説明

水生植物育成装置及び水生植物の育成方法

【課題】構成を簡略化できる水生植物育成装置及び水生植物の育成方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素を供給する気体供給部3と、気体供給部3から供給された二酸化炭素を微細バブル53にして、水中の水生植物51に供給する微細バブル供給部4と、水生植物51が植えられた水50のpH値VpHを検出して、pH値信号DpHを出力するpHセンサ6と、pHセンサ6から入力されたpH値信号DpHに基づいて、微細バブル供給部4の微細バブル53の供給状態と供給停止状態とを切り替える制御部8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細バブルを供給して水生植物を育成する水生植物育成装置及び水生植物の育成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルやナノバブル等の微細バブルを水生植物が植えられた水中に供給することにより水生植物を育成する水生植物育成装置及び育成方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、水生植物が植えられた水中に二酸化炭素の微細バブルを供給するバブル発生器と、微細バブルを電気分解する電気分解機構とを備えた藻類の栽培装置が開示されている。この栽培装置では、過剰な水中の微細バブルを電気分解機構により電気分解することによって、水が水生植物の育成を阻害するpH値となることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−22740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、過剰な微細バブルを電気分解するための電気分解機構を必要とするために構成が複雑になるといった課題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、構成を簡略化できる水生植物育成装置及び水生植物の育成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、二酸化炭素を供給する気体供給部と、前記気体供給部から供給された二酸化炭素から微細バブルを生成して、水中の水生植物に供給する微細バブル供給部と、水生植物が植えられた水のpH値を検出して、pH値信号を出力するpH検出部と、前記pH検出部から入力されたpH値信号に基づいて、前記微細バブル供給部による微細バブルの供給状態と供給停止状態とを切り替える制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記制御部は、前記水のpH値がpH上限値以上と判定すると、前記微細バブル供給部を供給状態に切り替えるとともに、前記水のpH値がpH下限以下であると判定すると、前記微細バブル供給部を供給停止状態に切り替えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、水生植物に光を供給する光源を更に備え、前記制御部は、前記光源のオンとオフとを切り替えるとともに、前記光源がオン状態の間に、前記微細バブル供給部を供給状態及び停止状態を切り替えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、水生植物の近傍に配置された光検出部を更に備え、前記光検出部によって光が検出されている間に、前記制御部は、前記微細バブル供給部を供給状態及び停止状態を切り替えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、pH検出部によって検出された水生植物が植えられた水のpH値に基づいて、二酸化炭素の微細バブルを水中の水生植物に供給開始する供給開始ステップと、pH検出部によって検出された前記水のpH値に基づいて、二酸化炭素の微細バブルの供給を停止する供給停止ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、前記供給開始ステップは、前記水のpH値がpH上限値以上になると実行されるとともに、前記供給停止ステップは、前記水のpH値がpH下限値以下になると実行されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、光源をオンにすることにより水生植物への光照射を開始する光照射開始ステップと、前記光源をオフにすることにより水生植物への光照射を停止する光照射停止ステップとを更に備え、前記供給開始ステップと前記供給停止ステップは、前記光照射開始ステップと前記光照射停止ステップとの間に行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、光検出手段により光を検出する光検出ステップを更に備え、前記供給開始ステップと前記供給停止ステップは、前記光検出手段により光が検出されている間に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御部が、pH値に基づいて、微細バブル供給部の微細バブルの供給状態と供給停止状態とを切り替える。これにより、水生植物が植えられている水中のpH値が水生植物の育成を阻害することを抑制できる。即ち、本発明は、微細バブルの供給状態及び供給停止状態によってpH値を制御できるので、構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態による水生植物育成装置の概略の全体図である。
【図2】第1実施形態による水生植物育成装置の制御系を説明するブロック図である。
【図3】制御部によって実行される第1実施形態による水生植物育成プログラムのフローチャートである。
【図4】第2実施形態による水生植物育成装置の概略の全体図である。
【図5】第2実施形態による水生植物育成装置の制御系を説明するブロック図である。
【図6】制御部によって実行される第2実施形態による水生植物育成プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明による第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態による水生植物育成装置の概略の全体図である。図2は、第1実施形態による水生植物育成装置の制御系を説明するブロック図である。
【0018】
第1実施形態による水生植物育成装置1は、室内等の自然光の少ない場所で水生植物を育成するためのものである。尚、水生植物は、淡水中で育成可能な水生植物、海水中で育成可能な水生植物を含む。図1及び図2に示すように、第1実施形態による水生植物育成装置1は、水槽2と、気体供給部3と、微細バブル供給部4と、光源5と、pHセンサ6と、時計7と、制御部8とを備える。
【0019】
水槽2は、中空の直方体形状に形成されている。水槽2の側面は、光透過可能な材質からなる。水槽2の上面は、開口されている。水槽2の内部(中空部)には、所定量の水50が貯められている。水槽2の底部には、水生植物51を植えるための土52が積載されている。
【0020】
気体供給部3は、微細バブル供給部4に二酸化炭素(CO)を供給するためのものである。気体供給部3は、タンク11と、ポンプ12と、配管13と備えている。
【0021】
タンク11は、二酸化炭素または液体二酸化炭素を貯留するものである。ポンプ12は、タンク11に貯留されている二酸化炭素を微細バブル供給部4に供給するものである。ポンプ12は、タンク11と微細バブル供給部4とを接続する配管13の途中部に配置されている。
【0022】
微細バブル供給部4は、水槽2の水50に植えられた水生植物51に微細バブル53を生成して供給するためのものである。微細バブル供給部4は、微細バブル生成装置15と、配管16と、供給部17と、供給配管18とを備えている。
【0023】
微細バブル生成装置15は、配管13を介して気体供給部3から供給された二酸化炭素から微細バブル53を生成するものである。尚、ここでいう微細バブル53とは、直径が1mm以下のマイクロバブルや、直径が1μm以下のナノバブルのことである。微細バブル生成装置15は、配管16を介して、微細バブル53を供給部17へと送る。
【0024】
供給部17は、樹脂性の円筒部材からなる。供給部17の外周部には、微細バブル53を吐出するための複数の吐出穴(図示略)が形成されている。供給部17の下部は、水槽2の水中に配置されている。供給配管18は、水槽2の水50をポンプ(図示略)によって微細バブル生成装置15へと供給する。尚、水槽2からではなく、外部から水を微細バブル生成装置15に供給するように構成してもよい。
【0025】
光源5は、水槽2内の水生植物51に光を供給するものである。光源5は、水槽2の上部に配置されている。光源5は、蛍光灯や発光ダイオード等によって構成される。
【0026】
pHセンサ6は、水生植物51が植えられた水槽2の水50のpH値VpHを検出する。そして、pHセンサ6は、pH値VpHに対応するpH値信号DpHを制御部8へと出力する。pHセンサ6は、水槽2の水中に配置されている。
【0027】
時計7は、制御部8へと現在の時間Tを出力するためのものである。
【0028】
制御部8は、水生植物育成装置1の制御全般を司るものである。例えば、制御部8は、pHセンサ6から入力されたpH値信号DpHに基づいて、微細バブル供給部4による微細バブル53の供給状態及び供給停止状態を切り替える。制御部8は、演算部21と、記憶部22と、インターフェース23とを備えている。
【0029】
演算部21は、後述する水生植物育成プログラム等の種々のプログラムを実行するためのものである。演算部21は、CPU(central processing unit)からなる。
【0030】
記憶部22は、種々の数値情報や水生植物育成プログラム等のプログラムを記憶するものである。記憶部22は、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)及びHDD(hard disk drive)等を有する。記憶部22に記憶されている数値情報には、照射開始時間Ts、照射終了時間Te、pH下限値Ld、pH上限値Luが含まれる。
【0031】
照射開始時間Tsは、日の出の時間に合わせて設定される。従って、照射開始時間Tsは、季節に合わせて複数の数値で構成してもよい。
【0032】
照射終了時間Teは、日の入りの時間に合わせて設定される。従って、照射終了時間Teは、季節に合わせて複数の数値で構成してもよい。
【0033】
pH下限値Ldは、育成対象の水生植物51が育成可能なpH値の下限に基づいて設定されている。例えば、淡水で育成可能な水生植物を育成する場合、pH下限値Ldは、約4〜6に設定される。一方、海水で育成可能な水生植物を育成する場合、pH下限値Ldは、約7〜9に設定される。
【0034】
pH上限値Luは、pH下限値Ldに所定の数値(例えば、「1」)を積算して設定される。即ち、一例として、「pH上限値Lu=pH下限値Ld+1」である。
【0035】
インターフェース23は、演算部21及び記憶部22を互いに接続する。また、インターフェース23は、外部機器5、6、7、12、15と接続されている。具体的には、インターフェース23は、オン/オフ信号を出力可能に、ポンプ12と、微細バブル生成装置15と、光源5とに接続されている。インターフェース23は、水槽2の水50のpH値VpHの情報であるpH値信号DpHを入力可能に、pHセンサ6と接続されている。インターフェース23は、現在の時間Tの情報である時間信号Dを入力可能に、時計7と接続されている。これにより、演算部21及び記憶部22が、外部機器5、6、7、12、15と信号を送受信可能に接続される。
【0036】
(第1実施形態の水生植物育成装置による水生植物の育成方法)
次に、上述した水生植物育成装置1による水生植物の育成方法について説明する。育成方法については、制御部8によって実行される水生植物育成プログラムに沿って説明する。図3は、制御部によって実行される第1実施形態による水生植物育成プログラムのフローチャートである。
【0037】
図3に示すように、制御部8は、時計7から入力された時間信号Dに基づいて、現在の時間Tが照射開始時間Tsを経過しているか否かを判定する(S1)。制御部8は、時間が照射開始時間Tsを経過するまでステップS1を繰り返す(S1:No)。
【0038】
次に、制御部8は、時間Tが照射開始時間Tsを経過したと判定すると(S1:Yes)、光源5にオン信号を送信する(S2)。これにより、光源5がオン状態となり、水生植物51への光照射が開始される。この結果、水生植物51は、光合成を開始する。尚、光合成によって水槽2の水50に含まれる二酸化炭素が減少するので、水槽2の水50のpH値VpHは次第に大きくなる。
【0039】
次に、制御部8は、pHセンサ6から入力されるpH値信号DpHに基づいて、水槽2の水50のpH値VpHが、記憶部22に記憶されているpH上限値Lu以上か否かを判定する(S3)。
【0040】
制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH上限値Lu以上でないと判定すると、ステップS4〜S6の処理実行することなく、後述するステップS7の処理を実行する(S3:No)。
【0041】
次に、制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH上限値Lu以上になったと判定すると(S3:Yes)、ポンプ12及び微細バブル生成装置15にオン信号を出力する(S4)。これにより、二酸化炭素が、ポンプ12によってタンク11から微細バブル生成装置15へと供給される。この後、微細バブル生成装置15は、供給された二酸化炭素から微細バブル53を生成する。そして、微細バブル供給部4の微細バブル生成装置15は、配管16及び供給部17を介して、供給配管18によって供給された水50及び二酸化炭素の微細バブル53を水槽2の水50に植えられた水生植物51に供給する(供給状態)。これにより、水槽2の水50のpH値VpHが徐々に小さくなる。
【0042】
次に、制御部8は、pHセンサ6から入力されるpH値信号DpHに基づいて、水槽2の水50のpH値VpHが、記憶部22に記憶されているpH下限値Ld以下か否かを判定する(S5)。制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH下限値Ld以下になるまでステップS5の処理を繰り返す(S5:No)。
【0043】
次に、制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH下限値Ld以下になったと判定すると(S5:Yes)、ポンプ12及び微細バブル生成装置15にオフ信号を出力する(S6)。これにより、ポンプ12及び微細バブル生成装置15がオフ状態となる。この結果、微細バブル供給部4の微細バブル生成装置15は、水槽2の水50への微細バブル53の供給を停止する(供給停止状態)。このため、水槽2の水50のpH値VpHの低下が停止する。一方、水生植物51への光の照射は継続しているので、水生植物51は光合成を継続する。この結果、水槽2の水50のpH値VpHは、徐々に大きくなる。
【0044】
次に、制御部8は、時計7から入力された時間信号Dに基づいて、現在の時間Tが照射終了時間Teを経過しているか否かを判定する(S7)。
【0045】
制御部8は、時間Tが照射終了時間Teを経過していないと判定すると(S7:No)、ステップS3に戻る。これにより、制御部8は、時間Tが照射終了時間Teを経過するまで、ステップS3〜S6の処理を繰り返す。換言すると、制御部8は、光源5がオン状態の間だけ、ステップS3〜S6の処理を繰り返して、微細バブル供給部4の微細バブル生成装置15による微細バブル53の供給状態及び供給停止状態の切り替えを行っている。
【0046】
一方、制御部8は、時間Tが照射終了時間Teを経過したと判定すると(S7:Yes)、光源5をオフに切り替える(S8)。これにより、水生植物51への光照射が停止するので、水生植物51は光合成を終了する。
【0047】
この後、制御部8は、ステップS1の処理に戻って、ステップS1〜S8の処理を繰り返す。
【0048】
(第1実施形態の効果)
次に、上述した第1実施形態による水生植物育成装置及び水生植物の育成方法の効果について説明する。
【0049】
第1実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、制御部8が、pH値VpHに基づいて、微細バブル供給部4の微細バブル生成装置15による微細バブル53の供給状態及び供給停止状態を切り替えている。これにより、水生植物育成装置1は、微細バブル生成装置15から供給された二酸化炭素の微細バブル53によって、水のpH値VpHを水生植物51が育成可能な状態に維持することができる。このように、第1実施形態の水生植物育成装置1は、微細バブル53の供給状態及び供給停止状態の切り替えによってpH値VpHを制御しているので、過剰供給にされた二酸化炭素を分解するための電気分解装置等を省略することができる。この結果、水生植物育成装置1は、構成及び水生植物の育成方法を簡略化できる。
【0050】
また、第1実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、光源5から光が照射されている間だけ、水槽2の水50への微細バブル53の供給を行っている。即ち、水生植物51が光合成可能な時間に微細バブル53の供給を行っているので、水生植物51は効率よく光合成することができるので、水生植物育成装置1は、水生植物51の成長を速くすることができる。
【0051】
ここで、光源5から光が照射されていない間に微細バブル53を供給すると、二酸化炭素からなる微細バブル53と水生植物51から排出される二酸化炭素とによって、水槽2の水50に含まれる二酸化炭素が増加する。更に、光が照射されていないと、水生植物51は、光合成できず、二酸化炭素を吸収することができないので、水槽2の水50のpH値VpHが徐々に小さくなる。この結果、pH値VpHが限界を超えて、水生植物51の育成を阻害する。しかし、上述したように第1実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、光照射を停止している間は水生植物51への微細バブル53の供給を停止している。これにより、第1実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法は、pH値VpHの低下に起因する水生植物51の劣化や水生植物51の育成の阻害を抑制できる。
【0052】
尚、本願発明者の実験によると、マイクロバブルからなる二酸化炭素の微細バブル53を2種類の水生植物に2日間供給することによって、水生植物51の成長が比較例に比べて速くなることがわかっている。ここでいう比較例は、二酸化炭素を供給せずに水生植物を育成した例と、微細バブルでない状態の二酸化炭素を供給しつつ育成した例を採用した。
【0053】
<第2実施形態>
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態による水生植物育成装置及び育成方法について説明する。図4は、第2実施形態による水生植物育成装置の概略の全体図である。図5は、第2実施形態による水生植物育成装置の制御系を説明するブロック図である。尚、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0054】
第2実施形態による水生植物育成装置1Aは、屋外等の自然光を受光可能な場所で水生植物を育成するためのものである。図4及び図5に示すように、第2実施形態による水生植物育成装置1Aは、光センサ9を更に備える。尚、第1実施形態における光源5及び時計7は、第2実施形態では設けられていない。
【0055】
光センサ9は、水槽2の上部に配置されている。光センサ9は、制御部8のインターフェース23に検出信号を入力可能に接続されている。光センサ9は、閾値以上の光を検出すると、制御部8に検出信号Dを出力する。
【0056】
(第2実施形態の水生植物育成装置による水生植物の育成方法)
次に、第2実施形態の水生植物育成装置1Aによる水生植物の育成方法について、図6を参照して説明する。図6は、制御部によって実行される第2実施形態による水生植物育成プログラムのフローチャートである。尚、第1実施形態と同様のステップに関しては、説明を簡略化する。
【0057】
図6に示すように、制御部8は、光センサ9から検出信号Dに基づいて、光が検出されているか否かを判定する(S10)。制御部8は、光が検出されていないと判定すると、ステップS10を繰り返す(S10:No)。
【0058】
一方、制御部8は、検出信号Dに基づいて、光が検出されたと判定すると(S10:Yes)、水槽2の水50のpH値VpHがpH上限値Lu以上か否かを判定する(S3)。
【0059】
次に、制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH上限値Lu以上になったと判定すると(S3:Yes)、ポンプ12及び微細バブル生成装置15にオン信号を出力する(S4)。これにより微細バブル生成装置15は、配管16及び供給部17を介して、二酸化炭素の微細バブル53を水槽2の水50に植えられた水生植物51に供給する。これにより、水槽2の水50のpH値VpHが徐々に小さくなる。
【0060】
次に、制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHが、pH下限値Ld以下か否かを判定する(S5)。
【0061】
次に、制御部8は、水槽2の水50のpH値VpHがpH下限値Ld以下になったと判定すると(S5:Yes)、ポンプ12及び微細バブル生成装置15をオフ状態に切り替える(S6)。これにより、微細バブル生成装置15は、水槽2の水50に植えられた水生植物51への微細バブル53の供給を停止する。このため、水槽2の水50のpH値VpHの低下が停止する。尚、光は検出されているので、水生植物51への光の照射は継続している。これにより、水生植物51は光合成を継続するので、水槽2の水50のpH値VpHは、徐々に大きくなる。
【0062】
この後、制御部8は、ステップS10に戻って実行する。換言すると、第2実施形態による水生植物の育成方法では、光センサ9によって光が検出されている間のみ、水への微細バブル53の供給及び供給停止の切り替えが実行される。
【0063】
(第2実施形態の効果)
次に、上述した第2実施形態の効果について説明する。
【0064】
第2実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、pH値VpHに基づいて、微細バブル生成装置15による微細バブル53の供給状態及び供給停止状態を切り替えている。これにより、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、水生植物育成装置1の構成及び水生植物の育成方法を簡略化できる。
【0065】
第2実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、光センサ9によって光が検出されている間だけ、微細バブル53の供給及び停止が行われる。これにより、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、水生植物51の成長を速くすることができるとともに、水生植物51が劣化することを抑制できる。
【0066】
第2実施形態による水生植物育成装置1及び育成方法では、光源を設けることなく、光センサ9によって検出された自然光の照射の有無によって、微細バブル53の供給及び停止を行っている。これにより、第2実施形態は、光源の電力が不要となるので、省電力化を実現することができる。また、第2実施形態は、光源の制御が不要となるので、制御を簡略化することができる。
【0067】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0068】
上述した実施形態における各構成の配置、構造、形状、材質、数等は適宜変更可能である。
【0069】
上述した実施形態では、光が照射されている状態で、微細バブルの供給及び供給停止を切り替えたが、光が照射されていない状態でも、微細バブルの供給及び供給停止を切り替えてもよい。
【0070】
上述した実施形態では、二酸化炭素の微細バブルを水中に供給したが、二酸化炭素を含む気体の微細バブルを水中に供給してもよい。
【0071】
上述した実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態に光検出手段を設けた装置を外部に設置してもよい。これにより、晴天時等の自然光の照射が多いときは、光源をオフ状態にするとともに、雨天時等の光の照射が少ないときは、光源をオン状態にするように構成してもよい。
【0072】
上述した実施形態では、微細バブルの供給及び停止の切り替えや、光源のオン・オフの切り替えを制御部によって実行したが、制御部ではなくユーザ等によってこれらの切り替えをおこなってもよい。
【0073】
上述した実施形態では、水槽内の水生植物の育成について説明したが、水槽等が不要な海や河の水生植物の養殖等に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、1A 水生植物育成装置
2 水槽
3 気体供給部
4 微細バブル供給部
5 光源
6 pHセンサ(pH検出部)
7 時計
8 制御部
9 光センサ(光検出部)
11 タンク
12 ポンプ
13 配管
15 微細バブル生成装置
16 配管
17 供給部
21 演算部
22 記憶部
23 インターフェース
50 水
51 水生植物
53 微細バブル
検出信号
pH pH値信号
時間信号
Ld pH下限値
Lu pH上限値
T 時間
Te 照射終了時間
Ts 照射開始時間
pH pH値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を供給する気体供給部と、
前記気体供給部から供給された二酸化炭素から微細バブルを生成して、水中の水生植物に供給する微細バブル供給部と、
水生植物が植えられた水のpH値を検出して、pH値信号を出力するpH検出部と、
前記pH検出部から入力されたpH値信号に基づいて、前記微細バブル供給部による微細バブルの供給状態と供給停止状態とを切り替える制御部とを備えることを特徴とする水生植物育成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記水のpH値がpH上限値以上と判定すると、前記微細バブル供給部を供給状態に切り替えるとともに、
前記水のpH値がpH下限以下であると判定すると、前記微細バブル供給部を供給停止状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の水生植物育成装置。
【請求項3】
水生植物に光を供給する光源を更に備え、
前記制御部は、前記光源のオンとオフとを切り替えるとともに、前記光源がオン状態の間に、前記微細バブル供給部を供給状態及び停止状態を切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水生植物育成装置。
【請求項4】
水生植物の近傍に配置された光検出部を更に備え、
前記光検出部によって光が検出されている間に、前記制御部は、前記微細バブル供給部を供給状態及び停止状態を切り替えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の水生植物育成装置。
【請求項5】
pH検出部によって検出された水生植物が植えられた水のpH値に基づいて、二酸化炭素の微細バブルを水中の水生植物に供給開始する供給開始ステップと、
pH検出部によって検出された前記水のpH値に基づいて、二酸化炭素の微細バブルの供給を停止する供給停止ステップとを備えることを特徴とする水生植物の育成方法。
【請求項6】
前記供給開始ステップは、前記水のpH値がpH上限値以上になると実行されるとともに、
前記供給停止ステップは、前記水のpH値がpH下限値以下になると実行されることを特徴とする請求項5に記載の水生植物の育成方法。
【請求項7】
光源をオンにすることにより水生植物への光照射を開始する光照射開始ステップと、
前記光源をオフにすることにより水生植物への光照射を停止する光照射停止ステップとを更に備え、
前記供給開始ステップと前記供給停止ステップは、前記光照射開始ステップと前記光照射停止ステップとの間に行うことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の水生植物の育成方法。
【請求項8】
光検出手段により光を検出する光検出ステップを更に備え、
前記供給開始ステップと前記供給停止ステップは、前記光検出手段により光が検出されている間に行うことを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の水生植物の育成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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