水洗トイレ用芳香洗浄剤容器

【課題】水洗トイレ水盆上に設置する芳香洗浄水溶液生成用の容器において、使用と共に解けにくくなる芳香洗浄剤から長期に良好な芳香洗浄水溶液を生成し、無機的雰囲気のトイレ空間に植物の緑による癒しを提供する。

【解決手段】自在に向きを変えられる受水皿、芳香洗浄剤収納筒を保持台上において構成した芳香洗浄剤容器の受水皿に小植物の鉢を設置可能にすると共に、受水皿に一旦溜まった水の水圧を利用して固形の芳香洗浄剤から水溶液を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば水洗トイレの便器洗浄水タンク上の水盆に置いて洗浄用水補給時に便器の洗浄消臭芳香の効果を供する水溶性固形物の水溶液を自動的に作る水洗トイレ用芳香洗浄剤容器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
便器の洗浄消臭芳香に効果がある芳香洗浄液を作るための水溶性固形物をその内部に入れて水洗トイレの洗浄水タンク上の水盆に置き、タンクに補給する洗浄水を当てて水洗トイレ用の芳香洗浄材水溶液を生成する容器は従来からあった。その構造はシンプルだが自動的に芳香洗浄水が補給される便宜に加え、外観に意匠に工夫を凝らすことで、無機的な雰囲気になりがちなトイレ空間に心休まる雰囲気を提供するよう心がけられてきた。前記既成の水洗トイレ用芳香洗浄剤容器は販売価格に見合う大量生産に適した成形用型を用いたプラスチックインジェクション工法で同一意匠の製品が安価に大量に生産されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】実公平６−５７８７７
【特許文献２】実公平６−６０６７５
【特許文献２】実公平６−８４７０
【特許文献２】特工平９−２０３０９９
【特許文献２】特工平９−２０４９５５
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明が解決しようとする前記の水洗トイレ用芳香洗浄剤容器の課題は芳香洗浄剤容器の意匠ならびに芳香洗浄水溶液生成能力に関するもので、従来の芳香洗浄剤容器は専門家による優れた意匠で製造されていても合成樹脂をインジェクションする工法による工業製品で画一性のため、外観から受ける印象は各個人によって差はあっても好感には限界があった。また、芳香洗浄剤に成形のために混ぜられたつなぎ剤が層を成しやすく、芳香洗浄剤の溶液の濃度が先浄水補充を繰り返すと共に次第に低下する不具合があった。この不具合を回避しようと芳香洗浄剤容器の蓋を開けてつなぎ剤の層を除こうとすると芳香洗浄剤に混ぜられた強力な着色剤が指に付き易く石鹸などで洗っても容易に落とすことができず不快であった。
【０００５】
本発明は上記に鑑み、芳香洗浄剤容器に観葉植物や苔などの植物の鉢を本来の芳香洗浄剤水溶液生成機能を残して改善しながら組み込み、観葉植物や苔などが持つ無二性を利用してトイレ利用者に前記植物の鉢毎の個性と植物の緑と植物の日々時々の変化とを視覚を通して与える癒しや安らぎの雰囲気を提供し、同時に指先を汚さず適度な濃度の芳香洗浄水溶液が長期間生成され続ける便宜が供される芳香洗浄剤容器を提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するための本発明の水洗トイレ用芳香洗浄剤容器は、水洗トイレの便器洗浄水タンク上の水盆に置いて洗浄水補充時に注水され固形の芳香洗浄剤から芳香洗浄水溶液を自動的に生成する芳香洗浄剤容器において、
（１）洗浄水を一旦受けて溜める受水皿と、
（２）受水皿がその上に置かれる、固形の芳香洗浄剤を収納する芳香洗浄剤収納筒と、
（３）芳香洗浄剤と芳香洗浄剤収納筒とがその上におかれる平坦でない水盆上に安定に本芳香洗浄剤容器の姿勢を保持するための保持台とで構成することを特徴とするものである。
【０００７】
ここで、前記受水皿は、
（４）芳香洗浄剤収納筒に乗せたとき自在に水平方向の向きを変えることができでもよく、
（５）受水の一部を捨てて受水量を調整するる受水皿側孔を側面に設けてもよく、
（６）小型の植木鉢の底部を差し込める鉢置開口部が底面にあってもよく、
（７）鉢置開口部には植木鉢底部が差し込まれたときでも受水した水を固形の芳香洗浄剤に落とすための、例えば半円形の、１つ以上の凹部が水抜孔として連接していてもよい。
【０００８】
また、芳香洗浄剤収納筒は、
（８）保持台に乗せたとき自在に水平方向の向きを変えることができてもよく、
（９）その中に入れられる固形の短円柱状の芳香洗浄剤に注がれてできた水溶液が芳香洗浄剤脇を流れ落ちることが可能な内径の筒状であってもよく、
（１０）注水されて水溶液となった芳香洗浄剤を外部に排出する芳香洗浄剤水溶液排水側孔を備えたものであってもよい。
【０００９】
更にまた、保持台は、
（１１）底部が水盆表面にほぼ密着するような曲面に成型され、或いは水盆上に安定設置のために３箇所以上の凸部による脚を備えた形状に成型されたものでもよく、
（１２）底部が水盆にほぼ密着する場合は、生成された芳香洗浄剤水溶液を水盆中央で洗浄水タンクへの洗浄水補充口への水路になる１本以上の芳香洗浄水溶液排水溝を底部に設けてもよく、
（１３）上部に芳香洗浄剤収納筒の内径より小さく芳香洗浄剤収納筒を容易に被せることが可能な、例えば短円柱形の部分を芳香洗浄剤置台として備えていてもよく、
（１４）芳香洗浄剤置台の中央部には芳香洗浄剤水溶液を水盆に落とすため、天面から底面に貫通した芳香洗浄剤置台中央孔が有ってもよく、
（１５）芳香洗浄剤置台中央の芳香洗浄剤置台中央孔の周辺には保持台と固形の芳香洗浄剤との間を芳香洗浄剤水溶液が通り得る空間を形成する複数の例えば円筒状凸部があってもよく、
（１６）前記芳香剤置台の円周部には生成された芳香洗浄剤水溶液を芳香洗浄剤収納筒の水溶液排水側孔に導くための１本以上の溝を設けてもよい。
【００１０】
更にまた、保持台上に設けられた芳香洗浄剤置台は短円柱形以外の形状であってもよい。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の水洗トイレ用芳香洗浄剤容器では水洗トイレの洗浄水タンクへ補充する洗浄水がまず植物を植えた鉢に注がれるので、植物の育成用の水が自動的に供給され植物が維持されてトイレ使用者の視覚に自然植物の緑を常時与えることがでる。また、受水皿の形状には特別な制約が無く趣向を凝らした、例えば民芸調の意匠にすることもできるので同様に柔らか味を持たせた形状にすることも可能で、トイレ使用者の視覚に安らぎを与えることもできる。
【００１２】
また、従来の芳香洗浄剤容器では表面に設けられた幾つかの小孔を通った水が僅かな落差で固形の芳香洗浄剤に与えられるので注水回数を重ねると固形の芳香洗浄剤表面に芳香洗浄剤製造時の成形を容易にするために混ぜられたつなぎ剤が層状態になって残り水溶液ができ難くなり、水溶液の濃度を下げる不具合があったが、本発明の芳香洗浄剤容器では受水皿から溜まった水の水量と水圧を利用して芳香洗浄剤に注水されるのでつなぎ剤の層を洗い流すことができ、長期間にわたって適切な濃度の芳香洗浄剤水溶液を洗浄水タンクに供給し続けることができる。
【００１３】
また、受水皿や芳香洗浄剤収納筒は向きを固形の芳香洗浄剤に触れることなく変えられるので芳香洗浄剤に含まれる強力な着色剤で指先を汚すことなく固形の芳香洗浄剤への注水位置を変えることができるので更に長期間にわたって適切な芳香洗浄剤水溶液を洗浄水タンクに供給することが可能になり、水洗トイレの使用感を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】（Ａ）は鉢を装着した本発明の芳香洗浄剤容器の外観を示す斜図であり、（Ｂ）は本発明の芳香洗浄剤容器を水洗タンクの水盆上に置いた断面図である。
【００１５】
【図２】は空の鉢と本発明の芳香洗浄剤容器を示す外観斜図である。
【００１６】
【図３】は本発明の芳香洗浄剤容器を示す分解斜図である。
【００１７】
【図４】は鉢と固形の芳香洗浄剤との関係を示す本発明の芳香洗浄剤容器の分解斜図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明は水洗トイレの洗浄水タンクの水盆上に置かれる芳香洗浄剤水溶液生成用の芳香洗浄剤容器において実施されたものである。
【実施例１】
【００１９】
図１から図４を参照して、本発明の実施例１を説明する。
【００２０】
図１（Ａ）は観葉小植物或いは苔などの鉢植え１１をその受水皿２０に装着した本発明の芳香洗浄剤容器１０の使用時の外観を示している。図１（Ｂ）は水洗トイレの洗浄水タンクの水盆１３上に本発明の芳香洗浄剤容器１０を設置した中央部分の垂直断面を示している。ただし、水道栓や水道管などの水周りの設備は直接説明に必要でないため水盆上の蛇口１４を除いて断面図から省略した。図２は植物を除いた空の植木鉢を置いた場合の本発明の芳香洗浄剤容器１０を示す外観斜図である。図３は本発明の芳香洗浄剤容器１０のみを示す分解斜図である。図４は鉢３０と固形の芳香洗浄剤６０と本発明の芳香洗浄剤容器の相互の関係を示す分解斜図であり、芳香洗浄剤収納筒４０が保持台５０に装着された状態を示した。
【００２１】
本発明の芳香洗浄剤容器１０は水洗トイレの洗浄水タンク１２の水盆１３上の、補充水を供給するための蛇口１４直下に設置して用いることができる。芳香洗浄剤容器１０を用いない場合、補充水は蛇口１４から直接水盆１３に注がれ中央部に設けられた洗浄水導入孔１３ａ経由で洗浄水タンク１２内の貯水１５となるが、例えば本発明の芳香洗浄剤容器を水盆上に設置すると蛇口１４から与えられる補充水は蛇口１４直下の芳香洗浄剤容器に注がれる。このことは従来の芳香洗浄剤容器においても本発明の芳香洗浄剤容器においても同様であるが、本発明の芳香洗浄剤容器１０では小植物の鉢植え１１の鉢３０が受水皿２０に装着され、補充水は蛇口１４から前記鉢植え１１に注がれ、鉢３０に植えられた植物に水洗トイレ使用のたびに水が十分に与えられる。
【００２２】
受水皿の外観形状は特に制約がないので柔らかい曲線を採用した手工品的な意匠にしてもよく、モダンな直線的な衣装にしてもよく、意図する嗜好に合わせて選定することができる。鉢３０に植えられた植物は、好ましくは水を好む種類がよく、鉢に入れる用土は好ましくは注水により流失してしまう可能性が少ない焼成粒土などを基本とすることがよい。
【００２３】
前記植物が水を好む種類で鉢内の水捌けがよい用土を用いると鉢３０に植えられた苔などの植物はよい生育状態が期待できてトイレ空間に心休まる緑を育むことができる。
【００２４】
受水皿２０の底面に設けられた鉢置用開口部２５に植木鉢３０の底部が嵌られ、受水皿２０と植木鉢３０は一体化しているが、受水皿には鉢置き開口部２５に連接して設けられた１箇所以上の水抜孔２３があり、受水皿２０の水は受水皿の水圧を得て水抜孔２３から受水皿２０の下の芳香剤収納筒４０の内部空間４１に置かれた保持台５０の芳香洗浄剤置台５２上の固形の芳香洗浄剤６０上に落ちて芳香洗浄剤水溶液が生成され、芳香洗浄剤置台５２中央の保持台５０の底面５３まで貫通した芳香洗浄剤置台中央孔５５や芳香洗浄剤置台５２周縁部に設けられた溝部５２ａと芳香洗浄剤収納筒４０に設けられた芳香洗浄剤水溶液排水側孔４３とが作る開口部を通して水盆１３に落ちて洗浄タンク１２に注がれて蓄えられる。
【００２５】
このとき、受水皿２０の底部の水抜孔２３から芳香洗浄剤６０に注がれる水は受水皿２０に溜められた水による水量と水圧により、従来の芳香洗浄剤容器では芳香洗浄剤に注水を繰り返すと芳香洗浄剤表面にでき易く芳香洗浄剤の水溶液生成を妨げる前記つなぎ材の層を、常に流し落とすよう作用するため長期間にわたって良好な芳香洗浄剤水溶液を洗浄剤タンクに供給し続けることができる。
【００２６】
更に、芳香洗浄剤収納筒４０は芳香洗浄剤６０に触れることなく保持代５０に対する向きを変えることが可能で芳香洗浄剤水溶液排水側孔４３と芳香剤置台周縁部の溝部とが作る開口の大きさを変更でき、更に上皿２０の向きを同様に芳香洗浄剤６０に触れることなく変更できるので、指先を芳香洗浄剤６０に混ぜられた強力な着色剤で汚すことなく芳香洗浄剤水溶液の生成具合を改善でき具合がよい。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
芳香洗浄剤容器と小植物を組合せた新しい商品としてドラッグストア向け、園芸販売店向けに、また任意のオリジナルな意匠の手工品材料の商品に適用できる。
【符号の説明】
【００２８】
１０芳香洗浄剤容器
１１鉢植え
１２洗浄水タンク
１３水盆
１３ａ水盆表面
１３ｂ洗浄水導入口
１４洗浄水用蛇口
１５洗浄用貯水
２０受水皿
２１受水皿イトゾコ部
２２受水皿側孔
２３水抜孔
２５鉢置開口部
３０鉢
４０芳香洗浄剤収納筒
４１芳香洗浄剤収納筒内部の中空空間
４２底開口部
４３芳香洗浄剤水溶液排水側孔
５０保持台
５１保持台天面
５２芳香洗浄剤置台
５２ａ芳香洗浄剤置台周囲溝部
５２ｂ芳香洗浄剤置台上突起
５３保持台底面
５４芳香洗浄水溶液排水溝
５５芳香洗浄剤置台中央孔
６０固形の芳香洗浄剤

【特許請求の範囲】
【請求項１】
水洗トイレの洗浄水タンクの水盆上に設置して補充する洗浄水で芳香洗浄水溶液を生成する芳香洗浄剤容器において、
補充する洗浄水を一旦受ける受水皿と、受水皿がその上に置かれる固形の芳香洗浄剤を収納する芳香洗浄剤収納筒と、芳香洗浄剤入れがその上に置かれる平坦でない水盆上に安定に容器の姿勢を保持するための保持台とで構成することを特徴とする芳香洗浄剤容器。
【請求項２】
前記受水皿は、
その底面に植木鉢の底部を嵌め込むことができる鉢置開口部を有し、水好性である苔などの小植物の鉢植えを設置可能にしたことを特徴とする請求項１の芳香洗浄剤容器。
【請求項３】
前記受水皿は、
その底面に植木鉢の底部に１箇所以上の水抜孔を有し、受水皿に溜まった水の水圧を利用して水抜孔から芳香洗浄剤に注水することで前記水溶液生成時にその表面付近に残って溜まる芳香洗浄剤に混ぜられたつなぎ剤の層を押し流すことで長期間にわたり適切な前記水溶液生成を可能にしたことを特徴とする請求項１、請求項２の芳香洗浄剤容器。
【請求項４】
前記受水皿と芳香洗浄剤収納筒は、
固形の芳香洗浄剤に触れることなく保持台上で向きを変えられることで指先を芳香洗浄剤に混ぜられた着色剤で汚すことなく芳香洗浄剤に注がれる水の位置を変えることが可能なことを特徴とした請求項１の芳香洗浄剤容器。

【図１】