説明

水準器付き衣服

【課題】着用することにより、体幹、肩又は骨盤等の傾きを目視で容易に確認することができ、これにより、脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節の歪み・ズレを認識することができる衣服を提供すること。
【解決手段】衣服100を正しく着用した際に、体幹、肩又は骨盤のゆがみを測定するために、着用した状態で衣服の傾きを確認可能な水準器40を衣服の少なくとも一部に備え付けた。この水準器を確認することによって、脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節の歪み・ズレを認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢の歪み、身体の歪み等を容易に認識するための水準器を少なくとも一部に備えた衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
医師、柔道整復師、整体又はマッサージ等に従事する者或いは整体を受けた患者が、脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節の歪み又はズレを確認する場合に、体幹、肩、骨盤等の傾きを確認することが必要な場合がある。
【0003】
しかし、こうした体幹、肩又は骨盤等の水平を確認するには、医師、柔道整復師、熟練の整体やマッサージに従事する者が実際に患者に触って判断したり、高価な画像解析装置を使用したりして解析する必要があった。
【0004】
そこで、特に、身体に直接触れたり、高価な解析装置を使用したりすることなく、短時間で容易に体幹、肩又は骨盤等の傾き等を確認することができる器具が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこうした課題を鑑みてなされたものであり、着用することにより、体幹、肩又は骨盤等の傾きを目視で容易に確認することができ、これにより、脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節の歪み又はズレを認識することができる衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を達成するために、以下の手段を採った。
【0007】
本発明の水準器付き衣服は、体幹、肩又は骨盤のゆがみを測定するために、着用した状態で衣服の傾きを確認可能な水準器を少なくとも一部に備え付けてあることを特徴とする。
【0008】
係る構成の水準器付き衣服を採用することにより、衣服を着用すれば、水準器を視認することで水準器を有する部位の傾きを確認することができる。この傾きを見ることによって、体幹、肩又は骨盤等の傾きを確認することができ、この傾きから脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節の歪み又はズレを認識することができる。
【0009】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、衣服の左右の中心軸に対して左右両側に対称となるように偶数個配置されていてもよい。
【0010】
係る構成を採用したことにより、左右対称に両側に配置されている水準器を有する部位の傾きを認識することができる。また、中心軸に対して、両側、かつ対称に配置されている複数の水準器の傾きを比較することで身体の傾きを観察部位ごとに認識することができる。従って、脊椎、骨盤、肩甲骨又は四肢等の骨格や関節等のいずれの部位がゆがんでいるかを容易に認識することができるようになる。
【0011】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、衣服の中心軸を跨ぐように配置されていてもよい。
【0012】
係る構成を採用したことにより、水準器を観察することで衣服の中心軸の傾きを確認することができ、結果として、身体、特に脊椎対の傾きを認識することができる。これにより、体幹のゆがみを認識し易くすることができる。
【0013】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、上半身用の衣服に備え付けてあってよい。
【0014】
係る構成を採用することによって、特に上半身の傾きを容易に確認することができるようになる。
【0015】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、少なくとも両肩の上面に備え付けてあってもよい。
【0016】
係る構成を採用することで、水準器を観察することによって、両肩の傾き具合を認識することができる。特に両肩の傾き具合を確認、比較することによって、体幹又は肩のゆがみを容易に認識することができるようになる。
【0017】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、衣服に対して角度を変更可能に備え付けてあってもよい。
【0018】
係る構成を採用することによって、測定する人の体格に合わせて水準器の傾きを設定することが可能になる。例えば、人によって正常な状態であっても両肩の角度は異なるため、個々の人に適合させて水準器の角度を調整することができる。このため、汎用性の高い水準器付き衣服を提供することができる。
【0019】
さらに、本発明の水準器付き衣服において、前記水準器は、下半身用の衣服に備え付けてあってもよい。
【0020】
係る構成を採用することによって、主として下半身のゆがみを認識することができるようになる。下半身用の衣服としては、ズボン、スラックス、スカート等が考えられ、下半身の衣服に備え付けられるベルト等も含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る水準器付き衣服によれば、体幹、肩又は骨盤のゆがみを測定しようとする人に衣服を着用させることにより、衣服に備えられている水準器の傾きを目視で確認することができ、体幹、肩または骨盤等のゆがみを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る水準器付き衣服(ジャケット)100の構成の概略を示す正面図である。
【図2】第1実施形態に係る水準器付き衣服(ジャケット)100に備え付けられた水準器40を示す部分拡大図である。
【図3】第2実施形態に係る水準器付き衣服(ジャケット)100の構成の概略を示す正面図である。
【図4】第3実施形態に係る水準器付き衣服(ジャケット)100の構成の概略を示す正面図である。
【図5】第3実施形態に係る水準器付き衣服(ズボン)101の構成の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。また、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0024】
本発明の実施形態を説明するにあたり、実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態におけるジャケット100又はズボン101が衣服に相当する。その他の構成要素葉、本発明と同様の名称を用いている。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るジャケット100の構成の概略を示す正面図である。ジャケット100は、右前身頃10、左前身頃20及び後ろ身頃30を備えている。右前見頃10及び左前身頃20は、正面において線ファスナー50で開閉可能に形成されている。本ジャケット100は、他の着衣を着用した状態から羽織ることができる。右前見頃10及び左前見頃20の両肩部には、気泡管型の水準器40がジャケット100の縦の中央軸αに対して左右対称となる位置に配置されている。水準器40は、肩の角度を考慮して正しく着用した際に概ね気泡管41が水平になるように設置されていて、水準器40を視認することによって、肩の傾きを確認することができる。必ずしも、水準器40は、正確な肩の角度を数値として測定することができる必要はない。第1実施形態のジャケット100によれば、両肩に水準器40を備えているので、両方の水準器40の傾き具合を比較することによって、両肩の傾き具合を認識することができる。勿論、例えば、図2に示したように、気泡管41に角度を示すメモリを刻んでおいて、それぞれの肩の角度を正しく認識することができるように設けても構わない。
【0026】
こうして作製されたジャケット100は、人間に着用させた後、水準器40を視認することで、両肩の傾きを認識することができる。また、水準器40は両肩に設けられているので、それぞれの肩のゆがみを認識することができる。こうした両肩の傾き具合を確認することによって、体幹のゆがみ、骨盤のゆがみ等を認識することができるようになる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るジャケット100の構成の概略を示す正面図である。上記第1実施形態においてはジャケット100の両肩部に水準器40を2つ設けているが、第2実施形態では、それ以外の部位に複数の水準器40を設けてある。具体的には、ジャケット100の胸部に相当する高さの位置に、中心線αに対して対称に2つ設けられるとともに、ジャケット100下方の腹部の高さの位置に中心線αに対して対称に2つ設けられている。
【0028】
こうして作製されたジャケット100は、肩部、胸部及び腹部のそれぞれの傾きを認識することができる。そのため、体幹、肩又は骨盤等のいずれのゆがみが大きいか等の判断が、それぞれの傾きを比較することで容易に判断することができる。
【0029】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係るジャケット100の構成の概略を示す正面図である。上記第1実施形態においては、すべての水準器40がジャケットの中心線αに対して対称に2つ設けられているが、第3実施形態においては、この中心線軸を跨ぐようにして水準器40が少なくとも1つ配置されている。具体的には、水準器40aが後ろ身頃30の中心軸であって、この中心軸を跨ぐようにして背中側に設けられている。
【0030】
係る構成を採用することによって、1つの水準器を観察することによって、体幹がゆがんでいるか否かを認識することができる。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、水準器40をジャケット100に固定してあるが、ジャケットを着用した後に角度調整を行うことができるように設けてもよい。例えば、気泡管41の角度を変更可能なように設けることよって、角度調整を行うことができる。こうした構成を採用することによって、例えば、整体前に角度を調整して水平になるように設定し、整体後の両肩の傾きの変化を確認することができる。
【0032】
また、上述した実施形態においては、水準器40をジャケット100に取り付け固定しているが、取り外し可能に設けても構わない。係る構成を採用することによって、水準器40が故障しても交換可能となる。
【0033】
また、上述した実施形態においては、気泡管タイプの水準器40を使用しているが、これに限定するものではなく、角度を確認することができるものであれば、水準器の形態は限定するものではない。例えば、ドーム状に形成した透明プラスチックケース内に空気の気泡を混入してあらゆる方向の傾きを確認可能なものであってもよい。
【0034】
また、上述した実施形態ではジャケット100を用いて説明しているが、これに限られるものではなく、シャツ、コート等の他の上着であっても構わないし、ズボン(図4参照)、スカート、スラックス等の下半身用の衣服101又はベルトに水準器40を設けても構わない。下半身の衣服又はベルトに水準器40を設けることによって、下半身のゆがみを認識することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
上述した実施形態で示すように、特に整体等に従事する者のために、身体のゆがみを測定する衣服として、産業上利用可能である。また、小中学校の児童の身体の検査等に有効に活用しうる。
【符号の説明】
【0036】
10…右前身頃、20…左前身頃、30…身頃、40…気泡管水準器、41…気泡管、50…線ファスナー、100…ジャケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体幹、肩又は骨盤のゆがみを測定するために、着用した状態で衣服の傾きを確認可能な水準器を少なくとも一部に備え付けてあることを特徴とする水準器付き衣服。
【請求項2】
前記水準器は、衣服の左右の中心軸に対して左右両側に対称となるように偶数個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水準器付き衣服。
【請求項3】
前記水準器は、衣服の左右の中心軸を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水準器付き衣服。
【請求項4】
前記水準器は、上半身用の衣服に備え付けてあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水準器付き衣服。
【請求項5】
前記水準器は、衣服の両肩の上面に備え付けてあることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の水準器付き衣服。
【請求項6】
前記水準器は、衣服に対して角度を変更可能に備え付けてあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の水準器付き衣服。
【請求項7】
前記水準器は、下半身用の衣服に備え付けてあることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の水準器付き衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−21248(P2012−21248A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162303(P2010−162303)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(510197760)
【Fターム(参考)】