中の一部平面図である。
【図8】この発明の実施例2の他の実施形態に使用するサブブラシで、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1) メインブラシ1の長さL方向の端3に、サブブラシ20を取り付けて、清掃装置50を構成する(図1)。
(2) メインブラシ1の長さL方向を、清掃装置50の進行方向59に対して、平面視で、略直交して配置する。メインブラシ1は、メインベース(基体)2から毛先6を下方に向けて構成する。
サブブラシ20は、長さL21方向の第一サブブラシ21と、長さL22方向の第二サブブラシ31とから構成し、長さL21方向と長さL22方向とは互いに略直交する。第一第二サブブラシ21、31の毛先25、35方向を、メインブラシ1の一端3より外方に向くように、メインブラシ1の毛先方向に対して、所定角度を持たせる。
メインブラシ1を押圧しない状態で、サブブラシ20の毛先25、35の位置を、メインブラシ1の一端3の毛先6a位置より、下方に突出させる。また、メインブラシ1を押圧しない状態で、サブブラシ20の毛先25、35位置を、メインブラシ1の一端3の毛先位置より、外方に突出させる。また、メインブラシ1を押圧しない状態で、平面視で、サブブラシ20の毛先25、25とメインブラシ1の毛先6が重ならないように構成する。
(3) 従って、清掃時には、メインブラシ1を水槽52の底53に当てて押圧して、サブブラシ20の毛先35が水槽52の隅部(底隅部)55に当接した際に、メインブラシ1の毛先6(6a)と水槽52の側壁54(隅部55)との間に間隙57が形成される。
また、メインブラシ1を水槽52の底53に当てて押圧して、サブブラシ1の毛先35が水槽52の隅部55に当接した際に、サブブラシ20で間隙57を清掃できるように配置されている。
【実施例1】
【0023】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0024】
(1)メインブラシ1の構成
【0025】
所定長さLのメインベース2に、下方に向けて、毛先6、6を揃えて、ブラシ材5を取り付けてメインブラシ1を構成する。
メインベース2の上面4に、サブブラシ取付用の取付フランジ11を、取付面12を縦にして取り付ける。取付フランジ11の取付面12で、一端12aはメインベース2の端3より内方(メインベース2の中心側)に位置しているが、取付フランジ11の他端12bは、メインベース2の端3より外方に位置している(図1(a)(b))。即ち、取付フランジ11はメインベース2の端3を挟んで左右(長さL方向)に配置される。
【0026】
(2)サブブラシ20の構成
【0027】
サブブラシ20は、第一サブブラシ21と第二サブブラシ31とからなる。
第1サブブラシ21は、長さL21の第1サブベース22に下方に向けて、毛先25を揃えてブラシ材24を取り付けてある。第2サブブラシ31は、長さL22の第2サブベース32に下方に向けて、毛先35を揃えてブラシ材34を取り付けてある(図2(a)(b))。
メインブラシ1との取付板41の一面42の一側42aに第1サブブラシ21の第1サブベース22の長さ方向一端23a側を固定する。第1サブベース22の他端23bは、取付板41の一側42aから外方に突出している(図2(a)(c))。
取付板41の一面42に、連結部材44で、第2サブブラシ32を取り付けて、サブブラシ20を構成する。第2サブブラシ31の第2サブベース32の一端33aは、取付板41から間隙46を形成して、取り付けられ、第2サブブブラシ31の第2サブベース32の一端33aと第1サブブラシ20の第1サブベース22の一端23aとの間に間隙46を形成する(図1(a)(b))。毛先25、35付近でもこの間隙46が維持されている(図1(c))。
また、上下方向で、第1サブブラシ21の毛先25の位置と、第2サブブラシ31の毛先35の位置を一致させてある(図2(a)(b)。
また、第2サブブラシ31のブラシ材34の並列方向(第2サブベース32の長さL22方向)は、第1サブブラシ20のブラシ材24の並列方向(第1サブベース22の長さL21方向)と直角に配置される(図2(c))。ここで、清掃装置の進行方向に対して、清掃効率を考慮すれば、直角又は直角に近い構成(45度〜135度)が好ましいが、他の角度でも可能である。
第1サブブラシ21のブラシ材24の長さ及び第2サブブラシ31のブラシ材34の長さは、メインブラシ1のブラシ材5の長さより充分長く形成されている。
【0028】
サブブラシ20で、端縁部(水槽の底隅部に当接する部分)の幅t(メインブラシ1が走行する方向)は第2サブブラシ31の長さL22と同一となる。また、サブブラシ20のメインブラシ1側の幅tは、第1サブブラシの幅と同一となる。幅tは、メインブラシ1が走行する方向で、第一サブベースの前記長さL21と直交する方向となる(図2(c))。したがって、tはtの5倍程度で形成されている。
【0029】
サブブラシ20(第1サブブラシ21、第2サブブラシ31)は、幅方向(メインブラシのL方向)で、根元が均一間隔に配置され、毛先も均一間隔に配置され、各ブラシ材24、34は交叉せずに配置されている。このような構造は、板ブラシではなく、チャンネルブラシで構成することが望ましい。
【0030】
(3)清掃装置50の構成
【0031】
メインブラシ1の取付フランジ11の取付面12に、サブブラシ20の取付板41の他面43を固定する。この状態で、メインブラシ1のブラシ材5の毛先6方向(鉛直下方向)に対して、サブブラシ20のブラシ材24、34の毛先25、35方向が角度θとなるように斜めに固定される。 この状態で、両サブブラシ20、30の毛先25、35は、メインブラシ1の毛先6より下方に位置している(図1(b)(c))。また、両サブブラシ20、30の毛先25、35は、メインブラシ1の端3の毛先(最も外側に位置する毛先)6aにより外方に突出して位置している(図1(b))。
また、この際、取付板41と取付フランジ11とはビス15とナット16とで取り外し自由に取付られる。また、取付フランジ11(及び/又は、取付板41)でビス15を挿入する孔をな長孔としたので(図示していない)、取付フランジ11(メインブラシ1)と取付板41(サブブラシ20)との取付角度θ、上下左右方向の相対位置を調節可能としてある。
以上のようにして、清掃装置50を構成する(図1)。前記において、サブブラシ20は、メインブラシ1の少なくとも一端3に形成されば良く、両端に同じ構造又は違う構造のサブブラシ20を取り付けることもできる(図示していない)。
また、清掃装置50を構成した状態で、メインブラシ1の長さ方向L(清掃装置50の進行方向に対して直交する方向)に対して、第一サブブラシ21の長さL21方向は直交する方向、第二サブブラシ31の長さL22方向は平行な方向に夫々形成されている。
【0032】
(4)清掃装置50の使用
【0033】
清掃装置50のメインブラシ1の毛先6を水槽52の底面53に適宜押圧した際に、メインブラシ1の毛先6(6a)は水槽52の隅部55に至らず、曲がった状態の毛先6(6a)と隅部55との間に間隙57を生じる(図1(b))。また、この状態で、メインブラシ1のブラシ材5の曲がり具合にかかわらず、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)の毛先24、34が隅部55に当たり(主に第二サブブラシ31の毛先34)、かつメインブラシ1の毛先6と隅部52との間隙57にも当たるので(主に第一サブブラシ21の毛先24)、間隙57の総てをはじめ、特に隅部55をはじめ水槽52の全体をもれなく清掃できる(図3(a)(b))。
また、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)の毛先24、34は、下方に向けて、かつメインブラシ1の毛先6(6a)から離れるように外方(水槽52の隅部55側)に向けてあるので、サブブラシ(第一第二サブブラシ21、31)の毛先24、34は、メインブラシ1の毛先6、6aと交叉することがなく(または極めて希となり)、毛先24、34が重なり、重なるが触れ合わないので、清掃時の振動の発生を大巾に軽減できる。
通常、メインブラシ1の長さL方向に直交する方向(図4の矢示59方向)に静かに引かれるので、清掃装置50の全体が若干、角度α(数度程度)傾斜した状態で清掃が進められる(図4(a))。また、強く引くこともでき、この場合には、角度α(十数度程度)傾斜した状態で清掃が進められる(図4(b))。尚、図3(b)の状態は、α=0 として、清掃装置50が傾斜していない状態を表す。
【0034】
(5)他の実施例
【0035】
前記実施例において、サブブラシ20は、は水槽52の隅部55に沿って長さ方向22を配置した第二サブブラシ31と、水槽52とメインブラシ1との間隙57を清掃できる第一サブブラシ21とを有する構成であれば、メインブラシ1と第一第二サブブラシ21、31との相対位置は任意である。例えば、取付板41に近い側に第二サブブラシ31、遠い側に第一サブブラシ21を配置することもできる(図2(d))。この場合も、tはtの5倍程度で形成される。
【0036】
また、前記実施例において、サブブラシ20は、夫々サブベース22、32を持つ第一サブブラシ21と第二サブブラシ31と連結部材44で固定したので、第一サブブラシ21と第二サブブラシ31との相対位置の調節も可能であり、好ましいが、連結部材44を省略して、一体のサブベースにブラシ材24、34を取り付けて、サブブラシ20とすることもできる(図示していない)。
【0037】
また、前記実施例において、サブブラシ20を着脱可能で、かつメインブラシ1との相対位置を変更可能としたので、水槽52の構造等に合わせて、最適の清掃装置50を構成できるので好ましいが、ある水槽52専用とした場合には、サブブラシ20をメインブラシ1とを一体に固定することもできる(図示していない)。
【0038】
また、前記実施例において、メインブラシ1の長さ方向Lを装置50の進行方向59に対して直角に配置したので水槽52の底53の清掃効率上、好ましいが、進行方法59に対して、所定角度(45度から135度程度)をもって配置することもできる(図示していない)。
【実施例2】
【0039】
図5〜図8に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0040】
(1)メインブララシ1の構成
【0041】
メインブラシ1の構成は、前記実施例1と同様である。
【0042】
(2)サブブラシ20の構成
【0043】
サブブラシ20は、第一サブブラシ21と第二サブブラシ31とからなる。
【0044】
第1サブブラシ21は、第1サブベース22に下方に向けて、毛先25を揃えてブラシ材24を取り付けてある。第1サブベース22は、長さL23の直線部に続いて、「4分の1」円の円弧状の端縁部23cを連設してある。端縁部23cでは、「4分の1」円の円弧に沿って放射状になるように毛先25を設けてあり、鉛直下向きから徐々に斜めとなり先端はほぼ水平に形成される。
端縁部23cでは、毛先25を結んだ線は、直線部から端縁部の45度の部分(中間部)まで、ほぼ水平に揃えられ、45度の部分(中間部)から端縁までは略垂直となるように揃えてある。したがって、端縁部23cでは、45度の部分の毛先の長さが最も長く、45度部分から直線部側、先端側は徐々にブラシ長さが短くなるように形成されている。この45度部分の毛先25付近は略直角に形成され、水槽52の底隅部55に当接できるようになっている。
第1サブブラシ21の幅はtで形成されている。tは、メインブラシ1が走行する方向で、第一サブベースの前記長さL23と直交する方向となる。
第一サブベース22の上面に、メインブラシ1との取付板41が固定されている。取付板41には、横方向の長孔からなる取付孔47、47が形成されている。
【0045】
第2サブブラシ31は、第2サブベース32に下方に向けて、毛先35を揃えてブラシ材34を取り付けてある。第2サブベース32は、長さL24の直線部に続き、第1サブベース22と同一形状の「4分の1」円の円弧状の端縁部33cを連設してある。長さL24は、L23に比して短く、第二サブベースは、メインブラシ1の長さ方向で、メインブラシ1に至らないように形成にされる。第2サブブラシ31のブラシ材34の毛先35の位置は、第1サブブラシ21のブラシ材24の毛先25の位置と同一に形成されている。
したがって、第2サブブラシ31の幅は、第1サブブラシ21の幅と同じtで形成されている。tは、メインブラシ1が走行する方向で、第一サブベースの前記長さL23と直交する方向となる。
【0046】
第1サブベース22の側面で、ブラシ材24、34が横方向で重なるように、第2サブベース32を固定して、サブブラシ20を構成する。
また、この際、毛先25、35付近、間隙46が形成されるので、サブブラシ20の端縁部のブラシ材24、34の厚さtは、
>2×t
となる。したがって、サブブラシ20の先端側の「4分の1」円の端縁部ブラシ材24、34の厚さtは、メインブラシ1側のブラシ材24の厚さtに比べて、2倍以上に形成される。
【0047】
ここで、サブブラシ20(第1サブブラシ21、第2サブブラシ31)は、幅方向(メインブラシのL方向)で、根元が均一な間隔に配置され、毛先も均一な間隔に配置される。このような構造は、板ブラシではなく、チャンネルブラシで構成することが望ましい。
したがって、第1サブブラシ21、第2サブブラシ31の各ブラシ材24、34は、根元から毛先にかけて交叉することなく独立して均一に配置される。
【0048】
(3)清掃装置50の構成
【0049】
実施例1と同様に、メインブラシ1の取付フランジ11の取付面12に、サブブラシ20の取付板41の他面43を固定する。この際、取付板41と取付フランジ11とはビス15とナット16とで取り外し自由に取付られる。また、取付フランジ11の取付孔47、47を縦方向(垂直方向)の長孔に形成し、取付板41の取付孔を横方向(水平方向)の長孔としたので、取付フランジ11(メインブラシ1)と取付板41(サブブラシ20)との取付角度θ、上下左右方向の相対位置を調節可能としてある。
【0050】
この状態で、メインブラシ1のブラシ材5の毛先6方向(鉛直下方向)に対して、サブブラシ20のブラシ材24、34で、端縁部において、の毛先25、35方向が角度θとなるように斜めに固定される(図5(b)(c))。また、両サブブラシ20、30の毛先25、35は、一部を除き、メインブラシ1の端3の毛先(最も外側に位置する毛先)6aより外方に突出して位置している(図5(b))。
【0051】
サブブラシ20(第1サブブラシ21、第2サブブラシ31)で、メインブラシ1の端の毛先6aより外方に位置する部分が主サブブラシとなり、実施例1のサブブラシ20に相当する。従って、サブブラシ20(第1サブブラシ21)で、メインブラシ1の端の毛先6aより内側に位置する部分は補助的なブラシとなる。
【0052】
以上のようにして、清掃装置50を構成する(図1)。前記において、サブブラシ20は、メインブラシ1の少なくとも一端3に形成されば良く、両端に同じ構造又は違う構造のサブブラシ20を取り付けることもできる(図示していない)。
また、サブブラシを使用する清掃装置50では、通常ブラシ太さを0.5mm以上で設定するが、本実施例では0.4mmとして、細く形成して、なめらかな動きで、水槽内をより乱さないように構成する。
【0053】
(4)清掃装置50の使用
【0054】
清掃装置50のメインブラシ1の毛先6を水槽52の底面53に適宜押圧した際に、実施例1と同様に、メインブラシ1の毛先6(6a)は水槽52の隅部55に至らず、隅部55との間に間隙57を生じる(図5(b))。また、この状態で、メインブラシ1のブラシ材5の曲がり具合にかかわらず、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)の毛先24、34が隅部55に当たり(主に第二サブブラシ31の毛先34)、かつメインブラシ1の毛先6と隅部52との間隙57にも当たるので(主に第一サブブラシ21の毛先24)、間隙57の総てをはじめ、特に隅部55をはじめ水槽52の全体をもれなく清掃できる(図5(b)(c))。
【0055】
また、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)のブラシ材24、34の毛先25、35は、下方に向けて、かつメインブラシ1の毛先6(6a)から離れるように外方(水槽52の隅部55側)に向けてあるので、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)の毛先25、35は、メインブラシ1の毛先6、6aと交叉することがなく(または極めて希となり)、ブラシ材24、34の毛先25、35が重なり、重なりが触れ合わないので、清掃時の振動の発生を大巾に軽減できる。
【0056】
また、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)のサブブラシ24、34は、幅方向で根元及び先端のいずれも均一な間隔で配置しているので、清掃装置を斜めにして引いた場合であっても、水槽の底や壁の凹凸に追随して、水槽の面を清掃でき、かつ毛先の交叉を防止できる。
【0057】
(5)他の実施例
前記実施例において、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)のサブベース22、32の端縁部23c、33cと取付板41の端縁との間に、間隙41aが形成されていたが(図5(b)、図6(a))、この間隙41aを無くすように、取付板41を大きく形成して、端縁部23c、33cと一体に形成することもできる(図7、図8)。
清掃時に、サブブラシ20(第一第二サブブラシ21、31)がはき出すごみ類があまりにも多い場合には、第一第二サブフレーム22、32の上方を乗り越えて、進行方向後方にごみが逃れる場合も考えられた。このように形成した取付板41では、取付板41の端縁部に塞ぎ部41bが形成されるので(図7(a)、図8(a)(b))、第一第二サブフレーム22、32の上方から集めたごみが乗り越えるおそれを未然に防止できる。従って、大量にごみが蓄積された水槽50の清掃であっても、支障なく前記効果を維持して清掃できる(図7(c))。
【符号の説明】
【0058】
1 メインブラシ
2 メインベース
3 メインベースの端
4 メインベースの上面
5 メインベースのブラシ材
6 ブラシ材の毛先
6a 最も外側に位置するブラシ材の毛先
11 取付フランジ(メインブラシ)
12 取付フランジの取付面
12a 取付フランジの一側
12b 取付フランジの他側
15 ビス
16 ナット
20 サブブラシ
21 第1サブブラシ(サブブラシ)
22 第1サブベース
23a 第1サブベースの一端
23b 第1サブベースの他端
23c 第1サブベースの端縁部
24 第1サブブラシのブラシ材
25 ブラシ材の毛先
31 第2サブブラシ(サブブラシ)
32 第2サブベース
33a 第2サブベースの一端
33b 第2サブベースの他端
33c 第2サブベースの端縁部
34 第2サブベースのブラシ材
35 ブラシ材の毛先
41 取付板(サブブラシ)
41a 間隙
41b 取付板の塞ぎ部
42 取付板の一面
42a 取付板の一側
42b 取付板の他側
43 取付板の他面
44 連結部材(サブブラシ)
46 間隙(第一サブブラシと第二サブブラシの間隙)
47 取付孔
50 清掃装置
52 水槽
53 水槽の底
54 水槽の側壁
55 水槽の隅部
57 間隙(メインブラシと水槽の間隙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインブラシの長さ方向の少なくとも一端にサブブラシを取り付けてなり、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置。
(1) 前記メインブラシの長さ方向を、前記清掃装置の進行方向に対して、平面視で、略直交又は斜めに配置する。
(2) 前記メインブラシは、基体から毛先を下方に向けて構成する。
(3) 前記サブブラシの毛先方向を、前記メインブラシの一端より外方に向くように、前記メインブラシの毛先方向に対して、所定角度を持たせる。
(4) 清掃時に、前記メインブラシを前記水槽の底に当てて押圧して、前記サブブラシの毛先が前記水槽の底隅部に当接した際に、
前記メインブラシの毛先と前記水槽の側壁との間に間隙を形成する。
(5) 清掃時に、前記メインブラシを前記水槽の底に当てて押圧して、前記サブブラシの毛先が前記水槽の底隅部に当接した際に、
前記サブブラシは前記間隙を清掃できるように配置されるように形成する。
(6) 前記サブブラシのブラシのブラシ幅で、前記メインブラシの進行方向のブラシ幅を、底隅部に当接するブラシ幅をメインブラシ側の2倍以上となるように設定した。
【請求項2】
メインブラシの長さ方向の少なくとも一端にサブブラシを取り付けてなり、以下のような条件を総てみたすことを特徴とする水槽の清掃装置。
(1) 前記メインブラシの長さ方向を、前記清掃装置の進行方向に対して、平面視で、略直交又は斜めに配置する。
(2) 前記メインブラシは、基体から毛先を下方に向けて構成する。
(3) 前記サブブラシの毛先方向を、前記メインブラシの一端より外方に向くように、前記メインブラシの毛先方向に対して、所定角度を持たせる。
(4) メインブラシを押圧しない状態で、前記サブブラシの毛先位置を、前記メインブラシの一端の毛先位置より、下方に突出させる。
(5) メインブラシを押圧しない状態で、前記サブブラシの毛先位置を、前記メインブラシの一端の毛先位置より、外方に突出させる。
(6) メインブラシを押圧しない状態で、平面視で、前記サブブラシの毛先と前記メインブラシの毛先が重ならないように構成する。
(7) 前記サブブラシのブラシのブラシ幅で、前記メインブラシの進行方向のブラシ幅を、底隅部に当接するブラシ幅をメインブラシ側の2倍以上となるように設定した。
【請求項3】
以下のような条件を総てみたすことを特徴とする請求項1又は2記載の水槽の清掃装置。
(1) メインブラシに対して、サブブブラシを、相対位置の変更を可能に取りつける。
(2) 前記サブブラシを、平面視で、前記メインブラシと長さ方向が同じ第1サブブラシと、前記メインブラシと長さ方向が略直角な第2サブブラシとから構成する。
(3) 前記第1サブブラシを、その毛先を少なくとも水槽とメインブラシの間隙に配置され、前記第2サブブラシを、その毛先が水槽の底隅部に沿って配置される構成とした。
【請求項4】
以下のような条件を総てみたすことを特徴とする請求項1又は2記載の水槽の清掃装置。
(1) サブブブラシをサブフレームの下端にブラシ材を突出させて構成する。
(2) 前記サブブラシのブラシ取付面を、メインブラシ側を水平として、端縁部で「4分の1」円で形成し、端縁を鉛直に形成する。
(3) 前記サブブラシのブラシ材の毛先を、前記メインブラシ側から端縁部の中間部まで略水平に揃え、端縁部の中間部からの端縁にかけて略鉛直に揃える。
(4) 前記サブブラシのブラシ材を、前記メインブラシの長さ方向で、根元側及び毛先側で、均一に配置した。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−252784(P2010−252784A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12814(P2010−12814)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(594199692)有限会社エイビアコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】