水素の製造方法
【課題】触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる。
【解決手段】高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を改質して水素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、石炭・石油等の化石燃料に比べて、燃焼時の二酸化炭素の発生が少なく、またその供給面でも生産地の偏在が少なく当面は枯渇の心配もないとされている。天然ガスはメタンを主成分とする炭化水素ガスであり、従来は石油・石炭・都市ガス・プロパンガス等の代替燃料としての利用が主流であったが、最近では天然ガスの新たな利用分野・使用量の拡大が見込まれている。特に、メタンは有機物として水素含有量が最も高いことから、天然ガスは水素源として有効である。水素は、燃料電池自動車、定置型燃料電池(業務用、民生用)、大規模水素燃焼タービン発電、等への利用の大幅な拡大が今後見込まれている。
【0003】
天然ガスから水素を製造する反応として、部分酸化法(CH4 + 0.5O2→ CO + 2H2)、炭酸ガス改質法(CH4 + CO2 →2CO + 2H2)、水蒸気改質法(CH4 + H2O →CO + 3H2, CO + H2O→CO2 + H2(シフト反応))等があり、一般に触媒下で炭酸ガス改質法や水蒸気改質法が用いられている。また、低温プラズマ(誘電体バリア放電(Dielectric Barrier Discharge:DBD))やコロナ放電)を用いた改質や低温プラズマと触媒を組み合わせた改質法が試みられている。
【0004】
水素の製造方法の具体例として、直流アーク放電によるグライディングプラズマを用いた部分酸化法による改質方法(特許文献1参照)や、部分酸化法と炭酸ガス改質を併用した改質方法(特許文献1参照)が開示されている。また、高温のプラズマを利用する方法として、直流アーク放電に気化した有機物と水とを接触させて水蒸気改質法と同様の反応で水素を製造する方法(特許文献2参照)が開示されている。
【0005】
さらに、低温プラズマを用いた改質方法としては、非熱的パルスコロナ放電を用いた変換(特許文献3参照)やDBDを用いた合成ガス(水素と一酸化炭素)を製造する方法(特許文献4参照)等が開示されている。また、DBDと触媒を用いたメタンの水蒸気改質方法が報告されている。
【0006】
しかしながら、直流アーク放電によるグライディングプラズマを用いた部分酸化法では、改質反応の駆動力はあくまでも部分酸化反応によって放出される熱エネルギーであると考えられており(非特許文献1参照)、グライディングプラズマにより活性化されたガスを温度が1100℃未満の放電の無いチャンバーに導入して、触媒的な働きをする金属またはセラミック体の存在下で改質を行う必要がある。また、低温プラズマ(DBDやコロナ放電)だけを用いたメタンの改質では、メタンの転換効率が低いとの報告があり(非特許文献2参照)、短時間で大量の水素を製造することが困難である。低温プラズマと触媒を組み合わせた改質では、長時間の使用による触媒の劣化の問題やカーボンの付着によって生じる触媒表面の汚れによる改質効率の低下を防ぐためにガス濃度の制御が不可欠である。
【特許文献1】特表2001−514150号公報
【特許文献2】特開2004−111137号公報
【特許文献3】特表2004−509926号公報
【特許文献4】特開2003−137503号公報
【非特許文献1】J.Jpn.Inst.Energy, Vol.84, 462-467, 2005
【非特許文献2】触媒 Vol.46, 242-247, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る水素の製造方法は、炭化水素を改質し水素を製造する方法であって、高周波誘導熱プラズマ領域に前記炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給する工程を含む。
【0009】
前記水蒸気と前記炭化水素との供給量としては、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることが好ましい。
【0010】
なお、前記高周波誘導熱プラズマは、例えば、アルゴンまたはヘリウムにより発生させることができる。
【0011】
前記高周波誘導熱プラズマがアルゴンで発生させたものである場合には、前記アルゴンと前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることが好ましい。
【0012】
前記炭化水素は、例えば、メタンなどである。また、前記炭化水素を含む原料ガスは、例えば、天然ガスなどである。
【0013】
本発明に係る水素の製造方法は、前記高周波誘導熱プラズマ領域にアルゴンガスを供給する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
本発明は、高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給する工程を含む方法、すなわち水蒸気改質法の新規な方法を提供する。すなわち、本発明の方法においては、高周波誘導加熱によって生じる熱プラズマ(高周波熱プラズマ)を用いることを特徴とする。
【0016】
具体的には、高周波誘導の原理に基づき、誘導コイルに高周波を印加して、プラズマトーチ内のプラズマを発生(形成)するガス(以下、「プラズマ発生ガス」と称する。)を加熱することによって、プラズマフレームを発生させる。この際、プラズマの発生を安定させて効率的な反応が行えるように、高周波の周波数並びに電流値や電圧値を適宜調節する。次に、原料ガスをプラズマに供給することによって、原料ガスの改質を行う。プラズマに暴露させる原料ガスは、プラズマ発生ガスと水蒸気と別々に加えてもよいが、プラズマ発生ガス、水蒸気、または、プラズマ発生ガスおよび水蒸気と一緒に加えてもよい。また、原料ガスはプラズマフレームの流れに沿うように加えるのが好ましく、これにより、改質反応の効率を調節することが可能になる。
【0017】
以上のように、高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を効率よく製造することができるようになる。
【0018】
高周波誘導熱プラズマ領域に供給する水蒸気と炭化水素の量は、炭化水素を効率的に改質することができる量であれば特に制限されるものではないが、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることが好ましい。水蒸気と炭化水素との供給量をこの範囲内に調節することにより、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0019】
前記炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガス、または、これらの炭化水素ガスのうち2種以上の混合ガスを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、水素の製造効率の面でメタンを用いることが好ましい。前記炭化水素を含む原料ガスとしては、前記炭化水素を含むものであれば特に制限されるものではないが、メタンを主成分として含む天然ガス、あるいは、メタンを80%以上含有する混合ガスを用いることが好ましい。
【0020】
プラズマ発生ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合ガス等を用いることができるが、これらのガスに限定されず、既存のガス、あるいは、既存の混合ガスを用いてもよい。なお、プラズマ発生ガスは、プラズマの発生源として用いる他、原料ガスや水蒸気を供給するためのキャリアガスとして用いてもよい。なお、プラズマ発生ガスを高周波誘導熱プラズマ装置に供給する場合には、一部のプラズマ発生ガスを高周波誘導熱プラズマ領域に直接供給することが好ましい。これにより、高周波誘導熱プラズマ装置におけるグリッド電流値を低下させることができるので、原料ガスをより多く高周波誘導熱プラズマ装置に供給することが可能となり、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0021】
高周波誘導熱プラズマ装置に供給するプラズマ発生ガスと炭化水素の量は、高周波誘導加熱により熱プラズマを発生させ、炭化水素を効率的に改質することができる量であれば特に制限されるものではないが、プラズマ発生ガスとしてアルゴンを用いた場合には、アルゴンと炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることが好ましい。アルゴンと炭化水素との供給量をこの範囲内に調節することにより、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0022】
なお、高周波誘導加熱による熱プラズマは、他の加熱原理に基づく熱プラズマ、特に直流アークによるプラズマと比較して、電極を使用しないため、電極物質の摩耗による熱プラズマの汚染が起こらず、あらゆる原料ガスを処理することができるという利点を有する。
【実施例】
【0023】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
===実施例1===
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に、炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、水蒸気改質反応が無触媒下で進行するかを検討した。天然ガスの13Aは、メタンが88.0%、エタンが5.8% 、プロパンが4.5%、ブタンが1.7%の組成比から構成されている。そこで、天然ガス13Aの主成分であるメタンを原料として用い、生成したガスの成分を分析して、改質条件及び改質反応の検討を行った。
【0025】
[ガス改質用熱プラズマ装置]
改質の実験に用いた日本電子株式会社製の熱プラズマ反応炉試験装置(JEOL 35KW)は、高周波発振機用電源、高周波発振機、プラズマトーチ、集中制御盤(ガス制御盤、発振機操作盤、チャンバー内圧力制御盤)、真空ポンプと真空チャンバーで構成されている。プラズマトーチは、内径42mmの窒化珪素管の外側に石英管を配置した水冷二重構造物の外側に3ターンのRFコイルが設けられて構成されている。なお、高周波発振機の出力は、0.5〜35kW(最大プレート電圧 {Ep}=12kV、最大プレート電流 {IP}=5.8A、最大グリッド電流{Ig}=1.1A)であり、発振周波数は3.5±0.5Mzである。
【0026】
図1に示すように、プラズマトーチは、真空チャンバーの上に設置した。この構成により、プラズマトーチ内で発生したプラズマフレームの下部は、真空チャンバー内に到達する。真空チャンバーは、循環型冷却水により水冷した。原料ガスは、流量計(水蒸気以外:20℃、0.5MPa下で測定、精度はフルスケールの5%以内)、(水蒸気:150℃、0.5MPa下で測定、精度は測定可能最小流量で1.03%)で流量を調整し、プラズマトーチ上部からアルゴンと水蒸気と一緒に熱プラズマ内に供給した。改質反応により生成したガスは、真空チャンバーの側面より配管を通じてドライポンプ(ULVAC社製 DA-15D)で吸引し、ドライポンプの排気管にガス捕集用バッグを接続することにより捕集した。捕集されないガスは、真空チャンバーの右側面に取り付けられているガス冷却器で冷却し、金属製のフィルターを通過させた後、真空ポンプで室外に排気した。
【0027】
[熱プラズマによるメタンの改質]
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に炭化水素と水蒸気とを供給することにより、メタンを改質する実験を、水冷二重管の長さが300mmのプラズマトーチを利用して、以下のようにして行った。まず、真空チャンバー内を真空ポンプで0.13kPa以下の減圧状態にして、アルゴンガスを50kPaまで導入し、再度減圧状態にするパージ操作を3回繰り返した。チャンバー内にアルゴンガスを約1L/minの流量で供給し、真空チャンバー内の圧力が約1.3kPa以下の条件下でプラズマを点火した。次に、発振機の出力を上昇させた後、圧力を13.3kPaにした。さらに、プラズマを収縮させるためにアルゴンに酸素を約15L/min混合し、プレート電流、プレート電圧を所定の出力値まで上げプラズマを安定させた。プラズマが安定した後に徐々に水蒸気を導入し、プレート電流を4.5Aに調整した後に徐々に酸素の供給量を減らして供給量をゼロにした。その後、プレート電流値を5.0Aにした後にメタンの供給を開始した。図2に、プラズマを点火・安定化させるために調節した、ガス供給量、チャンバー内の圧力、印加した電流・電圧等の図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す。所定の量のメタンを供給し始めてから約3 分間ドライポンプで吸引し、配管とドライポンプ内部をパージした後に、容量が1Lのアルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス社製)をドライポンプの排気管に接続して、生成したガスを採取した。ガスの採取後、発振機の出力を低下させて熱プラズマを消火した。
【0028】
[生成ガスの分析]
採取されたガスの成分を調べるため、ガスクロマトグラフィー法により、目的とするガスの種類に応じて、以下のガスクロマトグラフ分析装置(いずれも島津製作所製)とカラムとの組み合わせを用いて分析を行った:(1)メタン、エタン、エチレン、アセチレンの分析:GC-14AとActive Carbon60/80(ジーエルサイエンス社製);(2)アルゴン、水素の分析:GC-2010とMOLESIV(J&W SCIENTIFIC社製);(3)二酸化炭素、一酸化炭素の分析:GC-8AとUnipak S 100/150(ジーエルサイエンス社製)。これらガス種のそれぞれについて、プッシュ缶標準ガス(ジーエルサイエンス社製)を用いた既知濃度のガスについても同様に分析して検量線を求めた。各ガス種の検量線に基づき、採取された試料に含まれるガス成分の濃度をそれぞれ求めた。
【0029】
[改質反応の検討]
図3に、アルゴンおよび水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとしてメタンの供給量を44.1から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。尚、それぞれの流量は20℃、101kPaでの値を示している。また、図4に、図3の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。その結果、いずれの試料にも一酸化炭素、二酸化炭素およびアセチレンが含まれていることから、メタンと水蒸気を原料とした場合の改質反応としては、次の化学反応式に示す反応が起きると考えられる:
〔反応式1〕 CH4 + H2O → CO + 3H2 - 206 kJ/mol
〔反応式2〕 CO + H2O → CO2 + H2 + 41 kJ/mol
〔反応式3〕 CH4 → 0.5C2H2 + 1.5H2 - 188 kJ/mol
また、実験終了後に装置を分解したところ、図1のプラズマトーチの窒化珪素管の内壁に黒っぽい物質が付着していたことから、次の化学反応式に示す反応も進行していると考えられる:
〔反応式4〕 CH4 → C + 2H2 - 85 kJ/mol
【0030】
次に、メタンの供給量の増加に伴うそれぞれのガスの容積の変化を調べると、図4よりメタンは水蒸気の供給量(57.4L/min)よりも多い61.2L/min以上の供給で残留し始めているにも関わらず、水素の生成量が増加している。また、一酸化炭素とアセチレンが増加し、二酸化炭素がやや減少していることがわかる。このことから、水蒸気の供給量の57.4L/minよりメタンの供給量が少ない領域では、反応式1が主反応で進行し、アセチレン、二酸化炭素が存在している事から、反応式2,3も副反応として進行していると考えられる。メタンの供給量が水蒸気の供給量57.4L/minを超えると、反応式2の進行が抑制され始め、反応式2で反応に寄与しなくなった水蒸気が反応式1に寄与し始め、併せて反応式3および反応式4の寄与により水素が増加したと考えられる。更に図4から水蒸気よりも過剰のメタンを供給した方が得られる水素が増加することが分った。これは過剰のメタンが供給される領域では反応式1に必要な水蒸気が不足して、反応式3,4の反応が進行し始めためと考えている。
【0031】
===実施例2===
[水蒸気の供給量の検討]
次に、水蒸気の供給量による水素の生成量の影響を調べるため、実施例1と同様の方法で実験を行った。プラズマの発生、メタンの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、アルゴンとメタンの供給量を一定にして水蒸気の供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0032】
図5にアルゴンとメタンの供給量をそれぞれ70L/min、61.2L/minとして水蒸気の供給量を45.9から80.4L/minの間で変化させた実験条件を示す。また、図6に図5の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。図6から水蒸気の供給量が増加すると、水素、一酸化炭素が減少し、二酸化炭素と未反応のメタンが増加していることがわかった。これは、二酸化炭素の増加は、反応式2の進行が促進されたことによると考えられる。この反応式2は発熱反応のため低温度域で進行が促進される。他方、一酸化炭素の減少は吸熱反応のため高温度域で進行する反応式1が抑制されたためと考えられる。反応式1が抑制され反応式2の進行が促進されていることから、メタンに対する水蒸気の過剰な供給は、熱プラズマの温度の低下を引き起こし、水素が高い割合で得られる反応式1の反応を抑制することが考えられる。供給したメタンが残留する条件での実験から、改質に寄与したメタンと同量以下の水蒸気の供給が水素製造に適した条件と考えられる。
【0033】
===実施例3===
[アルゴンの供給量の検討]
本実験では、発振方式がコルピッツ型で真空管を用いて周波数が3.5±0.5MHzの高周波を発振させ、熱プラズマを発生させている。使用した装置では、一定の周波数の高周波をコイルで発生させるために、真空管のプレート電流および電圧をグリッド電流値で制御しなければならない。グリッド電流値はコイル内を流すガスの種類に影響を受ける。本実験では、コイル内を流すガスとしてアルゴンの他に水蒸気を使用するが、水蒸気の供給量が多いため、グリッド電流値はアルゴンガス単体あるいはアルゴンガスに2分子性のガス(例えば10L/min程度の水素)を混合した場合よりも高い値を示す。また、改質させるメタンを供給すると更にグリッド電流値が増加する。実施例1のガス改質用熱プラズマ装置の項で示した通り、グリッド電流値の最大値は1.1Aであることから、各種ガスの供給は1.1A未満で行う必要がある。
【0034】
そこで、アルゴンの供給量による水素の生成量および真空管のグリッド電流値(Ig(A))に及ぼす影響を調べるため、実施例1と同様の実験を行った。プラズマの発生、メタンの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、水蒸気の供給量を固定してアルゴンとメタンの供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0035】
図7に水蒸気の供給量を51.7L/min、57.4L/minとしてアルゴンとメタンの供給量をそれぞれ40から100L/min、24.5から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。図8に図7の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれる水素の体積の変化を示す。また、図9に図7の条件で実験を行った時のグリッド電流値とメタンの供給量の関係を示す。図8からアルゴンの供給量が40L/minの場合、メタンの供給量が61.2L/minまでの試料しかなく、これは図9に示す通りアルゴンが40L/minの場合、メタンの供給量を61.2L/minとした時にグリッド電流値が上限である1.10Aに近い値となり、メタンの供給量を増加できなかったためである。また図9からアルゴンの供給量を40L/minより増加すると、同じメタンの供給量においてグリッド電流が低下する傾向があり、80L/min以上ではほぼ等しくなっていることがわかる。図8の水素の生成量の変化と図9のメタンの供給量はグリッド電流値により制限されることから、アルゴンを40L/min程度以上供給して熱プラズマを発生させ、メタンを水蒸気で改質するのが望ましいと考えられる。
【0036】
===実施例4===
[水蒸気とアルゴンの供給量の最適範囲の解析]
水蒸気とアルゴンの最適な供給量の範囲を求めるために、実施例1,2,3で得られたデータと実施例3においてメタンの供給量が12.2L/minから24.5L/minの間で水蒸気の供給量が24L/minから51.5L/minの間で採取した試料のガス分析値も加えたデータを用いて、最適な供給範囲を求めた。
【0037】
図10に供給した水蒸気中の酸素原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。この図から、水蒸気中の酸素原子数の割合が0.6より小さくなると1m3当たりの水素の製造に要する投入電力量が急激に低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。このことから最適と思われる水蒸気とメタンとの供給量は、式:0.3≦O(水蒸気中の酸素原子数)/(O(水蒸気中の酸素原子数)+C(メタン中の炭素原子数))≦0.6で表される。
【0038】
図11に供給したアルゴンの原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。この図からアルゴンの原子数の割合が0.7より小さくなると投入電力量が急激に低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この結果から最適と思われるアルゴンとメタンとの供給量は、式:0.3≦Ar(アルゴンの原子数)/(Ar(アルゴンの原子数)+C(メタン中の炭素原子数))≦0.7で表される。
【0039】
===実施例5===
[熱プラズマの中心へのアルゴン供給の検討]
実施例3の図9から、メタンの供給量を増加していくとグリッド電流が上昇し、メタンの供給量が制限を受けることがわかった。これは装置内に供給したメタンと水蒸気が反応して水素が生成され、それによって熱プラズマのフレームの収縮が助長され、高周波発振用コイルからの電磁エネルギーがプラズマへ伝播し難くなるために生じると考えられる。そこで、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを直接供給することにより、フレーム中心付近に集まっている水素あるいはプラズマ状の水素の濃度を低下させてフレームの収縮を抑え、グリッド電流の上昇を抑制できるかどうかを調べた。
【0040】
[プローブ付き水蒸気用トーチによる改質実験]
図12に示すように、熱プラズマのフレームの中心部にアルゴンガスを供給できるように、水蒸気用プラズマトーチの中心にプローブを設置した、プローブ付き水蒸気用プラズマトーチを作製し、これを真空チャンバーの上に設置した。この構成により、プラズマトーチ内で発生したプラズマフレームの中心にアルゴンガスを直接導入できるようになった。メタンは、プラズマトーチ上部よりアルゴンと水蒸気と一緒に供給した。真空チャンバーは、循環型冷却水により水冷した。改質反応により生成したガスは、真空チャンバーの側面より配管を通じてドライポンプ(ULVAC社製 DA-15D)で吸引し、ドライポンプの排気管にガス捕集用バッグを接続することにより捕集した。捕集されないガスは、真空チャンバーの右側面に取り付けられているガス冷却器で冷却し、真空ポンプで室外に排気した。
【0041】
[熱プラズマによるメタンの改質]
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に炭化水素と水蒸気とを供給するとともに、一部のアルゴンを熱プラズマの中心に導入し、メタンを改質する実験を、水冷二重管の長さが300mmのプラズマトーチを利用して、以下のように行った。まず、真空チャンバー内を真空ポンプで0.13kPa以下の減圧状態にして、アルゴンガスを50kPaまで導入し、再度減圧状態にするパージ操作を3回繰り返した。チャンバー内にアルゴンガスを約1L/minの流量で供給し、真空チャンバー内の圧力が約1.3kPa以下の条件下でプラズマを点火した。次に、発振機の出力を上昇させた後、圧力を13.3kPaにした後プローブからアルゴンを3L/min供給した。次にプラズマを収縮させるためにアルゴンに酸素を約10L/min混合し、プレート電流、プレート電圧を所定の出力値まで上げプラズマを安定させた。プラズマが安定した後に徐々に水蒸気を導入し、プレート電流を5.0Aに調整した後に徐々に酸素の供給量を減らして供給量をゼロにした後、プレート電流値を4.97Aにした後にメタンの供給を開始した。図13に、プラズマを点火・安定化させるために調節した、ガス供給量、チャンバー内の圧力、印加した電流・電圧等の図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す。所定の量のメタンを供給し始めてから約3 分間ドライポンプで吸引し、配管とドライポンプ内部をパージした後に、容量が1Lのアルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス社製)をドライポンプの排気管に接続して、生成したガスを採取した。ガスの採取後、発振機の出力を低下させて熱プラズマを消火した。
【0042】
[アルゴンの導入効果]
図14に、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチ)、および、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチおよびプローブ)を用い、アルゴンと水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとしてメタンの供給量を44.1から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。また、図15に図14の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれる水素の体積の変化とグリッド電流値の変化を示す。
【0043】
図15からメタンの供給量が同じ試料においてプローブより熱プラズマの中心にアルゴンを供給すると、約0.05A程度グリッド電流値が低下し、供給の効果があることがわかった。しかしながら、プローブを用いてアルゴンを供給すると、メタンの供給量が同じ試料においては水素の生成量が約7L/min程度減少することがわかった。そこで、プローブ有りとプローブ無しで同じグリッド電流値(1.0A)を示す時の水素の生成量を比較すると、プローブ有りとプローブ無しではそれぞれ165、157L/minとなり、約5%水素の生成量が増加することがわかった。次に、プローブ有りのグリッド電流値とメタンの供給量および水素量とメタンの関係式をそれぞれ求め、グリッド電流値がプローブ無しの最高値の1.08Aでのメタン量と水素量を算出した。その結果、グリッド電流値が1.08Aの場合、メタンの供給量が93.2L/minで、水素の生成量が200L/minとなり、プローブ無しの水素の生成量(189L/min)よりも5%程度の増加が見込まれた。これらの結果から、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを供給すると、プラズマの収縮が緩和され、コイルからの電磁エネルギーの伝播が改善されることが明らかになり、フレームの中心にアルゴンを供給することは効果があることがわかった。また、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを供給することにより、大量のメタンを装置内に供給できるようになり、水素を効率よく製造できることがわかった。
【0044】
===実施例6===
[天然ガスの改質の検討]
天然ガスを原料とした場合の水素の生成量を調べるために、実施例1と同様の実験を行った。プラズマの発生、天然ガスの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、アルゴンと水蒸気の供給量を一定にして天然ガスの供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0045】
図16に、アルゴンおよび水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとして天然ガスの供給量を22.6から72.3L/minの間で変化させた実験条件を示す。尚、それぞれの流量は20℃、1.01×105Paでの値を示している。また、図17に、図16の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。その結果、いずれの試料にも一酸化炭素、二酸化炭素およびアセチレンが含まれていることから、天然ガスと水蒸気を原料とした場合の改質反応としては、次の化学反応式に示す反応が起きると考えられる:
〔反応式1〕 CH4 + H2O → CO + 3H2 - 206 kJ/mol
〔反応式2〕 CO + H2O → CO2 + H2 + 41 kJ/mol
〔反応式3〕 CH4 → 0.5C2H2 + 1.5H2 - 188 kJ/mol
〔反応式5〕 C2H6 + 2H2O → 2CO + 5H2 - 346 kJ/mol
〔反応式6〕 C3H8 + 3H2O → 3CO + 7H2 - 499 kJ/mol
〔反応式7〕 C4H10 + 4H2O → 4CO + 9H2 - 652 kJ/mol
また、実験終了後に装置を分解したところ、図1のプラズマトーチの窒化珪素管の内壁に黒っぽい物質が付着していたことから、次の化学反応式に示す反応も進行していると考えられる:
〔反応式4〕 CH4 → C + 2H2 - 85 kJ/mol
【0046】
次に、天然ガスの供給量の増加に伴うそれぞれのガスの容積の変化を調べると、図17よりメタンは水蒸気の供給量(57.4L/min)よりも天然ガスの供給量がやや少ない45.2L/min以上の供給で残留し始めているにも関わらず、水素の生成量が増加している。また、一酸化炭素とアセチレンが増加し、二酸化炭素の生成量は天然ガスの供給に伴い減少していることがわかる。このことから、水蒸気の供給量の57.4L/minよりメタンの供給量が少ない領域では、反応式1,5,6,7が主反応で進行し、アセチレン、二酸化炭素も存在している事から、反応式2,3も副反応として進行していると考えられる。天然ガスの供給量の増加に伴い反応式2の進行が抑制され始め、反応式2で反応に寄与しなくなった水蒸気が反応式1,5,6,7に寄与し、併せて反応式3および反応式4の寄与により水素が増加したと考えられる。更に図17から水蒸気よりも過剰の天然ガスを供給した方が得られる水素が増加することがわかった。これは水蒸気の供給量よりも過剰の天然ガスが供給される領域では、反応式1,5,6,7に必要な水蒸気が不足して、反応式3,4の反応が進行し始めためと考えられ、この結果は実施例1のメタンの改質実験結果とほぼ等しくなっていることがわかった。
【0047】
図18に供給した水蒸気中の酸素原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。実験のデータは図16に示した条件で2回実験を行った結果を示している。この図から、水蒸気中の酸素原子数の割合が小さくい程少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この傾向は、図10の結果と類似している。このことから最適と思われる水蒸気と天然ガスとの供給量は、式:0.3≦O(水蒸気中の酸素原子数)/(O(水蒸気中の酸素原子数)+C(天然ガス中の炭素原子数))≦0.6で表される。
【0048】
図19に供給したアルゴンの原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を1m3製造するのに要した電力量の関係を示す。この図から、アルゴンの原子数の割合が小さくなると投入電力量が低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この傾向は、図11の結果と類似している。このことから最適と思われるアルゴンと天然ガスとの供給量は、式:0.3≦Ar(アルゴンの原子数)/(Ar(アルゴンの原子数)+C(天然ガス中の炭素原子数))≦0.7で表される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例において、プラズマトーチおよび真空チャンバー並びにガス供給方法の概略を示す図である。
【図2】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す図である。
【図3】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の一実施例において、図3に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図5】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図6】本発明の一実施例において、図5に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、水蒸気の供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図7】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図8】本発明の一実施例において、図7に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量による水素の生成量の変化を調べた結果を示す図である。
【図9】本発明の一実施例において、図7に示す条件で実験を行った際にグリッド電流値を測定した結果を示す図である。
【図10】本発明の一実施例において、供給した水蒸気中の酸素原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図11】本発明の一実施例において、供給したアルゴンの原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図12】本発明の一実施例において、プローブ付きプラズマトーチおよび真空チャンバー並びにガス供給方法の概略を示す図である。
【図13】本発明の一実施例において、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す図である。
【図14】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチ)、および、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチおよびプローブ)にそれぞれ供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図15】本発明の一実施例において、図14に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量による水素の生成量の変化を調べた結果、および、図14に示す条件で実験を行った際にグリッド電流値を測定した結果を示す図である。
【図16】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図17】本発明の一実施例において、図16に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、天然ガスの供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図18】本発明の一実施例において、供給した水蒸気中の酸素原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図19】本発明の一実施例において、供給したアルゴンの原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を改質して水素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、石炭・石油等の化石燃料に比べて、燃焼時の二酸化炭素の発生が少なく、またその供給面でも生産地の偏在が少なく当面は枯渇の心配もないとされている。天然ガスはメタンを主成分とする炭化水素ガスであり、従来は石油・石炭・都市ガス・プロパンガス等の代替燃料としての利用が主流であったが、最近では天然ガスの新たな利用分野・使用量の拡大が見込まれている。特に、メタンは有機物として水素含有量が最も高いことから、天然ガスは水素源として有効である。水素は、燃料電池自動車、定置型燃料電池(業務用、民生用)、大規模水素燃焼タービン発電、等への利用の大幅な拡大が今後見込まれている。
【0003】
天然ガスから水素を製造する反応として、部分酸化法(CH4 + 0.5O2→ CO + 2H2)、炭酸ガス改質法(CH4 + CO2 →2CO + 2H2)、水蒸気改質法(CH4 + H2O →CO + 3H2, CO + H2O→CO2 + H2(シフト反応))等があり、一般に触媒下で炭酸ガス改質法や水蒸気改質法が用いられている。また、低温プラズマ(誘電体バリア放電(Dielectric Barrier Discharge:DBD))やコロナ放電)を用いた改質や低温プラズマと触媒を組み合わせた改質法が試みられている。
【0004】
水素の製造方法の具体例として、直流アーク放電によるグライディングプラズマを用いた部分酸化法による改質方法(特許文献1参照)や、部分酸化法と炭酸ガス改質を併用した改質方法(特許文献1参照)が開示されている。また、高温のプラズマを利用する方法として、直流アーク放電に気化した有機物と水とを接触させて水蒸気改質法と同様の反応で水素を製造する方法(特許文献2参照)が開示されている。
【0005】
さらに、低温プラズマを用いた改質方法としては、非熱的パルスコロナ放電を用いた変換(特許文献3参照)やDBDを用いた合成ガス(水素と一酸化炭素)を製造する方法(特許文献4参照)等が開示されている。また、DBDと触媒を用いたメタンの水蒸気改質方法が報告されている。
【0006】
しかしながら、直流アーク放電によるグライディングプラズマを用いた部分酸化法では、改質反応の駆動力はあくまでも部分酸化反応によって放出される熱エネルギーであると考えられており(非特許文献1参照)、グライディングプラズマにより活性化されたガスを温度が1100℃未満の放電の無いチャンバーに導入して、触媒的な働きをする金属またはセラミック体の存在下で改質を行う必要がある。また、低温プラズマ(DBDやコロナ放電)だけを用いたメタンの改質では、メタンの転換効率が低いとの報告があり(非特許文献2参照)、短時間で大量の水素を製造することが困難である。低温プラズマと触媒を組み合わせた改質では、長時間の使用による触媒の劣化の問題やカーボンの付着によって生じる触媒表面の汚れによる改質効率の低下を防ぐためにガス濃度の制御が不可欠である。
【特許文献1】特表2001−514150号公報
【特許文献2】特開2004−111137号公報
【特許文献3】特表2004−509926号公報
【特許文献4】特開2003−137503号公報
【非特許文献1】J.Jpn.Inst.Energy, Vol.84, 462-467, 2005
【非特許文献2】触媒 Vol.46, 242-247, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る水素の製造方法は、炭化水素を改質し水素を製造する方法であって、高周波誘導熱プラズマ領域に前記炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給する工程を含む。
【0009】
前記水蒸気と前記炭化水素との供給量としては、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることが好ましい。
【0010】
なお、前記高周波誘導熱プラズマは、例えば、アルゴンまたはヘリウムにより発生させることができる。
【0011】
前記高周波誘導熱プラズマがアルゴンで発生させたものである場合には、前記アルゴンと前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることが好ましい。
【0012】
前記炭化水素は、例えば、メタンなどである。また、前記炭化水素を含む原料ガスは、例えば、天然ガスなどである。
【0013】
本発明に係る水素の製造方法は、前記高周波誘導熱プラズマ領域にアルゴンガスを供給する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を製造することができる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
本発明は、高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給する工程を含む方法、すなわち水蒸気改質法の新規な方法を提供する。すなわち、本発明の方法においては、高周波誘導加熱によって生じる熱プラズマ(高周波熱プラズマ)を用いることを特徴とする。
【0016】
具体的には、高周波誘導の原理に基づき、誘導コイルに高周波を印加して、プラズマトーチ内のプラズマを発生(形成)するガス(以下、「プラズマ発生ガス」と称する。)を加熱することによって、プラズマフレームを発生させる。この際、プラズマの発生を安定させて効率的な反応が行えるように、高周波の周波数並びに電流値や電圧値を適宜調節する。次に、原料ガスをプラズマに供給することによって、原料ガスの改質を行う。プラズマに暴露させる原料ガスは、プラズマ発生ガスと水蒸気と別々に加えてもよいが、プラズマ発生ガス、水蒸気、または、プラズマ発生ガスおよび水蒸気と一緒に加えてもよい。また、原料ガスはプラズマフレームの流れに沿うように加えるのが好ましく、これにより、改質反応の効率を調節することが可能になる。
【0017】
以上のように、高周波誘導熱プラズマ領域に炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、触媒を用いることなく、炭化水素を改質して水素を効率よく製造することができるようになる。
【0018】
高周波誘導熱プラズマ領域に供給する水蒸気と炭化水素の量は、炭化水素を効率的に改質することができる量であれば特に制限されるものではないが、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることが好ましい。水蒸気と炭化水素との供給量をこの範囲内に調節することにより、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0019】
前記炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガス、または、これらの炭化水素ガスのうち2種以上の混合ガスを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、水素の製造効率の面でメタンを用いることが好ましい。前記炭化水素を含む原料ガスとしては、前記炭化水素を含むものであれば特に制限されるものではないが、メタンを主成分として含む天然ガス、あるいは、メタンを80%以上含有する混合ガスを用いることが好ましい。
【0020】
プラズマ発生ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合ガス等を用いることができるが、これらのガスに限定されず、既存のガス、あるいは、既存の混合ガスを用いてもよい。なお、プラズマ発生ガスは、プラズマの発生源として用いる他、原料ガスや水蒸気を供給するためのキャリアガスとして用いてもよい。なお、プラズマ発生ガスを高周波誘導熱プラズマ装置に供給する場合には、一部のプラズマ発生ガスを高周波誘導熱プラズマ領域に直接供給することが好ましい。これにより、高周波誘導熱プラズマ装置におけるグリッド電流値を低下させることができるので、原料ガスをより多く高周波誘導熱プラズマ装置に供給することが可能となり、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0021】
高周波誘導熱プラズマ装置に供給するプラズマ発生ガスと炭化水素の量は、高周波誘導加熱により熱プラズマを発生させ、炭化水素を効率的に改質することができる量であれば特に制限されるものではないが、プラズマ発生ガスとしてアルゴンを用いた場合には、アルゴンと炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることが好ましい。アルゴンと炭化水素との供給量をこの範囲内に調節することにより、水素を効率よく製造することができるようになる。
【0022】
なお、高周波誘導加熱による熱プラズマは、他の加熱原理に基づく熱プラズマ、特に直流アークによるプラズマと比較して、電極を使用しないため、電極物質の摩耗による熱プラズマの汚染が起こらず、あらゆる原料ガスを処理することができるという利点を有する。
【実施例】
【0023】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
===実施例1===
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に、炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することにより、水蒸気改質反応が無触媒下で進行するかを検討した。天然ガスの13Aは、メタンが88.0%、エタンが5.8% 、プロパンが4.5%、ブタンが1.7%の組成比から構成されている。そこで、天然ガス13Aの主成分であるメタンを原料として用い、生成したガスの成分を分析して、改質条件及び改質反応の検討を行った。
【0025】
[ガス改質用熱プラズマ装置]
改質の実験に用いた日本電子株式会社製の熱プラズマ反応炉試験装置(JEOL 35KW)は、高周波発振機用電源、高周波発振機、プラズマトーチ、集中制御盤(ガス制御盤、発振機操作盤、チャンバー内圧力制御盤)、真空ポンプと真空チャンバーで構成されている。プラズマトーチは、内径42mmの窒化珪素管の外側に石英管を配置した水冷二重構造物の外側に3ターンのRFコイルが設けられて構成されている。なお、高周波発振機の出力は、0.5〜35kW(最大プレート電圧 {Ep}=12kV、最大プレート電流 {IP}=5.8A、最大グリッド電流{Ig}=1.1A)であり、発振周波数は3.5±0.5Mzである。
【0026】
図1に示すように、プラズマトーチは、真空チャンバーの上に設置した。この構成により、プラズマトーチ内で発生したプラズマフレームの下部は、真空チャンバー内に到達する。真空チャンバーは、循環型冷却水により水冷した。原料ガスは、流量計(水蒸気以外:20℃、0.5MPa下で測定、精度はフルスケールの5%以内)、(水蒸気:150℃、0.5MPa下で測定、精度は測定可能最小流量で1.03%)で流量を調整し、プラズマトーチ上部からアルゴンと水蒸気と一緒に熱プラズマ内に供給した。改質反応により生成したガスは、真空チャンバーの側面より配管を通じてドライポンプ(ULVAC社製 DA-15D)で吸引し、ドライポンプの排気管にガス捕集用バッグを接続することにより捕集した。捕集されないガスは、真空チャンバーの右側面に取り付けられているガス冷却器で冷却し、金属製のフィルターを通過させた後、真空ポンプで室外に排気した。
【0027】
[熱プラズマによるメタンの改質]
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に炭化水素と水蒸気とを供給することにより、メタンを改質する実験を、水冷二重管の長さが300mmのプラズマトーチを利用して、以下のようにして行った。まず、真空チャンバー内を真空ポンプで0.13kPa以下の減圧状態にして、アルゴンガスを50kPaまで導入し、再度減圧状態にするパージ操作を3回繰り返した。チャンバー内にアルゴンガスを約1L/minの流量で供給し、真空チャンバー内の圧力が約1.3kPa以下の条件下でプラズマを点火した。次に、発振機の出力を上昇させた後、圧力を13.3kPaにした。さらに、プラズマを収縮させるためにアルゴンに酸素を約15L/min混合し、プレート電流、プレート電圧を所定の出力値まで上げプラズマを安定させた。プラズマが安定した後に徐々に水蒸気を導入し、プレート電流を4.5Aに調整した後に徐々に酸素の供給量を減らして供給量をゼロにした。その後、プレート電流値を5.0Aにした後にメタンの供給を開始した。図2に、プラズマを点火・安定化させるために調節した、ガス供給量、チャンバー内の圧力、印加した電流・電圧等の図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す。所定の量のメタンを供給し始めてから約3 分間ドライポンプで吸引し、配管とドライポンプ内部をパージした後に、容量が1Lのアルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス社製)をドライポンプの排気管に接続して、生成したガスを採取した。ガスの採取後、発振機の出力を低下させて熱プラズマを消火した。
【0028】
[生成ガスの分析]
採取されたガスの成分を調べるため、ガスクロマトグラフィー法により、目的とするガスの種類に応じて、以下のガスクロマトグラフ分析装置(いずれも島津製作所製)とカラムとの組み合わせを用いて分析を行った:(1)メタン、エタン、エチレン、アセチレンの分析:GC-14AとActive Carbon60/80(ジーエルサイエンス社製);(2)アルゴン、水素の分析:GC-2010とMOLESIV(J&W SCIENTIFIC社製);(3)二酸化炭素、一酸化炭素の分析:GC-8AとUnipak S 100/150(ジーエルサイエンス社製)。これらガス種のそれぞれについて、プッシュ缶標準ガス(ジーエルサイエンス社製)を用いた既知濃度のガスについても同様に分析して検量線を求めた。各ガス種の検量線に基づき、採取された試料に含まれるガス成分の濃度をそれぞれ求めた。
【0029】
[改質反応の検討]
図3に、アルゴンおよび水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとしてメタンの供給量を44.1から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。尚、それぞれの流量は20℃、101kPaでの値を示している。また、図4に、図3の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。その結果、いずれの試料にも一酸化炭素、二酸化炭素およびアセチレンが含まれていることから、メタンと水蒸気を原料とした場合の改質反応としては、次の化学反応式に示す反応が起きると考えられる:
〔反応式1〕 CH4 + H2O → CO + 3H2 - 206 kJ/mol
〔反応式2〕 CO + H2O → CO2 + H2 + 41 kJ/mol
〔反応式3〕 CH4 → 0.5C2H2 + 1.5H2 - 188 kJ/mol
また、実験終了後に装置を分解したところ、図1のプラズマトーチの窒化珪素管の内壁に黒っぽい物質が付着していたことから、次の化学反応式に示す反応も進行していると考えられる:
〔反応式4〕 CH4 → C + 2H2 - 85 kJ/mol
【0030】
次に、メタンの供給量の増加に伴うそれぞれのガスの容積の変化を調べると、図4よりメタンは水蒸気の供給量(57.4L/min)よりも多い61.2L/min以上の供給で残留し始めているにも関わらず、水素の生成量が増加している。また、一酸化炭素とアセチレンが増加し、二酸化炭素がやや減少していることがわかる。このことから、水蒸気の供給量の57.4L/minよりメタンの供給量が少ない領域では、反応式1が主反応で進行し、アセチレン、二酸化炭素が存在している事から、反応式2,3も副反応として進行していると考えられる。メタンの供給量が水蒸気の供給量57.4L/minを超えると、反応式2の進行が抑制され始め、反応式2で反応に寄与しなくなった水蒸気が反応式1に寄与し始め、併せて反応式3および反応式4の寄与により水素が増加したと考えられる。更に図4から水蒸気よりも過剰のメタンを供給した方が得られる水素が増加することが分った。これは過剰のメタンが供給される領域では反応式1に必要な水蒸気が不足して、反応式3,4の反応が進行し始めためと考えている。
【0031】
===実施例2===
[水蒸気の供給量の検討]
次に、水蒸気の供給量による水素の生成量の影響を調べるため、実施例1と同様の方法で実験を行った。プラズマの発生、メタンの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、アルゴンとメタンの供給量を一定にして水蒸気の供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0032】
図5にアルゴンとメタンの供給量をそれぞれ70L/min、61.2L/minとして水蒸気の供給量を45.9から80.4L/minの間で変化させた実験条件を示す。また、図6に図5の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。図6から水蒸気の供給量が増加すると、水素、一酸化炭素が減少し、二酸化炭素と未反応のメタンが増加していることがわかった。これは、二酸化炭素の増加は、反応式2の進行が促進されたことによると考えられる。この反応式2は発熱反応のため低温度域で進行が促進される。他方、一酸化炭素の減少は吸熱反応のため高温度域で進行する反応式1が抑制されたためと考えられる。反応式1が抑制され反応式2の進行が促進されていることから、メタンに対する水蒸気の過剰な供給は、熱プラズマの温度の低下を引き起こし、水素が高い割合で得られる反応式1の反応を抑制することが考えられる。供給したメタンが残留する条件での実験から、改質に寄与したメタンと同量以下の水蒸気の供給が水素製造に適した条件と考えられる。
【0033】
===実施例3===
[アルゴンの供給量の検討]
本実験では、発振方式がコルピッツ型で真空管を用いて周波数が3.5±0.5MHzの高周波を発振させ、熱プラズマを発生させている。使用した装置では、一定の周波数の高周波をコイルで発生させるために、真空管のプレート電流および電圧をグリッド電流値で制御しなければならない。グリッド電流値はコイル内を流すガスの種類に影響を受ける。本実験では、コイル内を流すガスとしてアルゴンの他に水蒸気を使用するが、水蒸気の供給量が多いため、グリッド電流値はアルゴンガス単体あるいはアルゴンガスに2分子性のガス(例えば10L/min程度の水素)を混合した場合よりも高い値を示す。また、改質させるメタンを供給すると更にグリッド電流値が増加する。実施例1のガス改質用熱プラズマ装置の項で示した通り、グリッド電流値の最大値は1.1Aであることから、各種ガスの供給は1.1A未満で行う必要がある。
【0034】
そこで、アルゴンの供給量による水素の生成量および真空管のグリッド電流値(Ig(A))に及ぼす影響を調べるため、実施例1と同様の実験を行った。プラズマの発生、メタンの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、水蒸気の供給量を固定してアルゴンとメタンの供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0035】
図7に水蒸気の供給量を51.7L/min、57.4L/minとしてアルゴンとメタンの供給量をそれぞれ40から100L/min、24.5から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。図8に図7の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれる水素の体積の変化を示す。また、図9に図7の条件で実験を行った時のグリッド電流値とメタンの供給量の関係を示す。図8からアルゴンの供給量が40L/minの場合、メタンの供給量が61.2L/minまでの試料しかなく、これは図9に示す通りアルゴンが40L/minの場合、メタンの供給量を61.2L/minとした時にグリッド電流値が上限である1.10Aに近い値となり、メタンの供給量を増加できなかったためである。また図9からアルゴンの供給量を40L/minより増加すると、同じメタンの供給量においてグリッド電流が低下する傾向があり、80L/min以上ではほぼ等しくなっていることがわかる。図8の水素の生成量の変化と図9のメタンの供給量はグリッド電流値により制限されることから、アルゴンを40L/min程度以上供給して熱プラズマを発生させ、メタンを水蒸気で改質するのが望ましいと考えられる。
【0036】
===実施例4===
[水蒸気とアルゴンの供給量の最適範囲の解析]
水蒸気とアルゴンの最適な供給量の範囲を求めるために、実施例1,2,3で得られたデータと実施例3においてメタンの供給量が12.2L/minから24.5L/minの間で水蒸気の供給量が24L/minから51.5L/minの間で採取した試料のガス分析値も加えたデータを用いて、最適な供給範囲を求めた。
【0037】
図10に供給した水蒸気中の酸素原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。この図から、水蒸気中の酸素原子数の割合が0.6より小さくなると1m3当たりの水素の製造に要する投入電力量が急激に低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。このことから最適と思われる水蒸気とメタンとの供給量は、式:0.3≦O(水蒸気中の酸素原子数)/(O(水蒸気中の酸素原子数)+C(メタン中の炭素原子数))≦0.6で表される。
【0038】
図11に供給したアルゴンの原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。この図からアルゴンの原子数の割合が0.7より小さくなると投入電力量が急激に低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この結果から最適と思われるアルゴンとメタンとの供給量は、式:0.3≦Ar(アルゴンの原子数)/(Ar(アルゴンの原子数)+C(メタン中の炭素原子数))≦0.7で表される。
【0039】
===実施例5===
[熱プラズマの中心へのアルゴン供給の検討]
実施例3の図9から、メタンの供給量を増加していくとグリッド電流が上昇し、メタンの供給量が制限を受けることがわかった。これは装置内に供給したメタンと水蒸気が反応して水素が生成され、それによって熱プラズマのフレームの収縮が助長され、高周波発振用コイルからの電磁エネルギーがプラズマへ伝播し難くなるために生じると考えられる。そこで、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを直接供給することにより、フレーム中心付近に集まっている水素あるいはプラズマ状の水素の濃度を低下させてフレームの収縮を抑え、グリッド電流の上昇を抑制できるかどうかを調べた。
【0040】
[プローブ付き水蒸気用トーチによる改質実験]
図12に示すように、熱プラズマのフレームの中心部にアルゴンガスを供給できるように、水蒸気用プラズマトーチの中心にプローブを設置した、プローブ付き水蒸気用プラズマトーチを作製し、これを真空チャンバーの上に設置した。この構成により、プラズマトーチ内で発生したプラズマフレームの中心にアルゴンガスを直接導入できるようになった。メタンは、プラズマトーチ上部よりアルゴンと水蒸気と一緒に供給した。真空チャンバーは、循環型冷却水により水冷した。改質反応により生成したガスは、真空チャンバーの側面より配管を通じてドライポンプ(ULVAC社製 DA-15D)で吸引し、ドライポンプの排気管にガス捕集用バッグを接続することにより捕集した。捕集されないガスは、真空チャンバーの右側面に取り付けられているガス冷却器で冷却し、真空ポンプで室外に排気した。
【0041】
[熱プラズマによるメタンの改質]
アルゴンガスで高周波誘導加熱することにより発生させた熱プラズマ領域に炭化水素と水蒸気とを供給するとともに、一部のアルゴンを熱プラズマの中心に導入し、メタンを改質する実験を、水冷二重管の長さが300mmのプラズマトーチを利用して、以下のように行った。まず、真空チャンバー内を真空ポンプで0.13kPa以下の減圧状態にして、アルゴンガスを50kPaまで導入し、再度減圧状態にするパージ操作を3回繰り返した。チャンバー内にアルゴンガスを約1L/minの流量で供給し、真空チャンバー内の圧力が約1.3kPa以下の条件下でプラズマを点火した。次に、発振機の出力を上昇させた後、圧力を13.3kPaにした後プローブからアルゴンを3L/min供給した。次にプラズマを収縮させるためにアルゴンに酸素を約10L/min混合し、プレート電流、プレート電圧を所定の出力値まで上げプラズマを安定させた。プラズマが安定した後に徐々に水蒸気を導入し、プレート電流を5.0Aに調整した後に徐々に酸素の供給量を減らして供給量をゼロにした後、プレート電流値を4.97Aにした後にメタンの供給を開始した。図13に、プラズマを点火・安定化させるために調節した、ガス供給量、チャンバー内の圧力、印加した電流・電圧等の図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す。所定の量のメタンを供給し始めてから約3 分間ドライポンプで吸引し、配管とドライポンプ内部をパージした後に、容量が1Lのアルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス社製)をドライポンプの排気管に接続して、生成したガスを採取した。ガスの採取後、発振機の出力を低下させて熱プラズマを消火した。
【0042】
[アルゴンの導入効果]
図14に、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチ)、および、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチおよびプローブ)を用い、アルゴンと水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとしてメタンの供給量を44.1から77.2L/minの間で変化させた実験条件を示す。また、図15に図14の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれる水素の体積の変化とグリッド電流値の変化を示す。
【0043】
図15からメタンの供給量が同じ試料においてプローブより熱プラズマの中心にアルゴンを供給すると、約0.05A程度グリッド電流値が低下し、供給の効果があることがわかった。しかしながら、プローブを用いてアルゴンを供給すると、メタンの供給量が同じ試料においては水素の生成量が約7L/min程度減少することがわかった。そこで、プローブ有りとプローブ無しで同じグリッド電流値(1.0A)を示す時の水素の生成量を比較すると、プローブ有りとプローブ無しではそれぞれ165、157L/minとなり、約5%水素の生成量が増加することがわかった。次に、プローブ有りのグリッド電流値とメタンの供給量および水素量とメタンの関係式をそれぞれ求め、グリッド電流値がプローブ無しの最高値の1.08Aでのメタン量と水素量を算出した。その結果、グリッド電流値が1.08Aの場合、メタンの供給量が93.2L/minで、水素の生成量が200L/minとなり、プローブ無しの水素の生成量(189L/min)よりも5%程度の増加が見込まれた。これらの結果から、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを供給すると、プラズマの収縮が緩和され、コイルからの電磁エネルギーの伝播が改善されることが明らかになり、フレームの中心にアルゴンを供給することは効果があることがわかった。また、熱プラズマのフレームの中心にアルゴンガスを供給することにより、大量のメタンを装置内に供給できるようになり、水素を効率よく製造できることがわかった。
【0044】
===実施例6===
[天然ガスの改質の検討]
天然ガスを原料とした場合の水素の生成量を調べるために、実施例1と同様の実験を行った。プラズマの発生、天然ガスの供給、生成ガスの回収については、実施例1と同一の方法で行い、プレート投入電力量をおおよそ50kVAにして、アルゴンと水蒸気の供給量を一定にして天然ガスの供給量を変化させた組み合わせによる条件で実験を行った。
【0045】
図16に、アルゴンおよび水蒸気の供給量をそれぞれ70L/min、57.4L/minとして天然ガスの供給量を22.6から72.3L/minの間で変化させた実験条件を示す。尚、それぞれの流量は20℃、1.01×105Paでの値を示している。また、図17に、図16の条件で実験を行った後に回収した試料に含まれるガス成分毎の体積の変化を示す。その結果、いずれの試料にも一酸化炭素、二酸化炭素およびアセチレンが含まれていることから、天然ガスと水蒸気を原料とした場合の改質反応としては、次の化学反応式に示す反応が起きると考えられる:
〔反応式1〕 CH4 + H2O → CO + 3H2 - 206 kJ/mol
〔反応式2〕 CO + H2O → CO2 + H2 + 41 kJ/mol
〔反応式3〕 CH4 → 0.5C2H2 + 1.5H2 - 188 kJ/mol
〔反応式5〕 C2H6 + 2H2O → 2CO + 5H2 - 346 kJ/mol
〔反応式6〕 C3H8 + 3H2O → 3CO + 7H2 - 499 kJ/mol
〔反応式7〕 C4H10 + 4H2O → 4CO + 9H2 - 652 kJ/mol
また、実験終了後に装置を分解したところ、図1のプラズマトーチの窒化珪素管の内壁に黒っぽい物質が付着していたことから、次の化学反応式に示す反応も進行していると考えられる:
〔反応式4〕 CH4 → C + 2H2 - 85 kJ/mol
【0046】
次に、天然ガスの供給量の増加に伴うそれぞれのガスの容積の変化を調べると、図17よりメタンは水蒸気の供給量(57.4L/min)よりも天然ガスの供給量がやや少ない45.2L/min以上の供給で残留し始めているにも関わらず、水素の生成量が増加している。また、一酸化炭素とアセチレンが増加し、二酸化炭素の生成量は天然ガスの供給に伴い減少していることがわかる。このことから、水蒸気の供給量の57.4L/minよりメタンの供給量が少ない領域では、反応式1,5,6,7が主反応で進行し、アセチレン、二酸化炭素も存在している事から、反応式2,3も副反応として進行していると考えられる。天然ガスの供給量の増加に伴い反応式2の進行が抑制され始め、反応式2で反応に寄与しなくなった水蒸気が反応式1,5,6,7に寄与し、併せて反応式3および反応式4の寄与により水素が増加したと考えられる。更に図17から水蒸気よりも過剰の天然ガスを供給した方が得られる水素が増加することがわかった。これは水蒸気の供給量よりも過剰の天然ガスが供給される領域では、反応式1,5,6,7に必要な水蒸気が不足して、反応式3,4の反応が進行し始めためと考えられ、この結果は実施例1のメタンの改質実験結果とほぼ等しくなっていることがわかった。
【0047】
図18に供給した水蒸気中の酸素原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を示す。実験のデータは図16に示した条件で2回実験を行った結果を示している。この図から、水蒸気中の酸素原子数の割合が小さくい程少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この傾向は、図10の結果と類似している。このことから最適と思われる水蒸気と天然ガスとの供給量は、式:0.3≦O(水蒸気中の酸素原子数)/(O(水蒸気中の酸素原子数)+C(天然ガス中の炭素原子数))≦0.6で表される。
【0048】
図19に供給したアルゴンの原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を1m3製造するのに要した電力量の関係を示す。この図から、アルゴンの原子数の割合が小さくなると投入電力量が低下し始め、少ない電力量で1m3の水素を製造可能となることがわかる。この傾向は、図11の結果と類似している。このことから最適と思われるアルゴンと天然ガスとの供給量は、式:0.3≦Ar(アルゴンの原子数)/(Ar(アルゴンの原子数)+C(天然ガス中の炭素原子数))≦0.7で表される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例において、プラズマトーチおよび真空チャンバー並びにガス供給方法の概略を示す図である。
【図2】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す図である。
【図3】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の一実施例において、図3に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図5】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図6】本発明の一実施例において、図5に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、水蒸気の供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図7】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図8】本発明の一実施例において、図7に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量による水素の生成量の変化を調べた結果を示す図である。
【図9】本発明の一実施例において、図7に示す条件で実験を行った際にグリッド電流値を測定した結果を示す図である。
【図10】本発明の一実施例において、供給した水蒸気中の酸素原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図11】本発明の一実施例において、供給したアルゴンの原子数と供給したメタン中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図12】本発明の一実施例において、プローブ付きプラズマトーチおよび真空チャンバー並びにガス供給方法の概略を示す図である。
【図13】本発明の一実施例において、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置の運転条件を示す図である。
【図14】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチ)、および、図12に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置(トーチおよびプローブ)にそれぞれ供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図15】本発明の一実施例において、図14に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタンの供給量による水素の生成量の変化を調べた結果、および、図14に示す条件で実験を行った際にグリッド電流値を測定した結果を示す図である。
【図16】本発明の一実施例において、図1に示す機器を備えた熱プラズマ反応炉試験装置に供給したアルゴン、水蒸気、およびメタンの量をそれぞれ示す図である。
【図17】本発明の一実施例において、図16に示す条件で実験を行った後に回収したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、天然ガスの供給量によるガス成分毎の体積変化を調べた結果を示す図である。
【図18】本発明の一実施例において、供給した水蒸気中の酸素原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給した水蒸気中の酸素原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【図19】本発明の一実施例において、供給したアルゴンの原子数と供給した天然ガス中の炭素原子数の総量における供給したアルゴンの原子数の割合と、1m3(20℃、1.01×105Pa)の水素を製造するのに要した電力量の関係を解析した結果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素を改質し水素を製造する方法であって、
高周波誘導熱プラズマ領域に前記炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することを特徴とする水素の製造方法。
【請求項2】
前記水蒸気と前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
【請求項3】
前記高周波誘導熱プラズマをアルゴンまたはヘリウムで発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の水素の製造方法。
【請求項4】
前記高周波誘導熱プラズマがアルゴンで発生させたものであり、
前記アルゴンと前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素の製造方法。
【請求項5】
前記炭化水素がメタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素の製造方法。
【請求項6】
前記炭化水素を含む原料ガスが天然ガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水素の製造方法。
【請求項7】
前記高周波誘導熱プラズマ領域にアルゴンガスを供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水素の製造方法。
【請求項1】
炭化水素を改質し水素を製造する方法であって、
高周波誘導熱プラズマ領域に前記炭化水素を含む原料ガスと水蒸気とを供給することを特徴とする水素の製造方法。
【請求項2】
前記水蒸気と前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦O(前記水蒸気中の酸素原子数)/(O(前記水蒸気中の酸素原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
【請求項3】
前記高周波誘導熱プラズマをアルゴンまたはヘリウムで発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の水素の製造方法。
【請求項4】
前記高周波誘導熱プラズマがアルゴンで発生させたものであり、
前記アルゴンと前記炭化水素との供給量が、式:0.3≦Ar(前記アルゴンの原子数)/(Ar(前記アルゴンの原子数)+C(前記炭化水素中の炭素原子数))≦0.7の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素の製造方法。
【請求項5】
前記炭化水素がメタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素の製造方法。
【請求項6】
前記炭化水素を含む原料ガスが天然ガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水素の製造方法。
【請求項7】
前記高周波誘導熱プラズマ領域にアルゴンガスを供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水素の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−247718(P2008−247718A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94735(P2007−94735)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(591282205)島根県 (122)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(591282205)島根県 (122)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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