説明

水洗便器の排水ソケット構造

【課題】強度を確保しつつ、台座部の床面への位置決めと、水洗便器の配水管と排水管路との位置決めとを両立することが出来る水洗便器の排水ソケット構造を提供する。
【解決手段】本発明は、壁面Wに設けられた排水管路Dの入口端部と水洗便器本体の排水路8の出口端部10とを連通させる水洗便器の排水ソケット構造20であって、排水路の出口端部に連結される流入口24と排水管路の入口端部に連結される流出口26とを備えた排水ソケット本体22と、この排水ソケット本体の下部に設けられ排水ソケット本体の流出口の床面からの高さを排水管路の床面からの高さにほぼ一致するように調整する高さ調整部を有する高さ調整部材30、32、34と、この高さ調整部材に取り付けられると共に床面に配置されて排水ソケット本体を支持する台座部36と、を有し、この台座部は、高さ調整部材に対して相対的に回転可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器の排水ソケット構造に係り、特に、壁面やトイレ内に上下方向に設置される縦排水管から分岐する床面より高い位置に設けられる排水管路の入口端部と水洗便器本体の排水路の出口端部とを連通させる水洗便器の排水ソケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗便器の排水路を壁面の排水管路に接続するために、台座部に対する排水ソケットの高さをねじにより調整可能にした排水ソケットが知られている(特許文献1)。
また、水洗便器の排水路を床面の排水管路に接続するために、排水ソケットを水洗便器に対して反転させて、異なる位置に設けられた床面の排水管路に合わせられるようにした排水ソケットが知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−48407号公報
【特許文献2】特許3089535号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排水ソケットでは、1つのソケットで種々の排水芯高さに対応出来る点で優れているものの、高さの調整手段が複雑になる点で改良の余地があった。
また、特許文献2に記載の排水ソケットでは、下方を向く排水路と、床面の排水管路とを直結するものであり、排水ソケット全体が反転されることで、流路も大きく異なることから、2つの排水管路設置位置での排出性能を確保することが難しく、また、排水ソケット全体を反転させる構成は、壁面に設けられた排水管路への接続は不可能なものであった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、水洗便器の側方にある排水管路への位置決めを容易に行うことが出来る水洗便器の排水ソケット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、水洗便器本体の排水路の出口端部と、床面より高い位置で壁面に設けられる排水管路の入口端部とを連通させる水洗便器の排水ソケット構造であって、排水路の出口端部に連結される流入口、この流入口から連続する流路、及び、水平方向に向いて開口した流路の流出口を有する排水ソケット本体と、この排水ソケット本体の流出口に連結される流入口、この流入口から連続すると共に、排水管路の入口端部に連結され水平方向に向いて開口した流出口を有する排水口取付部と、を有し、排水口取付部の流出口の水平軸線は、排水ソケット本体の流出口の水平軸線に対して偏心しており、排水口取付部は、排水ソケット本体の流出口の水平軸線回りで回動可能に排水ソケット本体に取り付けられていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、排水ソケット本体が、排水路の出口端部に連結される流入口、この流入口から連続する流路、及び、水平方向に向いて開口した流路の流出口を有する。そして、排水口取付部は、排水ソケット本体の流出口に連結される流入口、及び、排水管路の入口端部に連結され水平方向に向いて開口した流出口を有する。そして、排水口取付部の流出口の水平軸線は、排水ソケット本体の流出口の水平軸線に対して偏心しており、排水口取付部は、排水ソケット本体の流出口の水平軸線回りで回動可能に排水ソケット本体に取り付けられている。
従って、そのように偏心した流出口を有する排水口取付部を回動させることにより、排水口取付部の流出口の排水芯高さを変更して、下方位置と上方位置の2段階に調節することが出来る。特に、壁面へ向かう部分の排水の流路構成は、水洗便器の性能上重要であり、本発明では、排水ソケット本体から排水口取付部へ流路が連続することを確保しつつ、排水芯高さが異なる場合でも、排水口取付部を回動させて、異なる高さでも排水性能を効果的に確保することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、さらに、排水ソケット本体に取り付けられ、この排水ソケット本体を床面で支持するように床面に設置された支持部を有し、この支持部はソケット本体の高さを調整する高さ調整部を有する。
このように構成された本発明においては、異なる排水芯高さの管路への排水経路を構成させる場合、大まかな排水芯高さは、上述したように排水口取付部を回動させることにより変更して、下方位置と上方位置の2段階に調節し、排水芯高さの微修正或いは誤差を吸収するには、高さ調整部を利用することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、支持部は、支持部を床面に固定するための台座部を有し、この台座部は、支持部の軸線回りで回動可能に設けられている。
このように構成された本発明においては、台座部が支持部の軸線回りで回動可能に設けられているので、例えば、予め形成された台座部のねじ孔と、床面に形成されたねじ孔との位置合わせが容易となる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、排水ソケット本体又は排水口取付部には、排水口取付部の流出口と排水管路の入口端部との高さの誤差を吸収する高さ誤差吸収部を有する。
このように構成された本発明においては、異なる排水芯高さの管路への排水経路を構成させる場合、大まかな排水芯高さは、上述したように排水口取付部を回動させることにより変更して、下方位置と上方位置の2段階に調節し、排水芯高さの微修正或いは誤差を吸収するには、高さ誤差吸収部を利用することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、排水路の出口端部の軸線及び排水ソケット本体の流入口の軸線はそれぞれ鉛直方向に延び、排水ソケット本体の流入口は排水路の出口端部に鉛直軸線回りで回動可能に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、排水口取付部を後方だけでなく、左方或いは右方に向けて、左右いずれかにある排水管路にも対応できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水洗便器の側方にある排水管路への位置決めを容易に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の配置及び構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造が適用された水洗便器及び壁部の排水管路を示す全体縦断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第1の位置にある場合の縦断面図であり、図3は、本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第2の位置にある場合の縦断面図である。
【0014】
先ず、図1に示すように、床面F上には、水洗便器1の水洗便器本体2が固定されており、壁面Wには、この水洗便器本体2の排水を排出するための管路Dが設けられている。床面Fから管路Dの中心までの距離(排水心高さ)は、便器を施工する現場で種々の高さがあり、例えば、90〜155mmまでの間で変動する。本実施形態では、排水心高さ120mmと155mmの施工現場に好適な構造で説明する。
【0015】
水洗便器本体2は、ボウル部4と、このボウル部4の底部から斜め上方に延びる入口管路6と、この入口管路6と連通して下方に延び、鉛直下方に向かって開口する排水路8と、この排水路8の出口端部10とを有する。このように出口端部を鉛直下方に向かって開口させるような排水路としておくことで、水洗便器本体を壁排水、床排水のいずれにも適用できるので、便器本体の共有化を図るためには、望ましいものである。そして、本発明の実施形態による排水ソケット20が、この出口端部10と管路Dとを連通するように設けられている。排水ソケット20は、塩化ビニール等のプラスチック材料で構成される。
【0016】
図2及び図3に示すように、排水ソケット20は、排水ソケット本体22と、この排水ソケット本体22の上方に設けられ鉛直上方に向けて開口した円筒状の流入口部24、鉛直方向から水平方向へと直角方向に曲がって延びる流路26、および、排水ソケット本体22の側方に設けられ水平方向に向けて開口した円筒状の流出口部28とを有する。流入口部24には、出口端部10と流入口部24との間にゴムパッキン30が取り付けられている。このように、便器の排水路8の出口端部10は、ゴムパッキン30を介して流入口部24に挿入されて接続されている。
【0017】
次に、排水ソケット本体22には、排水ソケット本体22を床面Fで支持するための支持部32が取り付けられている。本実施形態の場合には、排水ソケット22と一体成型されて形成されている。この支持部32は、排水ソケット本体22に直接取り付けられる第1部分32a、その下方で第1部分32aより径方向の寸法が大きく形成された第2部分32b、及び、床面Fにボルトなどで固定するために設けられた台座部32cとを有する。第1部分32a、第2部分32b及び台座部32cは一体成型されている。
【0018】
次に、排水ソケット本体22の流出口部28には、排水口取付部(流入口部)40が取り付けられている。この排水口取付部40は、流出口部28に挿入される第1円筒部分40aと、この第1円筒部分40aより壁面W側に設けられた第2円筒部分(流出口部)40bとを有する。
第1円筒部分40aは、水平方向に延びる中心軸線Aを有し、この中心軸線Aは、排水ソケット本体22の流出口部28の中心軸線と一致する。従って、排水口取付部40の第1円筒部分40aが、排水ソケット本体22の流出口部28に対して回転し、それにより、排水口取付部40が回動するようになっている。
【0019】
このような第1円筒部40aに対して、第2円筒部40bは、水平方向に延びる中心軸線Bを有している。図2及び図3に示すように、この中心軸線Bは、中心軸線Aに対して、所定量eだけ偏心している。従って、図2及び図3を比べれば分かるように、排水口取付部40が流出口部28に対して回動することにより、図2に示す下方位置(第1位置)と、図3に示す上方位置(第2位置)とをとることが出来る。
【0020】
本実施形態では上述したように、排水心高さ120mmと155mmの施工現場に好適な構造で説明しており、図2に示すときの排水芯高さ、即ち、軸線Bの床面Fからの高さは120mmとなっており、図3に示すときの排水芯高さ、即ち、軸線Bの床面Fからの高さは155mmとなっている。従って、偏心量eは、本実施形態の場合、17.5mmである。そして、図2及び図3に示すように、排水芯高さの異なる壁面Wの管路Dに、それぞれ、第2円筒部分40bが挿入されて接続されるようになっている。
【0021】
次に、第1実施形態の作用効果を説明する。
第1実施形態では、排水ソケット本体22が、排水路8の出口端部10に連結される流入口部24、この流入口部24から連続する流路26、及び、水平方向に向いて開口した上記流路の流出口部28を有する。そして、排水口取付部40は、排水ソケット本体22の流出口部28に連結される第1円筒部分(流入口部)40a、及び、排水管路Dに連結され水平方向に向いて開口した第2円筒部分(流出口部)40bを有する。そして、排水口取付部40の第2円筒部分40bの水平軸線Bは、排水ソケット本体22の流出口部28及び第1円筒部分40aの水平軸線Aに対して偏心しており、排水口取付部40は、排水ソケット本体22の流出口部28の水平軸線A回りで回動可能に排水ソケット本体22に取り付けられている。
【0022】
従って、排水口取付部40を回動させることにより、排水口取付部の第2円筒部分40bの排水芯高さを、下方位置(本実施形態では120mm)と上方位置(本実施形態では155mm)の2段階に調節することが出来る。特に、壁面Wへ向かう部分の排水の流路構成は、水洗便器の性能上重要であり、その性能を確保するために排水ソケット本体22及び排水口取付部40を設けている。即ち、排水ソケット本体22から排水口取付部40へ流路が連続するようにしつつ、排水芯高さが異なる場合でも、排水口取付部40を回動させて、異なる高さでも排水性能を効果的に確保することが出来る。
【0023】
次に、図6により、本発明の第2実施形態及びその変形例による水洗便器の排水ソケット構造の配置及び構成を説明する。図4は、本発明の第2実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第1の位置にある場合の縦断面図であり、図5は、本発明の第2実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第2の位置にある場合の縦断面図であり、図6は、本発明の第2実施形態の変形例による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図である。
第2実施形態は、第1実施形態と比べて、支持部32の構成が異なるのみで、他の構成は上述した第1実施形態と同じである。従って、ここでは、主に第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0024】
図4及び図5に示すように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、排水口取付部40の第2円筒部分40bの水平軸線Bは、排水ソケット本体22の流出口部28及び第1円筒部分40aの水平軸線Aに対して偏心しており、排水口取付部40は、排水ソケット本体22の流出口部28の水平軸線回りで回動可能に排水ソケット本体22に取り付けられている。そして、排水口取付部40が流出口部28に対して回動することにより、図4に示す下方位置と、図5に示す上方位置(第2位置)とをとることが出来る。
【0025】
そして、第2実施形態では、支持部32の第1部分32aの下方部分に雄ねじ34sが形成され、支持部32の第2部分32bの上方部分に雄ねじ34sと螺合する雌ねじ36sが形成されている。従って、第2の部分32bは、第1の部分32aに対して回動可能且つ上下可能となっている。
次に、図6に示す変形例では、第2実施形態の雄ねじ34s及び雌ねじ36sに加え、支持部32の台座部32cと第2部分32bとが、互いに摺動するための摺動部38を有し、台座部32cが第2部分32bに対して回動可能になっている。
【0026】
次に、第2実施形態及びその変形例の作用効果を説明する。
先ず、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、排水口取付部40を回動させることにより、排水口取付部の第2円筒部分40bの排水芯高さを、下方位置と上方位置の2段階に調節することが出来る。
【0027】
そして、第2実施形態では、支持部32の第1部分32aの下方部分に雄ねじ34sが形成され、支持部32の第2部分32bの上方部分に雄ねじ34sと螺合する雌ねじ36sが形成されているので、第2の部分32bを第1の部分32aに対して回動させることにより第1の部分32aを上下させて、排水ソケット本体22の高さを調整することが出来る。その結果、異なる排水芯高さの管路Dへの排水経路を構成させる場合、大まかな排水芯高さの変更は、排水口取付部40を回動させることにより行うことで、下方位置と上方位置の2段階に調節し、排水芯高さの微修正或いは誤差を吸収するには、第2部分32bを回動させることにより、排水ソケット本体22の高さを調整すれば良い。
【0028】
さらに、第2実施形態の変形例によれば、支持部32の台座部32cと第2部分32bとの間に摺動部38が形成され、台座部32cが第2部分32bに対して回動可能になっている。従って、第2部分32bを回動させたとしても、例えば、支持部32を床面Fに固定するために設けられる予め形成された台座部32cのねじ孔(図示せず)と、床面Fに形成されたねじ孔(図示せず)との位置合わせが容易となる。
【0029】
次に、図7により、本発明の第3実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の配置及び構成を説明する。図7は、本発明の第3実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図である。
第3実施形態は、第1実施形態と比べて、排水ソケット本体22の構成が異なるのみで、他の構成は上述した第1実施形態と同じである。従って、ここでは、主に第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0030】
図7に示すように、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、排水口取付部40の第2円筒部分40bの水平軸線Bは、排水ソケット本体22の流出口部28及び第1円筒部分40aの水平軸線Aに対して偏心しており、排水口取付部40は、排水ソケット本体22の流出口部28の水平軸線回りで回動可能に排水ソケット本体22に取り付けられている。そして、排水口取付部40が流出口部28に対して回動することにより、図7に示す下方位置と、図7に仮想線で示す上方位置(第2位置)とをとることが出来る。
【0031】
そして、第3実施形態では、排水ソケット本体22の流出口部28の上流側に隣接して高さ誤差吸収部50が形成されている。この高さ誤差吸収部50は、ゴム製或いは金属製の蛇腹構造となっており、本実施形態では、排水ソケット本体22の流路26の側と、流出口部28の側との高さの差をある程度吸収するようになっている。
【0032】
次に、第3実施形態の作用効果を説明する。
先ず、第3実施形態は、第1実施形態と同様に、排水口取付部40を回動させることにより、排水口取付部の第2円筒部分40bの排水芯高さを、下方位置と上方位置の2段階に調節することが出来る。
【0033】
そして、第3実施形態では、排水ソケット本体22に高さ誤差吸収部50が形成されており、排水ソケット本体22の流路26の側と、流出口部28の側との高さの差が吸収可能に構成されている。従って、異なる排水芯高さの管路Dへの排水経路を構成させる場合、大まかな排水芯高さの変更は、排水口取付部40を回動させることにより行って、下方位置と上方位置の2段階に調節し、排水芯高さの微修正或いは誤差を吸収するには、高さ誤差吸収部50の機能を利用すれば良い。
【0034】
次に、図8及び図9により、本発明の第4実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の配置及び構成を説明する。図8は、本発明の第4実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図であり、図9は、本発明の第4実施形態による水洗便器を背面から見た背面図である。
第4実施形態は、第1実施形態と比べて、支持部32の構成が異なる。そして、ここでは、排水ソケット本体22と排水路8の出口端部10の構成は同じであるが排水ソケット本体22が、排水路8の出口端部10に対して回動可能に構成されていることを説明する。他の構成は上述した第1実施形態と同じである。従って、ここでは、主に第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0035】
図8に示すように、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、排水口取付部40の第2円筒部分40bの水平軸線Bは、排水ソケット本体22の流出口部28及び第1円筒部分40aの水平軸線Aに対して偏心しており、排水口取付部40は、排水ソケット本体22の流出口部28の水平軸線回りで回動可能に排水ソケット本体22に取り付けられている。そして、排水口取付部40が流出口部28に対して回動することにより、図8に示す下方位置と、図8に仮想線で示す上方位置(第2位置)とをとることが出来る。
【0036】
そして、第4実施形態では、排水路8の出口端部10の軸線及び排水ソケット本体22の流入口部24の軸線がそれぞれ鉛直方向に延び、排水ソケット本体22の流入口部24が排水路8の出口端部10に鉛直軸線回りで回動可能になっている。即ち、流入口部24と出口端部10との間には、ゴムパッキン30が設けられているが、このゴムパッキン30により、流入口部24が出口端部10に対して回動することが出来るのである。なお、このような構成は、上述した第1乃至第3実施形態でも同様である。
【0037】
次に、第4実施形態では、図8に示すように、支持部32の第1部分32aと第2部分32bとが互いに回動するための摺動部39を有する。従って、第1部分32aが第2部分32bに対して回動可能になっている。なお、第1部分32aは排水ソケット本体22に固定されている。
【0038】
次に、第4実施形態の作用効果を説明する。
先ず、第4実施形態は、第1実施形態と同様に、排水口取付部40を回動させることにより、排水口取付部の第2円筒部分40bの排水芯高さを、下方位置と上方位置の2段階に調節することが出来る。
【0039】
そして、第4実施形態では、流入口部24が出口端部10に対して回動することが出来るので、図9に示すように、排水口取付部40を左方或いは右方に向けることが出来る。ここで、例えば、トイレの入口奥のコーナーの床面Fから天井側に抜けるように配置される縦排水管から排水管路を分岐させるような場合には、管路Dが水洗便器1の左方或いは右方にあり、排水口取付部40が便器の後ろの壁面側でなく、便器の右又は左側面に向いて固定される場合がある。従って、第4実施形態では、このような場合に、排水口取付部40を左方或いは右方に向けて管路Dに接続することが出来るので、管路Dが水洗便器に対して真後ろではなく左右いずれかにある場合にも対応できるものであり、マンションなどに多い縦排水管を有するトイレにも効果的に利用できる。なお、排水口取付部40を水洗便器1から斜め後方に向けることも可能である。
【0040】
また、第4実施形態では、第1部分32aと第2部分32bとが互いに回動可能になるように摺動部39が設けられている。従って、排水口取付部40を回動させても、第2部分32bを床面Fに対して自由な位置に回動させることが出来るので、例えば、予め形成され支持部32を床面Fに固定するために設けられる台座部32cのねじ孔(図示せず)と、床面Fに形成されたねじ孔(図示せず)との位置合わせが容易となる。
【0041】
そして、このように排水口取付部40を左右に向けることが出来るようにするために、図9に示すように、水洗便器の種々の制御を行う機能部60を水洗便器の少なくとも排水路8の出口端部10の上方に設置するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造が適用された水洗便器及び壁部の排水管路を示す全体縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第1の位置にある場合の縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第2の位置にある場合の縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第1の位置にある場合の縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の第2の位置にある場合の縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の変形例による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による水洗便器の排水ソケット構造の縦断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による水洗便器を背面から見た背面図である。
【0043】
A 第1円筒部分40a及び流出口部28の中心軸線
B 第2円筒部分40bの中心軸線
e 軸線Aと軸線Bの偏心量
D 管路
W 壁面
1 水洗便器
2 水洗便器本体
8 排水路
10 出口端部
20 排水ソケット
22 排水ソケット本体
24 流入口部
26 流路
28 流出口部
30 ゴムパッキン
32 支持部
32 第2円筒部
32a 第1部分
32b 第2部分
32c 台座部
34s 雄ねじ
36s 雌ねじ
38 摺動部
39 摺動部
40 排水口取付部
40a 第1円筒部分
40b 第2円筒部分
50 高さ誤差吸収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器本体の排水路の出口端部と、床面より高い位置で壁面に設けられる排水管路の入口端部とを連通させる水洗便器の排水ソケット構造であって、
上記排水路の出口端部に連結される流入口、この流入口から連続する流路、及び、水平方向に向いて開口した上記流路の流出口を有する排水ソケット本体と、
この排水ソケット本体の上記流出口に連結される流入口、及び、この流入口から連続すると共に、上記排水管路の入口端部に連結され水平方向に向いて開口した流出口を有する排水口取付部と、を有し、
上記排水口取付部の流出口の水平軸線は、上記排水ソケット本体の流出口の水平軸線に対して偏心しており、上記排水口取付部は、上記排水ソケット本体の流出口の水平軸線回りで回動可能に上記排水ソケット本体に取り付けられていることを特徴とする水洗便器の排水ソケット構造。
【請求項2】
さらに、上記排水ソケット本体に取り付けられ、この排水ソケット本体を上記床面で支持するように上記床面に設置された支持部を有し、この支持部は上記ソケット本体の高さを調整する高さ調整部を有する請求項1に記載の水洗便器の排水ソケット構造。
【請求項3】
上記支持部は、上記支持部を上記床面に固定するための台座部を有し、この台座部は、上記支持部の軸線回りで回動可能に設けられている請求項2に記載の水洗便器の排水ソケット構造。
【請求項4】
上記排水ソケット本体又は上記排水口取付部には、上記排水口取付部の流出口と上記排水管路の入口端部との高さの誤差を吸収する高さ誤差吸収部を有する請求項1に記載の水洗便器の排水ソケット構造。
【請求項5】
上記排水路の出口端部の軸線及び上記排水ソケット本体の流入口の軸線はそれぞれ鉛直方向に延び、上記排水ソケット本体の流入口は上記排水路の出口端部に鉛直軸線回りで回動可能に取り付けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水洗便器の排水ソケット構造。
【請求項6】
さらに、上記排水ソケット本体に設けられ、この排水ソケット本体を上記床面で支持するように上記床面に設置された支持部を有し、この支持部は、上記排水ソケット本体に固定される第1支持部、及び、その下方で上記床面に固定される第2支持部を有し、この第2支持部は上記第1支持部に対してその軸線回りで回動可能に設けられている請求項5に記載の水洗便器の排水ソケット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−52272(P2009−52272A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219595(P2007−219595)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】