説明

水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステム

【課題】 半導体を含む電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることが可能な水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステムを提供する。
【解決手段】 半導体を含む第1の電極962、対極964、並びに第1の電極962及び対極964に挟まれた位置にあり、電解質を収容するための空間部を有し、第1の電極962に光が照射されることにより水素を発生するセル960と、セル960内における水素の発生が抑制または停止するように第1の電極962と対極964との間に電圧を印加するための電圧印加部970を有し、第1の電極962及び対極964を電気的に接続する外部回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の照射により水素を生成する水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体電極及び対極を電解液と接触させ、半導体電極と対極とを負荷抵抗を介して電気的に接続した状態において、半導体電極に光を照射することにより、水が分解されて水素と酸素が発生することが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、半導体電極としてn型半導体を用い、対極としてクラスター状炭素またはクラスター状炭素を被覆した電極を用いることにより、光エネルギーのみにより水素及び酸素を生成することが可能な装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、半導体電極としてn型半導体を用い、半導体電極及と対極との間に外部電源を用いて電圧を印加するとともに半導体電極に光を照射することにより、水素及び酸素を生成することが可能な装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、光触媒を含有するプロトン生成部、電流検出器、電子蓄積部、スイッチ、水素生成部、及びプロトン伝導部が閉じたサイクルを形成するようにこの順に接続され、さらにプロトン伝導部と接続されたプロトン蓄積部を備えた装置が開示されている。
【0006】
また、従来、太陽光及び光触媒として機能する半導体によって水を電気分解して水素を発生させる水素生成装置と、水素生成装置において発生した水素を貯蔵する水素貯蔵部と、水素貯蔵部に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池とを備えたエネルギーシステムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平7−73909号公報
【特許文献2】特開昭51−123779号公報
【特許文献3】特開2007−39298号公報
【特許文献4】特開2000−333481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の発電システムにおいて、長期に電力が不要な場合、例えば、発電システムが家庭に設置され、長期に留守にする場合には、燃料電池の運転が停止される。しかし、水素生成装置に光が照射される限り水素生成は引き続き行われるので、水素貯蔵器における水素の貯蔵量が許容量の上限に達するおそれがある。
【0008】
特許文献3に記載の装置においては、水素を生成するに必要がない場合、電子蓄積部と水素生成部との間に設けられたスイッチをオフにすることにより、水素生成部への電子及びプロトンの供給が停止するため、水素生成部における水素の生成が停止される。しかし、プロトン生成部への光照射により生成したプロトン及び電子を蓄積しておくために、電子蓄積部及びプロトン蓄積部が必要となるので、装置構成が複雑になる。
【0009】
また、特許文献1または2に記載の装置において、半導体電極と対極との間の電気的な接続を単に遮断した場合は、対極におけるガスの発生を停止させることはできる。しかし
、半導体電極に光が照射されていると、半導体電極において水素と酸素の両方が発生するおそれがある。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み、半導体を含む電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることが可能な水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の水素生成装置は、
半導体を含む第1の電極、
対極、並びに
前記第1の電極及び前記対極に挟まれた位置にあり、電解質を収容するための空間部を有し、
前記第1の電極に光が照射されることにより水素を発生するセルと、
前記セル内における水素の発生が抑制または停止するように前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加するための電圧印加部を有し、
前記第1の電極及び前記対極を電気的に接続する外部回路とを備える。
【0012】
また、本発明の水素生成方法は、
上記水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、及び
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含む。
【0013】
また、本発明の水素生成方法は、
上記水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を、前記電圧制御部を用いて変化させながら、前記電流検出器により前記第1の電極と前記対極との間に流れる電流を検出する工程、
(C)前記工程Bにおける検出結果に基づき、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させるために前記第1の電極と前記対極との間に印加する電圧を決定する工程、
(D)前記工程Dにより決定された電圧を前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含む。
【0014】
また、本発明のエネルギーシステムは、
上記水素生成装置、
前記水素生成装置における前記セルと配管により接続され、前記セル内において生成した水素を貯蔵するための水素貯蔵器、及び
前記水素貯蔵器と配管により接続され、前記水素貯蔵器において貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステムによると、半導体を含む電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の水素生成装置は、半導体を含む電極と対極との間に電圧を印加することによりセル内における水素の発生を抑制または停止する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の水素生成装置は、
半導体を含む第1の電極、
対極、並びに
前記第1の電極及び前記対極に挟まれた位置にあり、電解質を収容するための空間部を有し、
前記第1の電極に光が照射されることにより水素を発生するセルと、
前記セル内における水素の発生が抑制または停止するように前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加するための電圧印加部を有し、
前記第1の電極及び前記対極を電気的に接続する外部回路とを備える。
【0018】
上記構成によって、電圧印加部を用いて第1の電極と対極との間に電圧(電位差)を印加することによりセル内における水素の発生が抑制または停止するので、第1の電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることができる。
【0019】
図1及び図2に、半導体を含み、表面に半導体が露出した電極と対極とが電解質溶液中に浸漬された状態におけるエネルギーバンド図を示す。図1は、n型半導体の場合、図2は、p型半導体の場合である。
【0020】
半導体を含み、表面に半導体が露出した電極を電解質溶液に浸漬すると、半導体と電解質溶液との界面において、半導体の表面付近に空間電荷層が生じる。このとき、半導体に対して、半導体のバンドギャップと同等またはバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、電子及び正孔がそれぞれ上下のバンド、すなわち伝導帯及び価電子帯に生じる。空間電荷層内では、光照射により生じた電子と正孔はバンドの勾配に沿って互いに反対の方向に移動する。
【0021】
半導体を含む電極と対極とを負荷抵抗を介して電気的に接続すると、n型半導体の場合、半導体表面側に正孔が移動し、対極側に電子が移動する。一方、p型半導体の場合は、半導体表面側に電子が移動し、対極側に正孔が移動する。このとき、半導体を含む電極と対極との間には、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する起電力が生じる。
【0022】
半導体として電解質溶液に対して安定な材料であるn型半導体を用いた場合、半導体と電解質溶液との界面では、下記反応式(化1)により水が分解され、酸素が発生する。
【0023】
【化1】

【0024】
対極では、下記反応式(化2)により、水素が発生する。
【0025】
【化2】

【0026】
一方、半導体として電解質溶液に対して安定な材料であるp型半導体を用いた場合は、半導体と電解質溶液との界面において(化2)に示す反応により水素が発生し、対極において(化1)に示す反応により酸素が発生する。
【0027】
n型半導体を用いる場合、半導体を含む電極と対極との間に、半導体を含む電極側が負になるように電圧を印加すると、空間電荷層におけるバンドの曲がりが緩和されるので、光によって生じた電子及び正孔が再結合することにより消滅する割合が増加する。これにより、半導体を含む電極と対極との間に流れる電流が減少するので、対極における水素の発生が抑制される。半導体を含む電極と対極との間に、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧が印加されると、半導体がフラットバンド状態となる。このとき、半導体を含む電極と対極との間に流れる電流がゼロとなるので、対極における水素の発生を停止することができる。
【0028】
一方、p型半導体を用いる場合は、半導体を含む電極と対極との間に、半導体を含む電極側が正になるように電圧を印加することにより、半導体を含む電極における水素の発生を抑制することができる。半導体を含む電極と対極との間に印加される電圧を、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧にすると、半導体を含む電極における水素の発生を停止することができる。
【0029】
上記第1の電極に含まれる半導体としては、チタン、タングステン、鉄、タンタル、カドミウム、銅、ガリウム及びインジウムからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物(オキサイド)、酸窒化物(オキシナイトライド)、窒化物(ナイトライド)、硫化物(サルファイド)、酸硫化物(オキシサルファイド)を用いることができる。この中では、上記第1の電極に含まれる半導体が酸化物であることが好ましい。上記第1の電極に含まれる半導体が酸化物であると、水の分解反応に対する過電圧を小さくすることができる。上記第1の電極に含まれる半導体は、チタン、タングステン、鉄、タンタル、ガリウム及びインジウムからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物、酸窒化物、または窒化物を複数種類含んでいてもよい。
【0030】
本発明において、上記第1の電極に含まれる半導体としては、水を分解して水素を発生させるため、伝導帯準位伝導体のバンドエッジの準位が水素イオンの還元準位(0eV)以下であって、かつ価電子帯のバンドエッジの準位が水の酸化電位(1.23eV)以上であることが好ましい。具体的には、例えば、TiO、SrTiO、KTaO、Ta3N5、TaON、GaN、CdS、Cu2O)が挙げられる。
【0031】
本発明における第1の電極においては、導電体と半導体とが接触した構造を含んでいることが好ましい。導電体としては、半導体との接触がオーミック接触となるものであることが好ましい。例えば、金属、またはITO(Indium Tin Oxide)、FTO(F doped Tin Oxide)などの導電性材料を用いることができる。
【0032】
第1の電極における導電体の部分のうち、半導体に被覆されない部分は、絶縁体によって被覆されることが好望ましい。絶縁体としては、例えば、樹脂を用いることができる。このようにすると、第1の電極における導電体の部分が電解質溶液内に溶解するのを防ぐ
ことができる。
【0033】
また、対極としては、過電圧の小さい材料を用いることが好ましい。第1の電極に含まれる半導体がn型半導体である場合には対極において水素が発生するので、例えば、Pt、Au、Ag、Feなどが挙げられる。一方、第1の電極に含まれる半導体がp型半導体である場合には対極において酸素が発生するので、Ni、Ptなどが挙げられる。
【0034】
また、電圧印加部によって第1の電極と対極との間に印加される電圧は、固定電圧であっても、可変電圧であってもよい。このうち、電圧印加部によって印加される電圧が可変電圧であることが好ましい。電圧印加部によって印加される電圧が可変電圧であれば、セル内における水素の発生を抑制する度合いを制御することができる。電圧印加部は、電源を備えていることが好ましい。電源としては、例えば、電池が挙げられる。
【0035】
また、 前記外部回路が、
前記第1の電極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器により検出された電流値に基づき、前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を制御する電圧制御部とをさらに有していてもよい。
【0036】
電解質溶液と接触している半導体のフラットバンド電位は、電解質溶液のpH変化、半導体自身の劣化等に依存して変動する。したがって、セル内における水素生成を所定量に抑制または停止させるために印加することが必要な第1の電極−対極間の電圧は、電解質溶液のpH変化、半導体自身の劣化等により変動するおそれがある。
【0037】
そこで、上記の構成によると、電圧制御器により第1の電極−対極間に印加する電圧を変化させ、そのときに第1の電極−対極間に流れる電流を、電流検出器を用いて測定することにより、セル内における水素生成を所定量に抑制または停止させるために印加することが必要な第1の電極−対極間の電圧を求めることができるので、高精度に水素の発生量を抑制または停止させることができる。
【0038】

また、本発明の水素生成装置は、前記外部回路が、
前記外部回路を流れる電流の方向を、前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧が0Vのときに流れる方向に整流する整流部をさらに有していてもよい。
【0039】
第1の電極に含まれる半導体がn型半導体である場合、第1の電極−対極間に、第1の電極側が負となる電圧であって、かつ半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧を超える電圧が印加されると、第1の電極−対極間に印加される電圧が0の場合とは逆の方向に電流が流れることにより、第1の電極において上記反応式(化2)により水素が発生し、対極において上記反応式(化1)により酸素が発生するおそれがある。したがって、セル内における水素生成を完全には停止させることができなくなる。
【0040】
一方、第1の電極に含まれる半導体がp型半導体である場合、第1の電極−対極間に、第1の電極側が正となる電圧であって、かつ半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧を超える電圧が印加されると、第1の電極−対極間に印加される電圧が0の場合とは逆の方向に電流が流れることにより、第1の電極において上記反応式(化1)により酸素が発生し、対極において上記反応式(化2)により水素が発生するおそれがある。
【0041】
そこで、上記の構成によると、外部回路に設けられた整流部により、第1の電極−対極間に印加される電圧が0の場合とは逆の方向には電流が流れなくなる。そのため、第1の電極−対極間に、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧を超える電圧が印加された場合であっても、第1の電極−対極間には電流が流れなくなるので、セル内における水素生成を停止させることができる。したがって、セル内における水素生成を停止させる際に、電圧印加部により第1の電極−対極間に印加する電圧を、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧に精密に制御する必要がなくなる。電圧印加部により第1の電極−対極間に印加する電圧を、半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧以上に制御すれば、セル内における水素生成を確実に停止させることができる。
【0042】
本発明において、整流部としては、電流の方向を一方の方向に整流することができる素子であれば、公知の素子を用いることができる。整流部としては、例えば、ダイオードが挙げられる。
【0043】
本発明の水素生成方法は、上記水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、及び
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含む。
【0044】
この方法によると、電圧印加部を用いて第1の電極と対極との間に電圧を印加することによりセル内における水素の発生が抑制または停止するので、第1の電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることができる。
【0045】
また、本発明の水素生成方法は、請求項2に記載の水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を、前記電圧制御部を用いて変化させながら、前記電流検出器により前記第1の電極と前記対極との間に流れる電流を検出する工程、
(C)前記工程Bにおける検出結果に基づき、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させるために前記第1の電極と前記対極との間に印加する電圧を決定する工程、
(D)前記工程Dにより決定された電圧を前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含んでいてもよい。
【0046】
上記の構成によると、電圧制御器を用いて、電圧印加部により第1の電極−対極間に印加される電圧を変化させ、そのときに第1の電極−対極間に流れる電流を、電流検出器を用いて測定することにより、セル内における水素生成を所定量に抑制または停止させるために印加することが必要な第1の電極−対極間の電圧を求めることができるので、高精度に水素の発生量を抑制または停止させることができる。
【0047】
本発明のエネルギーシステムは、上記水素生成装置、
前記水素生成装置における前記セルと配管により接続され、前記セル内において生成した水素を貯蔵するための水素貯蔵器、及び
前記水素貯蔵器と配管により接続され、前記水素貯蔵器において貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池を備えている。
【0048】
水素生成装置に光が照射されている状態において燃料電池による発電が停止された場合
、水素貯蔵器における水素の貯蔵量が許容量の上限に達するおそれがある。水素生成装置による水素の生成が停止されない場合、例えば、水素貯蔵器において貯蔵されている水素を消費するために、燃料電池を再起動させ、電力及び熱を廃棄するシステムが必要となる。
【0049】
しかし、上記の構成によると、電圧印加部を用いて第1の電極と対極との間に電圧を印加することにより水素生成装置における水素の発生が停止するので、第1の電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成を停止させることができる。また、電圧印加部を用いて第1の電極と対極との間に電圧を印加することにより水素生成装置における水素の発生を停止させている間は、第1の電極−対極間には電流が流れることがないので電力を消費しない。したがって、低コストであるエネルギーシステムを提供することができる。
【0050】
本発明のエネルギーシステムは、前記水素貯蔵器内に貯蔵された水素の量を検知するための手段、及び前記水素量検知手段の出力に基づき、前記水素生成装置における前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0051】
上記の構成によると、水素量検知手段の出力に基づき、水素貯蔵器における水素の貯蔵量が許容量の上限に達したことを検知することができる。そこで、水素量検知手段の出力に基づき、制御部が電圧印加部を制御して、前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加することにより、水素貯蔵器における水素の貯蔵量が許容量の上限を超える前に、水素生成装置による水素の生成を停止させることができる。
【0052】
本発明において、水素量検知手段としては、例えば、圧力計、燃料電池反応を利用したセンサーが挙げられる。
【0053】

本発明のエネルギーシステムは、前記燃料電池により変換された電力を蓄える蓄電池をさらに備えていてもよい。また、前記蓄電池が、前記水素生成装置における第1の電極−対極間に電圧を供給するための2つの出力端子を備えていてもよい。このとき、前記蓄電池の2つの出力端子のうち、第1の出力端子が第1の電極と電気的に接続され、第2の出力端子が対極と電気的に接続されており、第1の出力端子−第1の電極間及び第2の出力端子−対極間のうち少なくとも一方に、可変抵抗が直列に接続されていること好ましい。このようにすると、可変抵抗における抵抗値を変化させることにより、第1の電極−対極間に印加される電圧を変化させることができる。ここで、蓄電池及び可変抵抗は、本発明における電圧印加部に相当する。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
(実施の形態1)(固定電圧が印加される場合)
まず、本発明の実施の形態1に係るエネルギーシステムの構成について、図3〜図6を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1におけるエネルギーシステムの構成を示す概略図、図4は上記エネルギーシステム内の水素生成装置におけるセル102の構成を示す概略断面図、図5は上記エネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図、及び図6は上記制御装置における電圧印加部の構成を示す回路図である。
【0056】
図3に示すように、本実施の形態におけるエネルギーシステム100は、水素生成装置110と、水素貯蔵器130と、燃料電池140と、蓄電池150とを備えている。
【0057】
水素生成装置110は、セル102と、制御装置120とを備えている。図4に示すように、セル102は、筐体104と、セパレータ106と、第1の電極108と、対極109とを備えている。筐体104の内部は、セパレータ106によって第1室112及び第2室114の2室に分離されている。第1室112及び第2室114には、水を含む電解質101がそれぞれ収容されている。
【0058】
第1室112内には、電解質101と接触する位置に第1の電極108が配置されている。第1の電極108の表面の少なくとも一部にはn型半導体の領域が設けられており、このn型半導体の領域が電解質101と接触するように第1の電極108が配置されている。また、第1室112は、第1室112内で発生した酸素を排気するための第1の排気口116及び第1室112内に水を供給するための給水口117を備えている。筐体104のうち、第1室112内に配置された第1の電極108の表面のn型半導体の領域と対向する部分(以下、光入射部105と略称する)は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
【0059】
一方、第2室114内には、電解質101と接触する位置に対極109が配置されている。また、第2室114は、第2室114内で発生した水素を排気するための第2の排気口118を備えている。セパレータ106は、電解質101を透過させ、第1室112及び第2室114内で発生した各ガスを遮断する機能を有する。
【0060】
水素貯蔵器130は、第1の配管132によって、セル102の第2室114と接続されている。第1の配管132には第1の遮断弁134が設けられており、第1の配管132の一方の端は第2室114の第2の排気口118と連結されている。また、水素貯蔵器130には、水素貯蔵器130内の圧力を計測するための圧力計136が設けられている。水素貯蔵器130としては、例えば、水素生成装置110において生成された水素を圧縮するコンプレッサーと、コンプレッサーにより圧縮された水素を貯蔵する高圧水素ボンベから構成することができる。
【0061】
燃料電池140は、発電部142と、発電部142を制御するための燃料電池制御部144とを備えている。燃料電池140は、第2の配管146によって、水素貯蔵器130と接続されている。第2の配管146には、第2の遮断弁148が設けられている。燃料電池140としては、例えば、固体高分子電解質型燃料電池を用いることができる。
【0062】
蓄電池150の正極及び負極は、燃料電池140における発電部142の正極及び負極と、第1の配線152及び第2の配線154によって、それぞれ電気的に接続されている。蓄電池150には、蓄電池150の残存容量を計測するための容量計測部156が設けられている。蓄電池150としては、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
【0063】
図5に示すように、制御装置120は、電圧印加部200、中央演算装置(以下、CPUと略称する)202、第1の端子210、及び第2の端子212を備えている。ここで、制御装置120の第1の端子210はセル102の第1の電極108と電気的に接続され、第2の端子212はセル102の対極109と電気的に接続されている。ここで、CPU202は本発明における電圧制御部に相当する。
【0064】
図6に示すように、電圧印加部200は、例えば、第3の端子310、第4の端子312、第1の抵抗320、第2の抵抗322、第3の抵抗324、第1のスイッチ330、第2のスイッチ332、及び第3のスイッチ334により構成される。ここで、電圧印加部200の第3の端子310は蓄電池150の負極と電気的に接続され、第4の端子31
2は蓄電池150の正極と電気的に接続されている。
【0065】
次に、本実施の形態に係るエネルギーシステム100の動作について説明する。
【0066】
まず、通常の運転時におけるエネルギーシステム100の動作について説明する。通常運転時においては、電圧印加部200における第1のスイッチ330は、第1の接点340側が閉じた状態になっており、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに開いた状態になっている。そのため、水素生成装置110におけるセル102の第1の電極108と対極109は、第1の抵抗320を介してセル102の外部において電気的に接続された状態になっている。
【0067】
水素生成装置110におけるセル102の光入射部105を通して、第1室112内に配置された第1の電極108の表面のn型半導体の領域に太陽光が照射されると、n型半導体の領域において電子と正孔が生じる。このとき生じた正孔はn型半導体の領域の表面側に移動し、n型半導体の領域の表面において上記反応式(化1)により水が分解され、酸素が発生する。一方、電子は、第1の抵抗320を介して第1の電極108と電気的に接続された対極109側に移動し、対極109の表面において上記反応式(化2)により水素が発生する。
【0068】
第1室112内で発生した酸素は、第1の排気口116を通してセル102外に排気される。一方、第2室114内で発生した水素は、第2の排気口118及び第1の配管132を通して水素貯蔵器130内に供給される。
【0069】
燃料電池140において発電するときには、燃料電池制御部144からの信号により第2の遮断弁148が開かれ、水素貯蔵器130内に貯蔵された水素が、第2の配管146を通して燃料電池140の発電部142に供給される。
【0070】
燃料電池140の発電部142において発電された電気は、第1の配線152及び第2の配線154を介して蓄電池150内に蓄えられる。蓄電池150内に蓄えられた電気は、第3の配線160及び第4の配線162によって、家庭、企業等に供給される。
【0071】
次に、水素の発生量を抑制する場合または水素の発生を停止させる場合におけるエネルギーシステム100の動作について説明する。長時間電力の需要がない場合、蓄電池150の蓄電量は増加する。容量計測部156からの信号により、蓄電池150の蓄電量が許容量に達したことを燃料電池制御部144が検出すると、燃料電池制御部144は発電部142の運転を停止させるとともに、燃料電池制御部144は第2の遮断弁148を閉じて水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給を停止させる。
【0072】
水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給が停止すると、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が増加する。圧力計136からの信号により、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が許容量に達したことを制御装置120が検出すると、制御装置120におけるCPU202が電圧印加部200を制御して、セル102における水素の生成を停止させる。具体的には、CPU202からの信号により、電圧印加部200における第1のスイッチ330は、第2の接点342側が閉じた状態に切り替えられ、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに閉じられる。これにより、第1の端子210及び第2の端子212を介して、セル102の第1の電極108−対極109間に、第1の電極108側が負になるように電圧が印加される。本実施の形態においては、第1の電極108−対極109間に印加される電圧が、第1の電極108におけるn型半導体のフラットバンド電位Vfbとフェルミ準位Eとの差に相当する電圧となるように、第2の抵抗322及び第3の抵抗324の抵抗値が設定されている。電圧の印加により第1
の電極108におけるn型半導体がフラットバンド状態となるため、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなり、対極109における水素の発生を停止させることができる。
【0073】
制御装置120におけるCPU202が電圧印加部200を制御して、セル102における水素の生成を停止させるとともに、制御装置120は第1の遮断弁134を閉じる。
【0074】
本実施の形態に係るエネルギーシステム100によると、電圧印加部200を用いて第1の電極108と対極109との間に固定電圧を印加することにより水素生成装置110における水素の発生が停止するので、第1の電極108に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成を停止させることができる。また、電圧印加部200を用いて第1の電極108と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置110における水素の発生を停止させている間は、第1の電極108−対極109間には電流が流れることがないので電力を消費しない。したがって、低コストであるエネルギーシステムを提供することができる。さらに、水素生成装置110における制御装置120には蓄電池150から電力が供給されるので、外部からの電力供給が不要な自立型のエネルギーシステムを提供することができる。
【0075】
(実施の形態2)(可変電圧が印加される場合)
次に、本発明の実施の形態2に係るエネルギーシステムの構成について、図3、図4、図7、及び図8を用いて説明する。図7は本発明の実施の形態2に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図、並びに図8は上記制御装置における電圧印加部及び電流計の構成を示す回路図である。実施の形態1に係るエネルギーシステム100と同じ構成については同じ符号を用いて、説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、本実施の形態に係るエネルギーシステム500内の水素生成装置510における制御装置520は、電圧印加部530、電流計540、CPU202、第1の端子210、及び第2の端子212を備えている。ここで、制御装置520の第1の端子210はセル102の第1の電極108と電気的に接続され、第2の端子212はセル102の対極109と電気的に接続されている。ここで、CPU202は本発明における電圧制御部に相当し、電流計540は本発明における電流検出器に相当する。
【0077】
図8に示すように、電圧印加部530は、例えば、第3の端子310、第4の端子312、電流計540、第1の抵抗320、第2の抵抗522、第3の抵抗324、第1のスイッチ330、第2のスイッチ332、及び第3のスイッチ334により構成される。実施の形態1における電圧印加部200と異なり、第2の抵抗522は固定抵抗ではなく、可変抵抗により構成されている。また、電流計540が第2の端子212と第1の抵抗320との間に接続されている。ここで、電圧印加部530の第3の端子310は蓄電池150の負極と電気的に接続され、第4の端子312は蓄電池150の正極と電気的に接続されている。
【0078】
次に、本実施の形態に係るエネルギーシステム500の動作について説明する。
【0079】
通常の運転時におけるエネルギーシステム500の動作については、実施の形態1に係るエネルギーシステム100の動作と同様であるので説明を省略する。
【0080】
次に、水素の発生量を抑制する場合または水素の発生を停止させる場合におけるエネルギーシステム500の動作について説明する。長時間電力の需要がない場合、蓄電池150の蓄電量は増加する。容量計測部156からの信号により、蓄電池150の蓄電量が許容量に達したことを燃料電池制御部144が検出すると、燃料電池制御部144は発電部
142の運転を停止させるとともに、燃料電池制御部144は第2の遮断弁148を閉じて水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給を停止させる。
【0081】
水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給が停止すると、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が増加する。圧力計136からの信号により、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が許容量に達したことを制御装置520が検出すると、制御装置520におけるCPU202が電圧印加部530を制御して、セル102における水素の生成を停止させる。
【0082】
具体的には、まず、CPU202からの信号により、電圧印加部530における第1のスイッチ330は、第2の接点342側が閉じた状態に切り替えられ、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに閉じられる。これにより、第1の端子210及び第2の端子212を介して、セル102の第1の電極108−対極109間に、第1の電極108側が負になるように電圧が印加される。
【0083】
次に、CPU202は、可変抵抗である第2の抵抗522の抵抗値を変化させながら、電流計540により第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測する。これにより、第1の電極108−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測することができるので、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そこで、CPU202は、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるように第2の抵抗522の抵抗値を制御する。これにより、対極109における水素の発生を停止させることができる。
【0084】
制御装置520におけるCPU202が電圧印加部530を制御して、セル102における水素の生成を停止させるとともに、制御装置520は第1の遮断弁134を閉じる。
【0085】
本実施の形態に係るエネルギーシステム500によると、実施の形態1と同様に、電圧印加部530を用いて第1の電極108と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置510における水素の発生が停止するので、第1の電極108に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成を停止させることができる。また、実施の形態1と同様に、電圧印加部530を用いて第1の電極108と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置510における水素の発生を停止させている間は、第1の電極108−対極109間には電流が流れることがないので電力を消費しない。したがって、低コストであるエネルギーシステムを提供することができる。さらに、実施の形態1と同様に、水素生成装置510における制御装置520には蓄電池150から電力が供給されるので、外部からの電力供給が不要な自立型のエネルギーシステムを提供することができる。
【0086】
さらに、本実施の形態に係るエネルギーシステム500によると、第1の電極108−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測することにより、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そのため、第1の電極108の表面にあるn型半導体のフラットバンド電位が、電解質101のpH変化、半導体自身の劣化等に依存して変動した場合であっても、対極109に対する第1の電極108の電位が十分に負にならずに対極109においてわずかに水素が発生したり、対極109に対する第1の電極108の電位が過剰に負になることにより対極109側ではなく第1の電極108側において水素が発生したりすることがなく、セル102における水素の発生を確実に停止させることができる。
【0087】
(実施の形態3)(さらに整流部がある場合)
次に、本発明の実施の形態3に係るエネルギーシステムの構成について、図3、図4、図9、及び図10を用いて説明する。図9は本発明の実施の形態3に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図、並びに図10は上記制御装置における電圧印加部、電流計及び整流部の構成を示す回路図である。実施の形態1及び実施の形態2に係るエネルギーシステムと同じ構成については同じ符号を用いて、説明を省略する。
【0088】
図9に示すように、本実施の形態に係るエネルギーシステム700内の水素生成装置710における制御装置720は、電圧印加部730、電流計540、整流部740、CPU202、第1の端子210、及び第2の端子212を備えている。ここで、制御装置720の第1の端子210はセル102の第1の電極108と電気的に接続され、第2の端子212はセル102の対極109と電気的に接続されている。ここで、CPU202は本発明における電圧制御部に相当し、電流計540は本発明における電流検出器に相当する。
【0089】
図10に示すように、電圧印加部730は、例えば、第3の端子310、第4の端子312、電流計540、第1の抵抗320、第2の抵抗522、第3の抵抗324、第1のスイッチ330、第2のスイッチ332、及び第3のスイッチ334により構成される。実施の形態2における電圧印加部530と同様に、第2の抵抗522は固定抵抗ではなく、可変抵抗により構成されている。また、整流部740としてダイオード742を用いる場合、例えば、第1の端子210と第2のスイッチ332との間に、第2のスイッチ332から第1の端子210の方向に電流が流れ、逆方向には電流が流れないようにダイオード742が接続される。ここで、電圧印加部730の第3の端子310は蓄電池150の負極と電気的に接続され、第4の端子312は蓄電池150の正極と電気的に接続されている。
【0090】
次に、本実施の形態に係るエネルギーシステム700の動作について説明する。
【0091】
通常の運転時におけるエネルギーシステム700の動作については、実施の形態1に係るエネルギーシステム100の動作と同様であるので説明を省略する。
【0092】
次に、水素の発生量を抑制する場合または水素の発生を停止させる場合におけるエネルギーシステム700の動作について説明する。長時間電力の需要がない場合、蓄電池150の蓄電量は増加する。容量計測部156からの信号により、蓄電池150の蓄電量が許容量に達したことを燃料電池制御部144が検出すると、燃料電池制御部144は発電部142の運転を停止させるとともに、燃料電池制御部144は第2の遮断弁148を閉じて水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給を停止させる。
【0093】
水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給が停止すると、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が増加する。圧力計136からの信号により、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が許容量に達したことを制御装置720が検出すると、制御装置720におけるCPU202が電圧印加部730を制御して、セル102における水素の生成を停止させる。
【0094】
具体的には、まず、CPU202からの信号により、電圧印加部730における第1のスイッチ330は、第2の接点342側が閉じた状態に切り替えられ、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに閉じられる。これにより、第1の端子210及び第2の端子212を介して、セル102の第1の電極108−対極109間に、第1の電極108側が負になるように電圧が印加される。
【0095】
次に、CPU202は、可変抵抗である第2の抵抗522の抵抗値を変化させながら、電流計540により第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測する。これにより、第1の電極108−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測することができるので、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そこで、CPU202は、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるように第2の抵抗522の抵抗値を制御する。これにより、対極109における水素の発生を停止させることができる。
【0096】
制御装置720におけるCPU202が電圧印加部730を制御して、セル102における水素の生成を停止させるとともに、制御装置720は第1の遮断弁134を閉じる。
【0097】
本実施の形態に係るエネルギーシステム700によると、実施の形態1と同様に、電圧印加部730を用いて第1の電極108と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置710における水素の発生が停止するので、第1の電極108に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成を停止させることができる。また、実施の形態1と同様に、電圧印加部730を用いて第1の電極108と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置710における水素の発生を停止させている間は、第1の電極108−対極109間には電流が流れることがないので電力を消費しない。したがって、低コストであるエネルギーシステムを提供することができる。さらに、実施の形態1と同様に、水素生成装置710における制御装置720には蓄電池150から電力が供給されるので、外部からの電力供給が不要な自立型のエネルギーシステムを提供することができる。
【0098】
さらに、本実施の形態に係るエネルギーシステム700によると、実施の形態2と同様に、第1の電極108−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極108−対極109間に流れる電流を計測することにより、第1の電極108−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そのため、第1の電極108の表面にあるn型半導体のフラットバンド電位が、電解質101のpH変化、半導体自身の劣化等に依存して変動した場合であっても、対極109に対する第1の電極108の電位が十分に負にならずに対極109においてわずかに水素が発生することがなく、セル102における水素の発生を確実に停止させることができる。
【0099】
さらに、本実施の形態に係るエネルギーシステム700によると、セル102の外部において、整流部740を介して第1の電極108及び対極109が電気的に接続されているので、第1の電極108−対極109間に通常の運転時と逆方向の電流が流れることを抑制することができる。そのため、対極109に対する第1の電極108の電位が過剰に負になった場合であっても、第1の電極108側において水素が発生することがなく、セル102における水素の発生を確実に停止させることができる。
【0100】
(実施の形態4)(p型半導体の場合)
次に、本発明の実施の形態4に係るエネルギーシステムの構成について、図3、図4、図11、及び図12を用いて説明する。図11は本発明の実施の形態4に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図、並びに図12は上記制御装置における電圧印加部、電流計及び整流部の構成を示す回路図である。実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3に係るエネルギーシステムと同じ構成については同じ符号を用いて、説明を省略する。
【0101】
図4に示すように、エネルギーシステム900におけるセル902の第1室112内に
は、電解質101と接触する位置に第1の電極908が配置されている。第1の電極908の表面の少なくとも一部にはp型半導体の領域が設けられており、このp型半導体の領域が電解質101と接触するように第1の電極908が配置されている。また、第1室112は、第1室112内で発生した水素を排気するための第1の排気口916及び第1室112内に水を供給するための給水口117を備えている。筐体104のうち、第1室112内に配置された第1の電極908の表面のp型半導体の領域と対向する部分は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
【0102】
一方、第2室114内には、電解質101と接触する位置に対極109が配置されている。また、第2室114は、第2室114内で発生した酸素を排気するための第2の排気口918を備えている。セパレータ106は、電解質101を透過させ、第1室112及び第2室114内で発生した各ガスを遮断する機能を有する。
【0103】
水素貯蔵器130は、第1の配管132によって、セル102の第1室112と接続されている。第1の配管132には第1の遮断弁134が設けられており、第1の配管132の一方の端は第1室112の第1の排気口916と連結されている。
【0104】
図11に示すように、本実施の形態に係るエネルギーシステム900内の水素生成装置910における制御装置920は、電圧印加部930、電流計540、整流部940、CPU202、第1の端子210、及び第2の端子212を備えている。ここで、制御装置920の第1の端子210はセル102の第1の電極108と電気的に接続され、第2の端子212はセル102の対極109と電気的に接続されている。ここで、CPU202は本発明における電圧制御部に相当し、電流計540は本発明における電流検出器に相当する。
【0105】
図12に示すように、電圧印加部930は、例えば、第3の端子310、第4の端子312、電流計540、第1の抵抗320、第2の抵抗522、第3の抵抗324、第1のスイッチ330、第2のスイッチ332、及び第3のスイッチ334により構成される。実施の形態2における電圧印加部530と同様に、第2の抵抗522は固定抵抗ではなく、可変抵抗により構成されている。また、整流部940としてダイオード942を用いる場合、例えば、第1の端子210と第2のスイッチ332との間にダイオード942が接続される。ただし、実施の形態3における電圧印加部730と異なり、第1の端子210から第2のスイッチ332の方向に電流が流れ、逆方向には電流が流れないようにダイオード942が配置されている。さらに、実施の形態3における電圧印加部730と異なり、電圧印加部930の第3の端子310は蓄電池150の正極と電気的に接続され、第4の端子312は蓄電池150の負極と電気的に接続されている。
【0106】
次に、本実施の形態に係るエネルギーシステム900の動作について説明する。
【0107】
まず、通常の運転時におけるエネルギーシステム900の動作について説明する。通常運転時においては、実施の形態1と同様に、電圧印加部930における第1のスイッチ330は、第1の接点340側が閉じた状態になっており、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに開いた状態になっている。そのため、水素生成装置910におけるセル902の第1の電極108と対極109は、第1の抵抗320を介してセル902の外部において電気的に接続された状態になっている。
【0108】
水素生成装置910におけるセル902の光入射部105を通して、第1室112内に配置された第1の電極908の表面のp型半導体の領域に太陽光が照射されると、p型半導体の領域において電子と正孔が生じる。このとき生じた電子はp型半導体の領域の表面側に移動し、p型半導体の領域の表面において上記反応式(化2)により水素が発生する
。一方、正孔は、第1の抵抗320を介して第1の電極908と電気的に接続された対極109側に移動し、対極109の表面において上記反応式(化1)により水が分解され、酸素が発生する。
【0109】
第1室112内で発生した水素は、第1の排気口916及び第1の配管132を通して水素貯蔵器130内に供給される。一方、第2室114内で発生した酸素は、第2の排気口918を通してセル902外に排気される。
【0110】
燃料電池140及び蓄電池150の動作については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0111】
次に、水素の発生量を抑制する場合または水素の発生を停止させる場合におけるエネルギーシステム900の動作について説明する。長時間電力の需要がない場合、蓄電池150の蓄電量は増加する。容量計測部156からの信号により、蓄電池150の蓄電量が許容量に達したことを燃料電池制御部144が検出すると、燃料電池制御部144は発電部142の運転を停止させるとともに、燃料電池制御部144は第2の遮断弁148を閉じて水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給を停止させる。
【0112】
水素貯蔵器130から発電部142への水素の供給が停止すると、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が増加する。圧力計136からの信号により、水素貯蔵器130内における水素の貯蔵量が許容量に達したことを制御装置920が検出すると、制御装置920におけるCPU202が電圧印加部930を制御して、セル902における水素の生成を停止させる。
【0113】
具体的には、まず、CPU202からの信号により、電圧印加部930における第1のスイッチ330は、第2の接点342側が閉じた状態に切り替えられ、第2のスイッチ332及び第3のスイッチ334はともに閉じられる。これにより、第1の端子210及び第2の端子212を介して、セル902の第1の電極908−対極109間に電圧が印加される。ただし、実施の形態3と異なり、第1の電極908側が正になるように、第1の電極908−対極109間に電圧が印加される。
【0114】
次に、CPU202は、可変抵抗である第2の抵抗522の抵抗値を変化させながら、電流計540により第1の電極908−対極109間に流れる電流を計測する。これにより、第1の電極908−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極908−対極109間に流れる電流を計測することができるので、第1の電極908−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そこで、CPU202は、第1の電極908−対極109間に流れる電流がゼロとなるように第2の抵抗522の抵抗値を制御する。これにより、第1の電極908における水素の発生を停止させることができる。
【0115】
制御装置920におけるCPU202が電圧印加部930を制御して、セル902における水素の生成を停止させるとともに、制御装置920は第1の遮断弁134を閉じる。
【0116】
本実施の形態に係るエネルギーシステム900によると、実施の形態1と同様に、電圧印加部930を用いて第1の電極908と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置910における水素の発生が停止するので、第1の電極908に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成を停止させることができる。また、実施の形態1と同様に、電圧印加部930を用いて第1の電極908と対極109との間に電圧を印加することにより水素生成装置910における水素の発生を停止させている間は、第1の電極908−対極109間には電流が流れることがないので電力を消費しな
い。したがって、低コストであるエネルギーシステムを提供することができる。さらに、実施の形態1と同様に、水素生成装置910における制御装置920には蓄電池150から電力が供給されるので、外部からの電力供給が不要な自立型のエネルギーシステムを提供することができる。
【0117】
さらに、本実施の形態に係るエネルギーシステム900によると、実施の形態2と同様に、第1の電極908−対極109間に印加される電圧を走査しながら第1の電極908−対極109間に流れる電流を計測することにより、第1の電極908−対極109間に流れる電流がゼロとなるときの電圧を求めることができる。そのため、第1の電極908の表面にあるp型半導体のフラットバンド電位が、電解質101のpH変化、半導体自身の劣化等に依存して変動した場合であっても、対極109に対する第1の電極908の電位が十分に正にならずに第1の電極908においてわずかに水素が発生することがなく、セル902における水素の発生を確実に停止させることができる。
【0118】
さらに、本実施の形態に係るエネルギーシステム900によると、セル902の外部において、整流部940を介して第1の電極908及び対極109が電気的に接続されているので、第1の電極908−対極109間に通常の運転時と逆方向の電流が流れることを抑制することができる。そのため、対極109に対する第1の電極908の電位が過剰に正になった場合であっても、対極109側において水素が発生することがなく、セル902における水素の発生を確実に停止させることができる。
【0119】
なお、上記の実施の形態においては、セルにおける水素の生成を停止させる直前に、電圧印加部を制御して、第1の電極−対極間に印加される電圧を走査しながら第1の電極−対極間に流れる電流を計測する例について示したが、これに限定されない。例えば、通常の運転をしている間に、CPUが電圧印加部を制御して、第1の電極−対極間に電圧が印加される運転モードに電圧印加部を切り替え、第1の電極−対極間に印加される電圧を走査しながら第1の電極−対極間に流れる電流を計測した後、CPUが電圧印加部を制御して、第1の電極−対極間に電圧が印加されない状態に電圧印加部を切り替えることにより、セルを通常の運転モードに戻してもよい。
【0120】
また、上記の実施の形態においては、第1の電極−対極間に流れる電流がゼロとなるように第1の電極−対極間に電圧を印加して、セルにおける水素の発生を停止させる例について示したが、これに限定されない。第1の電極−対極間に印加する電圧を、第1の電極−対極間に流れる電流が、第1の電極−対極間に電圧を印加しない状態において第1の電極−対極間に流れる電流よりも小さくなるようにすれば、セルにおける水素の発生量を抑制することができる。例えば、第1の電極−対極間に流れる電流が、第1の電極−対極間に電圧を印加しない状態において第1の電極−対極間に流れる電流の1/2にすれば、セルにおける水素の発生量を1/2に抑制することができる。
【0121】
なお、以上の実施の形態においては、水素生成装置における制御装置に対して蓄電池から電力が供給される場合について示したが、これに限定されず、エネルギーシステムの、外部から電力の供給を受ける構成としてもよい。
(実施例)
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0122】
(実施例1)
図13〜図15を用いて、実施例1について説明する。図13は、実施例1において用いた水素生成装置の構成を示す概略図、図14は、本実施例において用いた水素生成装置における第1の電極−対極間に印加された電圧と第1の電極−対極間に流れる電流との関係を示すグラフ、及び図15は、図14のグラフにおける、第1の電極−対極間に流れる
電流がゼロ付近を拡大して示すグラフである。
【0123】
図13に示すように、ガラス基板上にスパッタ法を用いて膜厚150nmのITO膜(シート抵抗10Ω/□)を設け、さらにその上に膜厚500nmのアナタース多結晶体である酸化チタン膜を設けた第1の電極962と、白金板である対極964とを、pH=1に調整した水である電解液966(たとえば、0.1N HSO水溶液)に満たされたガラス容器968中に配置することにより、セル960を構成した。セル960における第1の電極962と対極964とを、可変電圧電源970及び電流計980を介してセル960の外部において電気的に接続することにより、水素生成装置950を構成した。
【0124】
セル960のガラス容器968に光を照射するための光源としては太陽光を用いた。
【0125】
第1の電極962に対する太陽光の照射を開始してから2時間経過後に、可変電圧電源970を用い、対極964を基準にして第1の電極962−対極964間に電圧を印加しながら、第1の電極962−対極964間に流れる電流を、電流計980を用いて測定した。第1の電極962−対極964間に印加する電圧は、−0.5Vから2Vまでの範囲において、0.01Vステップ、速度0.1V/秒で走査した。
【0126】
図14及び図15に、水素生成装置950における第1の電極962−対極964間の電位差と第1の電極962−対極964間に流れる電流との関係を示す。横軸は、対極964を基準にして第1の電極962−対極964間に印加された電圧(単位:V)、縦軸は、第1の電極962−対極964間に流れた電流の電流密度(単位:μA/cm)を表す。第1の電極962−対極964間に印加される電圧が0Vの場合、第1の電極962−対極964間に約45μA/cmの電流が流れた。第1の電極962側が負になるようにして、第1の電極962−対極964間に印加する電圧を増加させると、第1の電極962−対極964間に流れた電流が減少し始める。図15から、第1の電極962−対極964間に印加する電圧が−0.422Vのとき、第1の電極962−対極964間に流れる電流がほぼゼロであることがわかる。また、第1の電極962−対極964間に印加する電圧が−0.421〜−0.423Vであれば、第1の電極962−対極964間に流れる電流が、第1の電極962−対極964間に電圧を印加しないときに流れる電流の5%以内となることがわかる。
【0127】
この結果から、第1の電極−対極間に、第1の電極側が負になるように電圧を印加することにより、第1の電極−対極間に流れる電流が減少するので、セル内における水素の発生を抑制または停止することが可能であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の水素生成装置、並びにそれを用いた水素生成方法及びエネルギーシステムによると、半導体を含む電極に光が照射されている場合であっても、簡易な構成により水素の生成量を抑制または停止させることができるので、家庭用の発電システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】n型半導体を含み、表面にn型半導体が露出した電極と対極とが電解質溶液中に浸漬された状態におけるエネルギーバンド図
【図2】p型半導体を含み、表面にp型半導体が露出した電極と対極とが電解質溶液中に浸漬された状態におけるエネルギーバンド図
【図3】本発明の一実施の形態におけるエネルギーシステムの構成を示す概略図
【図4】同エネルギーシステム内の水素生成装置におけるセルの構成を示す概略断面図
【図5】同エネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図
【図6】同制御装置における電圧印加部の構成を示す回路図
【図7】本発明の他の実施の形態に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図
【図8】同制御装置における電圧印加部及び電流計の構成を示す回路図
【図9】本発明のさらに他の実施の形態に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図
【図10】同制御装置における電圧印加部、電流計及び整流部の構成を示す回路図
【図11】本発明のさらに他の実施の形態に係るエネルギーシステム内の水素生成装置における制御装置の構成を示すブロック図
【図12】同制御装置における電圧印加部、電流計及び整流部の構成を示す回路図
【図13】本発明の一実施例において用いた水素生成装置の構成を示す概略図
【図14】同水素生成装置における第1の電極−対極間に印加された電圧と第1の電極−対極間に流れる電流との関係を示すグラフ
【図15】図14のグラフにおける、第1の電極−対極間に流れる電流がゼロ付近を拡大して示すグラフ
【符号の説明】
【0130】
100、500、700、900 エネルギーシステム
101 電解質
102、902、960 セル
104 筐体
105 光入射部
106 セパレータ
108、908、962 第1の電極
109、964 対極
110、510、710、950 水素生成装置
112 第1室
114 第2室
116、916 第1の排気口
117 給水口
118、918 第2の排気口
120、520、720、920 制御装置
130 水素貯蔵器
132 第1の配管
134 第1の遮断弁
136 圧力計
140 燃料電池
142 発電部
144 燃料電池制御部
146 第2の配管
148 第2の遮断弁
150 蓄電池
152 第1の配線
154 第2の配線
156 容量計測部
200、530、730、930 電圧印加部
202 CPU
210 第1の端子
212 第2の端子
310 第3の端子
312 第4の端子
320 第1の抵抗
322、522 第2の抵抗
324 第3の抵抗
330 第1のスイッチ
332 第2のスイッチ
334 第3のスイッチ
340 第1の接点
342 第2の接点
540、980 電流計
740、940 整流部
742、942 ダイオード
966 電解液
968 ガラス容器
970 可変電圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体を含む第1の電極、
対極、並びに
前記第1の電極及び前記対極に挟まれた位置にあり、電解質を収容するための空間部を有し、
前記第1の電極に光が照射されることにより水素を発生するセルと、
前記セル内における水素の発生が抑制または停止するように前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加するための電圧印加部を有し、
前記第1の電極及び前記対極を電気的に接続する外部回路とを備える水素生成装置。
【請求項2】
前記外部回路が、
前記第1の電極と前記対極との間に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器により検出された電流値に基づき、前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を制御する電圧制御部とをさらに有する、請求項1記載の水素生成装置。
【請求項3】
前記外部回路が、
前記外部回路を流れる電流の方向を、前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧が0Vのときに流れる方向に整流する整流部をさらに有する、請求項1または2に記載の水素生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、及び
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に電圧を印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含む水素生成方法。
【請求項5】
請求項2に記載の水素生成装置を用い、
(A)前記第1の電極に光を照射して前記セル内に水素を発生させる工程、
(B)前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加される電圧を、前記電圧制御部を用いて変化させながら、前記電流検出器により前記第1の電極と前記対極との間に流れる電流を検出する工程、
(C)前記工程Bにおける検出結果に基づき、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させるために前記第1の電極と前記対極との間に印加する電圧を決定する工程、
(D)前記工程Dにより決定された電圧を前記電圧印加部により前記第1の電極と前記対極との間に印加して、前記セル内における水素の発生を抑制または停止させる工程を含む水素生成方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素生成装置、
前記水素生成装置における前記セルと配管により接続され、前記セル内において生成した水素を貯蔵するための水素貯蔵器、及び
前記水素貯蔵器と配管により接続され、前記水素貯蔵器において貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池を備えたエネルギーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−168608(P2010−168608A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10553(P2009−10553)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】