説明

水溶性液状薬剤用カルボキシメチルセルロース

【課題】容器口部のつまりを生じさせず、液状薬剤のカルボキシメチルセルロースに起因する性質を変化させることのない水溶性液状薬剤用カルボキシメチルセルロースを提供することを目的とする。
【解決手段】エーテル化度が1.18以上であって、ヘーズ値1.0未満であることを特徴とする水溶性の液状薬剤用カルボキシメチルセルロース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性の液状薬剤に用いるカルボキシメチルセルロースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄し、汚れの付着を防止し、消臭し、あるいは芳香を漂わせるための、水溶性の液状薬剤に、カルボキシメチルセルロースを配合したものが提案されている。(特許文献1、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開昭55−151099号公報
【特許文献2】特開平2−97913号公報号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、カルボキシメチルセルロースを配合した水溶性の液状薬剤は、カルボキシメチルセルロースが針状結晶化する場合があり、液状薬剤の粘度等の性質が変化したり、容器口部のつまりを生じさせたり、所望の効果を得ることができない場合があるという問題があった。
【0004】
これに対して、本発明は、水溶性の液状薬剤に針状結晶を生じさせないカルボキシメチルセルロースの性質を見いだし、容器口部のつまりを生じさせず、液状薬剤のカルボキシメチルセルロースに起因する性質を変化させることのない水溶性液状薬剤用カルボキシメチルセルロースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特定のカルボキシメチルセルロースに着目することにより、水溶性の液状薬剤に配合しても針状結晶を生じさせないことを見いだした。すなわち、本発明は次の通りである。
項1 エーテル化度が1.18以上であって、ヘーズ値1.0未満であることを特徴とする水溶性の液状薬剤用カルボキシメチルセルロース。
【0006】
本発明のカルボキシメチルセルロースは、そのエーテル化度が1.18以上である。1.18より低くなると、カルボキシメチルセルロースの針状結晶を生じさせ、液体薬剤の粘度等の性質が変化したり、容器口部のつまりを生じさせたり、所望の効果を得ることができないといった不都合が生じる。
【0007】
本発明のカルボキシメチルセルロースは、そのヘーズ値1.0未満である。ヘーズ値が、1.0以上となると、カルボキシメチルセルロースの針状結晶が目視にて認識できるようになり、液体薬剤の透明性を損なうといった不都合が生じる。
【0008】
さらに、エーテル化度が1.18より低くなり、ヘーズ値が1.0以上となると、カルボキシメチルセルロースの針状結晶を生じさせるだけでなく、目視にて針状結晶を認識でき液体薬剤の透明性を損なうといった不都合が生じる。
【0009】
エーテル化度の測定方法は、試料(無水物)0.5〜0.7gを精密にはかり、濾紙に包んで磁製ルツボ中で灰化し、冷却した後、これを500mlビーカーに移し、水約250ml、さらにピペットで0.05モル/l硫酸35mlを加えて30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸0.1モル/l水酸化カリウムで逆滴定して、次の式によって置換度を算出することで測定される。
【0010】
ヘーズ値の測定方法は、全自動直読ヘーズコンピューター(スガ試験機)を用いて測定される。
【0011】
水溶性の液状薬剤は、親水性溶媒として、1)エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルカノール類、2)プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール類、3)ジプロピレングリコールなどのポリグリコール類、4)水があげられる。より好ましくはプロピレングリコールと水であり、さらに好ましくは水である。
【0012】
その他親油性溶媒、界面活性剤、色素等も配合することができる。親油性溶媒は、シリコン、高級アルコール、香料があげられ、界面活性剤はアルキル硫酸エステルナトリウム、オレフィン硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、などの非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミン酢酸ベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0013】
色素等は親水性、親油性のいづれも本発明の効果を阻害しない範囲で使用可能である。
【0014】
親水性溶媒はアルカノール類であれば揮散しやすいために組成物に変化を及ぼすことが考えられ、グリコール類およびポリグリコール類は高濃度配合すると危険物となるため使い易さとしては劣る。これらの点を考慮すると使い易さ、コスト面においては水が優れているため水を配合すればよく、親油性溶媒は撥水効果および汚れの付着防止効果を付与するためにシリコンを配合することができ、香料および有機溶媒の希釈をするために高級アルコールを配合することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水溶性の液状薬剤に針状結晶を生じさせないカルボキシメチルセルロースの性質により、容器口部のつまりを生じさせず、液状薬剤のカルボキシメチルセルロースに起因する性質を変化させることのない水溶性液状薬剤用カルボキシメチルセルロースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、以下の%は特別記載しない限り、重量%を示す。
実施例として、カルボキシメチルセルロール0.035%、非イオン性界面活性剤45%、両性界面活性剤5%、香料10%、残部をイオン交換水とし、混合して、液体芳香洗浄剤組成物を得た。
実施例1は、エーテル化度1.18、ヘーズ値0.4のカルボキシメチルセルロールを用いた。
実施例2は、エーテル化度1.19、ヘーズ値0.5のカルボキシメチルセルロールを用いた。
実施例3は、エーテル化度1.20、ヘーズ値0.3のカルボキシメチルセルロールを用いた。
実施例4は、エーテル化度1.21、ヘーズ値0.4のカルボキシメチルセルロールを用いた。
実施例5は、エーテル化度1.22、ヘーズ値0.7のカルボキシメチルセルロールを用いた。
比較例として、エーテル化度が1.17、ヘーズ値が1.1のカルボキシメチルセルロールを用いた他は、実施例と同様に混合し、液体芳香洗浄剤組成物を得、比較例1とした。実施例1乃至5、比較例1について、液体芳香洗浄剤組成物を得た後、24時間後に黙視において、針状結晶物の有無を観察した。
実施例1乃至5は、全く針状結晶物が発生していなかった。
一方、比較例1は、針状結晶物が発生していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーテル化度が1.18以上であって、ヘーズ値1.0未満であることを特徴とする水溶性の液状薬剤用カルボキシメチルセルロース。

【公開番号】特開2006−282974(P2006−282974A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133036(P2005−133036)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】