説明

水滴のつかない容器カバー

【課題】冷えたワインボトル等を従来の布製の容器カバーに挿入すると、結露し、ボトルラベル等が損傷したり服に水滴が付着した。また、ボトルの抽出後乾燥するのに時間がかかった。
【解決手段】適切な太さの発泡糸の縦糸と、適切な太さの発泡糸若しくはノーマル糸の横糸とを適切な回数の打ち込みで編成し、この編成体を使って形成することによって、結露のない、また、速乾性の容器カバーが製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワインボトル、瓶ビール、缶ビール、酒瓶等の容器を収納するカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器カバーは、単純にボトルを運搬するだけの用途に限られ、それに耐えうるのみの素材、製織にて製造されていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−335371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上の技術によれば、特に冷えているワインボトル等をそのカバーに収納すると結露し、ラベルが剥がれたり、服に水滴が付いたりした。そこで、この発明は、そのような欠点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の発明者が鋭意研究を行った結果、ポリエチレン等の樹脂で形成された非吸水性の糸からなる緯糸と経糸とで編成された編成体において、緯糸と経糸とで形成される格子の大きさを調整することで、この格子に水分を閉じ込めることができるとともに、閉じ込められた水分がボトルや衣服等に再付着しにくいことを見いだした。特に、前記緯糸及び経糸の少なくとも一方に発泡糸のような表面積を大きくした糸を用いることで、水分の閉じ込め性と再付着性を向上させることができることを見いだした。
具体的に、本発明は、非吸水性の単糸からなる緯糸と経糸とで編成された編成体を使って形成された容器カバーにおいて、250〜300デニールの経糸又は緯糸と180〜200デニールの緯糸又は経糸を40回〜50回/インチの密度で編成した前記編成体を用いた構成としてある。上記太さの糸は、どちらを経糸又は緯糸としてもよい。編成の種類としては、編成体に多少の力を加えても容易に格子の大きさが変化しないもの、例えば、交織り、平織り、綾織り、柄織り等を挙げることができる。また、糸としては、発泡糸のように表面積を増大させた糸が好ましく、複数本の繊維からなる撚糸でもよいが、一本の繊維からなる単繊維糸の方が好ましい。
前記縦糸としてはポリエチレンの250〜300デニールまでの発泡糸(糸に気泡がある糸、また、緯糸にポリエチレンの180〜200デニールの発泡糸若しくはノーマル糸を使用することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷蔵されたワインボトル等をすぐに本ボトルケースに挿入しても、挿入中は結露が無く、ボトルラベル等の水分による損傷が無く、また、服への水滴の付着が防止できる。また、ボトルを抽出した後は速やかに乾燥する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な実施形態について説明すると、容器カバーを形成するための編成体を構成する経糸及び緯糸として、非吸水性の糸を用いる。非吸水性であれば、天然糸、合成糸、半合成糸、再生糸のいずれでもよいが、ナイロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、アクリルなどの樹脂糸が好ましい。また、複数本の繊維を撚ってなる糸でもよいが、一本の繊維からなる単繊維糸であるのが好ましい。
さらに、経糸及び緯糸の一方又は両方に、発泡糸のように表面に凹凸や溝を形成して表面積を増大させた糸を用いるのが好ましい。
経糸及び緯糸とで構成される編成体の格子(経糸と横糸とで囲まれた孔)の大きさは、経糸及び緯糸の材質、糸の太さ、発泡糸とかの種類、織りの密度(単位長さあたりの交織りの回数に比例する)とで決定し、最も吸水性(格子内への水の吸い込み性)と保水性(格子内への水の閉じ込め性)に優れたものを、実験等によって決定することができる。
【0008】
例えば、ポリエチレンの250〜300デニールの経糸と180〜200デニールの緯糸を用いた場合は、経糸と緯糸とは、40回〜50回/インチの交織りとする。詳細には、250デニールのポリエチレンの経糸と180デニールのポリエチレンの緯糸とを用いた場合は、42回/インチの交織りした編成体を用いることができる。この編成体を使って、収納しようとするボトルの大きさに応じた袋状の容器カバーを形成する。
このようにすることで、編成体がボトルの表面に接触し、ボトル表面に結露した水分を吸い取って格子内に閉じ込め、閉じ込めた水分のボトルや衣服への再付着を防止することができる。また、乾燥も早い。
本発明で用いた編成体は、吸水性に優れ、閉じ込めた水分の再付着を抑制することができるので、容器カバー以外に壁材やテント等の内張、アイスボックスの内張等に適用範囲を拡げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非吸水性の糸を緯糸及び経糸として編成された編成体を使って形成された容器カバーにおいて、
250〜300デニールの経糸又は緯糸と180〜200デニールの緯糸又は経糸とを40回〜50回/インチの密度で編成した前記編成体を用いたことを特徴とする容器カバー。
【請求項2】
前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方が、表面に凹凸又は溝を有する糸であることを特徴とする請求項1に記載の容器カバー。
【請求項3】
前記経糸及び前記緯糸のいずれか一方が発泡ポリエチレン糸で、経糸又は緯糸が250デニール、緯糸又は経糸が180デニールあることを特徴とする請求項2に記載の容器カバー。

【公開番号】特開2012−111555(P2012−111555A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276357(P2010−276357)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(510326924)南条織物株式会社 (1)
【Fターム(参考)】