説明

水洗大便器

【課題】 従来のサイホン便器では、サイホン切れ音の発生を防止するための導気管を設けることにより、この導気管が新たな音の発生源となり、その音が水洗大便器の使用者に不快感を与えていた。
【解決手段】 給水手段からボウル6に洗浄水を導くように形成された導水路9と、ボウル6の排出口に接続され、ボウル6内の汚物を排出するトラップ15と、トラップ15の上流部に形成された導気孔30と、一端が導気孔30に連通され、一部に空気を吸気する吸気孔20を有する導気通路24と、吸気孔20に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材28とを有しているので、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材28により導気通路24内の共鳴音を低減することができ、導気通路24から導気通路24外に伝播する共鳴音を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に関する。詳しくは、便器本体のボウルを洗浄し、ボウル内の溜水をサイホン作用により排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サイホン作用を利用して汚物を排出する水洗大便器(サイホン便器)では、便器本体のボウルの洗浄時に、洗浄水がボウル内に加わると、ボウル内の溜水が溢れてトラップに流れ込む。
このトラップに流れ込んだ水がトラップ内に満水になると、トラップ内が負圧になり、いわゆる「サイホン作用」が発生する。このサイホン作用により、ボウル内の溜水は一気にトラップ内に引き込まれ、ボウル内にあった汚物は、溜水と共にトラップ内に引き込まれ、ボウル内が空となり、その後、ボウルは再び封水される。
このボウル内が空となる際、ボウルからトラップ内に空気が入り込んでサイホン作用が消滅する状態、いわゆる「サイホン切れ」の状態が起こる。このサイホン切れの状態では、「ジャー」という洗浄音が所定時間継続した後に、ボウルからトラップの入口の上縁を介し、トラップ内に空気が強く引き込まれる「ボコ、ボコ」という不快音、いわゆる「サイホン切れ音」が発生する。
【0003】
従来、このサイホン切れ音を抑制するために、例えば、特許文献1に記載されているような技術が提案されている。すなわち、便器本体の排泄空間とトラップとの間に隔壁を設け、隔壁の下端とトラップの溜水面の略中間位置で、かつトラップの側面位置に導気孔を形成し、この導気孔に空気が供給されるように、トラップ上端より上方で開口した導気管を導気孔に接続したサイホン便器が知られている(特許文献1)。
【0004】
このようなサイホン便器では、トラップ内が満水となってサイホン作用が発生して負圧
状態になると、導気管内の溜水がトラップ内に引き込まれ、導気管内の空気が導気孔からトラップ内に導入されるようになっている。このように導気管内の空気がトラップ内に導入されることにより、サイホン作用によるボウル内の溜水をトラップ内へ吸引する力を弱めて、終始ボウル内の水位がトラップの入口の上縁よりも低下しないようにすることで、「サイホン切れ音」の発生を防止している。
【0005】
【特許文献1】特開平8-13593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のサイホン便器においては、導気管内の空気をトラップ内に導入させることにより、サイホン作用によるボウル内の溜水をトラップ内へ吸引する力を弱めて、終始ボウル内の水位がトラップの入口の上縁よりも低下しないようにすることで、「サイホン切れ音」の発生を防止しているが、この導気管を新たに設けることにより、この導気管が新たな音の発生源となり、その音が水洗大便器の使用者に不快感を与えるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、洗浄後の「サイホン切れ音」を抑制するとともに、導気通路を新たに設けることによって生ずる「導気通路内から洗浄水タンクに伝播する共鳴音」も低減することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、 給水手段からボウルに洗浄水を導くように形成された導水路と、ボウルの排出口に接続され、ボウル内の汚物を排出するトラップと、トラップの上流部に形成された導気孔と、一端が導気孔に連通され、一部に空気を吸気する吸気孔を有する導気通路と、吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された水洗大便器では、洗浄水が給水手段から導水路によってボウル内の溜水に導かれると、ボウル内の溜水はボウルの排出口からトラップ内に流れてトラップ内で満水となり、サイホン作用を引き起こす。サイホン作用が引き起こされると、導気通路内の溜水が導気孔を通ってトラップ内に排水され、大気が導気通路を通ってトラップ内に導入され始める。そして、導気通路内がほとんど空気のみになった状態で導気孔から不快な音が入り込み、その音が導気通路内で共鳴し、洗浄水タンクに伝播する。
【0010】
この構成によれば、導気通路の一部の吸気孔に、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材を装着しているので、たとえば、導気通路内の溜水がほとんどトラップ内に引き出されて空気のみとなった状態で、ボウル内の空気を巻き込んだ溜水(洗浄水も含む)がトラップに引き込まれ、その溜水に含まれる空気が圧縮された状態で導気通路に入り込み、そして、導気通路内に入り込んだ圧縮空気が開放される際に「ジャー」という不快な音が生ずる場合、また、導気通路内がほとんど空気のみとなっている状態で、導気通路の表面を空気を巻き込んだ溜水などが擦れるようにして流れることにより、導気通路付近の空気の圧力が変動し「ジャー」という不快な音が生ずる場合、また、トラップ内の負圧状態が解消して、導気通路に水が逆流するときに不快な音が生ずる場合でも、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材により導気通路内の共鳴音を低減することができ、導気通路から導気通路外に伝播する共鳴音を小さくすることができる。これにより、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0011】
本発明のうち第2の態様に係るものは、給水手段からボウルに洗浄水を導くように形成された導水路と、ボウルの排出口に接続され、ボウル内の汚物を排出するトラップと、トラップの上流部に形成された導気孔と、一端が導気孔に連通され、他端が大気に開放されている吸気孔に連通された導気通路と、吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とするものである。
この構成によっても、本発明の第1の態様と同様、導気通路の他端の吸気孔に、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材を装着しているので、その吸音性もしくは消音性を有する音低減部材より導気通路内の共鳴音を低減することができ、導気通路から導気通路外に伝播する共鳴音を小さくすることができる。これにより、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0012】
本発明のうち第3の態様に係るものは、洗浄水を吐出させるゼット孔が底部に形成されたボウルと、ゼット孔から給水すべき洗浄水を収容するゼット用洗浄水タンクと、ゼット用洗浄水タンクに設けられ、ゼット孔への洗浄水の供給と止水を行うゼット用排水弁と、ゼット用排水弁を通過した洗浄水をゼット孔に導くゼット導水路と、ゼット用洗浄水タンクの上部に設けられ、ボウルの上部に設けられたリム孔から給水すべき洗浄水を収容するリム用洗浄水タンクと、リム用洗浄水タンクに設けられ、リム孔への洗浄水の供給と止水を行うリム用排水弁と、リム用排水弁を通過した洗浄水をリム弁に導く洗浄水導水路と、ボウルの排出口に接続され、ボウル内の汚物を排出するトラップと、トラップの上流部に形成された導気孔と、一端が導気孔に連通され、一部がゼット用洗浄水タンクとリム用洗浄水タンクの間の空間に開放されている吸気孔に連通された導気通路と、吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とするものである。
この構成によっても、本発明の第1の態様と同様、導気通路の一部の吸気孔に、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材を装着しているので、その吸音性もしくは消音性を有する音低減部材より導気通路内の共鳴音を低減することができ、導気通路から導気通路外に伝播する共鳴音を小さくすることができる。これにより、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。特に、本発明の第3の態様では、吸気孔をゼット用洗浄水タンクとリム用洗浄水タンクの間の開放された空間(便器本体から近い既存の空間)に設けているので、導気通路(吸気孔を含む)の構造が複雑にならず、導気通路の施工性も向上(製作が容易)する。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1または第2の態様に係る水洗大便器であって、給水手段は、洗浄水を収容する洗浄水タンクであり、吸気孔は、洗浄水タンク内に形成され、導気通路は、吸気孔に装着された音低減部材を介して空気を吸気することを特徴とするものである。
この構成によれば、吸気孔に装着された音低減部材を介して導気通路が空気を吸気するので、導気通路内の共鳴音が吸音性もしくは消音性を有する音低減部材の内部に入り込み、その音低減部材の内部で導気通路内の共鳴音を低減することができる。これにより、導気通路から洗浄水タンクに伝播する共鳴音を小さくすることができる。また、吸気孔を洗浄水タンク内に形成しているので、洗浄水タンクに伝播した共鳴音も外部に漏れることもない。これにより、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0014】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1の態様に係る水洗大便器であって、給水手段は、洗浄水を収容する洗浄水タンクであり、吸気孔は、洗浄水タンクの底部に設けられ、音低減部材は、一端を洗浄水タンクに収容される洗浄水より上部に設けたことを特徴とするものである。
この構成によれば、吸気孔を便器本体に最も近い洗浄水タンクの底部に設けているので、吸気孔を含む導気通路の加工が容易で、かつ、吸気孔に装着された音低減部材の一端を洗浄水タンクに収容される洗浄水より上部に設けているので、吸気孔から導気通路内に洗浄水タンク内の水が浸入することもない。また、音低減部材(たとえば、ゴム管28など)を吸気孔から浄水タンクに収容された洗浄水の上部まで延びるように設けているので、音低減部材(たとえば、ゴム管28など)の長さが比較的長くなり、音低減部材(たとえば、ゴム管28など)内部での音低減部材に入り込んだ共鳴音の消音効果が特に大きくなる。
【0015】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1から第5のずれかの態様に係る水洗大便器であって、音低減部材は、吸気孔に嵌着されていることを特徴とするものである。
この構成によれは、導気通路内の共鳴音が音低減部材の側壁に衝突することにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0016】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第1から第6のいずれかの態様に係る水洗大便器であって、音低減部材は、弾性体により構成されたことを特徴とするものである。
本発明のうち第8の態様に係るものは、第7の態様に係る水洗大便器であって、弾性体は、ゴムであることを特徴とするものである。
【0017】
本発明のうち第9の態様に係るものは、第1から第8のいずれかの態様に係る水洗大便器であって、音低減部材は、管状の形状をしていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水洗大便器によれば、洗浄後の「サイホン切れ音」を抑制するとともに、導気通路を新たに設けることによって生ずる導気通路内の共鳴音も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の水洗大便器の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態における水洗大便器の上面図であり、図2は、図1に示す水洗大便器のI-I断面図であり、図3(a)は、図1、図2に示す水洗大便器のA-A断面図、図3(b)は、B-B断面図である。
【0020】
図1〜図3に示すように、水洗大便器1は、陶器からなる便器本体2と、この便器本体2の後部に設けられ、上方に延び、かつ便器本体2を洗浄する洗浄水を収容する洗浄水タンク4とを備えている。
【0021】
便器本体2は、その中央部から前部にかけて形成されたボウル6と、このボウル6の底部に位置するボウル排出口13の後方(下流側)に接続されたトラップ15とを備えている。
【0022】
また、トラップ15は、その上流端であるトラップ吸込口(トラップ入口)26と、このトラップ吸込口26の下流側に位置するトラップ上側頂部15a及び下側頂部15bとを備え、トラップ吸込口26から上側頂部15a及び下側頂部15bに向かって斜め上方に延びた後、上側頂部15a及び下側頂部15bよりも下流側では下方に延びている。
【0023】
また、便器本体2の内部において、洗浄水タンク4の下端に形成された給水口8とボウル6との間及びボウル6の周囲には導水路9が形成されている。この導水路9は、その上流部が給水口8を含むように形成されており、トラップ15の上側頂部15a付近からボウル6の背面に向かってトラップ15の上面に沿って延びている。
【0024】
さらに、ボウル6の上縁にはリム孔12が形成され、ボウル6の正面側下部には、トラップ吸込口26に向かって開口するゼット孔14がボウル排出口13に隣接して形成されている。
【0025】
導水路9は、その途中でリム導水路10とゼット導水路11とに分岐している。リム導水路10は、ボウル6のリム孔12に連通するように形成されており、ゼット導水路11は、ボウル6を迂回するようにボウル6の外周に沿って、ゼット孔14を含むように形成されている。このゼット孔14は、ゼット導水路11を流れた水をトラップ15へ向けて噴き出すようになっている。
【0026】
さらに、洗浄水タンク4の給水口8には排水弁16が設けられている。ボウル6を洗浄する際に洗浄操作レバー18を回すと、この排水弁16が引き上げられて所定時間給水口8が開放され、洗浄水タンク4内に収容されている洗浄水が導水路10,11内に流れるようになっている。
【0027】
また、水洗大便器1は、導気通路24をさらに備えている。この導気通路24は、洗浄水タンク4の内部前面に沿って洗浄水タンク4と一体に形成され、上端が大気開放されている吸気室25と、吸気室25と連通し、便器本体2の内部における導水路9及びトラップ15の側面の一部分に沿って一体に形成された導気室27とによって構成されている。
【0028】
この導気室27は、トラップ15の吸込口26の上端近傍から上側頂部15aにかけてトラップ15の側面に沿って斜め上方に延びるように形成されている。さらに、導気室27は、トラップ15の上側頂部15aより上方では、導水路9の側面に沿って斜め上方に延びている。導気室27の下端には、導気孔30が設けられている。
【0029】
この導気孔30は、トラップ15の上流部に形成され、トラップ15とボウル6とを区画する隔壁29の下端より上部で、隔壁29の下端近傍(下端上部近傍)に設けられている。この導気孔30により、トラップ15と導気室27とが連通されている。
【0030】
本実施形態では、部品点数を削減できるため施工性にすぐれ、また、メンテナンス性においても効果的であることから、導気孔30および導気室27を陶器で構成し、その導気孔30および導気室27を陶器からなる隔壁29と一体的に形成している。しかしながら、これに限らず、必ずしも導気孔30および導気室27を隔壁29と一体的に形成する必要はなく、また導気孔30および導気室27を陶器で構成する必要もない。
【0031】
また、洗浄待機時の水洗大便器1においては、ボウル6内にほぼトラップ15の下側頂部15bと同じ高さまで溜水が溜まった状態となるが、この状態では、導気室27内にもトラップ15及び導気孔30を通じてボウル6内の水位と同水位の溜水が溜まるようになっている。ただし、導気室27内の溜水がボウル6内の溜水よりも少量であること、ボウル6内にはリム孔12から新たな洗浄水が加わるが導気室27には新たな水が加わらないことなどから、サイホン作用が発生すれば、導気室27内の水位降下の速度がボウル6内の水位降下の速度よりも速くなる。
なお、本実施形態の導気孔30は、縦が約10mm、横が約60mmの略矩形形状をしている。
【0032】
吸気室25は、吸気室25の下端部(洗浄水タンク4の底部の連通部)で導気室27の上端部と連通している。そして、この吸気室25は、洗浄水タンク4の底部から洗浄水タンク4の内部前面に沿って上方に延びるように形成されている。吸気室25の上端部には、吸気孔20が設けられており、この吸気孔20を介して導気通路24が大気開放されている。
【0033】
吸気孔20は、図2に示すように、洗浄水タンク4内の水面より上部に形成され、吸気孔20から導気通路24内に洗浄水タンク4内の水が浸入しないようになっている。この吸気孔20の詳細は、図4を用いて後述する。
【0034】
つぎに、上述した洗浄水タンク4の内部前面に設けられた吸気孔20について説明する。
図4(a)は、本発明の一実施形態における洗浄水タンクに設けられた吸気孔の部分拡大図であり、図4(b)は、同洗浄水タンクに設けられた吸気孔の図4(a)C-C線断面図である。
【0035】
図4(a)に示すように、吸気孔20は、陶器からなる洗浄水タンク4の内部前面に設けられている。この吸気孔20は、洗浄水タンク4と一体成形された吸気室25の端面の一部に略円形の穴をあけ加工を行うことにより形成される。本実施形態では、吸気孔20を吸気室25の出口断面の略中央部(出口断面略中央部)に一つ設けている。
【0036】
なお、本実施形態では、吸気孔20の断面形状を、孔の位置や直径を便宜変更して容易に加工しやすい円形形状としているが、吸気孔20の断面形状については、円形形状である必要はなく、三角形状や四角形状や八角形状などでもよい。また、吸気孔20を吸気室25の出口略中央部に一つ設けるようにしたが、これに限らず、吸気孔20を吸気室25の出口略中央部以外の箇所に設けてもよく、また吸気孔20を2以上設けるようにしてもよい。本実施形態の吸気孔20は、直径が約15mmの円形形状をしている。
【0037】
また、吸気孔20は、図4(b)に示すように所定の厚みをもっている。本実施形態の吸気孔20の厚みは、約10mmである。
なお、本実施形態では、吸気孔20および吸気室25を陶器で構成し、その吸気孔20および吸気室25を陶器である洗浄水タンク4と一体的に形成しているが、これに限らず、必ずしも吸気孔20および吸気室25を洗浄水タンク4と一体的に形成する必要はなく、また吸気孔20および吸気室25を陶器で構成する必要もない。
【0038】
つぎに、上述した吸気孔20に嵌着される音低減部材について説明する。本実施形態では、吸気孔20に嵌着(装着)される音低減部材として、吸音性、消音性を有するゴム管28(弾性体)を用いている。図5は、図4に示す吸気孔に嵌着されるゴム管の斜視図である。
【0039】
図5に示すように、ゴム管28は、中空状で円筒形状(管状)をしている。これは、本実施形態では吸気孔20を円形形状にしていることから、その吸気孔20にゴム管28が嵌着(装着)される関係上、吸気孔20の内形形状とゴム管28の外形形状を略同一形状にする必要があるからである。そして、ゴム管28の外周中央部には、ゴム管28の外径よりも少し大きい外径の突起部が設けられている。これにより、ゴム管28が吸気孔20に押し込まれると、この突起部が吸気孔20の外周部に当たるので、その位置でゴム管28が吸気孔20に装着されることとなる。このゴム管28は、耐塩素性、耐水性、耐寒性などに優れているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を材質としている。
【0040】
なお、ゴム管28の外形は、吸気孔20の断面形状(内形形状)と略同一形状にする必要があるため、たとえば吸気孔20の断面形状が三角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も三角形状になり、また吸気孔20の断面形状が八角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も八角形状になる。また、吸気孔20が2以上設けられた場合には、ゴム管28もその個々の吸気孔20に取り付けられる。ここで、ゴム管28の外径は、吸気孔20の直径より2mm程度大きくしている。これにより、吸気孔20にゴム管28がはめ込まれると、ゴム管28の弾性力により、接着剤なしにゴム管28を吸気孔20に固定できる。本実施形態のゴム管28は、内径を約8mmとし、外径を約17mmとしている。
【0041】
次に、上述した本発明の一実施形態における水洗大便器1の動作(作用)について説明する。
図6は、本発明の一実施形態における水洗大便器の洗浄工程開始から洗浄工程終了までの一連の工程を説明する側面断面図である。詳しくは、図6(a)は、洗浄待機時の動作説明図であり、図6(b)は、洗浄開始によってサイホン作用が発生したサイホン作用発生初期の動作説明図であり、図6(c)は、サイホン作用継続時の動作説明図であり、図6(d)はサイホン作用終了時の動作説明図である。
ここで、図6(a)〜図6(d)において、ボウル6及び導気室27の水面をそれぞれ二点鎖線L1及び実線L2で示し、水及び空気の流れをそれぞれ実線矢印及び破線矢印で示している。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、洗浄待機時の水洗大便器1の状態では、ボウル6内、トラップ15内、及び導気室27内のいずれも、ほぼトラップ15の下側頂部15bとほぼ同じ高さまで溜水が溜まっている。また、洗浄前の洗浄水タンク4内には洗浄水が溜められているが、その水位は吸気孔20よりも下方に位置している。
【0043】
つぎに、図6(b)に示すように、水洗大便器1の洗浄操作レバー18を回すと、洗浄工程が開始され、排水弁16が引き上げられ、給水口8が所定時間開放され、洗浄水タンク4内に収容されている洗浄水が導水路9内に流れる。導水路9内の洗浄水は、リム導水路10を流れてリム孔12からボウル6の内面に沿って下方に流れる水と、ゼット導水路11を流れてボウル6を迂回してゼット孔14へ流れる水とに分かれる。リム導水路10からリム孔12を経てボウル6内へ流れた洗浄水は、ボウル6の内面を洗浄し、ボウル6内の溜水と共にボウル排出口13からトラップ15内へ流れ込む。一方、ゼット導水路11らボウル6を迂回してゼット孔14に流れた水は、このゼット孔14よりトラップ15に向けて噴き出される。
【0044】
さらに、洗浄水がボウル排出口13及びゼット孔14よりトラップ15内に流れ込み、トラップ15内の水位が満水になると、トラップ15内が負圧状態になり、ボウル6からトラップ15内へ溜水を吸引するサイホン作用が開始する。このサイホン作用により、ボウル6内の汚物は溜水と共にトラップ15内へ引き込まれる。
【0045】
本実施の形態では、導気孔30をトラップ15内に引き込まれる水の流れが比較的遅い位置であるトラップ上流部の隔壁29下端上部近傍に設けているので、このサイホン作用により、ボウル6内の汚物や紙がトラップ15内へ引き込まれても、その汚物や紙が導気孔30に衝突することがなく、導気孔30に汚物や紙が詰まることもない。
【0046】
そして、導気室27は、導気孔30によりトラップ15と連通しているため、上述のサイホン作用により、導気室27内の溜水は導気孔30を経てトラップ15内に引き込まれ、導気室27内の水位が降下する。ここで、上述したように、導気室27内の溜水がボウル6内の溜水よりも少量であること、ボウル6内にはリム孔12から新たな洗浄水が加わるが導気室27には新たな水が加わらないことなどから、サイホン作用が発生すると、導気室27内の水位がボウル6内の水位よりもはやく降下する。
【0047】
つぎに、図6(c)に示すように、サイホン作用が継続することにより、導気室27内の溜水のほとんどが導気孔30からトラップ15内に引き出され、導気室27内の水位が導気孔30の上縁よりも降下すると、導気室27内の空気が、導気孔30を経てトラップ15内へ引き込まれる。また、導気室27内のほとんどの溜水が導気孔30からトラップ15内に引き出される。
【0048】
そして、導気孔30からトラップ15内に空気が引き込まれることにより、その分トラップ15内の負圧が小さくなり、サイホン作用によるボウル6からトラップ15内へ溜水を吸引する力が弱まる。このとき、ボウル6内の水位は、トラップ吸込口26の上縁よりも上方に位置しており、ボウル6からトラップ15の入口の上縁を介し、トラップ15内に空気が引き込まれる少し前の状態となっている。
【0049】
本実施の形態では、トラップ15内に引き込まれる水の流れが比較的遅い位置、すなわち、トラップ15上流部の隔壁29下端上部近傍に導気孔30を設けているので、トラップ15内を流れる水が影響して導気孔30からトラップ15内に流出される空気(空気量)が不安定になることなく、トラップ15内に導気通路24の空気(空気量)を安定して供給することができる。
【0050】
また、導気室27内の溜水がほとんどトラップ15内に引き出されて空気のみとなった状態で、ボウル6内の空気を巻き込んだ溜水(洗浄水も含む)がトラップ15に引き込まれると、その溜水に含まれる空気が圧縮された状態で導気室27内に入り込み、そして、導気室27内に入り込んだ圧縮空気が開放される際に「ジャー」という不快な音が生ずる。また、導気室27内がほとんど空気のみとなっている状態で、導気孔30の表面を空気を巻き込んだ溜水などが擦れるようにして流れることによっても、導気孔30付近の空気の圧力が変動し「ジャー」という不快な音が生ずる。また、トラップ15内の負圧状態が解消して、導気通路24に水が逆流するときにも不快な音が生ずる。そして、これらの音は、導気通路24で共鳴し、その導気通路24での共鳴音が洗浄水タンク4内に伝播する。
【0051】
本実施形態では、導気通路24出口に設けられた吸気孔20に吸音性、消音性を有するゴム管28が嵌着されているため、導気通路24内の共鳴音がこのゴム管28の側壁に衝突することにより、また導気通路24内の共鳴音がゴム管28内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0052】
このように、導気通路24を新たに設けることによって、導気通路24が新たな音の発生源となり、導気通路24内で不快な共鳴音が発生することとなるが、この場合でも、吸気孔20にゴム管28を設けることにより、導気通路24内の共鳴音を低減することができ、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで音を小さくすることができる。
【0053】
さらに、図6(d)に示すように、サイホン作用によるボウル6からトラップ15内へ溜水を吸引する力は弱まりつつも持続しているため、ボウル6内の水位がさらに低下する。そして、ボウル6内の水位がトラップ吸込口26の上縁よりも下がり、空気が入り込むことでサイホン作用が終了する。
【0054】
このように、サイホン作用により導気通路24内の空気がトラップ15内に引き込まれる場合でも、本実施形態では、トラップ15上流部の隔壁29下端上部近傍に導気孔30を設けているので、導気通路24内の空気がトラップ15内に導入されるタイミングを引き伸ばすことができ、そのタイミングまで洗浄に十分なサイホン作用を維持することができるとともに、導気通路24内の空気が導気孔30からトラップ15内に導入され、サイホン作用による負圧を低減できるので、ボウル6の空気がトラップ吸込口26の上縁部からトラップ15内へ強く引き込まれることがなく、「ボコ、ボコ」という不快な音、すなわち「サイホン切れ音」も抑制することができる。なお、実施例では、ボウル6内の水位がトラップ吸込口26の上縁よりも下がり、空気が入り込むことでサイホン作用が終了するようにしたが、導気孔30からトラップ15内への空気の導入により、トラップ吸込口26の上縁よりも水位が上の状態でサイホン作用を終了することも可能である。
【0055】
すなわち、この導気孔30がトラップ15内の高い位置にあると、サイホン作用が発生してから比較的早い時期に導気室27内の溜水がトラップ15内に引き込まれ、比較的早い時期に導気孔30からトラップ15内へ導入されることになり、サイホン作用によるボウル6内の溜水がトラップ15内に吸引する力も比較的早期に弱まってしまい、比較的早い時期に洗浄力が低下してしまうが、本実施形態では、ボウル6内からトラップ15内に空気が引き込まれる箇所に導気孔30が設けられているので、ボウル6内からトラップ15内に空気が引き込まれる直前までサイホン作用を維持することができ、洗浄に十分なサイホン作用を維持することができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態における水洗大便器について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態における水洗大便器の側面断面図である。なお、図1から図3に示した水洗大便器(第1実施形態の水洗大便器)と同一構成を有するものについては同一符号を付し、また同一機能を有するものとし、その説明は省略する。
【0057】
本発明の第2実施形態の水洗大便器と第1実施形態の水洗大便器の違いは、第1実施形態では、吸気室25を洗浄水タンク4の底部から洗浄水タンク4の内部前面に沿って上方に延びるように形成し、その吸気室25の上端部に吸気孔20を設け、そして吸気孔20にゴム管28をはめ込んだものであったのに対し、第2実施形態の水洗大便器では、洗浄水タンク4の底部に吸気孔20を設け、その吸気孔20にゴム管28をはめ込んで形成したものである。
【0058】
図7に示すように、本発明の第2実施形態の水洗大便器1は、第1実施形態と同様に、導気通路24を備えている。この導気通路24は、便器本体2の内部における導水路9及びトラップ15の側面の一部分に沿って一体に形成された導気室27によって構成されている。
【0059】
この導気室27は、トラップ15の吸込口26の上端近傍から上側頂部15aにかけてトラップ15の側面に沿って斜め上方に延びるように形成されている。さらに、導気室27は、トラップ15の上側頂部15aより上方では、導水路9の側面に沿って斜め上方に延び、導気室27の上端部は、洗浄水タンク4の底面に形成された吸気孔20を含むように形成されている。そして、その吸気孔20にゴム管28が水密にはめ込まれ、ゴム管28と導気室27とは、吸気孔20によってのみで連通されるようになっている。このゴム管28は、図7に示すように、洗浄水タンク4内に設けられ、上端の開口部で大気開放されている。また、ゴム管28と導気室27の連通部分は、完全にシールされていることから、洗浄水タンク4内の水が吸気孔20から導気室27内に浸入することはない。このゴム管28は、吸音性、消音性を有するゴムにより構成されている。
【0060】
なお、本実施形態では、ゴム管28の全体をゴムにより構成したが、これに限らず、ゴム管28の一部をゴムにより構成するようにしてもよい。このようにすれば、柔らかいゴムによりゴム管28を構成した場合でも、ゴム管28を洗浄水タンク4内で真っ直ぐ立たせることができる(直立性向上)
【0061】
図7に示すゴム管28は、中空状で円筒形状をしている。これは、本実施形態では吸気孔20を円形形状にしていることから、その吸気孔20にゴム管28が嵌着(装着)される関係上、吸気孔20の内形形状とゴム管28の外形形状を略同一形状にする必要があるからである。そして、ゴム管28の外周部には、ゴム管28の外径よりも少し大きい外径の突起部が設けられている。これにより、ゴム管28が吸気孔20に押し込まれると、この突起部が吸気孔20の外周部に当たるので、その位置でゴム管28が吸気孔20に装着されることとなる。このゴム管28は、耐塩素性、耐水性、耐寒性などに優れているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を材質としている。
【0062】
なお、ゴム管28の外形は、吸気孔20の断面形状(内形形状)と略同一形状にする必要があるため、たとえば吸気孔20の断面形状が三角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も三角形状になり、また吸気孔20の断面形状が八角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も八角形状になる。また、吸気孔20が2以上設けられた場合には、ゴム管28もその個々の吸気孔20に取り付けられる。ここで、ゴム管28の外径は、吸気孔20の直径より2mm程度大きくしている。これにより、吸気孔20にゴム管28がはめ込まれると、ゴム管28の弾性力により、接着剤なしにゴム管28を吸気孔20に固定できる。本実施形態のゴム管28は、内径を約8mmとし、外径を約17mmとしている。
【0063】
本発明の第2実施形態においても、第1実施形態同様、導気室27内の溜水がほとんどトラップ15内に引き出されて空気のみとなった状態で、ボウル6内の空気を巻き込んだ溜水(洗浄水も含む)がトラップ15に引き込まれると、その溜水に含まれる空気が圧縮された状態で導気室27内に入り込み、そして、導気室27内に入り込んだ圧縮空気が開放される際に「ジャー」という不快な音が生ずる。また、導気室27内がほとんど空気のみとなっている状態で、導気孔30の表面を空気を巻き込んだ溜水などが擦れるようにして流れることによっても、導気孔30付近の空気の圧力が変動し「ジャー」という不快な音が生ずる。また、トラップ15内の負圧状態が解消して、導気通路24に水が逆流するときにも不快な音が生ずる。そして、これらの音は、導気通路24で共鳴し、その導気通路24での共鳴音が洗浄水タンク4内に伝播する。
【0064】
本実施形態では、導気室27の上端部に設けられた吸気孔20にゴム管28が嵌着されているため、導気室27内の共鳴音がこのゴム管28の側壁に衝突することにより、また導気室27内の共鳴音がゴム管28内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
特に、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、ゴム管28の長さが長いため、ゴム管28内部でのゴム管28に入り込んだ共鳴音の消音効果が大きい。
【0065】
このように、導気通路24を新たに設けることによって、導気通路24が新たな音の発生源となり、導気通路24内で不快な共鳴音が発生することとなるが、この場合でも、吸気孔20にゴム管28を設けることにより、導気通路24内の共鳴音を低減することができ、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで音を小さくすることができる。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態における水洗大便器について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態における水洗大便器の側面断面図である。なお、図1から図3に示した水洗大便器(第1実施形態の水洗大便器)と同一構成を有するものについては同一符号を付し、また同一機能を有するものとし、その説明は省略する。
【0067】
本発明の第3実施形態の水洗大便器と第1実施形態の水洗大便器の違いは、第1実施形態では、吸気室25を洗浄水タンク4の底部から洗浄水タンク4の内部前面に沿って上方に延びるように形成し、その吸気室25の上端部に吸気孔20を設け、そして吸気孔20にゴム管28をはめ込んだものであったのに対し、第3実施形態の水洗大便器では、洗浄水タンク4を外包するカバー部5を設け、その洗浄水タンク4とカバー部5の間の空間に臨む、吸気室25の上端部の吸気孔20にゴム管28をはめ込んで形成したものである。
【0068】
図8に示すように、本発明の第3実施形態の水洗大便器1は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、導気通路24を備えている。この導気通路24は、便器本体2の内部における導水路9及びトラップ15の側面の一部分に沿って一体に形成された導気室27によって構成されている。
【0069】
この導気室27は、トラップ15の吸込口26の上端近傍から上側頂部15aにかけてトラップ15の側面に沿って斜め上方に延びるように形成されている。さらに、導気室27は、トラップ15の上側頂部15aより上方では、導水路9の側面に沿って斜め上方に延び、導気室27の上端部には、洗浄水タンク4外の前面底部で、洗浄水タンク4とカバー部5の間の空間に臨む吸気孔20が形成されている。そして、その吸気孔20にゴム管28がはめ込まれ、ゴム管28と導気室27とは、吸気孔20によってのみで連通されるようになっている。このゴム管28は、図8に示すように、上端の開口部で大気開放されている。このように、本実施形態では、ゴム管28を洗浄水タンク4外に設けているので、洗浄水タンク4内の水が吸気孔20から導気室27内に浸入することはない。このゴム管28は、吸音性、消音性を有するゴムにより構成されている。
【0070】
図8に示すゴム管28は、中空状で円筒形状をしている。これは、本実施形態では吸気孔20を円形形状にしていることから、その吸気孔20にゴム管28が嵌着(装着)される関係上、吸気孔20の内形形状とゴム管28の外形形状を略同一形状にする必要があるからである。そして、ゴム管28の外周部には、ゴム管28の外径よりも少し大きい外径の突起部が設けられている。これにより、ゴム管28が吸気孔20に押し込まれると、この突起部が吸気孔20の外周部に当たるので、その位置でゴム管28が吸気孔20に装着されることとなる。このゴム管28は、耐塩素性、耐水性、耐寒性などに優れているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を材質としている。
【0071】
なお、ゴム管28の外形は、吸気孔20の断面形状(内形形状)と略同一形状にする必要があるため、たとえば吸気孔20の断面形状が三角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も三角形状になり、また吸気孔20の断面形状が八角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も八角形状になる。また、吸気孔20が2以上設けられた場合には、ゴム管28もその個々の吸気孔20に取り付けられる。ここで、ゴム管28の外径は、吸気孔20の直径より2mm程度大きくしている。これにより、吸気孔20にゴム管28がはめ込まれると、ゴム管28の弾性力により、接着剤なしにゴム管28を吸気孔20に固定できる。本実施形態のゴム管28は、内径を約8mmとし、外径を約17mmとしている。
【0072】
本発明の第3実施形態においても、第1実施形態同様、導気室27内の溜水がほとんどトラップ15内に引き出されて空気のみとなった状態で、ボウル6内の空気を巻き込んだ溜水(洗浄水も含む)がトラップ15に引き込まれると、その溜水に含まれる空気が圧縮された状態で導気室27内に入り込み、そして、導気室27内に入り込んだ圧縮空気が開放される際に「ジャー」という不快な音が生ずる。また、導気室27内がほとんど空気のみとなっている状態で、導気孔30の表面を空気を巻き込んだ溜水などが擦れるようにして流れることによっても、導気孔30付近の空気の圧力が変動し「ジャー」という不快な音が生ずる。また、トラップ15内の負圧状態が解消して、導気通路24に水が逆流するときにも不快な音が生ずる。そして、これらの音は、導気通路24で共鳴し、その導気通路24での共鳴音がタンク部5内に伝播する。
【0073】
本実施形態では、導気室27の上端部に設けられた吸気孔20にゴム管28が嵌着されているため、導気室27内の共鳴音がこのゴム管28の側壁に衝突することにより、また導気室27内の共鳴音がゴム管28内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
特に、第3実施形態では、洗浄水タンク4とカバー部5の間にできた空間(洗浄水タンク4が小さいときなどにできる既存の空間)の臨むように吸気孔20を形成し、その吸気孔20にゴム管28をはめ込んでいるので、導気通路(吸気孔を含む)の構造が複雑にならず、導気通路の施工性も向上(製作が容易)する。
【0074】
このように、導気通路24を新たに設けることによって、導気通路24が新たな音の発生源となり、導気通路24内で不快な共鳴音が発生することとなるが、この場合でも、吸気孔20にゴム管28を設けることにより、導気通路24内の共鳴音を低減することができ、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで音を小さくすることができる。
【0075】
次に、本発明の第4実施形態における水洗大便器について説明する。
図9(a)は、本発明の第4実施形態における水洗大便器の上面図であり、図9(b)は、本発明の第4実施形態における水洗大便器の側面断面図である。なお、図1から図3に示した水洗大便器(第1実施形態の水洗大便器)と同一構成を有するものについては同一符号を付し、また同一機能を有するものとし、その説明は省略する。
【0076】
本発明の第4実施形態の水洗大便器と第1実施形態の水洗大便器の違いは、第1実施形態では、吸気室25を洗浄水タンク4の底部から洗浄水タンク4の内部前面に沿って上方に延びるように形成し、その吸気室25の上端部に吸気孔20を設け、そして吸気孔20にゴム管28をはめ込んだものであったのに対し、第4実施形態の水洗大便器では、洗浄水タンク4の内部に、リム孔12に給水する洗浄水を収容するリム用洗浄水タンク21と、ゼット孔14に給水する洗浄水を収容するセット用洗浄水タンク22とを別々を設け、そのセット用洗浄水タンク22とその上部に設けられたリム用洗浄水タンク21の間の洗浄水タンク4の前面側に吸気孔20を形成し、その吸気孔20にゴム管28をはめ込んで形成したものである。
【0077】
図9に示すように、本発明の第4実施形態の水洗大便器1は、リム孔12から給水すべき洗浄水を収容するリム用洗浄水タンク21と、ゼット孔14から給水すべき洗浄水を収容するセット用洗浄水タンク22と、リム用洗浄水タンク21に設けられ、2つのリム孔12への洗浄水の供給と止水を行うリム用排水弁16aと、セット用洗浄水タンク22に設けられ、ゼット孔14への洗浄水の供給と止水を行うゼット用排水弁16bとを有する。また、水洗大便器1は、リム用洗浄水タンク21内の洗浄水をリム孔12に導くリム導水路10と、セット用洗浄水タンク22内の洗浄水をゼット孔14に導くゼット導水路11とを有する。また、本実施形態において、リム用洗浄水タンク21、セット用洗浄水タンク22、リム導水路10、ゼット導水路11は、陶器で成形されている。
【0078】
リム用洗浄水タンク21は、洗浄水タンク4内の上部に設けられている。リム用洗浄水タンク21の底面には、リム用給水口8aが形成されており、このリム用給水口8aにはリム用排水弁16aが設けられている。そして、リム用排水弁16aの下側には、リム導水路10が形成されており、リム用排水弁16aを通過した洗浄水はリム導水路10に流入するようになっている。
【0079】
セット用洗浄水タンク22は、リム用洗浄水タンク21の下部に設けられている。セット用洗浄水タンク22の底面には、ゼット用給水口8bが形成されており、このゼット用給水口8bにはゼット用排水弁16bが設けられている。ゼット用排水弁16bは、上述したリム用排水弁16aよりも大きく形成されている。ゼット用排水弁16bの下側には、ゼット導水路11dが形成されており、ゼット用排水弁16bを通過した洗浄水はゼット導水路11に流入し、ゼット孔14から吐出されるようになっている。
【0080】
そして、水洗大便器1の使用者が洗浄操作レバー18を回すと、排水弁操作機構(図示略)により、排水弁16a、16bがそれぞれ引き上げられて、所定時間給水口8a、8bが開放され、洗浄水タンク21、22内に収容されている洗浄水が導水路10、11内に流れるようになっている。
【0081】
図9(b)に示すように、本発明の第4実施形態の水洗大便器1は、第1実施形態と同様に、導気通路24を備えている。この導気通路24は、便器本体2の内部におけるトラップ15の側面の一部分に沿って一体に形成された導気室27によって構成されている。
【0082】
この導気室27は、トラップ15の吸込口26の上端近傍から上側頂部15aにかけてトラップ15の上面に沿って上方に延びるように形成されている。さらに、導気室27は、トラップ15の上側頂部15aより上方では、洗浄水タンク4の前面に沿って上方に延び、導気室27の上端後部は、洗浄水タンク4の前面に形成された吸気孔20を含むように形成されている。そして、その吸気孔20にゴム管28がはめ込まれ、ゴム管28と導気室27とは、吸気孔20によってのみで連通されるようになっている。そして、ゴム管28は、図9(b)に示すように、セット用洗浄水タンク22とその上部に設けられたリム用洗浄水タンク21の間の空間に大気開放されている。このゴム管28は、吸音性、消音性を有するゴムにより構成されている。
【0083】
図9(b)に示すように、ゴム管28は、中空状で円筒形状をしている。これは、本実施形態では吸気孔20を円形形状にしていることから、その吸気孔20にゴム管28が嵌着(装着)される関係上、吸気孔20の内形形状とゴム管28の外形形状を略同一形状にする必要があるからである。そして、ゴム管28の外周中央部には、ゴム管28の外径よりも少し大きい外径の突起部が設けられている。これにより、ゴム管28が吸気孔20に押し込まれると、この突起部が吸気孔20の外周部に当たるので、その位置でゴム管28が吸気孔20に装着されることとなる。このゴム管28は、耐塩素性、耐水性、耐寒性などに優れているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を材質としている。
【0084】
なお、ゴム管28の外形は、吸気孔20の断面形状(内形形状)と略同一形状にする必要があるため、たとえば吸気孔20の断面形状が三角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も三角形状になり、また吸気孔20の断面形状が八角形状であれば、それに伴ってゴム管28の外形も八角形状になる。また、吸気孔20が2以上設けられた場合には、ゴム管28もその個々の吸気孔20に取り付けられる。ここで、ゴム管28の外径は、吸気孔20の直径より2mm程度大きくしている。これにより、吸気孔20にゴム管28がはめ込まれると、ゴム管28の弾性力により、接着剤なしにゴム管28を吸気孔20に固定できる。本実施形態のゴム管28は、内径を8mmとし、外径を17mmとしている。
【0085】
本発明の第4実施形態において、水洗大便器1の洗浄操作レバー18を回すと、洗浄工程が開始され、排水弁操作機構(図示略)によって、リム用排水弁16a及びゼット用排水弁16bが引き上げられ、リム用給水口8a及びゼット用給水口8bが所定時間開放され、リム用洗浄水タンク21及びセット用洗浄水タンク22内にそれぞれ収容されている洗浄水がリム導水路10d及びゼット導水路11d内をそれぞれ流れる。そして、リム導水路10dからリム孔12を経てボウル6内へ流れた洗浄水は、ボウル6の内面を洗浄し、ボウル6内の溜水と共にボウル排出口13からトラップ15内へ流れ込む。一方、ゼット導水路11dからボウル6を迂回してゼット孔14に流れた水は、このゼット孔14よりトラップ15に向けて噴き出される。
【0086】
さらに、洗浄水がボウル排出口13及びゼット孔14よりトラップ15内に流れ込み、トラップ15内の水位が満水になると、第1実施形態と同様、トラップ15内が負圧状態になり、ボウル6からトラップ15内へ溜水を吸引するサイホン作用が開始する。このサイホン作用により、ボウル6内の汚物は溜水と共にトラップ15内へ引き込まれる。
【0087】
本発明の第4実施形態においても、第1実施形態同様、導気室27内の溜水がほとんどトラップ15内に引き出されて空気のみとなった状態で、ボウル6内の空気を巻き込んだ溜水(洗浄水も含む)がトラップ15に引き込まれると、その溜水に含まれる空気が圧縮された状態で導気室27内に入り込み、そして、導気室27内に入り込んだ圧縮空気が開放される際に「ジャー」という不快な音が生ずる。また、導気室27内がほとんど空気のみとなっている状態で、導気孔30の表面を空気を巻き込んだ溜水などが擦れるようにして流れることによっても、導気孔30付近の空気の圧力が変動し「ジャー」という不快な音が生ずる。また、トラップ15内の負圧状態が解消して、導気通路24に水が逆流するときにも不快な音が生ずる。そして、これらの音は、導気通路24で共鳴し、その導気通路24での共鳴音が洗浄水タンク4内に伝播する。
【0088】
本実施形態では、導気室27の上端後部に設けられた吸気孔20にゴム管28が嵌着されているため、導気室27内の共鳴音がこのゴム管28の側壁に衝突することにより、また導気室27内の共鳴音がゴム管28内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0089】
このように、導気通路24を新たに設けることによって、導気通路24が新たな音の発生源となり、導気通路24内で不快な共鳴音が発生することとなるが、この場合でも、吸気孔20にゴム管28を設けることにより、導気通路24内の共鳴音を低減することができ、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで音を小さくすることができる。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0091】
次に本発明の変形例について説明する。
(1) 上記実施形態では、ゴム管28を吸気孔20に嵌着するものであったが、これに限らず、吸気孔20にゴム管28をはめ込むのでなく、吸気孔20の表面にゴム管28を接触させ、その部分で接合(装着)するようにしてもよい。すなわち、吸気孔20の表面にフランジを設け、そのフランジにゴム管28を差し込むようなものであってもよい。
この場合でも、導気通路24内の共鳴音がゴム管28内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【0092】
(2) 上記実施形態では、吸気孔20の内形形状をゴム管28の外形形状と略同一形状にするものであったが、これに限らず、たとえば、変形例(1)のように、吸気孔20の表面にゴム管28を接触させ、その部分で接合(装着)させる場合は、必ずしも吸気孔20の内形形状をゴム管28の外形形状と略同一形状にする必要はない。
【0093】
(3) 上記実施形態では、音低減部材として、ゴム管28を用いたが、必ずしもゴム管28である必要はなく、吸音性もしくは消音性を有する弾性体であってもよく、さらに、弾性体でなくても、たとえばトランペットの消音ミュート(底面が円形で、上面に開口部を有するアルミ製(開口部以外は内部が密閉)のもの)のようなものであってもよい。この場合、消音ミュートの開口部を吸気孔20にはめ込んで、吸気孔20に消音ミュートを装着する。この場合でも、導気通路24内の共鳴音が消音ミュート内部に入り込むことにより消音し、使用者にとって特に耳障りにならない程度まで共鳴音を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態における水洗大便器の上面図である。
【図2】図1に示す水洗大便器のI-I断面図である。
【図3】(a) 図1、図2に示す水洗大便器のA-A断面図である。 (b) 図1、図2に示す水洗大便器のB-B断面図である。
【図4】(a) 本発明の一実施形態における洗浄水タンクに設けられた吸気孔の部分拡大図である。(b) 同洗浄水タンクに設けられた吸気孔の図4(a)C-C線断面図である。
【図5】図4に示す吸気孔に嵌着されるゴム管の斜視図である。
【図6a】(a) 本発明の一実施形態における水洗大便器の洗浄待機時の動作説明図である。
【図6b】(b) 同水洗大便器のサイホン作用発生初期の動作説明図である。
【図6c】(c) 同水洗大便器のサイホン作用継続時の動作説明図である。
【図6d】(d) 同水洗大便器のサイホン作用終了時の動作説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態における水洗大便器の側面断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態における水洗大便器の側面断面図である。
【図9】(a) 本発明の第4実施形態における水洗大便器の上面図である。(b) 同水洗大便器の側面断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 水洗大便器
2 便器本体
4、4d 洗浄水タンク
6 ボウル
8 給水口
8a リム用給水口
8b ゼット用給水口
9 導水路
10 リム導水路
11 ゼット導水路
12 リム孔
13 ボウル排出口
14 ゼット孔
15 トラップ
16 排水弁
16a リム用排水弁
16b ゼット排水弁
18 洗浄操作レバー
19 導気管
20 吸気孔
21 リム用洗浄水タンク
22 ゼット用洗浄水タンク
24 導気通路
25 吸気室
26 トラップ吸込口
27 導気室
28 ゴム管
29 隔壁
30 導気孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体のボウルを洗浄し、該ボウル内の溜水をサイホン作用により排出する水洗大便器であって、
給水手段から前記ボウルに洗浄水を導くように形成された導水路と、
前記ボウルの排出口に接続され、該ボウル内の汚物を排出するトラップと、
該トラップの上流部に形成された導気孔と、
一端が導気孔に連通され、一部に空気を吸気する吸気孔を有する導気通路と、
前記吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
便器本体のボウルを洗浄し、該ボウル内の溜水をサイホン作用により排出する水洗大便器であって、
給水手段から前記ボウルに洗浄水を導くように形成された導水路と、
前記ボウルの排出口に接続され、該ボウル内の汚物を排出するトラップと、
該トラップの上流部に形成された導気孔と、
一端が前記導気孔に連通され、他端が大気に開放されている吸気孔に連通された導気通路と、
前記吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とする水洗大便器
【請求項3】
便器本体のボウルを洗浄し、該ボウル内の溜水をサイホン作用により排出する水洗大便器であって、
洗浄水を吐出させるゼット孔が底部に形成されたボウルと、
前記ゼット孔から給水すべき洗浄水を収容するゼット用洗浄水タンクと、
該ゼット用洗浄水タンクに設けられ、前記ゼット孔への洗浄水の供給と止水を行うゼット用排水弁と、
該ゼット用排水弁を通過した洗浄水を前記ゼット孔に導くゼット導水路と、
前記ゼット用洗浄水タンクの上部に設けられ、前記ボウルの上部に設けられたリム孔から給水すべき洗浄水を収容するリム用洗浄水タンクと、
該リム用洗浄水タンクに設けられ、前記リム孔への洗浄水の供給と止水を行うリム用排水弁と、
該リム用排水弁を通過した洗浄水を前記リム弁に導く洗浄水導水路と、
前記ボウルの排出口に接続され、該ボウル内の汚物を排出するトラップと、
該トラップの上流部に形成された導気孔と、
一端が導気孔に連通され、一部が前記ゼット用洗浄水タンクと前記リム用洗浄水タンクの間の空間に開放されている吸気孔に連通された導気通路と、
前記吸気孔に装着され、吸音性もしくは消音性を有する音低減部材と、を有することを特徴とする水洗大便器
【請求項4】
前記給水手段は、洗浄水を収容する洗浄水タンクであり、
前記吸気孔は、前記洗浄水タンク内に形成され、
前記導気通路は、前記吸気孔に装着された前記音低減部材を介して空気を吸気することを特徴とする請求項1または請求項2記載の水洗大便器。
【請求項5】
前記給水手段は、洗浄水を収容する洗浄水タンクであり、
前記吸気孔は、前記洗浄水タンクの底部に設けられ、
前記音低減部材は、一端を洗浄水タンクに収容される洗浄水より上部に設けたことを特徴とする請求項1記載の水洗大便器。
【請求項6】
前記音低減部材は、前記吸気孔に嵌着されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の水洗大便器。
【請求項7】
前記音低減部材は、弾性体により構成されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の水洗大便器。
【請求項8】
前記弾性体は、ゴムであることを特徴とする請求項7記載の水洗大便器。
【請求項9】
前記音低減部材は、管状の形状をしていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の水洗大便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−321353(P2007−321353A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149716(P2006−149716)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】