説明

水素吸蔵材及びその製造方法

【課題】低温において多量の水素を放出可能な水素吸蔵材を提供する。
【解決手段】AlH3を合成した後、10G〜30G(Gは重力加速度)の力を付与する条件でボールミリングを行う。ミリング時間は、10分超〜60分未満とする。これにより、ナノ構造体である水素吸蔵材10が得られる。この水素吸蔵材10は、マトリックス相12、12同士の間に粒界相14が介在する微細組織を有する。前記マトリックス相12は、その辺長t2が1〜200nmのAlからなり、一方、前記粒界相14は、水素を固溶したアモルファス相からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を可逆的に貯蔵又は放出することが可能な水素吸蔵材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、周知のように、アノードに水素等の燃料ガスが供給される一方でカソードに酸素等の酸化剤ガスが供給されて発電する。従って、例えば、燃料電池を搭載した燃料電池車では、水素を充填したガス貯蔵用容器が搭載される。燃料電池車は、酸化剤ガスとしての大気と、前記ガス貯蔵用容器から供給された水素とを反応ガスとして走行する。
【0003】
このことから諒解されるように、ガス貯蔵用容器の水素収容量が大きいほど燃料電池車を長距離にわたって走行させることができる。しかしながら、過度に大きなガス貯蔵用容器を搭載することは、燃料電池車の重量を大きくすることになり、結局、燃料電池の負荷が大きくなるという不具合を招く。
【0004】
この観点から、ガス貯蔵用容器の体積を小さく維持しながら水素収容量を向上させる様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、水素を可逆的に吸蔵・放出する水素吸蔵材の1種であるAlH3を使用し、水素収容量の向上を試みている。
【0005】
ここで、図10に示すように、結晶性のAlH3(結晶質AlH3)1は、略正方形に近似されるマトリックス相2と、該マトリックス相2、2同士の間に介在する粒界相3とが存在する微細組織を有する。この場合、マトリックス相2の辺長t1は概ね100μm、粒界相3の幅w1は数μmであり、組織内において粒界相3が占める割合は数体積%である。この結晶質AlH3につきX線回折測定を行うと、α相、β相、γ相の少なくともいずれかに由来するシャープなピークが出現する回折パターンが得られる。
【0006】
なお、マトリックス相は、AlとHが結晶格子を形成したAlH3からなり、一方、粒界相は、非晶質AlにHが固溶した状態である。
【0007】
【特許文献1】特開2004−18980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者の鋭意検討によれば、結晶質AlH3に水素を吸蔵させる場合、先ず、粒界相3が水素吸蔵に寄与する。この際、比較的低圧でも水素が吸蔵される。しかしながら、上記したように、粒界相3は組織中に数体積%しか存在しないので、粒界相3の水素吸蔵量は早期に飽和する。勿論、粒界相3による水素吸蔵量は極僅かである。
【0009】
そして、次に、組織内で大部分を占めるマトリックス相2が水素を吸蔵し始めるが、マトリックス相2では、水素吸蔵のために著しく大きな活性化エネルギを必要とする。従って、温度が一定である場合、水素圧力が低いときには水素を吸蔵しない。結局、水素圧力が数千気圧(数百MPa)に到達した時点で水素が活発に吸蔵され始める。
【0010】
しかしながら、ガス貯蔵用容器の充填圧力は、一般的には20MPa程度、最大でも75MPa程度である。従って、ガス貯蔵用容器に結晶質AlH3を収容したとしても、そのマトリックス相2に水素を吸蔵させることは困難である。
【0011】
また、前記特許文献1によれば、AlH3は、約130℃から水素を放出し始め、200℃までに吸蔵した水素の全量を放出する、とのことである。従って、結晶質AlH3を収容したガス貯蔵用容器を燃料電池車に搭載する場合、該ガス貯蔵用容器から燃料電池に多量の水素を供給するためには、ガス貯蔵用容器が130℃以上となるまで熱を供給しなければならない。このため、燃料電池車における他の箇所に供給する熱量が少なくなるので、燃料電池車のシステム全体の熱効率を向上させることが容易ではない。
【0012】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、水素吸蔵反応を低圧で進行させることが可能であり、且つ水素放出反応を低温で進行させることが可能な水素吸蔵材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、水素を可逆的に吸蔵・放出可能な水素吸蔵材であって、
複数個のマトリックス相と、前記マトリックス相同士の間に介在する粒界相とが存在する組織を有し、
前記マトリックス相がAlからなるとともにその1辺の長さが1〜200nmであり、
前記粒界相がアモルファス相からなり、
且つ前記粒界相に水素が固溶したことを特徴とする。
【0014】
上記したように、結晶質AlH3の微細組織には、略正方形に近似され辺長が概ねμmオーダーであるマトリックス相と、該マトリックス相同士の間に介在して水素を固溶した粒界相とが存在する。また、結晶質AlH3につきX線回折測定を行うと、シャープなピークが出現する回折パターンが得られる。しかしながら、このような構成の結晶質AlH3は、圧力が所定の大きさまで到達しないかぎり、水素をほとんど吸蔵しない。
【0015】
これに対し、本発明に係る水素吸蔵材は、圧力が小さいときにも多量の水素を吸蔵することが可能となる。この理由は、本発明に係る水素吸蔵材においては、マトリックス相に比して水素の吸蔵・放出が容易な粒界相が占める割合が結晶質AlH3に比して大きいからであると推察される。すなわち、本発明に係る水素吸蔵材には、水素の吸蔵・放出が容易な粒界相が豊富に存在する。このため、低圧であっても水素を多量に吸蔵することが可能となる。
【0016】
このことから諒解されるように、本発明において、粒界相に保持された水素を放出させるのに要するエネルギは比較的小さい。換言すれば、比較的低温であっても、この粒界相から水素を放出させることが容易である。実際、本発明に係る水素吸蔵材において、水素の放出が開始される温度は100℃以下である。
【0017】
以上のように、本発明によれば、低圧で水素吸蔵反応を進行させることが可能である一方、低温で水素放出反応を進行させることが可能である。従って、例えば、この水素吸蔵材を収容したガス貯蔵用容器を燃料電池車に搭載した場合、該ガス貯蔵用容器内の圧力を高める設備を付設する必要がないので、燃料電池車の構成が簡素化される。また、該ガス貯蔵用容器に供給する熱量を低減することができるので、余剰の熱量を別の箇所に供給することが可能となる。このため、燃料電池車のシステム全体の熱効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る水素吸蔵材の製造方法は、結晶質AlH3に対し、水素雰囲気中で10G〜30G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与する条件でボールミリングを行うことで、Alからなるとともにその1辺の長さが1〜200nmである複数個のマトリックス相と、前記マトリックス相同士の間に介在してアモルファス相からなり且つ水素を固溶した粒界相とが存在する組織を有する水素吸蔵材とする工程を有し、
前記ボールミリングは、10分超〜60分未満の間で行われることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、ボールミリング時、AlH3に10G〜30Gという大きな力が作用する。この力により、結晶質AlH3の微細組織がナノ化するとともに、マトリックス相を構成するAlH3からHが解離して粒界相に固溶される。
【0020】
すなわち、本発明によれば、ボールミリングを行ってAlH3に力を付与するという工程を付加するのみで、低圧であっても水素を多量に吸蔵可能であり、低温であっても水素を多量に放出可能な水素吸蔵材を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水素吸蔵材を構成する微細組織に、Alからなるとともにその1辺の長さが1〜200nmであるマトリックス相と、アモルファス相からなり水素を固溶した粒界相とを含ませるようにしている。このように構成された水素吸蔵材は、低圧であっても水素を多量に吸蔵することが可能であり、且つ低温であっても水素を多量に放出することが可能である。
【0022】
従って、該水素吸蔵材を収容したガス貯蔵用容器に対し、加熱装置を付設したり、耐圧を向上させるための特別な構造を設けたりする必要がない。このため、ガス貯蔵用容器の構成を簡素なものとすることができるとともに、設備投資が高騰することを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る水素吸蔵材及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る水素吸蔵材の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。この図1に示されるように、該水素吸蔵材には、黒色として出現する部位と、白色として出現する部位とが存在する。この中、図2に拡大して示す黒色部位はAlの結晶格子(マトリックス相)であり、一方、図3に拡大して示す白色部位はアモルファス相(粒界相)である。後述するように、粒界相は、AlH3の粒界相が肥大化したものである。
【0025】
図4は、TEM写真が以上のように示される水素吸蔵材10の微細組織を模式的に表した組織構造説明図である。この図4中の参照符号12は、前記マトリックス相を表す。そして、マトリックス相12、12の間に、前記粒界相14が介在する。
【0026】
この水素吸蔵材10では、マトリックス相12は、隅部が湾曲した四辺形状に近似し得、その辺長t2は1〜200nmの範囲内である。一方、粒界相14の幅w2は、例えば、1〜数nmであるが、10nmを超える箇所や、マトリックス相12の辺長t2を超える箇所も認められる。また、図4から諒解されるように、粒界相14が占める割合が結晶質AlH3よりも大きく、約20〜90体積%にも及ぶ。
【0027】
ここで、本実施の形態において、マトリックス相12は、AlH3が解離したAlからなり、この解離したHは粒界相14に固溶している。すなわち、粒界相14はAlHx(ただし、0<x≦3)からなる。
【0028】
上記したように、結晶質AlH3(図10参照)の水素吸蔵サイトに水素を吸蔵させる場合、先ず、粒界相3から水素吸蔵が開始される。本実施の形態に係る水素吸蔵材10においても同様に、マトリックス相12に先んじて粒界相14から水素吸蔵が始まる。
【0029】
そして、上記したように、本実施の形態に係る水素吸蔵材10では、図10に示される結晶質AlH3に比して粒界相14の割合が著しく大きい。上記したように、粒界相14は水素圧力が比較的小さいときでも水素を容易に吸蔵するので、粒界相14を多く含む水素吸蔵材10では、図5にPCT線図として示すように、数十MPaという比較的低圧な条件下での水素吸蔵量が多くなる。換言すれば、水素吸蔵材10は、水素吸蔵に要する活性化エネルギが小さいために水素を吸蔵させることが比較的容易な粒界相14が多く存在することに基づいて、水素圧力が十数〜数十MPaと比較的小さいときに結晶質AlH3に比して多量の水素を吸蔵することができる。
【0030】
しかも、水素吸蔵材10の粒界相14からは、後述するように、60〜70℃でHが放出される。すなわち、100℃以下の温度で水素を放出させることが可能である。このため、例えば、この水素吸蔵材10を収容したガス貯蔵用容器を燃料電池車に搭載した場合、該ガス貯蔵用容器が70℃より若干高温となる程度に熱を供給すればよい。このため、燃料電池車の他の箇所に供給する熱量を多くすることができるので、燃料電池車のシステム全体の熱効率を向上させることが可能となる。
【0031】
このため、水素の吸蔵を促進するべく加熱装置を付設したり、ガス貯蔵用容器への充填圧力を過度に大きくしたりする必要がない。結局、本実施の形態によれば、簡素な構成を維持することができるとともに、設備投資が高騰することを回避することができる。
【0032】
本実施の形態に係る水素吸蔵材10は、次のようにして得ることができる。
【0033】
はじめに、AlH3を合成する。
【0034】
AlH3は、例えば、LiAlH4のジエチルエーテル溶液にAlCl3を溶解して常温で反応させることで得ることができる。すなわち、この反応によって生成したLiClを濾過によって分離し、濾液を真空ポンプ等によって室温で減圧することでジエチルエーテルを蒸発させる。さらに、40〜80℃で減圧して乾燥させれば、固体状のAlH3が得られる。この時点では、AlH3は結晶質AlH3である。
【0035】
このAlH3に対し、水素ガス雰囲気中で10G〜30G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与する条件でボールミリングを行う。具体的には、AlH3を粉砕用ボールとともに水素雰囲気中でポットに封入する。この際、該ポットの内部水素圧が0.1〜2MPaとなるようにする。
【0036】
次に、このポットを、遊星型ボールミル装置の円盤状台板に回転自在に設けられた回転台座と押止軸とで挟持し、さらに、前記円盤状台板及び前記回転台座の双方を回転させる。
【0037】
遊星型ボールミル装置では、ポットは、前記円盤状台板が回転することで公転運動を行う一方、前記回転台座が回転することで自転運動を行う。すなわち、ポットは、円盤状台板に連結された回転軸を中心に公転運動し、前記押止軸を中心に自転運動する。これら公転運動及び自転運動により、ポットに収容されたAlH3に力が作用する。なお、ボールミリングの間、ポット内が水素雰囲気に保たれているので、粒界相14に固溶したHが放出されることが抑制される。
【0038】
10G〜30Gの力は、円盤状台板及び回転台座の回転数や、処理時間を調整することで付与することができる。例えば、ポットの直径が80mm、高さが100mm、内容量が80mlであり、且つ円盤状台板の直径がおよそ300mmである場合、円盤状台板(公転運動)の回転数を350〜1000rpm、回転台座(自転運動)の回転数を800〜2400rpmとし、公転運動及び自転運動の双方を10分超〜60分未満の間続行すればよい。この時間が10分以下では、上記した微細組織の形成が不十分である。一方、60分以上であると、粒界相14から水素が過度に放出されてしまい、吸蔵された水素量が少なくなる。
【0039】
このように、本実施の形態においては、結晶質AlH3に対して大きなエネルギが付与される。その結果、結晶質AlH3のマトリックス相2を形成するAlH3からHが解離し、1辺の長さが1〜200nmのAlからなるマトリックス相12が形成される。その一方で、粒界相3が肥大化するとともにマトリックス相2(AlH3)から解離したHが該粒界相3に固溶し、AlHx(0<x≦3)である粒界相14が形成される。結局、結晶質AlH3がナノ構造の水素吸蔵材10に変化する。この水素吸蔵材10につきX線回折測定を行うと、Alに帰属するピークが出現する。
【実施例1】
【0040】
1mol/リットルのLiAlH4のジエチルエーテル溶液300ミリリットルに13gのAlCl3を添加して溶解し、常温においてガスの発生が認められなくなるまで反応させた。その後、溶液中に沈殿したLiClを濾過によって分離し、濾液を真空ポンプで1時間減圧することでジエチルエーテルを蒸発させ、さらに、40℃、60℃、80℃の各温度で1時間減圧して乾燥させ、2gの合成物粒子を得た。以上の作業を繰り返し、合計で6gの合成物粒子を調製した。
【0041】
次に、3gの合成物粒子を外径80mm、高さ100mm、内容量80mlのポットに粉砕用ボールとともに封入した。この封入は水素雰囲気中で行い、前記ポット内における水素の圧力が0.3MPaとなるように水素をポットに導入した。
【0042】
その後、遊星型ボールミル装置(独国フリッチュ社製)の円盤状台板上の回転台座と押止軸とで前記ポットを挟持し、ボールミリングを施した。なお、前記円盤状台板の直径は300mmであり、回転数は700rpmに設定した。また、回転台座の回転数、換言すれば、ポットの自転運動回転数を1600rpmに設定し、ボールミリング時間は55分とした。この条件下では、合成物粒子に付与された力は16Gであった。
【0043】
このようにして得られたボールミリング後の最終生成物につき、ブルカー社製のX線回折測定装置を用いてX線回折測定を行ったところ、図6に示すように、Alに帰属するピークのみが出現した。その一方で、ボールミリングを行う前の合成物粒子についてもX線回折測定を行った。その結果、図7に示すように、α−AlH3に由来するシャープなピークが出現した。
【0044】
以上の結果から、合成物粒子がAlH3であり、最終生成物におけるマトリックス相がAlであることが分かる。また、図6において最大強度を示したピークの強度は、図7において最大強度を示したピークの強度の約1/6である。この結果から、最終生成物の微細組織を構成するマトリックス相の体積分率が合成物粒子の微細組織を構成するマトリックス相の体積分率よりも減少し、逆に、最終生成物の微細組織を構成する粒界相の体積分率が合成物粒子の微細組織を構成する粒界相の体積分率よりも増加しているといえる。
【0045】
そして、図6に示される測定結果から、下記の式(1)に示されるシェラーの式を用いて最終生成物のマトリックス相の辺長を算出したところ、40nmであった。
D=K×λ/(β×cosθ) …(1)
なお、式(1)中、Dは辺長(単位はÅ)、Kはシェラー定数、λは使用X線管球の波長、βは半価幅、θは回折角である。
【0046】
以上の結果から、ボールミリングを行うことによってナノ構造体である水素吸蔵材が得られることが明らかである。
【実施例2】
【0047】
ボールミリング後の最終生成物から10mgを採取し、N2ガス流通下で熱重量分析を行った。なお、測定温度範囲は室温〜400℃とし、昇温速度は5℃/分とした。結果を図8に示す。図8中の重量減少が、水素が放出されたことを表す。
【0048】
この図8から諒解されるように、最終生成物のマトリックス相はAlからなり、水素が存在しないにも関わらず、該最終生成物からは、100℃以下で水素の放出が開始されている。しかも、その重量減少、換言すれば、水素放出量は、最終生成物の重量の5wt%にも及ぶ。このことから、体積分率が著しく増加した粒界相に水素が貯蔵(固溶)され、しかも、その水素は容易に放出されるといえる。
【0049】
このように、マトリックス相にHが存在しないにも関わらず、最終生成物は多量の水素を放出することができる。
【0050】
比較のため、前記合成物粒子についても上記と同様の条件下で熱重量分析を行った。結果を図9に示す。この図9から、合成物粒子(結晶質AlH3)では、200℃付近で大きな重量減少、すなわち、水素放出が起こることが分かる。
【0051】
以上の結果から、最終生成物(ナノ構造体)が低温において多量の水素を放出することが可能な水素吸蔵材であることが明らかである。この理由は、微細組織中で粒界相が占める割合が多いためであると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係る水素吸蔵材のTEM写真である。
【図2】図1中の黒色部位を拡大したTEM写真である。
【図3】図1中の白色部位を拡大したTEM写真である。
【図4】本実施の形態に係る水素吸蔵材の微細組織を模式的に表した組織構造説明図である。
【図5】本実施の形態に係る水素吸蔵材が水素を吸蔵する際の模式的なPCT線図である。
【図6】最終生成物(本実施の形態に係る水素吸蔵材)のX線回折パターンである。
【図7】合成物粒子(結晶質AlH3)のX線回折パターンである。
【図8】最終生成物(本実施の形態に係る水素吸蔵材)の熱重量分析チャート図である。
【図9】合成物粒子(結晶質AlH3)の熱重量分析チャート図である。
【図10】結晶質AlH3の微細組織を模式的に表した組織構造説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…結晶質AlH3 2、12…マトリックス相
3、14…粒界相 10…水素吸蔵材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を可逆的に吸蔵・放出可能な水素吸蔵材であって、
複数個のマトリックス相と、前記マトリックス相同士の間に介在する粒界相とが存在する組織を有し、
前記マトリックス相がAlからなるとともにその1辺の長さが1〜200nmであり、
前記粒界相がアモルファス相からなり、
且つ前記粒界相に水素が固溶したことを特徴とする水素吸蔵材。
【請求項2】
結晶質AlH3に対し、水素雰囲気中で10G〜30G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与する条件でボールミリングを行うことで、Alからなるとともにその1辺の長さが1〜200nmである複数個のマトリックス相と、前記マトリックス相同士の間に介在してアモルファス相からなり且つ水素を固溶した粒界相とが存在する組織を有する水素吸蔵材とする工程を有し、
前記ボールミリングは、10分超〜60分未満の間で行われることを特徴とする水素吸蔵材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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