説明

水脈検出装置、水脈検出システム、水脈検出方法

【課題】高い精度でかつ低コストで、地盤中の水脈を検出し、検出される水脈の水質や量などを推定する、水脈検出装置、水脈検出システム、水脈検出方法を提供する。
【解決手段】水脈検出装置1は、地盤2の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対3、4と、交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対5、6と、第1周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段10と、第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段11と、第2比抵抗値が第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、地盤2の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中の地層状態を外部から推定し、特に地盤中に含まれる水脈を、高い精度で検出する水脈検出装置、水脈検出システム、水脈検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活用水としての井戸や工業用水としての地盤中の水脈を検出する要求は従来から多い。地盤中の水脈を検出する手法には様々なものがあるが、装置が大掛かりであったり、コストが高かったり、精度が不十分であったりするなどの様々な問題が存在する。
【0003】
確実に水脈を検出するには、水脈が存在すると思われる場所にボーリングを行い、実際の水分を検出することが必要であるが、ボーリングには非常なコストが掛かる。このため、ボーリングを行なう前に高い精度で水脈を検出する必要があった。
【0004】
すなわち、地盤中の水脈を表層から検出する装置やシステムが求められている。
【0005】
このような地盤中の水脈を表層から検出する装置やシステムについて、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−257395公報
【特許文献2】特開平4−7494号公報
【特許文献3】特開平3−257396号公報
【特許文献4】特開2005−265664号公報
【特許文献5】特開2003−302465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地盤中の水脈を検出する技術には、地盤中に通電させた電流信号から地盤の比抵抗値を算出し、比抵抗値が低い領域が水脈であると推定する技術が用いられることが多い。砂岩や泥岩などの土層に比較して、水分量が多いほど、比抵抗値は小さいからである。あるいは、電波を地盤中に入力させ、反射してきた電波の位相や振幅などに基づいて、水脈や地質状態を検出することが行なわれる。
【0008】
特許文献1は、対となる電極同士を通電する電流によって地盤中の比抵抗値を測定し、比抵抗値に基づいて泥水の位置や厚みを推定する技術を開示する。更に、電極をマトリクス状に配置して3次元的に地盤の状態を検出する技術を開示する。
【0009】
しかしながら、電流信号で測定される比抵抗値だけでは、高い精度で泥水の位置や厚みを推定することができない。地盤中の地質層の種類や形状によっては、本来の比抵抗値よりも小さい値で測定されてしまうこともあるからである。
【0010】
特許文献2は、組となる電極同士を通電する電流と電圧の値から、地盤中の様子を推定し、土砂崩れなどの危険性を予測する技術を開示する。また、特許文献2は、電流を流す電極の組み合わせを切り替えてダイポール配置とすることで、比抵抗値の測定精度を向上させる技術を開示する。
【0011】
しかしながら、ダイポール配置とした電極から得られる比抵抗値だけでは、特許文献1と同様に高い精度で水脈を検出することは困難である。
【0012】
文献3は、地盤表面に電極を設置して電極より種々の周波数の電流を入力させて比抵抗値を測定する技術を開示する。電極に入力させる周波数の電流を入力させることで、電極の数を減らして測定負担を低減することを目的としている。
【0013】
しかしながら、広い範囲の地盤を所定領域ごとに区分して測定できないか、もしくは測定したとしても一つの所定領域においては1種類の周波数による比抵抗値のみしか測定されない。このため、地層の種類や状態によっては、水脈でない部分を水脈と判断してしまう問題もある。このように、特許文献3は、特許文献1、2と同様に、高い精度での水脈検出が困難である。
【0014】
また、特許文献1〜3の技術は、水脈の位置を検出することを優先するのか、水脈の大きさなどを検出するのを優先するのかなどのフレキシブルな検出ができない問題も有している。
【0015】
特許文献4は、地盤中の水分を、地盤中を流れる電流値に基づいて測定する技術を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献4は、測定された電流値と閾値との比較を行なうだけであって地盤の乾燥状態を検出するに過ぎない。このため、水脈を検出するだけの機能を有していない。
【0017】
特許文献5は、入射させた電波と反射した電波の位相や振幅に基づいて地層の連続面や不連続面を測定する技術を開示する。特許文献5も、地盤中の水脈を検出することが困難である。
【0018】
以上のように、従来技術は、(1)高い精度で水脈を検出する、(2)検出された水脈の水質や推量を推定できない、(3)水脈の位置や大きさのいずれかを優先して検出するなどのフレキシブルな検出が困難である、といった問題を有している。
【0019】
また、従来技術は水分を検出することを目的としているが、地層中に含まれる水分でしかない、間隙水、毛管水、吸着水といった井戸などで利用不能な水分検出を目的としているものもあり、井戸として利用可能な一定量を有する水脈(重力水)を検出することを目的としていない問題もある。
【0020】
本発明は、上記課題を解決し、高い精度でかつ低コストで、地盤中の水脈を検出し、検出される水脈の水質や量などを推定する、水脈検出装置、水脈検出システム、水脈検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題に鑑み、本発明の水脈検出装置は、地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、第1周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段と、第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段と、第2比抵抗値が第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の水脈検出装置は、2種類の周波数を有する交流電流によって得られる、地盤中における同一領域の2種類の比抵抗値に基づいて水脈を検出するので、高い精度で水脈を検出できる。特に、本発明の水脈検出装置は、水分が生じさせるインピーダンスを利用した水脈検出を行なうので、2種類の比抵抗値の差分によって、高い精度で、水脈を検出できる。
【0023】
また、本発明の水脈検出装置は、検出された水脈の水質や水分量を推定できるので、活用度の高い水脈検出を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における水脈検出装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における水脈検出装置の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1における測定状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1における比抵抗値の測定状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における水脈検出装置の変形例を示すブロック図ある。
【図6】色分けされて得られた比抵抗断面図の例を示す説明図である。
【図7】色分けされて得られた比抵抗断面図の例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1における重畳された比抵抗図面である。
【図9】本発明の実施の形態1における水脈検出装置のブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2における水脈検出方法を実現するコンピュータのブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態3における水脈検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の発明に係る水脈検出装置は、地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、第1周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段と、第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段と、第2比抵抗値が第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段と、を備える。
【0026】
この構成により、水脈検出装置は、重力水として利用可能な量の水分を有する水脈を、高い精度で検出できる。加えて、電極やその他の装置は、従来技術に比較して少ない追加で済むのでコストも低減できる。
【0027】
本発明の第2の発明に係る水脈検出装置では、第1の発明に加えて、複数の電流電極対と複数の電位電極対のそれぞれは、地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、第1算出手段は、複数の領域のそれぞれにおける第1比抵抗値を算出し、第2算出手段は、複数の領域のそれぞれにおける第2比抵抗値を算出し、複数の領域のそれぞれにおいて、第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、推定手段が推定する。
【0028】
この構成により、水脈検出装置は、重力水として利用可能な量の水分を有する水脈を高い精度で検出できる。特に、地盤中のどの領域に存在するかも含めて検出できる。
【0029】
本発明の第3の発明に係る水脈検出装置では、第2の発明に加えて、複数の領域のそれぞれにおいて、第2比抵抗値と第1比抵抗値との差分が、所定値未満である領域は、水脈以外を主として含んでいると、推定手段が推定する。
【0030】
この構成により、水脈検出装置は、水脈以外も検出できる。
【0031】
本発明の第4の発明に係る水脈検出装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、第1周波数と第2周波数との差分は、第1周波数の10%以上である。
【0032】
この構成により、水脈検出装置は、高い精度で水脈の有無、位置、範囲を検出できる。
【0033】
本発明の第5の発明に係る水脈検出装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、地盤の比抵抗を示す比抵抗断面図を、第1比抵抗値を値によって色分けする第1色分け手段と、
【0034】
比抵抗断面図を、第2比抵抗値を値によって色分けする第2色分け手段と、を更に備え、推定手段は、第1色分け手段で色分けされた比抵抗断面図と第2色分け手段で色分けされた比抵抗断面図とにおいて、色味の異なる領域が水脈を含んでいると推定する。
【0035】
この構成により、水脈検出装置は、視覚的に把握しやすい検出結果を使用者に提供できる。また、容易に水脈を検出できる。
【0036】
本発明の第6の発明に係る水脈検出装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、第1比抵抗値および第2比抵抗値の差分値に基づいて、推定された水脈の水質を予測する予測手段を更に備える。
【0037】
この構成により、水脈検出装置は、水脈の有無に加えて水質まで予測できる。
【0038】
本発明の第7の発明に係る水脈検出装置では、第6の発明に加えて、予測手段は、推定手段によって水脈を含むと推定された領域における第1比抵抗値および第2比抵抗値の少なくとも一方に基づいて、水脈の水質を予測する。
【0039】
この構成により、水脈検出装置は、水質を高い精度で予測できる。水質が予測される水脈は、重力水として井戸やボーリングに活用可能な水脈であるので、活用が促進される。
【0040】
本発明の第8の発明に係る水脈検出装置では、第6の発明に加えて、予測手段は、第1比抵抗値および第2比抵抗値の少なくとも一方に基づいて、推定された水脈の有する水量を予測する。
【0041】
この構成により、水脈検出装置は、水脈の有無だけでなく、水量も予測できる。結果として、井戸やボーリングなどとしての活用度が高まる。
【0042】
本発明の第9の発明に係る水脈検出装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、第1算出手段、第2算出手段および推定手段は、第1処理手順もしくは第2処理手順と、に基づいて水脈を推定し、第1処理手順は、第1算出手段および第2算出手段は、複数の電流電極対および複数の電位電極対のそれぞれの組み合わせの全てにおいて、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを算出する全体測定ステップと、推定手段は、組み合わせの全てにおける第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較して、水脈の位置と範囲とを推定する全体推定ステップとを含み、第2処理手順は、第1算出手段および第2算出手段は、複数の電流電極対の内の第1電流電極対と複数の電位電極対の内の第1電位電極対との組み合わせである第1組み合わせにおいてのみ、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを算出する単体算出ステップと、推定手段は、第1組み合わせでの第1比抵抗値と第2比抵抗値とに基づいて、第1組み合わせが測定する領域のみでの水脈の有無を推定する単体推定ステップと、単体算出ステップと単体推定ステップとを他の電流電極対と電位電極対との組み合わせにおいて繰り返す繰り返しステップと、を含む。
【0043】
この構成により、水脈の有無だけを早期に検出したい場合にも、水脈の位置や範囲をまとめて検出したい場合にも適用できる。
【0044】
本発明の第10の発明に係る水脈検出装置では、推定手段によって水脈が推定された場合に、通知を出力する通知手段を更に備える。
【0045】
この構成により、水脈検出の結果を使用者が早期に把握できる。
【0046】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0047】
なお、本明細書において地盤とは、地層等の積層によって形成された領域であり、交流電流は、パルス波、サイン波などの種々の交流状態の電流を含む。
【0048】
また、水脈とは、井戸などの用途に利用可能である一定量を蓄えてボーリングすることのできる状態を指し、重力水である状態を指す。
【0049】
(実施の形態1)
【0050】
実施の形態1における水脈検出装置について説明する。
【0051】
まず、全体概要について説明する。
(全体概要)
【0052】
図1は、本発明の実施の形態1における水脈検出装置のブロック図である。図1は、水脈検出装置1と地盤とを一緒に表している。また、水脈検出装置1と、電流電極対、電位電極対とが別の枠で表されているが、水脈検出装置1は、電流電極対や電位電極対を含んだ構成でも良いし、別とする構成でも良い。
【0053】
水脈検出装置1は、複数の電流電極対3、4と、複数の電位電極対5,6と、第1周波数の交流電流に基づく第1比抵抗値を算出する第1算出手段10と、第2周波数の交流電流に基づく第2比抵抗値を算出する第2そくてい手段11と、第1比抵抗値と第2比抵抗値との比較に基づいて水脈を推定する推定手段12と、を備える。
【0054】
水脈推定装置1は、種々の地層が積層されて形成される地盤2の表面に設置される。なお、表面に接触して設置されなければならないわけではなく、地盤の表面において作業ができることを意味する。地盤は、内部に礫岩、砂岩、泥岩などの地層を含みつつ、しゅう曲、はい曲、断層などの地層構造を含んでいる。このような地盤内部に、水分が貯留している領域が存在する。この水分は、井戸などに利用可能であり、ボーリングによって採掘できるレベルを有する重力水として貯留されている場合もあれば、砂や岩同士の隙間を埋める程度の水分として貯留されている場合もある。
【0055】
実施の形態1の水脈検出装置1は、前者である十分な量の水脈を検出する。
【0056】
なお、図1に示される地盤2のある領域には、水脈9が存在する。
【0057】
電流電極対3,4は、地盤2に入力した交流電流の電流値を測定する。電流電極対3、4は、地盤2の表面に設置される。ここで、電流電極対3、4には、電流付与部13が接続されており、電流付与部13は、所定の周波数を有する交流電流を、電流電極対3、4を通じて地盤2に与える。電流電極対3、4は、このようにして地盤2に与えられた交流電流の電流値を測定する。
【0058】
一方、電流電極対3、4に対応するように、電位電極対5,6が地盤2表面に設置される。電位電極対5は、電流電極対3に対応しており、電位電極対6は、電流電極対4に対応する。
【0059】
電位電極対5、6は、電流電極対3,4から地盤2に入力された交流電流に対応する電圧値を測定する。すなわち、電流電極対3から地盤2に入力された交流電流に対応する電圧値を、電位電極対5が測定し、電流電極対4から地盤2に入力された交流電流に対応する電圧値を、電位電極対6が測定する。このとき、電圧計測部14が、電位電極対5,6での温度を計測するようにしてもよい。
【0060】
電流値と電圧値とが測定されることで、比抵抗値が算出される。
【0061】
図1において示されるように、電流電極対3と電位電極対5との組み合わせは、地盤2の内部において電流電極対3と電位電極対5とが結ぶ円弧7に沿った領域の電流値と電圧値とを測定する。すなわち、電流電極対3と電位電極対5との組み合わせは、円弧7に沿った地盤2の領域における比抵抗値を算出できる。
【0062】
同様に、電流電極対4と電位電極対6との組み合わせは、地盤2の内部において電流電極対4と電位電極対6とが結ぶ円弧8に沿った領域の電流値と電圧値とを測定する。すなわち、電流電極対4と電位電極対6との組み合わせは、円弧8に沿った地盤2の領域における比抵抗値を算出できる。
【0063】
電流電極対と電位電極対の組み合わせを増やすことで、この円弧を地盤上に様々に設定でき、地盤2内部の比抵抗値を、幅広く算出できる。
【0064】
ここで、電流付与部13は、所定の値を有する第1周波数と第1周波数よりも高い周波数である第2周波数のそれぞれを有する交流電流を付与する。
【0065】
まず、電流付与部13は、電流電極対3、4のそれぞれに、第1周波数で定まる周波数を有する交流電流を与えて、地盤2に入力させる。
【0066】
第1周波数を有する交流電流が、電流電極対3、電流電極対4のそれぞれから地盤2に入力される。これに合わせて第1周波数を有する交流電流に対応する電圧値が、電位電極対5、電位電極対6のそれぞれで測定される。
【0067】
第1算出手段10は、まず電流電極対3と電位電極対5の組み合わせにおいて測定される電流値と電圧値とから、円弧7に沿った領域の比抵抗値である第1比抵抗値を算出する。電流値と電圧値の比から抵抗が求められるからである。第1比抵抗値は、第1周波数に基づく比抵抗値である。
【0068】
同様に、第1算出手段10は、電流電極対4と電位電極対6との組み合わせにおいて測定される電流値と電圧値とから、円弧8に沿った領域の比抵抗値である第1比抵抗値を測定する。この第1比抵抗値も、第1周波数に基づく比抵抗値である。
【0069】
次に、電流付与部13は、第1周波数よりも高い周波数である第2周波数を有する交流電流を与えて、地盤2に入力させる。第2周波数を有する交流電流が、電流電極対3、電流電極対4のそれぞれから地盤2に入力される。これに合わせて、第2周波数を有する交流電流に対応する電圧値が、電位電極対5と電位電極対6のそれぞれで測定される。
【0070】
第2算出手段11は、まず電流電極対3と電位電極対5の組み合わせにおいて測定される電流値と電圧値とから、円弧7に沿った領域の比抵抗値である第2比抵抗値を算出する。電流値と電圧値の比から抵抗が求められるからである。第2比抵抗値は、第2周波数に基づく比抵抗値である。
【0071】
同様に、第2算出手段11は、電流電極対4と電位電極対6との組み合わせにおいて測定される電流値と電圧値とから、円弧8に沿った領域の比抵抗値である第2比抵抗値を測定する。この第2比抵抗値も、第2周波数に基づく比抵抗値である。
【0072】
これらの算出の結果、円弧7に沿った領域での第1比抵抗値および第2比抵抗値と、円弧8に沿った領域での第1比抵抗値および第2比抵抗値とが算出される。
推定手段12は、円弧7に沿った領域(すなわち電流電極対3と電位電極対5との組み合わせが対応する地盤2の領域)における第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較する。円弧7に沿った領域に水脈が存在しなければ、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分はほとんど無い。言い換えれば、推定手段12は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較して、差分が所定値未満であれば、円弧7に沿った領域は、水脈を含んでいないと推定する。
【0073】
同様に、推定手段12は、円弧8に沿った領域(すなわち電流電極対4と電位電極対6との組み合わせが対応する地盤2の領域)における第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較する。円弧8に沿った領域に水脈が存在すれば、第1比抵抗値と第2比抵抗値とに差分が存在する。言い換えれば、推定手段12は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較して、第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも大きい領域が存在すれば、その領域は水脈を含んでいると推定する。このとき、所定値以上の差分値があることを基準としても良い。
【0074】
図1においては、円弧8に沿った領域に、水脈9が存在し、この水脈9が存在する領域においては、第2比抵抗値は第1比抵抗値よりも大きくなる。
【0075】
岩盤や土砂で構成される地盤では、これらは固体であるので入力される交流電流の周波数によって比抵抗値が変化することはない(誤差はありうる)。これは、比抵抗値の要因であるインピーダンスは、固体物質に特有な定数で定まるからである。
【0076】
一方、一定量の水分が溜まっている状態の水脈では、液体であるので、比抵抗値の要因であるインピーダンスへの影響が生じうるからである。水脈は、磁界や自然電流を有していることが多く、これらは外界から与えられる交流電流(これが電流電極対から付与される)の含む周波数に依存して変化しうる。この変化によって、液体である水脈においては、第1周波数と第2周波数とで比抵抗値が異なるものと考えられる。特に、液体が生じさせる変動可能なインピーダンスは、周波数に比例して高くなる傾向がある。このメカニズムによって、第1周波数よりも高い第2周波数の場合に、水脈領域では比抵抗値が高くなるものと考えられる。
【0077】
推定手段12は、このメカニズムを利用して、第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも高い領域は、水脈を含んでいると推定する。
【0078】
図1においては、複数の電流電極対および複数の電位電極対のそれぞれは、2つずつである場合を示しているが、実際の測定においては更に多くの電流電極対と電位電極対とを備えることで、地盤2の多くの領域の比抵抗値を算出できる。算出された第1比抵抗値と第2比抵抗値に基づいて、地盤2のいずれかの領域が水脈を含んでいることを推定する。
【0079】
もちろん、電流電極対と電位電極対とのそれぞれは、複数である必要はなく、単数の電流電極対と単数の電位電極対との組み合わせで、地盤2の特定の領域においてのみ水脈の有無を検出することでもよい。この状態は、図2に示される。図2は、本発明の実施の形態1における水脈検出装置の模式図である。
【0080】
当然ながら、複数の電流電極対と電位電極対との組み合わせによって、地盤2を複数の領域に区分して、それぞれの区分された領域ごとでの第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分とから、水脈を含む領域を検出してもよい。組となる電流電極対と電位電極対とは、描かれる円弧に沿った領域の第1比抵抗値と第2比抵抗値とを算出するが、円弧に沿った全ての領域を絶対的に意味するのではなく、これに沿った領域の少なくとも一部での第1比抵抗値と第2比抵抗値を測定することを意味する。
【0081】
実施の形態1における水脈検出装置1は、このように、第1比抵抗値と第2比抵抗値との比較に基づいて、地盤2内部に存在する水脈(一定量の水分量を有する)を検出する。特に、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値が、所定値以上である場合には、水脈が存在すると推定し、所定値未満である場合には、水脈が存在しない(水脈以外の地質である)と推定する。
【0082】
なお、説明においては第1比抵抗値を先に算出することを前提としているが、第2比抵抗値を先に算出することでもよい。すなわち、まず第2周波数を有する交流電流を入力させて第2比抵抗値を算出し、次に第1周波数を有する交流電流を入力させて第1比抵抗値を算出しても良い。
【0083】
次に、各部の詳細について説明する。
【0084】
(電流電極対および電位電極対)
【0085】
電流電極対および電位電極対について説明する。
【0086】
電流電極対3,4は、電流付与部13から付与される交流電流を、地盤2に入力し、入力された実際の電流値を測定する。交流電流は、パルス波、方形波、矩形波、サイン波など、種々の形態の電流を含む。なお、電流電極対は、電流を入力しつつその電流値を測定する。地盤2に入力される電流値は、電流付与部13によって定まるので、電流電極対は、この付与される際の電流値を測定した電流値としてもよいし、地盤で測定される電流値を測定した電流値としてもよい。あるいは、電流付与部13が地盤2に直接電流を入力する場合には、電流電極対は、入力される電流値を測定するだけとなる。
【0087】
電流電極対3,4は、電流を与える電極の組であって、仕様や測定対象に応じて電流電極対の数が決定されればよい。
【0088】
電流電極対(すなわち電位電極対)の個数が増加すれば、それだけ地盤中の深さ方向および幅方向を広く測定できるようになる。
【0089】
電位電極対5、6は、電流電極対3,4に対応するように設置される。電位電極対5,6は、電流電極対3,4に対応して、それぞれの電位を測定する。すなわち、電流電極対3と電位電極対5とが組となり、電流電極対3から入力される交流電流に対応する電圧値を、電位電極対5が測定する。このとき、電流電極対3は、入力される電流値を測定する。
【0090】
電流電極対4と電位電極対6とが組となって、入力される電流値とこれに対応する電圧値を測定する。
【0091】
電流電極対と電位電極対とは、それぞれが組となって、地盤2に入力される電流値とこれに対応する電圧値とを測定し、測定結果を第1算出手段10、第2算出手段11とに出力し、後述の第1比抵抗値と第2比抵抗値との算出に用いられる。電位電極対5、6は、電圧計測部14によって制御されて電圧値を測定しても良い。
【0092】
図3は、本発明の実施の形態1における測定状態を示す説明図である。
【0093】
図3は、電流電極対と電位電極対によって、地盤2を区分した複数の領域において電流値および電圧値が測定されている状態を示している。図3より明らかな通り、複数の電流電極対と電位電極対とが組み合わされることで、地盤2内部の深さ方向および幅方向に沿って区分されるそれぞれの領域における電流値と電圧値とが測定される。これらの各領域における電流値と電圧値とが測定されることで、それぞれの領域での比抵抗値が算出されることになる。
【0094】
電流電極対および電位電極対は、一般的な電極が用いられれば良い。金属や合金で形成された電極の組み合わせで、電流電極対および電位電極対が構成される。
【0095】
なお、水脈検出装置1は、電流電極対および電位電極対を含んだ構成でもよいし、含まない構成でも良い。電流電極対および電位電極対は、水脈検出装置1とは別に構成された上で、運搬されたり使用されたりしてもよい。
【0096】
なお、地盤2は、水脈を含んでいると予想される岩盤、礫岩、砂岩、泥岩などの地層を含む。
(第1算出手段および第2算出手段)
【0097】
次に、第1算出手段10および第2算出手段11について説明する。
【0098】
電流電極対は、所定の周波数値を有する第1周波数を有する交流電流と、第1周波数よりも高い周波数値である第2周波数を有する交流電流とを地盤2に入力する。
【0099】
電流電極対は、第1周波数を有する交流電流の電流値を測定するとともに、電位電極対は、第1周波数を有する交流電流に対応する電圧値を測定する。同様に、電流電極対は、第2周波数を有する交流電流の電流値を測定するとともに、電位電極対は、第2周波数を有する交流電流に対応する電圧値を測定する。
【0100】
第1算出手段10は、第1周波数を有する交流電流に対して測定された電流値と電圧値とを用いて、地盤2の対応する領域の比抵抗値である第1比抵抗値を算出する。比抵抗値は、電流値と電圧値の比から求められる。
【0101】
同様に、第2算出手段11は、第2周波数を有する交流電流に対して測定された電流値と電圧値とを用いて、地盤2の対応する領域の比抵抗値である第2比抵抗値を算出する。第2算出手段11は、電流値を電圧値で除算することを通じて第2比抵抗値を算出する。
【0102】
図4は、電流値と電圧値とに基づいて測定された比抵抗値の状態を、地盤2の断面に合わせて示したものである。複数の電流電極対と電位電極対とによって、地盤2の深さ方向と幅方向にそれぞれ重畳しながら、電流値、電圧値および比抵抗値とが測定される状態が示されている。図4は、本発明の実施の形態1における比抵抗値の測定状態を示す説明図である。
【0103】
第1算出手段10および第2算出手段11は、算出した第1比抵抗値と第2比抵抗値とを、推定手段12に出力する。推定手段において、水脈の有無を推定するのに用いられるからである。
【0104】
なお、第1算出手段10および第2算出手段11は、比抵抗値を算出するに当たって、除算や乗算機能を用いるので、これらは専用の電子回路、専用のハードウェアで構成されることが好適である。また、汎用コンピュータの処理機能が用いられて構成されても良い。水脈検出装置1が、専用装置である場合には、この専用装置内部に含まれる処理回路やプロセッサ(あるいはこのプロセッサを用いるソフトウェア)が、比抵抗値を算出する。あるいは、水脈検出措置1が、汎用コンピュータで構成される場合には、汎用コンピュータが実行するソフトウェアが比抵抗値を算出する。
【0105】
ここで、第1算出手段10は、第1周波数を有する交流電流に対応する全ての電流電極対と電位電極対での第1比抵抗値を全て算出し、その後第2算出手段11が、第2周波数を有する交流電流に対応する全ての電流電極対と電位電極対での第2比抵抗値を全て算出する、処理手順をとる。すなわち、全ての電流電極対に第1周波数を有する交流電流を与えた上で、全ての電流電極対と電位電極対との組み合わせにおける第1比抵抗値を最初に算出し、その後で、全ての電流電極対に第2周波数を有する交流電流を与えた上で、全ての電流電極対と電位電極対との組み合わせにおける第2比抵抗値を算出する処理手順である。
【0106】
逆に、一つの電流電極対に第1周波数を有する交流電流を与え、この電流電極対と組となる電位電極対とから第1算出手段10が第1比抵抗値を算出し、次に、同じ電流電極対に第2周波数を有する交流電流を与え、この電流電極対と組となる電位電極対とから第2算出手段11が第2比抵抗値を算出する。この電流電極対と電位電極対の一つの組み合わせにおいて第1比抵抗値と第2比抵抗値を算出することを、全ての電流電極対と電位電極対の組み合わせにおいて実行する処理手順でも良い。
【0107】
このように、第1算出手段10と第2算出手段11とは、算出対象の地盤2の全てにおいて第1比抵抗値を算出した後に第2比抵抗値を算出してもよいし、地盤2を区分したそれぞれの領域において、第1比抵抗値と第2比抵抗値を算出して、これらを全ての領域で実行しても良い。
【0108】
仕様や測定の容易性に基づいて、これらの処理手順が切り分けられれば良い。
【0109】
また、第2周波数は第1周波数よりも高い周波数を有するが、その差分は、測定される地盤の種類や広さによって定められればよい。
【0110】
一例として、第1周波数と第2周波数との差分は、第1周波数の10%以上である。この程度の差分があれば、水脈を含む領域における第1比抵抗値と第2比抵抗値とに明らかな差分が出やすいからである。例えば、第1周波数が40Hzである場合には、第2周波数は45Hz程度である。
【0111】
もちろん、差分が第1周波数の10%以上であることは一例であって、これ以外であることを除外するものではない。
(推定手段)
【0112】
次に推定手段12について説明する。
【0113】
推定手段12は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とに基づいて、地盤2のある領域が水脈を含んでいるか含んでいないかを推定する。すなわち、推定手段12は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較しながら、水脈の有無を推定する。例えば、推定手段12は、地盤2に対応する第1比抵抗値と第2比抵抗値とを重畳した上で、第1比抵抗値と第2比抵抗値とがほぼ一致する領域や差分を生じさせる領域を検出する。
【0114】
第1算出手段10および第2算出手段11の算出によって、地盤2を区分した複数の領域それぞれにおける第1比抵抗値と第2比抵抗値とを、推定手段12は、利用できる。岩石や土砂層などであれば、第1比抵抗値と第2比抵抗値とが差分を有することはほとんど無い。交流電流の周波数の相違によって、比抵抗値が変化することは無いからである。
【0115】
一方、第1比抵抗値と第2比抵抗値とが差分を生じる領域が、地盤2において検出されることがある。推定手段12は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とが所定値以上の差分を有する領域は、水脈(重力水として利用可能な量の水が退席している領域)を含んでいると推定する。なお、このとき第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも大きいことを前提とした上で、差分が所定値以上である場合に、水脈を含んでいると推定手段12は、推定する。
【0116】
また、推定手段12は、第1算出手段10から第1比抵抗値を受け取り、第2算出手段11から第2比抵抗値を受け取った上で、第1比抵抗値と第2比抵抗値との比較に基づいて水脈を推定するだけでなく、比抵抗値によって色分けされた地盤の断面図に基づいて水脈を推定しても良い。
【0117】
図5は、本発明の実施の形態1における水脈検出装置の変形例を示すブロック図ある。図5に示される水脈検出装置1は、第1色分け手段20と第2色分け手段21を備える。
【0118】
第1色分け手段20は、地盤2の比抵抗値を示す比抵抗断面図を、第1比抵抗値によって色分けする。すなわち、地盤2を断面状態に表した図面において、第1比抵抗値によって定まる複数の色味によって色分けする。このような色分けがなされることで、地盤2の断面における第1比抵抗値の大小の分布を、視覚的に把握することができる。
【0119】
第2色分け手段21は、地盤2の比抵抗値を示す比抵抗断面図を、第2比抵抗値によって色分けする。すなわち、地盤2を断面状態に表した図面において、第2比抵抗値によって定まる複数の色味によって色分けする。このような色分けがなされることで、地盤2の断面における第2比抵抗値の大小の分布を、視覚的に把握できる。
【0120】
図6、図7は、色分けされて得られた比抵抗断面図の例を示す説明図である。
【0121】
図6は、低い周波数である第1周波数に対応する第1比抵抗値によって色分けした比抵抗断面図を示している。すなわち、第1色分け手段20によって作成された比抵抗断面図が、図6に示されている。作成における仕様に基づいた色分けによって、比抵抗断面図を見るだけで第1比抵抗値の状態を容易に把握できる。
【0122】
図7は、第1周波数よりも高い第2周波数に対応する第2比抵抗値によって色分けした比抵抗断面図を示している。すなわち、第2色分け手段21によって作成された比抵抗断面図が、図7に示されている。作成における仕様に基づいた色分けによって、比抵抗断面図を見るだけで第2比抵抗値の状態を容易に把握できる。
【0123】
図6、図7においては、比抵抗値の大きな領域ほど濃い色味で色分けされている。
【0124】
第1色分け手段20および第2色分け手段21は、色分けによって作成した比抵抗断面図(図6、図7に示される図)を推定手段12に出力する。
【0125】
推定手段12は、図6と図7とに示される比抵抗断面図を重畳することで、地盤2の断面における第1比抵抗値と第2比抵抗値とを容易に比較できる。第1比抵抗値に基づく図6の比抵抗断面図を、第1比抵抗断面図とし、第2比抵抗値に基づく図7の比抵抗断面図を、第2比抵抗断面図とすると、推定手段12は、第1比抵抗断面図と第2比抵抗断面図を重畳する。第1比抵抗断面図における色味と第2比抵抗断面図における色味が同じ領域は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とがほぼ同じ値であるので、水脈以外を主として含む領域である。一方、第1比抵抗断面図における色味と第2比抵抗断面図における色味が異なる領域は、第1比抵抗値と第2比抵抗値とが相違するので、水脈を含む領域である。
【0126】
推定手段12は、第1比抵抗断面図と第2比抵抗断面図とを重畳した図面を作成し、この図面より水脈の有無を推定してもよい。図8は、本発明の実施の形態1における重畳された比抵抗図面である。
【0127】
図8から明らかな通り、第1比抵抗値と第2比抵抗値とがほぼ同じ領域と異なる領域とで色分けされる。この色分けにおいて、丸枠で囲まれた領域は、水脈を含んでいると推定される。
【0128】
推定手段12は、このように、第1色分け手段20が作成する第1比抵抗断面図と第2色分け手段21が作成する第2比抵抗断面図とを重畳した図面によって、水脈を含む領域を推定してもよい。
【0129】
なお、第1比抵抗値と第2比抵抗値の比較における差分値は、仕様に応じて定められる所定値と比較されれば良く、推定手段12は、差分値が所定値以上で水脈を含むと推定し、差分値が所定値未満で水脈以外を主として含むと推定する。ここで、所定値は、仕様に応じて適宜定められる。例えば、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分を比率として定めても良いし、数値として定めても良い。例として、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値が第1比抵抗値の10%以上となる値を所定値として定めても良い。
【0130】
また、第1算出手段10、第2算出手段11、推定手段12と(水脈検出装置1)は、第1処理手順もしくは第2処理手順に基づいて、水脈を推定する。
【0131】
第1処理手順は、複数の電流電極対と電位電極対が構成する組み合わせの全てにおいて、最初に第1比抵抗値を算出し、次に第2比抵抗値を算出して、全ての領域における第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較することで、水脈を推定する。このように検出対象となる全ての領域において最初に第1比抵抗値を算出し次に第2比抵抗値を算出した上で水脈を推定することで、地盤2の中で水脈の位置、範囲を推定できる。
【0132】
第2処理手順は、複数の電流電極対と電位電極対のうちの一組において、第1比抵抗値と第2比抵抗値とを算出し、まずこの一組が対応する領域での第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較する。次に、この作業を全ての電流電極対と電位電極対との組み合わせにおいて実行する。第2処理手順によって、検出対象とする地盤2の全てに対して水脈の推定を行なわなくても、早期に水脈の有無を判断できる。つまり、第2処理手順では、電流電極対と電位電極対の一組のみで、第1比抵抗値と第2比抵抗値を測定する単体算出ステップを行ない、この一組の電流電極対と電位電極対がカバーする領域における推定である単体推定ステップを行なう。この単体算出ステップと単体推定ステップとが、全ての電流電極対と電位電極対との組み合わせで繰り返される。
【0133】
このように、水脈検出装置1が、第1処理手順を用いる場合には、水脈の位置、範囲、体積などの全てが一度に推定され、第2処理手順を用いる場合には、水脈の有無がまず推定されて、その後で範囲や体積などの情報が推定される。このため、種々の情報を一度に得たい場合には、水脈検出装置1が第1処理手順を実行するように操作し、最初に水脈の有無のみを検出することを優先する場合には、水脈検出装置1が第2処理手順を実行するように操作することが好ましい。
【0134】
このように水脈検出装置1は、第1処理手順や第2処理手順の切り替えといったフレキシブルな使い方ができる。
(通知手段)
【0135】
水脈検出装置1は、水脈が推定された場合に通知を出力する通知手段を更に備えても良い。
【0136】
図9は、本発明の実施の形態1における水脈検出装置のブロック図である。図9に示される水脈検出装置1は、通知手段30を備えている。通知手段30は、音声、データ、電子メール、発光、映像など種々の手段によって、使用者に水脈が推定されたことを通知する。
【0137】
通知手段30は、必須の構成要件ではないが、使用者の便宜に対応できる。
【0138】
以上、実施の形態1における水脈検出装置は、地盤を区分した複数の領域において、水脈を含む領域を検出できる。特に、2種類の周波数に基づく比抵抗値によって水脈を推定するため、高い精度で検出できる。この第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分が生じるのは、水脈である堆積している水分が有するインピーダンスが、比抵抗値に加算されるためと考えられ、井戸やボーリングに利用可能な一定量がまとまった水脈(重力水)のみを効率的に検出できる。
【0139】
(実施の形態2)
【0140】
実施の形態1においては、水脈検出機能を、水脈検出装置として実施する方法を説明したが、水脈検出システムや水脈検出方法として提供することも可能である。
【0141】
水脈検出システムは、図1、図2に示される水脈検出装置1が、システムとして実現されるものである。図1、図2に基づいて説明する。
【0142】
水脈検出システムは、地盤2の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対3、4と、交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対5,6と、第1周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段10と、第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段11と、第2比抵抗値が第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段12と、を備える。
【0143】
水脈検出システムは、各要素が個別の装置で構成されていたり、複合された装置で構成されていたりして、測定する場所に運搬されて使用される。
【0144】
また、複数の電流電極対と複数の電位電極対のそれぞれは、地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、第1算出手段は、複数の領域のそれぞれにおける第1比抵抗値を算出し、第2算出手段は、複数の領域のそれぞれにおける第2比抵抗値を算出し、複数の領域のそれぞれにおいて、第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、推定手段が推定する。
【0145】
所定値や推定の方法などは、実施の形態1で説明したのと同様である。
【0146】
また、水脈検出装置や水脈検出システムは、汎用コンピュータで処理される水脈検出方法や水脈検出プログラムとして実現されても良い。
【0147】
水脈検出方法は、地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、を備え、第1周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出ステップと、第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する交流電流に基づく電流値と電圧値より、地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出ステップと、第2比抵抗値が第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定ステップと、を備える。
【0148】
また、複数の電流電極対と複数の電位電極対のそれぞれは、地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、第1算出ステップは、複数の領域のそれぞれにおける第1比抵抗値を算出し、第2算出ステップは、複数の領域のそれぞれにおける第2比抵抗値を算出し、複数の領域のそれぞれにおいて、第2比抵抗値が第1比抵抗値よりも所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、推定ステップが推定する。
【0149】
比抵抗値の算出や水脈の推定における具体的な処理は、実施の形態1で説明したのと同様である。なお、電流電極対や電位電極対を始めとしたハードウェアは、別途備えられる。
【0150】
また、汎用コンピュータで水脈検出方法が実行される場合には、図10に示されるように、中央演算処理装置(以下、「CPU」という。図面も同じ)とこれに接続されるROMやRAMから読み込まれたプログラムによって実現される。図10は、本発明の実施の形態2における水脈検出方法を実現するコンピュータのブロック図である。
【0151】
汎用コンピュータ50は、CPU51、ROM52、RAM53、メモリ54、専用回路55を備える。ROM52は、水脈検出方法を実行するプログラムのオブジェクトが記憶されており、CPU51は、ROM52からプログラムを読み出して専用回路55などの処理も用いながら水脈検出を実行する。
【0152】
処理においては、CPU51は、必要なデータをRAMやメモリに記憶させたり読み出したりする。このような読み書きを通じて、汎用コンピュータ50は、水脈検出を実行する。なお、汎用コンピュータ50は、他の装置と共に動作すればよい。例えば、電流電極対や電位電極対は別途備えられる。
【0153】
以上のように、水脈検出装置は、水脈検出システムや水脈検出方法として実現されても良い。また、水脈検出システムや水脈検出方法(水脈検出方法を実現するコンピュータープログラムやそのプログラムの記憶媒体)は、実施の形態1、3で説明される水脈検出装置が備える機能を、必要に応じて含む。
【0154】
(実施の形態3)
【0155】
次に、実施の形態3について説明する。
【0156】
実施の形態3では、水脈検出装置が備える更なる機能や構成について説明する。図11は、本発明の実施の形態3における水脈検出装置のブロック図である。
(水質の予測)
【0157】
水脈検出装置60は、予測手段61を更に備える。予測手段61は、水脈検出装置60に含まれてもよいし、外部に備えられても良い。
予測手段61は、推定手段12での推定結果、第1比抵抗値および第2比抵抗値を用いて、推定された水脈の水質を予測する。推定手段12は、第1比抵抗値よりも第2比抵抗値が大きくかつ第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分が所定値以上である領域が水脈を含んでいると推定する。このとき、第1比抵抗値、第2比抵抗値およびこれらの差分値に基づいて、水質も予測可能である。予測手段61は、第1比抵抗値および第2比抵抗値の少なくとも一方に基づいて水質を予測する。
【0158】
例えば、第1比抵抗値や第2比抵抗値が、所定値よりも高かったり低かったりする場合には、水脈は塩分やミネラル分を含んでいる可能性がある。あるいは、特定の比抵抗値を有する場合には、水脈が特定の物質を含んでいる可能性がある。これら塩分、ミネラル分、特定物質を含んでいる水脈は、含んでいる成分にあわせた水質を有することになる。
【0159】
また、予測手段61は、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値に基づいて、水質を予測しても良い。差分値が非常に大きい場合には、水脈の有するインピーダンスが大きい可能性があり、大きなインピーダンスを生じさせる物質が水分に含まれている可能性がある。このような場合にも、予測手段61は、水脈の水質を予測できる。例えば、水脈が金属成分を含んでいる場合には、水脈に該当する領域での第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値が大きくなりやすいと考えられる。
【0160】
予測手段61は、このように推定手段12での推定結果、第1比抵抗値および第2比抵抗値を用いて、推定された水脈の水質を予測する。
【0161】
水質が予測されることで、推定された水脈の活用度が予め予測できることになる。例えば、塩分を含んでいると予測された水脈は、井戸としては不適であると判断できる。ミネラル分を多く含んでいると予測された水脈は、ミネラルウォーターを得ることに適していると判断できる。
【0162】
あるいは、金属成分を含んでいると予測された水脈は、飲用や工場用途にも不適であると判断できる。
【0163】
また、第1比抵抗値と第2比抵抗値の差分だけではなく、水脈として推定された領域とその周囲の領域との第1比抵抗値や第2比抵抗値の差分によっても、予測手段61は、水脈の水質を予測できる。
【0164】
あるいは、水脈以外と推定される領域での第1比抵抗値と第2比抵抗値から、水脈の水質を予測しても良い。例えば、水脈の周囲部分が粘土層である場合には、粘土層の年度成分が水脈に溶け込んでいる可能性が高く、飲用にする場合には浄水が必要と判断できる。水脈検出装置60は、水脈の有無を推定できるだけでなく、第1比抵抗値や第2比抵抗値によって水脈以外の領域の地層を推定できるからである。
【0165】
また、通知手段(図11には図示せず)は、予測手段61の結果を推定手段12の結果と合わせて使用者に通知しても良い。
(水量の予測)
【0166】
予測手段61は、推定された水脈の水量を予測することもできる。
【0167】
予測手段61は、水脈として推定した領域に対応する第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値に基づいて、水量を推定する。
【0168】
第1比抵抗値と第2比抵抗値とにおいて差分が生じるのは、水脈が含む水分によるインピーダンスのかさ上げと考えられる。インピーダンスは、水分量の増加に従って増加すると考えられる。このため、高い周波数である第2周波数を有する交流電流を与えた場合には、より大きなインピーダンスのかさ上げによって第2比抵抗値は大きくなると考えられる。このため、水分量の大きい水脈においては、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値がより大きくなると考えられる。
【0169】
予測手段61は、この現象を利用して水脈の水量を予測する。経験的に、第1比抵抗値と第2比抵抗値との差分値と水量との関係式や関係テーブルを作成しておき、予測手段61がこれらの関係式や関係テーブルを備えておくことで、予測手段61は、高い精度でかつ高速に推定された水脈の水量を予測できる。
【0170】
予測手段61は、通知手段を通じて予測された水量を、使用者に通知できる。
【0171】
予測手段61は、水脈検出装置60によって推定された過去の経験的データから作成される関係式や関係テーブルを様々に備えておくことで、水脈に関する多種多様な情報を予測できる。
【0172】
なお、予測手段61は、推定手段12に含まれても良いし、図11のように別に備えられても良い。もちろん、予測手段61も、ハードウェアで構成されても、ソフトウェアで構成されても、ハードウェアとソフトウェアの混在で構成されても良い。
【0173】
また、実施の形態1、2、3で説明された、第1算出手段10、第2算出手段11、推定手段12、電流付与部13、通知手段30は、ハードウェアで構成されても、ソフトウェアで構成されても、ハードウェアとソフトウェアの混在で構成されても良い。もちろん、専用装置で実現されても汎用コンピュータで実現されても良い。
【0174】
なお、実施の形態1〜3で説明された水脈検出装置、水脈検出システム、水脈検出方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0175】
1 水脈検出装置
2 地盤
3、4 電流電極対
5、6 電位電極対
7、8 円弧
9 水脈
10 第1算出手段
11 第2算出手段
12 推定手段
13 電流付与部
14 電圧計測部
20 第1色分け手段
21 第2色分け手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、
前記交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、
第1周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段と、
前記第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段と、
前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、前記地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段と、を備える水脈検出装置。
【請求項2】
前記複数の電流電極対と前記複数の電位電極対のそれぞれは、前記地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、
前記第1算出手段は、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第1比抵抗値を算出し、
前記第2算出手段は、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第2比抵抗値を算出し、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値よりも前記所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、前記推定手段が推定する請求項1記載の水脈検出装置。
【請求項3】
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記第2比抵抗値と前記第1比抵抗値との差分が、前記所定値未満である領域は、水脈以外を主として含んでいると、前記推定手段が推定する請求項2記載の水脈検出装置。
【請求項4】
前記第1周波数と前記第2周波数との差分は、前記第1周波数の10%以上である請求項1から3のいずれか記載の水脈検出装置。
【請求項5】
前記地盤の比抵抗を示す比抵抗断面図を、前記第1比抵抗値を値によって色分けする第1色分け手段と、
前記比抵抗断面図を、前記第2比抵抗値を値によって色分けする第2色分け手段と、を更に備え、
前記推定手段は、前記第1色分け手段で色分けされた比抵抗断面図と前記第2色分け手段で色分けされた比抵抗断面図とにおいて、色味の異なる領域が水脈を含んでいると推定する請求項1から4のいずれか記載の水脈検出装置。
【請求項6】
前記第1比抵抗値および前記第2比抵抗値の差分値に基づいて、推定された水脈の水質を予測する予測手段を更に備える請求項1から5のいずれか記載の水脈検出装置。
【請求項7】
前記予測手段は、前記推定手段によって水脈を含むと推定された領域における第1比抵抗値および第2比抵抗値の少なくとも一方に基づいて、前記水脈の水質を予測する請求項6記載の水脈検出装置。
【請求項8】
前記予測手段は、前記第1比抵抗値および前記第2比抵抗値の少なくとも一方に基づいて、推定された水脈の有する水量を予測する請求項6記載の水脈検出装置。
【請求項9】
前記第1算出手段、前記第2算出手段および推定手段は、第1処理手順もしくは第2処理手順と、に基づいて水脈を推定し、
前記第1処理手順は、
前記第1算出手段および前記第2算出手段は、前記複数の電流電極対および前記複数の電位電極対のそれぞれの組み合わせの全てにおいて、前記第1比抵抗値と前記第2比抵抗値とを算出する全体測定ステップと、
前記推定手段は、前記組み合わせの全てにおける第1比抵抗値と第2比抵抗値とを比較して、水脈の位置と範囲とを推定する全体推定ステップとを含み、
前記第2処理手順は、
前記第1算出手段および前記第2算出手段は、前記複数の電流電極対の内の第1電流電極対と前記複数の電位電極対の内の第1電位電極対との組み合わせである第1組み合わせにおいてのみ、前記第1比抵抗値と前記第2比抵抗値とを算出する単体算出ステップと、
前記推定手段は、第1組み合わせでの第1比抵抗値と第2比抵抗値とに基づいて、前記第1組み合わせが測定する領域のみでの水脈の有無を推定する単体推定ステップと、
前記単体算出ステップと前記単体推定ステップとを他の前記電流電極対と前記電位電極対との組み合わせにおいて繰り返す繰り返しステップと、を含む、請求項1から8のいずれか記載の水脈推定装置。
【請求項10】
前記推定手段によって水脈が推定された場合に、通知を出力する通知手段を更に備える請求項1から9のいずれか記載の水脈推定装置。
【請求項11】
地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、
前記交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、
第1周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出手段と、
前記第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出手段と、
前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、前記地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定手段と、を備える水脈検出システム。
【請求項12】
前記複数の電流電極対と前記複数の電位電極対のそれぞれは、前記地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、
前記第1算出手段は、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第1比抵抗値を算出し、
前記第2算出手段は、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第2比抵抗値を算出し、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値よりも前記所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、前記推定手段が推定する請求項11記載の水脈検出システム。
【請求項13】
地盤の所定領域に入力した交流電流の電流値を測定する複数の電流電極対と、
前記交流電流に対応する電圧値を測定する複数の電位電極対と、を備え、
第1周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第1比抵抗値を算出する第1算出ステップと、
前記第1周波数より高い周波数である第2周波数を有する前記交流電流に基づく前記電流値と前記電圧値より、前記地盤の所定領域の比抵抗を示す第2比抵抗値を算出する第2算出ステップと、
前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値より大きいと共にその差分が所定値以上である場合に、前記地盤の所定領域が水脈を含んでいると推定する推定ステップと、を備える水脈検出方法。
【請求項14】
前記複数の電流電極対と前記複数の電位電極対のそれぞれは、前記地盤を複数の領域に区分したそれぞれの領域における電流値と電圧値とを測定し、
前記第1算出ステップは、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第1比抵抗値を算出し、
前記第2算出ステップは、前記複数の領域のそれぞれにおける前記第2比抵抗値を算出し、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記第2比抵抗値が前記第1比抵抗値よりも前記所定値以上大きい領域は、水脈を含んでいると、前記推定ステップが推定する請求項13記載の水脈検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−112357(P2011−112357A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265880(P2009−265880)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(509323897)株式会社セウテック (2)