説明

水生成装置

【課題】エネルギーの消費を抑制することが可能であって、複雑化且つ大型化の抑制を図ることが可能な水生成装置を提供する。
【解決手段】ダクト110の第1の部分111には、水蒸気を含む空気が供給される。第2の部分112は、第1の部分111に接続されている。第2の部分112には、ロータ20の本体21の一方部分が配置される。第3の部分113は、第2の部分112に接続されている。第3の部分113には、加熱冷却器49の加熱フィン42が配置される。第4の部分114は、第3の部分113に接続されている。第4の部分114には、ロータ20の本体21の他方部分が配置される。第5の部分115は、第4の部分114に接続されている。第5の部分115には、加熱冷却器49の冷却フィン44が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の水蒸気を凝集することによって水を生成する水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の水蒸気を凝集することによって水を生成する方法および装置について、例えば、特表2008−511774号公報(以下、特許文献1という)に係る水製造システム及び方法と、特開昭56−37021号公報(以下、特許文献2という)に係る造水装置とが知られている。
【0003】
特許文献1に係る水製造システム及び方法において、湿潤空気製造ステージは、第1熱交換機と第2熱交換機とを有している。湿潤空気製造ステージは、周囲の大気から水分を除去し、液体の乾燥剤を用いて別の大気に変える処理を有している。また、湿潤空気製造ステージは、乾燥空気である第1気流を流通させる回収チャンバと、湿潤空気である第2気流を流通させる再生チャンバとを有している。
【0004】
第1熱交換機は、回収チャンバに供給される乾燥剤を、乾燥空気である第1気流の温度を下回る温度まで冷却する。このようにすることにより、乾燥剤が回収チャンバを通るときに第1気流が冷却される。冷却された乾燥剤により、第1気流から水分が凝縮によって除去される。一方、第2熱交換機は、再生チャンバに供給される乾燥剤を、湿潤空気である第2気流の温度を上回る温度まで加熱する。このようにすることにより、乾燥剤が再生チャンバを通るときに第2気流が加熱される。加熱された第2気流からは、水分が蒸発される。
【0005】
また、特許文献1に係る水製造システムは、ラジエター型の熱交換機を備えている。ラジエター型の熱交換機は、冷たい乾燥空気である第1気流および暖かい湿潤空気である第2気流を受容するように構成されている。ラジエター型の熱交換機において、第2の気流から第1の気流に熱が移行する。さらに、ラジエター型の熱交換機において、第2気流の中から水分が凝縮する。凝縮によって生じた水は、回収器に溜められる。
【0006】
一方、特許文献2に係る造水装置は、吸着材充填室と、加熱器と、凝縮器とを備えている。吸着材充填室には、水分を吸着する吸着剤が充填されている。加熱器は、吸着剤に吸着された水分を蒸発させることにより、水蒸気を発生させる。凝縮器は、発生した水蒸気を凝縮する。このように、特許文献2に係る造水装置は、加熱器と凝縮器とのように、別々に加熱手段と冷却手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−511774号公報
【特許文献2】特開昭56−37021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る水製造システムは、乾燥剤の加熱手段として、冷却用の熱交換機と、加熱用の熱交換機との二つの加熱手段を備えている。さらに、特許文献1に係る水製造システムは、冷却手段および凝縮手段としてのラジエター型の熱交換機をさらに備えている。このように、特許文献1に係る水製造システムは、二つの加熱手段と、凝縮手段とを別々に備えている。
【0009】
そのため、特許文献1に係る水製造システムにおいては、消費エネルギーが大きいことにより、水の凝集に係る効率が悪い。また、システム全体の装置の構成が複雑化且つ大型化してしまう。
【0010】
特許文献2に係る造水装置は、上述のように、吸湿剤の再生のための加熱手段と、水分抽出のための冷却手段とを別々に備えている。そのため、特許文献2に係る造水装置においても、消費エネルギーが大きいことにより、水の凝集に係る効率が悪い。また、当該装置の構成が複雑化且つ大型化してしまう。
【0011】
そこで、本発明の目的は、エネルギーの消費を抑制することが可能であって、複雑化且つ大型化の抑制を図ることが可能な水生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従った水生成装置は、吸湿部と、加熱冷却器と、ダクトと、駆動部とを備えている。吸湿部は、吸湿材料によって形成されている。加熱冷却器は、加熱部と冷却部とを有している。ダクトは、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分と、第5の部分とを有している。第1の部分には、水蒸気を含む空気が供給される。第2の部分は、第1の部分に接続されている。また、第2の部分には、吸湿部の一方部分が配置される。第3の部分は、第2の部分に接続されている。また、第3の部分には、加熱冷却器の加熱部が配置される。第4の部分は、第3の部分に接続されている。第4の部分には、吸湿部の他方部分が配置される。第5の部分は、第4の部分に接続されている。第5の部分には、加熱冷却器の冷却部が配置される。
【0013】
また、本発明に従った水生成装置の駆動部は、所定の回転軸線を中心に吸湿部を回転させる。駆動部の駆動により、吸湿部の一方部分が他方部分の位置に移動し且つ他方部分が一方部分の位置に移動することによって一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わるように、吸湿部が回転する。
【0014】
本発明によれば、第1の部分から第2の部分に供給された空気が吸湿部の一方部分を通過するときに、吸湿部の一方部分は、第1の部分から第2の部分に供給された空気に含まれる水蒸気を吸入する。吸湿部によって水蒸気が吸湿された後の乾燥空気は、第3の部分を流通するときに加熱部によって加熱される。第3の部分から第4の部分に供給された空気が吸湿部の他方部分を通過するときには、吸湿部の他方部分に含まれる水分が、第4の部分から第5の部分を流通する空気に放出される。第5の部分を流通する空気に含まれる水蒸気は、加熱冷却器の冷却部に冷却されることによって凝縮する。
【0015】
また、吸湿部は、吸湿部の一方部分が他方部分の位置に移動し且つ他方部分が一方部分の位置に移動することによって一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わるように回転する。これにより、ダクト内において、吸湿部による水分の吸入と放出とが繰り返される。
【0016】
さらに、本発明によれば、ダクトの内部において、加熱部によって空気と吸湿部とを加熱且つ乾燥させたり、冷却部によって空気を冷却し且つ水蒸気を凝縮させたりすることができる。加熱部と冷却部とは、ともに加熱冷却器の一部である。
【0017】
このように、本発明に従った水生成装置は、吸湿部の再生のための加熱手段と、水分抽出のための冷却手段とが一体である加熱冷却器を備えている。そのため、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、本発明に従った水生成装置の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0018】
本発明に従った水生成装置において、加熱冷却器は、加熱部に接続された高温部分と、冷却部に接続された低温部分とを有するペルチェ素子によって構成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、吸湿部の再生のための加熱部に接続された高温部分と、水分抽出のための冷却部に接続された低温部分とを有するペルチェ素子によって構成されている。このように、高温部分と低温部分とが一体であるペルチェ素子の構成により、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、薄型化且つ小型化されたペルチェ素子によれば、当該水生成装置の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0020】
本発明に従った水生成装置において、加熱冷却器は、加熱部に接続された発熱ヘッドと、冷却部に接続された吸熱ヘッドとを有するスターリングエンジンによって構成されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、吸湿部の再生のための加熱部に接続された発熱ヘッドと、水分抽出のための冷却部に接続された吸熱ヘッドとを有するスターリングエンジンによって構成されている。このように、発熱ヘッドと吸熱ヘッドとが一体であるスターリングエンジンの構成により、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、スターリングエンジンの構成を簡略化且つ小型化することにより、当該水生成装置の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0022】
本発明に従った水生成装置において、ダクトには、空気をダクトに流入させる流入口と、空気をダクトから流出させる流出口とが形成されていることが好ましい。さらに、本発明に従った水生成装置は、流入口からダクトの内部に向かって空気を送風させる吸気ファンと、ダクトの内部から流出口に向かって空気を送風させる排気ファンとをさらに備えていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、吸気ファンによってダクトに空気を円滑に流入させることができ、且つ、排気ファンによってダクトから空気を円滑に流出させることができる。そのため、ダクトの内部において、空気が円滑に流れることにより、水の凝集に係る効率をより向上させることができる。
【0024】
本発明に従った水生成装置は、第5の部分を流通する空気に含まれる水分のうち、冷却部によって凝縮した水を貯留する貯水部をさらに備えていることが好ましい。貯水部は、ダクトの一部として第5の部分に接続されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、ダクトと貯水部とを接続させる構成が、ダクトと貯水部との間に配置されていない。そのため、当該水生成装置の複雑化且つ大型化の抑制をさらに図ることができる。また、ダクトに配置された加熱冷却器の冷却部によって凝縮された結露水が、ダクトの内部において貯水部に即座に貯留されるため、効率よく水を回収することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、エネルギーの消費を抑制することが可能であって、複雑化且つ大型化の抑制を図ることが可能な水生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水生成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る水生成装置のマイコンによって制御される各構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る水生成装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る水生成装置のマイコンによって制御される各構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る水生成装置100は、吸湿部の一例としてのロータ20と、ペルチェ素子40によって構成された加熱冷却器49と、ダクト110と、駆動部の一例としてのモータ23とを備えている。
【0030】
加熱冷却器49は、加熱部の一例としての加熱フィン42と、冷却部の一例としての冷却フィン44とを有している。ペルチェ素子40は、高温部分41と低温部分43とを有している。ペルチェ素子40において、高温部分41と低温部分43とは、一体である。加熱フィン42は、高温部分41に接続されている。冷却フィン44は、低温部分43に接続されている。そのため、高温部分41と低温部分43と加熱フィン42と冷却フィン44とは、加熱冷却器49として一体である。
【0031】
後述するように、高温部分41と低温部分43との接合部にペルチェ素子制御回路54(図2参照)から電流が供給されることにより、一方の金属を含む低温部分43から他方の金属を含む高温部分41に熱が移動する。これにより、低温部分43は冷却される。さらに、低温部分43に接続された冷却フィン44が冷却されることにより、冷却フィン44の周辺の空気が冷却される。一方、高温部分41は加熱される。さらに、高温部分41に接続された加熱フィン42が加熱されることにより、加熱フィン42の周辺の空気が加熱される。後述するように、加熱冷却器49は、ロータ20の本体21の再生のための加熱手段と、水分抽出のための冷却手段とを有している。
【0032】
ダクト110は、第1の部分111と、第2の部分112と、第3の部分113と、第4の部分114と、第5の部分115とを有している。第1の部分111には、水蒸気を含む空気が供給される。第2の部分112は、第1の部分111に接続されている。また、第2の部分112には、ロータ20の本体21の一方部分が配置される。第3の部分113は、第2の部分112に接続されている。また、第3の部分113には、加熱冷却器49の加熱フィン42が配置される。第4の部分114は、第3の部分113に接続されている。第4の部分114には、ロータ20の本体21の他方部分が配置される。第5の部分115は、第4の部分114に接続されている。第5の部分115には、加熱冷却器49の冷却フィン44が配置される。なお、ロータ20と、本体21の一方部分と他方部分とについては後述する。
【0033】
ダクト110には、空気をダクト110に流入させる流入口121と、空気をダクト110から流出させる流出口122とが形成されている。水生成装置100は、流入口121からダクト110の内部に向かって空気を送風させる吸気ファン31と、ダクト110の内部から流出口122に向かって空気を送風させる排気ファン32とを備えている。
【0034】
ロータ20は、本体21とベルト22とを有している。本体21は、吸湿性の材料によって形成されている。ただし、本体21は、本体21に吸湿剤が塗布されたものであってもよい。また、本体21は、本体21に吸湿剤が充填されたものであってもよい。
【0035】
ロータ20の本体21のうち、ダクト110の第2部分112には、一方部分が配置されている。一方部分とは、本体21のうち、ダクト110を流通する空気に含まれる水蒸気を吸収する機能を有する部分のことである。一方、ロータ20の本体21のうち、ダクト110の第4部分114には、他方部分が配置されている。他方部分とは、本体21のうち、第4の部分114から第5の部分115に向かってダクト110を流通する空気に本体21に含まれる水分を放出する機能を有する部分のことである。
【0036】
本体21には、ベルト22が巻き掛けられている。ベルト22は、モータ23のモータ軸24に接続されている。モータ23が回転することにより、モータ軸24の回転を介してベルト22が駆動する。ベルト22の駆動とともに、ロータ20の本体21が回転軸線Sを中心に回転する。水生成装置100において、回転軸線Sを中心とする回転軸(図示せず)が所定の位置に支持されることにより、ロータ20の本体21が回転軸線Sを中心に回転する。
【0037】
モータ23の駆動によってロータ20の本体21が回転することにより、本体21の一方部分が他方部分の位置に移動し且つ他方部分が一方部分の位置に移動することによって一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わる。このようにして、モータ23は、回転軸線Sを中心にロータ20の本体21を回転させる。
【0038】
図1に示すように、水生成装置100は、貯水部116を備えている。貯水部116は、第5の部分115を流通する空気に含まれる水分のうち、冷却フィン44によって冷却され且つ凝縮した水を貯留する。貯水部116には、チューブ117が接続されている。貯水部116に溜められた水は、チューブ117を介して水を浄化する装置に供給される。貯水部116は、ダクト110の一部として第5の部分115に接続されている。
【0039】
図2に示すように、制御部としてのマイコン50は、電源回路52を介して交流電源に接続されている。また、電源回路52には、ファン制御回路53とペルチェ素子制御回路54とモータ制御回路55とが接続されている。マイコン50は、ファン制御回路53を介して吸気ファン31と排気ファン32とを制御する。マイコン50は、ペルチェ素子制御回路54を介して高温部分41と低温部分43との接合部を制御する。マイコン50は、モータ制御回路55を介してモータ23を制御する。
【0040】
以下では、ダクト110の内部の空気の流れについて説明する。図1に二点鎖線で示す矢印は、空気が流れる方向を示している。矢印は、空気の流れ方向を概略的に示すものであって、空気の流速または規模を示すものではない。
【0041】
吸気ファン31の駆動により、水生成装置100の外部の空気C1が流入口121を介してダクト110の内部に流入する。ダクト110の内部に流入した空気C1は、第1の部分111を通った後に、第2の部分112においてロータ20の本体21の一方部分を通過する。本体21の一方部分において、空気に含まれる水蒸気は、吸湿材によって空気から取り除かれる。
【0042】
水蒸気が取り除かれることによって比較的乾燥した空気C2は、第3の部分113を流通する。第3の部分113において、空気C2は、加熱フィン42の近傍または加熱フィン42を通過することにより、さらなる乾燥と加熱とが進行する。加熱且つ乾燥された空気C3は、第4の部分114において本体21の他方部分を通過する。
【0043】
本体21の他方部分において、本体21に吸着した水蒸気は、加熱且つ乾燥された空気C3によって本体21から、他方部分を通過する空気に放出される。これにより、第5の部分115を流通する空気C4に、水蒸気を含ませることができ、且つ、水蒸気が吸着した本体21を再生させることができる。再生された本体21は、一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わるように回転することにより、第4の部分114から第2の部分112に移動したときには、再び空気C1に含まれる水蒸気を本体21に吸着させることができる。このように、第3の部分113に配置された加熱フィン42は、ロータ20の本体21の再生のための加熱手段として機能を有している。
【0044】
水蒸気が含まれる空気C4は、第5の部分115を流通する。第5の部分115において、空気C4は、冷却フィン44の近傍または冷却フィン44を通過することにより、冷却される。冷却フィン44によって冷却された空気は、凝縮することにより、水滴となる。このように、第5の部分115に配置された冷却フィン44は、水分抽出のための冷却手段としての機能を有している。
【0045】
冷却フィン44の近傍にて発生した水滴は、貯水部116に溜められる。水蒸気が凝縮して水蒸気が取り除かれた空気C5は、排気ファン32の駆動により、流出口122を介してダクト110から水生成装置100の外部に流出する。
【0046】
以上のように、水生成装置100は、ロータ20と、加熱冷却器49と、ダクト110と、モータ23とを備えている。ロータ20の本体21は、吸湿材料によって形成されている。加熱冷却器49は、加熱フィン42と冷却フィン44とを有している。ダクト110は、第1の部分111と、第2の部分112と、第3の部分113と、第4の部分114と、第5の部分115とを有している。第1の部分111には、水蒸気を含む空気が供給される。第2の部分112は、第1の部分111に接続されている。また、第2の部分112には、ロータ20の本体21の一方部分が配置される。第3の部分113は、第2の部分112に接続されている。また、第3の部分113には、加熱冷却器49の加熱フィン42が配置される。第4の部分114は、第3の部分113に接続されている。第4の部分114には、ロータ20の本体21の他方部分が配置される。第5の部分115は、第4の部分114に接続されている。第5の部分115には、加熱冷却器49の冷却フィン44が配置される。
【0047】
また、水生成装置100のモータ23は、回転軸線Sを中心にロータ20の本体21を回転させる。モータ23の駆動により、ロータ20の本体21の一方部分が他方部分の位置に移動し且つ他方部分が一方部分の位置に移動することによって一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わるように、ロータ20の本体21が回転する。
【0048】
水生成装置100によれば、第1の部分111から第2の部分112に供給された空気が本体21の一方部分を通過するときに、本体21の一方部分は、第1の部分111から第2の部分112に供給された空気C1に含まれる水蒸気を吸入する。本体21によって水蒸気が吸湿された後の乾燥空気C2は、第3の部分113を流通するときに加熱フィン42によって加熱される。第3の部分113から第4の部分114に供給された空気C3が本体21の他方部分を通過するときには、本体21の他方部分に含まれる水分が、第4の部分114から第5の部分115を流通する空気C4に放出される。第5の部分115を流通する空気C4に含まれる水蒸気は、加熱冷却器49の冷却フィン44に冷却されることによって凝縮する。
【0049】
また、ロータ20の本体21は、一方部分が他方部分の位置に移動し且つ他方部分が一方部分の位置に移動することによって一方部分の位置と他方部分の位置とが交互に入れ替わるように回転する。これにより、ダクト110内において、ロータ20の本体21による水分の吸入と放出とが繰り返される。
【0050】
さらに、水生成装置100によれば、ダクト110の内部において、加熱フィン42によって空気C2とロータ20の本体21とを加熱且つ乾燥させたり、冷却フィン44によって空気C4を冷却し且つ水蒸気を凝縮させたりすることができる。加熱フィン42と冷却フィン44とは、ともに加熱冷却器49の一部である。
【0051】
このように、水生成装置100は、ロータ20の本体21の再生のための加熱手段と、水分抽出のための冷却手段とが一体である加熱冷却器49を備えている。そのため、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、水生成装置100の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0052】
水生成装置100において、加熱冷却器49は、加熱フィン42に接続された高温部分41と、冷却フィン44に接続された低温部分43とを有するペルチェ素子40によって構成されている。
【0053】
この構成によれば、ロータ20の本体21の再生のための加熱フィン42に接続された高温部分41と、水分抽出のための冷却フィン44に接続された低温部分43とを有するペルチェ素子40によって構成されている。このように、高温部分41と低温部分43とが一体であるペルチェ素子40の構成により、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、薄型化且つ小型化されたペルチェ素子40によれば、水生成装置100の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0054】
水生成装置100において、ダクト110には、空気をダクト110に流入させる流入口121と、空気をダクト110から流出させる流出口122とが形成されている。さらに、水生成装置100は、流入口121からダクト110の内部に向かって空気を送風させる吸気ファン31と、ダクト110の内部から流出口122に向かって空気を送風させる排気ファン32とを備えている。
【0055】
この構成によれば、吸気ファン31によってダクト110に空気を円滑に流入させることができ、且つ、排気ファン32によってダクト110から空気を円滑に流出させることができる。そのため、ダクト110の内部において、空気が円滑に流れることにより、水の凝集に係る効率をより向上させることができる。
【0056】
水生成装置100は、第5の部分115を流通する空気C4に含まれる水分のうち、冷却フィン44によって凝縮した水を貯留する貯水部116を備えている。貯水部116は、ダクト110の一部として第5の部分115に接続されている。
【0057】
この構成によれば、ダクト110と貯水部116とを接続させる構成が、ダクト110と貯水部116との間に配置されていない。そのため、水生成装置100の複雑化且つ大型化の抑制をさらに図ることができる。また、ダクト110に配置された加熱冷却器49の冷却フィン44によって凝縮された結露水が、ダクト110の内部において貯水部116に即座に貯留されるため、効率よく水を回収することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図3に示すように、第2実施形態に係る水生成装置200は、吸湿部の一例としてのロータ20と、スターリングエンジン600によって構成された加熱冷却器60と、ダクト210と、駆動部の一例としてのモータ23とを備えている。
【0059】
水生成装置200において、ダクト210は、第1の部分211と第2の部分212と第3の部分213と第4の部分214と第5の部分215とを有している。ダクト210の第1の部分211と第2の部分212と第3の部分213と第4の部分214と第5の部分215とのそれぞれの機能は、上述したダクト110(図1参照)の第1の部分111と第2の部分112と第3の部分113と第4の部分114と第5の部分115とのそれぞれの機能と同様である。
【0060】
吸気ファン31の駆動により、水生成装置200の外部の空気C1が流入口221を介してダクト210の内部に流入する。また、冷却フィン62の近傍にて発生した水滴は、貯水部216に溜められる。水蒸気が凝縮して水蒸気が取り除かれた空気C5は、排気ファン32の駆動により、流出口222を介してダクト210から水生成装置200の外部に流出する。貯水部216に溜められた水は、チューブ217を介して水を浄化する装置に供給される。
【0061】
加熱冷却器60は、加熱部の一例としての加熱フィン61と、冷却部の一例としての冷却フィン62とを有している。スターリングエンジン600は、図示しない発熱ヘッドと吸熱ヘッドとを有している。発熱ヘッドは、加熱フィン61に接続されている。吸熱ヘッドは、冷却フィン62に接続されている。
【0062】
スターリングエンジン600と加熱フィン61と冷却フィン62とは、一体化されて加熱冷却器60の本体を構成している。第3の部分213に配置された加熱フィン61は、ロータ20の本体21の再生のための加熱手段として機能を有している。一方、第5の部分215に配置された冷却フィン62は、水分抽出のための冷却手段としての機能を有している。このように、水生成装置200は、ロータ20の本体21の再生のための加熱手段と、水分抽出のための冷却手段とが一体である加熱冷却器60を備えている。
【0063】
スターリングエンジン600は、図示しないシリンダの内部においてディスプレーサ(図示せず)を往復運動させることにより、ヘリウム等の作動気体を、圧縮空間内で圧縮して発熱ヘッドを加熱し、且つ、膨張空間内で膨張させて吸熱ヘッドを冷却する。このように、スターリングエンジン600において、作動気体は、気体状態のままで圧縮空間と膨張空間の間を移動する。圧縮空間と膨張空間とが、例えば一つのシリンダの両端に配置される場合には、作動気体は、シリンダの一方の端部から他方の端部までの間を往復する。
【0064】
加熱冷却器60のスターリングエンジン600の駆動により、加熱フィン61において気体が加熱されるように、加熱フィン61と空気とが熱交換される。一方、スターリングエンジン600の駆動により、冷却フィン62において気体が冷却されるように、冷却フィン62と空気とが熱交換される。
【0065】
図4に示すように、制御部としてのマイコン50は、電源回路52を介して交流電源に接続されている。また、電源回路52には、ファン制御回路53と、モータ制御回路55と、スターリングエンジン制御回路56とが接続されている。マイコン50は、スターリングエンジン制御回路56を介してスターリングエンジン600を制御する。
【0066】
なお、第2実施形態に係る水生成装置200のその他の構成は、第1実施形態に係る水生成装置100の構成と同様である。第2実施形態に係る水生成装置200の説明において、第1実施形態に係る水生成装置100の構成と同様であるものについては、同符号を付し、説明を省略する。さらに、第2実施形態に係る水生成装置200は、以下に述べる特有の作用効果を除く他の作用効果についても、第1実施形態に係る水生成装置100と同様に達成することができる。
【0067】
以上のように、水生成装置200において、加熱冷却器60は、加熱フィン61に接続された発熱ヘッドと、冷却フィン62に接続された吸熱ヘッドとを有するスターリングエンジン600によって構成されている。
【0068】
この構成によれば、ロータ20の本体21の再生のための加熱フィン61に接続された発熱ヘッドと、水分抽出のための冷却フィン62に接続された吸熱ヘッドとを有するスターリングエンジン600によって構成されている。このように、発熱ヘッドと吸熱ヘッドとが一体であるスターリングエンジン600の構成により、消費エネルギーを抑制することができ、水の凝集に係る効率を向上させることができる。また、スターリングエンジン600の構成を簡略化且つ小型化することにより、水生成装置200の複雑化且つ大型化の抑制を図ることができる。
【0069】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0070】
20:ロータ、21:本体、22:ベルト、23:モータ、31:吸気ファン、32:排気ファン、40:ペルチェ素子、42,61:加熱フィン、44,62:冷却フィン、49,60:加熱冷却器、100,200:水生成装置、110,210:ダクト、111,211;第1の部分、112,212:第2の部分、113,213:第3の部分、114,214:第4の部分、115,215:第5の部分、121,221:流入口、122,222:流出口、116,216:貯水部、600:スターリングエンジン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿材料によって形成された吸湿部と、
加熱部と冷却部とを有する加熱冷却器と、
水蒸気を含む空気が供給される第1の部分と、前記第1の部分に接続され、前記吸湿部の一方部分が配置される第2の部分と、前記第2の部分に接続され、前記加熱冷却器の前記加熱部が配置される第3の部分と、前記第3の部分に接続され、前記吸湿部の他方部分が配置される第4の部分と、前記第4の部分に接続され、前記加熱冷却器の前記冷却部が配置される第5の部分とを有するダクトと、
前記吸湿部の前記一方部分が前記他方部分の位置に移動し且つ前記他方部分が前記一方部分の位置に移動することによって前記一方部分の位置と前記他方部分の位置とが交互に入れ替わるように、所定の回転軸線を中心に前記吸湿部を回転させる駆動部とを備えた、
水生成装置。
【請求項2】
前記加熱冷却器は、前記加熱部に接続された高温部分と、前記冷却部に接続された低温部分とを有するペルチェ素子によって構成されている、請求項1に記載の水生成装置。
【請求項3】
前記加熱冷却器は、前記加熱部に接続された発熱ヘッドと、前記冷却部に接続された吸熱ヘッドとを有するスターリングエンジンによって構成されている、
請求項1に記載の水生成装置。
【請求項4】
前記ダクトには、空気を前記ダクトに流入させる流入口と、空気を前記ダクトから流出させる流出口とが形成され、さらに、
前記流入口から前記ダクトの内部に向かって空気を送風させる吸気ファンと、前記ダクトの内部から前記流出口に向かって空気を送風させる排気ファンとをさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水生成装置。
【請求項5】
前記ダクトの一部として前記第5の部分に接続され、前記第5の部分を流通する空気に含まれる水分のうち、前記冷却部によって凝縮した水を貯留する貯水部をさらに備えた、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−47419(P2013−47419A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185988(P2011−185988)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】