説明

水槽内リフレッシュシステム

【課題】酸素生成能力と、酸素水としての冷水生成能力を併有した酸素ガスハイドレート分解装置を用いることにより、単一、コンパクト、且つ低コストな装置構成によって、活きた魚介類を収容する水槽内に酸素や冷水を適宜供給して水槽内の水温や水中酸素濃度を適切に調整することができる水槽内リフレッシュシステムを提供する。
【解決手段】酸素ガスハイドレート3と、酸素ガスハイドレートに熱を加えて分解することにより高圧の酸素、及び酸素が溶存した酸素水を生成するハイドレート分解槽2と、水11を収容した水槽10と、水槽内に酸素、又は/及び、酸素水を供給する供給手段20と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素ガスハイドレートが熱によって分解する時に生成される酸素、又は酸素水を利用して、魚介類等を飼育、養殖、或いは運搬する際に使用する水槽内の生育条件を最適に維持することができる水槽内リフレッシュシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類を輸送したり、陸上にて飼育、養殖する場合に使用する水槽に対しては、水温や水中の酸素濃度を適正に調整する等、魚介類を活かし続けるのに適した生育条件を確保することが求められている。特にトラック等の運搬手段に設置された水槽内の水中に活きた魚介類を収容して長距離輸送する場合には、外部温度との関係で水槽内の水の温度を適温に調整したり、水中の酸素濃度を適正に調整するための設備が必要となる。しかし、水の温度を調整する温度調整装置、水中の酸素濃度を調整する酸素濃度調整装置、及び酸素供給ポンプ、更にこれらを稼動させるための電源設備等は、夫々別個の装置構成とならざるを得なかったため、これらの異なった設備をスペースに限りがある輸送手段に搭載すると、付属設備の大型化による水槽容量の小型化や、設備費の高コスト化という不具合を招く虞があった。陸上のいけすとして利用される水槽においても同様の問題が生じている。
【0003】
また、特許文献1には、淡水又は海水を収容した魚介類用容器の内部又は外部に水浄化用の微生物培養室を設けた構成が開示されている。この微生物培養室は、室内に濾材を充填し、空気又は酸素を供給して淡水又は海水を循環させ、好気性又は嫌気性微生物を繁殖するようにしたものである。
しかし、この従来例においては水槽内に酸素を供給するためのポンプやその電源設備を使用する必要があり、設備の大型化を招くことが明かである。また、水温を調整するための装置構成について開示されていないが、酸素供給用のエアポンプとは別個に水温調整装置を設けない限り魚介類を活かし続けてその鮮度を保つことは困難である。しかし、酸素供給手段の併設は更なる装置構成の大型化、高コスト化を招くことは明かである。
【特許文献1】特開2005−287390公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、魚介類を水槽内に活きた状態で収容したまま輸送したり、飼育、養殖する場合には、水温の調整、水中への酸素の供給といった育成条件の確保が鮮度を維持するためには必須となるが、従来、水温調整のための装置と酸素供給のための装置は夫々別個の装置構成となっていたため、水槽以外の付属設備の大型化、高コスト化を招いていた。このため、設置スペースに限りがあるトラック等の運搬手段に搭載する際には水槽容量の小型化による運搬効率の低下、運搬手段の大型化等といった不具合があった。また、従来の装置構成では、夏場の暑い温度環境下を長時間輸送する場合に水槽内環境を適切に維持し続けることは容易でなかった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、酸素生成能力と、酸素水としての冷水生成能力を併有した酸素ガスハイドレート分解装置を用いることにより、単一、コンパクト、且つ低コストな装置構成によって、活きた魚介類を収容する水槽内に酸素や冷水を適宜供給して水槽内の水温や水中酸素濃度を適切に調整することができる水槽内リフレッシュシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1の発明に係る水槽内リフレッシュシステムは、酸素ガスハイドレートと、該酸素ガスハイドレートに熱を加えて分解することにより高圧の酸素、及び酸素が溶存した酸素水を生成するハイドレート分解槽と、水を収容した水槽と、該水槽内に酸素、又は/及び、酸素水を供給する供給手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記供給手段は、前記ハイドレート分解槽内で生成される高い圧力を利用して前記酸素をハイドレート分解槽外へ搬送する酸素供給管、又は、前記ハイドレート分解槽内で生成される高い圧力を利用して前記酸素水をハイドレート分解槽外へ搬送する給水管の内の少なくとも一方を備えていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ハイドレート分解槽内の酸素水の冷熱を利用して水槽内の水を冷却する水槽内冷却機構を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3において、前記水槽内冷却機構は、前記ハイドレート分解槽内と前記水槽内に跨って配管されたループ管体と、該ループ管体内を循環する冷媒と、から成り、ハイドレート分解槽内に配管された分解槽内ループ管体部分を通過する冷媒は酸素水、又は酸素ガスハイドレートの冷熱により冷却されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4において、前記水槽内冷却機構は、前記ループ管体と連通接続され、ハイドレート分解槽内の酸素ハイドレートと近接する経路にて配管された分岐管体を備え、前記ループ管体と前記分岐管体には夫々冷媒の通過を断接する弁を備え、各弁を選択的に開閉することにより、冷媒がループ管体内のみを循環するループ管体内循環ルートと、冷媒がハイドレート分解槽内の酸素水中を通過しない冷媒循環ルートと、冷媒が水槽内を通過しない非循環ルートとの何れかを選択することができるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項6の発明は、請求項3において、前記水槽内冷却機構は、前記ハイドレート分解槽内と前記水槽内に跨って配管された酸素水循環管体と、該酸素水循環管体内の冷媒を循環させるポンプと、を備え、前記酸素水循環管体は、前記ハイドレート分解槽内の酸素水中に開口して該酸素水を導入する導入口と、前記水槽内の水中に配管されて前記酸素水を循環させる水槽内循環管体部分と、該水槽内循環管体部分から循環してきた酸素水をハイドレート分解槽内に戻す排出開口と、を備えていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項において、前記ハイドレート分解槽内の酸素水を高圧洗浄水として取り出す配水管を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
従来エアポンプにより外部から水槽内部に酸素を供給したとしても、特に長距離を輸送する時には水槽内を適温に保つことが難しいため、魚介類にとって最適な環境で輸送を行うことは困難であった。従って魚介類が弱ったり、死んで腐敗する等の問題が多発していた。
【0010】
本発明では、活きた魚介類を収容する水槽を完全な密封空間とし、必要に応じて酸素ガスハイドレートを分解することにより生成した酸素や冷水(酸素水)を水槽内に供給することで、水槽内の水中に含まれる酸素量を増大するとともに、水槽内の水温が適温になるまで冷却することができ、特に夏場の長時間の輸送においても水槽内を魚介類の生育上適温に保持できる。その他、水槽が淡水の場合には定期的にハイドレート由来の水を供給することで水槽内の水を清浄に保つことができる。
また、酸素ガスハイドレート分解槽内の圧力を利用することができるので、コンプレッサも不要となり、装置構成を簡略化し、省スペース化、低コスト化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る水槽内リフレッシュシステムの原理を示す概略図である。
この水槽内リフレッシュシステム1は、酸素分子と水分子が結合した氷状物質である酸素ガスハイドレート3と、酸素ガスハイドレート3に熱を加えて分解することにより高圧の酸素4、及び酸素が溶存した酸素水5を生成するハイドレート分解槽2と、魚介類育成用の水(淡水、又は海水)11を収容した水槽10と、水槽10内に酸素4、又は/及び、酸素水5を供給する供給手段20と、を備え構成されている。
ハイドレート分解槽2は、槽内を上下に仕切る網2a上に酸素ガスハイドレート3を載置することにより、酸素ガスハイドレート3が熱により分解することにより生成された酸素4が槽内上部に溜まり、酸素水5が槽内下部に溜まるように構成されている。
水槽10はできるだけ密閉構造、断熱構造とすることが好ましい。
供給手段20は、ハイドレート分解槽2内で生成される高い圧力を利用して槽内に溜まった酸素4をハイドレート分解槽外へ搬送する酸素供給管21、又は、ハイドレート分解槽内で生成される高い圧力を利用して酸素水5をハイドレート槽外へ搬送する給水管22の内の少なくとも一方を備えている。
【0012】
ハイドレート分解槽2内で酸素ガスハイドレート3が分解することにより生成された気体としての酸素4は、酸素供給管21を介して水槽10内に供給されることによって水槽内の水中に活きている魚介類の呼吸用として利用される。
同様に、ハイドレート分解槽2から給水管22を介して水槽10内に供給された冷水としての酸素水5は、水槽内の水11の冷却用に使用される。即ち、ハイドレート分解槽2内の酸素水の冷熱を利用して水槽内の水11を冷却する水槽内冷却機構30が装備されている。
供給手段20による酸素供給のタイミング、及び供給量や、酸素水供給のタイミングや供給量は、夫々酸素供給管21や給水管22に設けた弁21a、22aを開閉制御することによりコントロールする。各弁の開閉制御は、図示しない操作スイッチを操作することにより図示しない制御手段(CPU)が実現するようにしてもよいし、手動操作により各弁を開閉するようにしてもよい。
【0013】
図2は本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の一例の構成を示す略図である。
この水槽内リフレッシュシステム1は、ハイドレート分解槽2と、酸素供給管(供給手段)21と、海水11を収容した水槽10と、水槽内冷却機構30等を備えている。なお、図1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
水槽内冷却機構30は、水槽10内の水11が海水であるため、或いは収容した魚介類に適した専用の特殊な水であるために、ハイドレート分解槽2内で生成された酸素水5を水槽内に供給できないケースに対応するものである。即ち、水槽内冷却機構30は、ハイドレート分解槽2内と水槽10内の海水11中に跨って配管されたループ管体31と、ループ管体31内を循環する冷媒Rと、から成る。
【0014】
ループ管体31は、ハイドレート分解槽2内に配管された分解槽内ループ管体部分32と、水槽10(特に水中)内に配管された水槽内ループ管体部分33と、分解槽内にも水槽内にも属さない中間ループ管体部分34と、を備えている。分解槽内ループ管体部分32と水槽内ループ管体部分33は、何れも熱伝導性の良好な金属材料が露出した構成を備え、中間ループ管体部分34は断熱材等により被覆した構成を有する。
本実施形態では、分解槽内ループ管体部分32中を通過する冷媒Rが、ハイドレート分解槽2内の酸素水5、又は酸素ガスハイドレート3の冷熱により冷却されるように構成されている。冷却された分解槽内ループ管体部分32内の冷媒Rは、管体内を矢印の方向へ移動し、中間ループ管体部分34を経て水槽内ループ管体部分33へと循環してゆく。
【0015】
ハイドレート分解槽内の酸素水は0〜5℃と低温であるため、分解槽内に配管された分解槽内ループ管体部分32においては熱交換により冷媒Rの温度が低下する。一方、分解槽側で冷却された冷媒が水槽内ループ管体部分33を通過することにより水槽内の海水11を冷却する。
冷媒Rは水槽内での熱交換により温度が上昇すると上方へ流動する。冷媒は、水槽側で下部から上部へ、分解槽側で上部から下部へ流れることによる自然対流をループ管体内で形成する。従って、ポンプ等の格別の圧送手段は不要となる。なお、冷媒は、熱伝導性に優れる液体の冷媒であることが好ましい。
【0016】
一方、ハイドレート分解槽2により生成された酸素4は、酸素供給管21を介して水槽10内に供給される。ハイドレート分解槽2内は高圧であるため、格別のポンプを設けずに水槽内に酸素を供給することができる。水槽内の海水11に溶存できない酸素は、水槽の上部空間に蓄積される。なお、水槽内部の圧力が過度に高くなると、水槽破壊の原因となるので水槽上部に備え付けられた圧力調節弁36を通じて外部に酸素を排出して水槽内圧を自動的に調整する。酸素の排出と同時に飛散する海水は、海水受け皿37によって受ける。これにより、海水の飛散による水槽等の錆発生を防止することができる。
ハイドレート分解槽2内の酸素水5は水槽10内には供給されず、例えば排水管35により排出される。排水管35から排出される酸素水5は高圧水であるため、水槽内、その他の適所を高圧洗浄する際に使用することができる。
【0017】
次に、図3(a)(b)及び(c)は本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の他の一例の構成を示す略図である。なお、図1、及び図2の実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明する。
この水槽内リフレッシュシステム1は、ハイドレート分解槽2と、酸素供給管(供給手段)21と、海水11を収容した水槽10と、水槽内冷却機構30等を備えている。
水槽内冷却機構30は、水槽10内の水11が海水、その他の特殊な水であるためにハイドレート分解槽2内で生成された酸素水5を水槽内に供給できないケースに対応するものである。即ち、水槽内冷却機構30は、ハイドレート分解槽2内と水槽10内の海水11中に跨って配管されたループ管体31と、ループ管体31内を循環する冷媒Rと、ループ管体31と連通接続され、ハイドレート分解槽2内の酸素ガスハイドレート3と近接する経路にて配管された分岐管体40と、を備えている。
【0018】
ループ管体31の構成は図2の実施形態と同様であるが、本実施形態ではハイドレート分解槽2内の酸素ガスハイドレート3と近接する経路にて配管された分岐管体40をループ管体31の適所と接続することにより、酸素ガスハイドレート3によって分岐管体40内の冷媒を直接冷却するように構成した点が特徴的である。
分解槽内にある分岐管体40は熱伝導性の良好な金属材料が露出した構成とする。
更に、この水槽内冷却機構30においては、ループ管体31と分岐管体40と中間ループ管体部分34の適所に夫々冷媒Rの通過を断接する弁v1、v2、v3を備え、各弁を制御手段による操作又は手動操作により選択的に開閉することにより、冷媒Rがループ管体31のみを通過するループ管体循環ルート(図3(a))と、ハイドレート分解槽2の酸素水5内を通過しない冷媒循環ルート(図3(b))と、水槽10内を通過しない非循環ルート(図3(c))の何れかを選択することができるように構成している。
【0019】
即ち、まず、図3(a)のように第1の弁v1を閉じると共に、第2及び第3の弁v2、3を開放することにより、冷媒がループ管体31のみを通過するループ管体循環ルートを形成することができる。ループ管体31内の冷媒がハイドレート分解槽2と水槽10との間で自然対流することで、冷水である酸素水5の冷熱を利用して水槽内の海水11を冷却することができる。この場合、分岐管体40内にある冷媒は流動しないため、酸素水のみを利用した冷媒の冷却となり、冷媒が0℃を下回る低温になることはない。
なお、ハイドレート分解槽2内を通る分岐管体40の近傍には、約−20℃に保持されていた低温の酸素ガスハイドレート3があることから、酸素ガスハイドレートからの冷熱により冷却される分岐管体40内の冷媒Rとしては、少なくとも−20℃では凝固しないものであることが望ましい。冷媒Rの具体例としては、アセトンやブライン等を例示することができる。
【0020】
次に、図3(b)の例では、第2の弁v2を閉じると共に、第1及び第3の弁v1、v3を開放することにより、冷媒がハイドレート分解槽2内の酸素水5中を通過しない冷媒循環ルートを形成することができる。
この実施形態では、冷媒Rが分解槽内の酸素ガスハイドレート3の近傍を通過することで、酸素ガスハイドレートの冷熱を利用して冷媒を0℃以下の低温に冷却し、この冷媒を水槽内ループ管体部分33に供給して水槽内の海水11を冷却することができる。冷媒Rは図3(a)の場合と同様に配管内を自然対流する。
本実施形態では酸素ガスハイドレートの冷熱を利用して冷媒を急速に冷却できるため、海水11を迅速に冷却する必要がある場合や、ハイドレートの分解が開始されたばかりであるために十分な量の酸素水5が分解槽内に存在しない場合に特に有効である。
なお、全ての弁v1、v2、v3を開放することにより、酸素ガスハイドレート3、及び酸素水5によって冷却された冷媒Rが水槽内に循環する循環ルートを形成することができる。この循環ルートによる冷却効果が最大となる。
【0021】
次に、図3(c)の例では、第3の弁v3を閉じると共に、第1及び第2の弁v1、v2を開放することにより、冷媒が水槽10内を通過しない非循環ルートを形成することができる。
この実施形態では、分解槽内で冷却された冷媒Rが水槽10側へ供給されないように弁の開閉状態を設定しているため、水槽内の海水11は冷却されない。
海水を冷却する必要がない場合には、このような弁の開閉状態とすればよい。
【0022】
次に、図4は本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の他の一例の構成を示す略図である。上記各実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
この実施形態に係る水槽内冷却機構30は、ハイドレート分解槽2内と水槽10内に跨って配管された酸素水循環管体50と、酸素水循環管体50内の冷媒Rを循環させるポンプ51と、を備えている。
酸素水循環管体50は、ハイドレート分解槽2内の酸素水5中に開口して酸素水を導入する導入口50aと、水槽内の水11中に配管されて酸素水を循環させる水槽内循環管体部分50bと、水槽内循環管体部分50bから循環してきた酸素水をハイドレート分解槽2内に戻す排出開口50cと、を備えている。この実施形態では、酸素水を直接水槽内に導いて水槽内の水を冷却させるのであるが、酸素水は水槽内には供給されずに、酸素水循環管体50内を通過する際に水11を冷却し、その後排出開口50cから分解槽内に戻されて再冷却を受けて繰り返し使用されるものである。或いは、排出開口50cを排水管35と接続することにより水槽内を冷却した酸素水を分解槽外に排出し、高圧洗浄水として利用してもよい。
このように本実施形態では、酸素ガスハイドレート由来の酸素水を、ポンプ51を用いて強制対流させることで、水槽側で熱交換が行われ、水槽内を冷却することができる。
【0023】
次に、図5はハイドレート分解槽内の酸素水を直接水槽内に供給することができる場合における酸素水供給機構の構成例を示している。水槽内の水が淡水である場合等にこの構成例を採用することができる。
水槽10内の水11が淡水である場合、ハイドレート分解槽2により得られた酸素水(冷水)5を給水管60を介して直接水槽10内に供給することができる。給水管60の適所に設けた弁60aにより供給する酸素水量を調整する。水槽内の温度が高い場合に、冷水としての酸素水5を供給することで水槽内の温度を低下させることができる。ハイドレート分解槽2内は高圧であるため、酸素水中の酸素溶存濃度は高い。従って、淡水魚等の水槽内の生物に酸素を供給して鮮度を維持することが可能となる。また、酸素ガスハイドレート由来の清潔な酸素水を供給することで、水槽内の水を清浄に保つことが出来る。
なお、ハイドレート分解槽2内の圧力が過度に高くなることは分解槽の破壊の原因となるため、圧力調節弁61により適宜酸素を排出する。
【0024】
上記の各実施形態に係る水槽内のリフレッシュシステムは、魚介類を飼育、養殖、運搬するための水槽のみならず、水生動物、水生植物、海藻等々を収容する水槽等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る水槽内リフレッシュシステムの原理を示す概略図である。
【図2】本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の一例の構成を示す略図である。
【図3】(a)(b)及び(c)は本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の他の一例の構成を示す略図である。
【図4】本発明の水槽内リフレッシュシステムに用いられる水槽内冷却機構の他の一例の構成を示す略図である。
【図5】ハイドレート分解槽内の酸素水を直接水槽内に供給することができる場合における酸素水供給機構の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1…水槽内リフレッシュシステム、2…ハイドレート分解槽、2a…網、3…酸素ガスハイドレート、4…酸素、5…酸素水、10…水槽、10…直接水槽、11…水槽、20…供給手段、21…酸素供給管、21a…弁、22…給水管、30…水槽内冷却機構、31…ループ管体、32…分解槽内ループ管体部分、33…水槽内ループ管体部分、34…中間ループ管体部分、35…排水管、36…圧力調節弁、37…皿、40…分岐管体、50…酸素水循環管体、50a…導入口、50b…水槽内循環管体部分、50c…排出開口、51…ポンプ、60…給水管、61…圧力調節弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素ガスハイドレートと、該酸素ガスハイドレートに熱を加えて分解することにより高圧の酸素、及び酸素が溶存した酸素水を生成するハイドレート分解槽と、水を収容した水槽と、該水槽内に前記酸素、又は/及び、前記酸素水を供給する供給手段と、を備えたことを特徴とする水槽内リフレッシュシステム。
【請求項2】
前記供給手段は、前記ハイドレート分解槽内で生成される高い圧力を利用して前記酸素をハイドレート分解槽外へ搬送する酸素供給管、又は、前記ハイドレート分解槽内で生成される高い圧力を利用して前記酸素水をハイドレート槽外へ搬送する給水管の内の少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1に記載の水槽内リフレッシュシステム。
【請求項3】
前記ハイドレート分解槽内の酸素水の冷熱を利用して水槽内を冷却する水槽内冷却機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水槽内リフレッシュシステム。
【請求項4】
前記水槽内冷却機構は、前記ハイドレート分解槽内と前記水槽内に跨って配管されたループ管体と、該ループ管体内を循環する冷媒と、から成り、前記ハイドレート分解槽内に配管された分解槽内ループ管体部分を通過する冷媒は前記酸素水、又は前記酸素ハイドレートの冷熱により冷却されることを特徴とする請求項3に記載の水槽内リフレッシュシステム。
【請求項5】
前記水槽内冷却機構は、前記ループ管体と連通接続され、ハイドレート分解槽内の酸素ハイドレートと近接する経路にて配管された分岐管体を備え、
前記ループ管体と前記分岐管体には夫々冷媒の通過を断接する弁を備え、各弁を選択的に開閉することにより、冷媒がループ管体内のみを循環するループ管体内循環ルートと、冷媒がハイドレート分解槽内の酸素水中を通過しない冷媒循環ルートと、冷媒が水槽内を通過しない非循環ルートとの何れかを選択することができるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の水槽内リフレッシュシステム。
【請求項6】
前記水槽内冷却機構は、前記ハイドレート分解槽内と前記水槽内に跨って配管された酸素水循環管体と、該酸素水循環管体内の冷媒を循環させるポンプと、を備え、
前記酸素水循環管体は、前記ハイドレート分解槽内の酸素水中に開口して該酸素水を導入する導入口と、前記水槽内の水中に配管されて前記酸素水を循環させる水槽内循環管体部分と、該水槽内循環管体部分から循環してきた酸素水をハイドレート分解槽内に戻す排出開口と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の水槽内リフレッシュシステム。
【請求項7】
前記ハイドレート分解槽内の酸素水を高圧洗浄水として取り出す配水管を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の水槽内リフレッシュシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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