説明

水濡れに強い情報通信体及びその製造方法

【課題】水に濡れたり、或いは疑似接着が良好な情報通信体でも容易に剥離開封することができる情報通信体とその製造方法を提供する。
【解決手段】折り畳むと一致せずに段差を生じる互いに対向する葉片1、2の剥離開始部分の何れかの開封コーナー部分に切り取り部を設けることにより、通常では簡単に破断して開封不能になる水濡れや疑似接着が良好過ぎて強い剥離力を必要とする状態でも、容易に剥離を開始することができ、しかも途中で葉片1、2が破断することなく確実に開封することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片が剥離可能に折り畳まれ或いは切り重ねられた情報通信体に関する。
詳しくは最近盛んに使用されている、見掛けは通常の葉書であるにも関わらず、複数の葉片が剥離可能に積層されているため、多くの情報を隠蔽状態で伝達することができる葉書に代表される情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記複数の葉片が剥離可能に積層された葉書として、例えば特開2004−98644号公報に記載の葉書がある。前記特許文献では各葉片を剥離可能に接着(以下疑似接着という)する手段として、予め剥離可能に積層した疑似接着フィルムを使用するもの、印刷を施した後に疑似接着性の皮膜を形成するもの及び印刷を施す前に疑似接着性の樹脂を塗布しておくもの等の各手段を開示している。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献】
【特許文献】特開2004−98644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記各種疑似接着媒体を使用した情報通信体は、剥離可能に接着する疑似接着媒体同士の間から剥離するきっかけが得られれば、容易に開封して平面に展開することができる。然るに、例えば個人の郵便受けの中で雨水等により濡れてしまい、各葉片の紙繊維が容易に解れて破断してしまうような状態の場合、指先でしごいて疑似接着媒体同士の間から剥離しようとすると疑似接着している葉片の用紙が解れたり或いは分断してしまい前記疑似接着媒体同士の間から剥離するきっかけを得ることができない。
【0005】
また、疑似接着媒体の接着性が良好すぎる場合も、前記水濡れの場合と同様に剥離に際して葉片の用紙が解れたり或いは分断してしまい剥離が困難になる。
本発明は、仮に水を吸って濡れた状態や疑似接着が良好で強過ぎる場合でも、疑似接着媒体同士の間から容易にしかも確実に剥離を開始することが可能で、受取人が必ず内部に記載されている内容を確認することができる情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の水濡れに強い情報通信体は、複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体において、重ね合わせ後の対向葉片が開封側縁辺において一致せず段差を形成すると共に、前記段差を形成する両葉片の何れかの葉片の剥離開始部分に任意の形状の切り取り部が設けられ、且つ前記切り取り部が疑似接着フィルムシートにより覆われていることを特徴としている。
【0007】
なお、前記切り取り部は、任意の形状に切り欠かれた状態であってもよく、或いは任意の形状で窓状に抜き取られた状態でも構わない。
【0008】
さらに上記目的を達成するために、本発明の水濡れに強い情報通信体の製造方法は、複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体の製造方法であって、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接されるとともに、剥離開始部分に予め任意の形状の切り取り部を設けた単位シートが、切取線を介して縦方向に連接された長尺状シートを連続的に繰り出す繰り出し工程、連続的に繰り出される長尺状シートの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状シートを折り畳む折り畳み工程、折り畳まれた長尺状シートのマージナル部分を切除する切除工程、マージナル部分を切除された長尺状シートを単位シートに断裁する断裁工程、断裁された単位シートを一体化する一体化工程とからなることを特徴としている。
【0009】
なお前記製造方法において、切除工程を被覆工程の後に増設しても構わず、さらに断裁工程、一体化工程の順番を入れ替えても構わない。その際切除工程は一体化工程の前後の何れか或いは両方に配置しても構わない。
【0010】
さらにまた、上記目的を達成するために、本発明の水濡れに強い情報通信体の製造方法は、複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体の製造方法であって、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された単位シートが印刷されると共に、剥離開始部分に予め任意の形状の切り取り部が設けられたカットシートを連続的に繰り出す繰り出し工程、連続的に繰り出されるカットシートの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆されたカットシートを単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートを折り畳む折り畳み工程、折り畳まれた単位シートを一体化する一体化工程とからなることを特徴としている。
【0011】
本発明で使用される疑似接着フィルムシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート等の比較的腰の強い基材の一方の面に疑似接着層を形成したドライラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートや、前記基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成した、サーマルラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートを好適に使用することができる。前記疑似接着フィルムシートとしては、例えばケイディケイ株式会社製の商品名「ハガキフィルムドライ」や商品名「ハガキフィルムサーマル」等が販売されている。
【0012】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば印刷物の疑似接着予定面に被覆ラミネートして、その後前記疑似接着予定面同士を折り合わせ疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着するものである。そして疑似接着後に前記対向面同士を引き剥がすと、疑似接着層同士の界面から剥離するか、或いは基材と何れかの疑似接着層との間から剥離するか、さらに前記両者の剥離が複合的に起こり、対向面同士を容易に剥離することができるのである。
【0013】
本発明の情報通信体を形成する葉片に使用される用紙は、上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙その他の公知の用紙等を好適に使用することができる。好ましくはマートコート紙やグロスコート紙のように表面処理が施されている塗工紙系(特にマットコート紙)が、用紙表面に塗工される成分が紙繊維同士のバインダー役を果たすため、水濡れに対しても解れたり或いは分断し難くなり、そのため本発明の作用をより効果的に発揮することができる。
【0014】
本発明の情報通信体は、長尺状シートを使用したビジネスフォーム印刷や輪転印刷で製造しても或いは枚葉シートを使用したオフセット印刷により製造しても構わない。ビジネスフォーム印刷の場合、例えば印刷後の長尺状シートをピントラクタに沿って搬送する情報通信体の製造機に掛ければ、前記工程が一貫して行うことができるため至便である。またオフセット印刷の場合、前記ビジネスフォーム印刷と同様に一貫して行うこともできるが、例えば各工程をラインで繋ぐのではなく、それぞれ或いは一部の処理を、各工程の専用加工機を使用して、各々の工程を単独に処理しても構わない。
【0015】
本発明の特徴である剥離開始部分に設けられる切り欠きや窓Mは、図4に示すように、紙片Y同士を対向させてヒートローラR等で加熱・加圧処理を施しても、僅かな空間が発生して十分接触することができなくなる。そのため、切り欠きや窓Mの内部の疑似接着フィルムシートGに加熱・加圧処理が行き届かず、それにより切り欠きや窓Mの周辺に疑似接着フィルムシートG同士の未接着部分を意図的に形成するものである。前記未接着部分により両葉片の剥離開始部分は、仮に葉片が水濡れで破断しやすい状態でも剥離開始が極めて容易に行える。
【0016】
本発明において、情報通信体の開封開始部分に設けられる切り欠きや窓の形状に格別な制限はない。窓の形状として例えば三角形や四角形等の多角形、円や楕円、直線や曲線の混合形状、星型や任意のマーク及びシンボル等の形状等から選択することができる。
そして切り欠きの形状としては、例えば前記窓の枠を一部或いは大半切除した形状により切り欠きを構成しても構わない。
【0017】
なお、疑似接着媒体に関しては、前記折り合わせて対向させた疑似接着層から剥離する疑似接着フィルムシートの他に、例えば既述の基材の一方の面に熱可塑性或いは熱硬化性の樹脂を溶融押出しや塗工により剥離可能に積層した2層の積層フィルムシートの少なくとも一方の外側に、公知の感熱接着剤層を形成した3層以上の構成からなる疑似接着フィルムシートを使用しても構わない。この疑似接着フィルムシートの場合、前記基材と樹脂との間で剥離が行われる。また、疑似接着フィルムシート以外の既述の疑似接着媒体でも、十分に強靭な疑似接着皮膜が形成されれば同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の情報通信体の開封手段によれば、通常では簡単に破断して開封不能になる水濡れや疑似接着が良好すぎて強い剥離力を必要とする状態でも、容易に剥離を開始することができ、しかも途中で葉片が破断することなく確実に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)、(B)及び(C)は本発明に係る二つ折り葉書用用紙JS1の表面図、裏面図及びI−I線断面図である。
【図2】(A)、(B)及び(C)は図1の用紙で製作した二つ折り葉書J1の表面図、裏面図およびII−II線断面図である。
【図3】疑似接着フィルムシートGを厚さ方向に拡大した断面図である。
【図4】開封原理を示す要部概略図である。
【図5】(A)及び(B)は、図2の二つ折り葉書J1と異なる態様の二つ折り葉書の表面図及び裏面図である。
【図6】(A)、(B)及び(C)は三つ折り葉書用用紙JS2の表面図、裏面図およびIII−III線断面図である。
【図7】(A)、(B)及び(C)は図6の用紙で製作した三つ折り葉書J2の表面図、裏面図及びIV−IV線断面図である。
【図8】(A)、(B)及び(C)は異なる態様の三つ折り葉書J3の表面図、裏面図およびV−V線断面図である。
【図9】(A)及び(B)は長尺状シートS1の表面図及び裏面図である。
【図10】各種長尺状シートを使用した複数折り葉書の製造工程を示す要部概略図である。
【図11】(A)及び(B)は図10の工程中の長尺状シートS1と疑似接着フィルムシートGの状態を示すVI−VI線、VII−VII線断面図である。
【図12】(A)及び(B)は毎葉状シートS2の表面図及び裏面図である。
【図13】各種毎葉状シートを使用した複数折り葉書の製造工程を示す要部概略図である。
【図14】毎葉状シートS2と疑似接着フィルムシートGの状態を示す平面図である。
【図15】図14の毎葉状シートS2の余白部分Pを切り落とした状態を示す平面図である。
【図16】図15の毎葉状シートS2を折り畳み装置により二つ折りに折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図17】(A)及び(B)は長尺状シートS3の表面図及び裏面図である。
【図18】長尺状シートS3を使用した製造工程中で図10のVII−VII線断面図である。
【図19】(A)、(B)及び(C)は長尺状シートS3で製作した三つ折り葉書J4の表面図、裏面図及びVIII−VIII線断面図である。
【図20】(A)及び(B)は毎葉状シートS4の表面図及び裏面図である。
【図21】(A)及び(B)はそれぞれ窓の異なる形状を示す参考図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
[実施例1:二つ折り葉書]
本実施例で使用される二つ折り葉書用紙JS1は、図1(A)に示すように、表面に郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載された第一葉片1と、第一葉片1より幅が狭く、右下部に例えば三角形の窓が打ち抜かれた第二葉片2が折り線3を介して連接されている。なお、第二葉片2表面には例えば宣伝広告等の一般情報4が記載されているが、宣伝広告等の一般情報を記載する代わりに、二つ折り葉書が完成した後に内部の情報が外部から透けて見えにくいように、地紋や連続パターン或いはベタ印刷等を施しても構わない。
【0021】
また図1(B)に示すように、二つ折り葉書用紙JS1の裏面は、第一葉片1及び第二葉片2共に例えば受取人のプライバシーに関わる個人情報5が記載されると共に疑似接着フィルムシートGがその上から全面的に被覆されている。なお、前記第二葉片2のコーナー部分に打ち抜かれている三角形の窓は紙片のみが打ち抜かれており、被覆されている疑似接着フィルムシートGはそのまま残してある。また、前記情報は必ずしもプライバシーに関わるものである必要はなく、一般情報が混在していても構わず、さらに一般情報のみでも構わない。
【0022】
前記疑似接着フィルムシートGは、図3に示すように、例えば二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の上面に疑似接着層12が形成されており、残る下面には公知の感熱接着剤層13が形成されている。そして図1(C)に示すように、前記感熱接着剤層13を介して二つ折り葉書用紙JS1裏面側の各紙片とサーマルラミネート方式により全面的に接着し被覆している。なお図面中に記載される疑似接着フィルムシートGは複雑化を避けるため一層で表現している。
【0023】
また前記疑似接着フィルムシートGに形成されている感熱接着剤層13を予め基材11に形成せずに、二つ折り葉書用紙JS1裏面側の各紙片との貼り合わせの際に接着剤を塗布しながら被覆しても構わない。このような被覆ラミネート方式はドライラミネート方式として公知である。
【0024】
前記二つ折り葉書用紙JS1は折り線3から両葉片を対向させて折り畳み、図2の状態で加圧又は加熱・加圧処理を施すと剥離可能に一体化される。完成した二つ折り葉書J1は図2(B)に示すように、裏面側の右側縁辺に沿って段差を形成し、右下コーナー部分に三角形の窓が形成されている。
【0025】
この二つ折り葉書J1の受取人は、例えば「ここから剥がしてください。」等の記載文言により示唆された、前記右下コーナー部分から剥離を開始する。既述の通り右下コーナー部分には窓が設けられており、この周辺部分は後述する製造工程に使用されるヒートローラや加圧ローラ等の手段では完全に疑似接着できず未接着状態になる。前記未接着状態は、例えば図4に示すように、例えばヒートローラRが窓Mの内部にある疑似接着フィルムGに直接接触することができず、従って熱や圧力が十分に伝えらないために生じると考えられる。
【0026】
なお、本実施例では住所面の第一葉片1を第二葉片2より幅を広くしているが、その逆でも構わない。例えば図5に示す葉書のように、第一葉片1の幅を第二葉片2より狭くし、そして第一葉片1左側縁辺(右側縁辺でも構わない)に表出する第二葉片2に、葉書本体であることを示す「郵便葉書」の文言を記載している。開封用の窓は第一葉片1の左下のコーナー部分に設けておけばよい。
【0027】
[実施例2:三つ折り葉書その1]
本実施例で使用される三つ折り葉書用紙JS2は、図6(A)に示すように表面に郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載された第一葉片21と第一葉片21及び第三葉片23より幅の広い第二葉片22が折り線24及び25を介して連接されている。前記第二葉片22と第三葉片23表面には個人情報26等が記載されると共に疑似接着フィルムシートGにより被覆されており、また第一葉片左下コーナー部分及び第三葉片23右下コーナー部分に例えば三角形の窓が打ち抜かれている。
【0028】
また図6(B)に示すように第三葉片23裏面には、例えば宣伝広告等の一般情報27が記載されているが、一般情報を記載する代わりに、二つ折り葉書が完成した後に内部の情報が外部から透けて見えにくいように、地紋や連続パターン或いはベタ印刷等を施しても構わない。さらに第二葉片22及び第一葉片21裏面には例えば個人情報26等が記載されると共に疑似接着フィルムシートGにより被覆されている。
【0029】
なお、前記第一葉片21及び第三葉片23のコーナー部分に打ち抜かれている三角形の窓は紙片のみが打ち抜かれており、被覆されている疑似接着フィルムシートGはそのまま残してある。
【0030】
前記三つ折り葉書用紙JS2は、各折り線24、25から断面Z字状に折り畳み、図7の状態で加圧又は加熱・加圧処理を施すと、二箇所の対向面間が疑似接着されて全体が剥離可能に一体化される。図7に示すように完成した三つ折り葉書J2は、第一葉片21及び第三葉片23の幅が第二葉片22より狭いため、開封側縁辺に沿って第二葉片22の縁辺が表出することになる。
【0031】
[実施例3:三つ折り葉書その2]
本実施例の三つ折り葉書J3と前記実施例2の三つ折り葉書J2の大きな相違は、図8に示すように、本実施例の三つ折り葉書J3において第一葉片31と第二葉片32の幅がほぼ同じで、両者間が剥離不能に例えば両面接着フィルムシートF等により接着されていること、従って最終的に二つ折り形態になるため、開封を補助する窓が第三葉片のコーナ一部分の一箇所に設けられていることにある。そして既述の通り本葉書J3の受取人は、第二葉片32および第三葉片33間を開封剥離して見開き2頁状態に展開することができる。
【0032】
[実施例4:二つ折り葉書の製造方法その1]
図9に示すように、本実施例の製造方法で使用される長尺状シートS1は、第一葉片41とそれよりも幅が狭い第二葉片42が折り線43を介して横方向に連接された単位シートt1が、切取線44を介して縦方向に連接されている。そして第一葉片41及び第二葉片42の外側には切取線46を介してマージナル孔47が穿設されたマージナル部分48が設けられている。なお、本発明における各折り線や切取線は必ずしも表示される必要はなく、折り筋やミシン目に代えても構わない。
【0033】
また第一葉片41表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されており、第二葉片42表面には広告宣伝等の一般情報45や或いは地紋や連続パターン或いはベタ印刷等が印刷されており、さらに右下コーナー部分に貫通した窓Mが設けられている。また第一葉片41及び第二葉片42裏面には個人情報49等が記載されている。
【0034】
既述の通り構成された長尺状シートS1は、図10に示すように、例えば切取線44から蛇腹に折り畳まれてブロック状態で図中左下に配置される。そして上方のサポートローラ51に引き上げられるとほぼ水平に向きを変え、右側に控えているピントラクタ52のピンとマージナル孔47を合致させて、さらに右側に控えている一対のヒートローラ53a、53bへと牽引される。
【0035】
前記一対のヒートローラ53a、53bでは、上方に待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層13側と長尺状シートS1の疑似接着予定面が整合され、加熱・加圧処理が施されることにより両者は剥離不能に接着される。そしてさらに右側に控えるニップローラ55a、55bへ搬送されるまでに、図11(A)に示すように、スリッタ54a、54bにより第二葉片42の外側のマージナル部分48を切除する。
【0036】
マージナル部分48を切除された長尺状シートS1は、続く折り畳み装置56により図11(B)に示す状態になり、サポートローラ57を通過した後に右側に控えている下流側のピントラクタ58のピンとマージナル孔47を合致させて、さらに右側に控えているスリッタ59a、59bへと牽引される。
【0037】
そしてスリッタ59a、59bで残りの第一葉片41外側のマージナル部分48を切除した後に、右側に控えているダイカットロール60aとバックアップローラ60bとからなる断裁装置により、天地方向の切取線44で単位シートt1毎に個切りされる。
【0038】
続いて断裁装置により個切りされた単位シートt1は右側に控えている一体化工程へ搬送される。一体化工程では、例えば一対の搬送ローラ61a、61bと一対のヒータパネル62a、62bが交互に配置され通過する単位シートt1が加熱される。さらに最終出口に設けられた一対のヒートローラ63a、63bにより、加熱・加圧処理が施されることにより図2に示すように剥離可能に一体化され、最終的にベルトコンベア等からなるストッカ64に順次積載される。
【0039】
なお、上記実施例では、第一葉片41の幅を第二葉片42よりも広くしているが、第一葉片41と第二葉片42を入れ替えた構成の長尺シートでも構わない。何れの場合でもマージナル部分48は幅の狭いほうの葉片から切除することになる。
【0040】
[実施例5:二つ折り葉書の製造方法その2]
図12(A)に示すように、本実施例の製造方法で使用される毎葉状シートS2は、第一葉片71とそれよりも幅が狭い第二葉片72が折り線73を介して横方向に連接された単位シートt2が縦方向に2丁印刷されている。そして第一葉片71表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されており、第二葉片72表面には広告宣伝等の一般情報74や或いは地紋や連続パターン或いはベタ印刷等が印刷されており、さらに右下コーナー部分に貫通した窓Mが設けられている。また図12(B)に示すように、第一葉片71及び第二葉片72裏面には個人情報75等が記載されている。
【0041】
既述の通り構成された毎葉状シートS2は、図13に示すように、疑似接着予定面側を上にして図中左下に積載される。そして最上面の毎葉状シートS2から、例えば吸着パッド等により一枚ずつ吸い上げられ(フィードロール等で繰り出しても構わない)、右側の搬送テーブルへ等間隔或いは端部を突き合わせて順次繰り出される。そして搬送テーブルに控えているニップローラ82a、82bに毎葉状シートS2の端部が銜え込まれると右側に控えている一対のヒートローラ83a、83bへと送り込まれる。
【0042】
前記一対のヒートローラ83a、83bでは、上方に待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層13側と毎葉状シートS2の疑似接着予定面が整合され、加熱・加圧処理が施されることにより両者は剥離不能に接着される。なお疑似接着フィルムGに被覆されることにより毎葉状シートS2は図14に示すように連続状態となる。
【0043】
そして連続状態のままニップローラ86a、86bへ搬送されるまでに、図15に示すように、右側に控えるスリッタ84a、84bにより流れ方向の切り落とし部分Pを切除すると共に、中央の折り線73部分にミシン装置85a、85bによりミシン目を穿設する。
【0044】
切り落とし部分Pを切除されると共にミシン目を穿設した長尺状シートS2は、続く折り畳み装置87により図16に示すように連続的に二つ折りされ、サポートローラ88を通過した後に右側に控えているニップローラ89a、89bによりさらに右側に控えている断裁装置へと送り出される。
【0045】
前記断裁装置は断裁刃91aと固定刃91bの組み合わせからなり、左側に設置されているセンサ90と電気的に連動されており、通過する用紙を任意の間隔で断裁することができる。即ち通過する図16の長尺状シートS2の断裁部分Q1及びQ2をセンサ90が読み取り正確に単位シートt2毎に個切りするのである。
【0046】
個切りされた単位シートt2は、右側に控えている一体化工程へ送られるのであるが、一体化工程に関しては記述の実施例4と全く同じなので詳細な説明は省略する。
【0047】
[実施例6:三つ折り葉書の製造方法その1]
図17に示すように、本実施例の製造方法で使用される長尺状シートS3は、横幅の広さが第一葉片101<第二葉片102<第三葉片103の関係にある各葉片が、折り線104、105を介して横方向に連接された単位シートt3が、切取線106を介して縦方向に連接されている。そして第一葉片101及び第三葉片103の外側には切取線107を介してマージナル孔108が穿設されたマージナル部分109が設けられている。
【0048】
また第一葉片101表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されると共に左下コーナー部分に貫通した窓Mが設けられている。第二葉片102及び第三葉片103表面には秘密を要する個人情報110が記載されており、さらに第三葉片103の右下コーナー部分には貫通した窓Mが設けられている。また第一葉片101及び第二葉片102裏面には個人情報110等が記載さおり、第三葉片103裏面には広告宣伝等の一般情報111や三つ折り葉書の完成後に内部の情報を見にくくするための連続パターンやベタ印刷等が施されている。
【0049】
既述の通り構成された長尺状シートS3は、図10に示すように、例えば切取線106から蛇腹に折り畳まれてブロック状態で図中左下に配置される。そして上方のサポートローラ51に引き上げられるとほぼ水平に向きを変え、右側に控えているピントラクタ52のピンとマージナル孔108を合致させて、さらに右側に控えている一対のヒートローラ53a、53bへと牽引される。
【0050】
前記一対のヒートローラ53a、53bでは、上方及び下方(図中破線で示す)に待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層13側と長尺状シートS3の表裏面の各疑似接着予定面(第二葉片102と第三葉片103表面および第一葉片101と第二葉片102裏面)とが整合され、加熱・加圧処理が施されることにより両者は剥離不能に接着される。そしてさらに右側に控えるニップローラ55a、55bへ搬送されるまでに、スリッタ54a、54bにより第一葉片101の外側のマージナル部分109を切除する。
【0051】
マージナル部分109を切除された長尺状シートS3は、続く折り畳み装置56により図18に示すように断面Z字状態に折り畳まれ、サポートローラ57を通過した後に右側に控えている下流側のピントラクタ58のピンと第三葉片103外側のマージナル孔108を合致させて、さらに右側に控えているスリッタ59a、59bへと牽引される。
【0052】
そしてスリッタ59a、59bで前記第三葉片103外側のマージナル部分109を切除した後に、右側に控えているダイカットロール60aとバックアップローラ60bとからなる断裁装置により、天地方向の切取線106で単位シートt3毎に個切りされる。
【0053】
続いて断裁装置により個切りされた単位シートt3は右側に控えている一体化工程へ搬送される。なお、一体化工程以後の加工手順は既述の実施例に準じるため詳しい説明を省略する。
このようにして完成した三つ折り葉書J4は、図19に示すように、第一葉片101と第二葉片102は既述の実施例と同じ段差を形成するが、第二葉片102と第三葉片103は段差を形成する各葉片において飛び出している第三葉片103に窓Mが形成されている。
なお、前記第三葉片103に形成された窓Mは、第二葉片102の側端から全体或いは部分的に飛び出ていても構わず、また第二葉片102側端の内方に入り込んでいても構わない。
【0054】
[実施例7:三つ折り葉書の製造方法その2]
図20(A)に示すように、本実施例の製造方法で使用される毎葉状シートS4は、第一葉片121、第二葉片122及び第三葉片123が折り線124、125を介して横方向に連接された単位シートt4が縦方向に3丁印刷されている。そして第一葉片121表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されており、第二葉片122及び第三葉片123表面には個人情報126等が記載されており、さらに第一葉片121左下及び第三葉片123右下コーナー部分に貫通した窓Mが設けられている。また図20(B)に示すように、第一葉片121及び第二葉片122裏面には個人情報126等が、また第三葉片123裏面には一般情報127等が記載されている。
【0055】
既述の通り構成された毎葉状シートS4は、例えば図13に示すように図中左下に積載される。そして最上面の毎葉状シートS4から、例えば吸着パッド等により一枚ずつ吸い上げられ(フィードロール等で繰り出しても構わない)、右側の搬送テーブルへ等間隔或いは端部を突き合わせて順次繰り出される。そして搬送テーブルに控えているニップローラ82a、82bに毎葉状シートS4の端部が差し込まれると右側に控えている一対のヒートローラ83a、83bへと送り込まれる。
【0056】
前記一対のヒートローラ83a、83bでは、上方及び下方(図中破線で示す)に待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層13側と毎葉状シートS4の各疑似接着予定面が整合され、加熱・加圧処理が施されることにより両者は剥離不能に接着される。なお疑似接着フィルムGにより被覆されることにより毎葉状シートS4は連続状態となる。
【0057】
そして連続状態のままニップローラ86a、86bへ搬送されるまでに、実施例5と同様に、右側に控えるスリッタ84a、84bにより流れ方向の切り落とし部分Pを切除すると共に、各折り線124、125部分にミシン装置85a、85bによりミシン目を穿設する。
【0058】
その後の折り畳み工程以下は既述の毎葉状シートの製造方法に沿って行われるため詳細な説明は省略する。
【0059】
なお、本発明は前記実施例に限られるものではない。
例えば、各実施例では窓の形状が三角形であるがそれ以上の多角形、円、楕円、それらの混合等の不定形な形状でも構わない。
また窓のように枠に囲まれている必要もなく、枠の一部が欠損して、例えば図21(A)及び(B)に示すように湾状態であっても構わない。既述の通り一体化工程で未接着状態の部分がコーナー部分に形成されていれば、そこから容易に開封を開始することができる。
さらに、四葉片以上を折り畳んだ葉書、封書等の情報通信体にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
JS1 二つ折り葉書用用紙
JS2 三つ折り葉書用用紙
J1 二つ折り葉書
J2、J3、J4 三つ折り葉書
G 疑似接着フィルムシート
F 両面接着フィルムシート
M 窓
R ローラ
Y 紙片
P 切り落とし部分
Q1、Q2 断裁部分
S1、S3 長尺状シート
S2、S4 毎葉状シート
1、2、21、22、23、41、42、71、72、101、102、103、121、122、123 葉片
3、24、25、43、73、104、105、124、125 折り線
4、27、45、74、111 一般情報
5、26、49、75、110、122 個人情報
11 基材
12 疑似接着層
13 感熱接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体において、重ね合わせ後の対向葉片が開封側縁辺において一致せず段差を形成すると共に、前記段差を形成する両葉片の何れかの葉片の剥離開始部分に任意の形状の切り取り部が設けられ、且つ前記切り取り部が疑似接着フィルムシートにより覆われていることを特徴とした水濡れに強い情報通信体。
【請求項2】
切り取り部が任意の形状で窓状に抜き取られたことを特徴とした請求項1に記載の水濡れに強い情報通信体。
【請求項3】
切り取り部が任意の形状に切り欠かれたことを特徴とした請求項1に記載の水濡れに強い情報通信体。
【請求項4】
複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体の製造方法であって、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接されるとともに、剥離開始部分に予め任意の形状の切り取り部を設けた単位シートが、切取線を介して縦方向に連接された長尺状シートを連続的に繰り出す繰り出し工程、連続的に繰り出される長尺状シートの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状シートを折り畳む折り畳み工程、折り畳まれた長尺状シートのマージナル部分を切除する切除工程、マージナル部分を切除された長尺状シートを単位シートに断裁する断裁工程、断裁された単位シートを一体化する一体化工程とからなることを特徴とした水濡れに強い情報通信体の製造方法。
【請求項5】
複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体の製造方法であって、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された単位シートが印刷されると共に、剥離開始部分に予め任意の形状の切り取り部が設けられたカットシートを連続的に繰り出す繰り出し工程、連続的に繰り出されるカットシートの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆されたカットシートを単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートを折り畳む折り畳み工程、折り畳まれた単位シートを一体化する一体化工程とからなることを特徴とした水濡れに強い情報通信体の製造方法。
【請求項6】
被覆工程の後に切除工程を増設したことを特徴とした請求項4、5のいずれかに記載の水濡れに強い情報通信体の製造方法。
【請求項7】
断裁工程及び一体化工程の順番を入れ替えると共に切除工程を一体化工程の前後の何れか或いは両方に配置したことを特徴とした請求項6に記載の水濡れに強い情報通信体の製造方法。
【請求項8】
疑似接着フィルムシートが基材の一方の面に疑似接着層を形成したドライラミネート方式に対応した疑似接着フィルムシートであることを特徴とした請求項1乃至7に記載の水濡れに強い情報通信体及びその製造方法。
【請求項9】
疑似接着フィルムシートが基材の一方の面に疑似接着層を形成し、残るもう一方の面に感熱接着剤層を形成したサーマルラミネート方式に対応した疑似接着フィルムシートであることを特徴とした請求項1乃至7に記載の水濡れに強い情報通信体及びその製造方法。
【請求項10】
疑似接着フィルムシートが基材の一方の面に樹脂を剥離可能に積層した2層の積層フィルムシートの少なくとも一方の外側に感熱接着剤層を形成した少なくとも3層からなる疑似接着フィルムシートであることを特徴とした請求項1乃至7に記載の水濡れに強い情報通信体及びその製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−183814(P2012−183814A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66680(P2011−66680)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】